Disappointed 石破
- 2018/08/16
- 21:15
Disappointed 石破

副題:総理大臣とは、国民に選ばれ、国家・国民の為に働く人物であるはずなのだが、総理大臣になりたいからと国家・国民の為に働く事を避けている様じゃ本末転倒ではないか?
組織の中の一員として、物事を決定して、施策を実行・実現化させる難しさを幾度も経験してきた。自分が企画・立案した原案が、そのまま採用されるケースはかなり少なく、だいたいが何等かのコメントや修正が入る。実務上は、それとの妥協点を何処にするのかの判断が実に難しい。
妥協点を探る際のポイントとしては、先ず、基本理念・大目的が骨抜きになる様な修正に妥協することは意味がないという点にある。
一方では、原案通りのゴリ押しをして否決され雲散霧消するリスクを考えなくてはならない。それでは、何もならないからである。
その上で、更に考えなくてはならない点として、アクション実行者の遂行実現性である。基本理念・大目的が維持された修正原案が採択されても、それが思惑通りには実行されないリスクがある点である。この様な事は大組織に於いて往々にして起こり得る問題なのである。近年の自動車産業や素材産業でのデータ改竄事件などの「信じられない事件」、「あり得ない事件」は、大組織末端のアクション実行者の遂行実現性を経営側が細かく見てこなかった結果である。
この様に、大きく分ければ、内容の妥当性の問題と実務上の実現性の問題が存在しているのである。
それら各ポイントを見極め、意思決定権限者のうちの非賛同者の同意を取り付け、賛同者が心変わりしない様にケアして、「採択」というハードルを越えたならば、更に、それを実現・実行する体制を作り、その体制を持続させるチェックとメンテを継続するとの大仕事を何度も経験してきた。
そういう経験からすると、自民党が取りまとめている改憲草案の4つの重点項目(*1)のうちの9条改正案については、随分と目線が低いレベルでの改正案になっており、期待外れではあるのだが、憲法改正を実現する為には、この程度まで目線を落とさなければ国会での発議に至らないとの見通しからのものだと理解している。
その憲法改正なのだが、現状は、「憲法議論をしないことでの改憲阻止」(*2)との民主主義原則を蔑ろにした寝転がり戦法を用いている野党を相手に、国会発議まで持っていかなければならない状態だ。
現行憲法9条の悪影響(*3)については以前から幾度も指摘済だし、緊急事態条項がない状態は現行憲法の欠陥(*4)だと以前からずっと指摘している通りであり、現行憲法は一刻も早く破棄すべき対象だと考えている。
そうであるからこそ、改憲を実行する気概を持つ安倍政権には、改憲を実現していただきたいと考えているのである。
この様な状況下で、安倍総理、即ち、議会第一党自民党総裁の総裁任期が迫っているのである。
朝日新聞などの「反日偏向マスコミ」は、その道具として「前文+9条」との日本劣後を是とする現行憲法の護憲」を利用しており、その維持を目的にした「改憲阻止」を狙っている。
その論は、野党の寝転がり戦法を応援しているものであるのと同時に、「安倍再任阻止」のキャンペーンも展開している。
具体的には、自民党総裁選での「安倍の対抗馬石破」をプッシュすることでの「安倍下ろし」を盛んに「報道」していることなどである。
その一例が2018年8月11日の社説「自民党総裁選 安倍1強を問う論戦に」(*5)である。
ここで使われている「安倍1強」との煽り文句は、昨年(2017年)10月22日に行われた総選挙の時にも多用された印象操作である。
安倍首相の外交・防衛、経済政策の成果は素晴らしく、そういう実績を上げている政権の続投を望む国民が多数に及び、昨年の総選挙の結果は、「3度目の安倍政権の圧勝」となったのであるが、そういう国民の選択を、あたかも悪いことであるかの様に印象づけるのが「安倍1強」との空疎な言葉である。
望み得る最高の選択肢を多くの国民が選択した結果を批判する空虚な言葉である。
そんな「安倍1強」との言葉とセットで朝日社説にて行われているのが「安倍下ろしの為の「対抗馬石破押し」」である。
朝日の本音は、けして「石破が良い」ではない。もし仮に石破が総理になれば、朝日は手の平返しで石破を批判することは目に見えている。朝日にとっては石破など「安倍下ろしの道具」でしかないからだ。
朝日は「安倍下ろしの為の「対抗馬石破押し」」を露骨に「報道」し続けている。
そして、「総理になりたい」を最優先している石破は、朝日の本音が何かを本当は分かっているのであろうが、朝日の「安倍下ろし」を自分の為に利用している。
石破は無知なのか不見識なのか、昔ながらの「砕氷船テーゼ」の砕氷船の役割を自ら進んで担おうとしている。実に近視眼的発想である。
そんな発想をしてしまう人物に国の舵取りを任せられないと感じている。
「今の時点で自分に有利だからと言って本質的部分で一線を超える様な選択肢」を選ぶことは、「悪魔に魂を売って得る利得」であり忌み嫌われる行動である。
現状の石破は、朝日の「安倍下ろし」を自分の為に利用しており、朝日は、その為に、石破を利用している。
最近の朝日の「石破上げ」記事での石破の発言が、その実例である。(*6)
石破は、朝日好みのことを言っているのである。
それが事実であれば構わないのだが、自分に都合の良い様に事実を歪曲している。
朝日の2018年8月10日01時55分付記事で石破は、2012年の自民党総裁選の話をしている。その時の総裁選には5人が立候補したが、今回は安倍首相支持一色だと石破は批判している。
しかし、2012年の総裁選と今回の総裁選は、情況がかなり違う。それを、あたかも同じであるかの様に述べるのは如何なものかと思う。
2012年の自民党総裁選は、あの民主党政権下で下野していた時期に、その時点での谷垣総裁の任期切れに伴いおこなわれたものである。石破が言う「5人」とは、安倍晋三(町村派)、石破ゲル(無派閥)、町村信孝(町村派)、石原伸晃(山崎派)、林芳正(古賀派)の5人である。
この総裁選の結果は、以下の通り、地方票を固めた石破が最初は1位となったのだが、その得票数が過半数に達しなかったことから、自民党の総裁選ルールに則り、上位2名の議員票による決戦投票となり、安倍晋三が総裁に選ばれたものである。
<1回目投票> :地方票・議員票・合計票
石破ゲル(無派閥)165・ 34・199
安倍晋三(町村派) 87・ 54・141
石原伸晃(山崎派) 38・ 58・ 96
町村信孝(町村派) 7・ 27・ 34
林 芳正(古賀派) 3・ 24・ 27
↓
<決戦投票(議員票のみ)>
安倍晋三(町村派)108
石破ゲル(無派閥) 89
石破としては、これは自身が総理大臣となり、歴史に名を残す大チャンスだったのだが、それが行われたのは、前述した通り、民主党政権下、自民党が野党に下野していた時代であり、総裁候補の5人の顔ぶれを見れば、このうち誰かが抜きん出ているとは思えない陣容であった。
実際は短いながらも、防衛庁の省への昇格、国民投票法の成立、海洋基本法の成立(*6)などの実績を残している安倍晋三を評価すべきなのだが、防衛省以外のこれら法制は、自分が首相ではなくなったことにより、せっかく成立したものの、それを実現・実行する体制・その体制を持続させるチェックとメンテの継続が充分に出来ず、成果があげる迄には至らなかったものである。
自分がそういう事をする立場でなくなり、後継者に、そういう意識がないと、そうなってしまうものであることは、最初に書いた通りである。
一方、今回2018年の総裁選は、返り咲いた安倍首相の圧倒的な実績が多くの方々に認知されている状態での総裁選である。これは国民側にしてみたら、現状でベストの選択肢があるのに、何故、ベスト以外の選択をわざわざするのか、という状態だ。
そういう状況下では、他の有力議員が総裁選立候補を取りやめるのは、けして責められる様な判断ではない。
そうであるにも関わらず、総裁選に立候補したいのなら、それは石破の勝手なのだが、だからと言って、そういう状況を、あたかも自民党がダメになったかの様に言うのは、物事を歪曲し過ぎである。
この様に、朝日好みのことを言っている石破は、同様に、朝日の2018年8月11日18時19分付記事で、呆れたことに立憲民主党の枝野と同じことを言っているのである。
同記事の見出しは「◆石破氏「何も変わらない憲法改正をしてどうするのか」」である。
この見出しで言う「何も変わらない憲法改正」とは、9条についてである。
昨年(2017年)の12月17日の枝野の発言を伝える記事(*7)では、枝野がお得意のインチキ・ストローマン論法を用いていることが報じられている。
<同記事から抜粋引用>
「9条に自衛隊を明記しても「任務や権限に変更は生じない」」とする安倍晋三首相の発言を念頭に「変えても変えなくても一緒なら、そんなことにエネルギーを使うべきではない」
<抜粋引用終わり>
安倍首相が言っている「9条に自衛隊を明記しても「任務や権限に変更は生じない」」とは、現状の自衛隊が国民の命、平和・安寧の確保を第一義とする国防組織であり、それは変わらないと言う意味である。
憲法に自衛隊を明記する目的は、国防組織が憲法に記載がなく下位法で規定されている事による不具合・齟齬の解消必要性のことである。
こういう意味があるのに、その主旨をネジ曲げるストローマン論法を枝野は用いているのである。
枝野のインチキ論法の構造を理解した上で、今後は石破の発言を再度みていただきたい。
石破は「何も変わらない憲法改正をしてどうするのか」と言っているのだが、その構造は、枝野のインチキ論法と同じものであることが分かるであろう。
石破は、随分と朝日好みのことを言っているのだが、それは、石破が朝日の「安倍下ろし」を自分の為に利用しており、朝日は、その為に、石破を利用しているからだ。
石破のやっていることは「悪魔に魂を売って今得る利得」であり、そんなことでは国の舵取りを任せられない。
石破が、この様な近視眼的な行動を選択したのは、今回が初めてではない。
石破は安保法制審議から逃げているのである。
第二次安倍政権になってから手掛けた2015年の安保法制は、国民を守る上で障害となる法的未整備状態を改善するものであり、その軸足は国民の生命、平和・安寧の確保にある。
「国民の生命、平和・安寧の確保」との視点での発想を認めない野党(当時の民主党や共産党他)が大反対をしたが、衆参各々100時間以上の国会審議を費やし、可決・成立している。
安保法制の成立を目論んでいた安倍政権は、その前年の2014年に、防衛問題の専門家を自称する石破に、安保法制担当の内閣府特命担当大臣を打診したのだが、石破は、総理大臣になるとの自己都合を優先し、就任を断っているのである。
国民を守る法制が未整備状態であることに立ち向かった安倍首相と、それよりも自己都合を優先させた石破。これでは比較対象にならないではないか。
石破は、2012年の自民党改憲草案のとりまとめをした人物のうちの一人であるが、そうであるならば、改憲を実現させる気概を持つものと信じる。本当に改憲を実現したいのだったら、「自分が企画・立案した原案以外はダメ」であるかの様な姿勢は改めるべきである。
原案通りのゴリ押しをして否決され雲散霧消するリスクを考えなくてはならない。
基本理念・大目的が骨抜きになる様な修正に妥協することは、勿論意味がないのだが、何処が、どの様に妥協できないのかを明示して議論を深め止揚すべき立場にあるのだから、安倍下ろしの為に自分を応援する朝日とタッグを組む様な愚策を続けるのはお止めいただきたいものだ。
安保法制担当大臣から逃げた辺りからの石破には失望しか感じないのである。
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【文末脚注】
(*1):自民党が取りまとめている改憲草案の4つの重点項目
2018/01/31投稿:
亀さん状態の自民党改憲推進本部
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-855.html
2018/02/01投稿:
9条・自民党改憲本部報告
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-856.html
2018/02/02投稿:
9条・2012年自民党改憲草案の良い所悪い所
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-857.html
(*2):野党の寝転がり戦法「憲法議論をしないことでの改憲阻止」との民主主義原則を蔑ろにする戦法
2018/07/02投稿:
「憲法議論をさせないことでの改憲阻止」との愚劣
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-969.html
(*3):現行憲法9条の悪影響
201511/20投稿:
「平和憲法」との偽看板
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-269.html
2017/07/26投稿:
憲法議論9・「憲法9条の精神」とは何か?
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-720.html
2017/05/20投稿:
(資料編)憲法前文の登場・9条の登場と変遷
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-674.html
(*4)緊急事態条項がない状態は現行憲法の欠陥である。
2018/02/03投稿:
緊急事態条項・自民党改憲本部報告
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-858.html
2018/02/05投稿:
緊急事態条項・2012年自民党改憲草案の良い所悪い所
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-859.html
(*5):朝日新聞社説・2018年8月11日
朝日新聞デジタル 2018年8月11日05時00分
見出し:◆(社説)自民党総裁選 安倍1強を問う論戦に
https://www.asahi.com/articles/DA3S13631469.html
本文:○自民党の石破茂・元幹事長がきのう、9月の総裁選への立候補を表明した。3選をめざす安倍首相も近く態度を明らかにする。3年前は首相が無投票で再選しており、6年ぶりの投票となるのが確実となった。
○石破氏は、党三役や閣僚を歴任した論客だ。具体的で実のある論戦を期待する。
○結党から63年になる自民党の歴史でも、現職の総裁に対抗馬が立ったことはそう多くない。
○94年に自社さ連立で政権に復帰して以降では、小渕首相に加藤紘一、山崎拓の両氏が挑んだ99年と、小泉首相と亀井静香、藤井孝男、高村正彦の3氏が争った2003年の2例だけだ。
○加藤氏らは、小渕氏が進めた自自公の連立路線に異議を申し立てた。亀井氏らは、「抵抗勢力との対決」を演出して官邸主導を強める小泉氏の政治手法に修正を迫った。いずれも首相が勝利したが、対立軸は明確で、挑戦者の舌鋒(ぜっぽう)も鋭かった。
○今回、石破氏が掲げたキャッチフレーズは「正直、公正」だ。森友・加計問題で、行政の公平・公正に対する信頼が失墜し、野党の質問に正面から答えようとしない首相の不誠実な対応に批判が集中したことが念頭にあるのは間違いない。
○きのうの立候補会見では「政治・行政の信頼回復100日プラン」の実行を掲げた。期限を切って、強引な国会運営を見直し、官邸主導のあり方も見直す考えを強調した。
○石破氏は安倍政権の現状に対する直接的な批判は控えていたが、問おうとしているのはまさに、安倍1強政治の弊害そのものだろう。ならば、首相の政治手法のどこに問題があり、どう改めていくのか、具体的に示し、論戦に挑む責任がある。
○党内では、7派閥のうち5派閥が、すでに首相の3選支持を決めた。総裁選後の党役員・閣僚人事を見据え、こぞって首相にすり寄る姿は、1強の下、活力を失った党の現状を物語る。
○そんな中で注目されるのが、今回から国会議員票と同等の重みを持つことになった、全国の党員・党友による地方票の行方だ。01年の総裁選では、地方票で小泉氏が圧勝することが分かり、国会議員の判断に大きな影響を与えた。
○与党第1党のトップ選びは、それまでの政権運営を検証し、広く国民の前で今後の方向性を議論する格好の機会である。
○党は討論会の充実を図る。候補者は真摯(しんし)に政見を闘わせる。実質的な首相選びにふさわしい論戦にできなければ、政治の信頼回復にはつながらない。
<引用終わり>
(*6):最近の朝日の「石破上げ」記事での石破の発言
<その1>
朝日新聞デジタル 2018年8月10日01時55分
見出し:◆石破氏「安倍さん支持の大合唱、自民党変質したのかも」
https://www.asahi.com/articles/ASL8B00VGL89UTFK026.html
見出し:◆自民党・石破茂元幹事長(発言録)
記事○:(2012年の党総裁選は)安倍さんや私の5人が出て、(08年の)麻生さんが総裁になった時も5人出た。いち抜けたというか、「私は出ません。安倍さんを支持します」という大合唱で、6年前と何か自民党は変質したのかもしれない。かつて5人出て、議論を戦わせた自民党はどこにいっちゃったんだろうねという気が正直言ってする。
○(小泉進次郎・党筆頭副幹事長との意見交換を問われ)そういう機会は作りたい。色んな人と意見交換したい。支持する、しないは好き嫌いもあるが、党運営に対して同じ考えか、政策で一致する部分がどれだけあるかが大事。多くの人が賛同し、支持して頂けたらありがたい。進次郎さんはその中の有力な1人だ。(BSフジの番組で)
<引用終わり>
<その2>
朝日新聞デジタル 2018年8月11日18時19分
見出し:◆石破氏「何も変わらない憲法改正をしてどうするのか」
https://www.asahi.com/articles/ASL8C5SKBL8CUTFK00G.html
○自民党の石破茂元幹事長(発言録)
○(安倍晋三首相が掲げる2項を維持した上での憲法9条への自衛隊明記案を念頭に)何も変わらないという憲法改正をしてどうするのか。違憲という学者がいる、それがどうした。違憲ならなんで自衛隊法、防衛省設置法があるのか。国民は違憲なんて誰も思っていない。9条改正は国民の理解なくして決してできるものではない。改正論者の私であればこそ、そのように思う。
○(立候補表明した党総裁選について)この戦いは日本のため、次の時代のために絶対にやらねばならない、絶対勝ち抜かねばならない戦いだ。劣勢です。国会議員の7割は安倍さん支持と言っている。本当に今の政策、今の党のあり方でいいんですか。野党の時、自民党は地方のおかげで成り立っている政党だと思った。自民党は国会議員のための党ではない。党員のための党だ。(鳥取県米子市での講演で)
<引用終わり>
(*7):2017年12月17日の枝野のストローマン発言を伝える記事
2017/12/19投稿:
案の定、改憲阻止に動く立憲民主・枝野
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-827.html
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副題:総理大臣とは、国民に選ばれ、国家・国民の為に働く人物であるはずなのだが、総理大臣になりたいからと国家・国民の為に働く事を避けている様じゃ本末転倒ではないか?
組織の中の一員として、物事を決定して、施策を実行・実現化させる難しさを幾度も経験してきた。自分が企画・立案した原案が、そのまま採用されるケースはかなり少なく、だいたいが何等かのコメントや修正が入る。実務上は、それとの妥協点を何処にするのかの判断が実に難しい。
妥協点を探る際のポイントとしては、先ず、基本理念・大目的が骨抜きになる様な修正に妥協することは意味がないという点にある。
一方では、原案通りのゴリ押しをして否決され雲散霧消するリスクを考えなくてはならない。それでは、何もならないからである。
その上で、更に考えなくてはならない点として、アクション実行者の遂行実現性である。基本理念・大目的が維持された修正原案が採択されても、それが思惑通りには実行されないリスクがある点である。この様な事は大組織に於いて往々にして起こり得る問題なのである。近年の自動車産業や素材産業でのデータ改竄事件などの「信じられない事件」、「あり得ない事件」は、大組織末端のアクション実行者の遂行実現性を経営側が細かく見てこなかった結果である。
この様に、大きく分ければ、内容の妥当性の問題と実務上の実現性の問題が存在しているのである。
それら各ポイントを見極め、意思決定権限者のうちの非賛同者の同意を取り付け、賛同者が心変わりしない様にケアして、「採択」というハードルを越えたならば、更に、それを実現・実行する体制を作り、その体制を持続させるチェックとメンテを継続するとの大仕事を何度も経験してきた。
そういう経験からすると、自民党が取りまとめている改憲草案の4つの重点項目(*1)のうちの9条改正案については、随分と目線が低いレベルでの改正案になっており、期待外れではあるのだが、憲法改正を実現する為には、この程度まで目線を落とさなければ国会での発議に至らないとの見通しからのものだと理解している。
その憲法改正なのだが、現状は、「憲法議論をしないことでの改憲阻止」(*2)との民主主義原則を蔑ろにした寝転がり戦法を用いている野党を相手に、国会発議まで持っていかなければならない状態だ。
現行憲法9条の悪影響(*3)については以前から幾度も指摘済だし、緊急事態条項がない状態は現行憲法の欠陥(*4)だと以前からずっと指摘している通りであり、現行憲法は一刻も早く破棄すべき対象だと考えている。
そうであるからこそ、改憲を実行する気概を持つ安倍政権には、改憲を実現していただきたいと考えているのである。
この様な状況下で、安倍総理、即ち、議会第一党自民党総裁の総裁任期が迫っているのである。
朝日新聞などの「反日偏向マスコミ」は、その道具として「前文+9条」との日本劣後を是とする現行憲法の護憲」を利用しており、その維持を目的にした「改憲阻止」を狙っている。
その論は、野党の寝転がり戦法を応援しているものであるのと同時に、「安倍再任阻止」のキャンペーンも展開している。
具体的には、自民党総裁選での「安倍の対抗馬石破」をプッシュすることでの「安倍下ろし」を盛んに「報道」していることなどである。
その一例が2018年8月11日の社説「自民党総裁選 安倍1強を問う論戦に」(*5)である。
ここで使われている「安倍1強」との煽り文句は、昨年(2017年)10月22日に行われた総選挙の時にも多用された印象操作である。
安倍首相の外交・防衛、経済政策の成果は素晴らしく、そういう実績を上げている政権の続投を望む国民が多数に及び、昨年の総選挙の結果は、「3度目の安倍政権の圧勝」となったのであるが、そういう国民の選択を、あたかも悪いことであるかの様に印象づけるのが「安倍1強」との空疎な言葉である。
望み得る最高の選択肢を多くの国民が選択した結果を批判する空虚な言葉である。
そんな「安倍1強」との言葉とセットで朝日社説にて行われているのが「安倍下ろしの為の「対抗馬石破押し」」である。
朝日の本音は、けして「石破が良い」ではない。もし仮に石破が総理になれば、朝日は手の平返しで石破を批判することは目に見えている。朝日にとっては石破など「安倍下ろしの道具」でしかないからだ。
朝日は「安倍下ろしの為の「対抗馬石破押し」」を露骨に「報道」し続けている。
そして、「総理になりたい」を最優先している石破は、朝日の本音が何かを本当は分かっているのであろうが、朝日の「安倍下ろし」を自分の為に利用している。
石破は無知なのか不見識なのか、昔ながらの「砕氷船テーゼ」の砕氷船の役割を自ら進んで担おうとしている。実に近視眼的発想である。
そんな発想をしてしまう人物に国の舵取りを任せられないと感じている。
「今の時点で自分に有利だからと言って本質的部分で一線を超える様な選択肢」を選ぶことは、「悪魔に魂を売って得る利得」であり忌み嫌われる行動である。
現状の石破は、朝日の「安倍下ろし」を自分の為に利用しており、朝日は、その為に、石破を利用している。
最近の朝日の「石破上げ」記事での石破の発言が、その実例である。(*6)
石破は、朝日好みのことを言っているのである。
それが事実であれば構わないのだが、自分に都合の良い様に事実を歪曲している。
朝日の2018年8月10日01時55分付記事で石破は、2012年の自民党総裁選の話をしている。その時の総裁選には5人が立候補したが、今回は安倍首相支持一色だと石破は批判している。
しかし、2012年の総裁選と今回の総裁選は、情況がかなり違う。それを、あたかも同じであるかの様に述べるのは如何なものかと思う。
2012年の自民党総裁選は、あの民主党政権下で下野していた時期に、その時点での谷垣総裁の任期切れに伴いおこなわれたものである。石破が言う「5人」とは、安倍晋三(町村派)、石破ゲル(無派閥)、町村信孝(町村派)、石原伸晃(山崎派)、林芳正(古賀派)の5人である。
この総裁選の結果は、以下の通り、地方票を固めた石破が最初は1位となったのだが、その得票数が過半数に達しなかったことから、自民党の総裁選ルールに則り、上位2名の議員票による決戦投票となり、安倍晋三が総裁に選ばれたものである。
<1回目投票> :地方票・議員票・合計票
石破ゲル(無派閥)165・ 34・199
安倍晋三(町村派) 87・ 54・141
石原伸晃(山崎派) 38・ 58・ 96
町村信孝(町村派) 7・ 27・ 34
林 芳正(古賀派) 3・ 24・ 27
↓
<決戦投票(議員票のみ)>
安倍晋三(町村派)108
石破ゲル(無派閥) 89
石破としては、これは自身が総理大臣となり、歴史に名を残す大チャンスだったのだが、それが行われたのは、前述した通り、民主党政権下、自民党が野党に下野していた時代であり、総裁候補の5人の顔ぶれを見れば、このうち誰かが抜きん出ているとは思えない陣容であった。
実際は短いながらも、防衛庁の省への昇格、国民投票法の成立、海洋基本法の成立(*6)などの実績を残している安倍晋三を評価すべきなのだが、防衛省以外のこれら法制は、自分が首相ではなくなったことにより、せっかく成立したものの、それを実現・実行する体制・その体制を持続させるチェックとメンテの継続が充分に出来ず、成果があげる迄には至らなかったものである。
自分がそういう事をする立場でなくなり、後継者に、そういう意識がないと、そうなってしまうものであることは、最初に書いた通りである。
一方、今回2018年の総裁選は、返り咲いた安倍首相の圧倒的な実績が多くの方々に認知されている状態での総裁選である。これは国民側にしてみたら、現状でベストの選択肢があるのに、何故、ベスト以外の選択をわざわざするのか、という状態だ。
そういう状況下では、他の有力議員が総裁選立候補を取りやめるのは、けして責められる様な判断ではない。
そうであるにも関わらず、総裁選に立候補したいのなら、それは石破の勝手なのだが、だからと言って、そういう状況を、あたかも自民党がダメになったかの様に言うのは、物事を歪曲し過ぎである。
この様に、朝日好みのことを言っている石破は、同様に、朝日の2018年8月11日18時19分付記事で、呆れたことに立憲民主党の枝野と同じことを言っているのである。
同記事の見出しは「◆石破氏「何も変わらない憲法改正をしてどうするのか」」である。
この見出しで言う「何も変わらない憲法改正」とは、9条についてである。
昨年(2017年)の12月17日の枝野の発言を伝える記事(*7)では、枝野がお得意のインチキ・ストローマン論法を用いていることが報じられている。
<同記事から抜粋引用>
「9条に自衛隊を明記しても「任務や権限に変更は生じない」」とする安倍晋三首相の発言を念頭に「変えても変えなくても一緒なら、そんなことにエネルギーを使うべきではない」
<抜粋引用終わり>
安倍首相が言っている「9条に自衛隊を明記しても「任務や権限に変更は生じない」」とは、現状の自衛隊が国民の命、平和・安寧の確保を第一義とする国防組織であり、それは変わらないと言う意味である。
憲法に自衛隊を明記する目的は、国防組織が憲法に記載がなく下位法で規定されている事による不具合・齟齬の解消必要性のことである。
こういう意味があるのに、その主旨をネジ曲げるストローマン論法を枝野は用いているのである。
枝野のインチキ論法の構造を理解した上で、今後は石破の発言を再度みていただきたい。
石破は「何も変わらない憲法改正をしてどうするのか」と言っているのだが、その構造は、枝野のインチキ論法と同じものであることが分かるであろう。
石破は、随分と朝日好みのことを言っているのだが、それは、石破が朝日の「安倍下ろし」を自分の為に利用しており、朝日は、その為に、石破を利用しているからだ。
石破のやっていることは「悪魔に魂を売って今得る利得」であり、そんなことでは国の舵取りを任せられない。
石破が、この様な近視眼的な行動を選択したのは、今回が初めてではない。
石破は安保法制審議から逃げているのである。
第二次安倍政権になってから手掛けた2015年の安保法制は、国民を守る上で障害となる法的未整備状態を改善するものであり、その軸足は国民の生命、平和・安寧の確保にある。
「国民の生命、平和・安寧の確保」との視点での発想を認めない野党(当時の民主党や共産党他)が大反対をしたが、衆参各々100時間以上の国会審議を費やし、可決・成立している。
安保法制の成立を目論んでいた安倍政権は、その前年の2014年に、防衛問題の専門家を自称する石破に、安保法制担当の内閣府特命担当大臣を打診したのだが、石破は、総理大臣になるとの自己都合を優先し、就任を断っているのである。
国民を守る法制が未整備状態であることに立ち向かった安倍首相と、それよりも自己都合を優先させた石破。これでは比較対象にならないではないか。
石破は、2012年の自民党改憲草案のとりまとめをした人物のうちの一人であるが、そうであるならば、改憲を実現させる気概を持つものと信じる。本当に改憲を実現したいのだったら、「自分が企画・立案した原案以外はダメ」であるかの様な姿勢は改めるべきである。
原案通りのゴリ押しをして否決され雲散霧消するリスクを考えなくてはならない。
基本理念・大目的が骨抜きになる様な修正に妥協することは、勿論意味がないのだが、何処が、どの様に妥協できないのかを明示して議論を深め止揚すべき立場にあるのだから、安倍下ろしの為に自分を応援する朝日とタッグを組む様な愚策を続けるのはお止めいただきたいものだ。
安保法制担当大臣から逃げた辺りからの石破には失望しか感じないのである。
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【文末脚注】
(*1):自民党が取りまとめている改憲草案の4つの重点項目
2018/01/31投稿:
亀さん状態の自民党改憲推進本部
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-855.html
2018/02/01投稿:
9条・自民党改憲本部報告
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-856.html
2018/02/02投稿:
9条・2012年自民党改憲草案の良い所悪い所
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-857.html
(*2):野党の寝転がり戦法「憲法議論をしないことでの改憲阻止」との民主主義原則を蔑ろにする戦法
2018/07/02投稿:
「憲法議論をさせないことでの改憲阻止」との愚劣
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-969.html
(*3):現行憲法9条の悪影響
201511/20投稿:
「平和憲法」との偽看板
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-269.html
2017/07/26投稿:
憲法議論9・「憲法9条の精神」とは何か?
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-720.html
2017/05/20投稿:
(資料編)憲法前文の登場・9条の登場と変遷
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-674.html
(*4)緊急事態条項がない状態は現行憲法の欠陥である。
2018/02/03投稿:
緊急事態条項・自民党改憲本部報告
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-858.html
2018/02/05投稿:
緊急事態条項・2012年自民党改憲草案の良い所悪い所
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-859.html
(*5):朝日新聞社説・2018年8月11日
朝日新聞デジタル 2018年8月11日05時00分
見出し:◆(社説)自民党総裁選 安倍1強を問う論戦に
https://www.asahi.com/articles/DA3S13631469.html
本文:○自民党の石破茂・元幹事長がきのう、9月の総裁選への立候補を表明した。3選をめざす安倍首相も近く態度を明らかにする。3年前は首相が無投票で再選しており、6年ぶりの投票となるのが確実となった。
○石破氏は、党三役や閣僚を歴任した論客だ。具体的で実のある論戦を期待する。
○結党から63年になる自民党の歴史でも、現職の総裁に対抗馬が立ったことはそう多くない。
○94年に自社さ連立で政権に復帰して以降では、小渕首相に加藤紘一、山崎拓の両氏が挑んだ99年と、小泉首相と亀井静香、藤井孝男、高村正彦の3氏が争った2003年の2例だけだ。
○加藤氏らは、小渕氏が進めた自自公の連立路線に異議を申し立てた。亀井氏らは、「抵抗勢力との対決」を演出して官邸主導を強める小泉氏の政治手法に修正を迫った。いずれも首相が勝利したが、対立軸は明確で、挑戦者の舌鋒(ぜっぽう)も鋭かった。
○今回、石破氏が掲げたキャッチフレーズは「正直、公正」だ。森友・加計問題で、行政の公平・公正に対する信頼が失墜し、野党の質問に正面から答えようとしない首相の不誠実な対応に批判が集中したことが念頭にあるのは間違いない。
○きのうの立候補会見では「政治・行政の信頼回復100日プラン」の実行を掲げた。期限を切って、強引な国会運営を見直し、官邸主導のあり方も見直す考えを強調した。
○石破氏は安倍政権の現状に対する直接的な批判は控えていたが、問おうとしているのはまさに、安倍1強政治の弊害そのものだろう。ならば、首相の政治手法のどこに問題があり、どう改めていくのか、具体的に示し、論戦に挑む責任がある。
○党内では、7派閥のうち5派閥が、すでに首相の3選支持を決めた。総裁選後の党役員・閣僚人事を見据え、こぞって首相にすり寄る姿は、1強の下、活力を失った党の現状を物語る。
○そんな中で注目されるのが、今回から国会議員票と同等の重みを持つことになった、全国の党員・党友による地方票の行方だ。01年の総裁選では、地方票で小泉氏が圧勝することが分かり、国会議員の判断に大きな影響を与えた。
○与党第1党のトップ選びは、それまでの政権運営を検証し、広く国民の前で今後の方向性を議論する格好の機会である。
○党は討論会の充実を図る。候補者は真摯(しんし)に政見を闘わせる。実質的な首相選びにふさわしい論戦にできなければ、政治の信頼回復にはつながらない。
<引用終わり>
(*6):最近の朝日の「石破上げ」記事での石破の発言
<その1>
朝日新聞デジタル 2018年8月10日01時55分
見出し:◆石破氏「安倍さん支持の大合唱、自民党変質したのかも」
https://www.asahi.com/articles/ASL8B00VGL89UTFK026.html
見出し:◆自民党・石破茂元幹事長(発言録)
記事○:(2012年の党総裁選は)安倍さんや私の5人が出て、(08年の)麻生さんが総裁になった時も5人出た。いち抜けたというか、「私は出ません。安倍さんを支持します」という大合唱で、6年前と何か自民党は変質したのかもしれない。かつて5人出て、議論を戦わせた自民党はどこにいっちゃったんだろうねという気が正直言ってする。
○(小泉進次郎・党筆頭副幹事長との意見交換を問われ)そういう機会は作りたい。色んな人と意見交換したい。支持する、しないは好き嫌いもあるが、党運営に対して同じ考えか、政策で一致する部分がどれだけあるかが大事。多くの人が賛同し、支持して頂けたらありがたい。進次郎さんはその中の有力な1人だ。(BSフジの番組で)
<引用終わり>
<その2>
朝日新聞デジタル 2018年8月11日18時19分
見出し:◆石破氏「何も変わらない憲法改正をしてどうするのか」
https://www.asahi.com/articles/ASL8C5SKBL8CUTFK00G.html
○自民党の石破茂元幹事長(発言録)
○(安倍晋三首相が掲げる2項を維持した上での憲法9条への自衛隊明記案を念頭に)何も変わらないという憲法改正をしてどうするのか。違憲という学者がいる、それがどうした。違憲ならなんで自衛隊法、防衛省設置法があるのか。国民は違憲なんて誰も思っていない。9条改正は国民の理解なくして決してできるものではない。改正論者の私であればこそ、そのように思う。
○(立候補表明した党総裁選について)この戦いは日本のため、次の時代のために絶対にやらねばならない、絶対勝ち抜かねばならない戦いだ。劣勢です。国会議員の7割は安倍さん支持と言っている。本当に今の政策、今の党のあり方でいいんですか。野党の時、自民党は地方のおかげで成り立っている政党だと思った。自民党は国会議員のための党ではない。党員のための党だ。(鳥取県米子市での講演で)
<引用終わり>
(*7):2017年12月17日の枝野のストローマン発言を伝える記事
2017/12/19投稿:
案の定、改憲阻止に動く立憲民主・枝野
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-827.html
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