元朝日新聞記者の無責任言説・「起こっていない」との強弁
- 2023/06/06
- 20:43
元朝日新聞記者の無責任言説・「起こっていない」との強弁
副題:リスクが存在しているのに、それでは都合が悪い元朝日新聞記者は「日本が侵攻されていない」とのすり替えで牽強付会。
今回の題材は、まとめブログ「正義の見方」で見つけた元朝日新聞記者の相変わらずの詭弁である。(*1)
同ブログの当該スレッドの表題は「◆【サヨクの極み】Q「日本が攻められたらどうする?」→元朝日記者の衝撃回答が話題にwwwwwwwww」であり、沢山の草がはえているものである。
元朝日新聞記者が何を言っているのかと言うと、「戦争なんか起きない」「起きる事を前提に考えるな」「「万が一起きたとしたら?」などと考えるのは不健全だ」という、昔からある相変わらずの【自分達の主張に不都合な現実を否定する牽強付会】の言い切りでしかない。
児戯に等しいことを声高に述べているだけの低劣な言説なのだが、「元朝日新聞記者」との、あっち側の「ブランド」で、この程度の言説が流通しているのが現実だ。
困ったものである。
元朝日新聞記者は、憲法記念日がある5月に、幾つかの後援会で講師を務めた様で、以下の様に、後援会主催者からの悩みを聞いており、それに対して、論理的根拠を提示するのではなく、勢いでのアジテーションをせよと「回答」しているものである。
↓
<冒頭部分を抜粋引用開始>
○5月はあちこちで平和と憲法9条の講演をしてきました。気になったのは、講演会の主催者自身が心に抱いている不安です。ロシアのウクライナ侵攻以来、「日本が攻められたらどうする?」と言われて反論できないでいる・・・という方が、護憲を主張する中にもかなりいらっしゃいます。立ち止まって冷静に考えましょう。この問いは誘導尋問ですよ。
<引用一旦終わり>
この「講演会の主催者」の疑問は真っ当である。
従前、所謂「護憲派」の非武装論者の主張は「戦争を始めるのは日本」であるとの日本悪玉論を主張し、「平和を守る為には日本を武装させなければよい」との濡れ衣・冤罪論を延々と述べてきた。これは、現行憲法の前文に残っており、それを起草したマッカーサーGHQにより創作された物語である。この物語に沿って実施されたのが「東京裁判」との茶番復讐劇であるが、それについて論じるとえらく長くなるので、今回は、そういう指摘だけとする。
隣国ロシアが同国の西端部分で隣国ウクライナに武力侵攻したのだから、ロシアと東端と接する我が国が武力侵攻されるリスクを想起するのは当然のことである。
従前は、「日本が侵攻する」との物語が「前提」だった「平和教育」とは異なり、「○○が日本へ攻めてくる可能性」の話が現実世界で起こってしまったので、現実的問題に向き合う立場になってしまい、困惑しているのであろう。
しかし、現実に向き合えたことは、むしろ歓迎すべきことだ。
リスクが存在しており、そのリスクを放置することの危険性に気が付いたのである。
この様な、ある意味切実な悩みを、この元朝日記者は真摯に受け止めず、相談者を叱責しているのである。
↓
<続きを引用>
○いいですか?「攻められたら」と言われると、人間はとっさに今、具体的に攻められている状況を想定します。「逃げる」「非暴力での抵抗」という選択もありますが、すぐに思い浮かぶのは「戦う」姿です。すると「戦うには武器が必要だ」となり、「そのためには今から戦の準備をしなければならない」と思ってしまう。思考回路が一直線に軍拡に走ってしまう仕掛けです。
○でも、現実には、今はまだ日本はどこからも攻められていないのですよ。ならば「攻められないような平和な状況を今のうちに創り出す」という穏やかな選択肢がまず考えられるべきです。
<引用終わり>
2つの段落のうち、実は後段の話は「正解」なのだが、その前提として提示されている前段の話が全く違う。
後段で示されている「今はまだ日本はどこからも攻められていない」は事実である。
そして、最大のポイントはそういう状態、即ち「未然に武力侵攻を防止する」策が効果を発揮しているとのが現状である。安倍政権下で実施された日米安保強化、自衛力強化、安全保障関係法制度の法的未整備状態の解消、日英センリャクパートナーシップの構築、日米印豪クアッドの創成、NATOとの関係強化等々は、総て「攻められないような状況を創り出す」為の政策・外交である。(*2)
ところが、そういう現実を認めたくない元朝日新聞記者は、昔ながらの物語をベースにした「反軍事」の話を先にしており、「軍拡反対」なる定型句を述べている。
現実は、この元朝日記者が言う「軍拡」という名のバランス維持策で「平和な状況」を維持しているものであり、そういう意味からも前段の話はナンセンスである。
地政学的定説では【地域の軍事バランスが壊れた時に、その地域では武力事態が発生する】。
過去数十年間もの長きにわたり、中国は二桁パーセントの軍拡を続け、我が国周辺地域の軍事バランスが崩れかけている。
その中国に対して、我が国は「失われた30年」もの間、経済成長は停滞し、その間も「対GDP比1%」との岩盤規制(*3)を続けた結果、東アジア地域の軍事バランスは中国優位へと変遷している。、
↓
<中国の軍事費増加実績のグラフ>
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2018/image/zuhyo01020301.gif
この様な現実に気が付いた「講演会主催者」に対して元朝日新聞記者は何等の説明も出来おず、ただただ説得力を喪失した従前の「物語」を繰り返すだけである。
リスクが存在していることは間違いないのだが、それでは都合が悪い元朝日新聞記者は「日本が侵攻されるリスクなんかない」という強弁をしている。
どの様な言い方なのかと言うと、目前で起きているウクライナ情勢に対して、「ウクライナはロシアに攻められるだけの理由があった」と言っているのである。
「ウクライナは攻め込まれるだけのリスクがあったのだから仕方がない」という言い方である。
↓
<抜粋引用開始>
○ロシアがウクライナを攻めた背景には、何年にもわたる具体的な両国の敵対関係がありました。ウクライナの領土内でウクライナ政府とロシア系住民との内戦状態があり、2014年にはクリミア半島をロシアが力ずくで奪うなど、すでに戦闘状態があったのです。その延長でロシアは全面侵攻したのです。何もないところから突然、戦争が始まったのではありません。
<引用終わり>
随分な言い方だと思う。
「何年にもわたる具体的な両国の敵対関係がありました」などと言っているが、ならば、中国当局による尖閣諸島領海侵犯などの「具体的敵対関係」が存在していることは、この元朝日記者にとっては、どういう意味をもつのであろうか?との疑問が瞬時に想起される。
「その延長でロシアは全面侵攻したのです」と言っているのだが、そうならば、中国が尖閣の領海侵犯を繰り返すことの「延長で尖閣に上陸してくる」とか、先の台湾島を巡る中国海軍の「演習」の際に、我が国EEZ内に弾道ミサイルを着弾させた行為の「延長」で我が国に対して武力行使をしてくるとかのリスクが存在していることに他ならないのだが、この人物は、そういう事に無頓着で、何も考えていない様である。
「ウクライナは侵攻されたが日本は侵攻されない」という理由は何等提示されることなく、言い切りは続く。
多分、これは無意識的に「攻められる様な「相手の嫌がること」をするな」という昔ながらの「日本無抵抗論」が根っこにある話だと思う。
リスクがあるのか否か?
リスクがあるのだったら、その強度・発生確率はどの程度なのか?
そういうリスク分析・リスク評価を通じて、どの様なリスク対策をするのかを考えるのが合理的な思考である。(*4)
こういうリスク・マネジメント思考で考えると、この元朝日記者は最悪のことをしていることが分かる。
何が最悪かと言うと、存在しているリスクに対して「そんなものはない」と言ってしまい、リスクの対応はおろか、その存在さえも否定している点にある。
リスク・マネジメントの最初期は「リスクの有無」を判断する「リスク認知」段階である。
そして、「リスクあり」とされた場合に行われるのが、リスクの強度とリスク発生確率の評価である。
今回の事例での「リスクの有無」は、「我が国が、ウクライナの様に武力侵略されるリスク」があるのかないのか」である。
そして、それが発生した場合の「強度」=被害内容がどの程度なのかの評価と「発生確率」=どの程度の発生可能性があるのかの評価となる。
よく例示されるのが「隕石が落下した場合の強度と確率」である。
隕石落下はアニメ映画「君の名は」で描かれている様に「強度」で言えば、相当の被害が発生することが見込まれており、強度評価としては「高」である。
一方、その発生確率は、実生活上は無視してもよいレベルで限りなくゼロに近い。
この場合、「強度「高」」×「0%」≒ 0 なので、特段のリスク対策は不要であると言える。
(とは言え、恐竜絶命との先例がある地球規模で被害が出る大強度の大型隕石に対しては、監視体制は構築されている様である。)
話を戻す。
今回の事例での「我が国が、ウクライナの様に武力侵略されるリスク」があるのかないのか」は、強度で言えば「起こってしまったら大変な事になる」の「高」であり、確率で言えば、低く見積もっても「あり得る」「可能性がない訳ではない」「ゼロではない」という程度になろう。
要するに、何等かのリスク対策をする必要があるリスクに該当するのだが、この元朝日記者は「侵攻されてない」とだけ強弁し、リスクの存在に言及させない、リスクの存在を否定しているものである。
リスクの有無の段階で「リスクはない」との言い切りをしているのだから、リスク分析も否定しており、ましてやリスク対策など議論するなと言っているものである。
発生してしまったら少なくない日本人が犠牲になる可能性があるのだから、国民の命、平和・安寧の確保に責任を持つ政府が安倍首相だった時代に、リスク対策を実行し、その流れは現在も続いており、防衛費の上限であった「対GDP比1%」の呪縛から脱却し、我が国と同等と思われる国々が採用している「NATO基準」である2%を採用している。
これら対策に通底しているのは、上述した「武力事態の発生を未然に防止する」との姿勢=抑止力整備であり、これが実際の動きである。
元朝日新聞記者の無責任さには呆れるばかりである。
今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1):今回の題材は、まとめブログ「正義の見方」で見つけた元朝日新聞記者の相変わらずの詭弁である。
↓
まとめブログ「正義の見方」 2023/06/03(土) 15:32:36.25
表題:◆【サヨクの極み】Q「日本が攻められたらどうする?」→元朝日記者の衝撃回答が話題にwwwwwwwww
https://www.honmotakeshi.com/archives/%e3%80%90%e3%82%b5%e3%83%a8%e3%82%af%e3%81%ae%e6%a5%b5%e3%81%bf%e3%80%91q%e3%80%8c%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%8c%e6%94%bb%e3%82%81%e3%82%89%e3%82%8c%e3%81%9f%e3%82%89%e3%81%a9%e3%81%86%e3%81%99%e3%82%8b.html
「攻められたらどうする?」は誘導尋問だ!?ジャーナリスト伊藤千尋さんの答え
(抜粋)
「攻められたらどうする?」と質問されたら、「今は攻められていないのだよ」という前提をまず相手に認識させましょう。そのうえで「あなたはそんなに戦争をしたいのか?日本の若者を死に追いやりたいのか?」「その前にやれることがあるだろう。どうしてそこを考えずに殺し合いに走るのか。頭を冷やせ!」と一喝してやりましょう。
(リンク先全文参照)
http://www.labornetjp.org/news/2023/0601ito
↓
<リンク先全文引用>
レイバーネット Last modified on 2023-06-01 11:20:11
見出し:◆「攻められたらどうする?」は誘導尋問だ!〜ジャーナリスト伊藤千尋さんの答え
記事:○5月はあちこちで平和と憲法9条の講演をしてきました。気になったのは、講演会の主催者自身が心に抱いている不安です。ロシアのウクライナ侵攻以来、「日本が攻められたらどうする?」と言われて反論できないでいる・・・という方が、護憲を主張する中にもかなりいらっしゃいます。立ち止まって冷静に考えましょう。この問いは誘導尋問ですよ。
○いいですか?「攻められたら」と言われると、人間はとっさに今、具体的に攻められている状況を想定します。「逃げる」「非暴力での抵抗」という選択もありますが、すぐに思い浮かぶのは「戦う」姿です。すると「戦うには武器が必要だ」となり、「そのためには今から戦の準備をしなければならない」と思ってしまう。思考回路が一直線に軍拡に走ってしまう仕掛けです。
○でも、現実には、今はまだ日本はどこからも攻められていないのですよ。ならば「攻められないような平和な状況を今のうちに創り出す」という穏やかな選択肢がまず考えられるべきです。
○ロシアがウクライナを攻めた背景には、何年にもわたる具体的な両国の敵対関係がありました。ウクライナの領土内でウクライナ政府とロシア系住民との内戦状態があり、2014年にはクリミア半島をロシアが力ずくで奪うなど、すでに戦闘状態があったのです。その延長でロシアは全面侵攻したのです。何もないところから突然、戦争が始まったのではありません。
○戦争は勝った方にも負けた方にも甚大な被害をもたらします。ただ単に国の仲が悪いというくらいでは、戦争にまでは発展しません。「嫌中」や「嫌韓」の感情が日本の中にあるからといって、直ちに中国や韓国との戦争には結びつくものではないのです。職場や学校のクラスで嫌いな人がいるからといっても、口喧嘩はしてもいきなり殺し合いまではしないでしょう。身近にひきつければわかることです。国家関係という抽象的な問題だから、ついつい単純な判断を下しがちになるのです。
○「攻められたらどうする?」と質問されたら、「今は攻められていないのだよ」という前提をまず相手に認識させましょう。そのうえで「あなたはそんなに戦争をしたいのか?日本の若者を死に追いやりたいのか?」「その前にやれることがあるだろう。どうしてそこを考えずに殺し合いに走るのか。頭を冷やせ!」と一喝してやりましょう。
○「中国の習近平やミサイルを飛ばす北朝鮮を見ると、あいつら何をするかわからない」・・・という人もいます。しかし、同じように中国や北朝鮮から見たら「岸田政権は九州の南に広がる南西諸島をここ数年ですべてミサイル基地に変えてしまった。日本は戦争を仕掛けようとしている」と見られますよ。
○こんなお互いが抱く疑心暗鬼が高じて戦争を呼び込んだのが、かつての歴史でした。火に油を注げば大火事になります。火は消すものです。いや、火が出そうな段階で察知して火元を止めるものです。歴史はテストのために学ぶものではありません。現実の政治に活かすために学ぶものです。(伊藤千尋さんのFBより)
<引用終わり>
(*2):「今はまだ日本はどこからも攻められていない」は事実である。そして、最大のポイントはそういう状態、即ち「未然に武力侵攻を防止する」策が効果を発揮しているとのが現状である。安倍政権下で実施された日米安保強化、自衛力強化、安全保障関係法制度の法的未整備状態の解消、日英センリャクパートナーシップの構築、日米印豪クアッドの創成、NATOとの関係強化等々は、総て「攻められないような状況を創り出す」為の政策・外交である。
↓
2020/09/17投稿:
国家安全保障政策に関する安倍首相談話・果敢な戦略家安倍普三(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1422.html
2020/09/22投稿:
国家安全保障政策に関する安倍首相談話・果敢な戦略家安倍普三(中編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1423.html
2020/09/26投稿:
国家安全保障政策に関する安倍首相談話・果敢な戦略家安倍普三(後編)Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1424.html
(*3):
我が国は「失われた30年」もの間、経済成長は停滞し、その間も「対GDP比1%」との岩盤規制を続けた。
↓
2017/07/17投稿:
国民の平和と安寧を阻害している岩盤規制
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-714.html
(*4):リスクがあるのか否か?リスクがあるのだったら、その強度・発生確率はどの程度なのか?そういうリスク分析・リスク評価を通じて、どの様なリスク対策をするのかを考えるのが合理的な思考である。
↓
2017/04/19投稿:
リスクマネジメント
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-651.html
2019/11/09投稿:
首里城焼失・リスクマネジメント2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1281.html
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副題:リスクが存在しているのに、それでは都合が悪い元朝日新聞記者は「日本が侵攻されていない」とのすり替えで牽強付会。
今回の題材は、まとめブログ「正義の見方」で見つけた元朝日新聞記者の相変わらずの詭弁である。(*1)
同ブログの当該スレッドの表題は「◆【サヨクの極み】Q「日本が攻められたらどうする?」→元朝日記者の衝撃回答が話題にwwwwwwwww」であり、沢山の草がはえているものである。
元朝日新聞記者が何を言っているのかと言うと、「戦争なんか起きない」「起きる事を前提に考えるな」「「万が一起きたとしたら?」などと考えるのは不健全だ」という、昔からある相変わらずの【自分達の主張に不都合な現実を否定する牽強付会】の言い切りでしかない。
児戯に等しいことを声高に述べているだけの低劣な言説なのだが、「元朝日新聞記者」との、あっち側の「ブランド」で、この程度の言説が流通しているのが現実だ。
困ったものである。
現場の人達に授けるべきは論理的根拠・勢いだけのごまかしは無意味
元朝日新聞記者は、憲法記念日がある5月に、幾つかの後援会で講師を務めた様で、以下の様に、後援会主催者からの悩みを聞いており、それに対して、論理的根拠を提示するのではなく、勢いでのアジテーションをせよと「回答」しているものである。
↓
<冒頭部分を抜粋引用開始>
○5月はあちこちで平和と憲法9条の講演をしてきました。気になったのは、講演会の主催者自身が心に抱いている不安です。ロシアのウクライナ侵攻以来、「日本が攻められたらどうする?」と言われて反論できないでいる・・・という方が、護憲を主張する中にもかなりいらっしゃいます。立ち止まって冷静に考えましょう。この問いは誘導尋問ですよ。
<引用一旦終わり>
この「講演会の主催者」の疑問は真っ当である。
従前、所謂「護憲派」の非武装論者の主張は「戦争を始めるのは日本」であるとの日本悪玉論を主張し、「平和を守る為には日本を武装させなければよい」との濡れ衣・冤罪論を延々と述べてきた。これは、現行憲法の前文に残っており、それを起草したマッカーサーGHQにより創作された物語である。この物語に沿って実施されたのが「東京裁判」との茶番復讐劇であるが、それについて論じるとえらく長くなるので、今回は、そういう指摘だけとする。
隣国ロシアが同国の西端部分で隣国ウクライナに武力侵攻したのだから、ロシアと東端と接する我が国が武力侵攻されるリスクを想起するのは当然のことである。
従前は、「日本が侵攻する」との物語が「前提」だった「平和教育」とは異なり、「○○が日本へ攻めてくる可能性」の話が現実世界で起こってしまったので、現実的問題に向き合う立場になってしまい、困惑しているのであろう。
しかし、現実に向き合えたことは、むしろ歓迎すべきことだ。
リスクが存在しており、そのリスクを放置することの危険性に気が付いたのである。
この様な、ある意味切実な悩みを、この元朝日記者は真摯に受け止めず、相談者を叱責しているのである。
↓
<続きを引用>
○いいですか?「攻められたら」と言われると、人間はとっさに今、具体的に攻められている状況を想定します。「逃げる」「非暴力での抵抗」という選択もありますが、すぐに思い浮かぶのは「戦う」姿です。すると「戦うには武器が必要だ」となり、「そのためには今から戦の準備をしなければならない」と思ってしまう。思考回路が一直線に軍拡に走ってしまう仕掛けです。
○でも、現実には、今はまだ日本はどこからも攻められていないのですよ。ならば「攻められないような平和な状況を今のうちに創り出す」という穏やかな選択肢がまず考えられるべきです。
<引用終わり>
2つの段落のうち、実は後段の話は「正解」なのだが、その前提として提示されている前段の話が全く違う。
後段で示されている「今はまだ日本はどこからも攻められていない」は事実である。
そして、最大のポイントはそういう状態、即ち「未然に武力侵攻を防止する」策が効果を発揮しているとのが現状である。安倍政権下で実施された日米安保強化、自衛力強化、安全保障関係法制度の法的未整備状態の解消、日英センリャクパートナーシップの構築、日米印豪クアッドの創成、NATOとの関係強化等々は、総て「攻められないような状況を創り出す」為の政策・外交である。(*2)
ところが、そういう現実を認めたくない元朝日新聞記者は、昔ながらの物語をベースにした「反軍事」の話を先にしており、「軍拡反対」なる定型句を述べている。
現実は、この元朝日記者が言う「軍拡」という名のバランス維持策で「平和な状況」を維持しているものであり、そういう意味からも前段の話はナンセンスである。
地政学的定説では【地域の軍事バランスが壊れた時に、その地域では武力事態が発生する】。
過去数十年間もの長きにわたり、中国は二桁パーセントの軍拡を続け、我が国周辺地域の軍事バランスが崩れかけている。
その中国に対して、我が国は「失われた30年」もの間、経済成長は停滞し、その間も「対GDP比1%」との岩盤規制(*3)を続けた結果、東アジア地域の軍事バランスは中国優位へと変遷している。、
↓
<中国の軍事費増加実績のグラフ>
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2018/image/zuhyo01020301.gif
この様な現実に気が付いた「講演会主催者」に対して元朝日新聞記者は何等の説明も出来おず、ただただ説得力を喪失した従前の「物語」を繰り返すだけである。
リスク対策をさせたくないので、リスクが存在しないかの様な詭弁を述べる元朝日記者
リスクが存在していることは間違いないのだが、それでは都合が悪い元朝日新聞記者は「日本が侵攻されるリスクなんかない」という強弁をしている。
どの様な言い方なのかと言うと、目前で起きているウクライナ情勢に対して、「ウクライナはロシアに攻められるだけの理由があった」と言っているのである。
「ウクライナは攻め込まれるだけのリスクがあったのだから仕方がない」という言い方である。
↓
<抜粋引用開始>
○ロシアがウクライナを攻めた背景には、何年にもわたる具体的な両国の敵対関係がありました。ウクライナの領土内でウクライナ政府とロシア系住民との内戦状態があり、2014年にはクリミア半島をロシアが力ずくで奪うなど、すでに戦闘状態があったのです。その延長でロシアは全面侵攻したのです。何もないところから突然、戦争が始まったのではありません。
<引用終わり>
随分な言い方だと思う。
「何年にもわたる具体的な両国の敵対関係がありました」などと言っているが、ならば、中国当局による尖閣諸島領海侵犯などの「具体的敵対関係」が存在していることは、この元朝日記者にとっては、どういう意味をもつのであろうか?との疑問が瞬時に想起される。
「その延長でロシアは全面侵攻したのです」と言っているのだが、そうならば、中国が尖閣の領海侵犯を繰り返すことの「延長で尖閣に上陸してくる」とか、先の台湾島を巡る中国海軍の「演習」の際に、我が国EEZ内に弾道ミサイルを着弾させた行為の「延長」で我が国に対して武力行使をしてくるとかのリスクが存在していることに他ならないのだが、この人物は、そういう事に無頓着で、何も考えていない様である。
「ウクライナは侵攻されたが日本は侵攻されない」という理由は何等提示されることなく、言い切りは続く。
多分、これは無意識的に「攻められる様な「相手の嫌がること」をするな」という昔ながらの「日本無抵抗論」が根っこにある話だと思う。
リスクがあるのか否か?
リスクがあるのだったら、その強度・発生確率はどの程度なのか?
そういうリスク分析・リスク評価を通じて、どの様なリスク対策をするのかを考えるのが合理的な思考である。(*4)
こういうリスク・マネジメント思考で考えると、この元朝日記者は最悪のことをしていることが分かる。
何が最悪かと言うと、存在しているリスクに対して「そんなものはない」と言ってしまい、リスクの対応はおろか、その存在さえも否定している点にある。
リスク対策をさせない無責任
リスク・マネジメントの最初期は「リスクの有無」を判断する「リスク認知」段階である。
そして、「リスクあり」とされた場合に行われるのが、リスクの強度とリスク発生確率の評価である。
今回の事例での「リスクの有無」は、「我が国が、ウクライナの様に武力侵略されるリスク」があるのかないのか」である。
そして、それが発生した場合の「強度」=被害内容がどの程度なのかの評価と「発生確率」=どの程度の発生可能性があるのかの評価となる。
よく例示されるのが「隕石が落下した場合の強度と確率」である。
隕石落下はアニメ映画「君の名は」で描かれている様に「強度」で言えば、相当の被害が発生することが見込まれており、強度評価としては「高」である。
一方、その発生確率は、実生活上は無視してもよいレベルで限りなくゼロに近い。
この場合、「強度「高」」×「0%」≒ 0 なので、特段のリスク対策は不要であると言える。
(とは言え、恐竜絶命との先例がある地球規模で被害が出る大強度の大型隕石に対しては、監視体制は構築されている様である。)
話を戻す。
今回の事例での「我が国が、ウクライナの様に武力侵略されるリスク」があるのかないのか」は、強度で言えば「起こってしまったら大変な事になる」の「高」であり、確率で言えば、低く見積もっても「あり得る」「可能性がない訳ではない」「ゼロではない」という程度になろう。
要するに、何等かのリスク対策をする必要があるリスクに該当するのだが、この元朝日記者は「侵攻されてない」とだけ強弁し、リスクの存在に言及させない、リスクの存在を否定しているものである。
リスクの有無の段階で「リスクはない」との言い切りをしているのだから、リスク分析も否定しており、ましてやリスク対策など議論するなと言っているものである。
発生してしまったら少なくない日本人が犠牲になる可能性があるのだから、国民の命、平和・安寧の確保に責任を持つ政府が安倍首相だった時代に、リスク対策を実行し、その流れは現在も続いており、防衛費の上限であった「対GDP比1%」の呪縛から脱却し、我が国と同等と思われる国々が採用している「NATO基準」である2%を採用している。
これら対策に通底しているのは、上述した「武力事態の発生を未然に防止する」との姿勢=抑止力整備であり、これが実際の動きである。
元朝日新聞記者の無責任さには呆れるばかりである。
今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1):今回の題材は、まとめブログ「正義の見方」で見つけた元朝日新聞記者の相変わらずの詭弁である。
↓
まとめブログ「正義の見方」 2023/06/03(土) 15:32:36.25
表題:◆【サヨクの極み】Q「日本が攻められたらどうする?」→元朝日記者の衝撃回答が話題にwwwwwwwww
https://www.honmotakeshi.com/archives/%e3%80%90%e3%82%b5%e3%83%a8%e3%82%af%e3%81%ae%e6%a5%b5%e3%81%bf%e3%80%91q%e3%80%8c%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%8c%e6%94%bb%e3%82%81%e3%82%89%e3%82%8c%e3%81%9f%e3%82%89%e3%81%a9%e3%81%86%e3%81%99%e3%82%8b.html
「攻められたらどうする?」は誘導尋問だ!?ジャーナリスト伊藤千尋さんの答え
(抜粋)
「攻められたらどうする?」と質問されたら、「今は攻められていないのだよ」という前提をまず相手に認識させましょう。そのうえで「あなたはそんなに戦争をしたいのか?日本の若者を死に追いやりたいのか?」「その前にやれることがあるだろう。どうしてそこを考えずに殺し合いに走るのか。頭を冷やせ!」と一喝してやりましょう。
(リンク先全文参照)
http://www.labornetjp.org/news/2023/0601ito
↓
<リンク先全文引用>
レイバーネット Last modified on 2023-06-01 11:20:11
見出し:◆「攻められたらどうする?」は誘導尋問だ!〜ジャーナリスト伊藤千尋さんの答え
記事:○5月はあちこちで平和と憲法9条の講演をしてきました。気になったのは、講演会の主催者自身が心に抱いている不安です。ロシアのウクライナ侵攻以来、「日本が攻められたらどうする?」と言われて反論できないでいる・・・という方が、護憲を主張する中にもかなりいらっしゃいます。立ち止まって冷静に考えましょう。この問いは誘導尋問ですよ。
○いいですか?「攻められたら」と言われると、人間はとっさに今、具体的に攻められている状況を想定します。「逃げる」「非暴力での抵抗」という選択もありますが、すぐに思い浮かぶのは「戦う」姿です。すると「戦うには武器が必要だ」となり、「そのためには今から戦の準備をしなければならない」と思ってしまう。思考回路が一直線に軍拡に走ってしまう仕掛けです。
○でも、現実には、今はまだ日本はどこからも攻められていないのですよ。ならば「攻められないような平和な状況を今のうちに創り出す」という穏やかな選択肢がまず考えられるべきです。
○ロシアがウクライナを攻めた背景には、何年にもわたる具体的な両国の敵対関係がありました。ウクライナの領土内でウクライナ政府とロシア系住民との内戦状態があり、2014年にはクリミア半島をロシアが力ずくで奪うなど、すでに戦闘状態があったのです。その延長でロシアは全面侵攻したのです。何もないところから突然、戦争が始まったのではありません。
○戦争は勝った方にも負けた方にも甚大な被害をもたらします。ただ単に国の仲が悪いというくらいでは、戦争にまでは発展しません。「嫌中」や「嫌韓」の感情が日本の中にあるからといって、直ちに中国や韓国との戦争には結びつくものではないのです。職場や学校のクラスで嫌いな人がいるからといっても、口喧嘩はしてもいきなり殺し合いまではしないでしょう。身近にひきつければわかることです。国家関係という抽象的な問題だから、ついつい単純な判断を下しがちになるのです。
○「攻められたらどうする?」と質問されたら、「今は攻められていないのだよ」という前提をまず相手に認識させましょう。そのうえで「あなたはそんなに戦争をしたいのか?日本の若者を死に追いやりたいのか?」「その前にやれることがあるだろう。どうしてそこを考えずに殺し合いに走るのか。頭を冷やせ!」と一喝してやりましょう。
○「中国の習近平やミサイルを飛ばす北朝鮮を見ると、あいつら何をするかわからない」・・・という人もいます。しかし、同じように中国や北朝鮮から見たら「岸田政権は九州の南に広がる南西諸島をここ数年ですべてミサイル基地に変えてしまった。日本は戦争を仕掛けようとしている」と見られますよ。
○こんなお互いが抱く疑心暗鬼が高じて戦争を呼び込んだのが、かつての歴史でした。火に油を注げば大火事になります。火は消すものです。いや、火が出そうな段階で察知して火元を止めるものです。歴史はテストのために学ぶものではありません。現実の政治に活かすために学ぶものです。(伊藤千尋さんのFBより)
<引用終わり>
(*2):「今はまだ日本はどこからも攻められていない」は事実である。そして、最大のポイントはそういう状態、即ち「未然に武力侵攻を防止する」策が効果を発揮しているとのが現状である。安倍政権下で実施された日米安保強化、自衛力強化、安全保障関係法制度の法的未整備状態の解消、日英センリャクパートナーシップの構築、日米印豪クアッドの創成、NATOとの関係強化等々は、総て「攻められないような状況を創り出す」為の政策・外交である。
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2020/09/17投稿:
国家安全保障政策に関する安倍首相談話・果敢な戦略家安倍普三(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1422.html
2020/09/22投稿:
国家安全保障政策に関する安倍首相談話・果敢な戦略家安倍普三(中編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1423.html
2020/09/26投稿:
国家安全保障政策に関する安倍首相談話・果敢な戦略家安倍普三(後編)Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1424.html
(*3):
我が国は「失われた30年」もの間、経済成長は停滞し、その間も「対GDP比1%」との岩盤規制を続けた。
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2017/07/17投稿:
国民の平和と安寧を阻害している岩盤規制
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-714.html
(*4):リスクがあるのか否か?リスクがあるのだったら、その強度・発生確率はどの程度なのか?そういうリスク分析・リスク評価を通じて、どの様なリスク対策をするのかを考えるのが合理的な思考である。
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2017/04/19投稿:
リスクマネジメント
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-651.html
2019/11/09投稿:
首里城焼失・リスクマネジメント2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1281.html
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