佐川証言に対する与党議員発言が面白い
- 2018/03/30
- 21:09
佐川証言に対する与党議員発言が面白い
<這っても黒豆3・Team Creeping Black Beans・Final>
副題:佐川証言を論理的に理解出来ないor理解しようとしない与党議員がいるとしたら、それは我々日本人にとっての不幸。そんな人物が我が国総理として外交の場に登場するかと思うと背筋が寒くなる。
前々回の論考「這っても黒豆」(*1)及び、前回の野党議員発言に関しての側論考(*2)の続きである。
先般の2018年3月27日に行われた国会での証人喚問は、そもそもが、野党側の主張であった「偽証すれば刑事罰に問われる国会での承認喚問で真実が語られる!」、「理財局長だった佐川を証人喚問せよぉ!」に基づき行われたものだ。
そして、その証人喚問で佐川証人は「関与はなかった」と明言しているのだから、それで結論は出たはずなのだが、野党議員は、証言の内容が「自分の書いた物語」とは違っており都合が悪く、野党統一シナリオ「疑惑が深まった」との論理的に破綻した「感想」ばかりを述べているのである。
その様子は、前回論考で示した通りであるが、今回は、与党側(自公連立政権)議員の発言を取り上げる。尚、与党議員発言の引用元は、前回論考の文末脚注の(*2・その4)である。
<自民党・二階幹事長>
「安倍総理大臣をはじめ、政治家がどう関わっていたかが1つの焦点だったが、幸いにして関与がなかったことが明白になったと思う。麻生財務大臣の疑いは晴れたと思うし、安倍総理大臣や夫人の昭恵氏の関与についても、深まったとか、さらに問題点があるとは思っていない」、
「佐川氏は、きょうのところは一通りの答えはしたのではないか。今後も、全容解明に努力するとともに、国会の本分である予算案や関連法案などの審議を、早期に進めていくことに全力を尽くしたい」
↓
二階は幹事長になる前には、あまり評判が芳しくなかったが、幹事長就任後は職務に忠実な人物であると評される様になった政治家である。
その二階の佐川証言に対する理解・発言は、上記前段の「関与」の部分と後段の「経緯」の部分をちゃんと区分して理解・発言しており、真っ当である。
(「関与」と「経緯」の区分に関しては、文末脚注の(*1)に以前の論考での解説を引用してあるので、参照願いたい)
<自民党・森山>
「安倍総理大臣や夫人の昭恵氏をはじめ、総理大臣官邸の関係者の関与がなかったことが明確になり、多くの疑念が解消された。改ざん問題については、財務省の調査や検察の捜査を通じて、全容が解明されてくると思うが、公文書の管理や再発防止の取り組みなどで、国会が果たさなければならない役割はまだまだ大きい」
「佐川氏の証言で昭恵氏が関与していないことがはっきりしたので、その必要はない」
↓
自民党・森山議員の理解・発言も二階と同様、真っ当である。
佐川証言をちゃんと「関与」と「経緯」とに区分して理解している。とは言え、それは、実のところ「当たり前のこと」なのである。
二階・森山両議院の真っ当な理解・発言じゃ、論理性の世界標準に合致したものだと言ってよいのだが、逆に言えば、この様な理解・発言をしない与党の人物が仮に総理大臣等の我が国政府の要職に就き外交交渉の場に登場したとすると、混乱の要因になってしまう。
そんなリスクがある発言をしているのが、石破と村上である。
<自民党・石破>
「佐川氏自身も『誰が、なぜ』ということが一切わからないと認める、極めて異例な尋問だった。安倍総理大臣や夫人の昭恵氏らの関与は全くなかったと証言しながら、ほかのことが全部わからないのでは、全体が明らかになっていない。『一体何だったんだろう』という思いが極めて強まった」「どういう場で行うかは別として、野党側からそういう風に言われている人から、発言があるほうが望ましいのは確かだ」
↓
石破が、本当にこの様な「関与」と「経緯」を混同して理解をしているのだったら、その知性を疑う。その他の問題で石破は結構まともな理解や発言をしてきた実績があるだけに
誠に残念である。
一方、もしも、次期自民党総裁=総理大臣の椅子を狙っての「安倍に対抗」することを意識してのポジション・トークなのだったら、そういう事をするにはタイミングがズレており、情勢判断として「ダメな判断」をしたものだと考える。
この何れであっても、石破は適切な判断が出来てないという事であり、「ダメな子」になってしまっている状態である。
尚、記事では石破が「尋問」との言葉を使っている様だが、もしも本当に使っているのだったら、最低である。
<自民党・村上>
「佐川氏が、自分1人ですべての罪をかぶろうとしている姿勢だが、本当にそれが正しいことなのか疑問だ。去年から起きている南スーダンのPKO部隊の日報問題、加計学園の問題も、今回の問題も、全部、安倍総理大臣の近い人たちから起こった問題だ。安倍総理大臣は責任を取って、そろそろ大所高所の判断をすべき時期に来ているのではないか。これ以上続けても、国民の不信は募るばかりだ」
↓
村上の発言の出だしの理屈は、辻元と同じ詭弁である。
仮に、村上が言っている「自分1人ですべての罪をかぶろうとしている姿勢」が正しいのならば、佐川証人は議員証言法第6条(*3)の規定にある「3ヶ月以上10年以下の懲役」を甘んじて受けることに覚悟していることになる。
ところが、実際は、「経緯」に関しては、議院証言法の諸規定(第4条~第5条の八)に則り証言拒否をしており、それは、まったく「自分1人ですべての罪をかぶろうとしている姿勢」とは違う姿勢である。
こんな理解しか出来ないのか、ポジション・トークなのかは不明であるが、よりによって、辻元と同じ主旨の発言をしてしまうセンスの悪さは指摘されて当然であろう。
さて、次に紹介する、連立政権与党での別政党・公明党の発言は、これまた実に興味深い。
<公明党・山口代表>
「決裁文書の書き換えが理財局の中で行われ、当時の理財局長だった自分自身に責任があるとはっきり認めた。これは証人という形での発言として、極めて重いものだ。一方で、誰がどういう理由で行ったのかは、証言を控えて触れなかったのは極めて残念な対応だった。今後も国会としてあらゆる場で、実態の解明に努力しなければならない」、「改ざんに関係があったという事実は、今のところ出てきていないので、もっときちんとした前提がなければ難しいだろう」
↓
実に公明党らしい発言である。
「関与」と「経緯」との区分で言えば、山口は、佐川証人が明言した「関与なし」について言及していないのである。
話していることは「経緯」についてだけである。
その理由は、色々と推察可能だが、今回は、そういう事実の指摘だけに留める。
(記者が言及部分を採用しなかった可能性を排除できないこともあるので。)
以上、3月27日の証人喚問に関しての各党議員の発言に関する論考は、今回で一旦終了する。
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【文末脚注】
(*1):前々回の論考「這っても黒豆」
2018/03/28投稿:
這っても黒豆
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-892.html
<事実>
・「関与」に関して佐川証人は、明確に「関与なし」と証言していた。
・「経緯」に関して佐川証人は、刑事訴追を理由に証言を拒否していた。
<「関与」部分理解>
第一段階:議院証言法で虚偽答弁は刑事罰対象であることから、佐川証人は刑事罰を受けるリスクを回避していると想定される。(真実を証言していると看做される)
↓
第二段階:佐川証人は、断定的に「安倍総理・安倍昭恵夫人等の関与」はないと明言した。
↓
第三段階:従い、関与はなかったと結論される。
<「経緯」部分理解>
第一段階:議院証言法では、証言により自己または近親・近隣者が重大な不利益を被る場合は、証言他を拒否することを可とする諸規定があり、証言を拒否することが可能である。
↓
第二段階:佐川証人は司法の手で捜査中の「経緯」の部分に関して証言を拒否した。
↓
第三段階:「経緯」に関しての真相は今後の司法当局の発表を待つことになる。(経緯の内容によっては、証言者他に不利益が発生する可能性、つまり違法行為があった可能性は残っている)
<引用終わり>
(*2):前回の野党議員発言に関しての論考
2018/03/29投稿:
野党議員の印象操作発言及びそれを拡散する偏向マスコミ
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-893.html
【ご参考】:※与党議員発言の引用元は、前回論考の文末脚注の(*2・その4)である。
NHK NEWS WEB 3月27日 18時04分
見出し:◆佐川氏証人喚問 各党の反応は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180327/k10011381381000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_013
(*3):議院証言法第6条
正式名:議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律
(昭和二十二年法律第二百二十五号)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC1000000225&openerCode=1
第6条:この法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。(第2項略)
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<這っても黒豆3・Team Creeping Black Beans・Final>
副題:佐川証言を論理的に理解出来ないor理解しようとしない与党議員がいるとしたら、それは我々日本人にとっての不幸。そんな人物が我が国総理として外交の場に登場するかと思うと背筋が寒くなる。
前々回の論考「這っても黒豆」(*1)及び、前回の野党議員発言に関しての側論考(*2)の続きである。
先般の2018年3月27日に行われた国会での証人喚問は、そもそもが、野党側の主張であった「偽証すれば刑事罰に問われる国会での承認喚問で真実が語られる!」、「理財局長だった佐川を証人喚問せよぉ!」に基づき行われたものだ。
そして、その証人喚問で佐川証人は「関与はなかった」と明言しているのだから、それで結論は出たはずなのだが、野党議員は、証言の内容が「自分の書いた物語」とは違っており都合が悪く、野党統一シナリオ「疑惑が深まった」との論理的に破綻した「感想」ばかりを述べているのである。
その様子は、前回論考で示した通りであるが、今回は、与党側(自公連立政権)議員の発言を取り上げる。尚、与党議員発言の引用元は、前回論考の文末脚注の(*2・その4)である。
<自民党・二階幹事長>
「安倍総理大臣をはじめ、政治家がどう関わっていたかが1つの焦点だったが、幸いにして関与がなかったことが明白になったと思う。麻生財務大臣の疑いは晴れたと思うし、安倍総理大臣や夫人の昭恵氏の関与についても、深まったとか、さらに問題点があるとは思っていない」、
「佐川氏は、きょうのところは一通りの答えはしたのではないか。今後も、全容解明に努力するとともに、国会の本分である予算案や関連法案などの審議を、早期に進めていくことに全力を尽くしたい」
↓
二階は幹事長になる前には、あまり評判が芳しくなかったが、幹事長就任後は職務に忠実な人物であると評される様になった政治家である。
その二階の佐川証言に対する理解・発言は、上記前段の「関与」の部分と後段の「経緯」の部分をちゃんと区分して理解・発言しており、真っ当である。
(「関与」と「経緯」の区分に関しては、文末脚注の(*1)に以前の論考での解説を引用してあるので、参照願いたい)
<自民党・森山>
「安倍総理大臣や夫人の昭恵氏をはじめ、総理大臣官邸の関係者の関与がなかったことが明確になり、多くの疑念が解消された。改ざん問題については、財務省の調査や検察の捜査を通じて、全容が解明されてくると思うが、公文書の管理や再発防止の取り組みなどで、国会が果たさなければならない役割はまだまだ大きい」
「佐川氏の証言で昭恵氏が関与していないことがはっきりしたので、その必要はない」
↓
自民党・森山議員の理解・発言も二階と同様、真っ当である。
佐川証言をちゃんと「関与」と「経緯」とに区分して理解している。とは言え、それは、実のところ「当たり前のこと」なのである。
二階・森山両議院の真っ当な理解・発言じゃ、論理性の世界標準に合致したものだと言ってよいのだが、逆に言えば、この様な理解・発言をしない与党の人物が仮に総理大臣等の我が国政府の要職に就き外交交渉の場に登場したとすると、混乱の要因になってしまう。
そんなリスクがある発言をしているのが、石破と村上である。
<自民党・石破>
「佐川氏自身も『誰が、なぜ』ということが一切わからないと認める、極めて異例な尋問だった。安倍総理大臣や夫人の昭恵氏らの関与は全くなかったと証言しながら、ほかのことが全部わからないのでは、全体が明らかになっていない。『一体何だったんだろう』という思いが極めて強まった」「どういう場で行うかは別として、野党側からそういう風に言われている人から、発言があるほうが望ましいのは確かだ」
↓
石破が、本当にこの様な「関与」と「経緯」を混同して理解をしているのだったら、その知性を疑う。その他の問題で石破は結構まともな理解や発言をしてきた実績があるだけに
誠に残念である。
一方、もしも、次期自民党総裁=総理大臣の椅子を狙っての「安倍に対抗」することを意識してのポジション・トークなのだったら、そういう事をするにはタイミングがズレており、情勢判断として「ダメな判断」をしたものだと考える。
この何れであっても、石破は適切な判断が出来てないという事であり、「ダメな子」になってしまっている状態である。
尚、記事では石破が「尋問」との言葉を使っている様だが、もしも本当に使っているのだったら、最低である。
<自民党・村上>
「佐川氏が、自分1人ですべての罪をかぶろうとしている姿勢だが、本当にそれが正しいことなのか疑問だ。去年から起きている南スーダンのPKO部隊の日報問題、加計学園の問題も、今回の問題も、全部、安倍総理大臣の近い人たちから起こった問題だ。安倍総理大臣は責任を取って、そろそろ大所高所の判断をすべき時期に来ているのではないか。これ以上続けても、国民の不信は募るばかりだ」
↓
村上の発言の出だしの理屈は、辻元と同じ詭弁である。
仮に、村上が言っている「自分1人ですべての罪をかぶろうとしている姿勢」が正しいのならば、佐川証人は議員証言法第6条(*3)の規定にある「3ヶ月以上10年以下の懲役」を甘んじて受けることに覚悟していることになる。
ところが、実際は、「経緯」に関しては、議院証言法の諸規定(第4条~第5条の八)に則り証言拒否をしており、それは、まったく「自分1人ですべての罪をかぶろうとしている姿勢」とは違う姿勢である。
こんな理解しか出来ないのか、ポジション・トークなのかは不明であるが、よりによって、辻元と同じ主旨の発言をしてしまうセンスの悪さは指摘されて当然であろう。
さて、次に紹介する、連立政権与党での別政党・公明党の発言は、これまた実に興味深い。
<公明党・山口代表>
「決裁文書の書き換えが理財局の中で行われ、当時の理財局長だった自分自身に責任があるとはっきり認めた。これは証人という形での発言として、極めて重いものだ。一方で、誰がどういう理由で行ったのかは、証言を控えて触れなかったのは極めて残念な対応だった。今後も国会としてあらゆる場で、実態の解明に努力しなければならない」、「改ざんに関係があったという事実は、今のところ出てきていないので、もっときちんとした前提がなければ難しいだろう」
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実に公明党らしい発言である。
「関与」と「経緯」との区分で言えば、山口は、佐川証人が明言した「関与なし」について言及していないのである。
話していることは「経緯」についてだけである。
その理由は、色々と推察可能だが、今回は、そういう事実の指摘だけに留める。
(記者が言及部分を採用しなかった可能性を排除できないこともあるので。)
以上、3月27日の証人喚問に関しての各党議員の発言に関する論考は、今回で一旦終了する。
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【文末脚注】
(*1):前々回の論考「這っても黒豆」
2018/03/28投稿:
這っても黒豆
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-892.html
<事実>
・「関与」に関して佐川証人は、明確に「関与なし」と証言していた。
・「経緯」に関して佐川証人は、刑事訴追を理由に証言を拒否していた。
<「関与」部分理解>
第一段階:議院証言法で虚偽答弁は刑事罰対象であることから、佐川証人は刑事罰を受けるリスクを回避していると想定される。(真実を証言していると看做される)
↓
第二段階:佐川証人は、断定的に「安倍総理・安倍昭恵夫人等の関与」はないと明言した。
↓
第三段階:従い、関与はなかったと結論される。
<「経緯」部分理解>
第一段階:議院証言法では、証言により自己または近親・近隣者が重大な不利益を被る場合は、証言他を拒否することを可とする諸規定があり、証言を拒否することが可能である。
↓
第二段階:佐川証人は司法の手で捜査中の「経緯」の部分に関して証言を拒否した。
↓
第三段階:「経緯」に関しての真相は今後の司法当局の発表を待つことになる。(経緯の内容によっては、証言者他に不利益が発生する可能性、つまり違法行為があった可能性は残っている)
<引用終わり>
(*2):前回の野党議員発言に関しての論考
2018/03/29投稿:
野党議員の印象操作発言及びそれを拡散する偏向マスコミ
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-893.html
【ご参考】:※与党議員発言の引用元は、前回論考の文末脚注の(*2・その4)である。
NHK NEWS WEB 3月27日 18時04分
見出し:◆佐川氏証人喚問 各党の反応は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180327/k10011381381000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_013
(*3):議院証言法第6条
正式名:議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律
(昭和二十二年法律第二百二十五号)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC1000000225&openerCode=1
第6条:この法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。(第2項略)
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