(資料編)各国の緊急事態条項
- 2017/06/16
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(資料編)各国の緊急事態条項

副題:我が国と比肩し得るG7主要国の「緊急事態条項」のご紹介。緊急事態条項に悪者レッテルを貼る偏向マスコミ等に騙されることなかれ。
緊急事態条項は法治主義貫徹の為に必須の条項なのだが、現行憲法になった際に帝国憲法にあった緊急事態条項は削除され、現行憲法には存在していない。
しかし、主要国の憲法には緊急事態条項がある。それは法治主義貫徹の為に必須の条項だからだ。
大陸法体系のフランス、ドイツ、イタリアでは憲法に緊急事態条項が明記されている。
英米法体系のアメリカ、不成文憲法のイギリスを含め、我が国に比肩し得る他の先進主要国の緊急事態条項に関しての資料を紹介する。今回は、資料編として事実提示のみとなる。
○1.フランス憲法の緊急事態条項
フランス憲法の第16条が同国の非常事態条項である。
<フランス共和国憲法:2008年7月23日の改正憲法(24回目憲法改正)>
http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/legis/240/024003.pdf
第16条〔非常事態権限〕
1 共和国の制度、国の独立、領土の保全又は国際的取極めの履行が重大かつ切迫した脅威にさらされ、かつ、憲法上の公権力の正常な運営が妨げられた場合には、共和国大統領は、首相、両議院議長及び憲法院に公式に諮問した後に、状況により必要とされる措置をとる。
2 共和国大統領は、教書を発してこの措置を国民に通知する。
3 この措置は、憲法上の公権力機関にその任務を果たすための手段を最短期間のうちに確保させるという意向に基づくものでなければならない。憲法院は、それに関して諮問を受ける。
4 〔この場合に〕国会は、当然に集会する。
5 国民議会は、非常事態権限の行使中に解散することができない。
6 非常事態権限の行使から30日後に、国民議会議長、元老院議長、60人の国民議会議員又は60人の元老院議員は、第1項に定める要件が依然として備わっているか否かの審査のために、憲法院に付託することができる。憲法院は、可及的速やかに公的な意見により裁定する。憲法院は、非常事態権限の行使から60日後はいつでも、当然にこの審査を行い、及び同一の要件により裁定する。
<引用終わり>
フランス憲法の緊急事態条項の基本的構成は以下の様に要約できる。
↓
①:緊急事態の発生の認知を大統領・首相・議会・憲法院で確定
②:国民に対して、緊急事態を通知
③:緊急事態期間中の議会継続の保障
④:緊急事態対応体制の終了させる権限を大統領以外に持たせ、その期限を明示
○2:ドイツ憲法(ドイツ基本法)の緊急事態条項
ドイツ憲法の第10章のa(Ⅹa)国防・第115a条から第115l条が緊急事態条項である。
「第10章のa」との追加規定となっているのは、ドイツでの憲法改正方式によるものである。尚、引用した条文にある「ラント」は、「ドイツ連邦」と解して良い。
http://www.fitweb.or.jp/~nkgw/dgg/
Xa. 国防 (Verteidigungsfall)
◇第115a条 [概念および確認]
(1) 連邦領域が武力で攻撃された、またはこのような攻撃が直接に切迫していること(防衛事態)の確認は、連邦議会が連邦参議院の同意を得て行う。確認は、連邦政府の申立てに基づいて行われ、連邦議会議員の過半数かつ投票の3分の2の多数を必要とする。
(2) 即時の行動が不可避とされる状況で、かつ、連邦議会の適時の集会に克服しがたい障害があり、または議決不能のときは、合同委員会か委員の過半数かつ投票の3分の2の多数をもって、この確認を行う。
(3) 確認は連邦大統領により、第82条に従って連邦法官報で公布される。これが適時に可能でないときは、他の方法によって公布されるが、可能な状況になったときは、直ちに連邦法官報で追完しなければならない。
(4) 連邦領域が武力で攻撃され、かつ、権限を有する連邦機関が1項1段による確認を即時に行うことができる状況にないときは、この確認は行われたものとみなされ、かつ、攻撃が開始された時点で公布されたものとみなされる。
(5) 防衛事態の確認が公布され、かつ連邦領域が武力で攻撃されたときは、連邦大統領は、連邦議会の同意を得て、防衛事態の存在についての国際法上の宣言を発することができる。2項の条件のもとにおいては、合同委員会が連邦議会に代わるものとする。
◇第115b条 [命令・指揮権の連邦首相への移行]
防衛事態の公布とともに、軍隊に対する命令権および指揮権は、連邦首相に移行する。
◇第115c条 [連邦の立法権限の拡張]
(1) 連邦は、防衛事態に対処するために、ラントの立法権限に属する分野においても、競合的立法権を行使する。これらの法律は、連邦参議院の同意を必要とする。
(2) 連邦は、防衛事態の間、事情が必要とする限り、連邦法により、防衛事態の対処のために次のことをすることができる。
1.公用収用の補償に関して、暫定的に第14条3項2段と異なる措置を定めること。
2.自由剥奪に関して、裁判官が、平時に適用される期間内では活動することができないとき、第104条2項および3項1段とは異なる期間、ただし最高限4日の期間を定めること。
(3) 連邦は、防衛事態において、現在の攻撃または直接切迫した攻撃を防御するために必要な限りで、連邦参議院の同意を必要とする連邦法により、連邦およびラントの行政または財政制度について、第8章、第8a章および第10章と異なる規律を定めることができる。この場合、ラント、市町村および市町村連合の生存能力が、とくに財政的な観点からも保護されなければならない。
(4) 1項および2項1号による連邦法は、その執行の準備のために、防衛事態の発生前であっても適用することができる。
◇第115d条 [緊急立法]
(1) 連邦の立法について、防衛事態においては、第76条2項、第77条1項2段および2項ないし4項、第78条ならびに第82条1項によらず、本条2項および3項の規定を適用する。
(2) 連邦政府が緊急なものと表明した連邦政府の法律案は、連邦議会に提出されるのと同時に連邦参議院に送付される。連邦議会と連邦参議院は、速やかに法律案を合同で審議する。法律が連邦参議院の同意を必要とするときは、その法律の成立には、連邦参議院の投票の過半数の同意を必要とする。詳細は、連邦議会が議決し、かつ連邦参議院の同意を必要とする議事規則で定める。
(3) 法律の公布については、第115a条3項2段を準用する。
◇第115e条 [合同委員会の権限]
(1) 合同委員会が防衛事態において、委員の過半数かつ投票の3分の2の多数で、連邦議会の適時の集会に克服しがたい障害があり、または議決不能であることを確認したときは、合同委員会は、連邦議会および連邦参議院の地位を有し、両者の権利を統一して行使する。
(2) 合同委員会の法律によって基本法を改正し、基本法の全部もしくは一部の効力を失わせ、または適用を停止することは許されない。合同委員会は、第23条1項2段、第24条1項および第29条による法律を制定する権限はもたない。
◇第115f条 [連邦政府の権限]
(1) 連邦政府は、防衛事態において、事情が必要とする限りで、次のことをすることができる。
1.連邦国境警備隊を連邦の全領域に出動させること。
2.連邦行政機関のほかラント政府に対して、さらに、連邦政府が急を要すると認めるときはラントの官庁に対して、指示を与えること、ならびにこの権限を連邦政府の指名するラント政府の構成員に委任すること。
(2) 1項によってとられた措置は、遅滞なく、連邦議会、連邦参議院および合同委員会に報告しなければならない。
◇第115g条 [連邦憲法裁判所の地位]
連邦憲法裁判所およびその裁判官の憲法上の地位または憲法上の任務の遂行は、侵害してはならない。連邦憲法裁判所法を合同委員会の法律によって改正することができるのは、それが連邦憲法裁判所の見解によっても連邦憲法裁判所の機能の維持のために必要であるとされる場合に限られる。このような法律が制定されるまでの間、連邦憲法裁判所は、裁判所の活動能力の維持のために必要な措置をとることができる。連邦憲法裁判所は、出席裁判官の過半数で、2段および3段の決定を行う。
◇第115h条 [憲法機関の機能]
(1) 防衛事態中に満了する連邦議会または州国民代表機関の議員の任期は、防衛事態の終了後6カ月を経て終了する。防衛事態中に満了する連邦大統領の任期、ならびに、連邦大統領が任期満了前に欠けたときの連邦参議院議長による連邦大統領の権限の行使は、防衛事態の終了後9カ月を経て終了する。
(2) 合同委員会による連邦首相の改選が必要となったときは、合同委員会が委員の過半数をもって新連邦首相を選挙するものとし、この場合、連邦大統領が合同委員会に候補者を推薦する。合同委員会は、委員の3分の2の多数で後任者を選出することによってのみ、連邦首相に対し不信任を表明することができる。
(3) 防衛事態の期間中は、連邦議会の解散は禁止される。
◇第115i条 [ラント政府の権限]
(1) 権限を有する連邦機関が、危険を防止するための必要な措置をとることができる状況になく、かつ、連邦領域の個別の部分における即時の自主的な行動が不可避的に必要であるときは、ラント政府またはラント政府の指定する官庁もしくは受任者が、第115f条1項の意味における措置を管轄の範囲でとる権限を有する。
(2) 1項による措置は、連邦政府により、またラント官庁および下級の連邦官庁との関係では、ラントの首相によっても、いつでも廃止することができる。
◇注:<j条はない>
◇第115k条 [非常事態における法令の効力]
(1) 第115c条、第115e条および第115g条による法律、ならびにこれらの法律の根拠に基づいて制定された法規命令は、それが適用されている期間中は、これに反する法の適用を排除する。ただし、第115c条、第115e条および第115g条の根拠に基づいて以前に制定された法律については、この限りでない。
(2) 合同委員会が議決した法律およびこれらの法律に基づいて制定された法規命令は、遅くとも防衛事態の終了の6カ月後に効力を失う。
◇第115l条 [防衛事態における法律および措置の廃止、防衛事態の終了、講和]
(1) 連邦議会は、連邦参議院の同意を得て、いつでも合同委員会の法律を廃止することができる。連邦参議院は、連邦議会がこの議決を行うように要求することができる。その他、合同委員会または連邦政府が危険防止のためにとった措置は、連邦議会および連邦参議院の議決により廃止される。
(2) 連邦議会は、いつでも、連邦参議院の同意を得て、連邦大統領が公布する議決によって防衛事態の終了を宣言することができる。連邦参議院は、連邦議会がこの議決を行うように要求することができる。防衛事態は、その確認の前提となった条件が存在しなくなったときは、遅滞なくその終了を宣言しなけれはならない。
(3) 講和については、連邦法で決定する。
<引用終わり>
ドイツ憲法の緊急事態条項は随分と長いが、基本的構成はフランス憲法の緊急事態条項と大差ない。ドイツ憲法の緊急事態条項の基本的構成は以下の通りである。
①から④はフランス憲法での基本的構成であり、○印はドイツの特性に合わせたものである。
↓
①:緊急事態の発生の認知を連邦議会・合同委員会等で確定=◇第115a条
②:国際法上の宣言を発する。(フランスは国民に通知)=◇第115a条
○:軍の指揮命令権が首相に移行するとの規定=◇第115b条(ドイツ特殊事例対応)
③:緊急事態期間中の議会継続の保障=◇第115h条
④:緊急事態対応体制の終了させる権限を首相以外に持たせる規定=◇第115l条
○3:イタリア憲法の緊急事態条項
イタリア憲法の緊急事態条項は、フランス憲法やドイツ憲法と違い、1つの章や条にまとまって記載されていない。様々の条文の中に「戦時に於いては」との記載で緊急事態発生時の特例を付記する方式である。
残念なことに、イタリア憲法の全条和文訳を発見していないので、資料として提示しているのは、イタリア憲法の英文Wikiを元に当方が「勝手な和訳」をしたものを用いている。
<英文Wiki:イタリア憲法>
https://en.wikisource.org/wiki/Constitution_of_Italy
○第77条
The government may not, without delegation from the houses, issue decrees having the force of ordinary law.
(政府は、議会からの信任なき、効力を有する法令を発行することはできない。)
When in extraordinary cases of necessity and urgency the government adopts provisional measures having the force of law it must on the same day present them for conversion into law to the houses which, even if dissolved, shall be especially summoned and shall assemble within five days.
(緊急性を要する必要性ある特別なケースに於いては、政府は効力を有する「暫定措置」をとることが出来る。その場合、大統領は措置設定の当日に議会に対して報告・説明し、法令化の手続きをとる必要がある。その際、議会が解散状態であっても、特別に5日以内に召集される。
The decrees lose effect from their inception if they are not converted into law within sixty days from their publication. The houses can however regulate through laws legal issues arising out of decrees not converted.
(法令化には、公布後60日以内に議会による法改正がなされない場合は失効する。議会は法改正をしないことが出来る)
↓
第77条の第2項にあるのが、緊急事態の場合の特例である。
○第78条
The houses decide on states of war and confer the necessary powers on government.
(議会は、戦争状態であるとの決定し、政府に必要な権限を与える)
↓
「緊急事態の宣言」に関する条項である。この条文から、イタリア憲法では、緊急事態を戦争状態と限定しているとの特徴があることがわかる。
○第60条
The Chamber of Deputies and the Senate of the Republic are elected for five years.
The term for each house cannot be extended except by law and only in cases of war.
(共和国議会の上院及び下院議員の任期は5年である。各議員の任期は法改正又は戦時の場合を除き延長できない)
↓
第60条の第2項は、フランス、ドイツにもあった緊急事態継続中の議会継続の保障条文である。
○第87条
The President of the Republic is the head of the State and represents national unity.
(イタリア大統領はイタリア共和国の元首であり、イタリアの代表権を有する)(第2項から第8公省略)
He is the commander of the armed forces, presides over the Supreme Council of Defence established by law, makes declarations of war which have been decided by the Chambers.(大統領は軍の指揮官であり、法規定により制定された最高防衛会議の議長であり、院内で決定された宣戦布告を行う)(以降の第10項から第12項省略)
↓
第87条は大統領権限の規定であるが、その第9項に宣戦布告規定がある。緊急事態条項としては、フランス、ドイツと同様の「戦争状態の宣言」だと解して良い。
○第103条
(第1項及び第2項省略)
Military tribunals in time of war have the jurisdiction established by law. In time of peace they have jurisdiction only for military crimes committed by members of the armed forces.
(戦時に於ける軍法会議は、法規定による裁判権を有する。平和時に於いては、軍人及び軍事犯罪にだけが、その裁判権の範囲である。)
↓
平時の軍法会議は軍人に限定するとの言い方は、戦時に於いては軍人に限定されないという意味である。戦後、軍法会議を持たない我々日本人には刺激的な言い回しであるが、戒厳令下との緊急事態では、世界標準の普通の規定である。
○4.アメリカ憲法の緊急事態関連条項
アメリカ憲法には、緊急事態条項との明示的な規定はないのだが、緊急事態での特例に関しては、第1条(Article 1)第9節(Section. 9)の第2項に「反乱または侵略に際し公共の安全上必要とされる場合」との緊急時の特例規定がある。
また、第2条(Article 2)第3節(Section. 3)にも「大統領は、非常の場合には」との緊急時特例がある。
アメリカでは、緊急事態に対処するために大統領がとれる具体的措置に関しては、下位法で定められている。
<アメリカ憲法:第1条・第9節・第2項>
The Privilege of the Writ of Habeas Corpus shall not be suspended, unless when in Cases of Rebellion or Invasion the public Safety may require it.
(人身保護令状の特権は、反乱または侵略に際し公共の安全上必要とされる場合を除いて、停 止されてはならない。)
↓
緊急事態に於いて、公共の安全上必要な場合は可能という意味
<アメリカ憲法:第2条・第3節>
He shall from time to time give to the Congress Information of the State of the Union, and recommend to their Consideration such Measures as he shall judge necessary and expedient; he may,【 on extraordinary Occasions,】 convene both Houses, or either of them, and in Case of Disagreement between them, with Respect to the Time of Adjournment, he may adjourn them to such Time as he shall think proper; he shall receive Ambassadors and other public Ministers; he shall take Care that the Laws be faithfully executed, and shall Commission all the Officers of the United States.
(大統領は、随時、連邦議会に対し、連邦の状況に関する情報を提供し、自ら必要かつ適切と考える施策 について審議するよう勧告するものとする。大統領は、【非常の場合には、】両議院またはいずれかの一院を 召集することができる。大統領は、閉会の時期に関し両議院の間で意見が一致しないときは、自ら適当と 考える時期まで休会させることができる。大統領は、大使その他の外交使節を接受する。大統領は、法律が忠実に執行されることに留意し、かつ、合衆国のすべての官吏を任命する。)
○5:イギリス
イギリスは不成文憲法の国なので、「憲法典上の緊急事態条項」はない。
では、イギリスでは緊急事態法がないのかというとそうではなく、下位法にて戒厳令等が法規定されている。
○6:【ご参考】大日本帝国憲法の緊急期待条項
戦後、現行国憲法から「なくなった」のは軍隊、交戦権、自己決定権だけではない。
それら生存に係る諸権利が剥奪されたのと同様に、緊急事態が発生しても、それに対処する必要はないとして、緊急事態条項も削除された。
2016/04/05投稿:【コラム】報ステ「ワイマール憲法」今北産業Q&A2 ⇒Q14
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-375.html
現行憲法になる以前の帝国憲法の緊急事態条項があるので、それを紹介する。尚、帝国憲法は旧仮名遣いの文語体なので、読み易い様に現代語訳してある。
2016/04/26投稿:(資料編)大日本帝国憲法・現代語訳
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-395.html
1)緊急事態に於ける緊急勅令規定
第8条:天皇は公共の安全を保持し、またはその災厄を避けるための緊急の必要があって帝国議会が閉会中の場合には法律に代わる勅令を発する。
この勅令は次の会期に帝国議会に提出しなければならない。
もし議会において承認されなかった時には政府は奨励には、その勅令の効力が失われることを公布しなければならない。
2)宣戦布告・講和条約
第13条:天皇は宣戦布告を行い講和条約を結び、その条約を締結する。
3)英米のマーシャルロー(戒厳令)に相当する条文
第14条:天皇は戒厳令を宣告する。戒厳の要件と効力は法律によって定められる。
4)臣民権利義務の尊重と緊急事態の関係
第31条:本章に掲げた条規は戦時又は国家事変の場合に於いて天皇大権(戒厳令他)の施行を妨げるものではない。
5)緊急事態に於ける国家財政に関する規定
第70条:公共の安全を保持する為に、緊急に必要がある場合に内外の情勢によって政府は帝国議会を召集することが出来ない時は勅令によって財政上必要な処置を行う事が出来る。
同第2項 前項の場合には次の会期において帝国議会に提出し、その承諾を求める必要がある。
○7:【ご参考】ワイマール憲法の緊急事態条項
かなり長くなり、登録限度文字数を超える危険性があるので、URLのみ紹介する。
ポイントとしては、現在のフランス、ドイツ憲法と同様に、議会承認と議会による緊急事態停止条項があることに注目いただきたい。
2016/03/21投稿:
【コラム】資料編:ワイマール憲法第48条全文和訳
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-367.html
<以上、各国の緊急事態条項を紹介した。>
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副題:我が国と比肩し得るG7主要国の「緊急事態条項」のご紹介。緊急事態条項に悪者レッテルを貼る偏向マスコミ等に騙されることなかれ。
緊急事態条項は法治主義貫徹の為に必須の条項なのだが、現行憲法になった際に帝国憲法にあった緊急事態条項は削除され、現行憲法には存在していない。
しかし、主要国の憲法には緊急事態条項がある。それは法治主義貫徹の為に必須の条項だからだ。
大陸法体系のフランス、ドイツ、イタリアでは憲法に緊急事態条項が明記されている。
英米法体系のアメリカ、不成文憲法のイギリスを含め、我が国に比肩し得る他の先進主要国の緊急事態条項に関しての資料を紹介する。今回は、資料編として事実提示のみとなる。
○1.フランス憲法の緊急事態条項
フランス憲法の第16条が同国の非常事態条項である。
<フランス共和国憲法:2008年7月23日の改正憲法(24回目憲法改正)>
http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/legis/240/024003.pdf
第16条〔非常事態権限〕
1 共和国の制度、国の独立、領土の保全又は国際的取極めの履行が重大かつ切迫した脅威にさらされ、かつ、憲法上の公権力の正常な運営が妨げられた場合には、共和国大統領は、首相、両議院議長及び憲法院に公式に諮問した後に、状況により必要とされる措置をとる。
2 共和国大統領は、教書を発してこの措置を国民に通知する。
3 この措置は、憲法上の公権力機関にその任務を果たすための手段を最短期間のうちに確保させるという意向に基づくものでなければならない。憲法院は、それに関して諮問を受ける。
4 〔この場合に〕国会は、当然に集会する。
5 国民議会は、非常事態権限の行使中に解散することができない。
6 非常事態権限の行使から30日後に、国民議会議長、元老院議長、60人の国民議会議員又は60人の元老院議員は、第1項に定める要件が依然として備わっているか否かの審査のために、憲法院に付託することができる。憲法院は、可及的速やかに公的な意見により裁定する。憲法院は、非常事態権限の行使から60日後はいつでも、当然にこの審査を行い、及び同一の要件により裁定する。
<引用終わり>
フランス憲法の緊急事態条項の基本的構成は以下の様に要約できる。
↓
①:緊急事態の発生の認知を大統領・首相・議会・憲法院で確定
②:国民に対して、緊急事態を通知
③:緊急事態期間中の議会継続の保障
④:緊急事態対応体制の終了させる権限を大統領以外に持たせ、その期限を明示
○2:ドイツ憲法(ドイツ基本法)の緊急事態条項
ドイツ憲法の第10章のa(Ⅹa)国防・第115a条から第115l条が緊急事態条項である。
「第10章のa」との追加規定となっているのは、ドイツでの憲法改正方式によるものである。尚、引用した条文にある「ラント」は、「ドイツ連邦」と解して良い。
http://www.fitweb.or.jp/~nkgw/dgg/
Xa. 国防 (Verteidigungsfall)
◇第115a条 [概念および確認]
(1) 連邦領域が武力で攻撃された、またはこのような攻撃が直接に切迫していること(防衛事態)の確認は、連邦議会が連邦参議院の同意を得て行う。確認は、連邦政府の申立てに基づいて行われ、連邦議会議員の過半数かつ投票の3分の2の多数を必要とする。
(2) 即時の行動が不可避とされる状況で、かつ、連邦議会の適時の集会に克服しがたい障害があり、または議決不能のときは、合同委員会か委員の過半数かつ投票の3分の2の多数をもって、この確認を行う。
(3) 確認は連邦大統領により、第82条に従って連邦法官報で公布される。これが適時に可能でないときは、他の方法によって公布されるが、可能な状況になったときは、直ちに連邦法官報で追完しなければならない。
(4) 連邦領域が武力で攻撃され、かつ、権限を有する連邦機関が1項1段による確認を即時に行うことができる状況にないときは、この確認は行われたものとみなされ、かつ、攻撃が開始された時点で公布されたものとみなされる。
(5) 防衛事態の確認が公布され、かつ連邦領域が武力で攻撃されたときは、連邦大統領は、連邦議会の同意を得て、防衛事態の存在についての国際法上の宣言を発することができる。2項の条件のもとにおいては、合同委員会が連邦議会に代わるものとする。
◇第115b条 [命令・指揮権の連邦首相への移行]
防衛事態の公布とともに、軍隊に対する命令権および指揮権は、連邦首相に移行する。
◇第115c条 [連邦の立法権限の拡張]
(1) 連邦は、防衛事態に対処するために、ラントの立法権限に属する分野においても、競合的立法権を行使する。これらの法律は、連邦参議院の同意を必要とする。
(2) 連邦は、防衛事態の間、事情が必要とする限り、連邦法により、防衛事態の対処のために次のことをすることができる。
1.公用収用の補償に関して、暫定的に第14条3項2段と異なる措置を定めること。
2.自由剥奪に関して、裁判官が、平時に適用される期間内では活動することができないとき、第104条2項および3項1段とは異なる期間、ただし最高限4日の期間を定めること。
(3) 連邦は、防衛事態において、現在の攻撃または直接切迫した攻撃を防御するために必要な限りで、連邦参議院の同意を必要とする連邦法により、連邦およびラントの行政または財政制度について、第8章、第8a章および第10章と異なる規律を定めることができる。この場合、ラント、市町村および市町村連合の生存能力が、とくに財政的な観点からも保護されなければならない。
(4) 1項および2項1号による連邦法は、その執行の準備のために、防衛事態の発生前であっても適用することができる。
◇第115d条 [緊急立法]
(1) 連邦の立法について、防衛事態においては、第76条2項、第77条1項2段および2項ないし4項、第78条ならびに第82条1項によらず、本条2項および3項の規定を適用する。
(2) 連邦政府が緊急なものと表明した連邦政府の法律案は、連邦議会に提出されるのと同時に連邦参議院に送付される。連邦議会と連邦参議院は、速やかに法律案を合同で審議する。法律が連邦参議院の同意を必要とするときは、その法律の成立には、連邦参議院の投票の過半数の同意を必要とする。詳細は、連邦議会が議決し、かつ連邦参議院の同意を必要とする議事規則で定める。
(3) 法律の公布については、第115a条3項2段を準用する。
◇第115e条 [合同委員会の権限]
(1) 合同委員会が防衛事態において、委員の過半数かつ投票の3分の2の多数で、連邦議会の適時の集会に克服しがたい障害があり、または議決不能であることを確認したときは、合同委員会は、連邦議会および連邦参議院の地位を有し、両者の権利を統一して行使する。
(2) 合同委員会の法律によって基本法を改正し、基本法の全部もしくは一部の効力を失わせ、または適用を停止することは許されない。合同委員会は、第23条1項2段、第24条1項および第29条による法律を制定する権限はもたない。
◇第115f条 [連邦政府の権限]
(1) 連邦政府は、防衛事態において、事情が必要とする限りで、次のことをすることができる。
1.連邦国境警備隊を連邦の全領域に出動させること。
2.連邦行政機関のほかラント政府に対して、さらに、連邦政府が急を要すると認めるときはラントの官庁に対して、指示を与えること、ならびにこの権限を連邦政府の指名するラント政府の構成員に委任すること。
(2) 1項によってとられた措置は、遅滞なく、連邦議会、連邦参議院および合同委員会に報告しなければならない。
◇第115g条 [連邦憲法裁判所の地位]
連邦憲法裁判所およびその裁判官の憲法上の地位または憲法上の任務の遂行は、侵害してはならない。連邦憲法裁判所法を合同委員会の法律によって改正することができるのは、それが連邦憲法裁判所の見解によっても連邦憲法裁判所の機能の維持のために必要であるとされる場合に限られる。このような法律が制定されるまでの間、連邦憲法裁判所は、裁判所の活動能力の維持のために必要な措置をとることができる。連邦憲法裁判所は、出席裁判官の過半数で、2段および3段の決定を行う。
◇第115h条 [憲法機関の機能]
(1) 防衛事態中に満了する連邦議会または州国民代表機関の議員の任期は、防衛事態の終了後6カ月を経て終了する。防衛事態中に満了する連邦大統領の任期、ならびに、連邦大統領が任期満了前に欠けたときの連邦参議院議長による連邦大統領の権限の行使は、防衛事態の終了後9カ月を経て終了する。
(2) 合同委員会による連邦首相の改選が必要となったときは、合同委員会が委員の過半数をもって新連邦首相を選挙するものとし、この場合、連邦大統領が合同委員会に候補者を推薦する。合同委員会は、委員の3分の2の多数で後任者を選出することによってのみ、連邦首相に対し不信任を表明することができる。
(3) 防衛事態の期間中は、連邦議会の解散は禁止される。
◇第115i条 [ラント政府の権限]
(1) 権限を有する連邦機関が、危険を防止するための必要な措置をとることができる状況になく、かつ、連邦領域の個別の部分における即時の自主的な行動が不可避的に必要であるときは、ラント政府またはラント政府の指定する官庁もしくは受任者が、第115f条1項の意味における措置を管轄の範囲でとる権限を有する。
(2) 1項による措置は、連邦政府により、またラント官庁および下級の連邦官庁との関係では、ラントの首相によっても、いつでも廃止することができる。
◇注:<j条はない>
◇第115k条 [非常事態における法令の効力]
(1) 第115c条、第115e条および第115g条による法律、ならびにこれらの法律の根拠に基づいて制定された法規命令は、それが適用されている期間中は、これに反する法の適用を排除する。ただし、第115c条、第115e条および第115g条の根拠に基づいて以前に制定された法律については、この限りでない。
(2) 合同委員会が議決した法律およびこれらの法律に基づいて制定された法規命令は、遅くとも防衛事態の終了の6カ月後に効力を失う。
◇第115l条 [防衛事態における法律および措置の廃止、防衛事態の終了、講和]
(1) 連邦議会は、連邦参議院の同意を得て、いつでも合同委員会の法律を廃止することができる。連邦参議院は、連邦議会がこの議決を行うように要求することができる。その他、合同委員会または連邦政府が危険防止のためにとった措置は、連邦議会および連邦参議院の議決により廃止される。
(2) 連邦議会は、いつでも、連邦参議院の同意を得て、連邦大統領が公布する議決によって防衛事態の終了を宣言することができる。連邦参議院は、連邦議会がこの議決を行うように要求することができる。防衛事態は、その確認の前提となった条件が存在しなくなったときは、遅滞なくその終了を宣言しなけれはならない。
(3) 講和については、連邦法で決定する。
<引用終わり>
ドイツ憲法の緊急事態条項は随分と長いが、基本的構成はフランス憲法の緊急事態条項と大差ない。ドイツ憲法の緊急事態条項の基本的構成は以下の通りである。
①から④はフランス憲法での基本的構成であり、○印はドイツの特性に合わせたものである。
↓
①:緊急事態の発生の認知を連邦議会・合同委員会等で確定=◇第115a条
②:国際法上の宣言を発する。(フランスは国民に通知)=◇第115a条
○:軍の指揮命令権が首相に移行するとの規定=◇第115b条(ドイツ特殊事例対応)
③:緊急事態期間中の議会継続の保障=◇第115h条
④:緊急事態対応体制の終了させる権限を首相以外に持たせる規定=◇第115l条
○3:イタリア憲法の緊急事態条項
イタリア憲法の緊急事態条項は、フランス憲法やドイツ憲法と違い、1つの章や条にまとまって記載されていない。様々の条文の中に「戦時に於いては」との記載で緊急事態発生時の特例を付記する方式である。
残念なことに、イタリア憲法の全条和文訳を発見していないので、資料として提示しているのは、イタリア憲法の英文Wikiを元に当方が「勝手な和訳」をしたものを用いている。
<英文Wiki:イタリア憲法>
https://en.wikisource.org/wiki/Constitution_of_Italy
○第77条
The government may not, without delegation from the houses, issue decrees having the force of ordinary law.
(政府は、議会からの信任なき、効力を有する法令を発行することはできない。)
When in extraordinary cases of necessity and urgency the government adopts provisional measures having the force of law it must on the same day present them for conversion into law to the houses which, even if dissolved, shall be especially summoned and shall assemble within five days.
(緊急性を要する必要性ある特別なケースに於いては、政府は効力を有する「暫定措置」をとることが出来る。その場合、大統領は措置設定の当日に議会に対して報告・説明し、法令化の手続きをとる必要がある。その際、議会が解散状態であっても、特別に5日以内に召集される。
The decrees lose effect from their inception if they are not converted into law within sixty days from their publication. The houses can however regulate through laws legal issues arising out of decrees not converted.
(法令化には、公布後60日以内に議会による法改正がなされない場合は失効する。議会は法改正をしないことが出来る)
↓
第77条の第2項にあるのが、緊急事態の場合の特例である。
○第78条
The houses decide on states of war and confer the necessary powers on government.
(議会は、戦争状態であるとの決定し、政府に必要な権限を与える)
↓
「緊急事態の宣言」に関する条項である。この条文から、イタリア憲法では、緊急事態を戦争状態と限定しているとの特徴があることがわかる。
○第60条
The Chamber of Deputies and the Senate of the Republic are elected for five years.
The term for each house cannot be extended except by law and only in cases of war.
(共和国議会の上院及び下院議員の任期は5年である。各議員の任期は法改正又は戦時の場合を除き延長できない)
↓
第60条の第2項は、フランス、ドイツにもあった緊急事態継続中の議会継続の保障条文である。
○第87条
The President of the Republic is the head of the State and represents national unity.
(イタリア大統領はイタリア共和国の元首であり、イタリアの代表権を有する)(第2項から第8公省略)
He is the commander of the armed forces, presides over the Supreme Council of Defence established by law, makes declarations of war which have been decided by the Chambers.(大統領は軍の指揮官であり、法規定により制定された最高防衛会議の議長であり、院内で決定された宣戦布告を行う)(以降の第10項から第12項省略)
↓
第87条は大統領権限の規定であるが、その第9項に宣戦布告規定がある。緊急事態条項としては、フランス、ドイツと同様の「戦争状態の宣言」だと解して良い。
○第103条
(第1項及び第2項省略)
Military tribunals in time of war have the jurisdiction established by law. In time of peace they have jurisdiction only for military crimes committed by members of the armed forces.
(戦時に於ける軍法会議は、法規定による裁判権を有する。平和時に於いては、軍人及び軍事犯罪にだけが、その裁判権の範囲である。)
↓
平時の軍法会議は軍人に限定するとの言い方は、戦時に於いては軍人に限定されないという意味である。戦後、軍法会議を持たない我々日本人には刺激的な言い回しであるが、戒厳令下との緊急事態では、世界標準の普通の規定である。
○4.アメリカ憲法の緊急事態関連条項
アメリカ憲法には、緊急事態条項との明示的な規定はないのだが、緊急事態での特例に関しては、第1条(Article 1)第9節(Section. 9)の第2項に「反乱または侵略に際し公共の安全上必要とされる場合」との緊急時の特例規定がある。
また、第2条(Article 2)第3節(Section. 3)にも「大統領は、非常の場合には」との緊急時特例がある。
アメリカでは、緊急事態に対処するために大統領がとれる具体的措置に関しては、下位法で定められている。
<アメリカ憲法:第1条・第9節・第2項>
The Privilege of the Writ of Habeas Corpus shall not be suspended, unless when in Cases of Rebellion or Invasion the public Safety may require it.
(人身保護令状の特権は、反乱または侵略に際し公共の安全上必要とされる場合を除いて、停 止されてはならない。)
↓
緊急事態に於いて、公共の安全上必要な場合は可能という意味
<アメリカ憲法:第2条・第3節>
He shall from time to time give to the Congress Information of the State of the Union, and recommend to their Consideration such Measures as he shall judge necessary and expedient; he may,【 on extraordinary Occasions,】 convene both Houses, or either of them, and in Case of Disagreement between them, with Respect to the Time of Adjournment, he may adjourn them to such Time as he shall think proper; he shall receive Ambassadors and other public Ministers; he shall take Care that the Laws be faithfully executed, and shall Commission all the Officers of the United States.
(大統領は、随時、連邦議会に対し、連邦の状況に関する情報を提供し、自ら必要かつ適切と考える施策 について審議するよう勧告するものとする。大統領は、【非常の場合には、】両議院またはいずれかの一院を 召集することができる。大統領は、閉会の時期に関し両議院の間で意見が一致しないときは、自ら適当と 考える時期まで休会させることができる。大統領は、大使その他の外交使節を接受する。大統領は、法律が忠実に執行されることに留意し、かつ、合衆国のすべての官吏を任命する。)
○5:イギリス
イギリスは不成文憲法の国なので、「憲法典上の緊急事態条項」はない。
では、イギリスでは緊急事態法がないのかというとそうではなく、下位法にて戒厳令等が法規定されている。
○6:【ご参考】大日本帝国憲法の緊急期待条項
戦後、現行国憲法から「なくなった」のは軍隊、交戦権、自己決定権だけではない。
それら生存に係る諸権利が剥奪されたのと同様に、緊急事態が発生しても、それに対処する必要はないとして、緊急事態条項も削除された。
2016/04/05投稿:【コラム】報ステ「ワイマール憲法」今北産業Q&A2 ⇒Q14
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-375.html
現行憲法になる以前の帝国憲法の緊急事態条項があるので、それを紹介する。尚、帝国憲法は旧仮名遣いの文語体なので、読み易い様に現代語訳してある。
2016/04/26投稿:(資料編)大日本帝国憲法・現代語訳
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-395.html
1)緊急事態に於ける緊急勅令規定
第8条:天皇は公共の安全を保持し、またはその災厄を避けるための緊急の必要があって帝国議会が閉会中の場合には法律に代わる勅令を発する。
この勅令は次の会期に帝国議会に提出しなければならない。
もし議会において承認されなかった時には政府は奨励には、その勅令の効力が失われることを公布しなければならない。
2)宣戦布告・講和条約
第13条:天皇は宣戦布告を行い講和条約を結び、その条約を締結する。
3)英米のマーシャルロー(戒厳令)に相当する条文
第14条:天皇は戒厳令を宣告する。戒厳の要件と効力は法律によって定められる。
4)臣民権利義務の尊重と緊急事態の関係
第31条:本章に掲げた条規は戦時又は国家事変の場合に於いて天皇大権(戒厳令他)の施行を妨げるものではない。
5)緊急事態に於ける国家財政に関する規定
第70条:公共の安全を保持する為に、緊急に必要がある場合に内外の情勢によって政府は帝国議会を召集することが出来ない時は勅令によって財政上必要な処置を行う事が出来る。
同第2項 前項の場合には次の会期において帝国議会に提出し、その承諾を求める必要がある。
○7:【ご参考】ワイマール憲法の緊急事態条項
かなり長くなり、登録限度文字数を超える危険性があるので、URLのみ紹介する。
ポイントとしては、現在のフランス、ドイツ憲法と同様に、議会承認と議会による緊急事態停止条項があることに注目いただきたい。
2016/03/21投稿:
【コラム】資料編:ワイマール憲法第48条全文和訳
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-367.html
<以上、各国の緊急事態条項を紹介した。>



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