【コラム】再度、憲法の中身を知る必要性を述べる
憲法研究との一般受けが良くないブログにご訪問くださり、誠にありがとうございます。
このブログを始めた理由は最初の記事で書いた通り、巷で見聞きする憲法論議に当方が危機感を持ったから。
取り分け「保守」を自称する方々ほど「憲法改正は必要」と言いながら、では「日本国憲法の何処をどの様に改正すれば良いのか?」との具体的な話になると具体的指摘を避け「いろいろある」とか「先ず9条、次に・・・(やがて無言)」とかの一般論に流れたりする。
結局は、日本国憲法のどの部分が悪く、どの部分は適正なのかの中身の議論をするレベルではない、ということだ。
このレベルの中には、威勢の良い「現行憲法無効論」を言いだす方々もいる。
しかし、現行憲法が無効だって状態を実現化できるのか?
【現実世界で無効決議するのは誰なのよ?】5W1Hのうちのwhoをたずねるこの質問にさえ答えられないなら「現行憲法無効論」など夢物語。現実世界ではあり得ない。
所謂サヨク側が言う「護憲」と同じマヤカシでしかない。
当方も現行憲法が我が国占領下主権喪失期に公布・施行されたこと自体は国際法違反であると認識しているが、その1点を以て「現行憲法無効」と言いだすことは乱暴過ぎると認識している。当方が現行憲法無効論が非現実的なことだと考える理由は以下の3点である。
先ず、本ブログの「3-3 日本国憲法 前文の前に」にて紹介した様に、現行憲法は先帝陛下の御名御璽ある上諭で明確な様に、先帝陛下の御名にて帝国憲法を改正して発布された憲法である。これを無効とする根拠があるのだったら具体的にご提示いただき度い。
そして、その「答え」が不敬であるか否かを先に自己検証してからご提示いただき度い。
次に、改憲が一度もなされずに既に60年が経過している事実からは、この間我が国は現行憲法を追認していると看做されるとの事実が存在している。
主権回復した1952年4月28日以降、2015年に至るまで既に60年以上が経過しており、この間に現行憲法に対して何らの法的変更がなされていない。法的には現行憲法を追認しており、今更「無効」との主張は筋が通らない。
筋を通すなら、不適切部分を改めるなりの改憲とするのが妥当は手法であると考えている。
異論あるなら60年以上が経過した現状に於いて無効論の方が筋が通るとの論説をご紹介いただき度い。
最後の三点目は手続き的なテクニカルな話になるが、仮に無効とした場合、現行憲法第25条を根拠にした生活保護法は一緒に無効になるのか?などの我が国法体系に多大な空白を生じかねないとの問題がある。以下に箇条書きした諸問題をどうやって整合させるのであろうか?
・現行憲法下で施行された戦後改正法・新法をどう取り扱うのか?
(皇室典範、裁判所法、国会法、内閣法、地方自治法、教育基本法、自衛隊法etc.)
・現行憲法無効となった場合、現行運用されているどの法が有効になるのか?
(有効なら、根拠条文がなくなったこととの整合をどの様につけるのか?)
・大日本帝国憲法に復帰するのか?
・復帰するなら、その正当な根拠は何か?
以上の3点から、現行憲法は改憲で改めない限り存続し続けるとの現実問題に突き当たる。
要するに、所謂サヨク側がやっている神学論争化・ゴチャゴチャ論法による真面目な憲法論議を台無しにして改憲に至らせないことで現行憲法を温存するとのやり方と同じだ。
勇ましき「「現行憲法無効論」は実質的には改憲論議を進める上での有益性は低く「現行憲法温存」に与しているとの現実があることに気付いて欲しい。
これら3点の問題の整合性をとる為の労力があるなら、中身を議論した上で改憲する方が建設的だろうに・・・
当方の考え方と「現行憲法無効論」の最大の差異は、現行憲法無効化の手段の問題である。
当方は、現行憲法を改憲することで我々日本人にとって毒である現行憲法を無効化し、我々日本人が日常を幸福に波風なく継続するには改憲との手段しか選択肢がないと考えるからである。
しかしながら「現行憲法無効論」では現行憲法の廃棄のみが提示される。
「日本人が日常を継続する」との視点、方法が欠落している。
当方が過去、憲法研究した結果から出てきた立場としては、現行憲法の継続は我が国と我が国国民を不幸にしているとの状況認識から、我が国と我が国国民が幸福になる新たな憲法が必要だと考えたからだ。
もう一度言う。目的は我が国と我が国国民の幸福の増進である。
その手段として、現行憲法をその目的に合致した憲法へと改憲するのが王道だと考えている。
当方の発想は、我が国と我が国国民の幸福が軸足にあるので、「現行憲法無効論」を真面目に聞けば聞くほど疑問に思うのが「破棄した後の我が国憲法はどの様なものにするつもりなのか?」なのである。
目的達成の為の手段としては、A:現行憲法の用途廃止、B:我が国と我が国国民の幸福に資する内容の新憲法発布のA+Bがワンセットで必要だと思っている。
「現行憲法無効論」はAのみで唱えられているのが大多数だ。
これでは目的をちっとも達成しない。
目的達成の為には真面目にBの内容部分を議論すべきだと考えている。
現行憲法の何処が問題で、それをどの様に改善するのか、との内容こそが重要なのであり、
内容議論を避け、Aの現行憲法の用途廃止だけを主張するのは単なる破壊主義である。
「現行憲法無効論」を述べている方にあらためて問いたい。
現行憲法を破壊することが目的なのか?と
破壊のみを目的にした先例としては、紅衛兵が「文化大革命」と称して同じ人民を圧殺・破壊して、何も共産主義国家に有益な事態や制度を建設しなかった歴史がある。
あれと同じに見える。破壊目標は目の前にあり簡単で威勢が良いが、それだけでは何も生まない。
Bの「我が国と我が国国民の幸福に資する内容の新憲法」の内容議論を他人任せにするのならば言論側でのみ活動するのではなく行動側で行動しなさい。
行動なき現行憲法無効論は言論上ではサヨク「護憲」論法と大差ない。
現行憲法を破棄するだけじゃ不充分、我々日本人の幸福、我々の孫・子の世代の日本人の幸福に相応しい憲法が必要なのだ。
正しく内容を把握して、現行憲法の何処をどの様に改正すれば良いのか?を明確にし、その上で、どんな憲法が望ましいのかを一緒に考えていきたいのだ。
今は、先ず何が問題なのかを抽出したいと憲法を逐条的に読んでいる状態だ。
読んで問題だと思ったら、どの部分が問題かを明示し、問題だと思った理由を開示して問題意識を一緒に考えていただき、その問題意識に同意出来るか否かの問い掛けをしている。
当方が提示した問題に同意いただければ、その部分は改正すべきとの意志一致が出来る箇所になるだろう。或いは当方が問題視していない部分に問題あると考えている方もいよう。
その場合はどの部分なのか、どんな理由で問題だと考えているのかをご紹介いただき度い。
看板やレッテルではなく、実際の条文内容を読んだ上で一緒に考えていきたい。
憲法問題は我々日本人全体が係る話なのだから。
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