憲法9条は誰にとって有益か?
- 2017/08/30
- 22:30
憲法9条は誰にとって有益か?

副題:「誰」にとって有益かというと、最初、それは占領軍・アメリカだった。しかし、今やアメリカ側から憲法改正が必要だとの声が聞こえてくる。
憲法9条の役割は何かというと、それは、最初は戦勝国アメリカが、敗戦国日本を占領統治する際に、膺懲及び日本解体を目的に制定した現行憲法の中にあって、武装解除の永続化、独立国家資格の剥奪を、その役割とする条文であった。
占領時主権喪失期間中に行われたのが「憲法の押し付け」である。
この経緯の概要としてはおおよそ、次の様なものである。
1946年2月3日のマッカーサー3原則に基づき、GHQスタッフ連中の各部署が法律形式にした原稿(GHQ原案)を持ち寄ったものを、憲法形式にまとめた、GHQ草案として、1946年2月13日に吉田茂・松本・白洲の日本政府側に手交したものが現行憲法の根本である。
それ以前に日本側が思考していた改憲案(松本案)はGHQに受け取りを拒否され、日本側改憲案とは似ても似つかぬ異質なGHQ草案が現行憲法の根本になったのである。
この経緯や、これら各草案の条文内容等に基づき、現行憲法を「押し付け憲法」と形容するのがもっとも妥当である事については、第一級の一次資料を提示しながら幾度も繰り返し論述(*1)しており、否定のしようがない。
ところが、それでは都合が悪い、所謂「護憲派」は、「押し付けではない」と大した論拠もなく言い張っている。
史実に基づく話をまともな論拠もなく、ただ単に真逆の方向に否定する、所謂「護憲派」のやり方は、学問的な正否の検討が目的ではなく、憲法改正をさせない為に憲法議論を混乱させるのが目的の「言論のゲリラ戦」であり、まったくに知的不誠実なやり方である。
当初、現行憲法は、我が国に対する膺懲と我が国が二度と立ち上がれない様にする日本解体の地雷として公布されたものである。
公布日は1946年11月3日であるが、その3年半後、未だ占領が続く1950年6月25日に北朝鮮の南侵により朝鮮戦争が勃発した。
朝鮮半島で始まった戦争は、東西冷戦構造での「熱戦=実際の戦争」であり、これが始まるとアメリカは慌て、憲法9条で国家武装解除を強要しておきながら、強要したのと同じ人物であるマッカーサーは、後の「軍隊ではない防衛組織」である警察予備隊の編成を命令してきたのである。
東西冷戦構造とは、ルーズベルトの失政で先の大戦を通じて巨大化した共産主義陣営と自由民主主義陣営とのヘゲモニー対決構造である。
先の大戦の前後で、ソ連がどれだけ巨大化したのかを指摘する論考は、左傾化した我が国大学や出版界では目にすることが少ないので戦後の東西冷戦はルーズベルトがソ連の成長を支援して作り上げた体制である(*2)との認知は進んでいないが、先の大戦後の北東アジアでは、共産主義勢力が一挙に領土を増やし、それが朝鮮半島南半部に武力侵攻してきたのだから、連合軍のお仲間である米英ソの自称「平和を愛する諸国民」の実態がどの様なものなのかが分かると言うものだ。
「連合国」だったはずの「中華民国・蒋介石」は、1950年の時点では、支那大陸から敗走しており見る影もない。
朝鮮半島南半部への武力侵略は、日本列島を占領中のアメリカの国益に反するものであり、アメリカは「国連軍」を組織して朝鮮半島南半部の防衛に乗り出した。そして、それに伴い占領政策が日本解体方針から変わっていったのである。
しかし、物事が一気に180度変わることはない。特に、史上空前絶後の大規模空海戦で死闘を繰り広げた相手が復活することを幇助する様なことをアメリカがする訳がない。
東西冷戦構造下で完全武装解除状態は、マッカーサーの再武装命令で解かれ、それは追認されていくのだが、大きく制限されるものであった。
サンフランシスコ講和条約の発効に伴い、我が国は占領状態から脱したのであるが、憲法は改正後の現行憲法になっており、改憲規定は先の帝国憲法に比して、かなりハードルが上がっており、時代状況からも、押し付け憲法の破棄は難しい状態であった。
その後、時代は進むのだが、基本的には、アメリカは日本を警戒し続け、日本側は主権制限・武装解除規定がある憲法を「解釈」で対応するとの「長すぎる暫定措置」を続けていても、国家存亡にかかわる大きな不都合迄には至らない状態が続いたのである。
そういう情勢下では、現行憲法の非武装・国家主権制限を廃棄する事に労力を投入するよりも、別の現実問題への対応が優先されてきた。これは、戦後昭和を生きた世代は、良くご存じの通りである。
勿論、現行憲法自体が内包する、日本をバカにした濡れ衣規定等の大きな問題があり、三島を代表とする「問題意識を持った方々」は存在していたのだが、「昭和元禄」の世間風潮は、本当は凄く大事な名誉とか尊厳とかの無形のものは蔑ろにしたまま、有形の目先の利益が優先され、侮辱濡れ衣憲法の問題は放置され続けてきたのである。
ところが、近年になり、憲法を押し付けた側のアメリカから、現行憲法のままでは危険であるとの論が聞かれる様になっている。(*3)
実に身勝手なのだが、そもそも日本の憲法問題はアメリカにとっては自国の問題ではないのだから、その時その時に、アメリカはアメリカの都合に良いことを言うものなのである。
何が言いたいのかというと、最初はアメリカが押し付けた現行憲法なのだが、今や、アメリカにとって、その役割を終え、逆に有害な存在となっているということだ。
アメリカは、自由民主主義の本家の様な顔をしておきながら、実際は色々と未熟で矛盾する歴史を経てきているのだが、基本的には自由民主主義であり、その価値観は我が国の国柄と親和性がある。
現状、自称共産主義・実態華夷秩序の中国共産党支配下支那=中国が、ソ連なき後のヘゲモニーシャレンジャーとなって世界に登場している。
自由民主主義以外の国家が巨大化すると、その勢力とのヘゲモニー競争が起こり、世界秩序は混乱し、平和と安寧の確保・維持が難しくなることは、ソ連の巨大化でアメリカは経験済である。
自由民主主義とは違う国家体制の国家であっても、国際秩序・国際ルールに基づくのならば、その国の内政には干渉しないとの基本があるのだが、逆に、国際秩序・国際ルールから逸脱する場合、それは「平和への挑戦」であると認知される。
「自由民主主義とは違う国家」が自由民主主義ベースの国際秩序・国際ルールにチャレンジすることを防止することが平和維持につながる。
こういう考え方がずっと続いているのが近現代の世界の歴史と大きく括って良いだろう。
その括りでの誤解が先の大戦での我が国に対するものだが、これは壮大な論考となるので詳しくは別項とするが、現行憲法の制定コンセプトは、この誤解に基づくものである。
20世紀前半の自称「自由民主主義」の欧米は、その範囲が自分達白人種に限定するものであっても疑問を持っていなかったとの未熟が、この誤解の根源である。
先の大戦で我が国がチャレンジしたのは、「有色人種も人間だ。白人限定じゃないでしょ」との部分であり、反自由民主議でのチャレンジではない。
一方、「自由民主主義ベースの国際秩序・国際ルール」に対して、反発しているのは、現状ではISISである。そういう構造の話である。
話を続ける。
自由民主主義ベースの国際秩序・国際ルールの維持・保全が出来るのは自由民主主義国家だけである。そういう事から、アメリカは、同じ西欧文明圏の国々や我が国と協力関係を構築することを歓迎している。
ところが、我が国の現行憲法は、あたかも我が国が自由民主主義ベースの国際秩序・国際ルールの破壊者であるかの如き姿勢でマッカーサーGHQが制定したものだ。
アメリカは、今や、現行憲法で主権制限し、非武装規定で国家として劣後させておいて、国際秩序・国際ルールの維持・保全の担い手として、普通にやって欲しいと身勝手なことを言っているのである。
とは言え、サンフランシスコ講和条約で主権回復後、既に60数年が経過しており、「日本人の命を保障しない日本国」なる有害憲法を放置し続けているのは、やはり異常である。
現行憲法が我々日本人にとって有害なものであることは、既に幾度も繰り返し論証しており(*4)否定のしようがないのだが、それでは都合が悪い所謂「護憲派」は、「憲法9条は素晴らしい」と捻じ曲げたことを言い張っている。
その際に、「日本人の命と平和・安寧」は登場しない。
「世界平和」を守る為に、日本はけして戦争をしてはいけない、無抵抗のまま昇天しろ、という「憲法9条」の建て付けを「日本人の命と平和・安寧」よりも優先する考え方である。実際に、憲法9条+憲法前文には、その旨が記載されている。
そんな事が書かれているのは、僅か半年前まで太平洋に於いて戦争をしていたアメリカが日本を膺懲する目的で書いたからである。だが、あれから70年以上が経過している。
それなのに、あの当時のアメリカの復讐心に塗れたままの憲法を「素晴らしい」と言ってしまう勢力が我が国の国内に存在している。
それは、所謂「護憲派」と言われる、反日本人勢力である。
我々日本人にとって、「日本人の命と平和・安寧」の確保・維持は何よりの優先課題であるのだが、「日本人の命と平和・安寧」よりも「白人限定の国際平和」が書かれている現行憲法を優先するのが反日本人勢力である。
彼等の書類上の国籍は「日本」かもしれないが、その軸足は日本にはない。
我々日本人にとって現行憲法の第9条+前文は有害であり、今や、それを押し付けたアメリカにとっても有害な存在になっているのに、それとは真逆のことを延々と、今になっても言い続けている勢力がいるのは、現行憲法の第9条+前文の内容が、都合が良い存在がいるからだ。
それは誰かと言うと、自由民主主義ベースの国際秩序・国際ルールを望ましく思っていない勢力だ。それは現状、自称共産主義・実態華夷秩序の中国共産党支配下支那=中国であり、東西冷戦時は共産主義ソ連であった。
それらに乗っかり自己利益を追究しているのが北朝鮮である。
一方、韓国のやっていることは、これらの国々とは、その質に於いて違う。
反日ならなんでも良い韓国は、ヘゲモニーシャレンジャーとの自覚などない。
彼等が国際情勢だとか、国際社会の仕組みを認識した上でやっているとは思えないのである。
韓国がやっている事は、その認知レベルで中国とは大きな差異があると解しているのだか、やっていること自体は「憲法9条は素晴らしい」などと称する中国と同じ動きである。
今回は以上とする。
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【文末脚注】
(*1):現行憲法制定経緯に関する論考のうちの幾つかの例
2016/07/31投稿:
(解説編2)資料・マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-469.html
2017/05/20投稿:
(資料編)憲法前文の登場・9条の登場と変遷
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-674.html
2016/05/23投稿:
歴史年表・戦後史部分の概観
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-419.html
(*2):先の大戦の前後で、ソ連がどれだけ巨大化したのか
2016/11/15投稿:
フーバー回顧録Doc.18-6
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-543.html
尚、上記の一連の論評は以下のタグ「フーバー回顧録」で参照できる
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-category-11.html
(*3):憲法を押し付けた側のアメリカからの声
2017/03/08投稿:
「日本は憲法改正せよ」と米国議会
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-622.html
(*4):現行憲法の内容の酷さに関する論考のうちの幾つかの例
2017/07/26投稿:
憲法議論9・「憲法9条の精神」とは何か?
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-720.html
2017/05/19投稿:
憲法議論1・前文の「平和主義」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-673.html
2016/06/20投稿:
憲法を「解釈」しないと自存自立できない異常
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-440.html
2015/11/20投稿:
「平和憲法」との偽看板
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-269.html
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副題:「誰」にとって有益かというと、最初、それは占領軍・アメリカだった。しかし、今やアメリカ側から憲法改正が必要だとの声が聞こえてくる。
憲法9条の役割は何かというと、それは、最初は戦勝国アメリカが、敗戦国日本を占領統治する際に、膺懲及び日本解体を目的に制定した現行憲法の中にあって、武装解除の永続化、独立国家資格の剥奪を、その役割とする条文であった。
占領時主権喪失期間中に行われたのが「憲法の押し付け」である。
この経緯の概要としてはおおよそ、次の様なものである。
1946年2月3日のマッカーサー3原則に基づき、GHQスタッフ連中の各部署が法律形式にした原稿(GHQ原案)を持ち寄ったものを、憲法形式にまとめた、GHQ草案として、1946年2月13日に吉田茂・松本・白洲の日本政府側に手交したものが現行憲法の根本である。
それ以前に日本側が思考していた改憲案(松本案)はGHQに受け取りを拒否され、日本側改憲案とは似ても似つかぬ異質なGHQ草案が現行憲法の根本になったのである。
この経緯や、これら各草案の条文内容等に基づき、現行憲法を「押し付け憲法」と形容するのがもっとも妥当である事については、第一級の一次資料を提示しながら幾度も繰り返し論述(*1)しており、否定のしようがない。
ところが、それでは都合が悪い、所謂「護憲派」は、「押し付けではない」と大した論拠もなく言い張っている。
史実に基づく話をまともな論拠もなく、ただ単に真逆の方向に否定する、所謂「護憲派」のやり方は、学問的な正否の検討が目的ではなく、憲法改正をさせない為に憲法議論を混乱させるのが目的の「言論のゲリラ戦」であり、まったくに知的不誠実なやり方である。
当初、現行憲法は、我が国に対する膺懲と我が国が二度と立ち上がれない様にする日本解体の地雷として公布されたものである。
公布日は1946年11月3日であるが、その3年半後、未だ占領が続く1950年6月25日に北朝鮮の南侵により朝鮮戦争が勃発した。
朝鮮半島で始まった戦争は、東西冷戦構造での「熱戦=実際の戦争」であり、これが始まるとアメリカは慌て、憲法9条で国家武装解除を強要しておきながら、強要したのと同じ人物であるマッカーサーは、後の「軍隊ではない防衛組織」である警察予備隊の編成を命令してきたのである。
東西冷戦構造とは、ルーズベルトの失政で先の大戦を通じて巨大化した共産主義陣営と自由民主主義陣営とのヘゲモニー対決構造である。
先の大戦の前後で、ソ連がどれだけ巨大化したのかを指摘する論考は、左傾化した我が国大学や出版界では目にすることが少ないので戦後の東西冷戦はルーズベルトがソ連の成長を支援して作り上げた体制である(*2)との認知は進んでいないが、先の大戦後の北東アジアでは、共産主義勢力が一挙に領土を増やし、それが朝鮮半島南半部に武力侵攻してきたのだから、連合軍のお仲間である米英ソの自称「平和を愛する諸国民」の実態がどの様なものなのかが分かると言うものだ。
「連合国」だったはずの「中華民国・蒋介石」は、1950年の時点では、支那大陸から敗走しており見る影もない。
朝鮮半島南半部への武力侵略は、日本列島を占領中のアメリカの国益に反するものであり、アメリカは「国連軍」を組織して朝鮮半島南半部の防衛に乗り出した。そして、それに伴い占領政策が日本解体方針から変わっていったのである。
しかし、物事が一気に180度変わることはない。特に、史上空前絶後の大規模空海戦で死闘を繰り広げた相手が復活することを幇助する様なことをアメリカがする訳がない。
東西冷戦構造下で完全武装解除状態は、マッカーサーの再武装命令で解かれ、それは追認されていくのだが、大きく制限されるものであった。
サンフランシスコ講和条約の発効に伴い、我が国は占領状態から脱したのであるが、憲法は改正後の現行憲法になっており、改憲規定は先の帝国憲法に比して、かなりハードルが上がっており、時代状況からも、押し付け憲法の破棄は難しい状態であった。
その後、時代は進むのだが、基本的には、アメリカは日本を警戒し続け、日本側は主権制限・武装解除規定がある憲法を「解釈」で対応するとの「長すぎる暫定措置」を続けていても、国家存亡にかかわる大きな不都合迄には至らない状態が続いたのである。
そういう情勢下では、現行憲法の非武装・国家主権制限を廃棄する事に労力を投入するよりも、別の現実問題への対応が優先されてきた。これは、戦後昭和を生きた世代は、良くご存じの通りである。
勿論、現行憲法自体が内包する、日本をバカにした濡れ衣規定等の大きな問題があり、三島を代表とする「問題意識を持った方々」は存在していたのだが、「昭和元禄」の世間風潮は、本当は凄く大事な名誉とか尊厳とかの無形のものは蔑ろにしたまま、有形の目先の利益が優先され、侮辱濡れ衣憲法の問題は放置され続けてきたのである。
ところが、近年になり、憲法を押し付けた側のアメリカから、現行憲法のままでは危険であるとの論が聞かれる様になっている。(*3)
実に身勝手なのだが、そもそも日本の憲法問題はアメリカにとっては自国の問題ではないのだから、その時その時に、アメリカはアメリカの都合に良いことを言うものなのである。
何が言いたいのかというと、最初はアメリカが押し付けた現行憲法なのだが、今や、アメリカにとって、その役割を終え、逆に有害な存在となっているということだ。
アメリカは、自由民主主義の本家の様な顔をしておきながら、実際は色々と未熟で矛盾する歴史を経てきているのだが、基本的には自由民主主義であり、その価値観は我が国の国柄と親和性がある。
現状、自称共産主義・実態華夷秩序の中国共産党支配下支那=中国が、ソ連なき後のヘゲモニーシャレンジャーとなって世界に登場している。
自由民主主義以外の国家が巨大化すると、その勢力とのヘゲモニー競争が起こり、世界秩序は混乱し、平和と安寧の確保・維持が難しくなることは、ソ連の巨大化でアメリカは経験済である。
自由民主主義とは違う国家体制の国家であっても、国際秩序・国際ルールに基づくのならば、その国の内政には干渉しないとの基本があるのだが、逆に、国際秩序・国際ルールから逸脱する場合、それは「平和への挑戦」であると認知される。
「自由民主主義とは違う国家」が自由民主主義ベースの国際秩序・国際ルールにチャレンジすることを防止することが平和維持につながる。
こういう考え方がずっと続いているのが近現代の世界の歴史と大きく括って良いだろう。
その括りでの誤解が先の大戦での我が国に対するものだが、これは壮大な論考となるので詳しくは別項とするが、現行憲法の制定コンセプトは、この誤解に基づくものである。
20世紀前半の自称「自由民主主義」の欧米は、その範囲が自分達白人種に限定するものであっても疑問を持っていなかったとの未熟が、この誤解の根源である。
先の大戦で我が国がチャレンジしたのは、「有色人種も人間だ。白人限定じゃないでしょ」との部分であり、反自由民主議でのチャレンジではない。
一方、「自由民主主義ベースの国際秩序・国際ルール」に対して、反発しているのは、現状ではISISである。そういう構造の話である。
話を続ける。
自由民主主義ベースの国際秩序・国際ルールの維持・保全が出来るのは自由民主主義国家だけである。そういう事から、アメリカは、同じ西欧文明圏の国々や我が国と協力関係を構築することを歓迎している。
ところが、我が国の現行憲法は、あたかも我が国が自由民主主義ベースの国際秩序・国際ルールの破壊者であるかの如き姿勢でマッカーサーGHQが制定したものだ。
アメリカは、今や、現行憲法で主権制限し、非武装規定で国家として劣後させておいて、国際秩序・国際ルールの維持・保全の担い手として、普通にやって欲しいと身勝手なことを言っているのである。
とは言え、サンフランシスコ講和条約で主権回復後、既に60数年が経過しており、「日本人の命を保障しない日本国」なる有害憲法を放置し続けているのは、やはり異常である。
現行憲法が我々日本人にとって有害なものであることは、既に幾度も繰り返し論証しており(*4)否定のしようがないのだが、それでは都合が悪い所謂「護憲派」は、「憲法9条は素晴らしい」と捻じ曲げたことを言い張っている。
その際に、「日本人の命と平和・安寧」は登場しない。
「世界平和」を守る為に、日本はけして戦争をしてはいけない、無抵抗のまま昇天しろ、という「憲法9条」の建て付けを「日本人の命と平和・安寧」よりも優先する考え方である。実際に、憲法9条+憲法前文には、その旨が記載されている。
そんな事が書かれているのは、僅か半年前まで太平洋に於いて戦争をしていたアメリカが日本を膺懲する目的で書いたからである。だが、あれから70年以上が経過している。
それなのに、あの当時のアメリカの復讐心に塗れたままの憲法を「素晴らしい」と言ってしまう勢力が我が国の国内に存在している。
それは、所謂「護憲派」と言われる、反日本人勢力である。
我々日本人にとって、「日本人の命と平和・安寧」の確保・維持は何よりの優先課題であるのだが、「日本人の命と平和・安寧」よりも「白人限定の国際平和」が書かれている現行憲法を優先するのが反日本人勢力である。
彼等の書類上の国籍は「日本」かもしれないが、その軸足は日本にはない。
我々日本人にとって現行憲法の第9条+前文は有害であり、今や、それを押し付けたアメリカにとっても有害な存在になっているのに、それとは真逆のことを延々と、今になっても言い続けている勢力がいるのは、現行憲法の第9条+前文の内容が、都合が良い存在がいるからだ。
それは誰かと言うと、自由民主主義ベースの国際秩序・国際ルールを望ましく思っていない勢力だ。それは現状、自称共産主義・実態華夷秩序の中国共産党支配下支那=中国であり、東西冷戦時は共産主義ソ連であった。
それらに乗っかり自己利益を追究しているのが北朝鮮である。
一方、韓国のやっていることは、これらの国々とは、その質に於いて違う。
反日ならなんでも良い韓国は、ヘゲモニーシャレンジャーとの自覚などない。
彼等が国際情勢だとか、国際社会の仕組みを認識した上でやっているとは思えないのである。
韓国がやっている事は、その認知レベルで中国とは大きな差異があると解しているのだか、やっていること自体は「憲法9条は素晴らしい」などと称する中国と同じ動きである。
今回は以上とする。
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【文末脚注】
(*1):現行憲法制定経緯に関する論考のうちの幾つかの例
2016/07/31投稿:
(解説編2)資料・マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-469.html
2017/05/20投稿:
(資料編)憲法前文の登場・9条の登場と変遷
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-674.html
2016/05/23投稿:
歴史年表・戦後史部分の概観
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(*2):先の大戦の前後で、ソ連がどれだけ巨大化したのか
2016/11/15投稿:
フーバー回顧録Doc.18-6
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-543.html
尚、上記の一連の論評は以下のタグ「フーバー回顧録」で参照できる
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(*3):憲法を押し付けた側のアメリカからの声
2017/03/08投稿:
「日本は憲法改正せよ」と米国議会
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-622.html
(*4):現行憲法の内容の酷さに関する論考のうちの幾つかの例
2017/07/26投稿:
憲法議論9・「憲法9条の精神」とは何か?
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-720.html
2017/05/19投稿:
憲法議論1・前文の「平和主義」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-673.html
2016/06/20投稿:
憲法を「解釈」しないと自存自立できない異常
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2015/11/20投稿:
「平和憲法」との偽看板
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