弾道ミサイル乱射の北朝鮮
- 2017/08/31
- 23:14
弾道ミサイル乱射の北朝鮮

副題:国家がやること、国民が出来ること。
報道によると、先般の29日早朝、午前5時58分に北朝鮮が発射した弾道ミサイルは、我が国上空を通過して、襟裳岬沖東方約1,200Kmの太平洋上に着弾したのだが、発射されたミサイル1発は、日本上空通過中に3つに分離して太平洋上に着弾したそうだ。
その情報が正しいのなら、可能性としては2つ。
先ず、飛翔中に空中分解した失敗飛行である可能性と、北朝鮮が多弾頭技術を習得して、3つの弾頭が飛翔した可能性である。
とは言え、核弾頭の小型化が確認出来ていない段階で、複数の弾頭を搭載出来るとは思えず、安易に怯える必要もあるまい。
北朝鮮の弾道ミサイルの飛翔距離は約2700Km、飛翔時間約14分であり、その飛翔挙動・軌道等から火星12型と呼ばれる中距離弾道ミサイルであろうと報道されている。
火星12型は、以前、高々度軌道(ロフテッド軌道)で発射され、その到達高度から推定される推進エネルギーから、最大到達距離が出る軌道(ミニマムエナジー軌道)で発射されれば、射程5,000Kmの能力を有するとされている。
今回の飛翔距離は、その能力の60%弱程度でしかなく、意図的に射程距離調整をした結果である可能性と、仮に空中分解したとすれば、意図せずに約2700Km地点に落下した可能性もある。
何れにしろ、事前通告なく、我が国上空を通過する軌道で発射されたものである。
「我が国上空を通過する」とのキーワードで思い出されるのは、島根-広島-愛媛-高知ぼ上空通過(*1)の話である。
あれは、グアムの米軍基地に向けて弾道ミサイルを撃つ、との北朝鮮側の「攻撃能力があるんだぞ」という声闘であったのだ。結局は全然違う方向に撃ったのである。
報道の図表によれば、津軽海峡上空、襟裳岬上空辺りを通過した様だ。
そして、当日の朝、J-アラートが作動した。
作動時間は午前6時02分であり、弾道ミサイル発射後、僅か4分で作動したのは立派である。また、テレビ等でのJ-アラート表示の画面も、映像で確認できるものでは6時04分には表示されており、日本列島上空に到達する前に警報が発せられたもので、警報発令システムとしての反応性能は、充分に、その役割を果たしていると言える。
J-アラートについては、以前、国民保護情報に関して論述(*2)した際に紹介しているが、その時にも書いたのだが、要は、弾道ミサイルへのリスク対策として「死傷確率の低減」の概念で策定されているシステムである。
我国が、国家として、対弾道ミサイル対処をしている部分は、外交と軍事力部分である。
そして、それら以外に関して、少しでも被害が拡大しない様に、国民に保護情報を提供しているのである。国民保護情報の部分は、国民が自分自身が被るかもしれないリスクへの対処部分である。
この2つを混同していては、正しい理解には至らない。
外交に関しては、約四半世紀も昔の1994年の金日成・カーター特使会談以降、朝鮮半島の非核化実現の為に、核兵器用に転用が難しい軽水炉の建設支援と、軽水炉原発完成までの重油提供との「利益の前払」をしてしまい、北朝鮮はそれらのプレゼントをもらいながら影でプルトニウム抽出をしていた。
そういう約束違反・合意内容反故を北朝鮮はしていたのに、「話し合いで解決」との実効性なき美辞麗句で、再度の対話の場として「6カ国協議」の場が設定された。
結局、この「対話の場」でも北朝鮮は合意事項の総てを反故にして、何回もの核実験と今や、隔週毎に弾道ミサイルを乱射しまくる状態になっている。
過去、約四半世紀もの間の北朝鮮との「対話・話し合い」とは、核と弾道ミサイルの開発実用化の「時間」をプレゼントした歴史である。
詳しくは以下で論考しているので、ご一読いただきたい。
2017/04/17投稿:
北朝鮮との「対話」がもたらした結果が今1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-649.html
2017/04/18投稿:
続・北朝鮮との「対話」がもたらした結果が今2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-650.html
国家としてやるべき、対弾道ミサイル対処の外交と軍事のうちの、外交部分のうちの元凶・北朝鮮との「対話」は、「いくら対話をしても無駄。逆に核開発と弾道ミサイル開発が進展してしまう」というのが実態だ。
現状、我が国がやっている外交面での努力は、米国との協調に基づく抑止力強化外交であり、北朝鮮への国連の場での経済制裁等の「北朝鮮相手以外の外交」である。
これは、当の北朝鮮が「話し合い」が出来ない相手であるからだ。
その事は、この四半世紀で証明済である。
一方の軍事に関しては、1993年の北朝鮮の最初の弾道ミサイル発射以降、我が国は弾道ミサイル防衛(*3)方針を決め、装備の導入は、今や、4隻の「こんごう」型イージス護衛艦と2隻の「あたご」型イージス護衛艦を配備しており、更に2隻を建造する計画である。
国家としてやるべき、対弾道ミサイル対処の軍事面に関しては、努力を継続中だが、この間、「BMDは無駄」とか「防衛費を削減せよ」と散々反対してきた反日本人勢力がいる。
現在、我が国上空や近隣に弾道ミサイルが飛んでいるのだが、BMD体制を構築していなかったら、いったいどうやって我国国民を護るのであろう?
我国が構築してきた対弾道ミサイル対処の軍事面に関しては、発射後短時間で探知する弾道ミサイル探知システム、弾道ミサイル迎撃能力を持つイージスシステム搭載護衛艦の配備、パトリオットPAC-3迎撃ミサイルの配備などが一番有名どころであろう。
こういう国家としての対弾道ミサイル対処と国民側ができるリスク対策・リスクマネジメントの概念(*4)が分からないと、国民保護ポータルサイトのリスク対策内容の真意はわからないだろうし、逆にトンチンカンな反応をしてしまうことになる。
国民保護ポータルサイトに紹介されている、国民側が自分で出来る死傷率低減策は、頑丈なビルや地下街に逃げ込めとか、近くに避難に適した場所がない場合は伏せろ、物陰に隠れろ、とかの単純な話ばかりである。
それを見て、「そんなんで弾道ミサイルに対処できるのか?」と反応してしまうのは、実は、浅はかである。
国家がやっているBMD体制での対弾道ミサイル対処の発想やら実行ある対策を国民一人々々が出来る訳がないことは常識だ。ビルや地下街への避難や伏せることは、逆に、我々国民一人々々が簡単に出来ることである。
それをする事で、死傷率が低減策できることは、米ソ冷戦時に散々研究されたものであり、けしてバカにする様な内容ではない。
そういう事も知らずに国民保護ポータルサイトのリスク対策内容をあざ笑う態度は、実に嘆かわしい。
今回の早朝のJ-アラートの作動に対して、Twitterなどでは、あたかも、それが「迷惑」であるかの様な発信も見られた。
どんな時でも、この手の人物はいるもので、事態認識が出来ていないことの結果であろうし、左巻きマスコミの「報道しない自由」で、適切な認知が出来ていないことからの軽挙であると思われる。
一方、なんでもかんでも安倍政権批判をしたい勢力は、こういう事態認識が未熟な層を利用すべく、悪質なる言説を、意図的に流布しているのである。
彼等は、日本人の命に全然感心がないので、単純なのに効果がある国民保護ポータルサイトのリスク対策内容や、それを知らせるJ-アラートの作動に対して、小バカにして様な言説を流布するのである。
対弾道ミサイル対処で、我々一般国民が自身で出来ることは少ない。
だからこそ、国家としてやるべき、対弾道ミサイル対処の充実を希望しているのである。
国家として、国民を護る政策はBMD体制の充実だけではない。
Power Projection能力=敵基地攻撃能力(*5)が現状はないのだが、それこそが、そもそもの抑止力である。そういう抑止力が我国では欠落しているので、北朝鮮は平気で弾道ミサイルを乱射しまくっているのである。
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【文末脚注】
(*1):島根-広島-愛媛-高知の上空通過
2017/08/21投稿:
ニュース落穂拾い・島根-広島-愛媛-高知
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-736.html
(*2):J-アラート・国民保護ポータルサイトのご紹介
2017/04/12投稿:
「国民保護ポータルサイト」我が国政府の国民保護情報2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-647.html
2017/04/23投稿:
「国民保護ポータルサイト」続報
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-655.html
(*3):弾道ミサイル防衛
2017/04/04投稿:
BMD・弾道ミサイル防衛
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-639.html
(*4):リスク対策・リスクマネジメントの概念
2017/04/19投稿:
リスクマネジメント
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-651.html
(*5):Power Projection能力=敵基地攻撃能力
2017/03/22投稿:
Power Projection能力
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-633.html
2017/07/01投稿:
「敵基地攻撃能力」の提言
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-706.html
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副題:国家がやること、国民が出来ること。
報道によると、先般の29日早朝、午前5時58分に北朝鮮が発射した弾道ミサイルは、我が国上空を通過して、襟裳岬沖東方約1,200Kmの太平洋上に着弾したのだが、発射されたミサイル1発は、日本上空通過中に3つに分離して太平洋上に着弾したそうだ。
その情報が正しいのなら、可能性としては2つ。
先ず、飛翔中に空中分解した失敗飛行である可能性と、北朝鮮が多弾頭技術を習得して、3つの弾頭が飛翔した可能性である。
とは言え、核弾頭の小型化が確認出来ていない段階で、複数の弾頭を搭載出来るとは思えず、安易に怯える必要もあるまい。
北朝鮮の弾道ミサイルの飛翔距離は約2700Km、飛翔時間約14分であり、その飛翔挙動・軌道等から火星12型と呼ばれる中距離弾道ミサイルであろうと報道されている。
火星12型は、以前、高々度軌道(ロフテッド軌道)で発射され、その到達高度から推定される推進エネルギーから、最大到達距離が出る軌道(ミニマムエナジー軌道)で発射されれば、射程5,000Kmの能力を有するとされている。
今回の飛翔距離は、その能力の60%弱程度でしかなく、意図的に射程距離調整をした結果である可能性と、仮に空中分解したとすれば、意図せずに約2700Km地点に落下した可能性もある。
何れにしろ、事前通告なく、我が国上空を通過する軌道で発射されたものである。
「我が国上空を通過する」とのキーワードで思い出されるのは、島根-広島-愛媛-高知ぼ上空通過(*1)の話である。
あれは、グアムの米軍基地に向けて弾道ミサイルを撃つ、との北朝鮮側の「攻撃能力があるんだぞ」という声闘であったのだ。結局は全然違う方向に撃ったのである。
報道の図表によれば、津軽海峡上空、襟裳岬上空辺りを通過した様だ。
そして、当日の朝、J-アラートが作動した。
作動時間は午前6時02分であり、弾道ミサイル発射後、僅か4分で作動したのは立派である。また、テレビ等でのJ-アラート表示の画面も、映像で確認できるものでは6時04分には表示されており、日本列島上空に到達する前に警報が発せられたもので、警報発令システムとしての反応性能は、充分に、その役割を果たしていると言える。
J-アラートについては、以前、国民保護情報に関して論述(*2)した際に紹介しているが、その時にも書いたのだが、要は、弾道ミサイルへのリスク対策として「死傷確率の低減」の概念で策定されているシステムである。
我国が、国家として、対弾道ミサイル対処をしている部分は、外交と軍事力部分である。
そして、それら以外に関して、少しでも被害が拡大しない様に、国民に保護情報を提供しているのである。国民保護情報の部分は、国民が自分自身が被るかもしれないリスクへの対処部分である。
この2つを混同していては、正しい理解には至らない。
外交に関しては、約四半世紀も昔の1994年の金日成・カーター特使会談以降、朝鮮半島の非核化実現の為に、核兵器用に転用が難しい軽水炉の建設支援と、軽水炉原発完成までの重油提供との「利益の前払」をしてしまい、北朝鮮はそれらのプレゼントをもらいながら影でプルトニウム抽出をしていた。
そういう約束違反・合意内容反故を北朝鮮はしていたのに、「話し合いで解決」との実効性なき美辞麗句で、再度の対話の場として「6カ国協議」の場が設定された。
結局、この「対話の場」でも北朝鮮は合意事項の総てを反故にして、何回もの核実験と今や、隔週毎に弾道ミサイルを乱射しまくる状態になっている。
過去、約四半世紀もの間の北朝鮮との「対話・話し合い」とは、核と弾道ミサイルの開発実用化の「時間」をプレゼントした歴史である。
詳しくは以下で論考しているので、ご一読いただきたい。
2017/04/17投稿:
北朝鮮との「対話」がもたらした結果が今1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-649.html
2017/04/18投稿:
続・北朝鮮との「対話」がもたらした結果が今2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-650.html
国家としてやるべき、対弾道ミサイル対処の外交と軍事のうちの、外交部分のうちの元凶・北朝鮮との「対話」は、「いくら対話をしても無駄。逆に核開発と弾道ミサイル開発が進展してしまう」というのが実態だ。
現状、我が国がやっている外交面での努力は、米国との協調に基づく抑止力強化外交であり、北朝鮮への国連の場での経済制裁等の「北朝鮮相手以外の外交」である。
これは、当の北朝鮮が「話し合い」が出来ない相手であるからだ。
その事は、この四半世紀で証明済である。
一方の軍事に関しては、1993年の北朝鮮の最初の弾道ミサイル発射以降、我が国は弾道ミサイル防衛(*3)方針を決め、装備の導入は、今や、4隻の「こんごう」型イージス護衛艦と2隻の「あたご」型イージス護衛艦を配備しており、更に2隻を建造する計画である。
国家としてやるべき、対弾道ミサイル対処の軍事面に関しては、努力を継続中だが、この間、「BMDは無駄」とか「防衛費を削減せよ」と散々反対してきた反日本人勢力がいる。
現在、我が国上空や近隣に弾道ミサイルが飛んでいるのだが、BMD体制を構築していなかったら、いったいどうやって我国国民を護るのであろう?
我国が構築してきた対弾道ミサイル対処の軍事面に関しては、発射後短時間で探知する弾道ミサイル探知システム、弾道ミサイル迎撃能力を持つイージスシステム搭載護衛艦の配備、パトリオットPAC-3迎撃ミサイルの配備などが一番有名どころであろう。
こういう国家としての対弾道ミサイル対処と国民側ができるリスク対策・リスクマネジメントの概念(*4)が分からないと、国民保護ポータルサイトのリスク対策内容の真意はわからないだろうし、逆にトンチンカンな反応をしてしまうことになる。
国民保護ポータルサイトに紹介されている、国民側が自分で出来る死傷率低減策は、頑丈なビルや地下街に逃げ込めとか、近くに避難に適した場所がない場合は伏せろ、物陰に隠れろ、とかの単純な話ばかりである。
それを見て、「そんなんで弾道ミサイルに対処できるのか?」と反応してしまうのは、実は、浅はかである。
国家がやっているBMD体制での対弾道ミサイル対処の発想やら実行ある対策を国民一人々々が出来る訳がないことは常識だ。ビルや地下街への避難や伏せることは、逆に、我々国民一人々々が簡単に出来ることである。
それをする事で、死傷率が低減策できることは、米ソ冷戦時に散々研究されたものであり、けしてバカにする様な内容ではない。
そういう事も知らずに国民保護ポータルサイトのリスク対策内容をあざ笑う態度は、実に嘆かわしい。
今回の早朝のJ-アラートの作動に対して、Twitterなどでは、あたかも、それが「迷惑」であるかの様な発信も見られた。
どんな時でも、この手の人物はいるもので、事態認識が出来ていないことの結果であろうし、左巻きマスコミの「報道しない自由」で、適切な認知が出来ていないことからの軽挙であると思われる。
一方、なんでもかんでも安倍政権批判をしたい勢力は、こういう事態認識が未熟な層を利用すべく、悪質なる言説を、意図的に流布しているのである。
彼等は、日本人の命に全然感心がないので、単純なのに効果がある国民保護ポータルサイトのリスク対策内容や、それを知らせるJ-アラートの作動に対して、小バカにして様な言説を流布するのである。
対弾道ミサイル対処で、我々一般国民が自身で出来ることは少ない。
だからこそ、国家としてやるべき、対弾道ミサイル対処の充実を希望しているのである。
国家として、国民を護る政策はBMD体制の充実だけではない。
Power Projection能力=敵基地攻撃能力(*5)が現状はないのだが、それこそが、そもそもの抑止力である。そういう抑止力が我国では欠落しているので、北朝鮮は平気で弾道ミサイルを乱射しまくっているのである。
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【文末脚注】
(*1):島根-広島-愛媛-高知の上空通過
2017/08/21投稿:
ニュース落穂拾い・島根-広島-愛媛-高知
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-736.html
(*2):J-アラート・国民保護ポータルサイトのご紹介
2017/04/12投稿:
「国民保護ポータルサイト」我が国政府の国民保護情報2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-647.html
2017/04/23投稿:
「国民保護ポータルサイト」続報
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-655.html
(*3):弾道ミサイル防衛
2017/04/04投稿:
BMD・弾道ミサイル防衛
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-639.html
(*4):リスク対策・リスクマネジメントの概念
2017/04/19投稿:
リスクマネジメント
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-651.html
(*5):Power Projection能力=敵基地攻撃能力
2017/03/22投稿:
Power Projection能力
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-633.html
2017/07/01投稿:
「敵基地攻撃能力」の提言
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-706.html



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