憲法議論7・現行憲法9条Q&A
- 2017/06/30
- 18:44
憲法議論7・現行憲法9条Q&A
<憲法議論をはじめよう8>

副題:現行憲法の第9条ほど問題の多い条文はない。でも、学校では「素晴らしい」と習うし、所謂「護憲派」もウソ・捏造で飾り立てるから議論が歪む。
「憲法議論シリーズ」も7回目となりました。(*1)
今回は、憲法議論の中でも、もっとも注目度が高い現行憲法9条に関してQ&A形式で議論対象となる項目を整理してみました。
Q:憲法9条には、「陸海空その他の戦力は、これを保持しない」(*2)とありますが、自衛隊が存在しているのは何故ですか?
↓
A:自衛隊は日本人を守る為の、国の組織です。憲法9条の条文を、そのまま素直に読めば、自衛隊は「その他の戦力」に該当しますので「憲法違反」になってしまいます。
日本人を守る防衛組織を「違憲」だとする憲法を改正して違憲状態を解消するのか、憲法条文に従って日本人を守る防衛組織をなくすのか、と言うモヤモヤとした状態がずっと続いています。
日本人を守る防衛組織をなくしてしまうと、日本人の平和・安寧な日常生活が続くことは望めませんので、憲法条文を「解釈」して、自衛隊は憲法9条にある「陸海空その他の戦力」ではない、としてずっと存在を確保しているのが実情です。
かなり無理筋な話だと言う事がわかると思います。
常識的には、憲法を改正して、憲法違反状態を解消するのが普通のやり方ですが、憲法改正がずっと出来ていないので、今も「解釈」でしのいでいるのです。(*3)
Q:「解釈」で自衛隊の存在が認められるのなら、今のままで良くないかい?
↓
A:現実は、「解釈」で存在が認められているのですが、憲法条文を根拠に「自衛隊は違憲である」と言い続けている人達がいます。
その目的が「憲法に合致した日本」にしたいのならば、現実にそぐわない憲法をちゃんと改正する方向で議論をすれば良いのですが、そうではなく、何時も自衛隊を廃止する方向の話をしてきます。
自衛隊を廃止した場合に発生する日本人の平和と安寧の危機については真面目に考えていない様です。
つまり、最終的目的が「日本人の平和と安寧」とは別のところにあるんじゃないか、と疑っています。
そういう「自衛隊違憲」との話が何度も繰り返され、その度に、憲法9条の条文内容と、現実問題として自衛隊が存在する、との「矛盾する状態」を巡り、実りのない「論争」が繰り返されてきました。
そんな「禅問答」や「神学論争」の繰り返しは、本来的目的である「日本人の平和と安寧」をどうやって維持していくのかの議論にはならず、「日本人の平和と安寧」がずっと放置されてきました。これって危険ですよね。
こういう不毛を御仕舞にする為にも、普通の発想方法で「憲法を改正して自衛隊の存在を明示する」ことが必要です。
Q:「憲法9条があるのに、自衛隊が存在する」という状態のままでは良くないことはわかりました。でも、そういう矛盾状態になってしまったのは何故なのですか?
↓
A: 1945年8月15日に玉音放送でポツダム宣言受諾が公表され、その年の9月2日の調印で、我が国は国家主権喪失・GHQによる占領期間が始まりました。
それは、1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約発効での主権回復迄の約7年弱も続きました。
その占領時・主権喪失期の初期、1946年2月にマッカーサーGHQにより、非武装9条規定がある現行憲法が押し付けられました。その後、1950年6月24日に朝鮮半島で戦争が勃発すると、慌てたマッカーサーは現行憲法が施行されているにも関わらず、1950年(昭和25年)8月10日付で占領下日本に再武装を命じたのです。
現在の矛盾が作られたのは、我が国が主権回復をする前に、占領軍GHQマッカーサーが発した命令が原因です。マッカーサーが「非武装憲法」と「自称非軍隊の防衛組織」という相矛盾する両方の存在を我が国に押し付けたのが歴史的事実です。(*4)
Q:「憲法9条があるのに、自衛隊が存在する」という矛盾が発生した原因はわかりました。
どちらもマッカーサーが原因だということもわかりました。でも、日本が独立してから既に65年が経過しています。65年もの間、憲法を改正してこなかったのは、今の憲法9条のままで問題がないからでは?
↓
A:今までは、結果として大丈夫だったのは事実です。主権回復した1952年以降、65年以上も日本列島では武力事態は発生していないことは、本当に良いことです。
これからも長い間、戦争が発生せず、日本人が平和な世界で暮らしていけることを願っています。
過去65年間、我が国で武力事態が発生していない大きな理由は、日本列島周辺で一番強大な軍事力を持つ米軍が、日米安保条約に基づき日本に駐留していたからです。
強大な駐留米軍を相手に、日本列島を侵略しようとか、攻撃しようとかを考える他国がいなかったからです。
日本列島の周辺は、ソ連(現ロシア)、南北朝鮮、中共支那(中華人民共和国)、台湾がありますが、1990年以前の東西冷戦構造下の世界情勢では、ソ連が一番の脅威でしたが、知ってのとおり、米ソは直接に戦火を交えることなく、冷戦構造は終わりました。
当時のソ連の主要な最前線は欧州方面でしたが、それでも極東地域では、我が国北海道が米ソ対決の東西冷戦時のもう1つの正面でした。
アメリカにしてみても主要な最前線は欧州でしたが、在日米軍は、空軍を青森県の三沢基地に常駐させ警戒をしていました。尚、北海道に米軍は大規模常駐基地を置いていません。一方、陸上自衛隊は、北海道に唯一の機甲師団を配備して警戒をしていました。
その頃の中国や北朝鮮は、海を渡って攻撃する様な能力を持ち合わせておらず、軍事的脅威度は、中国の核ミサイル以外は極めて低かったのです。
ところが、東西冷戦構造の終盤辺りかあら中国は毎年二桁パーセンテージの軍拡を続け、今や、外洋海軍を装備するに至っており、また、ご存じの通り北朝鮮は弾道ミサイル攻撃能力を持つに至り、もう何度も我が国上空や近隣に弾道ミサイルを飛ばしています。
昔と違って、中国や北朝鮮の軍事的能力が上がってきています。
一方、在日米軍は我が国領内から徐々に移転することが決まっています。
その分、自衛隊を増強する必要があるのですが、我が国の防衛費は過去何十年も「対GDP比1%枠」との「国民を守る為に必要な備え」とは別の視点での制限があり、軍事バランスが保てない状態になってきています。「軍事バランスが崩れると戦争になる」は、人類史の公理です。(*5)
「対GDP比1%枠」との「制限慣習」は、憲法9条が、その原因です。
過去は平和でしたが、戦争勃発危険性を増す様な軍事バランスの傾きを助長する憲法条文のままで、将来も平和であるとは言えないのです。
Q:武器がなければ戦争にならない。だから憲法9条を守り、武器制限するのは正しいのでは?
↓
A:日本人の平和・安寧な暮らしが続くことを願っていますので、戦争にならない事を願っています。でも「戦争」に拘るとかえって日本人の平和・安玲が台無しになってしまうのです。
ドンパチ状態を避ける為に、侵攻してくる相手に対して無抵抗に受け入れてしまうと、どういうことが起こるのかご存じですか?
チベット人達がどういう目に合っているかを調べてください。
ドンパチ状態の戦争を避けることは、けして、日本人の平和・安念を確保することにはなりません。
自分達の平和と安寧を確保する為の自分自身を守る自衛権は、国連憲章でも認められており、世界各国が自然に持つ当たり前の権利です。それを否定している「憲法」など1つの例外を除いて存在していません。
Q:戦争に負けたら、結局は同じでしょ?
↓
A:戦争に負けないで自存自立・独立を維持することが大事なのです。
その為には負けないだけの防衛力を備えることが必要です。そして、そういう「負けない防衛力」の存在は、むしろ戦争の勃発を未然に防止する効果があるのです。
詳しくは、文末脚注(*5)で紹介した軍事バランスの視点をお読みください。
あのソ連でさえ、手出しを躊躇した米軍が日本に駐留していたので、東西冷戦時に、日本列島は戦場になりませんでした。自国だけでは自国防衛が出来なさそうな場合、安保条約等で集団的自衛権を行使して、自国を防衛することは、国連憲章でも認められており、欧州ではNATO条約が、それに該当します。
Q:憲法9条を改正をしたら戦争になるって言っている人がいるよ。不安なんだけど。
↓
A:そういう流言飛語(*6)に乗っかって本質を見誤っていては、御自身が不幸になりますよ。
「憲法9条を改正したら」との話はちっとも具体的ではありません。
憲法9条の何処を改正すると戦争になってしまうのでしょうか?
「交戦権の否定」の部分ですか? 自衛権、即ち自衛戦争の交戦権はありますよ。
「陸海空その他の戦力の不保持」の部分ですか? 自衛隊は存在して、我々日本人を守っています。
マッカーサーの負の遺産である、「非武装憲法」と「自称非軍隊の防衛組織」という相矛盾する両方は、今も存在しており、その矛盾の是正をすると、どうして戦争になるのでしょうか?
「日本人は残酷な侵略主義者だから、憲法9条で押えておかないと、また侵略を始める」という話をする方々がいますが、そういう濡れ衣・ウソ話を日本人自身が認めるのですか?
今回は以上とします。
他に、憲法9条に係るクエスチョン・疑問等があればコメント欄にてご質問ください。
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【文末脚注】
(*1):「憲法議論シリーズ」はタグ「憲法議論2017」にまとめてあるので、その一覧は以下にて参照可能。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-category-10.html
(*2):現行憲法第9条
日本国憲法 (昭和二十一年十一月三日憲法)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html
第2章・戦争の放棄・第9条:
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
同第2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
(*3):「今も「解釈」でしのいでいる」
2016/06/20投稿:
憲法を「解釈」しないと自存自立できない異常
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-440.html
(*4):「非武装憲法」と「自称軍隊ではない防衛組織」とを産み出したのは占領軍GHQマッカーサー
○憲法9条が憲法条文として公布されたのは1946年(昭和21年)11月3日で、その施行は翌年1947年(昭和22年)5月3日。一方、自衛隊が出来たのは、自衛隊法が施行された1954年(昭和29年)7月1日。日付だけを見ると、先に憲法9条があって、その条文に反する形で自衛隊が出来た様に見えるのだが、自衛隊が1954年の自衛隊法で「自衛隊」という名称になる前に、既に防衛組織が存在していた。陸上自衛隊が陸上自衛隊と名乗る前の防衛組織として「警察予備隊」があった。これは1950年(昭和25年)8月10日、占領軍GHQマッカーサーがポツダム政令「警察予備隊令」を出して創建した「自称軍隊ではない防衛組織」である。我が国を再武装させた理由は、同年6月25日に朝鮮戦争が勃発したからである。
マッカーサーは、現行憲法を制定する際に、マッカーサー3原則をGHQのスタッフに示した。
その原則には「自衛戦争さえも認めない」との明示があった。
↓
※2016/07/31投稿:(解説編2)資料・マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-469.html
<第2原則の1の②段落:紛争解決の手段としての戦争のみならず、自身を守る自衛の為の戦争も放棄する>
その原則に則ってマッカーサーの部下達によって作成されたGHQ草案の武装解除規定が憲法9条になった。詳しくは以下にて論考しているので参照願いたい。
↓
※2017/05/20投稿:(資料編)憲法前文の登場・9条の登場と変遷
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-674.html
1950年6月25日に金日成の南侵により朝鮮戦争が始まると、僅か3日程度で首都のソウルは陥落した。慌てたマッカーサーは、その約1週間後の7月8日に、当時の吉田首相宛に「警察力の増強を許可する」との言い方(笑)で再武装を下命する。ポツダム政令「警察予備隊令」が施行された8月10日時点の朝鮮半島は、北朝鮮の猛攻撃で、米軍側は半島最南端の釜山周辺にまで追い詰められ、半島全土が今にも赤化されそうな情勢だった。
釜山周辺をどうにか維持した米軍は、9月になると釜山を包囲している北朝鮮軍の背後、補給ルートを分断する仁川上陸作戦で形成を逆転したが、その後も朝鮮戦争は続いた。
日本が占領状態であった時代に、非現実的な非武装憲法がマッカーサーにより押し付けられ、朝鮮戦争が起こると、マッカーサーにより再武装命令が発せられた。
現在の矛盾が作られたのは、どちらも主権喪失期に占領軍マッカーサーにより発せられた命令が原因である。
我が国が主権を回復したのは、サンフランシスコ講和条約が発効した1952年4月28日のことです。まだ朝鮮戦争は続いていた。ここいら辺の戦後史の時系列は以下を参照願いたい。↓
※2016/05/21投稿:(資料編)歴史年表・戦後史部分
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-418.html
(*5):平和を維持する為には軍事バランスを保つことが必須
2017/05/25投稿:
憲法議論2・憲法9条・議論の出発点
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-677.html
(*6):憲法9条に関する流言飛語
2016/09/15投稿:
改憲したら「戦争になるぅ~」と騒ぐ方々
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-500.html
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<憲法議論をはじめよう8>


副題:現行憲法の第9条ほど問題の多い条文はない。でも、学校では「素晴らしい」と習うし、所謂「護憲派」もウソ・捏造で飾り立てるから議論が歪む。
「憲法議論シリーズ」も7回目となりました。(*1)
今回は、憲法議論の中でも、もっとも注目度が高い現行憲法9条に関してQ&A形式で議論対象となる項目を整理してみました。
Q:憲法9条には、「陸海空その他の戦力は、これを保持しない」(*2)とありますが、自衛隊が存在しているのは何故ですか?
↓
A:自衛隊は日本人を守る為の、国の組織です。憲法9条の条文を、そのまま素直に読めば、自衛隊は「その他の戦力」に該当しますので「憲法違反」になってしまいます。
日本人を守る防衛組織を「違憲」だとする憲法を改正して違憲状態を解消するのか、憲法条文に従って日本人を守る防衛組織をなくすのか、と言うモヤモヤとした状態がずっと続いています。
日本人を守る防衛組織をなくしてしまうと、日本人の平和・安寧な日常生活が続くことは望めませんので、憲法条文を「解釈」して、自衛隊は憲法9条にある「陸海空その他の戦力」ではない、としてずっと存在を確保しているのが実情です。
かなり無理筋な話だと言う事がわかると思います。
常識的には、憲法を改正して、憲法違反状態を解消するのが普通のやり方ですが、憲法改正がずっと出来ていないので、今も「解釈」でしのいでいるのです。(*3)
Q:「解釈」で自衛隊の存在が認められるのなら、今のままで良くないかい?
↓
A:現実は、「解釈」で存在が認められているのですが、憲法条文を根拠に「自衛隊は違憲である」と言い続けている人達がいます。
その目的が「憲法に合致した日本」にしたいのならば、現実にそぐわない憲法をちゃんと改正する方向で議論をすれば良いのですが、そうではなく、何時も自衛隊を廃止する方向の話をしてきます。
自衛隊を廃止した場合に発生する日本人の平和と安寧の危機については真面目に考えていない様です。
つまり、最終的目的が「日本人の平和と安寧」とは別のところにあるんじゃないか、と疑っています。
そういう「自衛隊違憲」との話が何度も繰り返され、その度に、憲法9条の条文内容と、現実問題として自衛隊が存在する、との「矛盾する状態」を巡り、実りのない「論争」が繰り返されてきました。
そんな「禅問答」や「神学論争」の繰り返しは、本来的目的である「日本人の平和と安寧」をどうやって維持していくのかの議論にはならず、「日本人の平和と安寧」がずっと放置されてきました。これって危険ですよね。
こういう不毛を御仕舞にする為にも、普通の発想方法で「憲法を改正して自衛隊の存在を明示する」ことが必要です。
Q:「憲法9条があるのに、自衛隊が存在する」という状態のままでは良くないことはわかりました。でも、そういう矛盾状態になってしまったのは何故なのですか?
↓
A: 1945年8月15日に玉音放送でポツダム宣言受諾が公表され、その年の9月2日の調印で、我が国は国家主権喪失・GHQによる占領期間が始まりました。
それは、1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約発効での主権回復迄の約7年弱も続きました。
その占領時・主権喪失期の初期、1946年2月にマッカーサーGHQにより、非武装9条規定がある現行憲法が押し付けられました。その後、1950年6月24日に朝鮮半島で戦争が勃発すると、慌てたマッカーサーは現行憲法が施行されているにも関わらず、1950年(昭和25年)8月10日付で占領下日本に再武装を命じたのです。
現在の矛盾が作られたのは、我が国が主権回復をする前に、占領軍GHQマッカーサーが発した命令が原因です。マッカーサーが「非武装憲法」と「自称非軍隊の防衛組織」という相矛盾する両方の存在を我が国に押し付けたのが歴史的事実です。(*4)
Q:「憲法9条があるのに、自衛隊が存在する」という矛盾が発生した原因はわかりました。
どちらもマッカーサーが原因だということもわかりました。でも、日本が独立してから既に65年が経過しています。65年もの間、憲法を改正してこなかったのは、今の憲法9条のままで問題がないからでは?
↓
A:今までは、結果として大丈夫だったのは事実です。主権回復した1952年以降、65年以上も日本列島では武力事態は発生していないことは、本当に良いことです。
これからも長い間、戦争が発生せず、日本人が平和な世界で暮らしていけることを願っています。
過去65年間、我が国で武力事態が発生していない大きな理由は、日本列島周辺で一番強大な軍事力を持つ米軍が、日米安保条約に基づき日本に駐留していたからです。
強大な駐留米軍を相手に、日本列島を侵略しようとか、攻撃しようとかを考える他国がいなかったからです。
日本列島の周辺は、ソ連(現ロシア)、南北朝鮮、中共支那(中華人民共和国)、台湾がありますが、1990年以前の東西冷戦構造下の世界情勢では、ソ連が一番の脅威でしたが、知ってのとおり、米ソは直接に戦火を交えることなく、冷戦構造は終わりました。
当時のソ連の主要な最前線は欧州方面でしたが、それでも極東地域では、我が国北海道が米ソ対決の東西冷戦時のもう1つの正面でした。
アメリカにしてみても主要な最前線は欧州でしたが、在日米軍は、空軍を青森県の三沢基地に常駐させ警戒をしていました。尚、北海道に米軍は大規模常駐基地を置いていません。一方、陸上自衛隊は、北海道に唯一の機甲師団を配備して警戒をしていました。
その頃の中国や北朝鮮は、海を渡って攻撃する様な能力を持ち合わせておらず、軍事的脅威度は、中国の核ミサイル以外は極めて低かったのです。
ところが、東西冷戦構造の終盤辺りかあら中国は毎年二桁パーセンテージの軍拡を続け、今や、外洋海軍を装備するに至っており、また、ご存じの通り北朝鮮は弾道ミサイル攻撃能力を持つに至り、もう何度も我が国上空や近隣に弾道ミサイルを飛ばしています。
昔と違って、中国や北朝鮮の軍事的能力が上がってきています。
一方、在日米軍は我が国領内から徐々に移転することが決まっています。
その分、自衛隊を増強する必要があるのですが、我が国の防衛費は過去何十年も「対GDP比1%枠」との「国民を守る為に必要な備え」とは別の視点での制限があり、軍事バランスが保てない状態になってきています。「軍事バランスが崩れると戦争になる」は、人類史の公理です。(*5)
「対GDP比1%枠」との「制限慣習」は、憲法9条が、その原因です。
過去は平和でしたが、戦争勃発危険性を増す様な軍事バランスの傾きを助長する憲法条文のままで、将来も平和であるとは言えないのです。
Q:武器がなければ戦争にならない。だから憲法9条を守り、武器制限するのは正しいのでは?
↓
A:日本人の平和・安寧な暮らしが続くことを願っていますので、戦争にならない事を願っています。でも「戦争」に拘るとかえって日本人の平和・安玲が台無しになってしまうのです。
ドンパチ状態を避ける為に、侵攻してくる相手に対して無抵抗に受け入れてしまうと、どういうことが起こるのかご存じですか?
チベット人達がどういう目に合っているかを調べてください。
ドンパチ状態の戦争を避けることは、けして、日本人の平和・安念を確保することにはなりません。
自分達の平和と安寧を確保する為の自分自身を守る自衛権は、国連憲章でも認められており、世界各国が自然に持つ当たり前の権利です。それを否定している「憲法」など1つの例外を除いて存在していません。
Q:戦争に負けたら、結局は同じでしょ?
↓
A:戦争に負けないで自存自立・独立を維持することが大事なのです。
その為には負けないだけの防衛力を備えることが必要です。そして、そういう「負けない防衛力」の存在は、むしろ戦争の勃発を未然に防止する効果があるのです。
詳しくは、文末脚注(*5)で紹介した軍事バランスの視点をお読みください。
あのソ連でさえ、手出しを躊躇した米軍が日本に駐留していたので、東西冷戦時に、日本列島は戦場になりませんでした。自国だけでは自国防衛が出来なさそうな場合、安保条約等で集団的自衛権を行使して、自国を防衛することは、国連憲章でも認められており、欧州ではNATO条約が、それに該当します。
Q:憲法9条を改正をしたら戦争になるって言っている人がいるよ。不安なんだけど。
↓
A:そういう流言飛語(*6)に乗っかって本質を見誤っていては、御自身が不幸になりますよ。
「憲法9条を改正したら」との話はちっとも具体的ではありません。
憲法9条の何処を改正すると戦争になってしまうのでしょうか?
「交戦権の否定」の部分ですか? 自衛権、即ち自衛戦争の交戦権はありますよ。
「陸海空その他の戦力の不保持」の部分ですか? 自衛隊は存在して、我々日本人を守っています。
マッカーサーの負の遺産である、「非武装憲法」と「自称非軍隊の防衛組織」という相矛盾する両方は、今も存在しており、その矛盾の是正をすると、どうして戦争になるのでしょうか?
「日本人は残酷な侵略主義者だから、憲法9条で押えておかないと、また侵略を始める」という話をする方々がいますが、そういう濡れ衣・ウソ話を日本人自身が認めるのですか?
今回は以上とします。
他に、憲法9条に係るクエスチョン・疑問等があればコメント欄にてご質問ください。
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【文末脚注】
(*1):「憲法議論シリーズ」はタグ「憲法議論2017」にまとめてあるので、その一覧は以下にて参照可能。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-category-10.html
(*2):現行憲法第9条
日本国憲法 (昭和二十一年十一月三日憲法)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html
第2章・戦争の放棄・第9条:
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
同第2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
(*3):「今も「解釈」でしのいでいる」
2016/06/20投稿:
憲法を「解釈」しないと自存自立できない異常
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-440.html
(*4):「非武装憲法」と「自称軍隊ではない防衛組織」とを産み出したのは占領軍GHQマッカーサー
○憲法9条が憲法条文として公布されたのは1946年(昭和21年)11月3日で、その施行は翌年1947年(昭和22年)5月3日。一方、自衛隊が出来たのは、自衛隊法が施行された1954年(昭和29年)7月1日。日付だけを見ると、先に憲法9条があって、その条文に反する形で自衛隊が出来た様に見えるのだが、自衛隊が1954年の自衛隊法で「自衛隊」という名称になる前に、既に防衛組織が存在していた。陸上自衛隊が陸上自衛隊と名乗る前の防衛組織として「警察予備隊」があった。これは1950年(昭和25年)8月10日、占領軍GHQマッカーサーがポツダム政令「警察予備隊令」を出して創建した「自称軍隊ではない防衛組織」である。我が国を再武装させた理由は、同年6月25日に朝鮮戦争が勃発したからである。
マッカーサーは、現行憲法を制定する際に、マッカーサー3原則をGHQのスタッフに示した。
その原則には「自衛戦争さえも認めない」との明示があった。
↓
※2016/07/31投稿:(解説編2)資料・マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-469.html
<第2原則の1の②段落:紛争解決の手段としての戦争のみならず、自身を守る自衛の為の戦争も放棄する>
その原則に則ってマッカーサーの部下達によって作成されたGHQ草案の武装解除規定が憲法9条になった。詳しくは以下にて論考しているので参照願いたい。
↓
※2017/05/20投稿:(資料編)憲法前文の登場・9条の登場と変遷
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-674.html
1950年6月25日に金日成の南侵により朝鮮戦争が始まると、僅か3日程度で首都のソウルは陥落した。慌てたマッカーサーは、その約1週間後の7月8日に、当時の吉田首相宛に「警察力の増強を許可する」との言い方(笑)で再武装を下命する。ポツダム政令「警察予備隊令」が施行された8月10日時点の朝鮮半島は、北朝鮮の猛攻撃で、米軍側は半島最南端の釜山周辺にまで追い詰められ、半島全土が今にも赤化されそうな情勢だった。
釜山周辺をどうにか維持した米軍は、9月になると釜山を包囲している北朝鮮軍の背後、補給ルートを分断する仁川上陸作戦で形成を逆転したが、その後も朝鮮戦争は続いた。
日本が占領状態であった時代に、非現実的な非武装憲法がマッカーサーにより押し付けられ、朝鮮戦争が起こると、マッカーサーにより再武装命令が発せられた。
現在の矛盾が作られたのは、どちらも主権喪失期に占領軍マッカーサーにより発せられた命令が原因である。
我が国が主権を回復したのは、サンフランシスコ講和条約が発効した1952年4月28日のことです。まだ朝鮮戦争は続いていた。ここいら辺の戦後史の時系列は以下を参照願いたい。↓
※2016/05/21投稿:(資料編)歴史年表・戦後史部分
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-418.html
(*5):平和を維持する為には軍事バランスを保つことが必須
2017/05/25投稿:
憲法議論2・憲法9条・議論の出発点
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-677.html
(*6):憲法9条に関する流言飛語
2016/09/15投稿:
改憲したら「戦争になるぅ~」と騒ぐ方々
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-500.html



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