真珠湾オバマ演説2・2016/12/28 Final
- 2017/01/04
- 23:45
真珠湾オバマ演説2・2016/12/28 Final

副題:オバマ真珠湾演説は広島演説と1セット。歴史から教訓を選び取り、自身の未来像を描く為に生かすことができる。
前回からの続きである。
安倍総理の演説に続き為されたオバマ演説は、全体で6つの部分で構成されていると読んでいる。原文の英語及びマスコミ報道された訳文の全文は以下のURLに収録されているので、適宜、参照願いたい。尚、収録の際に引用者の当方が区分番号を付している。
2016/12/29投稿:
(資料編)真珠湾両首脳ステートメント
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-573.html
前回は、6つの部分のうち、3つ目までを読解・解説した。
オバマ真珠湾演説は、その主旨として、日米両国の未来志向の同盟関係を称える内容なのだが、演説の多くの部分を自国アメリカ人の心を鎮める話に費やしており、特に2つ目の部分は、それに該当している。
続く3つ目から、オバマ演説は、戦後70年間の日米同盟と今を事実に基づきあらためて高く評価しているのである。そして、3つ目の最後「3-④」で安倍総理演説の要諦たる、もっとも激しく戦った両国が寛容の心と和解の力で希望の同盟を育んできた歴史と現在と未来志向に呼応することで締めくくり、パールハーバーは21世紀の和解の象徴となったとしているのである。
今回は4つ目から再開する。
オバマ演説は、最初に書いた様に、主として、その対象を自国民アメリカ人であると解される。それ故に、日本人の感覚からは、ちょっと直接的過ぎる表現も随所に見られる。
特に4-①から③は、自国民アメリカ人に目を覚ませとでも言いたげな言い方をしている部分であり、その引き合いに日本が登場する。
「4-①」で、オバマは「内向き志向には抵抗しなければならないと改めて思う。」「自分たちと異なる人々を悪者扱いする欲求に立ち向かわなければならない。」と指摘している。
この指摘の次に、我々日本人には普通の感覚である「お互い様」の概念をオバマは紹介している。
<4-①より抜粋引用>
It insists that we strive to be what our Japanese friends call otagai no tame ni -- “with and for each other.”
<引用終わり>
この一節に対する新聞報道の訳文は相応しくないと当方は感じているので、当方が訳してみた。
<4-①より抜粋引用>
日本の友人が「お互いのために」と呼ぶ行動に努めることが求められている。共に、互いのために、ということだ。
<引用終わり>
↓
<当方による意訳>
我々(アメリカ人)の日本の友人達が、「otagai no tame ni」と言う言葉、即ち、「共に、そしてお互いの為に」という意味の言葉で、(我々アメリカ人にも)そういう行動をする努力を呼び掛けている。
新聞の訳文では、「求められている」のは「日本の友人」になってしまい意味が通じない。
ここでオバマが言っていることは、内向き志向や自身と異なる人々を悪者扱いする様な安易は感情のままではダメ、「お互い様」精神で、ともにやっていくべきだとの、より高い精神性に基づく視点である。
我々日本人にとっては「お互い様」は普通の概念であるのだが、他文明では、対等互恵関係が理解がされないケースも多々ある。
この概念を他の国々の方々にも分かり易く言い表したのが「WinWin関係」との言葉であろう。一方、「大国日本と発展途上国」との関係では、この「WinWin関係」との言葉は適切なのだが、「世界一の強国アメリカ」を自認するアメリカ人からすれば、「アメリカ一国だけでもWinしているから」との意識があることから、わざわざ「otagai no tame ni」との言葉を用いていると解している。
これに続き、4-②では「自分たちと異なる人々を悪者扱いする欲求」を既に克服している例として、戦艦ミズーリ艦長の話とアリゾナ記念館に日米両国を象徴する「2本のバラ」の話をオバマは紹介している。
4-③では、現在の日米の若者達が、互いに協力し、互いの国に訪問し、人類の幸福に資する癌医療研究、気候変動対処、宇宙探査の協力成果を紹介し、実際の現在の生活では日米は既に「恩讐を越えている」実例として、イチローを紹介している。
イチローの活躍をアメリカ人は素直に賞賛している。
<4-③より抜粋引用>
It’s a baseball player like Ichiro lighting up a stadium in Miami, buoyed by the shared pride of two peoples, both American and Japanese, united in peace and friendship.
マイアミの球場を輝かせるイチローのような野球選手は、平和と友好で団結した米国人と日本人共通の誇りによって支えられている。
<引用終わり>
次の「5-①」は、当方が独立した段落にしたものである。
この部分は、「4-④」としても良かったのだが、とても重要なことを言っているので、敢えて「5-①」としたものである。
ここで言われていることは、歴史理解の真髄である。
<5-①より抜粋引用>
As nations, and as people, we cannot choose the history that we inherit. But we can choose what lessons to draw from it, and use those lessons to chart our own futures.
国や国民として、われわれは受け継ぐ歴史を選ぶことはできない。だが、歴史から教訓を選び取ることはできる。われわれ自身の未来像を描くのに、その教訓を生かすことも(が)できる。
<引用終わり>
新聞記事の訳文では「教訓を生かすこと(も)できる」と訳しているが、ここは「教訓を生かすこと(が)できる」と訳すべきだろう。新聞記事の訳文はAndでつないでいることから単純に(も)としているのであろうが、この一節の主題は「歴史に学ぶ」であり「温故知新」であることから、歴史の教訓を生かすことが重要だとする訳文にすべき部分である。
オバマ真珠湾演説の前日に以下の歴史認識手法に関する考察を投稿しているが、オバマ演説で示された歴史認識は、極めてまともである。歴史認識で誤謬を発生する、謝った歴史認識手法とは違い、オバマ演説で示された「歴史に学ぶ」「温故知新」の姿勢は高く評価したい。
2016/12/27投稿:
歴史は謙虚に理解すべきもの
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-572.html
ifまたはpossibilityを用いて、存在していない歴史を持ちだす様なことをせず、歴史の一部を摘み食いして断罪する様なことをぜず、歴史から学ぶ姿勢を貫いたオバマ演説のこの部分を高く評価したい。
歴史を安易に断罪する行為の愚劣なる実例として思い出していただきたいのは、中国や韓国及び我が国左巻き反日マスコミが盛んに持ちだした「謝罪」との言葉である。
昨年2016年5月27日のオバマ広島訪問際にも、今回、2016年12月の安倍総理真珠湾訪問の際にも、「謝罪」との「歴史断罪概念」の提示が彼等の「主張」であった。
この「謝罪」との言葉で、話は一気に70年以上前の出来事へと想念が飛び、戦後70年間の平和維持や、その間に育んできた日米同盟の意義を雲散霧消させ、21世紀の現在を生きる我々を70年前の呪縛へと引き戻すものである。
そこには未来志向との希望の欠片もない。
オバマは真っ当な歴史認識態度を示し、その後、最終部分「6-」で、歴史に学び、未来志向こそが必要だと訴え、演説を終えている。寛容の心、和解の力が互いの為になっていることを明示しているのである。
<6-①から抜粋引用>
I hope that together, we send a message to the world that there is more to be won in peace than in war; that reconciliation carries more rewards than retribution.
私は、われわれが世界に対し、戦争の中からより平和の中から勝ち取るものの方が多いというメッセージを共に送ることを望む。和解は報復よりも多くの恩恵をもたらすということだ。
<引用終わり>
日本人の中には、損得勘定かよと拗らせた理解をする方もいるかもしれないが、国家・国民の安寧・平和が保たれる関係か良いのか、いがみ合いと武力を背景とする関係で良いのかのレベルを「損得勘定」と言うのは、あまりにも矮小化した理解でしかない。
また、日米同盟の基礎が「寛容の心」と「和解の力」で構築されているとの話を、「打算」と「奸計」と「権謀術数」で出来ていると理解するのは、Sinic文明圏由来の考え方に基づく理解である。
オバマ演説は、最後に日米両国の戦後の歩みの結果至った現在の日米関係に感謝を捧げている。
<6-②より抜粋引用>
we give thanks for all that our two nations have won -- together, as friends.
友人として両国が共に勝ち取ってきた全てに感謝する
May God bless us all.
(我々総てに神の祝福を)
<引用終わり>
以上が当方による理解である。我が国日本文明とは違う、西欧文明のアメリカであるが、世界を見渡せば、我々日本人の価値観からすれば、西欧文明がもっとも親和性がある相手であり、日本の国力や太平洋を挟んだ隣人としての地理的位置から、同盟関係の相手としてアメリカがもっとも相応しい。
そんな日米が「寛容の心」と「和解の力」を根本理念として、戦争より平和から得られるものの方が多い、和解は報復よりも多くの恩恵をもたらすというメッセージを世界に発信することは、世界平和に資するものだと当方も考えている。
21世紀前半の現在、我々日本人にとって、日米同盟を選択する以外にもっと良い選択肢があるのであろうか? との単純な問いへの別の答があるとは思えないのである。
<以上、真珠湾オバマ演説2016/12/28 終わり>
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副題:オバマ真珠湾演説は広島演説と1セット。歴史から教訓を選び取り、自身の未来像を描く為に生かすことができる。
前回からの続きである。
安倍総理の演説に続き為されたオバマ演説は、全体で6つの部分で構成されていると読んでいる。原文の英語及びマスコミ報道された訳文の全文は以下のURLに収録されているので、適宜、参照願いたい。尚、収録の際に引用者の当方が区分番号を付している。
2016/12/29投稿:
(資料編)真珠湾両首脳ステートメント
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-573.html
前回は、6つの部分のうち、3つ目までを読解・解説した。
オバマ真珠湾演説は、その主旨として、日米両国の未来志向の同盟関係を称える内容なのだが、演説の多くの部分を自国アメリカ人の心を鎮める話に費やしており、特に2つ目の部分は、それに該当している。
続く3つ目から、オバマ演説は、戦後70年間の日米同盟と今を事実に基づきあらためて高く評価しているのである。そして、3つ目の最後「3-④」で安倍総理演説の要諦たる、もっとも激しく戦った両国が寛容の心と和解の力で希望の同盟を育んできた歴史と現在と未来志向に呼応することで締めくくり、パールハーバーは21世紀の和解の象徴となったとしているのである。
今回は4つ目から再開する。
オバマ演説は、最初に書いた様に、主として、その対象を自国民アメリカ人であると解される。それ故に、日本人の感覚からは、ちょっと直接的過ぎる表現も随所に見られる。
特に4-①から③は、自国民アメリカ人に目を覚ませとでも言いたげな言い方をしている部分であり、その引き合いに日本が登場する。
「4-①」で、オバマは「内向き志向には抵抗しなければならないと改めて思う。」「自分たちと異なる人々を悪者扱いする欲求に立ち向かわなければならない。」と指摘している。
この指摘の次に、我々日本人には普通の感覚である「お互い様」の概念をオバマは紹介している。
<4-①より抜粋引用>
It insists that we strive to be what our Japanese friends call otagai no tame ni -- “with and for each other.”
<引用終わり>
この一節に対する新聞報道の訳文は相応しくないと当方は感じているので、当方が訳してみた。
<4-①より抜粋引用>
日本の友人が「お互いのために」と呼ぶ行動に努めることが求められている。共に、互いのために、ということだ。
<引用終わり>
↓
<当方による意訳>
我々(アメリカ人)の日本の友人達が、「otagai no tame ni」と言う言葉、即ち、「共に、そしてお互いの為に」という意味の言葉で、(我々アメリカ人にも)そういう行動をする努力を呼び掛けている。
新聞の訳文では、「求められている」のは「日本の友人」になってしまい意味が通じない。
ここでオバマが言っていることは、内向き志向や自身と異なる人々を悪者扱いする様な安易は感情のままではダメ、「お互い様」精神で、ともにやっていくべきだとの、より高い精神性に基づく視点である。
我々日本人にとっては「お互い様」は普通の概念であるのだが、他文明では、対等互恵関係が理解がされないケースも多々ある。
この概念を他の国々の方々にも分かり易く言い表したのが「WinWin関係」との言葉であろう。一方、「大国日本と発展途上国」との関係では、この「WinWin関係」との言葉は適切なのだが、「世界一の強国アメリカ」を自認するアメリカ人からすれば、「アメリカ一国だけでもWinしているから」との意識があることから、わざわざ「otagai no tame ni」との言葉を用いていると解している。
これに続き、4-②では「自分たちと異なる人々を悪者扱いする欲求」を既に克服している例として、戦艦ミズーリ艦長の話とアリゾナ記念館に日米両国を象徴する「2本のバラ」の話をオバマは紹介している。
4-③では、現在の日米の若者達が、互いに協力し、互いの国に訪問し、人類の幸福に資する癌医療研究、気候変動対処、宇宙探査の協力成果を紹介し、実際の現在の生活では日米は既に「恩讐を越えている」実例として、イチローを紹介している。
イチローの活躍をアメリカ人は素直に賞賛している。
<4-③より抜粋引用>
It’s a baseball player like Ichiro lighting up a stadium in Miami, buoyed by the shared pride of two peoples, both American and Japanese, united in peace and friendship.
マイアミの球場を輝かせるイチローのような野球選手は、平和と友好で団結した米国人と日本人共通の誇りによって支えられている。
<引用終わり>
次の「5-①」は、当方が独立した段落にしたものである。
この部分は、「4-④」としても良かったのだが、とても重要なことを言っているので、敢えて「5-①」としたものである。
ここで言われていることは、歴史理解の真髄である。
<5-①より抜粋引用>
As nations, and as people, we cannot choose the history that we inherit. But we can choose what lessons to draw from it, and use those lessons to chart our own futures.
国や国民として、われわれは受け継ぐ歴史を選ぶことはできない。だが、歴史から教訓を選び取ることはできる。われわれ自身の未来像を描くのに、その教訓を生かすことも(が)できる。
<引用終わり>
新聞記事の訳文では「教訓を生かすこと(も)できる」と訳しているが、ここは「教訓を生かすこと(が)できる」と訳すべきだろう。新聞記事の訳文はAndでつないでいることから単純に(も)としているのであろうが、この一節の主題は「歴史に学ぶ」であり「温故知新」であることから、歴史の教訓を生かすことが重要だとする訳文にすべき部分である。
オバマ真珠湾演説の前日に以下の歴史認識手法に関する考察を投稿しているが、オバマ演説で示された歴史認識は、極めてまともである。歴史認識で誤謬を発生する、謝った歴史認識手法とは違い、オバマ演説で示された「歴史に学ぶ」「温故知新」の姿勢は高く評価したい。
2016/12/27投稿:
歴史は謙虚に理解すべきもの
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-572.html
ifまたはpossibilityを用いて、存在していない歴史を持ちだす様なことをせず、歴史の一部を摘み食いして断罪する様なことをぜず、歴史から学ぶ姿勢を貫いたオバマ演説のこの部分を高く評価したい。
歴史を安易に断罪する行為の愚劣なる実例として思い出していただきたいのは、中国や韓国及び我が国左巻き反日マスコミが盛んに持ちだした「謝罪」との言葉である。
昨年2016年5月27日のオバマ広島訪問際にも、今回、2016年12月の安倍総理真珠湾訪問の際にも、「謝罪」との「歴史断罪概念」の提示が彼等の「主張」であった。
この「謝罪」との言葉で、話は一気に70年以上前の出来事へと想念が飛び、戦後70年間の平和維持や、その間に育んできた日米同盟の意義を雲散霧消させ、21世紀の現在を生きる我々を70年前の呪縛へと引き戻すものである。
そこには未来志向との希望の欠片もない。
オバマは真っ当な歴史認識態度を示し、その後、最終部分「6-」で、歴史に学び、未来志向こそが必要だと訴え、演説を終えている。寛容の心、和解の力が互いの為になっていることを明示しているのである。
<6-①から抜粋引用>
I hope that together, we send a message to the world that there is more to be won in peace than in war; that reconciliation carries more rewards than retribution.
私は、われわれが世界に対し、戦争の中からより平和の中から勝ち取るものの方が多いというメッセージを共に送ることを望む。和解は報復よりも多くの恩恵をもたらすということだ。
<引用終わり>
日本人の中には、損得勘定かよと拗らせた理解をする方もいるかもしれないが、国家・国民の安寧・平和が保たれる関係か良いのか、いがみ合いと武力を背景とする関係で良いのかのレベルを「損得勘定」と言うのは、あまりにも矮小化した理解でしかない。
また、日米同盟の基礎が「寛容の心」と「和解の力」で構築されているとの話を、「打算」と「奸計」と「権謀術数」で出来ていると理解するのは、Sinic文明圏由来の考え方に基づく理解である。
オバマ演説は、最後に日米両国の戦後の歩みの結果至った現在の日米関係に感謝を捧げている。
<6-②より抜粋引用>
we give thanks for all that our two nations have won -- together, as friends.
友人として両国が共に勝ち取ってきた全てに感謝する
May God bless us all.
(我々総てに神の祝福を)
<引用終わり>
以上が当方による理解である。我が国日本文明とは違う、西欧文明のアメリカであるが、世界を見渡せば、我々日本人の価値観からすれば、西欧文明がもっとも親和性がある相手であり、日本の国力や太平洋を挟んだ隣人としての地理的位置から、同盟関係の相手としてアメリカがもっとも相応しい。
そんな日米が「寛容の心」と「和解の力」を根本理念として、戦争より平和から得られるものの方が多い、和解は報復よりも多くの恩恵をもたらすというメッセージを世界に発信することは、世界平和に資するものだと当方も考えている。
21世紀前半の現在、我々日本人にとって、日米同盟を選択する以外にもっと良い選択肢があるのであろうか? との単純な問いへの別の答があるとは思えないのである。
<以上、真珠湾オバマ演説2016/12/28 終わり>



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