「国民保護ポータルサイト」続報
- 2017/04/23
- 00:26
「国民保護ポータルサイト」続報

副題:「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」他を政府が発表
我が国政府の国民保護情報のうち、「国民保護ポータルサイト」に関しては、以前、以下の通り投稿しているが、4月21日に同サイトにて「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」他の新たな情報が発表されたので、今回はそれを紹介する。
<以前の「国民保護ポータルサイト」に関する投稿>
2017/04/12投稿:
「国民保護ポータルサイト」我が国政府の国民保護情報2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-647.html
今回、新たに発表されたのは、副題にある「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」の他に「弾道ミサイル落下時の行動について」の(その1)と(その2)の全部で3点である。文末脚注(*1)にて、そのURLを貼ってあるので、詳しくは、そちらをご覧いただき、各自がご判断いただきたい。とは言えPDF形式なので、スマホユーザーが参照する際にちょっと困ると思われることから、少々、その内容を紹介する。
先ず、最初の「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」だが、以前紹介した「国民保護ポータルサイトのQ&A」の内容に比して、より具体的になっており、分かり易くなっている。
上記の前回の当方投稿で紹介した従前のポータルサイトQ&Aの趣旨の部分を先ず記載する。
<前回投稿より要旨部分及び当方意見部分を抜粋>
1):Jアラートのメールが携帯電話に着信する
2):その内容を読む。続報があるので、それを待ち、それも読む。
3):初報・続報の何れであっても、自分がいる地域であれば避難開始する
4):避難場所候補は近くの地下街や頑丈そうな建物
当方の個人的意見としては、もしも着弾があるとしたら、Jアラート着信から数分(最長10分)後になるので、地下街到着に時間がかかる場合は、無理に地下街に行くのではなく、直ぐに避難できる場所に行くべきだと考えている。
また、もしも、弾道ミサイルの弾頭が核兵器の場合、最初の閃光を避けることが重要となるので、窓やガラスドアの様な外部が見える場所は避けることも重要になってくる。
<引用終わり>
上記引用した要約に対して、今回発表された「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」で追加された情報は主として以下の3点である。
①:地下街・建物内に避難する理由、
②:自動車内にいる場合の行動について
③:ミサイル着弾後の対処方法
このうち、①については、以下の様に当方の前回意見とやることは大同小異である。
<引用開始>
問4:建物内に避難してから気を付けることはありますか。
↓
(答):爆風で壊れた窓ガラスなどで被害を受けないよう、できるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋へ移動してください。
<引用終わり>
ご覧の様に、やることは同じであり、前回要約を読んでいれば充分なので、紹介は割愛するが、②の自動車内のケースと③のミサイル着弾後については、追加情報は具体的で分かり易いので、同資料から以下の通り抜粋引用することにした。ご一読いただきたい。
<「国民保護ポータルサイト」4月21日付発表資料「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」より抜粋引用>
②:自動車内にいる場合の行動について
問5:弾道ミサイルの情報が伝達されたとき、自動車の車内にいる場合はどう
すればよいですか。
↓
(答):車は燃料のガソリンなどに引火するおそれがあります。車を止めて頑丈な建物や地下街などに避難してください。周囲に避難できる頑丈な建物や地下街などがない場合、車から離れて地面に伏せ、頭部を守ってください。
問6:車から出ると危険な場合はどうしたらよいですか。
↓
(答):高速道路を通行している時など、車から出ると危険な場合には、車を安全な場所に止め、車内で姿勢を低くして、行政からの指示があるまで待機してください。
③:ミサイル着弾後の対処方法
問7:ミサイルが着弾した後は何をすればいいですか。
↓
(答):弾頭の種類に応じて被害の様相や対応が大きく異なります。
そのため、テレビ、ラジオ、インターネットなどを通じて情報収集に努めてください。また、行政からの指示があればそれに従って、落ち着いて行動してください。
問8:近くにミサイルが着弾した時はどうすればいいですか。
↓
(答):弾頭の種類に応じて被害の及ぶ範囲などが異なりますが、次のように行
動してください。
・ 屋外にいる場合は、口と鼻をハンカチで覆いながら、現場から直ちに離れ、密閉性の高い屋内の部屋または風上に避難してください。
・ 屋内にいる場合は、換気扇を止め、窓を閉め、目張りをして室内を密閉してください。
<引用終わり>
車に乗っている時の対処方法は、降りて直ぐに地下街や建物内に避難することが可能な場合は、そこに避難しろとの指示である。
そうではない場合も、車から出て、外で伏せろ・頭部を守れ、と言っている。その理由としては自動車のガソリンが発火する危険性があるからだとの説明である。
一方、高速道路の場合、つまり、車外に出る方が危険な場合は、車内に留まれという指示である。一瞬矛盾する記述の様に感じるかもしれないが、高速道路で車外に出る方がリスク度合いが高いとの判断からのケース別の対応指示であると解されることが書いてある。
次にミサイル着弾後の対処方法が書いてあるが、最初に「弾頭の種類に応じて被害の様相や対応が大きく異なります。」と書いてある。
何のことかと言うと、弾道ミサイルに搭載する兵器の種類のことである。弾道ミサイルは以前説明した(*2)のだが、命中精度が悪い。北朝鮮のミサイルの場合、狙ったところから3~5㎞程度は外れるものだと言われている。
それ故に、通常のTNT火薬の爆弾ではなく、広範囲に威力を発揮する核弾頭が用いられる。
また、施設の破壊ではなく、そこの住民を殺傷することを目的にした場合は、核弾頭以外でも広範囲に被害をもたらすサリン・VXガスの様な化学物質を散布したり、炭素菌や病原菌を散布したりする。これら広範囲に被害をもたらす兵器の何れかが弾道ミサイルの弾頭に用いられているものと想定されている。
これらは、核兵器=Atomic weapon,生物兵器=Biological weapon,化学兵器=Chemical weaponの頭文字をとり、ABC兵器と言われている。Atomicの代わりに Nuclearを入れて NBC兵器と言うこともある。
核兵器の場合は、閃光(放射線)、火球(熱線)、爆風(衝撃波)の3つがほぼ同時に起きる。TNT火薬の爆弾の威力は、このうちの爆風(衝撃波)であるが、核爆弾の威力のうち、閃光と火球は一瞬のものであるので、それを先ず避けることが生存の確率を高めるポイントでもある。それ故に、外部にいないこと、屋内でも窓の近くにいないこと、車内にあっては身を屈め窓から隠れることをQ&Aは推奨していると解される。
一方、Biological・生物兵器、Chemical・化学兵器が弾頭の場合は、核弾頭の場合と違う。広範に散布して、そこに住み人間にダメージを与えることを目的にしているので、強力な爆発をすると、かえって搭載した細菌や有害化学物資の効果を低下させるので、核兵器での強烈な爆発は起こらない。BC兵器の場合は、上空や地表近くで散布されると見込まれており、大気中に有毒物質が大量に浮遊する状態となる。
そういう想定なので、対処方法としては、 屋外にいる場合は口と鼻をハンカチで覆い、出来るだけ吸い込まない様にして屋内退避を推奨している。一方、屋内にいる場合は、外気中に浮遊する有害物質を屋内に入り込まない様に、換気扇を止めろ、窓を閉めろ、隙間風が入る様な場所には目張りをしろ、室内を密閉しろとしている。
この様な追加情報が出された意味は、リスクマネジメント(*3)での視点では2つある。
先ず、文末脚注(*3)にて紹介した投稿から「リスクマネジメントの基礎概念」を以下に紹介する。
<文末脚注(*3)より引用>
<リスクマネジメントの基礎的概念>
1):リスクの認知
2):認知リスクの評価
3):認知リスクへの評価度合に応じた対策考察
リスク対策の概念的区分
○・基本はリスク評価の概念式
・A:各リスクの具現化確率 x B:リスク具現化時の影響度 = リスク評価
リスク対策の区分
・受容可能リスク(受忍も対策のうち)
・A1:「回避」
・A2:「防止」
・B1:「軽減」
・B2:「分散」
<引用終わり>
先ずは、政府は、リスクを認知して、リスク評価をして、国民に情報提供をすべきだとしていることについてである。上記で言えば1)、2)、3)のステップ部分である。
ここでのポイントは「リスクである」=「北朝鮮が撃つ弾道ミサイルが我国に着弾する可能性がある」との評価の存在は、「近々弾道ミサイルが着弾しちゃう」との決め付けとは全然違うということである。
所謂「薄いネトウヨ」と称される様な、あまり考えない勇ましい方々が陥っているのが、リスクの存在の認知と決め付けを同一視する混同である。
リスク存在の認知と決め付け近未来予測とを混同していては認識が歪むので注意が必要である。
次に、国民に提供した情報の内容であるが、これはリスク対策の概念区分のB1:「軽減」に該当する。今回発表された情報の内容を見て、A1:「回避」とA2:「防止」が存在していないと考えることは間違いである。
我国は、A1:「回避」に関して外交や日米同盟を通じて「弾道ミサイルを撃つなよ」との働きかけをしている。それはご存じの通りである。
A2:「防止」に関しては、北朝鮮が弾道ミサイルを撃ったとしても、BMD・弾道ミサイル防衛体制(*4)を1998年のテポドン発射を切っ掛けに体制整備をしており、今や宇宙空間を飛翔中の弾道ミサイルを撃墜する能力を持つに至っており、「北朝鮮が撃つ弾道ミサイルが我国に着弾する」とのリスクをイージズ艦の迎撃ミサイルSM-3及び地上配備のパトリオットPAC-3で防止する。
そして同時に、B1:「軽減」策の1つとして、「国民保護ポータルサイト」の続報として今回「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」を発表したものである。
同様、国民が被るリスクがある被害として、在韓邦人の安全退避策も検討しているものである。
リスク対策を講じることは、転ばぬ先の杖である。
「リスク対策を講じること」を「リスクが具現化する」と誤解することは、我々日本国民にとってマイナスの言論でしかない。
リスク対策の存在と決め付け近未来予測とを混同していては認識が歪むので注意が必要である。
今回発表された「国民保護ポータルサイト」の続報である「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」はリスク対策の1つである「軽減」策の質的向上策であり、けして「北朝鮮の弾道ミサイルが着弾する」と決め付けてはいけない。
これは転ばぬ先の杖であり、転んでしまっても、少しでも被害を軽減する為のものであり、「転んでしまう」と確定してものではない。混同しないでいただきたい。
その上で、このリスクが発生した場合の、ご自身の被害を軽減する為に、今回の政府情報を良くお読みいただきたいと願っている。
【文末脚注】
(*1):「国民保護ポータルサイト」に4月21日付で新たに発表された弾道ミサイルに関する資料3点
・弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A
http://www.kokuminhogo.go.jp/pdf/290421koudou3.pdf
・弾道ミサイル落下時の行動について(その1)
http://www.kokuminhogo.go.jp/pdf/290421koudou1.pdf
・弾道ミサイル落下時の行動について(その2)
http://www.kokuminhogo.go.jp/pdf/290421koudou2.pdf
(*2):弾道ミサイル及びその迎撃に関する説明
2017/04/04投稿:
BMD・弾道ミサイル防衛
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-639.html
(*3):リスクマネジメントの基礎を紹介
2017/04/19投稿:
リスクマネジメント
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-651.html
(*4):1998年のリスク認知
リスク存在の認知・リスク対策を講じることと決め付け近未来予測とを混同してはならない。1998年のテポドン発射でリスクの存在を認知した我国は、BMD・弾道ミサイル防衛体制構築とのリスク対策を講じ始めた。こういう事実からは、「リスク存在の認知」「リスク対策を講じる」と「実際に北朝鮮ミサイルが着弾する」とは位相が違うことがおわかりだと思う。
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副題:「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」他を政府が発表
我が国政府の国民保護情報のうち、「国民保護ポータルサイト」に関しては、以前、以下の通り投稿しているが、4月21日に同サイトにて「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」他の新たな情報が発表されたので、今回はそれを紹介する。
<以前の「国民保護ポータルサイト」に関する投稿>
2017/04/12投稿:
「国民保護ポータルサイト」我が国政府の国民保護情報2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-647.html
今回、新たに発表されたのは、副題にある「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」の他に「弾道ミサイル落下時の行動について」の(その1)と(その2)の全部で3点である。文末脚注(*1)にて、そのURLを貼ってあるので、詳しくは、そちらをご覧いただき、各自がご判断いただきたい。とは言えPDF形式なので、スマホユーザーが参照する際にちょっと困ると思われることから、少々、その内容を紹介する。
先ず、最初の「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」だが、以前紹介した「国民保護ポータルサイトのQ&A」の内容に比して、より具体的になっており、分かり易くなっている。
上記の前回の当方投稿で紹介した従前のポータルサイトQ&Aの趣旨の部分を先ず記載する。
<前回投稿より要旨部分及び当方意見部分を抜粋>
1):Jアラートのメールが携帯電話に着信する
2):その内容を読む。続報があるので、それを待ち、それも読む。
3):初報・続報の何れであっても、自分がいる地域であれば避難開始する
4):避難場所候補は近くの地下街や頑丈そうな建物
当方の個人的意見としては、もしも着弾があるとしたら、Jアラート着信から数分(最長10分)後になるので、地下街到着に時間がかかる場合は、無理に地下街に行くのではなく、直ぐに避難できる場所に行くべきだと考えている。
また、もしも、弾道ミサイルの弾頭が核兵器の場合、最初の閃光を避けることが重要となるので、窓やガラスドアの様な外部が見える場所は避けることも重要になってくる。
<引用終わり>
上記引用した要約に対して、今回発表された「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」で追加された情報は主として以下の3点である。
①:地下街・建物内に避難する理由、
②:自動車内にいる場合の行動について
③:ミサイル着弾後の対処方法
このうち、①については、以下の様に当方の前回意見とやることは大同小異である。
<引用開始>
問4:建物内に避難してから気を付けることはありますか。
↓
(答):爆風で壊れた窓ガラスなどで被害を受けないよう、できるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋へ移動してください。
<引用終わり>
ご覧の様に、やることは同じであり、前回要約を読んでいれば充分なので、紹介は割愛するが、②の自動車内のケースと③のミサイル着弾後については、追加情報は具体的で分かり易いので、同資料から以下の通り抜粋引用することにした。ご一読いただきたい。
<「国民保護ポータルサイト」4月21日付発表資料「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」より抜粋引用>
②:自動車内にいる場合の行動について
問5:弾道ミサイルの情報が伝達されたとき、自動車の車内にいる場合はどう
すればよいですか。
↓
(答):車は燃料のガソリンなどに引火するおそれがあります。車を止めて頑丈な建物や地下街などに避難してください。周囲に避難できる頑丈な建物や地下街などがない場合、車から離れて地面に伏せ、頭部を守ってください。
問6:車から出ると危険な場合はどうしたらよいですか。
↓
(答):高速道路を通行している時など、車から出ると危険な場合には、車を安全な場所に止め、車内で姿勢を低くして、行政からの指示があるまで待機してください。
③:ミサイル着弾後の対処方法
問7:ミサイルが着弾した後は何をすればいいですか。
↓
(答):弾頭の種類に応じて被害の様相や対応が大きく異なります。
そのため、テレビ、ラジオ、インターネットなどを通じて情報収集に努めてください。また、行政からの指示があればそれに従って、落ち着いて行動してください。
問8:近くにミサイルが着弾した時はどうすればいいですか。
↓
(答):弾頭の種類に応じて被害の及ぶ範囲などが異なりますが、次のように行
動してください。
・ 屋外にいる場合は、口と鼻をハンカチで覆いながら、現場から直ちに離れ、密閉性の高い屋内の部屋または風上に避難してください。
・ 屋内にいる場合は、換気扇を止め、窓を閉め、目張りをして室内を密閉してください。
<引用終わり>
車に乗っている時の対処方法は、降りて直ぐに地下街や建物内に避難することが可能な場合は、そこに避難しろとの指示である。
そうではない場合も、車から出て、外で伏せろ・頭部を守れ、と言っている。その理由としては自動車のガソリンが発火する危険性があるからだとの説明である。
一方、高速道路の場合、つまり、車外に出る方が危険な場合は、車内に留まれという指示である。一瞬矛盾する記述の様に感じるかもしれないが、高速道路で車外に出る方がリスク度合いが高いとの判断からのケース別の対応指示であると解されることが書いてある。
次にミサイル着弾後の対処方法が書いてあるが、最初に「弾頭の種類に応じて被害の様相や対応が大きく異なります。」と書いてある。
何のことかと言うと、弾道ミサイルに搭載する兵器の種類のことである。弾道ミサイルは以前説明した(*2)のだが、命中精度が悪い。北朝鮮のミサイルの場合、狙ったところから3~5㎞程度は外れるものだと言われている。
それ故に、通常のTNT火薬の爆弾ではなく、広範囲に威力を発揮する核弾頭が用いられる。
また、施設の破壊ではなく、そこの住民を殺傷することを目的にした場合は、核弾頭以外でも広範囲に被害をもたらすサリン・VXガスの様な化学物質を散布したり、炭素菌や病原菌を散布したりする。これら広範囲に被害をもたらす兵器の何れかが弾道ミサイルの弾頭に用いられているものと想定されている。
これらは、核兵器=Atomic weapon,生物兵器=Biological weapon,化学兵器=Chemical weaponの頭文字をとり、ABC兵器と言われている。Atomicの代わりに Nuclearを入れて NBC兵器と言うこともある。
核兵器の場合は、閃光(放射線)、火球(熱線)、爆風(衝撃波)の3つがほぼ同時に起きる。TNT火薬の爆弾の威力は、このうちの爆風(衝撃波)であるが、核爆弾の威力のうち、閃光と火球は一瞬のものであるので、それを先ず避けることが生存の確率を高めるポイントでもある。それ故に、外部にいないこと、屋内でも窓の近くにいないこと、車内にあっては身を屈め窓から隠れることをQ&Aは推奨していると解される。
一方、Biological・生物兵器、Chemical・化学兵器が弾頭の場合は、核弾頭の場合と違う。広範に散布して、そこに住み人間にダメージを与えることを目的にしているので、強力な爆発をすると、かえって搭載した細菌や有害化学物資の効果を低下させるので、核兵器での強烈な爆発は起こらない。BC兵器の場合は、上空や地表近くで散布されると見込まれており、大気中に有毒物質が大量に浮遊する状態となる。
そういう想定なので、対処方法としては、 屋外にいる場合は口と鼻をハンカチで覆い、出来るだけ吸い込まない様にして屋内退避を推奨している。一方、屋内にいる場合は、外気中に浮遊する有害物質を屋内に入り込まない様に、換気扇を止めろ、窓を閉めろ、隙間風が入る様な場所には目張りをしろ、室内を密閉しろとしている。
この様な追加情報が出された意味は、リスクマネジメント(*3)での視点では2つある。
先ず、文末脚注(*3)にて紹介した投稿から「リスクマネジメントの基礎概念」を以下に紹介する。
<文末脚注(*3)より引用>
<リスクマネジメントの基礎的概念>
1):リスクの認知
2):認知リスクの評価
3):認知リスクへの評価度合に応じた対策考察
リスク対策の概念的区分
○・基本はリスク評価の概念式
・A:各リスクの具現化確率 x B:リスク具現化時の影響度 = リスク評価
リスク対策の区分
・受容可能リスク(受忍も対策のうち)
・A1:「回避」
・A2:「防止」
・B1:「軽減」
・B2:「分散」
<引用終わり>
先ずは、政府は、リスクを認知して、リスク評価をして、国民に情報提供をすべきだとしていることについてである。上記で言えば1)、2)、3)のステップ部分である。
ここでのポイントは「リスクである」=「北朝鮮が撃つ弾道ミサイルが我国に着弾する可能性がある」との評価の存在は、「近々弾道ミサイルが着弾しちゃう」との決め付けとは全然違うということである。
所謂「薄いネトウヨ」と称される様な、あまり考えない勇ましい方々が陥っているのが、リスクの存在の認知と決め付けを同一視する混同である。
リスク存在の認知と決め付け近未来予測とを混同していては認識が歪むので注意が必要である。
次に、国民に提供した情報の内容であるが、これはリスク対策の概念区分のB1:「軽減」に該当する。今回発表された情報の内容を見て、A1:「回避」とA2:「防止」が存在していないと考えることは間違いである。
我国は、A1:「回避」に関して外交や日米同盟を通じて「弾道ミサイルを撃つなよ」との働きかけをしている。それはご存じの通りである。
A2:「防止」に関しては、北朝鮮が弾道ミサイルを撃ったとしても、BMD・弾道ミサイル防衛体制(*4)を1998年のテポドン発射を切っ掛けに体制整備をしており、今や宇宙空間を飛翔中の弾道ミサイルを撃墜する能力を持つに至っており、「北朝鮮が撃つ弾道ミサイルが我国に着弾する」とのリスクをイージズ艦の迎撃ミサイルSM-3及び地上配備のパトリオットPAC-3で防止する。
そして同時に、B1:「軽減」策の1つとして、「国民保護ポータルサイト」の続報として今回「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」を発表したものである。
同様、国民が被るリスクがある被害として、在韓邦人の安全退避策も検討しているものである。
リスク対策を講じることは、転ばぬ先の杖である。
「リスク対策を講じること」を「リスクが具現化する」と誤解することは、我々日本国民にとってマイナスの言論でしかない。
リスク対策の存在と決め付け近未来予測とを混同していては認識が歪むので注意が必要である。
今回発表された「国民保護ポータルサイト」の続報である「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」はリスク対策の1つである「軽減」策の質的向上策であり、けして「北朝鮮の弾道ミサイルが着弾する」と決め付けてはいけない。
これは転ばぬ先の杖であり、転んでしまっても、少しでも被害を軽減する為のものであり、「転んでしまう」と確定してものではない。混同しないでいただきたい。
その上で、このリスクが発生した場合の、ご自身の被害を軽減する為に、今回の政府情報を良くお読みいただきたいと願っている。
【文末脚注】
(*1):「国民保護ポータルサイト」に4月21日付で新たに発表された弾道ミサイルに関する資料3点
・弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A
http://www.kokuminhogo.go.jp/pdf/290421koudou3.pdf
・弾道ミサイル落下時の行動について(その1)
http://www.kokuminhogo.go.jp/pdf/290421koudou1.pdf
・弾道ミサイル落下時の行動について(その2)
http://www.kokuminhogo.go.jp/pdf/290421koudou2.pdf
(*2):弾道ミサイル及びその迎撃に関する説明
2017/04/04投稿:
BMD・弾道ミサイル防衛
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-639.html
(*3):リスクマネジメントの基礎を紹介
2017/04/19投稿:
リスクマネジメント
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-651.html
(*4):1998年のリスク認知
リスク存在の認知・リスク対策を講じることと決め付け近未来予測とを混同してはならない。1998年のテポドン発射でリスクの存在を認知した我国は、BMD・弾道ミサイル防衛体制構築とのリスク対策を講じ始めた。こういう事実からは、「リスク存在の認知」「リスク対策を講じる」と「実際に北朝鮮ミサイルが着弾する」とは位相が違うことがおわかりだと思う。



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