「朝鮮半島ニュース」ア・ラ・カルト
- 2017/04/20
- 20:21
「朝鮮半島ニュース」ア・ラ・カルト

副題:ここ最近の朝鮮半島関係の「報道」を記録しておく。
ソ連傀儡でしかない金日成なのだが、その神格化が成功しており、北朝鮮では、その誕生日(4月15日)を大きく祝い軍事パレードが行われた。記念日好きの北朝鮮の性向から、6回目の核実験または、10数回目の弾道ミサイル発射が懸念されていたが、これらに対しては、米国から事前に、その様な行為は米国の自衛的先制攻撃対象だと通達され、核実験は実行されていない。弾道ミサイルについては、ノドン型の失敗が伝えられているが、失敗ミサイルは攻撃対象ではないとされ、武力事態には至っていない。
武力事態の発生は望ましくない。一方、北朝鮮は、過去20数年にわたり、国際社会と交わしてきた「核開発をしない」との約束を尽く反故にして、現在までに5回の核爆発、10数回の弾道ミサイル発射を繰り返してきており、既に北朝鮮の核攻撃能力は米国の許容限界を超えていることから、従前の様な放置は「問題の先送り」でしかないとも解されており、武力を以てしても禍根を断てとの主張は納得性がある。
これは「米国の立場での理屈」である。
北朝鮮の弾道ミサイルがICBM化して、射程距離が北米大陸に届く可能性があるからだ。
我が国の場合は、既に2回目のテポドン発射(1998年8月31日)の時点で上空通過をされており、米国が言う許容限度は、その時点で超過しているのが実情だ。
その様な状況下での最近の「報道」及び、それに対するネットの反応について、気になるものが幾つかあったので、それを記録用に記しておきたい。備忘録だと思っていただければ幸である。
◆1.北朝鮮大使「戦争になれば日本が最初に被害受ける」(*1)
これはテレビ朝日のニュースの見出しである。
詳しくは文末脚注(*1)に引用した通りだが、記事では「北朝鮮大使」とされる人物が発言したとされる言葉が並んでいる。
それを記事本文に登場する順番で並べると、見出しの内容に違和感を持つのである。
<核・弾道ミサイル事案>
・「私たちに少しでも手をかけるなら全面戦争になりかねない」
・「アメリカと戦争になれば日本も攻撃対象になり得る」
<拉致事案>
・「ストックホルム合意」は「破棄された」
・「残留日本人が住んでいるなら人道的な観点から対応する用意がある」
(以上)
記事中の「大使の発言」とされる内容と、小見出し・見出しの「戦争になれば真っ先に被害を受けるのは日本だ」では、ニュアンスが違っていることがわかるだろう。
朝日新聞系列のテレビ朝日なので、朝日新聞お得意の「見出し詐欺」の可能性を疑っている。引用した同局HPには動画が埋め込まれているが、当方は朝鮮語を解さないので、何を言っているのかは不明である。どなたか朝鮮語がわかる方がいたら、見出しの様なことを言っているのか否かを確認して欲しい。
そういう未確認部分があるのだが、テレビ朝日ニュースの見出しは、昔ながらの「米軍基地があるから日本が攻撃される」との印象操作(*2)の再拡散する意図のもとに付けられたのではないか、と疑っている。
◆2.「チキンレース」とかの印象操作をする共産党議員(*3)
このニュースは、2017年4月17日の衆議院・決算行政監視委員会での共産党議員の質疑に関するものである。
毎度のことではあるが、共産党の軸足はけして日本にはなく、北朝鮮側に立った発言を繰り返しており、この時も同様であった。当方が気になった記述は2点である。
1点目は、現在の米朝の対峙状況を「チキンレース」との語句で誤解誘導していることである。
「チキンレース」とは何かに関してはWikiあたりで検索すれば良い。問題は、この共産党議員が、この語句を用いることで、あたかも米朝が対等な「交渉」をしているが如き印象操作を行っていることである。
現状をアメリカと北朝鮮が「互いに」瀬戸際外交をしているが如き印象操作である。
現実は全然違う。北朝鮮の無法なる核開発を対話や話し合いで取りやめてもらうとの23年前に始まった試みは、合意事項の尽くを北朝鮮が反故にして(*4)、今や、北朝鮮は長距離弾道ミサイルと核兵器を保有するに至っていることから、アメリカは、民主党政権での対北朝鮮政策を「失敗」だと評価し、武力攻撃も選択肢のうちだと、北朝鮮に対して、従来の対応を変更することを迫っている状態だ。要するにボールは北朝鮮側が持っている状態である。その状態に北朝鮮は、お得意の遷延をしている最中であり、対応に苦慮しているものである。アメリカが武力を背景に迫っている状態で、北朝鮮が4月15日に核実験や弾道ミサイル発射をしなかった、という事実がある。
こういう状況なのに、「チキンレース」と表現することは適切ではない。
2点目は、既に多くの方々が指摘済の問題「北朝鮮に言え」の部分と自称「保守」でありながら、共産党議員と同様の扇動をしてしまう部分である。
記事に記載がある共産党議員と安倍総理の質疑部分を以下に抜粋引用する。
<記事にある質疑概要>
○共産党の宮本議員「お互いにチキンレースになっていって、本当に戦争になりかねない。(トランプ大統領に)北朝鮮への先制攻撃というオプションはダメですよ。これ、はっきりおっしゃったんですか」
↓
○安倍首相「それは建前を述べるのは結構ですけれども、残念ながら、それでは北朝鮮は動いてこなかったのは事実でございます。彼らに時間を稼がせてその(核ミサイル)能力を向上させれば、もっと危機は水準が高まっていくわけでありますから、その中においてより大きな圧力をかけていく」
↓
○宮本議員「総理はアメリカが先制攻撃を行えば、韓国、そして我が国も、おびただしい犠牲が出ると、こういう認識はお持ちじゃないんですか」
↓
○安倍首相「それは北朝鮮に対して、国際社会が一致してこんなことはやめろと、こう強く言わなければならないのであって、アメリカにお前らやめろということでは私はないんだろうと思います」
(以上)
お読みいただければわかる通り、共産党議員は、現状の問題のうちの「武力事態の発生は望ましくない」の片方の部分しか言ってない。
共産党議員は、北朝鮮が過去20数年にわたり、国際社会と交わしてきた「核開発をしない」との約束を尽く反故にして、今や、再度の核爆発実験と弾道ミサイル発射を匂わせ、アメリカに対して北米本土攻撃するぞ、と脅かしているとの、もう1つの問題部分については言っていないのである。
安倍総理は、的確に、その両方の問題点の存在を指摘して、そもそもの問題である北朝鮮の非核化の実現を視野に入れた答弁をしている。
ところが、この共産党議員は、総理が答弁した、そもそもの問題の方を無視して、北朝鮮がやっている恫喝と同じことを言っているのである。北朝鮮の恫喝の再拡散をする共産党議員は「アメリカが先制攻撃を行えば、韓国、そして我が国も、おびただしい犠牲が出る」と、短い中に幾つものデマと騙しの印象操作を織り込んだ発言をしている。
その典型が、「アメリカが先制攻撃を行えば」との言い草である。
短期的には、北朝鮮が核爆発実験や弾道ミサイル発射をしなければ、アメリカは自衛的先制攻撃をしない。そういう事を無視し、あたかも「アメリカが攻撃したがっている」との印象操作である。
安倍総理は、共産党議員の発言に対して、「北朝鮮に言えば」と的確な答弁で応じている。
その次の「韓国、そして我が国も、おびただしい犠牲が出る」との言い草も同様の印象操作である。
我が国に対して北朝鮮が弾道ミサイルを撃つリスクがあるとの状況に対応するリスク対策の話に乗じて、朝日新聞等の我が国反日マスコミ他は盛んに、それを「不安感増大」に利用している(本投稿文末脚注(*2)の通り)が、この共産党議員も国会にて同様目的の発言をしていることがわかるだろう。
リスクの存在に基づくリスク対策の話を、この共産党議員は「不安感増大の為に利用」しているのである。この構造は極めて悪質である。
共産党議員は、「おびただしい犠牲が出る」と言い切っているが、我が国のBMD・弾道ミサイル防衛体制(*5)は、北朝鮮の弾道ミサイルを阻止するだけの実力があり、北朝鮮が弾道ミサイルを撃ったとしても、それだけで我が国に犠牲が出ることが確定する訳ではない。我が国は1998年のテポドン発射を受け、その対策としてBMD体制の構築を始めているのである。
それなのに、あたかも「北朝鮮が弾道ミサイルを撃ったら御仕舞」の様な言い方をしており、不安感を増大している。
リスクマネジメントの考え方からは、リスクの有無を正しく認知して、それを適切に評価して、効果ある対策を講じることが必要なのだが、共産党議員のこの発言は、リスクの存在を殊更に騒ぎ立てているだけだ。
政府が説明している、リスクの存在があること及びその対策があること、の真っ当な話を逆手に取って不安感の醸成や増大に転換し、以て政府を攻撃していることがわかるだろう。
冷静に考えればわかると思うが、リスク対策の話をネジ曲げることは日本人にとってマイナスでしいかない。(*6)この共産党議員と同様の「無用な騒ぎたて」を自称「保守」の方々もやってしまっていることは実に残念なことである。
リスクマエンジメントは、「リスクの認知」だけで終わる話ではないのである。
<長くなったので項を分けます>
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【文末脚注】
(*1):北朝鮮大使「戦争になれば日本が最初に被害受ける」
テレ朝news (2017/04/18 05:54)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000098839.html
見出し:◆北朝鮮大使「戦争になれば日本が最初に被害受ける」
本文:○北朝鮮で日本との交渉を担当する宋日昊(ソン・イルホ)大使が「戦争になれば日本が最初に被害を被る」とアメリカを支持する日本を牽制(けんせい)しました。
小見出し:◆日朝国交正常化交渉担当・宋日昊大使:「戦争になれば真っ先に被害を受けるのは日本だ」
本文続き:○宋大使は平壌にいる日本のメディアと会見し、「私たちに少しでも手をかけるなら全面戦争になりかねない」と述べ、「アメリカと戦争になれば日本も攻撃対象になり得る」と警告しました。また、北朝鮮が拉致問題などについて再調査を約束した「ストックホルム合意」は「破棄された」という認識を示しました。ただ、「残留日本人が住んでいるなら人道的な観点から対応する用意がある」と日本が制裁を解除するなど、対応次第では対話に応じる考えも示唆しました。
<引用終わり>
(*2):「米軍基地があるから日本が攻撃される」とのデマ話
2017/04/06投稿:
昔ながらの印象操作の一例
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-641.html
(*3):
日テレNEWS24 2017年4月17日 18:00
http://www.news24.jp/articles/2017/04/17/04359206.html
見出し:◆「米北チキンレースが戦争に」首相にただす
本文:○北朝鮮の問題は国会でも論戦となっている。共産党は安倍首相に対して先制攻撃をやめるようトランプ大統領に求めたのかただした。
○共産党の宮本徹議員は、アメリカと北朝鮮のチキンレースになって戦争になりかねないと指摘したが、安倍首相は北朝鮮問題の解決に向けた軍事的な圧力の必要性を強調した。
○共産党の宮本議員「お互いにチキンレースになっていって、本当に戦争になりかねない。(トランプ大統領に)北朝鮮への先制攻撃というオプションはダメですよ。これ、はっきりおっしゃったんですか」
○安倍首相「それは建前を述べるのは結構ですけれども、残念ながら、それでは北朝鮮は動いてこなかったのは事実でございます。彼らに時間を稼がせてその(核ミサイル)能力を向上させれば、もっと危機は水準が高まっていくわけでありますから、その中においてより大きな圧力をかけていく」
○宮本議員「総理はアメリカが先制攻撃を行えば、韓国、そして我が国も、おびただしい犠牲が出ると、こういう認識はお持ちじゃないんですか」
○安倍首相「それは北朝鮮に対して、国際社会が一致してこんなことはやめろと、こう強く言わなければならないのであって、アメリカにお前らやめろということでは私はないんだろうと思います」
○こうした中、安倍首相は有事に備えて朝鮮半島にいる日本人をどのように保護するかや、避難民が流入する場合の対応について検討していることを明らかにした。
<引用終わり>
(*4):過去23年間の「対話」の結果は、北朝鮮の合意事項反故の連続
2017/04/17投稿:
北朝鮮との「対話」がもたらした結果が今1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-649.html
(*5):我が国の弾道ミサイル防衛体制の解説
2017/04/04投稿:
BMD・弾道ミサイル防衛
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-639.html
(*6):リスク対策の話をネジ曲げることは日本人にとってマイナス
2017/04/19投稿:
リスクマネジメント
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-651.html
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副題:ここ最近の朝鮮半島関係の「報道」を記録しておく。
ソ連傀儡でしかない金日成なのだが、その神格化が成功しており、北朝鮮では、その誕生日(4月15日)を大きく祝い軍事パレードが行われた。記念日好きの北朝鮮の性向から、6回目の核実験または、10数回目の弾道ミサイル発射が懸念されていたが、これらに対しては、米国から事前に、その様な行為は米国の自衛的先制攻撃対象だと通達され、核実験は実行されていない。弾道ミサイルについては、ノドン型の失敗が伝えられているが、失敗ミサイルは攻撃対象ではないとされ、武力事態には至っていない。
武力事態の発生は望ましくない。一方、北朝鮮は、過去20数年にわたり、国際社会と交わしてきた「核開発をしない」との約束を尽く反故にして、現在までに5回の核爆発、10数回の弾道ミサイル発射を繰り返してきており、既に北朝鮮の核攻撃能力は米国の許容限界を超えていることから、従前の様な放置は「問題の先送り」でしかないとも解されており、武力を以てしても禍根を断てとの主張は納得性がある。
これは「米国の立場での理屈」である。
北朝鮮の弾道ミサイルがICBM化して、射程距離が北米大陸に届く可能性があるからだ。
我が国の場合は、既に2回目のテポドン発射(1998年8月31日)の時点で上空通過をされており、米国が言う許容限度は、その時点で超過しているのが実情だ。
その様な状況下での最近の「報道」及び、それに対するネットの反応について、気になるものが幾つかあったので、それを記録用に記しておきたい。備忘録だと思っていただければ幸である。
◆1.北朝鮮大使「戦争になれば日本が最初に被害受ける」(*1)
これはテレビ朝日のニュースの見出しである。
詳しくは文末脚注(*1)に引用した通りだが、記事では「北朝鮮大使」とされる人物が発言したとされる言葉が並んでいる。
それを記事本文に登場する順番で並べると、見出しの内容に違和感を持つのである。
<核・弾道ミサイル事案>
・「私たちに少しでも手をかけるなら全面戦争になりかねない」
・「アメリカと戦争になれば日本も攻撃対象になり得る」
<拉致事案>
・「ストックホルム合意」は「破棄された」
・「残留日本人が住んでいるなら人道的な観点から対応する用意がある」
(以上)
記事中の「大使の発言」とされる内容と、小見出し・見出しの「戦争になれば真っ先に被害を受けるのは日本だ」では、ニュアンスが違っていることがわかるだろう。
朝日新聞系列のテレビ朝日なので、朝日新聞お得意の「見出し詐欺」の可能性を疑っている。引用した同局HPには動画が埋め込まれているが、当方は朝鮮語を解さないので、何を言っているのかは不明である。どなたか朝鮮語がわかる方がいたら、見出しの様なことを言っているのか否かを確認して欲しい。
そういう未確認部分があるのだが、テレビ朝日ニュースの見出しは、昔ながらの「米軍基地があるから日本が攻撃される」との印象操作(*2)の再拡散する意図のもとに付けられたのではないか、と疑っている。
◆2.「チキンレース」とかの印象操作をする共産党議員(*3)
このニュースは、2017年4月17日の衆議院・決算行政監視委員会での共産党議員の質疑に関するものである。
毎度のことではあるが、共産党の軸足はけして日本にはなく、北朝鮮側に立った発言を繰り返しており、この時も同様であった。当方が気になった記述は2点である。
1点目は、現在の米朝の対峙状況を「チキンレース」との語句で誤解誘導していることである。
「チキンレース」とは何かに関してはWikiあたりで検索すれば良い。問題は、この共産党議員が、この語句を用いることで、あたかも米朝が対等な「交渉」をしているが如き印象操作を行っていることである。
現状をアメリカと北朝鮮が「互いに」瀬戸際外交をしているが如き印象操作である。
現実は全然違う。北朝鮮の無法なる核開発を対話や話し合いで取りやめてもらうとの23年前に始まった試みは、合意事項の尽くを北朝鮮が反故にして(*4)、今や、北朝鮮は長距離弾道ミサイルと核兵器を保有するに至っていることから、アメリカは、民主党政権での対北朝鮮政策を「失敗」だと評価し、武力攻撃も選択肢のうちだと、北朝鮮に対して、従来の対応を変更することを迫っている状態だ。要するにボールは北朝鮮側が持っている状態である。その状態に北朝鮮は、お得意の遷延をしている最中であり、対応に苦慮しているものである。アメリカが武力を背景に迫っている状態で、北朝鮮が4月15日に核実験や弾道ミサイル発射をしなかった、という事実がある。
こういう状況なのに、「チキンレース」と表現することは適切ではない。
2点目は、既に多くの方々が指摘済の問題「北朝鮮に言え」の部分と自称「保守」でありながら、共産党議員と同様の扇動をしてしまう部分である。
記事に記載がある共産党議員と安倍総理の質疑部分を以下に抜粋引用する。
<記事にある質疑概要>
○共産党の宮本議員「お互いにチキンレースになっていって、本当に戦争になりかねない。(トランプ大統領に)北朝鮮への先制攻撃というオプションはダメですよ。これ、はっきりおっしゃったんですか」
↓
○安倍首相「それは建前を述べるのは結構ですけれども、残念ながら、それでは北朝鮮は動いてこなかったのは事実でございます。彼らに時間を稼がせてその(核ミサイル)能力を向上させれば、もっと危機は水準が高まっていくわけでありますから、その中においてより大きな圧力をかけていく」
↓
○宮本議員「総理はアメリカが先制攻撃を行えば、韓国、そして我が国も、おびただしい犠牲が出ると、こういう認識はお持ちじゃないんですか」
↓
○安倍首相「それは北朝鮮に対して、国際社会が一致してこんなことはやめろと、こう強く言わなければならないのであって、アメリカにお前らやめろということでは私はないんだろうと思います」
(以上)
お読みいただければわかる通り、共産党議員は、現状の問題のうちの「武力事態の発生は望ましくない」の片方の部分しか言ってない。
共産党議員は、北朝鮮が過去20数年にわたり、国際社会と交わしてきた「核開発をしない」との約束を尽く反故にして、今や、再度の核爆発実験と弾道ミサイル発射を匂わせ、アメリカに対して北米本土攻撃するぞ、と脅かしているとの、もう1つの問題部分については言っていないのである。
安倍総理は、的確に、その両方の問題点の存在を指摘して、そもそもの問題である北朝鮮の非核化の実現を視野に入れた答弁をしている。
ところが、この共産党議員は、総理が答弁した、そもそもの問題の方を無視して、北朝鮮がやっている恫喝と同じことを言っているのである。北朝鮮の恫喝の再拡散をする共産党議員は「アメリカが先制攻撃を行えば、韓国、そして我が国も、おびただしい犠牲が出る」と、短い中に幾つものデマと騙しの印象操作を織り込んだ発言をしている。
その典型が、「アメリカが先制攻撃を行えば」との言い草である。
短期的には、北朝鮮が核爆発実験や弾道ミサイル発射をしなければ、アメリカは自衛的先制攻撃をしない。そういう事を無視し、あたかも「アメリカが攻撃したがっている」との印象操作である。
安倍総理は、共産党議員の発言に対して、「北朝鮮に言えば」と的確な答弁で応じている。
その次の「韓国、そして我が国も、おびただしい犠牲が出る」との言い草も同様の印象操作である。
我が国に対して北朝鮮が弾道ミサイルを撃つリスクがあるとの状況に対応するリスク対策の話に乗じて、朝日新聞等の我が国反日マスコミ他は盛んに、それを「不安感増大」に利用している(本投稿文末脚注(*2)の通り)が、この共産党議員も国会にて同様目的の発言をしていることがわかるだろう。
リスクの存在に基づくリスク対策の話を、この共産党議員は「不安感増大の為に利用」しているのである。この構造は極めて悪質である。
共産党議員は、「おびただしい犠牲が出る」と言い切っているが、我が国のBMD・弾道ミサイル防衛体制(*5)は、北朝鮮の弾道ミサイルを阻止するだけの実力があり、北朝鮮が弾道ミサイルを撃ったとしても、それだけで我が国に犠牲が出ることが確定する訳ではない。我が国は1998年のテポドン発射を受け、その対策としてBMD体制の構築を始めているのである。
それなのに、あたかも「北朝鮮が弾道ミサイルを撃ったら御仕舞」の様な言い方をしており、不安感を増大している。
リスクマネジメントの考え方からは、リスクの有無を正しく認知して、それを適切に評価して、効果ある対策を講じることが必要なのだが、共産党議員のこの発言は、リスクの存在を殊更に騒ぎ立てているだけだ。
政府が説明している、リスクの存在があること及びその対策があること、の真っ当な話を逆手に取って不安感の醸成や増大に転換し、以て政府を攻撃していることがわかるだろう。
冷静に考えればわかると思うが、リスク対策の話をネジ曲げることは日本人にとってマイナスでしいかない。(*6)この共産党議員と同様の「無用な騒ぎたて」を自称「保守」の方々もやってしまっていることは実に残念なことである。
リスクマエンジメントは、「リスクの認知」だけで終わる話ではないのである。
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【文末脚注】
(*1):北朝鮮大使「戦争になれば日本が最初に被害受ける」
テレ朝news (2017/04/18 05:54)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000098839.html
見出し:◆北朝鮮大使「戦争になれば日本が最初に被害受ける」
本文:○北朝鮮で日本との交渉を担当する宋日昊(ソン・イルホ)大使が「戦争になれば日本が最初に被害を被る」とアメリカを支持する日本を牽制(けんせい)しました。
小見出し:◆日朝国交正常化交渉担当・宋日昊大使:「戦争になれば真っ先に被害を受けるのは日本だ」
本文続き:○宋大使は平壌にいる日本のメディアと会見し、「私たちに少しでも手をかけるなら全面戦争になりかねない」と述べ、「アメリカと戦争になれば日本も攻撃対象になり得る」と警告しました。また、北朝鮮が拉致問題などについて再調査を約束した「ストックホルム合意」は「破棄された」という認識を示しました。ただ、「残留日本人が住んでいるなら人道的な観点から対応する用意がある」と日本が制裁を解除するなど、対応次第では対話に応じる考えも示唆しました。
<引用終わり>
(*2):「米軍基地があるから日本が攻撃される」とのデマ話
2017/04/06投稿:
昔ながらの印象操作の一例
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-641.html
(*3):
日テレNEWS24 2017年4月17日 18:00
http://www.news24.jp/articles/2017/04/17/04359206.html
見出し:◆「米北チキンレースが戦争に」首相にただす
本文:○北朝鮮の問題は国会でも論戦となっている。共産党は安倍首相に対して先制攻撃をやめるようトランプ大統領に求めたのかただした。
○共産党の宮本徹議員は、アメリカと北朝鮮のチキンレースになって戦争になりかねないと指摘したが、安倍首相は北朝鮮問題の解決に向けた軍事的な圧力の必要性を強調した。
○共産党の宮本議員「お互いにチキンレースになっていって、本当に戦争になりかねない。(トランプ大統領に)北朝鮮への先制攻撃というオプションはダメですよ。これ、はっきりおっしゃったんですか」
○安倍首相「それは建前を述べるのは結構ですけれども、残念ながら、それでは北朝鮮は動いてこなかったのは事実でございます。彼らに時間を稼がせてその(核ミサイル)能力を向上させれば、もっと危機は水準が高まっていくわけでありますから、その中においてより大きな圧力をかけていく」
○宮本議員「総理はアメリカが先制攻撃を行えば、韓国、そして我が国も、おびただしい犠牲が出ると、こういう認識はお持ちじゃないんですか」
○安倍首相「それは北朝鮮に対して、国際社会が一致してこんなことはやめろと、こう強く言わなければならないのであって、アメリカにお前らやめろということでは私はないんだろうと思います」
○こうした中、安倍首相は有事に備えて朝鮮半島にいる日本人をどのように保護するかや、避難民が流入する場合の対応について検討していることを明らかにした。
<引用終わり>
(*4):過去23年間の「対話」の結果は、北朝鮮の合意事項反故の連続
2017/04/17投稿:
北朝鮮との「対話」がもたらした結果が今1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-649.html
(*5):我が国の弾道ミサイル防衛体制の解説
2017/04/04投稿:
BMD・弾道ミサイル防衛
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-639.html
(*6):リスク対策の話をネジ曲げることは日本人にとってマイナス
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http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-651.html



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