戦後我が国の国防方針5
- 2016/06/27
- 00:31
戦後我が国の国防方針5

統帥権・軍事・防衛その7<「「国家安全保障戦略」を読む2>
タグ「憲法研究」にて続けている、統帥権・軍事・防衛に関する論評の7回目である。
前回からは2013年12月17日に新たに閣議決定された指針である「国家安全保障戦略」について論評し始めている。尚、「国家安全保障戦略」については、文書量が多量になることから、全文の引用・論評は難しいので、部分抜粋引用をして論評することになること、予めご承知置き願いたい。
本論評は、憲法草案の「統帥権・軍事・防衛」に関する論評で、タグ【α版検証】で進めている【日本国憲法改正私案α版】に対する自己検証の中で「統帥権」の部分(自民党案・第72条「内閣総理は、大臣の職務」=私案α版・第80条「内閣総理大臣の職務」)に関する考察を深めることが目的の論評・考察である。
前回からの続きとして、今回は、2013年「国家安全保障戦略」のⅡ「国家安全保障の基本理念」の2「我が国の国益と国家安全保障の目標」で示されていることのうち、目標部分を以下に紹介する。
③「目標」
目標部分に関しては、文書中に「第○の目標」との明示があり、比較的明確短文なので、この部分は、全文引用しておく。
<引用開始>
○第1の目標は:
我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために、必要な抑止力を強化し、我が国に直接脅威が及ぶことを防止するとともに、万が一脅威が及ぶ場合には、これを排除し、かつ被害を最小化することである。
○第2の目標は:
日米同盟の強化、域内外のパートナーとの信頼・協力関係の強化、実際的な安全保障協力の推進により、アジア太平洋地域の安全保障環境を改善し、我が国に対する直接的な脅威の発生を予防し、削減することである。
○第3の目標は:
不断の外交努力や更なる人的貢献により、普遍的価値やルールに基づく国際秩序の強化、紛争の解決に主導的な役割を果たし、グローバルな安全保障環境を改善し、平和で安定し、繁栄する国際社会を構築することである。
<引用終わり>
第1目標は、抑止力の強化である。
主として防衛力強化のことに言及している。抑止力とは一言で言えば我が国への侵攻意図がある相手から見て、侵攻成功の確度が極めて低い、侵攻の際の犠牲が許容限度を超えて膨大になる、等の予想が成り立つ状況・体制を整備して、侵攻意図を未然に放棄させる「力」のことである。
抑止力強化の方法・手段は色々と選択肢があるが、後段には「脅威が及ぶ場合には・排除・被害を最小化」とあるので、手段としては、通常戦力の強化となろう。
抑止力になり得て、かつ、万が一ドンパチが発生しても排除するだけの防衛力が必要だとなると、従来の様な歪んだ防衛力整備方針は見直しが必要になってくるであろう。
第2目標は、日米同盟の強化及び友好的他国との友好関係強化である。
先に述べた通り、安全保障・国防は「外交・防衛・経済、文化交流、人的交流等の総合力」であり、第2目標は主として外交方針のことである。
先ず、日米同盟を掲げ、続いて、先に出てきたASEAN諸国、地理的にはインドや豪州、政治的には欧州先進国等との友好関係構築が掲げられていると解している。
これら目標の目的は「我が国に対する直接的な脅威の発生を予防し、削減することである。」と明示されている。
この方針自体は、けして目新しい発想ではない。共産中国と国交「正常化」した1972年当時から言われていたことである。当時の当方記憶によれば、ベトナム戦争継続中の当時は東西冷戦下であり、自由主義陣営を最も圧迫していたのはソ連であり、そのソ連とけして反りの合わない中国の取り込みは、戦略的価値があると米国は判断し、米中接近となったものである。これは、米国伝統の錯誤でしかない。支那文明の理解が浅い米国は、蒋介石に騙されたのと同じ誤解を毛沢東・周恩来相手に繰り返したのである。
1970年代初期の我が国は、高度経済成長を成し遂げたとは言え、防衛力に関しては、相変わらず軽武装の心許ない状態であり、我が国の選択肢は「米国追従」しかなく、近隣で核兵器持つ共匪・毛沢東相手に国交「正常化」をせざるを得なかったものである。
その際に盛んに言われたのが、「貧しい中国も経済発展すれば「衣食足りて礼節を知る」で自由主義陣営に協調する」とか、「友好関係を築き信頼・協力関係を強化すれば、けして日本に対して侵略的恫喝をすることはない」であった。
当時は、BMDなど存在しておらず、中国の核ミサイルを防ぐ手立ては米軍の核ミサイルによる「相互破壊確証戦略」しかなく、米国に追従して「友好関係」構築に励んだ結果が、今日のアレである。
この大失敗からは学ぶことが沢山ある。ただ単純に「お花畑的な友好関係推進」をしても無意味・逆効果である。当然の様に、その点はわかっている上での提示だと考えている。
第3目標は、価値観国益の維持・擁護である。
前章の②「国益」の3番目にて明示された「普遍的価値観の存在自体が国益である」との考え方から、それを維持・擁護のために外交努力や人的貢献を掲げている。
ここで言う外交努力とは、二国間だけではなく、国連、G7サミット等の多国間外交が当然の様に含まれていると解すべき記述となっている。
前述した、1972年の共産中国との国交「正常化」の大失敗は、普遍的価値観の違いを無視した「お花畑的な友好関係推進」だったからである。
「国家安全保障の基本理念」の「目的」として提示されたものは、防衛・外交・価値観との3点セットであり、これは前章の「国益」とも整合しており、納得性があるものだと感じられる。
戦後我が国の安全保障に関する「戦略」が2013年まで存在しなかった(開示されなかった)のは、まったくに無様なのだが、こうやって「普遍的価値観」を掲げての戦略提示は、当たり前と言えば当たり前なのだが、妥当な記載である。
Ⅲ「我が国を取り巻く安全保障環境と国家安全保障上の課題」
続いて、国家安全保障戦略は「環境」と「課題」を項目別に掲げている。
中項目が以下の2点であることから、全世界的視点と周辺地域との視点で構成されていることがわかる。
1.グローバルな残全保障環境と課題
2.アジア太平洋地域における安全保障環境と課題
中項目の下に個別項目があり、その項目名が「環境」となっており、それぞれの本文に「課題」が示される構成となっているので、以下の通り個別項目名を紹介する。
<1.グローバルな安全保障環境と課題>
(1)パワーバランスの変化及び技術革新の急速な進展
(2)大量破壊兵器の拡散の脅威
(3)国際テロの脅威
(4)国際公共財(グローバル・コモンズ)に関するリスク
(5)「人間の安全保障」に関する課題
(6)リスクを抱えるグローバル経済
グローバル分野に関して、最初に「パワーバランス」との地政学的な宿命を掲げている。当たり前と言えば当たり前なのだが、従前の我が国の「ものの見方」からすれば、大進歩であり、評価できる。
これに続いて「大量破壊兵器」「国際テロ」との誰もが認識している懸念事項が掲げられており、その次に「国際公共財(グローバル・コモンズ)」との、あまり一般的ではない言葉が出てくる。
概念を簡単に説明すれば、海洋、宇宙空間、サイバー空間等のwhere概念では、その自由な利用の公平性が確保されている「場所」の存在のことであり、自由貿易体制、国連機構、国際秩序を保つ国際法等のWhat概念で言えば、そういう自由と公正性を確保している枠組みのことである。
これらがなくなってしまう、或いは、一部による独占的利用や度の過ぎた特権的利用は枠組み崩壊へとつながるので、それをリスクだと認識していることは、高く評価したい。
更に、「人間の安全保障」との耳慣れない言葉が出てくる。
この概念を一言で象徴的に言うと、今現在、欧州で起こっている大量難民問題のことである。
この国家安全保障戦略が策定されたのは、2013年のことであり、今から3年前に、今欧州で起こっている問題を「課題」だと認識している慧眼には恐れ入る。
いや、日本国民としては頼もしいと感じる方が正しいだろう。
「人間の安全保障」の文には「人道上の危機」「一国のみでは対応できない地球規模の問題」「個人の生存と尊厳を脅かす人間の安全保障上の重要かつ喫急な課題」とあり、的確は分析をしていることがわかる。
そしてグローバル分野の最後には、「リスクを抱えるグローバル経済」との視点が掲げられている。国境を越えたサプライチェーンとは裏返せば、主権が及ばぬ範囲に国家存亡に直結する重要施設が存在している構造であり、資源ナショナリズム・資源獲得競争等によるリスクが存在している旨を掲げている。
グローバル分野の後半は、当たり前のことなのだが、旧来の軍事分野を中心とした国家安全保障の殻を脱却した視点であり、戦略の課題として掲げられていることは、実に頼もしいものである。
<2.アジア太平洋地域における安全保障環境と課題>
全世界的視点に続き周辺地域との視点での課題としては、以下の3点が掲げられている。
(1)アジア太平洋地域における安全保障環境と課題
(2)北朝鮮の軍事力の増強と挑発行為
(3)中国の急速な台頭と様々な領域への積極的進出
先ず、環境としては、「北東アジア地域」は「大規模な軍事力を有する国家等が集中し、核兵器を保有又は核開発を継続する国家等も存在する」との客観的事実を述べている。
我が国周辺には、中共、北朝鮮、韓国、台湾等が存在し、その軍事力は他の地域に比して大規模である。
知っての通り、中共は核兵器保有国であり、その弾道ミサイルの照準は我が国主要都市に狙いを定めていると言われている。また、北朝鮮に関しては、地下核実験及び度重なる弾道弾発射実験を続けており、かなり危険性が高い兵器が集中している地域である。
これらの客観的事実を先ず提示している。
そして、続く(2)で北朝鮮に関しての言及では、核開発・弾道ミサイルのもならず、拉致問題という大問題が存在していることも明示されている。
それに続き(3)では国力を増強したことで、その本性を隠さなくなった中国共産党支配下の支那の地の国、中共支那・自称「中華人民共和国」について述べている。
具体的課題としては、透明性を欠いた軍事力の増強継続、国際法秩序とは相容れない東シナ海・南シナ海での独自の主張に基づく行動、同様、尖閣諸島への侵入行為、国際常識を逸脱した防空識別圏の設定等を記載している。
<長くなったので項を分けます>
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統帥権・軍事・防衛その7<「「国家安全保障戦略」を読む2>
タグ「憲法研究」にて続けている、統帥権・軍事・防衛に関する論評の7回目である。
前回からは2013年12月17日に新たに閣議決定された指針である「国家安全保障戦略」について論評し始めている。尚、「国家安全保障戦略」については、文書量が多量になることから、全文の引用・論評は難しいので、部分抜粋引用をして論評することになること、予めご承知置き願いたい。
本論評は、憲法草案の「統帥権・軍事・防衛」に関する論評で、タグ【α版検証】で進めている【日本国憲法改正私案α版】に対する自己検証の中で「統帥権」の部分(自民党案・第72条「内閣総理は、大臣の職務」=私案α版・第80条「内閣総理大臣の職務」)に関する考察を深めることが目的の論評・考察である。
前回からの続きとして、今回は、2013年「国家安全保障戦略」のⅡ「国家安全保障の基本理念」の2「我が国の国益と国家安全保障の目標」で示されていることのうち、目標部分を以下に紹介する。
③「目標」
目標部分に関しては、文書中に「第○の目標」との明示があり、比較的明確短文なので、この部分は、全文引用しておく。
<引用開始>
○第1の目標は:
我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために、必要な抑止力を強化し、我が国に直接脅威が及ぶことを防止するとともに、万が一脅威が及ぶ場合には、これを排除し、かつ被害を最小化することである。
○第2の目標は:
日米同盟の強化、域内外のパートナーとの信頼・協力関係の強化、実際的な安全保障協力の推進により、アジア太平洋地域の安全保障環境を改善し、我が国に対する直接的な脅威の発生を予防し、削減することである。
○第3の目標は:
不断の外交努力や更なる人的貢献により、普遍的価値やルールに基づく国際秩序の強化、紛争の解決に主導的な役割を果たし、グローバルな安全保障環境を改善し、平和で安定し、繁栄する国際社会を構築することである。
<引用終わり>
第1目標は、抑止力の強化である。
主として防衛力強化のことに言及している。抑止力とは一言で言えば我が国への侵攻意図がある相手から見て、侵攻成功の確度が極めて低い、侵攻の際の犠牲が許容限度を超えて膨大になる、等の予想が成り立つ状況・体制を整備して、侵攻意図を未然に放棄させる「力」のことである。
抑止力強化の方法・手段は色々と選択肢があるが、後段には「脅威が及ぶ場合には・排除・被害を最小化」とあるので、手段としては、通常戦力の強化となろう。
抑止力になり得て、かつ、万が一ドンパチが発生しても排除するだけの防衛力が必要だとなると、従来の様な歪んだ防衛力整備方針は見直しが必要になってくるであろう。
第2目標は、日米同盟の強化及び友好的他国との友好関係強化である。
先に述べた通り、安全保障・国防は「外交・防衛・経済、文化交流、人的交流等の総合力」であり、第2目標は主として外交方針のことである。
先ず、日米同盟を掲げ、続いて、先に出てきたASEAN諸国、地理的にはインドや豪州、政治的には欧州先進国等との友好関係構築が掲げられていると解している。
これら目標の目的は「我が国に対する直接的な脅威の発生を予防し、削減することである。」と明示されている。
この方針自体は、けして目新しい発想ではない。共産中国と国交「正常化」した1972年当時から言われていたことである。当時の当方記憶によれば、ベトナム戦争継続中の当時は東西冷戦下であり、自由主義陣営を最も圧迫していたのはソ連であり、そのソ連とけして反りの合わない中国の取り込みは、戦略的価値があると米国は判断し、米中接近となったものである。これは、米国伝統の錯誤でしかない。支那文明の理解が浅い米国は、蒋介石に騙されたのと同じ誤解を毛沢東・周恩来相手に繰り返したのである。
1970年代初期の我が国は、高度経済成長を成し遂げたとは言え、防衛力に関しては、相変わらず軽武装の心許ない状態であり、我が国の選択肢は「米国追従」しかなく、近隣で核兵器持つ共匪・毛沢東相手に国交「正常化」をせざるを得なかったものである。
その際に盛んに言われたのが、「貧しい中国も経済発展すれば「衣食足りて礼節を知る」で自由主義陣営に協調する」とか、「友好関係を築き信頼・協力関係を強化すれば、けして日本に対して侵略的恫喝をすることはない」であった。
当時は、BMDなど存在しておらず、中国の核ミサイルを防ぐ手立ては米軍の核ミサイルによる「相互破壊確証戦略」しかなく、米国に追従して「友好関係」構築に励んだ結果が、今日のアレである。
この大失敗からは学ぶことが沢山ある。ただ単純に「お花畑的な友好関係推進」をしても無意味・逆効果である。当然の様に、その点はわかっている上での提示だと考えている。
第3目標は、価値観国益の維持・擁護である。
前章の②「国益」の3番目にて明示された「普遍的価値観の存在自体が国益である」との考え方から、それを維持・擁護のために外交努力や人的貢献を掲げている。
ここで言う外交努力とは、二国間だけではなく、国連、G7サミット等の多国間外交が当然の様に含まれていると解すべき記述となっている。
前述した、1972年の共産中国との国交「正常化」の大失敗は、普遍的価値観の違いを無視した「お花畑的な友好関係推進」だったからである。
「国家安全保障の基本理念」の「目的」として提示されたものは、防衛・外交・価値観との3点セットであり、これは前章の「国益」とも整合しており、納得性があるものだと感じられる。
戦後我が国の安全保障に関する「戦略」が2013年まで存在しなかった(開示されなかった)のは、まったくに無様なのだが、こうやって「普遍的価値観」を掲げての戦略提示は、当たり前と言えば当たり前なのだが、妥当な記載である。
Ⅲ「我が国を取り巻く安全保障環境と国家安全保障上の課題」
続いて、国家安全保障戦略は「環境」と「課題」を項目別に掲げている。
中項目が以下の2点であることから、全世界的視点と周辺地域との視点で構成されていることがわかる。
1.グローバルな残全保障環境と課題
2.アジア太平洋地域における安全保障環境と課題
中項目の下に個別項目があり、その項目名が「環境」となっており、それぞれの本文に「課題」が示される構成となっているので、以下の通り個別項目名を紹介する。
<1.グローバルな安全保障環境と課題>
(1)パワーバランスの変化及び技術革新の急速な進展
(2)大量破壊兵器の拡散の脅威
(3)国際テロの脅威
(4)国際公共財(グローバル・コモンズ)に関するリスク
(5)「人間の安全保障」に関する課題
(6)リスクを抱えるグローバル経済
グローバル分野に関して、最初に「パワーバランス」との地政学的な宿命を掲げている。当たり前と言えば当たり前なのだが、従前の我が国の「ものの見方」からすれば、大進歩であり、評価できる。
これに続いて「大量破壊兵器」「国際テロ」との誰もが認識している懸念事項が掲げられており、その次に「国際公共財(グローバル・コモンズ)」との、あまり一般的ではない言葉が出てくる。
概念を簡単に説明すれば、海洋、宇宙空間、サイバー空間等のwhere概念では、その自由な利用の公平性が確保されている「場所」の存在のことであり、自由貿易体制、国連機構、国際秩序を保つ国際法等のWhat概念で言えば、そういう自由と公正性を確保している枠組みのことである。
これらがなくなってしまう、或いは、一部による独占的利用や度の過ぎた特権的利用は枠組み崩壊へとつながるので、それをリスクだと認識していることは、高く評価したい。
更に、「人間の安全保障」との耳慣れない言葉が出てくる。
この概念を一言で象徴的に言うと、今現在、欧州で起こっている大量難民問題のことである。
この国家安全保障戦略が策定されたのは、2013年のことであり、今から3年前に、今欧州で起こっている問題を「課題」だと認識している慧眼には恐れ入る。
いや、日本国民としては頼もしいと感じる方が正しいだろう。
「人間の安全保障」の文には「人道上の危機」「一国のみでは対応できない地球規模の問題」「個人の生存と尊厳を脅かす人間の安全保障上の重要かつ喫急な課題」とあり、的確は分析をしていることがわかる。
そしてグローバル分野の最後には、「リスクを抱えるグローバル経済」との視点が掲げられている。国境を越えたサプライチェーンとは裏返せば、主権が及ばぬ範囲に国家存亡に直結する重要施設が存在している構造であり、資源ナショナリズム・資源獲得競争等によるリスクが存在している旨を掲げている。
グローバル分野の後半は、当たり前のことなのだが、旧来の軍事分野を中心とした国家安全保障の殻を脱却した視点であり、戦略の課題として掲げられていることは、実に頼もしいものである。
<2.アジア太平洋地域における安全保障環境と課題>
全世界的視点に続き周辺地域との視点での課題としては、以下の3点が掲げられている。
(1)アジア太平洋地域における安全保障環境と課題
(2)北朝鮮の軍事力の増強と挑発行為
(3)中国の急速な台頭と様々な領域への積極的進出
先ず、環境としては、「北東アジア地域」は「大規模な軍事力を有する国家等が集中し、核兵器を保有又は核開発を継続する国家等も存在する」との客観的事実を述べている。
我が国周辺には、中共、北朝鮮、韓国、台湾等が存在し、その軍事力は他の地域に比して大規模である。
知っての通り、中共は核兵器保有国であり、その弾道ミサイルの照準は我が国主要都市に狙いを定めていると言われている。また、北朝鮮に関しては、地下核実験及び度重なる弾道弾発射実験を続けており、かなり危険性が高い兵器が集中している地域である。
これらの客観的事実を先ず提示している。
そして、続く(2)で北朝鮮に関しての言及では、核開発・弾道ミサイルのもならず、拉致問題という大問題が存在していることも明示されている。
それに続き(3)では国力を増強したことで、その本性を隠さなくなった中国共産党支配下の支那の地の国、中共支那・自称「中華人民共和国」について述べている。
具体的課題としては、透明性を欠いた軍事力の増強継続、国際法秩序とは相容れない東シナ海・南シナ海での独自の主張に基づく行動、同様、尖閣諸島への侵入行為、国際常識を逸脱した防空識別圏の設定等を記載している。
<長くなったので項を分けます>



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