参議院選・予測実績差異3
- 2016/07/21
- 00:01
参議院選・予測実績差異3

副題:「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」、暗愚なる人物が暗愚なる所以は経験からも学ぶことをしないことにある。
前回からの続きである。
前回は、投票率が低いことにより、確定組織の票が占めるシェアは相対的に上昇し、確定組織の票がパワ-を持つとの、以前から言われている当たり前の事象を指摘した。
今回参議院選の投票率は約55%(54.70%)であり、その直前の2回の国政選挙の投票率約53%(2014年総選挙52.66%、2013参議院選52.61%)に比して2%程度上昇している。
全国の投票総数としては約2百万票の増加と考えて良い数値である。
一方、悪夢の民主党政権3年3ヵ月にNoを突き付けた2012年12月総選挙の投票率は約59%(59.32%)であり、それに比べれば、今回参議院選は▲4%、投票総数で4百万人少ないと言える。
この投票総数の増減が選挙結果に与えた影響についてみていこう。
選挙区については、前々回言及した様に、僅差で統一候補が当選し、与党候補が落選した事例を掲げたが、あれ程の1万票以下の僅差でなくても、1~2万票程度の票差は理論値では投票率が
以下の政党支持率をサンプルに理論値を解説する。
読売新聞・政党支持率(2016年07月13日 12時11分)
http://www.yomiuri.co.jp/election/poll/20160713-OYT8T50067.html
○(前略)政党支持率は自民党が41%、民進党が10%、おおさか維新の会が5%、公明党と共産党が各4%などの順だった。
<引用終わり>
与党支持率は自民党41%と公明党4%の合計45%。
一方、統一候補支持側の支持率は民進党10%+共産党4%の合計14%である。
おおさか維新が5%なので、所謂無党派層は残りの26%程度なのだと推定される。
与党と民共の差は31%であり、投票率が1%上がると、あがった1%のうち、約31%が与党票となると解される。或いは、共産党支持の4%分は投票率に無関係に行使済なのだが、公明票も同様に行使済と考えれば、投票率1%上昇による自民票増加は31%との推定が成り立つ。
今回、民進党が議席を確保した1人区は以下の11選挙区だが、これら選挙区の有権者数はだいたいが1百万人から2百万人弱である。
<岩手、青森、宮城、山形、福島、新潟、長野、山梨、三重、大分、沖縄>
投票率1%上昇時の投票数の増加は約1万~2万票で、その31%は3千~6千票である。
前々回との投票率との差は約2%なので、投票数はこれらの倍、2万~4万票、6千から1万2千票が与党票として上乗せされるとの理論値が算出される。
何を言いたいのかというと、「オレ一人が棄権しても大勢に影響ない」というのは必ずしも正しくはないと言うことだ。
全国の有権者数は約1億人、投票しなかった45%とは4千5百万人もの人数である。
「塵も積もれば山となる」との諺が思い出される。
選挙前の「報道」での「自民有利、2/3以上を確保の勢い」とかは、フワフワした層の投票棄権を誘発することは、良く知られたものである。
案の定、今回も、その手の報道が沢山なされたことを記憶しているだろう。
投票率が戻らぬことが、一部の狂信的信条に凝り固まった政党に有利だと言うことを選挙区を事例に見てきたが、比例区ではどうであったのかを分析・検証してみる。
先ず、事実提示だが、比例区での当選者の政党別内訳は以下の通りである。
<党名・改選前→当選・獲得票数・シェア>
自民党:12→19議席(20,114,809票)35.9%
民進党:19→11議席(11,750,983票)21.0%
公明党:06→07議席( 7,572,960票)13.5%
共産党:03→05議席( 6,016,195票)10.7%
お維新:02→04議席( 5,153,584票) 9.2%
社民党:02→01議席( 1,536,239票) 2.7%
生太郎:01→01議席( 1,067,300票) 1.9%
- - - - - - - - - -
日ころ:00→00議席( 734,024票) 1.3%
支なし:00→00議席( 647,071票) 1.2%
党改革:01→00議席( 580,653票) 1.0%
国怒り:00→00議席( 466,706票) 0.8%
幸福実:00→00議席( 366,815票) 0.7%
比例区の定数は48議席。比例区には、ドント方式のマジックが存在するが、今回はどうだったのかをみてみると、弱小政党の得票能力があまりにも低く、マジック発動には至らなかったと言って良い。
比例区48議席の最後の当選者は、自民党19人目の園田修光候補であった。
同候補の得票数は自民党の得票数20,114,809票の1/19の1,058,674票相当であった。
ラス前の47議席目は「生活の党と山本太郎となかまたち」(略称:生太郎)の青木愛候補であった。この1議席が生太郎が得た今回唯一の議席であるが、同党獲得票数の1/1が青木愛候補の得票数 1,067,300票である。
46議席目は民進党の最後11人目の白真勲である。
同候補の得票数は自民党の得票数11,750,983票の1/11の1,068,271票相当であった。
最後48議席目に与党・自民党候補が入ったので、今回は、定性的に存在するドント方式のマジックは発動せず、数値上の定量的分析をしても、あまり意味はないが、仮に投票率が2012年12月総選挙時の約60%と同等だとしたならば、この5%上昇分、投票総数として5百万票増えた場合、その41%分が自民党票、10%が民進党票だとすれば、生太郎の青木が少なくとも48番目に1人分下がるとの現象が実現したはずである。
逆転までは至らなくても、投票率の上昇により、民意がもっと反映されることになる。
さて、比例区での結果なのだが、1議席しか獲得できなかった政党が2つ、社民党と生太郎、1議席も獲得出来なかったのが、「日ころ」、「支持政党なし」、「新党改革」、「小林変節・国怒り」、「幸福実現」の5党である。
最後48番目の当選者の票数理論値が105万8千票であるが、0議席5党の中ではもっとも上位の「日ころ」であっても73万4千票(対最下位当選者約69%)であり、まったく票数が届いていないことがわかだろう。
当方は、参議院選挙前に以下で自分の投票行動について以下の様に述べており、その考え方は間違っていないと解される。
2016/07/02投稿:
2016年・参議院選7 Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-450.html
○<防御的理由>その4)所謂「死に票」となる様な、弱小政党や泡沫候補への投票は、比例区に於いてはドント方式のマジックで結果として比較第二党(例えば民進党)の候補に議席をプレゼントすることになるので、比例区での弱小政党や泡沫候補への投票は避けた。<以上>
参議院議を概観すると以上の様になるのだが、今回、定量的には発生しなかったドント方式のマジックには注意が必要である。
上記には他にも、考え方を書いてあるが、選挙後の現時点に於いても、特に訂正する様な考え方ではなく、基本的な投票方針としては、間違っていなかったと考えている。
この様な事前検討と結果が出た後の予測・実績比較の分析・検証を通じてこそ、次回の投票行動に資するLesson and Learnが出来る様になると考えている。
前回書いた様に、暗愚なる人物が暗愚なる所以は、教訓から学ぶことをせず、知識の集積がない故に見識も具備されず、同じ拙事を繰り返すからである。
当方は横浜生まれの横浜在住であり、都民ではないので、都知事選については論評していない。一方、サンプルとして、これまで論評してきたのと同じ「教訓に学ばない暗愚」の存在を確認したので、ケーススタディとして少々記述しておく。
今回の都知事選に対する当方の概略理解は以下の通りである。
1.候補者は21名。そのうち当方が考える有力候補者は3名。
2.有力候補者は、政党推薦を得ている鳥越、増田及び東京都選出衆議院議員の小池。
3.これら3名の背景は以下の通り。
・鳥越:所謂サヨク統一候補。民進、共産、社民等が推薦
・増田:舛添の代わりのお神輿候補。自民、公明、日ころ推薦
・小池:自民都議蓮の意思決定プロセスの不透明性を指摘して立候補。
4.ネットでは人気の桜井誠は地方自治体の首長としての能力が未知。
特に、上記3.にある様に、サヨクvs古い体質の自民都議蓮vs安倍自民党議員の三つ巴状態との理解である。
当方は前記した「2016年・参議院選7 Final」にも以下の様に明記した通り、非民主的性向を持つ共産党・サヨク勢力は信用していない。
<引用開始>
<防御的理由>
1)日本共産党に投票することは、自由主義・民主主義を推奨する人物の人権を抑圧する共産党政権への第一歩となるので、共産党には投票しない。
(中略)
2)同様、共産党と共闘する党への投票は、結果として共産党への投票と同様なものとなるので、民進党、社民党には投票しない。
<引用終わり>
そもそも、今回の都知事選は、自民党都議連、公明党が推薦した舛添都知事のいい加減な都政が破綻し、辞任に追い込まれたことによる。
自民党都議連は、舛添の次の都知事候補の選定に際して、前回舛添を推薦してことの間違いの反省も再発防止策も公表せず、同じ自民党の小池が東京都議連に推薦願を出しているにも係わらず、受けず、増田を候補として担ぎあげた。
舛添の前の都知事であった猪瀬の発言では、都議蓮の幹事長・内田がフィクサーであり、権勢を欲しいままにし、意に沿わない知事をスキャンダル他で失脚させるそうだ。
小池は立候補に際して、都政の意思決定プロセスがブラックボックス化している旨を指摘しており、意思決定プロセスの透明化をされると困る守旧都議連は、小池が都知事では困るので、第二の舛添として担いだのが増田であると理解している。
この様な構図、即ち、サヨクvs古い体質の自民都議蓮vs安倍自民党議員の三つ巴状態で、その候補が勝つと、どんなイヤな事態になるのかを想像すると消去法では小池しか残らないのである。
サヨク都知事或いは名前が変わっただけの第二の舛添。そのどちらも、都民にとって不幸ではないかと、外野からは見えるのである。
これら3候補の誰がどの程度優勢なのか、どの程度不利なのかとの情報は、当方は都民ではないので収集していないし、そもそも「予測」が正直であったことはない。
そうなると定性的に、小池に不利になること、或いは鳥越、増田に有利になることは避けなければならないと考えるのが普通である。
所謂「死に票」となる様な、泡沫候補への投票は、首長選挙では、参議院選挙区での僅差選挙区の事例と同様の構造となる危険性が潜んでいるのである。
そうなると、今回都知事選では泡沫候補でしかない桜井誠に投票することは、票田母集団からすれば、小池票を減らす効果となってしまうことを容易に想像できるであろう。
2012年12月総選挙で、自民党を圧勝させ、消費税増税に歯止めをかける選挙で次世代を応援し、今月10日の参議院選では改憲に必要な2/3を目指した選挙で、当選する可能性が極めて低い日ころを応援するとの同じ本末転倒をやっている。
桜井誠への投票は、右側から鳥越や増田を応援する効果がある。
桜井誠、当方としては親しみを持ってドロンパと呼びたいが、彼の在日問題の周知徹底等の功績は高く評価している。これは以前から明示していることだ。
当方の勝手な理解では、彼は選挙を通じての情宣活動をしているのだと理解している。
共産党が過去、延々と当選する見込みがないのにも係わらず、総ての選挙区に候補を立てていたのは、選挙活動との御旗を掲げた共産党の宣伝戦である。
ドロンパは今回、その共産党の戦法を取り入れたのだと解している。
ところが、そんな功績がある人物であっても、地方自治体の首長としての期待できるとは思えないのである。大組織を運営した経験はないと認識している。
志を同じくする人物の集団である在特会の運営経験と地方自治体の組織運営を同一視することは、大組織がどんなものかを知らぬ素人の戯言である。
従い、「都知事候補としての桜井誠」は支持出来ない。
ましてや当選可能性がゼロである彼に投票することは、前述した様に、右側からサヨク鳥越を推しているのと同じであり、都民の利益よりも「理」よりも「論」よりも自身の既得権益を至上とする守旧都議連の維持に協力するのと同じである。
大目標を見ずに、目線の低い話をする過ちを繰り返している構造が都知事選でも表れている。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」、暗愚なる人物が暗愚なる所以は経験からも学ぶことをしないことにある。
以上を以て、今回参議院選のLesson and Learnとする。
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副題:「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」、暗愚なる人物が暗愚なる所以は経験からも学ぶことをしないことにある。
前回からの続きである。
前回は、投票率が低いことにより、確定組織の票が占めるシェアは相対的に上昇し、確定組織の票がパワ-を持つとの、以前から言われている当たり前の事象を指摘した。
今回参議院選の投票率は約55%(54.70%)であり、その直前の2回の国政選挙の投票率約53%(2014年総選挙52.66%、2013参議院選52.61%)に比して2%程度上昇している。
全国の投票総数としては約2百万票の増加と考えて良い数値である。
一方、悪夢の民主党政権3年3ヵ月にNoを突き付けた2012年12月総選挙の投票率は約59%(59.32%)であり、それに比べれば、今回参議院選は▲4%、投票総数で4百万人少ないと言える。
この投票総数の増減が選挙結果に与えた影響についてみていこう。
選挙区については、前々回言及した様に、僅差で統一候補が当選し、与党候補が落選した事例を掲げたが、あれ程の1万票以下の僅差でなくても、1~2万票程度の票差は理論値では投票率が
以下の政党支持率をサンプルに理論値を解説する。
読売新聞・政党支持率(2016年07月13日 12時11分)
http://www.yomiuri.co.jp/election/poll/20160713-OYT8T50067.html
○(前略)政党支持率は自民党が41%、民進党が10%、おおさか維新の会が5%、公明党と共産党が各4%などの順だった。
<引用終わり>
与党支持率は自民党41%と公明党4%の合計45%。
一方、統一候補支持側の支持率は民進党10%+共産党4%の合計14%である。
おおさか維新が5%なので、所謂無党派層は残りの26%程度なのだと推定される。
与党と民共の差は31%であり、投票率が1%上がると、あがった1%のうち、約31%が与党票となると解される。或いは、共産党支持の4%分は投票率に無関係に行使済なのだが、公明票も同様に行使済と考えれば、投票率1%上昇による自民票増加は31%との推定が成り立つ。
今回、民進党が議席を確保した1人区は以下の11選挙区だが、これら選挙区の有権者数はだいたいが1百万人から2百万人弱である。
<岩手、青森、宮城、山形、福島、新潟、長野、山梨、三重、大分、沖縄>
投票率1%上昇時の投票数の増加は約1万~2万票で、その31%は3千~6千票である。
前々回との投票率との差は約2%なので、投票数はこれらの倍、2万~4万票、6千から1万2千票が与党票として上乗せされるとの理論値が算出される。
何を言いたいのかというと、「オレ一人が棄権しても大勢に影響ない」というのは必ずしも正しくはないと言うことだ。
全国の有権者数は約1億人、投票しなかった45%とは4千5百万人もの人数である。
「塵も積もれば山となる」との諺が思い出される。
選挙前の「報道」での「自民有利、2/3以上を確保の勢い」とかは、フワフワした層の投票棄権を誘発することは、良く知られたものである。
案の定、今回も、その手の報道が沢山なされたことを記憶しているだろう。
投票率が戻らぬことが、一部の狂信的信条に凝り固まった政党に有利だと言うことを選挙区を事例に見てきたが、比例区ではどうであったのかを分析・検証してみる。
先ず、事実提示だが、比例区での当選者の政党別内訳は以下の通りである。
<党名・改選前→当選・獲得票数・シェア>
自民党:12→19議席(20,114,809票)35.9%
民進党:19→11議席(11,750,983票)21.0%
公明党:06→07議席( 7,572,960票)13.5%
共産党:03→05議席( 6,016,195票)10.7%
お維新:02→04議席( 5,153,584票) 9.2%
社民党:02→01議席( 1,536,239票) 2.7%
生太郎:01→01議席( 1,067,300票) 1.9%
- - - - - - - - - -
日ころ:00→00議席( 734,024票) 1.3%
支なし:00→00議席( 647,071票) 1.2%
党改革:01→00議席( 580,653票) 1.0%
国怒り:00→00議席( 466,706票) 0.8%
幸福実:00→00議席( 366,815票) 0.7%
比例区の定数は48議席。比例区には、ドント方式のマジックが存在するが、今回はどうだったのかをみてみると、弱小政党の得票能力があまりにも低く、マジック発動には至らなかったと言って良い。
比例区48議席の最後の当選者は、自民党19人目の園田修光候補であった。
同候補の得票数は自民党の得票数20,114,809票の1/19の1,058,674票相当であった。
ラス前の47議席目は「生活の党と山本太郎となかまたち」(略称:生太郎)の青木愛候補であった。この1議席が生太郎が得た今回唯一の議席であるが、同党獲得票数の1/1が青木愛候補の得票数 1,067,300票である。
46議席目は民進党の最後11人目の白真勲である。
同候補の得票数は自民党の得票数11,750,983票の1/11の1,068,271票相当であった。
最後48議席目に与党・自民党候補が入ったので、今回は、定性的に存在するドント方式のマジックは発動せず、数値上の定量的分析をしても、あまり意味はないが、仮に投票率が2012年12月総選挙時の約60%と同等だとしたならば、この5%上昇分、投票総数として5百万票増えた場合、その41%分が自民党票、10%が民進党票だとすれば、生太郎の青木が少なくとも48番目に1人分下がるとの現象が実現したはずである。
逆転までは至らなくても、投票率の上昇により、民意がもっと反映されることになる。
さて、比例区での結果なのだが、1議席しか獲得できなかった政党が2つ、社民党と生太郎、1議席も獲得出来なかったのが、「日ころ」、「支持政党なし」、「新党改革」、「小林変節・国怒り」、「幸福実現」の5党である。
最後48番目の当選者の票数理論値が105万8千票であるが、0議席5党の中ではもっとも上位の「日ころ」であっても73万4千票(対最下位当選者約69%)であり、まったく票数が届いていないことがわかだろう。
当方は、参議院選挙前に以下で自分の投票行動について以下の様に述べており、その考え方は間違っていないと解される。
2016/07/02投稿:
2016年・参議院選7 Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-450.html
○<防御的理由>その4)所謂「死に票」となる様な、弱小政党や泡沫候補への投票は、比例区に於いてはドント方式のマジックで結果として比較第二党(例えば民進党)の候補に議席をプレゼントすることになるので、比例区での弱小政党や泡沫候補への投票は避けた。<以上>
参議院議を概観すると以上の様になるのだが、今回、定量的には発生しなかったドント方式のマジックには注意が必要である。
上記には他にも、考え方を書いてあるが、選挙後の現時点に於いても、特に訂正する様な考え方ではなく、基本的な投票方針としては、間違っていなかったと考えている。
この様な事前検討と結果が出た後の予測・実績比較の分析・検証を通じてこそ、次回の投票行動に資するLesson and Learnが出来る様になると考えている。
前回書いた様に、暗愚なる人物が暗愚なる所以は、教訓から学ぶことをせず、知識の集積がない故に見識も具備されず、同じ拙事を繰り返すからである。
当方は横浜生まれの横浜在住であり、都民ではないので、都知事選については論評していない。一方、サンプルとして、これまで論評してきたのと同じ「教訓に学ばない暗愚」の存在を確認したので、ケーススタディとして少々記述しておく。
今回の都知事選に対する当方の概略理解は以下の通りである。
1.候補者は21名。そのうち当方が考える有力候補者は3名。
2.有力候補者は、政党推薦を得ている鳥越、増田及び東京都選出衆議院議員の小池。
3.これら3名の背景は以下の通り。
・鳥越:所謂サヨク統一候補。民進、共産、社民等が推薦
・増田:舛添の代わりのお神輿候補。自民、公明、日ころ推薦
・小池:自民都議蓮の意思決定プロセスの不透明性を指摘して立候補。
4.ネットでは人気の桜井誠は地方自治体の首長としての能力が未知。
特に、上記3.にある様に、サヨクvs古い体質の自民都議蓮vs安倍自民党議員の三つ巴状態との理解である。
当方は前記した「2016年・参議院選7 Final」にも以下の様に明記した通り、非民主的性向を持つ共産党・サヨク勢力は信用していない。
<引用開始>
<防御的理由>
1)日本共産党に投票することは、自由主義・民主主義を推奨する人物の人権を抑圧する共産党政権への第一歩となるので、共産党には投票しない。
(中略)
2)同様、共産党と共闘する党への投票は、結果として共産党への投票と同様なものとなるので、民進党、社民党には投票しない。
<引用終わり>
そもそも、今回の都知事選は、自民党都議連、公明党が推薦した舛添都知事のいい加減な都政が破綻し、辞任に追い込まれたことによる。
自民党都議連は、舛添の次の都知事候補の選定に際して、前回舛添を推薦してことの間違いの反省も再発防止策も公表せず、同じ自民党の小池が東京都議連に推薦願を出しているにも係わらず、受けず、増田を候補として担ぎあげた。
舛添の前の都知事であった猪瀬の発言では、都議蓮の幹事長・内田がフィクサーであり、権勢を欲しいままにし、意に沿わない知事をスキャンダル他で失脚させるそうだ。
小池は立候補に際して、都政の意思決定プロセスがブラックボックス化している旨を指摘しており、意思決定プロセスの透明化をされると困る守旧都議連は、小池が都知事では困るので、第二の舛添として担いだのが増田であると理解している。
この様な構図、即ち、サヨクvs古い体質の自民都議蓮vs安倍自民党議員の三つ巴状態で、その候補が勝つと、どんなイヤな事態になるのかを想像すると消去法では小池しか残らないのである。
サヨク都知事或いは名前が変わっただけの第二の舛添。そのどちらも、都民にとって不幸ではないかと、外野からは見えるのである。
これら3候補の誰がどの程度優勢なのか、どの程度不利なのかとの情報は、当方は都民ではないので収集していないし、そもそも「予測」が正直であったことはない。
そうなると定性的に、小池に不利になること、或いは鳥越、増田に有利になることは避けなければならないと考えるのが普通である。
所謂「死に票」となる様な、泡沫候補への投票は、首長選挙では、参議院選挙区での僅差選挙区の事例と同様の構造となる危険性が潜んでいるのである。
そうなると、今回都知事選では泡沫候補でしかない桜井誠に投票することは、票田母集団からすれば、小池票を減らす効果となってしまうことを容易に想像できるであろう。
2012年12月総選挙で、自民党を圧勝させ、消費税増税に歯止めをかける選挙で次世代を応援し、今月10日の参議院選では改憲に必要な2/3を目指した選挙で、当選する可能性が極めて低い日ころを応援するとの同じ本末転倒をやっている。
桜井誠への投票は、右側から鳥越や増田を応援する効果がある。
桜井誠、当方としては親しみを持ってドロンパと呼びたいが、彼の在日問題の周知徹底等の功績は高く評価している。これは以前から明示していることだ。
当方の勝手な理解では、彼は選挙を通じての情宣活動をしているのだと理解している。
共産党が過去、延々と当選する見込みがないのにも係わらず、総ての選挙区に候補を立てていたのは、選挙活動との御旗を掲げた共産党の宣伝戦である。
ドロンパは今回、その共産党の戦法を取り入れたのだと解している。
ところが、そんな功績がある人物であっても、地方自治体の首長としての期待できるとは思えないのである。大組織を運営した経験はないと認識している。
志を同じくする人物の集団である在特会の運営経験と地方自治体の組織運営を同一視することは、大組織がどんなものかを知らぬ素人の戯言である。
従い、「都知事候補としての桜井誠」は支持出来ない。
ましてや当選可能性がゼロである彼に投票することは、前述した様に、右側からサヨク鳥越を推しているのと同じであり、都民の利益よりも「理」よりも「論」よりも自身の既得権益を至上とする守旧都議連の維持に協力するのと同じである。
大目標を見ずに、目線の低い話をする過ちを繰り返している構造が都知事選でも表れている。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」、暗愚なる人物が暗愚なる所以は経験からも学ぶことをしないことにある。
以上を以て、今回参議院選のLesson and Learnとする。



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