【コラム】「改憲しない」という選択の意味1
- 2016/07/27
- 19:01
【コラム】「改憲しない」という選択の意味1

副題:真面目な改憲議論をしましょう。
<目次1>
Ⅰ:最初に(改憲手順・国民投票)
Ⅱ:戦後、一度も国民は現行憲法に積極的な信任をしていない。
(「改憲しない」という選択とは、占領憲法への信任)
Ⅲ:「占領憲法」でも、中身が良ければ信任しても良いのでは?
(現行憲法の中身の酷さを知ってて言っているのですか?)
Ⅰ:最初に(改憲手順・国民投票)
改憲発議に必要な両院の2/3の議席をほぼ確保したとされる状態の現出により、改憲に関する「報道」が散見される。先日の参議院選の結果からは2/3を確保したとは言い難いのではないかと考えているが、「報道」は、おおさか維新を含めており、2/3を上回ったとの立場らしい。
橋下・おおさか維新の「改憲」の内容からは、単純に「改憲勢力」の数の含めて良いとは思えないが、大手マスコミは「2/3を確保」としている。
現状を、仮に大手マスコミが言う「改憲発議に必要な両院の2/3の議席を確保した状況」だとすると、改憲は現行憲法第96条の規定に則り、概ね、以下のプロセスを踏むことになると理解している。
1)国会での発議(第96条規定・文末①部分)
○衆議院の2/3以上、参議院の2/3以上の賛成を以て改憲を発議
↓
2)国民投票(第96条規定・文末②b部分)
○この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
↓
3)天皇陛下が公布=元首行為(第96条規定・文末③部分)
○憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
前述した様に、仮に国会で発議がなされた場合、次に行われるのが国民投票である。
現行憲法の前の憲法である帝国憲法にはなかった国民投票の規定であるが、改憲には、ここで投票総数の過半数の賛成が必要となる。
我々国民は、投票行動を通じて国家の行く末を決定する主権3)を持つ。
【主権1)、主権2)、主権3)の「3つの主権」については、以下を参照願いたい。】
2015/11/15投稿:
【コラム】このブログは途中から読んでも大丈夫。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-265.html
改憲に対する国民投票での、国民の選択肢は以下の3つであると解している。
A:賛成
B:反対
C:棄権/白紙投票
国民は、自身が持つ主権3)を行使する権利を持つと同時に、行使に伴い義務を負うのであるが、その様な意識をしっかりと持つ方がいるのと同時に、主権3)行使の義務をあまり認識していない方もいるのが現実だろう。
「主権3)行使の義務」とは、各自が「考えた上での投票をする」という義務である。
考える為には、判断材料が必要であり、例えば国政選挙や都道府県知事選に於いては、公職選挙法の第167条規定により必ず発行される「選挙公報」程度は最低限の判断材料として読んだ上で考え、投票することが国民側には求められると考えている。
一方、現実は、新聞・TVの「報道」と称する印象操作情報程度を以て投票しているものと解される。この様に考えるのは、2009年8月総選挙に於いて、民主党マニデストを読んで真面目に考えれば、民主党に投票する事は、自分で自分の首を絞める行為に等しいことがわかるのに「おQ層」を中心に、イメージや雰囲気だけで民主党に投票してしまっている実例からである。
国政選挙他も国民投票も、国民が持つ主権3)の行使の視点からは、その権利と行使義務は同じなのだが、その根拠法が違うことを踏まえておく必要がある。
国政選挙他は公職選挙法を根拠法としているが、国民投票は「日本国憲法の改正手続に関する法律」を根拠法としている。
同法は、以下で参照できるので、興味ある方はご覧いただきたい。
日本国憲法の改正手続に関する法律 抄
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H19/H19HO051.html
この法律には、国民が賛否判断を行う為の判断材料提供に関しての条文がある。
第14条、第106条、第107条を以下、抜粋引用する。
<第14条:協議会の事務>
協議会は、次に掲げる事務を行う。
一 国会の発議に係る日本国憲法 の改正案(以下「憲法改正案」という。)及びその要旨並びに憲法改正案に係る新旧対照表その他参考となるべき事項に関する分かりやすい説明並びに憲法改正案を発議するに当たって出された賛成意見及び反対意見を掲載した国民投票公報の原稿の作成 (後略)
<第106条:国民投票広報協議会及び政党等による放送>
国民投票広報協議会は、両議院の議長が協議して定めるところにより、日本放送協会及び基幹放送事業者(放送法第二条第二十三号 に規定する基幹放送事業者をいい、日本放送協会及び放送大学学園を除く。第四項及び第八項において同じ。)のラジオ放送又はテレビジョン放送(同条第十六号 に規定する中波放送又は同条第十八号 に規定するテレビジョン放送をいう。)の放送設備により、憲法改正案の広報のための放送をするものとする。
同第2項 前項の放送は、国民投票広報協議会が行う憲法改正案及びその要旨その他参考となるべき事項の広報並びに憲法改正案に対する賛成の政党等(一人以上の衆議院議員又は参議院議員が所属する政党その他の政治団体であって両議院の議長が協議して定めるところにより国民投票広報協議会に届け出たものをいう。以下この条及び次条において同じ。)及び反対の政党等が行う意見の広告からなるものとする。
同第3項 第一項の放送において、国民投票広報協議会は、憲法改正案及びその要旨その他参考となるべき事項の広報を客観的かつ中立的に行うものとする。
同第4項 第一項の放送において、政党等は、両議院の議長が協議して定めるところにより、憲法改正案に対する賛成又は反対の意見を無料で放送することができる。この場合において、日本放送協会及び基幹放送事業者は、政党等が録音し、又は録画した意見をそのまま放送しなければならない。 (第5項から第8項略)
<第107条:国民投票広報協議会及び政党等による新聞広告>
国民投票広報協議会は、両議院の議長が協議して定めるところにより、新聞に、憲法改正案の広報のための広告をするものとする。
同第2項 前項の広告は、国民投票広報協議会が行う憲法改正案及びその要旨その他参考となるべき事項の広報並びに憲法改正案に対する賛成の政党等及び反対の政党等が行う意見の広告からなるものとする。
同第3項 第一項の広告において、国民投票広報協議会は、憲法改正案及びその要旨その他参考となるべき事項の広報を客観的かつ中立的に行うものとする。
同第4項 第一項の広告において、政党等は、両議院の議長が協議して定めるところにより、無料で、憲法改正案に対する賛成又は反対の意見の広告をすることができる。
同第5項 第一項の広告に関しては、憲法改正案に対する賛成の政党等及び反対の政党等の双方に対して同一の寸法及び回数を与える等同等の利便を提供しなければならない。(後略)
<引用終わり>
「日本国憲法の改正手続に関する法律」には、国民が賛否判断を行う為の判断材料提供を行う事が明示されているので、国民は、最低限は、これらの判断材料を見ておくぐらいの責任を果たしていただきたいと考えている。
一方、これら広報資料は、所謂「お行儀のよい文書」であることが想定さ、ポイントが分かり難いものになると予想される。また、所謂「護憲派」が提供する資料は逆に「分かり易さ」を主眼にしたもので、事実の提示よりも、反対に誘導するものになると予想される。
これらは、過去の与野党広報文書等からの推定である。
「日本国憲法の改正手続に関する法律」では、国民投票直線の意見表明を禁じる規定があるので、今のうちに、事実に基づき、ぶっちゃけた分かり易い文書で「改憲に反対する」ことが、どれ程にアカンことかを論評しておくものである。
Ⅱ:戦後、一度も国民は現行憲法に積極的な信任をしていない。
(「改憲しない」という選択とは、占領憲法への信任)
現行憲法の改憲規定を前項で述べたが、国民投票規定が出来たのは現行憲法になってからである。
一方、現行憲法は、その上諭にある通り、帝国憲法第73条の規定に基づき改憲されたものであり、帝国憲法には改憲に際して国民投票の規定がないので、我が国国民は、現行憲法に対しての賛否を表明していない。
<日本国憲法・上諭>
朕は、日本国民の総意に基いて、新日本建設の礎が、定まるに至ったことを、深くよろこび、枢密顧問の諮詢及び帝国憲法第73条による帝国議会の議決を経た帝国憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和21年11月3日
内閣総理大臣兼外務大臣:吉田茂
国務大臣:男爵 幣原喜重郎
司法大臣:木村篤太郎
内務大臣:大村清一
文部大臣:田中耕太郎
農林大臣:和田博雄
国務大臣:斎藤隆夫
逓信大臣: 一松定吉
商工大臣:星島二郎
厚生大臣:河合良成
国務大臣:植原悦二郎
運輸大臣:平塚常次郎
大蔵大臣:石橋湛山
国務大臣:金森徳次郎
国務大臣:膳桂之助
<引用終わり>
仮に、今般、国会での改憲発議がなされ、国民投票をした場合、初めて憲法に対しての国民の意志が表明されることになる。
国民投票の結果は「改憲する」か「改憲しない」の2つのうちの1つしかない。
仮に、「改憲する」となった場合は、その憲法を国民は信任したことになり、仮に「改憲しない」になった場合は、現行憲法を信任したことになる。
「改憲しない」との選択とは、戦後、被占領時主権喪失期に公布された現行憲法を約70年の時を経て、あらためて国民が信任することになるということだ。
「信任」という言葉に違和感があるなら、「追認」し「今後も続けることを承認した」ということだ。
Ⅲ:「占領憲法」でも、中身が良ければ信任しても良いのでは?
(現行憲法の中身の酷さを知ってて言っているのですか?)
表題の「「占領憲法」でも、中身が良ければ信任しても良いのでは?」の答は理論上はYesの場合があるのですが、中身が酷いので、この表題の質問は現実では成り立たない。
本ブログを長くお読みの方ならば、現行憲法のどの条文にどんな問題点があるのかの当方の分析・検証をお読みなので、中身の酷さをお分かりのことと思う。
帝国憲法、現行憲法、自民党改憲草案の全条文を逐条的に読み、問題点を指摘し、その上で、改善策として【日本国憲法改正私案α版】を提示している様に、我々日本人にとって要因出来ない条項が多々存在している。
次回は、現行憲法のどの条文にどんな問題点があるのかの大枠を提示するので、それらを「追認」するのか? それらを「今後も続けることを承認」するのか? という視点で見ていきたい。
<長くなったので項を分けます>
<ご参考・現行憲法:第96条>)段落切りは引用者による
①この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、
②a国民に提案してその承認を経なければならない。
②bこの承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
③憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
注:上記③の「この憲法と一体を成すものとして」とは、米国式「憲法修正○条」方式の改憲方法が想定されたもので、現行憲法の欠陥の1つであるが、今回は、その点については論評しない。
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副題:真面目な改憲議論をしましょう。
<目次1>
Ⅰ:最初に(改憲手順・国民投票)
Ⅱ:戦後、一度も国民は現行憲法に積極的な信任をしていない。
(「改憲しない」という選択とは、占領憲法への信任)
Ⅲ:「占領憲法」でも、中身が良ければ信任しても良いのでは?
(現行憲法の中身の酷さを知ってて言っているのですか?)
Ⅰ:最初に(改憲手順・国民投票)
改憲発議に必要な両院の2/3の議席をほぼ確保したとされる状態の現出により、改憲に関する「報道」が散見される。先日の参議院選の結果からは2/3を確保したとは言い難いのではないかと考えているが、「報道」は、おおさか維新を含めており、2/3を上回ったとの立場らしい。
橋下・おおさか維新の「改憲」の内容からは、単純に「改憲勢力」の数の含めて良いとは思えないが、大手マスコミは「2/3を確保」としている。
現状を、仮に大手マスコミが言う「改憲発議に必要な両院の2/3の議席を確保した状況」だとすると、改憲は現行憲法第96条の規定に則り、概ね、以下のプロセスを踏むことになると理解している。
1)国会での発議(第96条規定・文末①部分)
○衆議院の2/3以上、参議院の2/3以上の賛成を以て改憲を発議
↓
2)国民投票(第96条規定・文末②b部分)
○この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
↓
3)天皇陛下が公布=元首行為(第96条規定・文末③部分)
○憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
前述した様に、仮に国会で発議がなされた場合、次に行われるのが国民投票である。
現行憲法の前の憲法である帝国憲法にはなかった国民投票の規定であるが、改憲には、ここで投票総数の過半数の賛成が必要となる。
我々国民は、投票行動を通じて国家の行く末を決定する主権3)を持つ。
【主権1)、主権2)、主権3)の「3つの主権」については、以下を参照願いたい。】
2015/11/15投稿:
【コラム】このブログは途中から読んでも大丈夫。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-265.html
改憲に対する国民投票での、国民の選択肢は以下の3つであると解している。
A:賛成
B:反対
C:棄権/白紙投票
国民は、自身が持つ主権3)を行使する権利を持つと同時に、行使に伴い義務を負うのであるが、その様な意識をしっかりと持つ方がいるのと同時に、主権3)行使の義務をあまり認識していない方もいるのが現実だろう。
「主権3)行使の義務」とは、各自が「考えた上での投票をする」という義務である。
考える為には、判断材料が必要であり、例えば国政選挙や都道府県知事選に於いては、公職選挙法の第167条規定により必ず発行される「選挙公報」程度は最低限の判断材料として読んだ上で考え、投票することが国民側には求められると考えている。
一方、現実は、新聞・TVの「報道」と称する印象操作情報程度を以て投票しているものと解される。この様に考えるのは、2009年8月総選挙に於いて、民主党マニデストを読んで真面目に考えれば、民主党に投票する事は、自分で自分の首を絞める行為に等しいことがわかるのに「おQ層」を中心に、イメージや雰囲気だけで民主党に投票してしまっている実例からである。
国政選挙他も国民投票も、国民が持つ主権3)の行使の視点からは、その権利と行使義務は同じなのだが、その根拠法が違うことを踏まえておく必要がある。
国政選挙他は公職選挙法を根拠法としているが、国民投票は「日本国憲法の改正手続に関する法律」を根拠法としている。
同法は、以下で参照できるので、興味ある方はご覧いただきたい。
日本国憲法の改正手続に関する法律 抄
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H19/H19HO051.html
この法律には、国民が賛否判断を行う為の判断材料提供に関しての条文がある。
第14条、第106条、第107条を以下、抜粋引用する。
<第14条:協議会の事務>
協議会は、次に掲げる事務を行う。
一 国会の発議に係る日本国憲法 の改正案(以下「憲法改正案」という。)及びその要旨並びに憲法改正案に係る新旧対照表その他参考となるべき事項に関する分かりやすい説明並びに憲法改正案を発議するに当たって出された賛成意見及び反対意見を掲載した国民投票公報の原稿の作成 (後略)
<第106条:国民投票広報協議会及び政党等による放送>
国民投票広報協議会は、両議院の議長が協議して定めるところにより、日本放送協会及び基幹放送事業者(放送法第二条第二十三号 に規定する基幹放送事業者をいい、日本放送協会及び放送大学学園を除く。第四項及び第八項において同じ。)のラジオ放送又はテレビジョン放送(同条第十六号 に規定する中波放送又は同条第十八号 に規定するテレビジョン放送をいう。)の放送設備により、憲法改正案の広報のための放送をするものとする。
同第2項 前項の放送は、国民投票広報協議会が行う憲法改正案及びその要旨その他参考となるべき事項の広報並びに憲法改正案に対する賛成の政党等(一人以上の衆議院議員又は参議院議員が所属する政党その他の政治団体であって両議院の議長が協議して定めるところにより国民投票広報協議会に届け出たものをいう。以下この条及び次条において同じ。)及び反対の政党等が行う意見の広告からなるものとする。
同第3項 第一項の放送において、国民投票広報協議会は、憲法改正案及びその要旨その他参考となるべき事項の広報を客観的かつ中立的に行うものとする。
同第4項 第一項の放送において、政党等は、両議院の議長が協議して定めるところにより、憲法改正案に対する賛成又は反対の意見を無料で放送することができる。この場合において、日本放送協会及び基幹放送事業者は、政党等が録音し、又は録画した意見をそのまま放送しなければならない。 (第5項から第8項略)
<第107条:国民投票広報協議会及び政党等による新聞広告>
国民投票広報協議会は、両議院の議長が協議して定めるところにより、新聞に、憲法改正案の広報のための広告をするものとする。
同第2項 前項の広告は、国民投票広報協議会が行う憲法改正案及びその要旨その他参考となるべき事項の広報並びに憲法改正案に対する賛成の政党等及び反対の政党等が行う意見の広告からなるものとする。
同第3項 第一項の広告において、国民投票広報協議会は、憲法改正案及びその要旨その他参考となるべき事項の広報を客観的かつ中立的に行うものとする。
同第4項 第一項の広告において、政党等は、両議院の議長が協議して定めるところにより、無料で、憲法改正案に対する賛成又は反対の意見の広告をすることができる。
同第5項 第一項の広告に関しては、憲法改正案に対する賛成の政党等及び反対の政党等の双方に対して同一の寸法及び回数を与える等同等の利便を提供しなければならない。(後略)
<引用終わり>
「日本国憲法の改正手続に関する法律」には、国民が賛否判断を行う為の判断材料提供を行う事が明示されているので、国民は、最低限は、これらの判断材料を見ておくぐらいの責任を果たしていただきたいと考えている。
一方、これら広報資料は、所謂「お行儀のよい文書」であることが想定さ、ポイントが分かり難いものになると予想される。また、所謂「護憲派」が提供する資料は逆に「分かり易さ」を主眼にしたもので、事実の提示よりも、反対に誘導するものになると予想される。
これらは、過去の与野党広報文書等からの推定である。
「日本国憲法の改正手続に関する法律」では、国民投票直線の意見表明を禁じる規定があるので、今のうちに、事実に基づき、ぶっちゃけた分かり易い文書で「改憲に反対する」ことが、どれ程にアカンことかを論評しておくものである。
Ⅱ:戦後、一度も国民は現行憲法に積極的な信任をしていない。
(「改憲しない」という選択とは、占領憲法への信任)
現行憲法の改憲規定を前項で述べたが、国民投票規定が出来たのは現行憲法になってからである。
一方、現行憲法は、その上諭にある通り、帝国憲法第73条の規定に基づき改憲されたものであり、帝国憲法には改憲に際して国民投票の規定がないので、我が国国民は、現行憲法に対しての賛否を表明していない。
<日本国憲法・上諭>
朕は、日本国民の総意に基いて、新日本建設の礎が、定まるに至ったことを、深くよろこび、枢密顧問の諮詢及び帝国憲法第73条による帝国議会の議決を経た帝国憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和21年11月3日
内閣総理大臣兼外務大臣:吉田茂
国務大臣:男爵 幣原喜重郎
司法大臣:木村篤太郎
内務大臣:大村清一
文部大臣:田中耕太郎
農林大臣:和田博雄
国務大臣:斎藤隆夫
逓信大臣: 一松定吉
商工大臣:星島二郎
厚生大臣:河合良成
国務大臣:植原悦二郎
運輸大臣:平塚常次郎
大蔵大臣:石橋湛山
国務大臣:金森徳次郎
国務大臣:膳桂之助
<引用終わり>
仮に、今般、国会での改憲発議がなされ、国民投票をした場合、初めて憲法に対しての国民の意志が表明されることになる。
国民投票の結果は「改憲する」か「改憲しない」の2つのうちの1つしかない。
仮に、「改憲する」となった場合は、その憲法を国民は信任したことになり、仮に「改憲しない」になった場合は、現行憲法を信任したことになる。
「改憲しない」との選択とは、戦後、被占領時主権喪失期に公布された現行憲法を約70年の時を経て、あらためて国民が信任することになるということだ。
「信任」という言葉に違和感があるなら、「追認」し「今後も続けることを承認した」ということだ。
Ⅲ:「占領憲法」でも、中身が良ければ信任しても良いのでは?
(現行憲法の中身の酷さを知ってて言っているのですか?)
表題の「「占領憲法」でも、中身が良ければ信任しても良いのでは?」の答は理論上はYesの場合があるのですが、中身が酷いので、この表題の質問は現実では成り立たない。
本ブログを長くお読みの方ならば、現行憲法のどの条文にどんな問題点があるのかの当方の分析・検証をお読みなので、中身の酷さをお分かりのことと思う。
帝国憲法、現行憲法、自民党改憲草案の全条文を逐条的に読み、問題点を指摘し、その上で、改善策として【日本国憲法改正私案α版】を提示している様に、我々日本人にとって要因出来ない条項が多々存在している。
次回は、現行憲法のどの条文にどんな問題点があるのかの大枠を提示するので、それらを「追認」するのか? それらを「今後も続けることを承認」するのか? という視点で見ていきたい。
<長くなったので項を分けます>
<ご参考・現行憲法:第96条>)段落切りは引用者による
①この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、
②a国民に提案してその承認を経なければならない。
②bこの承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
③憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
注:上記③の「この憲法と一体を成すものとして」とは、米国式「憲法修正○条」方式の改憲方法が想定されたもので、現行憲法の欠陥の1つであるが、今回は、その点については論評しない。



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