【コラム】報ステ「ワイマール憲法」の笑止千万
- 2016/03/20
- 04:12
【コラム】報ステ「ワイマール憲法」の笑止千万

副題:悪質なる印象操作の種明かし
昨晩、ネット上の友人から、報道ステーションでワイマール憲法を題材にした特集が放送されたが、呆れた放送だったとの話を聞いた。
当方は、事実報道をしない、印象操作を用いた偏向を常用する同番組は極悪番組だと認定しており、基本的には視聴しないので、見ていなかったのだが、これまたネット上の友人から、その特集が動画としてネット登録されているとのことで、どれほどのものかと視聴してみた。
その特集とは、現行憲法の欠陥である「緊急事態条項がない」という問題に対して、自民党の改憲草案では、その欠陥是正を目的に緊急事態条項が新設されるのだが、それが、あたかも「危険なものだ」との印象操作をする為の特集であった。
本ブログでは、自民党案新設章の第9章:緊急事態の第98条・第99条の両条に対する分析は以下で約1年前に実施済であり、更に、それへの対案提示、自己検証までもを提示済である。
その様な分析・検討プロセスを公開済であることから、ある程度の知見を有していると自負しているが、紹介あった特集を見て感じたのは、案の定の詭弁と印象操作でテレビ視聴者を間違った方向へと誘導する悪質なるものであった。
<タグ「憲法研究」での最初期の分析>
2015/04/03投稿:
14-3 自民党案 新設章「第9章緊急事態」の分析
< http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-69.html >
2015/04/04投稿:
14-4 自民党案 新設章「第9章緊急事態」の分析 その2
< http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-70.html >
件の報道ステーションの「特集」とは2016年3月18日放送の以下の動画のものである。
報道ステーション 03-18 ワイマール (27分25秒)
< http://www.dailymotion.com/video/x3ym0kc >
<案の定、削除されたので、巻末に新たに別URLを記載した。2016/03/23>
民放の商用放送の動画なので、削除されるリスクがあると推定されることから、出来るだけ文字起こしをした上で論評する。
紹介された時点で「ワイマール憲法」とのキーワードを聞いていたので、当方の第一印象としては、「例のアレでしょ」であった。視聴した後の今は「案の定の例のアレだったね」である。
歴史を簡単に紹介すると、第一次世界大戦(1914年7月28日から 1918年11月11日)に敗北したドイツ帝国は崩壊した。同大戦のパリ講和会議は戦争翌年の1919年1月18日に始まり、その調印は1919年6月28日に行われた。その最中、ドイツ・ワイマール共和国が1919年2月11日に建国された。
ここで注意が必要なのだが、この「ワイマール共和国」というのは正式国名ではない。
我が国で言えば「鎌倉時代」とかと同じ歴史区分上の名称である。ワイマール共和国時代も正式な国号は帝政時代と同じく、ドイツ国(Deutsches Reich)であり、首都も帝政時代と同じくベルリンである。そして「ワイマール共和国」の憲法が「ワイマール憲法」と言われているのだが、これも通称であり、正式名はドイツ国憲法(Die Verfassung des Deutschen Reichs)であり、1919年8月11日制定・8月14日公布・施行された共和国制憲法である。
このワイマール共和国とワイマール憲法は、後日、ヒトラーが同憲法下選挙で政権交代した後に、憲法自体を変更する立法である「全権委任法」が1933年3月23日に成立し、ワイマール憲法は事実上停止状態となった。その後のナチスドイツの欧州での戦争、ドイツ敗戦は知っての通りである。ターニングポイントとなったのは、立憲主旨を破壊する「全権委任法」の成立なのだが、大学辺りで語られていたのは「普通選挙で選ばれたヒトラーが独裁体制をつくり、その後、戦争を引き起こした」との文脈が主であり、その後に必ず、「一般民衆が選ぶ政治指導者は戦争を引き起こす可能性を否定出来ない」との話がくっついてくるのが通例であった。
当方が大学生だった1970年代中盤という時代は、東西冷戦真っ最中、我が国では自民党長期政権が継続中との時代であり、ワイマール憲法の話からは、暗に「「自由主義・民主主義体制」は戦争危険性がある体制」だと批判し、過激な奴等は「アメリカ帝国主義のベトナム侵略を見よ!」「この国の自民党独裁政権は独占資本主義と結託したアメリカ帝国主義を補完する帝国主義!再び戦禍の中に戻らない為には、危険な政治家を排除した平和勢力の結集が必要だ」とか言葉を変えた共産主義政権への政権交代が必要だと言っていたのである。
「ワイマール憲法(自由民主主義) → ヒットラー → 戦争の惨禍」
との歴史を掲げ「自由民主主義は本当は危険」との刷り込みを行い、「平和勢力(共産主義勢力)の独占(独裁)により世界平和を確保する」との詐欺話へと持っていく論理展開である。要するに「ワイマール憲法」は落語で言うところの「枕」であり、導入部として多用されてきたものである。
従い、最初に「例のアレでしょ」と感じ、報ステの「特集」を見た後も「案の定の例のアレだったね」だったのである。
とは言え今は2016年。枕話・ワイマール憲法も本質は同じだが、後ろにくっつく詐欺話が別バージョンになっていたので、細かく論評する。
報道ステーションの「特集」の動画は最初、ドイツ・ワイマール市の国民劇場前の風景から始まる。そして、ゲーテとシラーの銅像が紹介され、昔ながらの常套句「世界一民主的なワイマール憲法」を古館が叫び始める。
第一次世界大戦後1919年にドイツのワイマール憲法が制定されたのが、この劇場だと紹介し、更に古館はワイマール憲法の紹介を続け、「第1条は国民主権」と話す。
そして、男女平等・思想信条の自由・基本的人権の尊重と続け、その後、「日本国憲法も大きく影響を受けた」との案の定の誘導の台詞を述べる。
ワイマール憲法を導入部に使うこの騙しの話法は、必ず、あたかも「現行憲法とワイマール憲法は同じ」との印象操作である。
我が国は1国1主権の立憲君主制、ワイマール共和国は各州主権連邦制の共和国制であるとの違いがあるのに、そういう学術的比較は一切排除され、あたかも同じとの印象操作が行われるのが儀式であり、その様式美は古館にも受け継がれている。
動画は進み1:27辺りで、ワイマール市国民劇場前の同じ場所の当時のナチス党大会の写真が映し出され、それに続きヒットラーの演説の様子を映し出される。
これも昔ながらの様式美である。
「ワイマール憲法(自由民主主義) → ヒットラー → 戦争の惨禍」
ワイマールときたら、次は必ずヒットラーである(笑)
誤誘導の為の連想ゲームの基礎に続き、古館は今回の「取材」の本論へと入っていく。
○2:02古館:ヒトラーと言うのは、軍やクーデターで独裁を確立した訳じゃありません。合法的に実現した。ワイマール憲法の1つの条文が独裁につながってしまった。
ヒトラーはその後、ワイマール憲法自体を停止させた
ここで、どうやら今回の論旨は「緊急事態」をダシに改憲阻止の印象操作をする気だと気付いた。
○2:35古館:ヒトラー独裁へのいきさつというのを振り返っていくと、日本がそういう風になると到底思わない ただ、今、日本は憲法改正の動きがある。立ち止まって考えなくちゃいけないポイントがあるんです。
案の定である。改憲阻止を目的にした印象操作で間違いない(笑)
「日本がそういう風になるとは思わない」とのエクスキューズを挟みながら、最初に作りあげたインチキイメージである「ワイマール憲法=現行憲法」で話を進めているのがわかる。尚、「日本がそういう風になるとは思わない」との台詞は、この後、何回か登場する。
それはエクスキューズであると同時に一種の煽り文句になっていることに注意が必要だ。
○4:20古館のナチス・ヒットラーの話は続く。
「ヒトラーは言葉を変える」
「独裁~決断できる政治」「戦争の準備=平和と安全の確保」
これなどは悪質な印象操作である。
「決断できる政治」は「独裁」とは違う。何も決断しないで先送りと放置をし続けた鳩山・菅直人の民主党政権は目に余った「決断しない政治」であり、その悪影響は国民を直撃した。決断すべき時に決断する政治でないと国民は不幸になる。民主党・野田政権が決めて法制化した消費税2段階増税の最初の8%化の結果、折角の景気回復が中折れしてしまったのを見て、300議席以上を持ち任期を2年も残していた安倍総理が、次の10%の是非を国民に問うと決断したのは見事であった。内部事情からすれば300議席以上を持ち任期を2年も残す状態での総選挙などなかなか決断できないものだ。
国民も、その真意を理解して、安倍総理を再度圧勝させ、自分自身を救ったのである。
あれなどは「独裁」とは真逆の、国民の信任を問うとの民主主義原則に則った「決断できる政治」そのものであった。
次の「平和と安全の確保」は明らかに「戦争の準備」とは違う。
もっとも、安保法制を「戦争法案」と称してしまうウソツキ野党にとっては同じなのであろうが、既にお気づきの通り、これなどは暗に安倍首相をヒットラーと重ね合わせるとの悪質だが幼稚で陳腐な印象操作である。
共産党の吉良よし子が太鼓に安倍首相の写真を貼り、それにチョビ髭を加筆するとの悪質かつ幼稚で陳腐な印象操作をしていたのと同じである。
動画は、この印象操作を執拗に続ける。
○4:50辺りのテロップを以下に列挙する。
「国民は指導者たちの意のままになる」
「自分たちが外国から攻撃されていると説明するだけでいい」
「平和主義者に対しては愛国心が無く、国家を危険にさらす人々だと批判すればいいだけのことだ。」
「この方法はどこの国でも同じように通用する」
一通り、安倍首相とヒットラーを同一であるかの様な印象操作を続けた後、いよいよ今回の本題に古館は話題を進めていく。
○5:20古館:ワイマール憲法第48条 国家緊急権 を使ってヒトラーは独裁を確立した
「これがポイントです」
「大統領は公共の安全と秩序回復のために必要な措置をとりことができる」
○6:02古館:「この条文がヒトラーに独裁の道を開かせてしまった」
「なんで、そもそも、この条文が入っていたのか?」
「議会制民主主義を信用していなかった」
嘘っぱち旋回の始まりである。(笑)
ここで言う「この条文」とは「ワイマール憲法第48条・国家緊急権」である。
今回の報ステの「特集」の目的は改憲阻止の為に、あたかも「緊急事態条項」が、さも危険なものだという誤解をさせる為のものだ。
そのインチキを解きほぐす為には中身を紹介することが一番だ。
しかし、ネットで「ワイマール憲法第48条」を検索すると以下の条文がヒットする。
世界史用語解説 授業と学習のヒント
ワイマール憲法
http://www.y-history.net/appendix/wh1502-078.html
<ワイマール憲法 第48条>
○ドイツ国内において、公共の安全および秩序に著しい障害が生じ、またはそのおそれがあるときは、ライヒ大統領は、公共の安全および秩序を回復させるために必要な措置をとることができ、必要な場合には、武装兵力を用いて介入することができる。
○この目的のために、ライヒ大統領(ドイツ大統領)は一時的に第114条(人身の自由)、第115条(住居の不可侵)、第117条(信書・郵便・電信電話の秘密)、第118条(意見表明の自由)、第126条(集会の権利)、第124条(結社の権利)、および第153条(所有権の保障)に定められている基本権の全部または一部を停止することができる。
<引用終わり>(と言うか、第48条の前段部分しかヒットしない)
ネットで和訳検索すると全部で5段落あるうちの前半2段落しかヒットしないのである。
仕方がない。古い40年前のメモを引っ張り出すしかない。
時間がかかりそうなので、途中であるが、本日はここまでとする。
項を分けて、続ける。
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2016/03/23 題材としていた動画が案の定削除されたので、以下の別URLを紹介する。
https://www.youtube.com/watch?v=3Kw0uuflXdc


副題:悪質なる印象操作の種明かし
昨晩、ネット上の友人から、報道ステーションでワイマール憲法を題材にした特集が放送されたが、呆れた放送だったとの話を聞いた。
当方は、事実報道をしない、印象操作を用いた偏向を常用する同番組は極悪番組だと認定しており、基本的には視聴しないので、見ていなかったのだが、これまたネット上の友人から、その特集が動画としてネット登録されているとのことで、どれほどのものかと視聴してみた。
その特集とは、現行憲法の欠陥である「緊急事態条項がない」という問題に対して、自民党の改憲草案では、その欠陥是正を目的に緊急事態条項が新設されるのだが、それが、あたかも「危険なものだ」との印象操作をする為の特集であった。
本ブログでは、自民党案新設章の第9章:緊急事態の第98条・第99条の両条に対する分析は以下で約1年前に実施済であり、更に、それへの対案提示、自己検証までもを提示済である。
その様な分析・検討プロセスを公開済であることから、ある程度の知見を有していると自負しているが、紹介あった特集を見て感じたのは、案の定の詭弁と印象操作でテレビ視聴者を間違った方向へと誘導する悪質なるものであった。
<タグ「憲法研究」での最初期の分析>
2015/04/03投稿:
14-3 自民党案 新設章「第9章緊急事態」の分析
< http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-69.html >
2015/04/04投稿:
14-4 自民党案 新設章「第9章緊急事態」の分析 その2
< http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-70.html >
件の報道ステーションの「特集」とは2016年3月18日放送の以下の動画のものである。
<
<案の定、削除されたので、巻末に新たに別URLを記載した。2016/03/23>
民放の商用放送の動画なので、削除されるリスクがあると推定されることから、出来るだけ文字起こしをした上で論評する。
紹介された時点で「ワイマール憲法」とのキーワードを聞いていたので、当方の第一印象としては、「例のアレでしょ」であった。視聴した後の今は「案の定の例のアレだったね」である。
歴史を簡単に紹介すると、第一次世界大戦(1914年7月28日から 1918年11月11日)に敗北したドイツ帝国は崩壊した。同大戦のパリ講和会議は戦争翌年の1919年1月18日に始まり、その調印は1919年6月28日に行われた。その最中、ドイツ・ワイマール共和国が1919年2月11日に建国された。
ここで注意が必要なのだが、この「ワイマール共和国」というのは正式国名ではない。
我が国で言えば「鎌倉時代」とかと同じ歴史区分上の名称である。ワイマール共和国時代も正式な国号は帝政時代と同じく、ドイツ国(Deutsches Reich)であり、首都も帝政時代と同じくベルリンである。そして「ワイマール共和国」の憲法が「ワイマール憲法」と言われているのだが、これも通称であり、正式名はドイツ国憲法(Die Verfassung des Deutschen Reichs)であり、1919年8月11日制定・8月14日公布・施行された共和国制憲法である。
このワイマール共和国とワイマール憲法は、後日、ヒトラーが同憲法下選挙で政権交代した後に、憲法自体を変更する立法である「全権委任法」が1933年3月23日に成立し、ワイマール憲法は事実上停止状態となった。その後のナチスドイツの欧州での戦争、ドイツ敗戦は知っての通りである。ターニングポイントとなったのは、立憲主旨を破壊する「全権委任法」の成立なのだが、大学辺りで語られていたのは「普通選挙で選ばれたヒトラーが独裁体制をつくり、その後、戦争を引き起こした」との文脈が主であり、その後に必ず、「一般民衆が選ぶ政治指導者は戦争を引き起こす可能性を否定出来ない」との話がくっついてくるのが通例であった。
当方が大学生だった1970年代中盤という時代は、東西冷戦真っ最中、我が国では自民党長期政権が継続中との時代であり、ワイマール憲法の話からは、暗に「「自由主義・民主主義体制」は戦争危険性がある体制」だと批判し、過激な奴等は「アメリカ帝国主義のベトナム侵略を見よ!」「この国の自民党独裁政権は独占資本主義と結託したアメリカ帝国主義を補完する帝国主義!再び戦禍の中に戻らない為には、危険な政治家を排除した平和勢力の結集が必要だ」とか言葉を変えた共産主義政権への政権交代が必要だと言っていたのである。
「ワイマール憲法(自由民主主義) → ヒットラー → 戦争の惨禍」
との歴史を掲げ「自由民主主義は本当は危険」との刷り込みを行い、「平和勢力(共産主義勢力)の独占(独裁)により世界平和を確保する」との詐欺話へと持っていく論理展開である。要するに「ワイマール憲法」は落語で言うところの「枕」であり、導入部として多用されてきたものである。
従い、最初に「例のアレでしょ」と感じ、報ステの「特集」を見た後も「案の定の例のアレだったね」だったのである。
とは言え今は2016年。枕話・ワイマール憲法も本質は同じだが、後ろにくっつく詐欺話が別バージョンになっていたので、細かく論評する。
報道ステーションの「特集」の動画は最初、ドイツ・ワイマール市の国民劇場前の風景から始まる。そして、ゲーテとシラーの銅像が紹介され、昔ながらの常套句「世界一民主的なワイマール憲法」を古館が叫び始める。
第一次世界大戦後1919年にドイツのワイマール憲法が制定されたのが、この劇場だと紹介し、更に古館はワイマール憲法の紹介を続け、「第1条は国民主権」と話す。
そして、男女平等・思想信条の自由・基本的人権の尊重と続け、その後、「日本国憲法も大きく影響を受けた」との案の定の誘導の台詞を述べる。
ワイマール憲法を導入部に使うこの騙しの話法は、必ず、あたかも「現行憲法とワイマール憲法は同じ」との印象操作である。
我が国は1国1主権の立憲君主制、ワイマール共和国は各州主権連邦制の共和国制であるとの違いがあるのに、そういう学術的比較は一切排除され、あたかも同じとの印象操作が行われるのが儀式であり、その様式美は古館にも受け継がれている。
動画は進み1:27辺りで、ワイマール市国民劇場前の同じ場所の当時のナチス党大会の写真が映し出され、それに続きヒットラーの演説の様子を映し出される。
これも昔ながらの様式美である。
「ワイマール憲法(自由民主主義) → ヒットラー → 戦争の惨禍」
ワイマールときたら、次は必ずヒットラーである(笑)
誤誘導の為の連想ゲームの基礎に続き、古館は今回の「取材」の本論へと入っていく。
○2:02古館:ヒトラーと言うのは、軍やクーデターで独裁を確立した訳じゃありません。合法的に実現した。ワイマール憲法の1つの条文が独裁につながってしまった。
ヒトラーはその後、ワイマール憲法自体を停止させた
ここで、どうやら今回の論旨は「緊急事態」をダシに改憲阻止の印象操作をする気だと気付いた。
○2:35古館:ヒトラー独裁へのいきさつというのを振り返っていくと、日本がそういう風になると到底思わない ただ、今、日本は憲法改正の動きがある。立ち止まって考えなくちゃいけないポイントがあるんです。
案の定である。改憲阻止を目的にした印象操作で間違いない(笑)
「日本がそういう風になるとは思わない」とのエクスキューズを挟みながら、最初に作りあげたインチキイメージである「ワイマール憲法=現行憲法」で話を進めているのがわかる。尚、「日本がそういう風になるとは思わない」との台詞は、この後、何回か登場する。
それはエクスキューズであると同時に一種の煽り文句になっていることに注意が必要だ。
○4:20古館のナチス・ヒットラーの話は続く。
「ヒトラーは言葉を変える」
「独裁~決断できる政治」「戦争の準備=平和と安全の確保」
これなどは悪質な印象操作である。
「決断できる政治」は「独裁」とは違う。何も決断しないで先送りと放置をし続けた鳩山・菅直人の民主党政権は目に余った「決断しない政治」であり、その悪影響は国民を直撃した。決断すべき時に決断する政治でないと国民は不幸になる。民主党・野田政権が決めて法制化した消費税2段階増税の最初の8%化の結果、折角の景気回復が中折れしてしまったのを見て、300議席以上を持ち任期を2年も残していた安倍総理が、次の10%の是非を国民に問うと決断したのは見事であった。内部事情からすれば300議席以上を持ち任期を2年も残す状態での総選挙などなかなか決断できないものだ。
国民も、その真意を理解して、安倍総理を再度圧勝させ、自分自身を救ったのである。
あれなどは「独裁」とは真逆の、国民の信任を問うとの民主主義原則に則った「決断できる政治」そのものであった。
次の「平和と安全の確保」は明らかに「戦争の準備」とは違う。
もっとも、安保法制を「戦争法案」と称してしまうウソツキ野党にとっては同じなのであろうが、既にお気づきの通り、これなどは暗に安倍首相をヒットラーと重ね合わせるとの悪質だが幼稚で陳腐な印象操作である。
共産党の吉良よし子が太鼓に安倍首相の写真を貼り、それにチョビ髭を加筆するとの悪質かつ幼稚で陳腐な印象操作をしていたのと同じである。
動画は、この印象操作を執拗に続ける。
○4:50辺りのテロップを以下に列挙する。
「国民は指導者たちの意のままになる」
「自分たちが外国から攻撃されていると説明するだけでいい」
「平和主義者に対しては愛国心が無く、国家を危険にさらす人々だと批判すればいいだけのことだ。」
「この方法はどこの国でも同じように通用する」
一通り、安倍首相とヒットラーを同一であるかの様な印象操作を続けた後、いよいよ今回の本題に古館は話題を進めていく。
○5:20古館:ワイマール憲法第48条 国家緊急権 を使ってヒトラーは独裁を確立した
「これがポイントです」
「大統領は公共の安全と秩序回復のために必要な措置をとりことができる」
○6:02古館:「この条文がヒトラーに独裁の道を開かせてしまった」
「なんで、そもそも、この条文が入っていたのか?」
「議会制民主主義を信用していなかった」
嘘っぱち旋回の始まりである。(笑)
ここで言う「この条文」とは「ワイマール憲法第48条・国家緊急権」である。
今回の報ステの「特集」の目的は改憲阻止の為に、あたかも「緊急事態条項」が、さも危険なものだという誤解をさせる為のものだ。
そのインチキを解きほぐす為には中身を紹介することが一番だ。
しかし、ネットで「ワイマール憲法第48条」を検索すると以下の条文がヒットする。
世界史用語解説 授業と学習のヒント
ワイマール憲法
http://www.y-history.net/appendix/wh1502-078.html
<ワイマール憲法 第48条>
○ドイツ国内において、公共の安全および秩序に著しい障害が生じ、またはそのおそれがあるときは、ライヒ大統領は、公共の安全および秩序を回復させるために必要な措置をとることができ、必要な場合には、武装兵力を用いて介入することができる。
○この目的のために、ライヒ大統領(ドイツ大統領)は一時的に第114条(人身の自由)、第115条(住居の不可侵)、第117条(信書・郵便・電信電話の秘密)、第118条(意見表明の自由)、第126条(集会の権利)、第124条(結社の権利)、および第153条(所有権の保障)に定められている基本権の全部または一部を停止することができる。
<引用終わり>(と言うか、第48条の前段部分しかヒットしない)
ネットで和訳検索すると全部で5段落あるうちの前半2段落しかヒットしないのである。
仕方がない。古い40年前のメモを引っ張り出すしかない。
時間がかかりそうなので、途中であるが、本日はここまでとする。
項を分けて、続ける。



2016/03/23 題材としていた動画が案の定削除されたので、以下の別URLを紹介する。
https://www.youtube.com/watch?v=3Kw0uuflXdc
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