自民党改憲草案の紹介2【コラム】
- 2016/08/04
- 00:52
自民党改憲草案の紹介2【コラム】

副題:自民党改憲草案の良いところ・悪いところの概要。
前回からの続きである。
前回1⇒ http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-472.html
前回は、前文、第1章・天皇、第2章・安全保障の3つを紹介した。
今回は、第3章・国民の権利及び義務から再開する。
4.第3章・国民の権利及び義務
4-1.主権概念・人権概念の整理
自民党案の第3章は「国民の権利及び義務」である。
憲法での「国民の権利及び義務」との章は、我が国国民の基本的権利と義務を条文で表すものなので、下位法で規定する様な細かい個別の権利・義務を書くのではなく、理念・思想がわかる基本的なものを書くべきものだと理解している。
その際の「我が国国民の基本的権利と義務」の「理念・思想」とは、次の様なものだと理解している。
1.国民主権としての投票権としての権利
2.本来的基本的人権(日本風に言うと民権)のうち、法文に書くべき社会権部分
詳しくない方には、難しい書き方だったと思うが、単純化すれば、1.は「主権」概念、で2.は「基本的人権」概念での「国民の権利」である。
この説明をするのに、過去ログでは以下の様に1.の主権概念説明で6記事、2.の人権概念の説明で4記事を費やしているので、ここではア:「国民主権」と「基本的人権」は別概念、イ:昨今の「基本的人権」はインフレ状態であり、追及すべきは【本来的基本的人権】である、の2点を把握していれば良いと思う。
<主権概念・全6回>
2015/09/16投稿:自己検証3 主権概念の整理
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-211.html
↓
2015/10/07投稿:自己検証8 整理した主権概念での検証
(URL略)
概要:主権1)国家統治権、主権2)対外的国家主権、主権3)投票権・国民主権
<人権概念全4回・>
2015/10/14投稿:憲法改正私案の検証12「人権」の整理1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-231.html
↓
2015/10/17投稿:憲法改正私案の検証15「人権」の整理4
(URL略)
概要:昨今のインフレ状態の「なんでもかんでも人権」ではなく、本来的人権は以下の3区分である。
A:本来的基本的人権A:⇒ ①自由権と②平等権
B;上記本来的基本的人権A:を保障する人権B:⇒③社会権
この様な物差しで、自民党案の第3章・「国民の権利及び義務」を分析すると、やはり、良いところと悪いところが混在している。
4-2.第3章・国民の権利及び義務・良いところ悪いところ
先ず、良いところ(その1)は、本来的基本的人権規定が堅持されているところであり、かつ、権利と義務はコインの裏表であり「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚」する必要がある旨を追加してところである。
<自民党案:第12条(国民の責務)>
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。
<引用終わり>
堅持されている本来的基本的人権規定は主には以下の条項である。(条文番号は自民党案)
○第13条(人としての尊重等)、第14条(法の下の平等)、第16条(請願をする権利)、第19条(思想及び良心の自由)、第20条(信教の自由)、第21条(表現の自由)、第22条(居住、移転及び職業選択等の自由等)、第23条(学問の自由)、第26条(教育に関する権利及び義務等)、第27条(勤労の権利及び義務等)、第28条(勤労者の団結権等)、第29条(財産権)等々
また、良いところ(その2)としては、第15条・第3項で、選挙権は「日本国籍を有する」との、国籍規定を明示したところである。
<自民党案:第15条(国民の責務)第3項>
3 公務員の選定を選挙により行う場合は、日本国籍を有する成年者による普通選挙の方法による。
<引用終わり>
更に、良いところ(その3)として、次の幾つかの新設条文を設けたことである。
<自民党案:第25条の3(在外国民の保護)>
国は、国外において緊急事態が生じたときは、在外国民の保護に努めなければならない。
<自民党案:第25条の4(犯罪被害者等への配慮)>
国は、犯罪被害者及びその家族の人権及び処遇に配慮しなければならない。
<引用終わり>
次に、悪いところだが、主には次の2点である。
先ず、悪いところ(その1)は、第24条の「家族、婚姻等に関する基本原則」である。
これは、現行憲法に於いても悪条文として有名なもので、削除するべき条文なのだが、自民党案は、それを更にこねくりまわしている。憲法典という法典の条文、即ち、法文であることが、最低限の条件なのだが、以下に引用した様に、これでは法文になっていないのである。
<自民党案:第24条(家族、婚姻等に関する基本原則>
家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。 (以下略)
<引用終わり>
悪いところ(その2)は、以下の引用の通り、昨今のインフレ状態の「なんでもかんでも人権」のうち「環境権」と言われるものが、新設条文になっている点である。
過去ログで触れた様に、公明党あたりが大衆迎合的に「環境権を憲法条文に入れましたぁ~」と言いたいだけで草案に入ったものだと推察される。
「憲法と下位法」の考え方からすれば、この様な、最近できた「人権」を安易にチョイスして入れ込むのは不見識であり、憲法典に書くべきは本来的基本的人権とするべきである。
<自民党案:第25条の2(環境保全の責務)>
国は、国民と協力して、国民が良好な環境を享受することができるようにその保全に努めなければならない。
<引用終わり>
長くなったので、第3章以降の概要紹介は次回以降とする。
【文末資料】
<自民党改憲草案の問題点を修正した当方の私案>
本ブログの本来目的の結果として提示した【日本国憲法改正私案α版】
2015年08月13日投稿:
*(2/5)第3章・国民の権利及び義務
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-184.html
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副題:自民党改憲草案の良いところ・悪いところの概要。
前回からの続きである。
前回1⇒ http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-472.html
前回は、前文、第1章・天皇、第2章・安全保障の3つを紹介した。
今回は、第3章・国民の権利及び義務から再開する。
4.第3章・国民の権利及び義務
4-1.主権概念・人権概念の整理
自民党案の第3章は「国民の権利及び義務」である。
憲法での「国民の権利及び義務」との章は、我が国国民の基本的権利と義務を条文で表すものなので、下位法で規定する様な細かい個別の権利・義務を書くのではなく、理念・思想がわかる基本的なものを書くべきものだと理解している。
その際の「我が国国民の基本的権利と義務」の「理念・思想」とは、次の様なものだと理解している。
1.国民主権としての投票権としての権利
2.本来的基本的人権(日本風に言うと民権)のうち、法文に書くべき社会権部分
詳しくない方には、難しい書き方だったと思うが、単純化すれば、1.は「主権」概念、で2.は「基本的人権」概念での「国民の権利」である。
この説明をするのに、過去ログでは以下の様に1.の主権概念説明で6記事、2.の人権概念の説明で4記事を費やしているので、ここではア:「国民主権」と「基本的人権」は別概念、イ:昨今の「基本的人権」はインフレ状態であり、追及すべきは【本来的基本的人権】である、の2点を把握していれば良いと思う。
<主権概念・全6回>
2015/09/16投稿:自己検証3 主権概念の整理
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-211.html
↓
2015/10/07投稿:自己検証8 整理した主権概念での検証
(URL略)
概要:主権1)国家統治権、主権2)対外的国家主権、主権3)投票権・国民主権
<人権概念全4回・>
2015/10/14投稿:憲法改正私案の検証12「人権」の整理1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-231.html
↓
2015/10/17投稿:憲法改正私案の検証15「人権」の整理4
(URL略)
概要:昨今のインフレ状態の「なんでもかんでも人権」ではなく、本来的人権は以下の3区分である。
A:本来的基本的人権A:⇒ ①自由権と②平等権
B;上記本来的基本的人権A:を保障する人権B:⇒③社会権
この様な物差しで、自民党案の第3章・「国民の権利及び義務」を分析すると、やはり、良いところと悪いところが混在している。
4-2.第3章・国民の権利及び義務・良いところ悪いところ
先ず、良いところ(その1)は、本来的基本的人権規定が堅持されているところであり、かつ、権利と義務はコインの裏表であり「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚」する必要がある旨を追加してところである。
<自民党案:第12条(国民の責務)>
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。
<引用終わり>
堅持されている本来的基本的人権規定は主には以下の条項である。(条文番号は自民党案)
○第13条(人としての尊重等)、第14条(法の下の平等)、第16条(請願をする権利)、第19条(思想及び良心の自由)、第20条(信教の自由)、第21条(表現の自由)、第22条(居住、移転及び職業選択等の自由等)、第23条(学問の自由)、第26条(教育に関する権利及び義務等)、第27条(勤労の権利及び義務等)、第28条(勤労者の団結権等)、第29条(財産権)等々
また、良いところ(その2)としては、第15条・第3項で、選挙権は「日本国籍を有する」との、国籍規定を明示したところである。
<自民党案:第15条(国民の責務)第3項>
3 公務員の選定を選挙により行う場合は、日本国籍を有する成年者による普通選挙の方法による。
<引用終わり>
更に、良いところ(その3)として、次の幾つかの新設条文を設けたことである。
<自民党案:第25条の3(在外国民の保護)>
国は、国外において緊急事態が生じたときは、在外国民の保護に努めなければならない。
<自民党案:第25条の4(犯罪被害者等への配慮)>
国は、犯罪被害者及びその家族の人権及び処遇に配慮しなければならない。
<引用終わり>
次に、悪いところだが、主には次の2点である。
先ず、悪いところ(その1)は、第24条の「家族、婚姻等に関する基本原則」である。
これは、現行憲法に於いても悪条文として有名なもので、削除するべき条文なのだが、自民党案は、それを更にこねくりまわしている。憲法典という法典の条文、即ち、法文であることが、最低限の条件なのだが、以下に引用した様に、これでは法文になっていないのである。
<自民党案:第24条(家族、婚姻等に関する基本原則>
家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。 (以下略)
<引用終わり>
悪いところ(その2)は、以下の引用の通り、昨今のインフレ状態の「なんでもかんでも人権」のうち「環境権」と言われるものが、新設条文になっている点である。
過去ログで触れた様に、公明党あたりが大衆迎合的に「環境権を憲法条文に入れましたぁ~」と言いたいだけで草案に入ったものだと推察される。
「憲法と下位法」の考え方からすれば、この様な、最近できた「人権」を安易にチョイスして入れ込むのは不見識であり、憲法典に書くべきは本来的基本的人権とするべきである。
<自民党案:第25条の2(環境保全の責務)>
国は、国民と協力して、国民が良好な環境を享受することができるようにその保全に努めなければならない。
<引用終わり>
長くなったので、第3章以降の概要紹介は次回以降とする。
【文末資料】
<自民党改憲草案の問題点を修正した当方の私案>
本ブログの本来目的の結果として提示した【日本国憲法改正私案α版】
2015年08月13日投稿:
*(2/5)第3章・国民の権利及び義務
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-184.html



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