雑感・北朝鮮問題の「報道」
- 2017/09/27
- 22:32
雑感・北朝鮮問題の「報道」

副題:実質では何も出来ないので印象操作しているだけ。それが我国の偏向マスコミ。
1.コンテクスト詐欺=「何処から話を始めるのか」での印象操作
「コンテクスト詐欺」とは「何処から話を始めるのか」で随分と印象が違うことを利用した「話のスタート時点」を操作する手法のことである。
9月24日の日付での日刊スポーツ記事の見出しを見て、「あ~あ、またやってるよ」と思ったので、それを題材に少々述べる。
<日刊スポーツ記事の見出し>
「ロケットマン」呼ばわりに憤慨の北朝鮮「不当だ」
<引用終わり(記事全文は文末脚注(*1)に引用してある。)>
「コンテクスト詐欺の実例だ」として見出しを紹介したので、そういう情報と一緒にこの見出しを見たころで、その毒性は和らいでいると思うが、そういう事前情報がなく、この見出しだけだと、「トランプ大統領が「ロケットマン」と揶揄したので北朝鮮が憤慨した」という話になってしまう。
トランプ大統領が、「ロケットマン」と揶揄するに至る背景や経緯は記事本文にもなく、背景や経緯は、我々読者側の記憶に頼っており、将来、記憶が薄れた状態で、この記事を読むと、あたかも「トランプが北朝鮮を挑発している」との、事実とは真逆の誤解を発生させる様な記事になっている。
この記事の「スタート時点」は、トランプ大統領の国連総会での演説の中で、弾道ミサイルを乱射している金正恩のことを「ロケットマン」と揶揄したところからである。
そして、この記事は専ら北朝鮮の発言を「報道」という形式で広めるもので、記事本文は、それら北朝鮮の主張を羅列する「代弁者」となっている悪質なものだ。
そういう事から、記事全文は脚注に追いやってある。
記事本文には「結論」の様なものはなく、見出しにて「北朝鮮がトランプ発言に憤慨した」という「結論」を提示するものなので、見出しと記事を読んでも、上記した「トランプ大統領が「ロケットマン」と揶揄したので北朝鮮が憤慨した」という話になってしまうことに変わりはない。
この記事は、要するに、共産党や社民党が盛んに言っている「北朝鮮を挑発するな」と同じであり、それらをテンプレにしたものだ。
こういう騙しの手法は、最近出てきた手法ではない。昔からある手法である。
もっとも有名なのが、先の大戦の始まりを「真珠湾攻撃」から開始するものである。
真珠湾攻撃に至る前の日本の和平提案を無視したルーズベルトの度重なる対日強硬策実施の話は登場しないので、あたかも日本が戦争を仕掛けたという印象になる。
ルーズベルトが対日強硬策をとった事は、その前の大統領であったフーバーにより「ルーズベルトの失政」として語られている(*2)のだが、今も、相変わらず日米戦争は「真珠湾が起点の話」ばかりである。
話を戻す。
「ロケットマン」との揶揄はトランプ大統領の国連総会での演説の中にあるものなのだが、国連演説を取り上げるならば、日刊スポーツ記事は、こんな「北朝鮮が言いたい事」ではなく、トランプ演説では北朝鮮に拉致された横田めぐみさんに言及したことを取り上げるべきである。それが道理である。
横田めぐみさんに言及した部分は、以前の論考(*3)の文末脚注で紹介しているので、ご参照願いたい。
こういう「報道しない自由」「「報道」を装った北朝鮮主張の代弁」等の歪んだ論調が蔓延しているのが、悲しいかな、我が国の現状だ。
- - -
2.あたかも、日本が「対話」を否定しているが如き印象操作
我が国総理が国連総会の演説で述べたことを、あたかも「対話を拒否」したかの様な印象で報じるニュースが流れている。
以前より、我が国国内では、共産党や民進党の議員が「対話での平和解決」と発言させ、その発言を紹介する「報道」で、「対話以外は平和的じゃない」との刷り込みを行ってきている。
国連総会が始まると、中国やロシアの演説の中から「対話」の部分をピックアップする記事で同様のことをマスコミは行っている。
以前、「北朝鮮との「対話」がもたらした結果が今」との表題で論考した(*4)様に、1994年の金日成-カーター会談から始まった北朝鮮の核開発の中止要請は、KEDO及び6者協議と、2回にわたり北朝鮮の約束反故・裏切りで核・弾道ミサイルの放棄は実行されず、逆に、核・弾道ミサイルを開発する「時間」を北朝鮮にプレゼントする結果となり、今や、北朝鮮は160キロトン規模の核爆発を実施し、弾道ミサイルは我が国上空を通過する軌道で乱射しているのが事実である。
国内で共産党議員や民進党議員が言っていた「対話」は、こういう経緯をまるっきり無視したものである。
安倍主張は、国連演説で、KEDO及び6者協議の経緯事実を述べ、「対話とは、北朝鮮にとって我々を欺き、時間を稼ぐため、むしろ最良の手段だった」と明確に「対話だけやっていても実効性はない」ことを明示しており、共産党議員や民進党議員が言っている「対話」なる話を無効化している。
北朝鮮との過去の「対話」の実績としては、最初のNEDOに関して言えば「利益先払い」の「対話のみ」での核開発放棄であり、2回目の6者協議も「対話のみ」に頼ったものであった。
その様な「対話」を続けている最中に、北朝鮮はプルトニウム抽出を成功させ、プルトニウムを見せたり、核実験を強行したりした。
そもそも、北朝鮮は、対話する気などさらさらなく、対話の場を利用した「時間稼ぎ」をして、核と弾道ミサイルの開発を着々と進めていたのである。
こういう事実に基づき、安倍首相は「対話とは、北朝鮮にとって我々を欺き、時間を稼ぐため、むしろ最良の手段だった」と述べたのである。
この文脈での「対話」とは「対話のみ」という意味だ。
安倍首相は、同様に「対話による問題解決の試みは一再ならず、無に帰した。なんの成算があって我々は三度、同じ過ちを繰り返そうというのか。必要なのは対話ではなく圧力だ。」と、「対話のみ」は過去二度とも何等の実効性がなかったことを踏まえ、それを繰り返しても無駄であるとの認識を示している。まったくに、その通りである。
交渉の原則である「対話と圧力」の「圧力」に軸足を移さなければ、北朝鮮は核・弾道ミサイルを放棄しない、との認識は、まったくに、その通りである。
我が国マスコミは、この様な背景での発言を捻じ曲げて、安倍首相の国連演説が、あたかも「対話の一切を拒否」「圧力のみ」であるかの様な書き方をしている。
もしも「圧力のみ」であるのならば、何故、経済的部分の圧力を増す策を採用し、武力行使に至っていないのか?との単純な疑問にマスコミは答えていない。
ただただ印象操作を繰り返すだけである。
過去の実例では、「対話のみ」では核・弾道ミサイルを放棄しないばかりか、その影で核開発・弾道ミサイル開発を続けてきたのが北朝鮮であるのだから、圧力に軸足を移し、核・弾道ミサイル放棄を前提とする対話の場に北朝鮮を引っ張り出すとの道筋とならざるを得ないのに、我が国マスコミは、その点をぼやかして、あたかも、「安倍首相は「対話」を捨てた」かの様な印象操作記事を書いているのである。
日経新聞の以下の記事見出しは「見出し詐欺」の一例であろう。
<日経新聞記事の見出し>
中ロ外相が北朝鮮非難、対話も強調 国連総会演説で
<引用終わり(記事全文は文末脚注(*5)に引用してある。)>
この見出しにある「対話も強調」を「対話のみでの交渉」と誤解させる印象操作である。
中国もロシアも、そして多くの国々(韓国を除く)は、北朝鮮が「対話のみでの交渉」で核・弾道ミサイルを放棄しない事を知っている。
そういう状態で言っている「対話」とは、「圧力ばかりじゃ困る」というニュアンスのもので、「対話と圧力」との原則論の片方を語っているだけである。
逆に言えば、原則論を語る以外の方法がないのである。
中国にもロシアにも、北朝鮮の核・弾道ミサイルを「対話のみ」で放棄させる能力はないので、現実的には、日米のやっている「対話と圧力」との当たり前の方法に異議を唱えられないのである。
それを我が国マスコミは、あたかも我が国が「圧力一辺倒=対話しない」であるかの様な印象操作をしている。
安倍首相は国連演説で「対話しない」とは一言も言っていない。
むしろ、北朝鮮が本気で核・弾道ミサイルを放棄するのならば、それで御仕舞ではなく、今度は「利益の後払い」がある旨も示している。
安倍首相の国連演説での以下の一文は、「圧力一辺倒=対話しない」のであれば、出てくることがない一文である。
【北朝鮮はアジア・太平洋の成長圏に隣接し、立地条件に恵まれている。勤勉な労働力、地下資源を活用するなら、経済を飛躍的に伸ばし、民生を改善する道があり得る。そこにこそ、北朝鮮の明るい未来はある。】
雑感としては以上である。
我国偏向マスコミの記事は、自分で一次資料を読み、分析・思考した結果と必ず相反することから、この様な感想を持った次第である。
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【文末脚注】
(*1):コンテキスト詐欺の実例
日刊スポーツ [2017年9月24日9時2分]
見出し:◆「ロケットマン」呼ばわりに憤慨の北朝鮮「不当だ」
https://www.nikkansports.com/general/news/201709240000237.html
記事本文:○北朝鮮の李容浩外相は23日、ニューヨークの国連本部で国連総会一般討論演説を行い、北朝鮮の核・ミサイル開発は「正々堂々たる自衛的措置だ」と述べた上で、米国などが北朝鮮に軍事力を行使する気配があれば「容赦ない先制行動で予防措置を取る」として弾道ミサイルなどで先制攻撃も辞さない姿勢を強調した。
○李氏は演説の冒頭で、トランプ米大統領が19日の国連演説で金正恩朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と呼ぶなど北朝鮮側を糾弾したことに対する批判を展開し「最高尊厳(金氏)を刺激し、われわれを威嚇する暴言を並べた」などと強く批判した。
○さらに米国による広島、長崎への原爆投下に触れた上で「世界最大の核保有国の最高当局者(トランプ氏)がわれわれに暴言を吐くこと以上に大きな核の脅威がどこにあるのか」と訴え、北朝鮮の核開発は「米国の軍事的侵攻を防ぎ、米国と力の均衡を図るものだ」と主張した。
○これまで国連安全保障理事会が採択してきた北朝鮮制裁決議についても「不当で不公正だ」と非難。核兵器を保有する安保理常任理事国は「核を独占する地位を守ろうとする共通の利害関係にある」と述べ、後ろ盾となってきた中国やロシアも暗に批判した。(共同)
<引用終わり>
(*2):フーバー元大統領の回顧録でのルーズベルト失政の指摘
2016/11/11投稿:
フーバー回顧録Doc.18-4
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-540.html
※8番目の過ち・1941年7月の対日経済制裁(日本への経済戦争)
2016/11/12投稿:
フーバー回顧録Doc.18-5
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-541.html
※9番目の過ち・近衛の和平提案を受け入れることを拒否したルーズベルト
※10番目の過ち・「3ヶ月間の冷却期間を置く」との日本からの鄭さんを拒否するルーズベルト(交渉継続さえも拒否)
(*3):トランプ大統領の国連総会演説の紹介
2017/09/21投稿:
安倍首相・国連演説
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-758.html
※この論考の文末脚注(*6)にトランプ演説で横田めぐみさんに言及した部分を紹介している。(CNNのHP記載された演説の英文文字情報をソースにしている)
(*4):対話による核・弾道ミサイル放棄の道筋を模索してきたが、それら一切が無駄な努力であったとの事実
2017/03/17投稿:
北朝鮮との「対話」がもたらした結果が今1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-649.html
2017/03/18投稿:
続・北朝鮮との「対話」がもたらした結果が今2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-650.html
(*5):「対話」が「対話のみ」の意味で用いられている。
日本経済新聞 2017/9/22 5:46
見出し:◆中ロ外相が北朝鮮非難、対話も強調 国連総会演説で
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGN22H01_S7A920C1000000/
記事本文:○【ニューヨーク=高橋里奈】中国の王毅外相とロシアのラブロフ外相は21日、国連総会の一般討論演説でそれぞれ北朝鮮の核・ミサイル開発を非難すると同時に対話の必要性を訴えた。ラブロフ氏は「断固として北朝鮮の核・ミサイルによる挑発行為を非難する」とした一方、「ヒステリックな軍事行動は袋小路のみならず大災難になる」と武力行使をちらつかせるトランプ米大統領をけん制。王氏も「交渉こそが唯一の道」と語った。
○王氏は「朝鮮半島の南北、北東アジア、その他世界にかかわらず、新たな核兵器保有国があってはならない」と明言。「危険な方向にこれ以上進まないよう北朝鮮に促す」と呼びかけた。ただ、日米とは対照的に「まだ平和への期待はあり、あきらめてはいけない」として、対話に向けた努力を国際社会に主張した。
○ラブロフ氏も「すべての安全保障理事会の(対北朝鮮制裁)決議が履行されなければならないことについて議論の余地はない」としたうえで「これらすべての決議は交渉に戻る必要性の条項を設けている」と指摘。朝鮮半島の核問題を解決するのは「政治的、外交的手段以外にない」と述べ、中国と歩調をあわせ対話の必要性を強調した。
<引用終わり>
【ご参考】
○安倍首相・国連演説の読解(詳細)
2017/09/26投稿:
安倍首相・国連演説2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-765.html
○韓国800万ドル「人道支援」のトンデモ
2017/09/22投稿:
韓国 北朝鮮に9億円相当の「人道支援」2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-760.html
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副題:実質では何も出来ないので印象操作しているだけ。それが我国の偏向マスコミ。
1.コンテクスト詐欺=「何処から話を始めるのか」での印象操作
「コンテクスト詐欺」とは「何処から話を始めるのか」で随分と印象が違うことを利用した「話のスタート時点」を操作する手法のことである。
9月24日の日付での日刊スポーツ記事の見出しを見て、「あ~あ、またやってるよ」と思ったので、それを題材に少々述べる。
<日刊スポーツ記事の見出し>
「ロケットマン」呼ばわりに憤慨の北朝鮮「不当だ」
<引用終わり(記事全文は文末脚注(*1)に引用してある。)>
「コンテクスト詐欺の実例だ」として見出しを紹介したので、そういう情報と一緒にこの見出しを見たころで、その毒性は和らいでいると思うが、そういう事前情報がなく、この見出しだけだと、「トランプ大統領が「ロケットマン」と揶揄したので北朝鮮が憤慨した」という話になってしまう。
トランプ大統領が、「ロケットマン」と揶揄するに至る背景や経緯は記事本文にもなく、背景や経緯は、我々読者側の記憶に頼っており、将来、記憶が薄れた状態で、この記事を読むと、あたかも「トランプが北朝鮮を挑発している」との、事実とは真逆の誤解を発生させる様な記事になっている。
この記事の「スタート時点」は、トランプ大統領の国連総会での演説の中で、弾道ミサイルを乱射している金正恩のことを「ロケットマン」と揶揄したところからである。
そして、この記事は専ら北朝鮮の発言を「報道」という形式で広めるもので、記事本文は、それら北朝鮮の主張を羅列する「代弁者」となっている悪質なものだ。
そういう事から、記事全文は脚注に追いやってある。
記事本文には「結論」の様なものはなく、見出しにて「北朝鮮がトランプ発言に憤慨した」という「結論」を提示するものなので、見出しと記事を読んでも、上記した「トランプ大統領が「ロケットマン」と揶揄したので北朝鮮が憤慨した」という話になってしまうことに変わりはない。
この記事は、要するに、共産党や社民党が盛んに言っている「北朝鮮を挑発するな」と同じであり、それらをテンプレにしたものだ。
こういう騙しの手法は、最近出てきた手法ではない。昔からある手法である。
もっとも有名なのが、先の大戦の始まりを「真珠湾攻撃」から開始するものである。
真珠湾攻撃に至る前の日本の和平提案を無視したルーズベルトの度重なる対日強硬策実施の話は登場しないので、あたかも日本が戦争を仕掛けたという印象になる。
ルーズベルトが対日強硬策をとった事は、その前の大統領であったフーバーにより「ルーズベルトの失政」として語られている(*2)のだが、今も、相変わらず日米戦争は「真珠湾が起点の話」ばかりである。
話を戻す。
「ロケットマン」との揶揄はトランプ大統領の国連総会での演説の中にあるものなのだが、国連演説を取り上げるならば、日刊スポーツ記事は、こんな「北朝鮮が言いたい事」ではなく、トランプ演説では北朝鮮に拉致された横田めぐみさんに言及したことを取り上げるべきである。それが道理である。
横田めぐみさんに言及した部分は、以前の論考(*3)の文末脚注で紹介しているので、ご参照願いたい。
こういう「報道しない自由」「「報道」を装った北朝鮮主張の代弁」等の歪んだ論調が蔓延しているのが、悲しいかな、我が国の現状だ。
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2.あたかも、日本が「対話」を否定しているが如き印象操作
我が国総理が国連総会の演説で述べたことを、あたかも「対話を拒否」したかの様な印象で報じるニュースが流れている。
以前より、我が国国内では、共産党や民進党の議員が「対話での平和解決」と発言させ、その発言を紹介する「報道」で、「対話以外は平和的じゃない」との刷り込みを行ってきている。
国連総会が始まると、中国やロシアの演説の中から「対話」の部分をピックアップする記事で同様のことをマスコミは行っている。
以前、「北朝鮮との「対話」がもたらした結果が今」との表題で論考した(*4)様に、1994年の金日成-カーター会談から始まった北朝鮮の核開発の中止要請は、KEDO及び6者協議と、2回にわたり北朝鮮の約束反故・裏切りで核・弾道ミサイルの放棄は実行されず、逆に、核・弾道ミサイルを開発する「時間」を北朝鮮にプレゼントする結果となり、今や、北朝鮮は160キロトン規模の核爆発を実施し、弾道ミサイルは我が国上空を通過する軌道で乱射しているのが事実である。
国内で共産党議員や民進党議員が言っていた「対話」は、こういう経緯をまるっきり無視したものである。
安倍主張は、国連演説で、KEDO及び6者協議の経緯事実を述べ、「対話とは、北朝鮮にとって我々を欺き、時間を稼ぐため、むしろ最良の手段だった」と明確に「対話だけやっていても実効性はない」ことを明示しており、共産党議員や民進党議員が言っている「対話」なる話を無効化している。
北朝鮮との過去の「対話」の実績としては、最初のNEDOに関して言えば「利益先払い」の「対話のみ」での核開発放棄であり、2回目の6者協議も「対話のみ」に頼ったものであった。
その様な「対話」を続けている最中に、北朝鮮はプルトニウム抽出を成功させ、プルトニウムを見せたり、核実験を強行したりした。
そもそも、北朝鮮は、対話する気などさらさらなく、対話の場を利用した「時間稼ぎ」をして、核と弾道ミサイルの開発を着々と進めていたのである。
こういう事実に基づき、安倍首相は「対話とは、北朝鮮にとって我々を欺き、時間を稼ぐため、むしろ最良の手段だった」と述べたのである。
この文脈での「対話」とは「対話のみ」という意味だ。
安倍首相は、同様に「対話による問題解決の試みは一再ならず、無に帰した。なんの成算があって我々は三度、同じ過ちを繰り返そうというのか。必要なのは対話ではなく圧力だ。」と、「対話のみ」は過去二度とも何等の実効性がなかったことを踏まえ、それを繰り返しても無駄であるとの認識を示している。まったくに、その通りである。
交渉の原則である「対話と圧力」の「圧力」に軸足を移さなければ、北朝鮮は核・弾道ミサイルを放棄しない、との認識は、まったくに、その通りである。
我が国マスコミは、この様な背景での発言を捻じ曲げて、安倍首相の国連演説が、あたかも「対話の一切を拒否」「圧力のみ」であるかの様な書き方をしている。
もしも「圧力のみ」であるのならば、何故、経済的部分の圧力を増す策を採用し、武力行使に至っていないのか?との単純な疑問にマスコミは答えていない。
ただただ印象操作を繰り返すだけである。
過去の実例では、「対話のみ」では核・弾道ミサイルを放棄しないばかりか、その影で核開発・弾道ミサイル開発を続けてきたのが北朝鮮であるのだから、圧力に軸足を移し、核・弾道ミサイル放棄を前提とする対話の場に北朝鮮を引っ張り出すとの道筋とならざるを得ないのに、我が国マスコミは、その点をぼやかして、あたかも、「安倍首相は「対話」を捨てた」かの様な印象操作記事を書いているのである。
日経新聞の以下の記事見出しは「見出し詐欺」の一例であろう。
<日経新聞記事の見出し>
中ロ外相が北朝鮮非難、対話も強調 国連総会演説で
<引用終わり(記事全文は文末脚注(*5)に引用してある。)>
この見出しにある「対話も強調」を「対話のみでの交渉」と誤解させる印象操作である。
中国もロシアも、そして多くの国々(韓国を除く)は、北朝鮮が「対話のみでの交渉」で核・弾道ミサイルを放棄しない事を知っている。
そういう状態で言っている「対話」とは、「圧力ばかりじゃ困る」というニュアンスのもので、「対話と圧力」との原則論の片方を語っているだけである。
逆に言えば、原則論を語る以外の方法がないのである。
中国にもロシアにも、北朝鮮の核・弾道ミサイルを「対話のみ」で放棄させる能力はないので、現実的には、日米のやっている「対話と圧力」との当たり前の方法に異議を唱えられないのである。
それを我が国マスコミは、あたかも我が国が「圧力一辺倒=対話しない」であるかの様な印象操作をしている。
安倍首相は国連演説で「対話しない」とは一言も言っていない。
むしろ、北朝鮮が本気で核・弾道ミサイルを放棄するのならば、それで御仕舞ではなく、今度は「利益の後払い」がある旨も示している。
安倍首相の国連演説での以下の一文は、「圧力一辺倒=対話しない」のであれば、出てくることがない一文である。
【北朝鮮はアジア・太平洋の成長圏に隣接し、立地条件に恵まれている。勤勉な労働力、地下資源を活用するなら、経済を飛躍的に伸ばし、民生を改善する道があり得る。そこにこそ、北朝鮮の明るい未来はある。】
雑感としては以上である。
我国偏向マスコミの記事は、自分で一次資料を読み、分析・思考した結果と必ず相反することから、この様な感想を持った次第である。
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【文末脚注】
(*1):コンテキスト詐欺の実例
日刊スポーツ [2017年9月24日9時2分]
見出し:◆「ロケットマン」呼ばわりに憤慨の北朝鮮「不当だ」
https://www.nikkansports.com/general/news/201709240000237.html
記事本文:○北朝鮮の李容浩外相は23日、ニューヨークの国連本部で国連総会一般討論演説を行い、北朝鮮の核・ミサイル開発は「正々堂々たる自衛的措置だ」と述べた上で、米国などが北朝鮮に軍事力を行使する気配があれば「容赦ない先制行動で予防措置を取る」として弾道ミサイルなどで先制攻撃も辞さない姿勢を強調した。
○李氏は演説の冒頭で、トランプ米大統領が19日の国連演説で金正恩朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と呼ぶなど北朝鮮側を糾弾したことに対する批判を展開し「最高尊厳(金氏)を刺激し、われわれを威嚇する暴言を並べた」などと強く批判した。
○さらに米国による広島、長崎への原爆投下に触れた上で「世界最大の核保有国の最高当局者(トランプ氏)がわれわれに暴言を吐くこと以上に大きな核の脅威がどこにあるのか」と訴え、北朝鮮の核開発は「米国の軍事的侵攻を防ぎ、米国と力の均衡を図るものだ」と主張した。
○これまで国連安全保障理事会が採択してきた北朝鮮制裁決議についても「不当で不公正だ」と非難。核兵器を保有する安保理常任理事国は「核を独占する地位を守ろうとする共通の利害関係にある」と述べ、後ろ盾となってきた中国やロシアも暗に批判した。(共同)
<引用終わり>
(*2):フーバー元大統領の回顧録でのルーズベルト失政の指摘
2016/11/11投稿:
フーバー回顧録Doc.18-4
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-540.html
※8番目の過ち・1941年7月の対日経済制裁(日本への経済戦争)
2016/11/12投稿:
フーバー回顧録Doc.18-5
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-541.html
※9番目の過ち・近衛の和平提案を受け入れることを拒否したルーズベルト
※10番目の過ち・「3ヶ月間の冷却期間を置く」との日本からの鄭さんを拒否するルーズベルト(交渉継続さえも拒否)
(*3):トランプ大統領の国連総会演説の紹介
2017/09/21投稿:
安倍首相・国連演説
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-758.html
※この論考の文末脚注(*6)にトランプ演説で横田めぐみさんに言及した部分を紹介している。(CNNのHP記載された演説の英文文字情報をソースにしている)
(*4):対話による核・弾道ミサイル放棄の道筋を模索してきたが、それら一切が無駄な努力であったとの事実
2017/03/17投稿:
北朝鮮との「対話」がもたらした結果が今1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-649.html
2017/03/18投稿:
続・北朝鮮との「対話」がもたらした結果が今2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-650.html
(*5):「対話」が「対話のみ」の意味で用いられている。
日本経済新聞 2017/9/22 5:46
見出し:◆中ロ外相が北朝鮮非難、対話も強調 国連総会演説で
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGN22H01_S7A920C1000000/
記事本文:○【ニューヨーク=高橋里奈】中国の王毅外相とロシアのラブロフ外相は21日、国連総会の一般討論演説でそれぞれ北朝鮮の核・ミサイル開発を非難すると同時に対話の必要性を訴えた。ラブロフ氏は「断固として北朝鮮の核・ミサイルによる挑発行為を非難する」とした一方、「ヒステリックな軍事行動は袋小路のみならず大災難になる」と武力行使をちらつかせるトランプ米大統領をけん制。王氏も「交渉こそが唯一の道」と語った。
○王氏は「朝鮮半島の南北、北東アジア、その他世界にかかわらず、新たな核兵器保有国があってはならない」と明言。「危険な方向にこれ以上進まないよう北朝鮮に促す」と呼びかけた。ただ、日米とは対照的に「まだ平和への期待はあり、あきらめてはいけない」として、対話に向けた努力を国際社会に主張した。
○ラブロフ氏も「すべての安全保障理事会の(対北朝鮮制裁)決議が履行されなければならないことについて議論の余地はない」としたうえで「これらすべての決議は交渉に戻る必要性の条項を設けている」と指摘。朝鮮半島の核問題を解決するのは「政治的、外交的手段以外にない」と述べ、中国と歩調をあわせ対話の必要性を強調した。
<引用終わり>
【ご参考】
○安倍首相・国連演説の読解(詳細)
2017/09/26投稿:
安倍首相・国連演説2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-765.html
○韓国800万ドル「人道支援」のトンデモ
2017/09/22投稿:
韓国 北朝鮮に9億円相当の「人道支援」2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-760.html



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