(解説編2)資料・マッカーサー3原則
- 2016/07/31
- 01:33
(解説編2)資料・マッカーサー3原則

今回(解説編2)は前回からの続きで、マッカーサー3原則の原則Ⅱの部分である。
2)原則Ⅱ
D:原則Ⅱ-1①War as a sovereign right of the nation is abolished
.②Japan renounces it as an instrumentality for settling its disputes and even for preserving its own security.
③It relies upon the higher ideals which are now stirring the world for its defense and its protection.
(日本は、①基本的国家主権である交戦権を放棄=国家主権としての戦争は撤廃される。②紛争解決の手段としての戦争のみならず、自身を守る自衛の為の自衛戦争も放棄する。③今や世界を席巻する「より高い理想」を当てにして日本は自身の防衛と防護を、それに委ねます。)
原則Ⅱ-1①の部分「①基本的国家主権である交戦権を放棄=国家主権としての戦争は撤廃される。」は交戦権の放棄である。
これに対応する現行憲法の条文は以下の通り、憲法9条の第1項及び第2項の後半である。
<現行憲法:第9条>
日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。
同第2項 前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。
第1項の「国権の発動たる戦争(中略)永久にこれを放棄する。」の部分及び第2項の「国の交戦権は,これを認めない。」の部分にマッカーサー3原則の原則Ⅱ-1①が貫徹されている。この部分はかなり明確な部分である。
次の原則Ⅱ-1②の部分「②紛争解決の手段としての戦争のみならず、自身を守る自衛の為の自衛戦争も放棄する。」は「戦争の放棄」だが、後半の「自衛戦争さえも」の部分は、現行憲法からは明示的表現はさすがになくなっている。
これは後段の原則Ⅱ-2での戦力不保持で事実上の「自身を守る自衛の為の自衛戦争も放棄する。」を実現したとするものである。
原則Ⅱ-1②の「戦争放棄」の部分は上記同様、現行憲法第9条の第1項「国権の発動たる戦争(中略)永久にこれを放棄する。」に具現されている。
三番目の原則Ⅱ-1③の部分「③今や世界を席巻する「より高い理想」を当てにして日本は自身の防衛と防護を、それに委ねます。」は現行憲法前文に対応箇所がある。
<現行憲法:前文(抜粋・第2段落)>
日本国民は(中略)平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した。
<引用終わり>
「日本は自身の防御と防護を「より高い理想」に委ねる」との何か宗教的な言い回しで現実世界では何等の役にも立たない形而上的なものに自国防衛を委ねるとの不可能事を強要しているのが特徴の「原則」な法文たる条文としては採用されず、前文の中に入れ込まれている。
こうやって「平和を愛する諸国民」に日本の生死を委ねるとの現行憲法の前文につながっているのである。
<It relies upon the higher ideals which are now stirring the world>
ここに「平和を愛する諸国民」との意味はない。
この部分は「今や世界を席巻する「より高い理想」」と訳した。
何れにしろ、国家主権でもっとも大事な自己決定権がない、自身の命の生殺与奪の権を「「平和を愛する諸国民」に委ねるとの奴隷状態の宣言となっているのである。
この前文の異常性については、以前から幾度も指摘済なので、詳しくは以下を再読いただきたい。
この解説編でご理解いただきたいのは、1946年2月4日付のマッカーサー3原則を受けて作成された現行憲法GHQ草案が提示されたのは、その僅か1週間から10日程度後の1946年2月12日であるとの事実である。
その間に、GHQスタッフが彼等の上司・最高司令官マッカーサーの意向に反する草案を起案できる訳がなく、現行憲法GHQ草案の主旨はマッカーサー3原則と同一だとの認識が必要だということだ。
2015/11/20投稿:
「平和憲法」との偽看板
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-269.html
同様、マッカーサー3原則が出された時期についても考えていただきたい。
1946年2月4日とは、その僅か5か月前には日米は死闘の真っ最中であり、非戦闘員の女・子供が住む広島・長崎・東京・横浜他の市街地に原爆・焼夷弾を無差別に落とし、日本各地の軍港・漁港他の湾口や内海航路に航空投下機雷をバラまいた「対日餓死作戦(Operation Starvation)」との日本人殲滅戦を実行していた当の本人が、同じ感覚で憲法への原則を書いたものであるとの認識が必要なのである。
E:原則Ⅱ-2①No Japanese Army, Navy or Air Force will ever be authorized ②and no rights of belligerency will ever be conferred upon any Japanese force.
(①日本は陸軍、海軍、または空軍を持つことは今後一切許可されない。②また、どんな「日本軍」にも交戦権が与えられることは金輪際ない。
マッカーサー3原則の原則Ⅱ-2の①と②はまるまる、そのまま憲法9条第2項そのものになっていることは憲法を真面目に読んだことがある方の誰しもがわかることである。
<現行憲法:第9条>
第2項 前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。
<引用終わり>
憲法9条の問題、取り分け、この第9条第2項の非武装規定「陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない」は現行憲法問題の最大の問題点であり、多くの有識者から多々指摘されてきた。
しかしながら、あまりにも大きな問題であり、それ故に、あたかも他の条文が霞み、問題がないかの様な誤解まで発生している。
具体的には「憲法9条の第1項を残し、第2項を改憲する」などの大間違いである。
これは、多くの方が容易に陥る間違いなので、注意が必要だ。
この点については、以下で既に論評済なので、是非とも再読いただきたい。
2016/05/18投稿:
憲法9条第1項を読む1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-415.html
2016/05/19投稿:
憲法9条第1項を読む2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-416.html
2016/05/20投稿:
憲法9条第1項を読む3
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-417.html
マッカーサー3原則のⅡの部分(D:及びE:)を読めば、日本を独立主権国として扱っていないことがわかるだろう。
自存自立を全否定している現行憲法の大問題は、このマッカーサー3原則のⅡが総て以下の様に組み込まれていることから発生しているのである。
原則Ⅱ-1③:今や世界を席巻する「より高い理想」を当てにして日本は自身の防衛と防護を、それに委ねます。
↓
憲法前文:
原則Ⅱ-1①基本的国家主権である交戦権を放棄=国家主権としての戦争は撤廃される。
↓
憲法9条第1項及び第2項の後半交戦権否定
原則Ⅱ-1②紛争解決の手段としての戦争のみならず、自身を守る自衛の為の自衛戦争も放棄する。
↓
憲法9条第1項及び第2項の戦力不保持での自衛戦争否定
原則Ⅱ-2①日本は陸軍、海軍、または空軍を持つことは今後一切許可されない。
↓
憲法9条第2項
原則Ⅱ-2②また、どんな「日本軍」にも交戦権が与えられることは金輪際ない。
↓
憲法9条第2項
現行憲法のこの前文+9条との猛毒を押し付けたマッカーサーだが、朝鮮半島にて戦争が勃発すると、この「原則」を無視して、占領時主権喪失期日本を再武装させた。
サンフランシスコ講和条約発効後、この憲法の条文と現実の矛盾を我が国先人達は、日本人の安全保障確保の為に「解釈」でしのいできたのが現実だ。
何れにしろ、ここでは、憲法前文+9条がマッカーサー3原則のⅡそのものだと理解していただければ良い。
また、これこそが、当方が言い続けている「前文+9条の猛毒」の所以である。
<長くなったので項を分けます>
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今回(解説編2)は前回からの続きで、マッカーサー3原則の原則Ⅱの部分である。
2)原則Ⅱ
D:原則Ⅱ-1①War as a sovereign right of the nation is abolished
.②Japan renounces it as an instrumentality for settling its disputes and even for preserving its own security.
③It relies upon the higher ideals which are now stirring the world for its defense and its protection.
(日本は、①基本的国家主権である交戦権を放棄=国家主権としての戦争は撤廃される。②紛争解決の手段としての戦争のみならず、自身を守る自衛の為の自衛戦争も放棄する。③今や世界を席巻する「より高い理想」を当てにして日本は自身の防衛と防護を、それに委ねます。)
原則Ⅱ-1①の部分「①基本的国家主権である交戦権を放棄=国家主権としての戦争は撤廃される。」は交戦権の放棄である。
これに対応する現行憲法の条文は以下の通り、憲法9条の第1項及び第2項の後半である。
<現行憲法:第9条>
日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。
同第2項 前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。
第1項の「国権の発動たる戦争(中略)永久にこれを放棄する。」の部分及び第2項の「国の交戦権は,これを認めない。」の部分にマッカーサー3原則の原則Ⅱ-1①が貫徹されている。この部分はかなり明確な部分である。
次の原則Ⅱ-1②の部分「②紛争解決の手段としての戦争のみならず、自身を守る自衛の為の自衛戦争も放棄する。」は「戦争の放棄」だが、後半の「自衛戦争さえも」の部分は、現行憲法からは明示的表現はさすがになくなっている。
これは後段の原則Ⅱ-2での戦力不保持で事実上の「自身を守る自衛の為の自衛戦争も放棄する。」を実現したとするものである。
原則Ⅱ-1②の「戦争放棄」の部分は上記同様、現行憲法第9条の第1項「国権の発動たる戦争(中略)永久にこれを放棄する。」に具現されている。
三番目の原則Ⅱ-1③の部分「③今や世界を席巻する「より高い理想」を当てにして日本は自身の防衛と防護を、それに委ねます。」は現行憲法前文に対応箇所がある。
<現行憲法:前文(抜粋・第2段落)>
日本国民は(中略)平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した。
<引用終わり>
「日本は自身の防御と防護を「より高い理想」に委ねる」との何か宗教的な言い回しで現実世界では何等の役にも立たない形而上的なものに自国防衛を委ねるとの不可能事を強要しているのが特徴の「原則」な法文たる条文としては採用されず、前文の中に入れ込まれている。
こうやって「平和を愛する諸国民」に日本の生死を委ねるとの現行憲法の前文につながっているのである。
<It relies upon the higher ideals which are now stirring the world>
ここに「平和を愛する諸国民」との意味はない。
この部分は「今や世界を席巻する「より高い理想」」と訳した。
何れにしろ、国家主権でもっとも大事な自己決定権がない、自身の命の生殺与奪の権を「「平和を愛する諸国民」に委ねるとの奴隷状態の宣言となっているのである。
この前文の異常性については、以前から幾度も指摘済なので、詳しくは以下を再読いただきたい。
この解説編でご理解いただきたいのは、1946年2月4日付のマッカーサー3原則を受けて作成された現行憲法GHQ草案が提示されたのは、その僅か1週間から10日程度後の1946年2月12日であるとの事実である。
その間に、GHQスタッフが彼等の上司・最高司令官マッカーサーの意向に反する草案を起案できる訳がなく、現行憲法GHQ草案の主旨はマッカーサー3原則と同一だとの認識が必要だということだ。
2015/11/20投稿:
「平和憲法」との偽看板
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-269.html
同様、マッカーサー3原則が出された時期についても考えていただきたい。
1946年2月4日とは、その僅か5か月前には日米は死闘の真っ最中であり、非戦闘員の女・子供が住む広島・長崎・東京・横浜他の市街地に原爆・焼夷弾を無差別に落とし、日本各地の軍港・漁港他の湾口や内海航路に航空投下機雷をバラまいた「対日餓死作戦(Operation Starvation)」との日本人殲滅戦を実行していた当の本人が、同じ感覚で憲法への原則を書いたものであるとの認識が必要なのである。
E:原則Ⅱ-2①No Japanese Army, Navy or Air Force will ever be authorized ②and no rights of belligerency will ever be conferred upon any Japanese force.
(①日本は陸軍、海軍、または空軍を持つことは今後一切許可されない。②また、どんな「日本軍」にも交戦権が与えられることは金輪際ない。
マッカーサー3原則の原則Ⅱ-2の①と②はまるまる、そのまま憲法9条第2項そのものになっていることは憲法を真面目に読んだことがある方の誰しもがわかることである。
<現行憲法:第9条>
第2項 前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。
<引用終わり>
憲法9条の問題、取り分け、この第9条第2項の非武装規定「陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない」は現行憲法問題の最大の問題点であり、多くの有識者から多々指摘されてきた。
しかしながら、あまりにも大きな問題であり、それ故に、あたかも他の条文が霞み、問題がないかの様な誤解まで発生している。
具体的には「憲法9条の第1項を残し、第2項を改憲する」などの大間違いである。
これは、多くの方が容易に陥る間違いなので、注意が必要だ。
この点については、以下で既に論評済なので、是非とも再読いただきたい。
2016/05/18投稿:
憲法9条第1項を読む1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-415.html
2016/05/19投稿:
憲法9条第1項を読む2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-416.html
2016/05/20投稿:
憲法9条第1項を読む3
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-417.html
マッカーサー3原則のⅡの部分(D:及びE:)を読めば、日本を独立主権国として扱っていないことがわかるだろう。
自存自立を全否定している現行憲法の大問題は、このマッカーサー3原則のⅡが総て以下の様に組み込まれていることから発生しているのである。
原則Ⅱ-1③:今や世界を席巻する「より高い理想」を当てにして日本は自身の防衛と防護を、それに委ねます。
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憲法前文:
原則Ⅱ-1①基本的国家主権である交戦権を放棄=国家主権としての戦争は撤廃される。
↓
憲法9条第1項及び第2項の後半交戦権否定
原則Ⅱ-1②紛争解決の手段としての戦争のみならず、自身を守る自衛の為の自衛戦争も放棄する。
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憲法9条第1項及び第2項の戦力不保持での自衛戦争否定
原則Ⅱ-2①日本は陸軍、海軍、または空軍を持つことは今後一切許可されない。
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憲法9条第2項
原則Ⅱ-2②また、どんな「日本軍」にも交戦権が与えられることは金輪際ない。
↓
憲法9条第2項
現行憲法のこの前文+9条との猛毒を押し付けたマッカーサーだが、朝鮮半島にて戦争が勃発すると、この「原則」を無視して、占領時主権喪失期日本を再武装させた。
サンフランシスコ講和条約発効後、この憲法の条文と現実の矛盾を我が国先人達は、日本人の安全保障確保の為に「解釈」でしのいできたのが現実だ。
何れにしろ、ここでは、憲法前文+9条がマッカーサー3原則のⅡそのものだと理解していただければ良い。
また、これこそが、当方が言い続けている「前文+9条の猛毒」の所以である。
<長くなったので項を分けます>



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