「白頭山計画」・実現性なき稀有壮大な妄想
- 2017/06/13
- 20:35
「白頭山計画」・実現性なき稀有壮大な妄想

副題:以前から噂は聞いていた稀有壮大な妄想(笑)。しかし半分本気らしいので、注意が必要だ。こんな「計画」を国家戦略に据えることはマイナスにしかならない。
「白頭山計画」とは、全斗煥時代に韓国で作成された軍事戦略の通称である。
その「計画」の中に、対日戦争計画が含まれているとして、かねてから、その存在の噂があったが、噂の域を出るものではなく「陰謀論の一種」の様な扱いであった。
現在も、その存在が確認されたとの確かな話は聞いたことがないが、今般、韓国メディアの記事で紹介された概要からは、どうやら存在しているらしいので、荒唐無稽なデマではなさそうである。一方、その内容は稀有壮大な妄想であることがあらためて確認出来るものであった。但し、現在に至る韓国軍の装備計画を見ていると、半分本気なのじゃないかとの懸念もあるので、紹介することにした。
「白頭山計画」に関するネット情報(*1)を目にしたのは、約2週間前の5月下旬辺りだったと思う。「月刊朝鮮」というサイトを機械翻訳したものだという。
ちょっと余談になるが、当方がまだ若い頃、「朝鮮半島」と言うと、烈火の如く怒る韓国人と思われる人物が「韓半島だ。朝鮮なんて存在しない」とか言っていたが、当時から「朝鮮ホテル」(朝鮮飯店だったか?)が存在しており、奇妙なことを言うものだと思っていたが、朝鮮日報という新聞は今も発行されており、今回見つけた記事も「月刊朝鮮」であり、「朝鮮」という名称に対して、あの時代にあんなに怒り狂う様を見せたのは、単なるポーズだったのであろうと推定している。迷惑な話である。
話を戻す。
当方は、諺文も朝鮮語も解さない。何10年もの間、海外ビジネスの場で生きてきたが、朝鮮語を習得する必要性が一切なかったからである。今は、機械翻訳との便利なツールがあるので、それを用いて当該記事を読んだ。
「月刊朝鮮」の当該記事は、韓国人が書く文章の典型例であり、論旨曖昧な長文であり、事実なのか記者の感想なのかの境界線が不明なものであり、肝心な5W1Hが書いてないものであった。そういう事なので機械翻訳の全文を引用・紹介することはしない。スペースの無駄だからだ。以下に要約を記すので、それを参考にして欲しい。
尚、「・」を付した記述は、機械翻訳からの抜粋であることから、明確さに欠けたり、言い回しが大仰だったり、時系列が怪しかったり、繰り返しになっていたりすることは予めご了承いただきたい。
<「白頭山計画」記事の要約・概要>
①:When:策定時期:1984年12月頃
②:Who:策定者:=全斗煥大統領
・1984年3月、全斗煥大統領が合同参謀本部に作成を指示。
・1984年11月末報告書完成
・1984年12月1日報告会。
・その後、全斗煥大統領がサインした32部を大統領府、外交安保首席室、国防部、各軍本部、軍司令部など関係機関に各1部ずつを配布して保管。
・この文書は国家機密1級の分類
③:Why:目的:南北統一後の自主防衛戦略・民族生存戦略
④:When2:計画想定時期:2020年南北統一時を想定
・南北統一後の周辺国との力学関係を予想して軍事的対決を想定した国家軍事戦略文書
・南北統一後の朝鮮民族の生存戦略
・南北統一後の韓国の国家戦略と軍事戦略
・南北統一時期は2030年を想定。
・白頭山計画は、南北統一後の国家戦略なので、北朝鮮政権除去の軍事戦略文書ではない。
・白頭山計画には対北朝鮮統一戦略までは含んでいない。
⑤:What:何が書いてあるのか:対中・対日戦争計画、装備計画が書いてある。
⑥:Where:どこが軍事的対応地か:満州、黄海、九州近隣東シナ海
⑦:Howto:何を装備して対処するか:核兵器保有、原潜、レーザー兵器
・満州と離於島一帯で中国-日本との領土紛争時の軍事的方案を含む。
・統一韓国が当面すると想定される国際的状況への軍事的対応
・「白頭山」という名前を付けたことは「古土の回復」を暗示する
・白頭山計画には南北統一直後、陸上では満州地域の苦土回復、海洋では離於島と7鉱区(九州の南西近隣海域)の紛争を未然に防止して軍事的に後押しする内容を入れた
・7鉱区が地理的には日本に近いが1970年5月韓国が先に7鉱区を開発して領有権宣言をしたが、日本の反対にあたって1974年韓日大陸棚協定を結んだ。 協定によれば、どちらか一方でも資源探査および採取に対して同意しなければ開発できない
・2028年に50年期限の韓日大陸棚協定が満了する前まで対策を用意しなければ国際海洋法により7鉱区大部分が日本側に移る
・白頭山計画には7鉱区をはじめとして海洋領土と資源紛争を後押しする軍事力を建設するのを入れた
・満州が高句麗疆土だったとの強力な連結の輪を作って現在のその地域国家と連合戦線を咲いて中国を圧迫しようという論理
・統一後も朝鮮半島は周辺強大国に囲まれている状況なので、アメリカとの同盟1つでは統一韓国を支えにくい
・アメリカ中心の一方的同盟関係で脱離して当時未修交国の中国とロシアとも関係改善を模索して東北アジア地域で均衡自適役割をしなければならない
・白頭山計画は朝鮮半島防御の範囲を1000kmと想定。
・弱小国は信頼度高い反撃能力のために大量破壊武器が必須だ。
・核兵器保有、原子力推進潜水艦、レーザー武器など
「・」を付した機械翻訳からの抜粋が多くなってしまったが、①等の丸数字を付した部分だけを読んでいただいても良い。
「白頭山計画」に関して、これだけ詳細な記述があるので、「存在している」と考えて良いと思われる。それにしても、これが本当だとして、我が国としては、これら「リスク」にちゃんと対応しないと、また迷惑を被ることになる。
先ず、「白頭山計画」の策定時期に注目したい。
韓国メディアの記事によれば、全斗煥大統領から計画策定指示が発せられたのが「1984年3月」で、計画の承認がなされたのは、同年の12月頃となっている。
その時代に既に成人年齢に達していた当方からすれば「全斗煥大統領」と言えば、「安保経済協力金100億ドル」のとんでもない要求をしてきた大統領だということが真っ先に頭に浮かぶ。詳しい経緯は以前、別項で論述済(*2)だが、以下にその概要を簡単に紹介する。
全斗煥が大統領だったのは、1980年9月から1988年2月までである。
その最初期の1980年とは、前任の朴正煕の時代に得た「日韓基本条約」での資金供与がなくなり、当の朴正煕が暗殺された翌年である。そこで全斗煥は、大統領就任直後に「朝鮮半島が日本の防波堤になっているのだから、その分の100億ドルを支払え」と「安保経済協力金」を要求してきた。結局、中曽根が首相になった後の1983年に40億ドルの「経済協力金」が供与されることになったのである。
要するに、全斗煥が白頭山計画の策定を指示した「1984年」とは、「40億ドルの入金のアテ」が出来た1983年の翌年であるということだ。
「朝鮮半島は日本の防波堤」と称して始まった日本の「経済協力金」支払が決まったら、韓国は、日本との戦争計画の策定を開始したということだ。
全斗煥が大統領になった1980年には、もう1つトピックスがある。
1980年10月に北朝鮮の金日成は「高麗連邦共和国」構想を発表した。
最近は、韓国の新大統領の文在寅が同様のことを言っているが、あれは金日成構想をなぞっていると解している。
「高麗連邦共和国」構想の骨子は、「一民族・一国家・二制度・二政府に連邦制国家」というものであるが、今や、韓国も北朝鮮も国連加盟国であり、連邦共和国の対外的主権を誰が代表するのか等の未解決の問題のハードルはより高くなっているので、これも「実現性なき構想」であると考えている。
そういう状況下だったこともあり、白頭山計画は、「南北統一後」の構想になったのではないかと考えている。
もう1つ、この時期に構想されたものとしての特徴としては、1984年の時点の中国の軍事力がある。
当時は、今と違って中国の軍事力は全然弱小であったので、韓国は、満州(現在の中国東北三省)や黄海の離於島(実は暗礁でしかない)で中国を相手に軍事作戦を実施して撃退するとの構想になっているのである。
現在の中国は、毎年2桁パーセンテージの軍拡を30年も続けた結果、韓国軍では歯が立たない状態にまでの軍事大国になっていることはご存じの通りである。
一方、白頭山計画当時と同様の「9条憲法」と「最低限の自衛力」を続けている我が国は、相変わらずである。中国は、大軍拡により、韓国の攻撃意図を完全に抑止しているが、我が国は、軍事力で韓国の意図を抑止出来ていない。
対韓国に関しては、安倍政権以前は、韓国の軍事力は日米同盟でのみ押えている状態であり、韓国の軍事力によらない侵略行為に対して、必要な防御が出来ていない状態が続いていた。安倍政権以降は巧みな外交での対応を開始しており、的確だと思うがまだまだ先は長い。
白頭山計画で韓国側が考えている対日軍事行動の対象地域に登場した「第7鉱区」( (*3)とは、九州近隣の東シナ海の海域のことである。
地図で見るとわかるが、極めて我が国領土に近い場所である。
1983年当時、その海域で我が国海上自衛隊と対峙するだけの海上兵力を韓国は持っていないが、やはり9条を利用し、「手出しが出来ない」と高を括っているのであろう。
「第7鉱区」の石油埋蔵量はサウジを凌駕すると言われており、文字通り宝の山である。
「英国病」に苦しむイギリスが復活できたのも、北海油田の御蔭と言われているが、韓国は、この第7鉱区をずっと虎視眈々と狙っているのである。その期限は2028年である。
これ以外に、白頭山計画は「朝鮮半島防御の範囲を1000kmと想定」と言っているが、「防御範囲」とは、そこに「敵」が存在することを許さない範囲のことであり、仁川から1000kmだと上海や北京が「防御範囲」に含まれ、釜山からだと東京も「防御範囲」となり、近隣諸国にケンカを売っているに等しい妄言でしかない。
また、核兵器保有、原子力推進潜水艦保有等も「計画」されている。
ここまでお読みならば、お分かりの様に、白頭山計画は現実情勢を無視した、単なる願望・妄想であり、実現性はない。
「あ~、いつもの事だよ」と感じるかもしれないが、月刊朝鮮の記事は、白頭山計画を現状に復活させろとの一文で終わっているし、韓国軍の装備品整備の過去実績からは、白頭山計画が未だに彼等のマインドの中に存在し続けている様である。
こんな実現性のない願望・妄想を国家戦略に据えているとしたら、その悪影響は韓国のみならず、近隣の我が国にとっても不幸を誘発する原因になりかねない危険なものであることを指摘しておく。
【文末脚注】
(*1):「白頭山計画」に関するネット情報
○うわさ通り、韓国は対日戦争計画を立てていた話(自動翻訳)
[単独] 1級国家機密」大韓民国の生存戦略」存在した
全斗煥政府、韓国版シュリーフェン・プラン」白頭山計画」の作成した!
http://monthly.chosun.com/client/news/viw.asp?ctcd=G&nNewsNumb=201606100018
<引用終わり>
(*2):全斗煥「安保経済協力金100億ドル」と中曽根
<「憲法9条が韓国をOECD加盟国にした」シリーズの後半2編>
2017/02/07投稿:
風吹き桶屋の地政学6
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-599.html
2017/02/09投稿:
憲法9条が韓国をOECD加盟国にした7Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-600.html
(*3):韓国が対日戦を想定する「第7鉱区」の地図画像
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d0/Japan_Korea_JDZ_J.png
FC2 Blog Ranking


副題:以前から噂は聞いていた稀有壮大な妄想(笑)。しかし半分本気らしいので、注意が必要だ。こんな「計画」を国家戦略に据えることはマイナスにしかならない。
「白頭山計画」とは、全斗煥時代に韓国で作成された軍事戦略の通称である。
その「計画」の中に、対日戦争計画が含まれているとして、かねてから、その存在の噂があったが、噂の域を出るものではなく「陰謀論の一種」の様な扱いであった。
現在も、その存在が確認されたとの確かな話は聞いたことがないが、今般、韓国メディアの記事で紹介された概要からは、どうやら存在しているらしいので、荒唐無稽なデマではなさそうである。一方、その内容は稀有壮大な妄想であることがあらためて確認出来るものであった。但し、現在に至る韓国軍の装備計画を見ていると、半分本気なのじゃないかとの懸念もあるので、紹介することにした。
「白頭山計画」に関するネット情報(*1)を目にしたのは、約2週間前の5月下旬辺りだったと思う。「月刊朝鮮」というサイトを機械翻訳したものだという。
ちょっと余談になるが、当方がまだ若い頃、「朝鮮半島」と言うと、烈火の如く怒る韓国人と思われる人物が「韓半島だ。朝鮮なんて存在しない」とか言っていたが、当時から「朝鮮ホテル」(朝鮮飯店だったか?)が存在しており、奇妙なことを言うものだと思っていたが、朝鮮日報という新聞は今も発行されており、今回見つけた記事も「月刊朝鮮」であり、「朝鮮」という名称に対して、あの時代にあんなに怒り狂う様を見せたのは、単なるポーズだったのであろうと推定している。迷惑な話である。
話を戻す。
当方は、諺文も朝鮮語も解さない。何10年もの間、海外ビジネスの場で生きてきたが、朝鮮語を習得する必要性が一切なかったからである。今は、機械翻訳との便利なツールがあるので、それを用いて当該記事を読んだ。
「月刊朝鮮」の当該記事は、韓国人が書く文章の典型例であり、論旨曖昧な長文であり、事実なのか記者の感想なのかの境界線が不明なものであり、肝心な5W1Hが書いてないものであった。そういう事なので機械翻訳の全文を引用・紹介することはしない。スペースの無駄だからだ。以下に要約を記すので、それを参考にして欲しい。
尚、「・」を付した記述は、機械翻訳からの抜粋であることから、明確さに欠けたり、言い回しが大仰だったり、時系列が怪しかったり、繰り返しになっていたりすることは予めご了承いただきたい。
<「白頭山計画」記事の要約・概要>
①:When:策定時期:1984年12月頃
②:Who:策定者:=全斗煥大統領
・1984年3月、全斗煥大統領が合同参謀本部に作成を指示。
・1984年11月末報告書完成
・1984年12月1日報告会。
・その後、全斗煥大統領がサインした32部を大統領府、外交安保首席室、国防部、各軍本部、軍司令部など関係機関に各1部ずつを配布して保管。
・この文書は国家機密1級の分類
③:Why:目的:南北統一後の自主防衛戦略・民族生存戦略
④:When2:計画想定時期:2020年南北統一時を想定
・南北統一後の周辺国との力学関係を予想して軍事的対決を想定した国家軍事戦略文書
・南北統一後の朝鮮民族の生存戦略
・南北統一後の韓国の国家戦略と軍事戦略
・南北統一時期は2030年を想定。
・白頭山計画は、南北統一後の国家戦略なので、北朝鮮政権除去の軍事戦略文書ではない。
・白頭山計画には対北朝鮮統一戦略までは含んでいない。
⑤:What:何が書いてあるのか:対中・対日戦争計画、装備計画が書いてある。
⑥:Where:どこが軍事的対応地か:満州、黄海、九州近隣東シナ海
⑦:Howto:何を装備して対処するか:核兵器保有、原潜、レーザー兵器
・満州と離於島一帯で中国-日本との領土紛争時の軍事的方案を含む。
・統一韓国が当面すると想定される国際的状況への軍事的対応
・「白頭山」という名前を付けたことは「古土の回復」を暗示する
・白頭山計画には南北統一直後、陸上では満州地域の苦土回復、海洋では離於島と7鉱区(九州の南西近隣海域)の紛争を未然に防止して軍事的に後押しする内容を入れた
・7鉱区が地理的には日本に近いが1970年5月韓国が先に7鉱区を開発して領有権宣言をしたが、日本の反対にあたって1974年韓日大陸棚協定を結んだ。 協定によれば、どちらか一方でも資源探査および採取に対して同意しなければ開発できない
・2028年に50年期限の韓日大陸棚協定が満了する前まで対策を用意しなければ国際海洋法により7鉱区大部分が日本側に移る
・白頭山計画には7鉱区をはじめとして海洋領土と資源紛争を後押しする軍事力を建設するのを入れた
・満州が高句麗疆土だったとの強力な連結の輪を作って現在のその地域国家と連合戦線を咲いて中国を圧迫しようという論理
・統一後も朝鮮半島は周辺強大国に囲まれている状況なので、アメリカとの同盟1つでは統一韓国を支えにくい
・アメリカ中心の一方的同盟関係で脱離して当時未修交国の中国とロシアとも関係改善を模索して東北アジア地域で均衡自適役割をしなければならない
・白頭山計画は朝鮮半島防御の範囲を1000kmと想定。
・弱小国は信頼度高い反撃能力のために大量破壊武器が必須だ。
・核兵器保有、原子力推進潜水艦、レーザー武器など
「・」を付した機械翻訳からの抜粋が多くなってしまったが、①等の丸数字を付した部分だけを読んでいただいても良い。
「白頭山計画」に関して、これだけ詳細な記述があるので、「存在している」と考えて良いと思われる。それにしても、これが本当だとして、我が国としては、これら「リスク」にちゃんと対応しないと、また迷惑を被ることになる。
先ず、「白頭山計画」の策定時期に注目したい。
韓国メディアの記事によれば、全斗煥大統領から計画策定指示が発せられたのが「1984年3月」で、計画の承認がなされたのは、同年の12月頃となっている。
その時代に既に成人年齢に達していた当方からすれば「全斗煥大統領」と言えば、「安保経済協力金100億ドル」のとんでもない要求をしてきた大統領だということが真っ先に頭に浮かぶ。詳しい経緯は以前、別項で論述済(*2)だが、以下にその概要を簡単に紹介する。
全斗煥が大統領だったのは、1980年9月から1988年2月までである。
その最初期の1980年とは、前任の朴正煕の時代に得た「日韓基本条約」での資金供与がなくなり、当の朴正煕が暗殺された翌年である。そこで全斗煥は、大統領就任直後に「朝鮮半島が日本の防波堤になっているのだから、その分の100億ドルを支払え」と「安保経済協力金」を要求してきた。結局、中曽根が首相になった後の1983年に40億ドルの「経済協力金」が供与されることになったのである。
要するに、全斗煥が白頭山計画の策定を指示した「1984年」とは、「40億ドルの入金のアテ」が出来た1983年の翌年であるということだ。
「朝鮮半島は日本の防波堤」と称して始まった日本の「経済協力金」支払が決まったら、韓国は、日本との戦争計画の策定を開始したということだ。
全斗煥が大統領になった1980年には、もう1つトピックスがある。
1980年10月に北朝鮮の金日成は「高麗連邦共和国」構想を発表した。
最近は、韓国の新大統領の文在寅が同様のことを言っているが、あれは金日成構想をなぞっていると解している。
「高麗連邦共和国」構想の骨子は、「一民族・一国家・二制度・二政府に連邦制国家」というものであるが、今や、韓国も北朝鮮も国連加盟国であり、連邦共和国の対外的主権を誰が代表するのか等の未解決の問題のハードルはより高くなっているので、これも「実現性なき構想」であると考えている。
そういう状況下だったこともあり、白頭山計画は、「南北統一後」の構想になったのではないかと考えている。
もう1つ、この時期に構想されたものとしての特徴としては、1984年の時点の中国の軍事力がある。
当時は、今と違って中国の軍事力は全然弱小であったので、韓国は、満州(現在の中国東北三省)や黄海の離於島(実は暗礁でしかない)で中国を相手に軍事作戦を実施して撃退するとの構想になっているのである。
現在の中国は、毎年2桁パーセンテージの軍拡を30年も続けた結果、韓国軍では歯が立たない状態にまでの軍事大国になっていることはご存じの通りである。
一方、白頭山計画当時と同様の「9条憲法」と「最低限の自衛力」を続けている我が国は、相変わらずである。中国は、大軍拡により、韓国の攻撃意図を完全に抑止しているが、我が国は、軍事力で韓国の意図を抑止出来ていない。
対韓国に関しては、安倍政権以前は、韓国の軍事力は日米同盟でのみ押えている状態であり、韓国の軍事力によらない侵略行為に対して、必要な防御が出来ていない状態が続いていた。安倍政権以降は巧みな外交での対応を開始しており、的確だと思うがまだまだ先は長い。
白頭山計画で韓国側が考えている対日軍事行動の対象地域に登場した「第7鉱区」( (*3)とは、九州近隣の東シナ海の海域のことである。
地図で見るとわかるが、極めて我が国領土に近い場所である。
1983年当時、その海域で我が国海上自衛隊と対峙するだけの海上兵力を韓国は持っていないが、やはり9条を利用し、「手出しが出来ない」と高を括っているのであろう。
「第7鉱区」の石油埋蔵量はサウジを凌駕すると言われており、文字通り宝の山である。
「英国病」に苦しむイギリスが復活できたのも、北海油田の御蔭と言われているが、韓国は、この第7鉱区をずっと虎視眈々と狙っているのである。その期限は2028年である。
これ以外に、白頭山計画は「朝鮮半島防御の範囲を1000kmと想定」と言っているが、「防御範囲」とは、そこに「敵」が存在することを許さない範囲のことであり、仁川から1000kmだと上海や北京が「防御範囲」に含まれ、釜山からだと東京も「防御範囲」となり、近隣諸国にケンカを売っているに等しい妄言でしかない。
また、核兵器保有、原子力推進潜水艦保有等も「計画」されている。
ここまでお読みならば、お分かりの様に、白頭山計画は現実情勢を無視した、単なる願望・妄想であり、実現性はない。
「あ~、いつもの事だよ」と感じるかもしれないが、月刊朝鮮の記事は、白頭山計画を現状に復活させろとの一文で終わっているし、韓国軍の装備品整備の過去実績からは、白頭山計画が未だに彼等のマインドの中に存在し続けている様である。
こんな実現性のない願望・妄想を国家戦略に据えているとしたら、その悪影響は韓国のみならず、近隣の我が国にとっても不幸を誘発する原因になりかねない危険なものであることを指摘しておく。
【文末脚注】
(*1):「白頭山計画」に関するネット情報
○うわさ通り、韓国は対日戦争計画を立てていた話(自動翻訳)
[単独] 1級国家機密」大韓民国の生存戦略」存在した
全斗煥政府、韓国版シュリーフェン・プラン」白頭山計画」の作成した!
http://monthly.chosun.com/client/news/viw.asp?ctcd=G&nNewsNumb=201606100018
<引用終わり>
(*2):全斗煥「安保経済協力金100億ドル」と中曽根
<「憲法9条が韓国をOECD加盟国にした」シリーズの後半2編>
2017/02/07投稿:
風吹き桶屋の地政学6
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-599.html
2017/02/09投稿:
憲法9条が韓国をOECD加盟国にした7Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-600.html
(*3):韓国が対日戦を想定する「第7鉱区」の地図画像
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d0/Japan_Korea_JDZ_J.png



スポンサーサイト