【コラム】欽定憲法・民定憲法
- 2015/10/18
- 19:16
【コラム】欽定憲法・民定憲法

学校の社会科で憲法について習う時に「明治憲法は欽定憲法・日本国憲法は民定憲法」との定型句を習ったと思う。言い回しや多少の表現の違いはあるだろうが、欽定憲法・民定憲法との対比を習ったと思う。
確かに「明治憲法」と称される大日本帝国憲法は、その成立過程、帝国憲法発布の告文・詔勅・上諭見れば、明治の元勲が熟慮推敲の上、天皇の名で発布されているので、名実ともの欽定憲法であると言える。
一方の「日本国憲法」の成立過程はハーグ陸戦条約違反の占領時主権喪失期に占領軍米国GHQマッカーサーの「強い要請」と称する「命令」で憲法への見識なき素人の草案にて押し付けられたものである。上諭にある様に帝国憲法改正との形式をとり我が国憲法としての連続性は確保しているものの、その実態は占領軍GHQによる押し付けであり、実質は日本国民が制定した「民定」憲法ではない。
「民定憲法」との語句が正しいのならば、「異「民」族が制「定」」した「民定憲法」と解するのが正しい。
実際問題として、我々国民は現行憲法に対して直接的な信任を明示的に行ったことはない。
現行憲法は、占領時主権喪失期の昭和21年・西暦1946年5月16日に第90回帝国議会での審議を経て同年11月3日に公布。翌年の1947年5月3日に施行された。
GWのど真ん中5月3日が祝日なのは、施行日を憲法記念日として祝日化したからである。
さて、この帝国議会なのだが、どの様な選挙で選ばれたのかと言うと以下の日付となっている様に、占領時主権喪失期の「選挙」である。
・1946年 4月10日:第22回衆議院総選挙(帝国議会)
・1946年11月 3日:現行憲法公布
・1947年 4月20日:第1回参議院通常選挙
・1947年 4月25日:第23回衆議院総選挙(国会)
・1946年 5月 3日:現行憲法施行
・1949年 1月23日:第23回衆議院総選挙(国会)施行後初の総選挙
この時系列見て、何故、現行憲法施行前に、現行憲法規定の国会選挙が出来るのか?との疑問を持った方は鋭い。
それらの矛盾は「第11章・補則」の経過規定が公布時から有効とされ、衆議院選挙に準用されたとされ、一応は問題なしとされている。
<現行憲法第11章・補則>
第100条:この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日から、これを施行する。
同第2項 この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。
第101条:この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。
第102条:この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。
第103条:この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。
参議院の規定は明示されており、前述した選挙日程と憲法の公布・施行の時系列に瑕疵はない。一方、衆議院については、第101条で第22回「帝国議会」衆議院総選挙で選ばれた議員は現行憲法「国会」の機能を有するとの規定があり、次に第103条で「但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。」とあり、一見瑕疵はない様に読めるが、第103条には「この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員」と「施行時」であるとの時期限定が書かれており、衆議院総選挙を施行前に出来るのか?との疑問は法文上はすっきりとは解消しない。
しかしながら、歴史事実としては、現行憲法施行後の第24回衆議院総選挙で憲法施行前の第23回衆議院総選挙で選ばれた議員は国会を去っており、今更何も出来ない状態である。
「憲法学者」お得意の法文内容から離れ、歴史事実を述べるならば、1946年1月に「公職追放指令」が出されており、1946年 4月10日の帝国議会選挙は現行憲法制定を承認させるとのGHQの強い意志が働いており、この総選挙で鳩山一郎率いる日本自由党が第一党になるが、鳩山一郎は公職追放指令の対象となり、国会を去っている。
GHQの措置のどこが「人類普遍の原理」「自由のもたらす恵沢」「国政の権力は国民の信託により、国民の代表者が行使する」に合致しているのか?
総て真逆の絶対権力により、GHQが自分達で起草し押し付けた「理念」に反しているではないか。
<現行憲法・GHQ押し付け「前文」の公式和訳引用>
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。(後略)
<引用終わり>
占領軍GHQによる絶対権力の横暴はこれだけではない。
【現行憲法・GHQ押し付け「前文」の公式和訳】及び現行憲法第9条の非武装規定を無視して占領軍GHQマッカーサーは朝鮮戦争勃発に伴い警察予備隊・警備隊を創設し日本の再軍備を開始している。
占領時主権喪失期には、我が国には主権1)統治権も、主権2)国家主権もなく、選挙で選ばれた第一党党首が公職追放された事実から主権3)国民主権もなかったことがわかる。
現行憲法は、一応は形式的には帝国議会での決議を経て、天皇の上諭にて帝国憲法の改訂として公布され、現在に至っているのだが、実質は、占領時主権喪失期、即ち自己決定権がない状態での押し付けであり、我々日本国民の信任を受けているとは到底言えない状態で制定されたものであり、実質は日本国民が制定した「民定」憲法ではない。
「民定憲法」との語句が正しいのならば、「異「民」族が制「定」」した「民定憲法」と解するのが正しい。
学校で習う「欽定憲法・民定憲法」なる対比表現が大間違いであることを理解していただけただろうか?
既に多くの方が現行憲法に貼り付けられている「平和憲法」との呼称が偽看板であることを理解してと思うが、同様「民定憲法」も偽看板であることを理解していただきたい。
今後、改憲論議が進展した場合、これらの偽看板である「平和憲法」「民定憲法」なる語句を肯定的に使用している言説があれば、その内容を疑っていただきたい。
この正当なる疑念を以て、その言説内容を各位が判断して、主権3)を持つ日本人として、正しく判断することが重要だと考えている。
FC2 Blog Ranking 
<文末コマーシャル(笑)>
しきしま会・ボウズPとの晩餐会・憲法放談
YouTube動画。長い動画ですので、お時間がある時にご覧下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=JxbAnnn3CWc
<止揚末節画竜天睛さんの憲法講義>


学校の社会科で憲法について習う時に「明治憲法は欽定憲法・日本国憲法は民定憲法」との定型句を習ったと思う。言い回しや多少の表現の違いはあるだろうが、欽定憲法・民定憲法との対比を習ったと思う。
確かに「明治憲法」と称される大日本帝国憲法は、その成立過程、帝国憲法発布の告文・詔勅・上諭見れば、明治の元勲が熟慮推敲の上、天皇の名で発布されているので、名実ともの欽定憲法であると言える。
一方の「日本国憲法」の成立過程はハーグ陸戦条約違反の占領時主権喪失期に占領軍米国GHQマッカーサーの「強い要請」と称する「命令」で憲法への見識なき素人の草案にて押し付けられたものである。上諭にある様に帝国憲法改正との形式をとり我が国憲法としての連続性は確保しているものの、その実態は占領軍GHQによる押し付けであり、実質は日本国民が制定した「民定」憲法ではない。
「民定憲法」との語句が正しいのならば、「異「民」族が制「定」」した「民定憲法」と解するのが正しい。
実際問題として、我々国民は現行憲法に対して直接的な信任を明示的に行ったことはない。
現行憲法は、占領時主権喪失期の昭和21年・西暦1946年5月16日に第90回帝国議会での審議を経て同年11月3日に公布。翌年の1947年5月3日に施行された。
GWのど真ん中5月3日が祝日なのは、施行日を憲法記念日として祝日化したからである。
さて、この帝国議会なのだが、どの様な選挙で選ばれたのかと言うと以下の日付となっている様に、占領時主権喪失期の「選挙」である。
・1946年 4月10日:第22回衆議院総選挙(帝国議会)
・1946年11月 3日:現行憲法公布
・1947年 4月20日:第1回参議院通常選挙
・1947年 4月25日:第23回衆議院総選挙(国会)
・1946年 5月 3日:現行憲法施行
・1949年 1月23日:第23回衆議院総選挙(国会)施行後初の総選挙
この時系列見て、何故、現行憲法施行前に、現行憲法規定の国会選挙が出来るのか?との疑問を持った方は鋭い。
それらの矛盾は「第11章・補則」の経過規定が公布時から有効とされ、衆議院選挙に準用されたとされ、一応は問題なしとされている。
<現行憲法第11章・補則>
第100条:この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日から、これを施行する。
同第2項 この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。
第101条:この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。
第102条:この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。
第103条:この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。
参議院の規定は明示されており、前述した選挙日程と憲法の公布・施行の時系列に瑕疵はない。一方、衆議院については、第101条で第22回「帝国議会」衆議院総選挙で選ばれた議員は現行憲法「国会」の機能を有するとの規定があり、次に第103条で「但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。」とあり、一見瑕疵はない様に読めるが、第103条には「この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員」と「施行時」であるとの時期限定が書かれており、衆議院総選挙を施行前に出来るのか?との疑問は法文上はすっきりとは解消しない。
しかしながら、歴史事実としては、現行憲法施行後の第24回衆議院総選挙で憲法施行前の第23回衆議院総選挙で選ばれた議員は国会を去っており、今更何も出来ない状態である。
「憲法学者」お得意の法文内容から離れ、歴史事実を述べるならば、1946年1月に「公職追放指令」が出されており、1946年 4月10日の帝国議会選挙は現行憲法制定を承認させるとのGHQの強い意志が働いており、この総選挙で鳩山一郎率いる日本自由党が第一党になるが、鳩山一郎は公職追放指令の対象となり、国会を去っている。
GHQの措置のどこが「人類普遍の原理」「自由のもたらす恵沢」「国政の権力は国民の信託により、国民の代表者が行使する」に合致しているのか?
総て真逆の絶対権力により、GHQが自分達で起草し押し付けた「理念」に反しているではないか。
<現行憲法・GHQ押し付け「前文」の公式和訳引用>
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。(後略)
<引用終わり>
占領軍GHQによる絶対権力の横暴はこれだけではない。
【現行憲法・GHQ押し付け「前文」の公式和訳】及び現行憲法第9条の非武装規定を無視して占領軍GHQマッカーサーは朝鮮戦争勃発に伴い警察予備隊・警備隊を創設し日本の再軍備を開始している。
占領時主権喪失期には、我が国には主権1)統治権も、主権2)国家主権もなく、選挙で選ばれた第一党党首が公職追放された事実から主権3)国民主権もなかったことがわかる。
現行憲法は、一応は形式的には帝国議会での決議を経て、天皇の上諭にて帝国憲法の改訂として公布され、現在に至っているのだが、実質は、占領時主権喪失期、即ち自己決定権がない状態での押し付けであり、我々日本国民の信任を受けているとは到底言えない状態で制定されたものであり、実質は日本国民が制定した「民定」憲法ではない。
「民定憲法」との語句が正しいのならば、「異「民」族が制「定」」した「民定憲法」と解するのが正しい。
学校で習う「欽定憲法・民定憲法」なる対比表現が大間違いであることを理解していただけただろうか?
既に多くの方が現行憲法に貼り付けられている「平和憲法」との呼称が偽看板であることを理解してと思うが、同様「民定憲法」も偽看板であることを理解していただきたい。
今後、改憲論議が進展した場合、これらの偽看板である「平和憲法」「民定憲法」なる語句を肯定的に使用している言説があれば、その内容を疑っていただきたい。
この正当なる疑念を以て、その言説内容を各位が判断して、主権3)を持つ日本人として、正しく判断することが重要だと考えている。



<文末コマーシャル(笑)>
しきしま会・ボウズPとの晩餐会・憲法放談
YouTube動画。長い動画ですので、お時間がある時にご覧下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=JxbAnnn3CWc
<止揚末節画竜天睛さんの憲法講義>
スポンサーサイト