NEO(非戦闘員退避作戦)1
- 2017/04/25
- 19:47
NEO(非戦闘員退避作戦)1

副題:朝鮮半島情勢に伴う在韓邦人保護・野党や朝日が盛んに批判していた「有事法制」「戦争法案」は在韓邦人保護に必要な法制なの。
イラクPKOの「ヒゲの隊長」の愛称で知られる自民党参議院議員・佐藤正久氏の軍事的見識は高い。その道のプロであり、軍事知識が希薄な我国国会議員の中にあっては貴重な存在である。佐藤正久議員は、現行の朝鮮半島情勢に鑑み、朝鮮半島からの邦人退避に関しての意見を述べており、それが記事になっている(*1)。
その中で、佐藤正久議員はNEO(ネオ)との用語を用いている。
NEOとは、Non-combatant Evacuation Operationの頭文字をとったもので、非戦闘員退避作戦のことである。「作戦」との語句を嫌う風潮から、「戦闘員退避「行動」」と訳されることもある。
どの様な作戦かと言うと、それは文字通り、「非戦闘員=Non-combatant」を危険な場所から「脱出=Evacuation」させる「作戦=Operation」である。
「非戦闘員」とは、ジュネーブ条約の「文民」のこと、「軍人以外」と同義だと考えて良い。
朝鮮半島有事の際の、NEOの主体は米軍になると思われるので、英文で「Non-combatant Evacuation Operation」をググってみたところ、英文Wiki(*2)等の複数の英文サイトがヒットした。英文Wikiには先ず、以下の説明があった。
<英文Wikiより引用>
A non-combatant evacuation operation (NEO) is an operation conducted to evacuate civilians from another country, generally due to a deteriorating security situation.
↓
非戦闘避難作戦(NEO)は、「文民を他国から=civilians from another country」「脱出させる為に導く=conducted to evacuate」「作戦=operation」であり、「一般的には=generally」「セキュリティ状況が悪化していることにより=due to a deteriorating security situation」実施されるものである。
要するに、民間人など軍人ではない人々を危険な場所から退避させる作戦であることがわかる。
英文Wikiには、NEOは「United States Military Joint Publication 3-68」(直訳:米国軍事統合刊行物3-68)に規定されたものだとある。
米国政府の統合刊行物3-68がどの様なものか調べたところ、それが見つかったので、文末脚注(*3)に、そのURLを紹介しておく。
これについては、また後段で取り上げるが、同書のScope(適用範囲)、Purpose(目的)を読むと、我が国では「方針書」とか「マニュアル」と称されるものだと思われる文書であった。
この文書を読むと、脱出させる対象は「American citizen(米国国民)」であり、アメリカ人以外の他国国民は基本的には「対象外」とされている。
とは言え、特例で対象になることはあり、その場合はどういう場合かは同書の諸規定による。英文Wikiの記載では、「当該国の選択された文民(selected host-nation citizens)」及び「third country nationals(第3国の国民)」も脱出させる対象になっているのは、そういう特例の話である。
アメリカのNEOは、国務省(日本の外務省に相当)管轄であり、現地の駐在アメリカ大使がNEOを統括する立場である旨の記載がある。
英文Wikiには、過去、実際に行われたNEOの事例が国別に記載されており、その内訳は、ドイツ2回、アイルランド1回、イギリス2回とアメリカ21回である。
アメリカの21回の内容を見ると、1975年のサイゴン陥落時の脱出が第1回目で、他には1991年のフィリピン・ビナツボ火山噴火や2011年の東日本大震災時もNEOが実施されているのだが、他の実施事例の殆どが中近東、アフリカ、東欧からの脱出作戦である。
詳しくは英文Wikiを参照願いたいが、歴史上、アメリカが自国民間人を脱出させたのはベトナム戦争時が最初ではないので、多分、アメリカでのNEOの体系的制度化以降の事例だけが書かれているのであろうと推察している。
実際のところ、1950年の朝鮮戦争時、アメリカは、自国民を朝鮮半島から占領下日本へと避難させている歴史があるので、もう少し詳しく調べてみた。
そうしたところ、在韓米軍の主力である「U.S.ARMY SECOND INFANTRY DIVISION/ROK-US Combined Division」(米陸軍第2歩兵師団/米韓連合司令部)の公式HPの中に、NEOの説明ページ(*4)があった。
そのHPにある要旨資料には、NEOの歴史として1950年の朝鮮戦争との記載や、1975年のサイゴンや2011年の東日本大震災他の記載があった。
NEOを論じる際の一次資料としては、ここまで紹介した正本である「統合刊行物3-68」と米韓連合司令部HPの「要約版」があれば充分であろう。また、Wikiは参考程度にとどめるのが宜しかろう。
これらアメリカのNEO関係資料を見ると、NEO(非戦闘員退避作戦)が実行される際の各種要件が確認出来る。これら2つの英文資料のうち、正本の方は、ページ数が多く記載内容が多々あり、隅々までは読んでないが、当方が読んだ限りの理解で論評を続ける。
この文章を読んでいる方々がもっとも興味があるのは、退避方法とその対象者であろう。
これらに関しては、米韓連合司令部HPの要約版の表紙を含めた6ページ目に以下の様な4段階の記載があるので、先ず、それを紹介する。
<6ページ目の引用及び当方による和訳(意訳)>
1. Voluntary Departure: Noncombatants leave at their own expense
(1.自主的出国:自分自身の費用にて非戦闘員が出国)
2. Authorized Departure: U.S. Government (USG) affiliated Noncombatants leave at government expense
(2.公式的出国(公的避難勧告):米国政府が認定した非戦闘員の米国政府費用での出国)
3. Ordered Departure: U.S. Government (USG) affiliated Noncombatants are ordered to leave (at government expense) per Status of Forces Agreement (SOFA)
(3.出国命令:「地位協定(SOFA)」対象者への出国命令。費用は米国政府負担。
4. NEO: Evacuation of American Citizens (AMCITs) and specific Korean Third Country Nationals (TCNs) according to U.S. Department of State.
(4.NEO発動:米国国務省による米国市民(AMerican CITizen)、特定の韓国人、特定の第3国国民を対象にしたNEOの実施)
<引用終わり>
アメリカらしいというか、脱出費用の負担先が一々書いてあるのが面白い。
米韓連合司令部HPの要約版には、この様に記載されており、上記4.にある「対象者」は米国市民の他に「特定の韓国人と第3国の国民」も対象としている。
これは英文Wikiの記載と合致する。
一方、正本である「統合刊行物3-68」のChapter IV 6 c には、避難対象者及びその優先順位の記載があり、non-US citizens(米国市民じゃない人)も「対象にできます」とあるが、初期脱出の混乱等を勘案して、非米国市民の優先順位は米国市民より低い旨が書かれている。
これは、ある意味、当たり前である。
米国政府は米国市民を保護する義務があり、米国政府は米国市民により支えられた存在だからである。
優先順位に関しては、これ以外に、輸送手段として「非米国市民には、主要な商業国際空港の商用航空機(民間定期便やチャーター便)を配備して実施される」とあり、また、米軍の軍用機に非米国市民を乗せる場合には、受入国(緊急的中継国または米国本土)との事前の連絡が必要な旨の記載もある。
米韓連合司令部HPの要約版には、非米国市民でも対象となる場合の例示が同資料5ページ目にあるが、以下の通り、正本にある優先順位とかの明示はなく、「特定の」という一言で済ましている様である。
<5ページ目の抜粋引用及び当方による和訳(意訳)>
U.S./non-U.S. citizens who may be authorized assistance
(米国市民/非米国市民の誰に援助が認められるか(対象者なり得るか)
・Private U.S. citizens and their dependents
(公的ではない目的で滞在している米国市民とその扶養家族)
・Legal permanent residents of the U.S.
(米国が法的に永住権を認めている者とその扶養家族)
・Designated foreign national employees of the U.S. Government and their dependents
(米政府機関従業員のうち指定した外国人従業員とその扶養家族)
・Designated foreign nationals
(外国人のうち指定した者)
<引用終わり>
読んでわかる通り、「非米国市民」と言っても、何等かの米国との深い係り合いがある人物が対象であることがわかるだろう。
「非米国市民」であっても、米国市民(市民権者=米国国籍)の扶養家族とか、「グリーンカード」と言われる永住権者は米国市民ではないが、米国市民に準じており、永住権者本人とその扶養家族が対象となっている。
ここまでは、個別人物別の「指定」とか「特定」はないのだが、以降の米国市民以外は、米国政府による指定・特定が必要だということが書いてある。
このMEO対象者カテゴリーに関しては、正本ではChapter VI 5 b c に書かれている。要約版とは若干ニュアンスが違っているが、基本的には同じである。
あくまでも、対象は米国市民との米国国籍を持つアメリカ人なのである。
この様に、一次資料に基づけば、韓国の一般国民はNEOの対象ではないのであることがわかるだろう。朝鮮半島有事になったら国外に逃げると称している一般韓国人は、米軍のNEOプログラムの対象ではないのである。
一方、韓国にいる日本の一般国民はどうであろうか?
この問いに答える為には「アメリカのNEO資料」だけではわからない。
基本は、我国国民を守るのは我国の責務であり、我国を支えているのは我々国民なのであるから、我国の在外邦人保護方針等を確認しなければ、正確にはわからないのである。
我国の在外邦人保護方針等に関する資料は、外務省のHPにある。
その資料は、文末脚注(*5)に必要部分を抜粋引用した。所謂「見直し日米ガイドライン」であるが、そこには、そのものズバリの「(イ)救援活動及び避難民への対応のための措置、(ハ)非戦闘員を退避させるための活動」等の、まさにNEOに関しての日米協力の指針が書かれているのである。
日米ガイドラインの見直しが完了したのは、1997年9月のことである。
そこには、「日米両国が、各々の基準に従って」との一文があるが、これは、はっきり言ってしまえば、我国の場合、例え「非戦闘員を退避させるための活動」との極めて人道的な活動であっても、「憲法の制約」によって「出来ない」とされていたからである。
ガイドライン見直しの後、野党が「人権を制限する有事法制ハンターーイ」とか叫んでいた国民保護法や武力事態法等の改正及び野党や偏差値28辺りが「戦争法案ハンターーイ」と騒がしかった安保法制に成立等を受け、このガイドラインの指針がより実効性あるものへと進化しているのが現状である。
あまりにも偏った片務性は是正され、以下の様に、朝鮮半島でのNEO活動を我国も出来る状態にしつつある。
<見直しガイドラインのうち、NEO関係部分抜粋引用>
(ハ)非戦闘員を退避させるための活動
○日本国民又は米国国民である非戦闘員を第三国から安全な地域に退避させる必要が生じる場合には、日米両国政府は、自国の国民の退避及び現地当局との関係について各々責任を有する。日米両国政府は、各々が適切であると判断する場合には、各々の有する能力を相互補完的に使用しつつ、輸送手段の確保、輸送及び施設の使用に係るものを含め、これらの非戦闘員の退避に関して、計画に際して調整し、また、実施に際して協力する。日本国民又は米国国民以外の非戦闘員について同様の必要が生じる場合には、日米両国が、各々の基準に従って、第三国の国民に対して退避に係る援助を行うことを検討することもある。
<引用終わり>
我国は、アメリカと日米安保条約を締結しているが、以前は、「憲法の制約」による異常な片務性により、他の分野他への悪影響等が問題視されていたが、ずっと改善がなされてこなかった。
一方、我国近隣の情勢から、亀の歩みながら、下位法の改善他により対処してきたことで、本日只今は、朝鮮半島からの文民脱出に少しは貢献できる様な法的整備が出来ている。
肝心の「憲法」は未だに改正できず、相変わらず「憲法の制約」は存在しているが、少なくとも、イラン・イラク戦争時のテヘラン空港での「国民見殺し状態」は避けられそうだ。
アメリカと共同でNEOを実施出来る体制とは、アメリカ側のNEOでの対象者に日本人が含まれるとの状態を可能にするからである。
<長くなったので項を分けます>
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【文末脚注】
(*1):夕刊フジの記事を引用
gooニュース 04月20日 17:05
https://news.goo.ne.jp/article/fuji/politics/fuji-plt1704200004.html
見出し:◆第2次朝鮮戦争勃発なら日本に難民100万人 北工作員紛れ込む可能性も…ヒゲの隊長「受け入れ体制不十分」
記事本文:○朝鮮半島の緊張状態が続いている。ドナルド・トランプ米大統領が「(北朝鮮は)行儀よく振る舞え!」と言い放つと、北朝鮮高官は「全面戦争になるぞ」と威嚇する。安倍晋三首相は、来日したマイク・ペンス米副大統領と会談し、日米同盟の固い結束を示した。今後、韓国に滞在する米国の民間人に対する「非戦闘員退避行動」(NEO)が実行されれば、緊張度は最高レベルに達する。第2次朝鮮戦争が勃発した場合、韓国から100万人規模の避難民が日本に押し寄せるとみられる。在韓邦人の救出も急務となるが、日本は対応できるのか。
○安倍首相「外交を通じて平和を守ることは重要だが、同時に『対話のための対話』では意味がない」「トランプ政権が(オバマ前政権時代の)『戦略的忍耐』という考え方ではなく、すべての選択肢がテーブルの上にあるとの考え方で対処しようとしていることを評価する」
○ペンス氏「日本が北朝鮮の挑発を受け続けている厳しい状況を理解している」「日米同盟は地域の平和と繁栄の礎だ。今回のアジア歴訪は、米国の地域に対する関与に揺るぎがないことを示すものだ。米国は100%日本とともにある」「平和は力によってのみ初めて達成される」
○18日午後、首相公邸でのパワーランチ後、安倍首相とペンス氏はこう語り合った。「日米同盟の絆」を世界に示した。
○金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮による軍事的威嚇が続いている。16日の弾道ミサイル発射に続き、25日の「建軍節」(朝鮮人民軍創建記念日)に合わせた、「6回目の核実験」や「ICBM(大陸間弾道ミサイル)発射」も、現実味を帯びてきている。
○これを阻止するため、迎撃ミサイルを搭載したイージス艦や、巡航ミサイル「トマホーク」を積んだ攻撃型原子力潜水艦が多数、朝鮮半島周辺に展開している。月末にも、世界最大の原子力空母「カール・ビンソン」を中心とする第1空母打撃群も日本海に展開する予定だ。北朝鮮が暴挙に及んだ場合、米軍が「斬首作戦」「限定空爆」に着手する準備は整っている。
○こうしたなか、トランプ政権がいつ朝鮮半島からの「非戦闘員退避行動」(NEO)に踏み切るかに注目が集まっている。
○NEOとは、軍人ではない民間人(非戦闘員)を危険な場所から退避させる作戦のこと。米軍は1月初め、北朝鮮の韓国侵攻を想定して、在韓米軍の家族を対象に、沖縄に避難する訓練を実施した。朝鮮半島の緊張がさらに高まれば、これが現実となるのだ。
○陸上自衛隊出身で「ヒゲの隊長」として知られる佐藤正久参院議員は「米軍が(韓国からの)NEOに踏み切った場合、朝鮮半島の緊迫度は最高潮に達するだろう」と語った。
○現在の在韓外国人は約200万人とされる。内訳は、中国人が約100万人、米国人が約20万人、ベトナム人が約14万人、タイ人が約8万人、フィリピン人が約5万人で、日本人は旅行者や出張者を含めて約6万人だ。
○さらに、韓国の人口は約5150万人で、北緯38度線の非武装地帯から約40キロの距離にある首都ソウルには約1000万人が集まっている。
○米NBCテレビは13日、「米軍が北朝鮮への先制攻撃準備」と報じたが、いくら過激な言動で知られるトランプ氏でも、自国や友好国の民間人の避難を待たずに、この選択肢は簡単には取れないはずだ。
○佐藤氏は、朝鮮半島や日本が描かれた東アジアの地図を指さしながら、「半島有事が起きれば、約200万人の在韓外国人の大半は一斉に日本に向かってくるだろう。朝鮮戦争(1950〜53年)と同じように、韓国人もドッと逃げてくるはずだ。ただ、残念ながら、日本の受け入れ体制は十分ではない」と話した。
○60年以上前の朝鮮戦争で日本が直面したのが、朝鮮半島からの難民対応だった。朝鮮半島から数万人もの難民が日本に流入し、現在も留まっている人が多いとされる。朝鮮半島有事と難民問題は表裏一体なのだ。
○流入難民の受け入れが難しいのは、この中に、北朝鮮側の武装難民や工作員が紛れ込む可能性があるからだ。
小見出し:■厳しい在外邦人の救出
○安倍首相も17日の衆院決算行政監視委員会で、流入難民を想定した対応を検討していることを明らかにし、「上陸手続き、収容施設の設置および運営、(日本政府が)庇護(ひご)すべき者にあたるかのスクリーニング(ふるい分け)といった対応を想定している」と説明した。
○佐藤氏は「自衛隊に在籍していたころ、朝鮮半島有事を想定した演習を何度も経験したが、避難民の受け入れは非常に難しかった」と語った。
○また、安全保障関連法が成立したことで、自衛隊による在外邦人の救出が可能になった。だが、現実には難しい壁が立ちはだかる。在外邦人を救出できる要件が厳しいからだ。
○要件とは、(1)当該外国の警察権が維持されており、戦闘行為が行われることがないと認められること(2)自衛隊の武器使用を含む保護措置についての当該外国の同意(3)当該外国との連携・協力が見込まれること−だ。
○佐藤氏は「この要件を韓国に当てはめると、かなりハードルが高く、現状では邦人の救出は難しいだろう。憲法9条が最大の足かせとなっている。『憲法を改正しなければ、守るべき命も守れない』という現実を改めて受け止めるべきだ」と語っている。
○日本人は「空想的平和主義」から目覚めて、今そこにある危機に向き合うべきだ。
<引用終わり>
(*2):NEOの検索結果
英文Wiki「Non-combatant evacuation operation」
https://en.wikipedia.org/wiki/Non-combatant_evacuation_operation
(*3):United States Military Joint Publication 3-68
<Noncombatant Evacuation Operations>
http://www.globalsecurity.org/military/library/policy/dod/joint/jp3_68_2010.pdf
(*4):米陸軍第2歩兵師団/米韓連合司令部公式HPのNEOのページ
http://www.2id.korea.army.mil/soldiers/neo.asp
及び、その資料(PDF)
http://www.2id.korea.army.mil/soldiers/pdf/NEO_101_Brief_English.pdf
(*5):外務省HP 日米安全保障協議委員会
・ 日米防衛協力のための指針の見直しの終了 1997年9月23日
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/kyoryoku.html
<抜粋引用>
◆日米防衛協力のための指針
Ⅴ:日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(周辺事態)の協力
○周辺事態は、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態である。周辺事態の概念は、地理的なものではなく、事態の性質に着目したものである。日米両国政府は、周辺事態が発生することのないよう、外交上のものを含むあらゆる努力を払う。日米両国政府は、個々の事態の状況について共通の認識に到達した場合に、各々の行う活動を効果的に調整する。なお、周辺事態に対応する際にとられる措置は、情勢に応じて異なり得るものである。
(中略)
2.周辺事態への対応 (中略)
(1)日米両国政府が各々主体的に行う活動における協力 (中略)
(イ)救援活動及び避難民への対応のための措置
○日米両国政府は、被災地の現地当局の同意と協力を得つつ、救援活動を行う。日米両国政府は、各々の能力を勘案しつつ、必要に応じて協力する。
○日米両国政府は、避難民の取扱いについて、必要に応じて協力する。避難民が日本の領域に流入してくる場合については、日本がその対応の在り方を決定するとともに、主として日本が責任を持ってこれに対応し、米国は適切な支援を行う。
(ロ)捜索・救難
○日米両国政府は、捜索・救難活動について協力する。日本は、日本領域及び戦闘行動が行われている地域とは一線を画される日本の周囲の海域において捜索・救難活動を実施する。米国は、米軍が活動している際には、活動区域内及びその付近での捜索・救難活動を実施する。
(ハ)非戦闘員を退避させるための活動
○日本国民又は米国国民である非戦闘員を第三国から安全な地域に退避させる必要が生じる場合には、日米両国政府は、自国の国民の退避及び現地当局との関係について各々責任を有する。日米両国政府は、各々が適切であると判断する場合には、各々の有する能力を相互補完的に使用しつつ、輸送手段の確保、輸送及び施設の使用に係るものを含め、これらの非戦闘員の退避に関して、計画に際して調整し、また、実施に際して協力する。日本国民又は米国国民以外の非戦闘員について同様の必要が生じる場合には、日米両国が、各々の基準に従って、第三国の国民に対して退避に係る援助を行うことを検討することもある。
(後略)
<抜粋引用終わり>
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副題:朝鮮半島情勢に伴う在韓邦人保護・野党や朝日が盛んに批判していた「有事法制」「戦争法案」は在韓邦人保護に必要な法制なの。
イラクPKOの「ヒゲの隊長」の愛称で知られる自民党参議院議員・佐藤正久氏の軍事的見識は高い。その道のプロであり、軍事知識が希薄な我国国会議員の中にあっては貴重な存在である。佐藤正久議員は、現行の朝鮮半島情勢に鑑み、朝鮮半島からの邦人退避に関しての意見を述べており、それが記事になっている(*1)。
その中で、佐藤正久議員はNEO(ネオ)との用語を用いている。
NEOとは、Non-combatant Evacuation Operationの頭文字をとったもので、非戦闘員退避作戦のことである。「作戦」との語句を嫌う風潮から、「戦闘員退避「行動」」と訳されることもある。
どの様な作戦かと言うと、それは文字通り、「非戦闘員=Non-combatant」を危険な場所から「脱出=Evacuation」させる「作戦=Operation」である。
「非戦闘員」とは、ジュネーブ条約の「文民」のこと、「軍人以外」と同義だと考えて良い。
朝鮮半島有事の際の、NEOの主体は米軍になると思われるので、英文で「Non-combatant Evacuation Operation」をググってみたところ、英文Wiki(*2)等の複数の英文サイトがヒットした。英文Wikiには先ず、以下の説明があった。
<英文Wikiより引用>
A non-combatant evacuation operation (NEO) is an operation conducted to evacuate civilians from another country, generally due to a deteriorating security situation.
↓
非戦闘避難作戦(NEO)は、「文民を他国から=civilians from another country」「脱出させる為に導く=conducted to evacuate」「作戦=operation」であり、「一般的には=generally」「セキュリティ状況が悪化していることにより=due to a deteriorating security situation」実施されるものである。
要するに、民間人など軍人ではない人々を危険な場所から退避させる作戦であることがわかる。
英文Wikiには、NEOは「United States Military Joint Publication 3-68」(直訳:米国軍事統合刊行物3-68)に規定されたものだとある。
米国政府の統合刊行物3-68がどの様なものか調べたところ、それが見つかったので、文末脚注(*3)に、そのURLを紹介しておく。
これについては、また後段で取り上げるが、同書のScope(適用範囲)、Purpose(目的)を読むと、我が国では「方針書」とか「マニュアル」と称されるものだと思われる文書であった。
この文書を読むと、脱出させる対象は「American citizen(米国国民)」であり、アメリカ人以外の他国国民は基本的には「対象外」とされている。
とは言え、特例で対象になることはあり、その場合はどういう場合かは同書の諸規定による。英文Wikiの記載では、「当該国の選択された文民(selected host-nation citizens)」及び「third country nationals(第3国の国民)」も脱出させる対象になっているのは、そういう特例の話である。
アメリカのNEOは、国務省(日本の外務省に相当)管轄であり、現地の駐在アメリカ大使がNEOを統括する立場である旨の記載がある。
英文Wikiには、過去、実際に行われたNEOの事例が国別に記載されており、その内訳は、ドイツ2回、アイルランド1回、イギリス2回とアメリカ21回である。
アメリカの21回の内容を見ると、1975年のサイゴン陥落時の脱出が第1回目で、他には1991年のフィリピン・ビナツボ火山噴火や2011年の東日本大震災時もNEOが実施されているのだが、他の実施事例の殆どが中近東、アフリカ、東欧からの脱出作戦である。
詳しくは英文Wikiを参照願いたいが、歴史上、アメリカが自国民間人を脱出させたのはベトナム戦争時が最初ではないので、多分、アメリカでのNEOの体系的制度化以降の事例だけが書かれているのであろうと推察している。
実際のところ、1950年の朝鮮戦争時、アメリカは、自国民を朝鮮半島から占領下日本へと避難させている歴史があるので、もう少し詳しく調べてみた。
そうしたところ、在韓米軍の主力である「U.S.ARMY SECOND INFANTRY DIVISION/ROK-US Combined Division」(米陸軍第2歩兵師団/米韓連合司令部)の公式HPの中に、NEOの説明ページ(*4)があった。
そのHPにある要旨資料には、NEOの歴史として1950年の朝鮮戦争との記載や、1975年のサイゴンや2011年の東日本大震災他の記載があった。
NEOを論じる際の一次資料としては、ここまで紹介した正本である「統合刊行物3-68」と米韓連合司令部HPの「要約版」があれば充分であろう。また、Wikiは参考程度にとどめるのが宜しかろう。
これらアメリカのNEO関係資料を見ると、NEO(非戦闘員退避作戦)が実行される際の各種要件が確認出来る。これら2つの英文資料のうち、正本の方は、ページ数が多く記載内容が多々あり、隅々までは読んでないが、当方が読んだ限りの理解で論評を続ける。
この文章を読んでいる方々がもっとも興味があるのは、退避方法とその対象者であろう。
これらに関しては、米韓連合司令部HPの要約版の表紙を含めた6ページ目に以下の様な4段階の記載があるので、先ず、それを紹介する。
<6ページ目の引用及び当方による和訳(意訳)>
1. Voluntary Departure: Noncombatants leave at their own expense
(1.自主的出国:自分自身の費用にて非戦闘員が出国)
2. Authorized Departure: U.S. Government (USG) affiliated Noncombatants leave at government expense
(2.公式的出国(公的避難勧告):米国政府が認定した非戦闘員の米国政府費用での出国)
3. Ordered Departure: U.S. Government (USG) affiliated Noncombatants are ordered to leave (at government expense) per Status of Forces Agreement (SOFA)
(3.出国命令:「地位協定(SOFA)」対象者への出国命令。費用は米国政府負担。
4. NEO: Evacuation of American Citizens (AMCITs) and specific Korean Third Country Nationals (TCNs) according to U.S. Department of State.
(4.NEO発動:米国国務省による米国市民(AMerican CITizen)、特定の韓国人、特定の第3国国民を対象にしたNEOの実施)
<引用終わり>
アメリカらしいというか、脱出費用の負担先が一々書いてあるのが面白い。
米韓連合司令部HPの要約版には、この様に記載されており、上記4.にある「対象者」は米国市民の他に「特定の韓国人と第3国の国民」も対象としている。
これは英文Wikiの記載と合致する。
一方、正本である「統合刊行物3-68」のChapter IV 6 c には、避難対象者及びその優先順位の記載があり、non-US citizens(米国市民じゃない人)も「対象にできます」とあるが、初期脱出の混乱等を勘案して、非米国市民の優先順位は米国市民より低い旨が書かれている。
これは、ある意味、当たり前である。
米国政府は米国市民を保護する義務があり、米国政府は米国市民により支えられた存在だからである。
優先順位に関しては、これ以外に、輸送手段として「非米国市民には、主要な商業国際空港の商用航空機(民間定期便やチャーター便)を配備して実施される」とあり、また、米軍の軍用機に非米国市民を乗せる場合には、受入国(緊急的中継国または米国本土)との事前の連絡が必要な旨の記載もある。
米韓連合司令部HPの要約版には、非米国市民でも対象となる場合の例示が同資料5ページ目にあるが、以下の通り、正本にある優先順位とかの明示はなく、「特定の」という一言で済ましている様である。
<5ページ目の抜粋引用及び当方による和訳(意訳)>
U.S./non-U.S. citizens who may be authorized assistance
(米国市民/非米国市民の誰に援助が認められるか(対象者なり得るか)
・Private U.S. citizens and their dependents
(公的ではない目的で滞在している米国市民とその扶養家族)
・Legal permanent residents of the U.S.
(米国が法的に永住権を認めている者とその扶養家族)
・Designated foreign national employees of the U.S. Government and their dependents
(米政府機関従業員のうち指定した外国人従業員とその扶養家族)
・Designated foreign nationals
(外国人のうち指定した者)
<引用終わり>
読んでわかる通り、「非米国市民」と言っても、何等かの米国との深い係り合いがある人物が対象であることがわかるだろう。
「非米国市民」であっても、米国市民(市民権者=米国国籍)の扶養家族とか、「グリーンカード」と言われる永住権者は米国市民ではないが、米国市民に準じており、永住権者本人とその扶養家族が対象となっている。
ここまでは、個別人物別の「指定」とか「特定」はないのだが、以降の米国市民以外は、米国政府による指定・特定が必要だということが書いてある。
このMEO対象者カテゴリーに関しては、正本ではChapter VI 5 b c に書かれている。要約版とは若干ニュアンスが違っているが、基本的には同じである。
あくまでも、対象は米国市民との米国国籍を持つアメリカ人なのである。
この様に、一次資料に基づけば、韓国の一般国民はNEOの対象ではないのであることがわかるだろう。朝鮮半島有事になったら国外に逃げると称している一般韓国人は、米軍のNEOプログラムの対象ではないのである。
一方、韓国にいる日本の一般国民はどうであろうか?
この問いに答える為には「アメリカのNEO資料」だけではわからない。
基本は、我国国民を守るのは我国の責務であり、我国を支えているのは我々国民なのであるから、我国の在外邦人保護方針等を確認しなければ、正確にはわからないのである。
我国の在外邦人保護方針等に関する資料は、外務省のHPにある。
その資料は、文末脚注(*5)に必要部分を抜粋引用した。所謂「見直し日米ガイドライン」であるが、そこには、そのものズバリの「(イ)救援活動及び避難民への対応のための措置、(ハ)非戦闘員を退避させるための活動」等の、まさにNEOに関しての日米協力の指針が書かれているのである。
日米ガイドラインの見直しが完了したのは、1997年9月のことである。
そこには、「日米両国が、各々の基準に従って」との一文があるが、これは、はっきり言ってしまえば、我国の場合、例え「非戦闘員を退避させるための活動」との極めて人道的な活動であっても、「憲法の制約」によって「出来ない」とされていたからである。
ガイドライン見直しの後、野党が「人権を制限する有事法制ハンターーイ」とか叫んでいた国民保護法や武力事態法等の改正及び野党や偏差値28辺りが「戦争法案ハンターーイ」と騒がしかった安保法制に成立等を受け、このガイドラインの指針がより実効性あるものへと進化しているのが現状である。
あまりにも偏った片務性は是正され、以下の様に、朝鮮半島でのNEO活動を我国も出来る状態にしつつある。
<見直しガイドラインのうち、NEO関係部分抜粋引用>
(ハ)非戦闘員を退避させるための活動
○日本国民又は米国国民である非戦闘員を第三国から安全な地域に退避させる必要が生じる場合には、日米両国政府は、自国の国民の退避及び現地当局との関係について各々責任を有する。日米両国政府は、各々が適切であると判断する場合には、各々の有する能力を相互補完的に使用しつつ、輸送手段の確保、輸送及び施設の使用に係るものを含め、これらの非戦闘員の退避に関して、計画に際して調整し、また、実施に際して協力する。日本国民又は米国国民以外の非戦闘員について同様の必要が生じる場合には、日米両国が、各々の基準に従って、第三国の国民に対して退避に係る援助を行うことを検討することもある。
<引用終わり>
我国は、アメリカと日米安保条約を締結しているが、以前は、「憲法の制約」による異常な片務性により、他の分野他への悪影響等が問題視されていたが、ずっと改善がなされてこなかった。
一方、我国近隣の情勢から、亀の歩みながら、下位法の改善他により対処してきたことで、本日只今は、朝鮮半島からの文民脱出に少しは貢献できる様な法的整備が出来ている。
肝心の「憲法」は未だに改正できず、相変わらず「憲法の制約」は存在しているが、少なくとも、イラン・イラク戦争時のテヘラン空港での「国民見殺し状態」は避けられそうだ。
アメリカと共同でNEOを実施出来る体制とは、アメリカ側のNEOでの対象者に日本人が含まれるとの状態を可能にするからである。
<長くなったので項を分けます>
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【文末脚注】
(*1):夕刊フジの記事を引用
gooニュース 04月20日 17:05
https://news.goo.ne.jp/article/fuji/politics/fuji-plt1704200004.html
見出し:◆第2次朝鮮戦争勃発なら日本に難民100万人 北工作員紛れ込む可能性も…ヒゲの隊長「受け入れ体制不十分」
記事本文:○朝鮮半島の緊張状態が続いている。ドナルド・トランプ米大統領が「(北朝鮮は)行儀よく振る舞え!」と言い放つと、北朝鮮高官は「全面戦争になるぞ」と威嚇する。安倍晋三首相は、来日したマイク・ペンス米副大統領と会談し、日米同盟の固い結束を示した。今後、韓国に滞在する米国の民間人に対する「非戦闘員退避行動」(NEO)が実行されれば、緊張度は最高レベルに達する。第2次朝鮮戦争が勃発した場合、韓国から100万人規模の避難民が日本に押し寄せるとみられる。在韓邦人の救出も急務となるが、日本は対応できるのか。
○安倍首相「外交を通じて平和を守ることは重要だが、同時に『対話のための対話』では意味がない」「トランプ政権が(オバマ前政権時代の)『戦略的忍耐』という考え方ではなく、すべての選択肢がテーブルの上にあるとの考え方で対処しようとしていることを評価する」
○ペンス氏「日本が北朝鮮の挑発を受け続けている厳しい状況を理解している」「日米同盟は地域の平和と繁栄の礎だ。今回のアジア歴訪は、米国の地域に対する関与に揺るぎがないことを示すものだ。米国は100%日本とともにある」「平和は力によってのみ初めて達成される」
○18日午後、首相公邸でのパワーランチ後、安倍首相とペンス氏はこう語り合った。「日米同盟の絆」を世界に示した。
○金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮による軍事的威嚇が続いている。16日の弾道ミサイル発射に続き、25日の「建軍節」(朝鮮人民軍創建記念日)に合わせた、「6回目の核実験」や「ICBM(大陸間弾道ミサイル)発射」も、現実味を帯びてきている。
○これを阻止するため、迎撃ミサイルを搭載したイージス艦や、巡航ミサイル「トマホーク」を積んだ攻撃型原子力潜水艦が多数、朝鮮半島周辺に展開している。月末にも、世界最大の原子力空母「カール・ビンソン」を中心とする第1空母打撃群も日本海に展開する予定だ。北朝鮮が暴挙に及んだ場合、米軍が「斬首作戦」「限定空爆」に着手する準備は整っている。
○こうしたなか、トランプ政権がいつ朝鮮半島からの「非戦闘員退避行動」(NEO)に踏み切るかに注目が集まっている。
○NEOとは、軍人ではない民間人(非戦闘員)を危険な場所から退避させる作戦のこと。米軍は1月初め、北朝鮮の韓国侵攻を想定して、在韓米軍の家族を対象に、沖縄に避難する訓練を実施した。朝鮮半島の緊張がさらに高まれば、これが現実となるのだ。
○陸上自衛隊出身で「ヒゲの隊長」として知られる佐藤正久参院議員は「米軍が(韓国からの)NEOに踏み切った場合、朝鮮半島の緊迫度は最高潮に達するだろう」と語った。
○現在の在韓外国人は約200万人とされる。内訳は、中国人が約100万人、米国人が約20万人、ベトナム人が約14万人、タイ人が約8万人、フィリピン人が約5万人で、日本人は旅行者や出張者を含めて約6万人だ。
○さらに、韓国の人口は約5150万人で、北緯38度線の非武装地帯から約40キロの距離にある首都ソウルには約1000万人が集まっている。
○米NBCテレビは13日、「米軍が北朝鮮への先制攻撃準備」と報じたが、いくら過激な言動で知られるトランプ氏でも、自国や友好国の民間人の避難を待たずに、この選択肢は簡単には取れないはずだ。
○佐藤氏は、朝鮮半島や日本が描かれた東アジアの地図を指さしながら、「半島有事が起きれば、約200万人の在韓外国人の大半は一斉に日本に向かってくるだろう。朝鮮戦争(1950〜53年)と同じように、韓国人もドッと逃げてくるはずだ。ただ、残念ながら、日本の受け入れ体制は十分ではない」と話した。
○60年以上前の朝鮮戦争で日本が直面したのが、朝鮮半島からの難民対応だった。朝鮮半島から数万人もの難民が日本に流入し、現在も留まっている人が多いとされる。朝鮮半島有事と難民問題は表裏一体なのだ。
○流入難民の受け入れが難しいのは、この中に、北朝鮮側の武装難民や工作員が紛れ込む可能性があるからだ。
小見出し:■厳しい在外邦人の救出
○安倍首相も17日の衆院決算行政監視委員会で、流入難民を想定した対応を検討していることを明らかにし、「上陸手続き、収容施設の設置および運営、(日本政府が)庇護(ひご)すべき者にあたるかのスクリーニング(ふるい分け)といった対応を想定している」と説明した。
○佐藤氏は「自衛隊に在籍していたころ、朝鮮半島有事を想定した演習を何度も経験したが、避難民の受け入れは非常に難しかった」と語った。
○また、安全保障関連法が成立したことで、自衛隊による在外邦人の救出が可能になった。だが、現実には難しい壁が立ちはだかる。在外邦人を救出できる要件が厳しいからだ。
○要件とは、(1)当該外国の警察権が維持されており、戦闘行為が行われることがないと認められること(2)自衛隊の武器使用を含む保護措置についての当該外国の同意(3)当該外国との連携・協力が見込まれること−だ。
○佐藤氏は「この要件を韓国に当てはめると、かなりハードルが高く、現状では邦人の救出は難しいだろう。憲法9条が最大の足かせとなっている。『憲法を改正しなければ、守るべき命も守れない』という現実を改めて受け止めるべきだ」と語っている。
○日本人は「空想的平和主義」から目覚めて、今そこにある危機に向き合うべきだ。
<引用終わり>
(*2):NEOの検索結果
英文Wiki「Non-combatant evacuation operation」
https://en.wikipedia.org/wiki/Non-combatant_evacuation_operation
(*3):United States Military Joint Publication 3-68
<Noncombatant Evacuation Operations>
http://www.globalsecurity.org/military/library/policy/dod/joint/jp3_68_2010.pdf
(*4):米陸軍第2歩兵師団/米韓連合司令部公式HPのNEOのページ
http://www.2id.korea.army.mil/soldiers/neo.asp
及び、その資料(PDF)
http://www.2id.korea.army.mil/soldiers/pdf/NEO_101_Brief_English.pdf
(*5):外務省HP 日米安全保障協議委員会
・ 日米防衛協力のための指針の見直しの終了 1997年9月23日
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/kyoryoku.html
<抜粋引用>
◆日米防衛協力のための指針
Ⅴ:日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(周辺事態)の協力
○周辺事態は、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態である。周辺事態の概念は、地理的なものではなく、事態の性質に着目したものである。日米両国政府は、周辺事態が発生することのないよう、外交上のものを含むあらゆる努力を払う。日米両国政府は、個々の事態の状況について共通の認識に到達した場合に、各々の行う活動を効果的に調整する。なお、周辺事態に対応する際にとられる措置は、情勢に応じて異なり得るものである。
(中略)
2.周辺事態への対応 (中略)
(1)日米両国政府が各々主体的に行う活動における協力 (中略)
(イ)救援活動及び避難民への対応のための措置
○日米両国政府は、被災地の現地当局の同意と協力を得つつ、救援活動を行う。日米両国政府は、各々の能力を勘案しつつ、必要に応じて協力する。
○日米両国政府は、避難民の取扱いについて、必要に応じて協力する。避難民が日本の領域に流入してくる場合については、日本がその対応の在り方を決定するとともに、主として日本が責任を持ってこれに対応し、米国は適切な支援を行う。
(ロ)捜索・救難
○日米両国政府は、捜索・救難活動について協力する。日本は、日本領域及び戦闘行動が行われている地域とは一線を画される日本の周囲の海域において捜索・救難活動を実施する。米国は、米軍が活動している際には、活動区域内及びその付近での捜索・救難活動を実施する。
(ハ)非戦闘員を退避させるための活動
○日本国民又は米国国民である非戦闘員を第三国から安全な地域に退避させる必要が生じる場合には、日米両国政府は、自国の国民の退避及び現地当局との関係について各々責任を有する。日米両国政府は、各々が適切であると判断する場合には、各々の有する能力を相互補完的に使用しつつ、輸送手段の確保、輸送及び施設の使用に係るものを含め、これらの非戦闘員の退避に関して、計画に際して調整し、また、実施に際して協力する。日本国民又は米国国民以外の非戦闘員について同様の必要が生じる場合には、日米両国が、各々の基準に従って、第三国の国民に対して退避に係る援助を行うことを検討することもある。
(後略)
<抜粋引用終わり>



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