G7サミットに対するマスコミの印象操作
- 2017/05/26
- 22:34
G7サミットに対するマスコミの印象操作

副題:中国に籠絡されている我国マスコミが「報道」に紛れ込ませる印象操作は「G7下げ・G20上げ」。
◇2017年のG7サミットがイタリアで開催されるので、安倍首相がイタリアに向かったとのニュースを見た。そのニュースから想起されたのは、昨年のG7サミットが我国で開催されたことろ当時のアメリカ大統領はオバマだったことである。
◇ちょうど1年前の2016年5月26日・27日に開催されたのが伊勢志摩サミットである。
このサミットに参加していた当時のアメリカ大統領だったオバマは、その足で広島を訪問した。
原爆を投下したアメリカ。その大統領が初めて広島を訪問し、そこでオバマは、過去とは違う21世紀型パラダイムへの変換に向けた演説をした。(*1)
あれは、オバマの大統領就任期間中もっとも良い演説だったと思う。
◇G7諸国の米・英・仏・独・伊・加の西欧文明圏諸国と日本文明の我国・日本との共通の価値観である「法の支配」「民主主義」「公正な競争」他に基づく共同声名として「伊勢志摩G7サミット首脳宣言」(*2)を昨年の伊勢志摩サミットでは採択している。
その宣言の中には、「国際法に基づく海洋秩序と海洋安全保障の確立」との項目がある。
ご存じの通り、国際法を無視して南シナ海の南沙諸島を勝手に埋め立てて領土主張する中国の傍若無人を諌めるものである。
中国が、従前の慣例である、近接する領土に面した海洋のEEZは両国の中間点とする方式をまるっきり無視して、「九段線」と称して、南シナ海全域を「中国のものアル」と勝手に主張していることもご存じの通りである。
この中国の国際海洋秩序破壊への懸念及び是正勧告は、伊勢志摩サミット宣言が初めてではなく、少なくとも、その前年の2015年・ドイツで開催されたエルマウサミットでも採択されている問題だ。(*3)
◇その中国なのだが、昨年の伊勢志摩サミット開催に際して中国は「G7は経済に集中すべきだ」とか「世界政策はG20で協議すべきで、G20はG7より多くの国を代表している」とかの発言をしていたことを思い出していただきたい。
この発言の意図は、中国が「蚊帳の外」にいるG7の「無力化」にある。
中国は自分が入っているG20を、G7にとって代わるものとしたいのである。
あれから1年が経過した今、2017年イタリアG7サミットが開催される。
それを我国マスコミがどの様に「報道」するのかを注目していただきたい。
多分、我国マスコミの「報道」の中には、「G7下げ・G20上げ」コメントが混じり込んでくるだろうと予想している。
知っての通り、我国大手既存マスコミの多くは、中共支那に籠絡されており、「報道」の軸足が日本にはない。そういう状況からの「予測」である。
◇G7サミットは、最初は経済問題が中心に世界の主要国首脳が集まり、討議・検討する場にあったのだが、世界経済は「世界経済」として単独で存在しているものではなく、必然的にG7サミットは世界情勢全般を討議・検討する場となっていったものである。
G7サミットは、そこでの基本コンセプトへのコンセンサス(合意)が世界秩序を安定させてきたとの機能実績があり、毎年継続され現在に至っている。
G7サミットは、一時期、ロシアを入れてG8となった時代があったが、ロシアが入ったことにより、コンセンサスが確立できず、「何も決まらない」状態となり、機能不全に陥ったことがある。
◇これは何を意味するのかというと、「歴史は繰り返される」ということだ。
戦前の国際連盟(1920年1月~1946年4月)、戦後の国際連合(1945年10月~)が機能不全に陥った構造と、G8サミットが機能不全に陥った構造は同じである。
これら3つの事例に共通していることは、文明圏の違いが越えられない壁となり、コンセンサス形成不全状態に陥るとの構造だ。
価値観を共有できない異文明が入り込むことで、コンセンサスが形成できる範囲が極めて限定され、国際間合意効果が半減される事例が発生するのである。
仮に、中国が入っているG20がG7の代わりに、世界の課題に関する基本コンセプトの提示及びそれへのコンセンサス形成をした場合、いったい、どんな基本コンセプトが提示されるのか、想像するにしても不安である。
また、昨年、一昨年のサミットで採択された「中国は傍若無人なる国際法違反や国際慣例無視を止めてくれ」、「国際秩序を維持しましょう」との方向性でのコンセプトが、中国がいるG20で登場しても、それが合意事項にはなり得ることはないであろう。
中国がやっていることは、国際秩序の破壊であり、それに代わる「華夷秩序の拡大」を画策していることは、中国の政策からは容易に推定できることである。
そういう異質な価値観がサミットに入り込むことが、世界平和や世界の人々の安寧に役立つことはない。
◇我々日本文明の日本人は、千数百年も昔から、「協調・親睦の心を持って論議するなら、おのずと物事の道理にかない、どんなことでも成就する」を民族の基準にしてきたので、より多くの参加者が議論の場に参加することは良いことだ、と単純に思ってしまう。
しかし、議論の場に「協調・親睦の心を持たない」で臨む異文明を相手に、単純に「良いこと」だと考えることは危険である。
戦後の国際連合の常任理事国にソ連(現在はロシア)、中共がいることでの機能不全、G8サミットでのロシアがいることでの機能不全を考えていただきたい。
ただ単に、参加者を増やせば良い訳ではない。
参加者の議論姿勢、目的を考慮する必要があるのである。
一方、戦前の国際連盟の常任理帰国の様に、日本が脱退した後は、西欧文化圏一色の状態となり、それにソ連が入り込み、当時の西欧文化圏=白人植民地主義と共産主義との最悪の組み合わせとなっていった事例からは、単一文化圏だけのサミットも危険であることがわかるだろう。
◇中国の議論姿勢が「自己に有利な状況の創成」であり、世界秩序をより良きものにしようとの姿勢はない。中国のやっていることは、むしろ国際秩序の破壊である。
中国を中心とする新たな世界秩序の創成が彼等の目的だ。
中国は、そういう目的の為に、超限戦を展開しており、その一環として、邪魔になる相手に対して情報戦を仕掛けている。
知っての通り、我国大手既存マスコミの多くは、中共支那に籠絡されており、そういう我国マスコミは、その「報道」の中に「G7下げ・G20上げ」のコメントが混入してくるだろうと「予想」される訳である。
と言う訳で、今後、どの様な「報道」をしてくるのか、注目している。
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【文末脚注】
(*1):オバマ広島演説は新たなパラダイムの提示
オバマ広島演説に関しては以下のタグ「広島演説」にて、その意味を読解・解説している。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-category-8.html
尚、オバマ演説は、同時通訳ではなく、当方による英文和訳をしているので、そちらも紹介しておく。上記タグカテゴリーに於いては、英文及びこの和訳をベースに読解・解説している
2016/06/11投稿:
(資料編)オバマ広島演説・和訳
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-433.html
(*2):2016年・伊勢志摩G7サミット首脳宣言
2016/06/06投稿:
【コラム】伊勢志摩G7サミット首脳宣言の概要(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-428.html
2016/06/06投稿:
【コラム】伊勢志摩G7サミット首脳宣言の概要(後編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-429.html
(*3):2015年・ドイツエルマウサミットについて
我国のマスコミは「報道しない自由」を濫用し、首脳宣言の内容をほとんど報道しない。「報道」されるのは、「開催された」との外形的な話ばかりである。
2016/06/06投稿:
【コラム】G7サミットを「報道しない自由」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-427.html
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副題:中国に籠絡されている我国マスコミが「報道」に紛れ込ませる印象操作は「G7下げ・G20上げ」。
◇2017年のG7サミットがイタリアで開催されるので、安倍首相がイタリアに向かったとのニュースを見た。そのニュースから想起されたのは、昨年のG7サミットが我国で開催されたことろ当時のアメリカ大統領はオバマだったことである。
◇ちょうど1年前の2016年5月26日・27日に開催されたのが伊勢志摩サミットである。
このサミットに参加していた当時のアメリカ大統領だったオバマは、その足で広島を訪問した。
原爆を投下したアメリカ。その大統領が初めて広島を訪問し、そこでオバマは、過去とは違う21世紀型パラダイムへの変換に向けた演説をした。(*1)
あれは、オバマの大統領就任期間中もっとも良い演説だったと思う。
◇G7諸国の米・英・仏・独・伊・加の西欧文明圏諸国と日本文明の我国・日本との共通の価値観である「法の支配」「民主主義」「公正な競争」他に基づく共同声名として「伊勢志摩G7サミット首脳宣言」(*2)を昨年の伊勢志摩サミットでは採択している。
その宣言の中には、「国際法に基づく海洋秩序と海洋安全保障の確立」との項目がある。
ご存じの通り、国際法を無視して南シナ海の南沙諸島を勝手に埋め立てて領土主張する中国の傍若無人を諌めるものである。
中国が、従前の慣例である、近接する領土に面した海洋のEEZは両国の中間点とする方式をまるっきり無視して、「九段線」と称して、南シナ海全域を「中国のものアル」と勝手に主張していることもご存じの通りである。
この中国の国際海洋秩序破壊への懸念及び是正勧告は、伊勢志摩サミット宣言が初めてではなく、少なくとも、その前年の2015年・ドイツで開催されたエルマウサミットでも採択されている問題だ。(*3)
◇その中国なのだが、昨年の伊勢志摩サミット開催に際して中国は「G7は経済に集中すべきだ」とか「世界政策はG20で協議すべきで、G20はG7より多くの国を代表している」とかの発言をしていたことを思い出していただきたい。
この発言の意図は、中国が「蚊帳の外」にいるG7の「無力化」にある。
中国は自分が入っているG20を、G7にとって代わるものとしたいのである。
あれから1年が経過した今、2017年イタリアG7サミットが開催される。
それを我国マスコミがどの様に「報道」するのかを注目していただきたい。
多分、我国マスコミの「報道」の中には、「G7下げ・G20上げ」コメントが混じり込んでくるだろうと予想している。
知っての通り、我国大手既存マスコミの多くは、中共支那に籠絡されており、「報道」の軸足が日本にはない。そういう状況からの「予測」である。
◇G7サミットは、最初は経済問題が中心に世界の主要国首脳が集まり、討議・検討する場にあったのだが、世界経済は「世界経済」として単独で存在しているものではなく、必然的にG7サミットは世界情勢全般を討議・検討する場となっていったものである。
G7サミットは、そこでの基本コンセプトへのコンセンサス(合意)が世界秩序を安定させてきたとの機能実績があり、毎年継続され現在に至っている。
G7サミットは、一時期、ロシアを入れてG8となった時代があったが、ロシアが入ったことにより、コンセンサスが確立できず、「何も決まらない」状態となり、機能不全に陥ったことがある。
◇これは何を意味するのかというと、「歴史は繰り返される」ということだ。
戦前の国際連盟(1920年1月~1946年4月)、戦後の国際連合(1945年10月~)が機能不全に陥った構造と、G8サミットが機能不全に陥った構造は同じである。
これら3つの事例に共通していることは、文明圏の違いが越えられない壁となり、コンセンサス形成不全状態に陥るとの構造だ。
価値観を共有できない異文明が入り込むことで、コンセンサスが形成できる範囲が極めて限定され、国際間合意効果が半減される事例が発生するのである。
仮に、中国が入っているG20がG7の代わりに、世界の課題に関する基本コンセプトの提示及びそれへのコンセンサス形成をした場合、いったい、どんな基本コンセプトが提示されるのか、想像するにしても不安である。
また、昨年、一昨年のサミットで採択された「中国は傍若無人なる国際法違反や国際慣例無視を止めてくれ」、「国際秩序を維持しましょう」との方向性でのコンセプトが、中国がいるG20で登場しても、それが合意事項にはなり得ることはないであろう。
中国がやっていることは、国際秩序の破壊であり、それに代わる「華夷秩序の拡大」を画策していることは、中国の政策からは容易に推定できることである。
そういう異質な価値観がサミットに入り込むことが、世界平和や世界の人々の安寧に役立つことはない。
◇我々日本文明の日本人は、千数百年も昔から、「協調・親睦の心を持って論議するなら、おのずと物事の道理にかない、どんなことでも成就する」を民族の基準にしてきたので、より多くの参加者が議論の場に参加することは良いことだ、と単純に思ってしまう。
しかし、議論の場に「協調・親睦の心を持たない」で臨む異文明を相手に、単純に「良いこと」だと考えることは危険である。
戦後の国際連合の常任理事国にソ連(現在はロシア)、中共がいることでの機能不全、G8サミットでのロシアがいることでの機能不全を考えていただきたい。
ただ単に、参加者を増やせば良い訳ではない。
参加者の議論姿勢、目的を考慮する必要があるのである。
一方、戦前の国際連盟の常任理帰国の様に、日本が脱退した後は、西欧文化圏一色の状態となり、それにソ連が入り込み、当時の西欧文化圏=白人植民地主義と共産主義との最悪の組み合わせとなっていった事例からは、単一文化圏だけのサミットも危険であることがわかるだろう。
◇中国の議論姿勢が「自己に有利な状況の創成」であり、世界秩序をより良きものにしようとの姿勢はない。中国のやっていることは、むしろ国際秩序の破壊である。
中国を中心とする新たな世界秩序の創成が彼等の目的だ。
中国は、そういう目的の為に、超限戦を展開しており、その一環として、邪魔になる相手に対して情報戦を仕掛けている。
知っての通り、我国大手既存マスコミの多くは、中共支那に籠絡されており、そういう我国マスコミは、その「報道」の中に「G7下げ・G20上げ」のコメントが混入してくるだろうと「予想」される訳である。
と言う訳で、今後、どの様な「報道」をしてくるのか、注目している。
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【文末脚注】
(*1):オバマ広島演説は新たなパラダイムの提示
オバマ広島演説に関しては以下のタグ「広島演説」にて、その意味を読解・解説している。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-category-8.html
尚、オバマ演説は、同時通訳ではなく、当方による英文和訳をしているので、そちらも紹介しておく。上記タグカテゴリーに於いては、英文及びこの和訳をベースに読解・解説している
2016/06/11投稿:
(資料編)オバマ広島演説・和訳
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-433.html
(*2):2016年・伊勢志摩G7サミット首脳宣言
2016/06/06投稿:
【コラム】伊勢志摩G7サミット首脳宣言の概要(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-428.html
2016/06/06投稿:
【コラム】伊勢志摩G7サミット首脳宣言の概要(後編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-429.html
(*3):2015年・ドイツエルマウサミットについて
我国のマスコミは「報道しない自由」を濫用し、首脳宣言の内容をほとんど報道しない。「報道」されるのは、「開催された」との外形的な話ばかりである。
2016/06/06投稿:
【コラム】G7サミットを「報道しない自由」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-427.html



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