長谷部が今度は参院・憲法審査会でまたもや暴論を述べている件
- 2023/06/03
- 21:24
長谷部が今度は参院・憲法審査会でまたもや暴論を述べている件
副題:長谷部恭男は、今度は参院・憲法審査会で憲法の明示規定を無視するとの学者とは思えない暴論を前回の衆院・憲法審査会に続き、またもや国会で述べている。
長谷部が、今度は参院・憲法審査会で憲法の明示規定を無視する暴論をまたもや述べている。(*1)
長谷部の暴論とは、現行憲法第54条の明示規定である「参議院の緊急集会の期限70日」を無視しているところである。
↓
<現行憲法第54条>
第54条:衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
同第2項 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
同第3項 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
<引用終わり>
第54条は3項からなる条文で構成されており、第1項は「議会不在期間の最小化」が目的の条文だ。
我が国は議院内閣制の政体であり、長い期間にわたり議会不在の状態が続くのは相応しくないので、衆議院が解散された場合は40日以内の総選挙実施+選挙後30日以内の合計70日以内の議会不在状態を解消しなさいという主旨の条文である。
次の第2項は、この70日間の衆議院不在期間中に「国に緊急の必要がある」事態が発生した場合、内閣は同時閉会中の参議院に対して、国会を開く為に「緊急集会」との名目でそれを「求める」ことが出来るとの規定である。
尚、第3項は、緊急集会で決まった各種の措置に対しては総選挙後の衆議院での審議・検討が加えられ、その継続可否が決まるとの規定である。
「国に緊急の必要がある」場合の既定としては色々と不充分な規定であるが、知っての通り、現行憲法は占領軍マッカーサーGHQのやっつけ仕事であるGHQ草案が基なのだから、この程度で仕方がない。
ここで注目すべきは、第54条第1項には期日が明示されていることで、この期日を守れなかった場合は「憲法違反」となるものである。
そうであるにも関わらず、長谷部恭男は、前回の衆院・憲法審査会に続き、またもや国会で暴論を述べているものである。(*2)
衆院・憲法審査会の際の暴論について論じた際にも指摘したことだが、現行憲法の欠陥である「緊急事態条項がない」という状態を維持したい長谷部は、「改憲阻止ありき」の言説を弄しているだけで、学術的なことを言っているものではない。
衆院の憲法審査会の時と同じく、憲法条文で明示された規定を「緊急時だから背いてもかまわない」などと法治主義を軽んじる話をしているのだが、そもそも、憲法に緊急事態条項を具備するのは、緊急時であっても法治主義を守り貫徹する為にあり、それが嫌だからと言って緊急事態条項で守る法治主義自体を軽んじるという撞着に長谷部は陥っているものである。
こんな暴論を平気で述べる長谷部には呆れるしかない。
参院・憲法審査会には長谷部の他に2人の憲法学者が参考人として出席している。
そのうち1人は、長谷部ほどではないが所謂「護憲派」であるが、もう1人は少なくとも以下の様なまともなことを述べている。
↓
<中日新聞記事その2から抜粋引用>
◆松浦一夫防衛大教授:○衆院解散後、あるいは任期満了後に重大かつ長期の緊急事態が発生し、総選挙の実施が困難となり、長期に衆院不在となる場合を、現行憲法は想定していない。
○参院の緊急集会に国会の権能を必要な期間代行させればいいという主張は、現行憲法の中にあえて緊急事態対応の根拠を読み込み、このような解釈があると主張するものにすぎない。緊急時の政府の迅速な対応と議会による民主的統制の確保に最も有効な方法は何かという視点を欠いている。
○憲法改正により緊急事態宣言の制度を設定し、宣言下での衆院議員の任期の延長や衆院解散の禁止などの措置を認め、国会が両院完全な形で政府を統制するほうが民主的観点からはるかに効果的であると考える。
<引用終わり>
紳士的な言い回しなのでダイレクトではなく分かり難いと思うが、指摘していることは、そういうことである。
一方、長谷部の方は、質疑の際に奇妙なことを臆面もなく発している。
以下に、該当部分を引用して紹介する。
<引用開始>
・杉尾秀哉氏(立憲民主):参院の緊急集会と、任期延長された国会、どちらに正統性があるか。
|
・長谷部氏:任期延長は民意の反映という点で問題。参院の緊急集会制度を活用し、早く選挙を行い、新たな国会を召集するのが民主的な制度の運用だ。
<引用終わり>
解散され、衆議院が存在しない状態での参議院の緊急集会には現行憲法第54条で70日との期限明示が規定されている。
その緊急事態が70日で終わるという勝手な想定を立憲議員と長谷部は置いている質疑であり、国民のことを何等考えていないものであることが分かるであろう。
実際の緊急事態、例えば武漢発祥の新型コロナウイルスの対応終了には数年を要し、ウクライナでの武力事態は既に1年を越えている。
政府が緊急事態を宣言する事態は、70日以内に終わらない可能性の方がむしろ高い。
長谷部が言う「衆議院なき国会」が70日以上、場合によっては年単位で国政を担う方が、「前回の民意の結果である衆議院の任期延長」よりも「民意が反映されている」のかどうかを考えれば、長谷部の言っていることが如何に奇妙なのかが分かると思う。
<引用開始>
・音喜多駿氏(維新):参院の緊急集会を延ばして復元しないという権力の居座り方も考えられるのでは。
↓
・長谷部氏:現行制度では、内閣が提示した案件が全て終了すれば、そこで緊急集会は閉じることになっている。いつまでも続くことは考えられない。
<引用終わり>
参議院の緊急集会は、大規模感染症や武力事態、或いは大規模災害などの「国に緊急の必要があるとき」に召集される。
つまり、そういう事態が継続しているのにも関わらず、その初期にだけ「内閣が提示した案件」がないが如き詭弁を弄しているものである。
緊急事態が終息していない状態なら、その対処の為に最初に提示した案件だけでは不充分な場合は多々考えられると考えるのが常識であり、実際、新型コロナウイルス対処に関わる案件は事態に応じて複数回実施された。
実際は、緊急事態自体が終息されるまで「いつまでも続く」のである。
この様に、長谷部の言っていることが如何に奇妙な事なのかが分かると思う。
今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1):長谷部が、今度は参院・憲法審査会で憲法の明示規定を無視する暴論をまたもや述べている。
↓
<その1:東京新聞>
東京新聞 2023年5月31日 18時10分
見出し:◆参院の緊急集会は最大70日間? 参考人の見解分かれる 改憲の必要性巡り議論 参院憲法審査会
https://www.tokyo-np.co.jp/article/253623
記事:○参院憲法審査会は31日、憲法が衆院解散時に国会の権能を代行すると定める参院の緊急集会を巡り憲法学者3人を招いて参考人質疑を行った。緊急集会の開催期間について、松浦一夫防衛大教授は最大で70日間と指摘。長谷部恭男早稲田大大学院教授と土井真一京都大教授は70日間を超えた開催が可能とし、見解が分かれた。
○自民党や日本維新の会など改憲勢力は衆院解散から40日以内の総選挙、その後30日以内の国会召集という憲法の規定を根拠に、緊急集会の開催期間は最大70日間と主張。長期にわたって選挙が実施できない場合に備え、議員任期延長を可能にする改憲の必要性を訴えている。
○松浦氏は、緊急時でも「衆参両院がそろった形で審議を行う態勢を整えるべきだ」と述べ、議員任期延長規定の創設を支持した。一方、長谷部氏は緊急集会の開催期間について「非常事態ではあらゆる考慮要素が総合的に勘案されるべきで、日数を限った文言にこだわり、議員任期延長の議論を進めるべきではない」と主張。土井氏は「総選挙が実施できず、解散から70日が過ぎた段階で、参院が(緊急集会で行っている)法案や予算案の審議を打ち切れるかというと非常に困難」と指摘した。(佐藤裕介)(引用終わり)
<その2:東京新聞>
東京新聞 2023年5月31日 21時27分
見出し:◆参院憲法審査会・発言の要旨(2023年5月31日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/253667
記事:○31日の参院憲法審査会での主な発言の要旨は次の通り。
◆参考人の意見陳述
◆松浦一夫防衛大教授:○衆院解散後、あるいは任期満了後に重大かつ長期の緊急事態が発生し、総選挙の実施が困難となり、長期に衆院不在となる場合を、現行憲法は想定していない。
○参院の緊急集会に国会の権能を必要な期間代行させればいいという主張は、現行憲法の中にあえて緊急事態対応の根拠を読み込み、このような解釈があると主張するものにすぎない。緊急時の政府の迅速な対応と議会による民主的統制の確保に最も有効な方法は何かという視点を欠いている。
○憲法改正により緊急事態宣言の制度を設定し、宣言下での衆院議員の任期の延長や衆院解散の禁止などの措置を認め、国会が両院完全な形で政府を統制するほうが民主的観点からはるかに効果的であると考える。
◆長谷部恭男早稲田大大学院教授:○参院の緊急集会による対応は、限られた期間しか通用しない臨時措置だ。平時の状況が回復したときは速やかに通常の制度への復帰が予定される。
○非常事態は、あらゆる考慮要素がくまなく総合的に勘案されるべきで、日数を限った規定の文言にこだわり、それを動かし得ない切り札のように捉えて議論を進めるべきではない。
○(緊急集会を定める)憲法54条が日数を限っているのは、現在の民意を反映していない政府がそのまま政権の座に居座り続けることのないようにという考慮からだ。緊急集会の期間が限定されているように見えることを根拠として、衆院議員の任期を延長し、政権の居座りを認めるのは、本末転倒の議論ではないか。
◆土井真一京都大教授:○緊急事態において、国民の生命、権利等を守るために必要な措置を講じることは、政府の重要な役割だ。同時に、緊急事態は権力の簒奪や乱用が行われる危険性の高い時期なので、これを防止するための仕組みは国会で慎重に検討いただくべきだ。
○その際、緊急事態から通常時への復元力の高い仕組みを検討し、通常時に復帰した後、緊急事態で講じた措置について、合憲性、合法性を審査する機会を適切に確保していただきたい。
○この点、緊急集会は合理的な設計に基づく制度の一つで、もし緊急集会に代わる仕組みを検討するのであれば、緊急集会よりも優れた仕組みだと国民が納得するようなものとなるよう検討いただく必要がある。
◆各会派代表の質疑
・浅尾慶一郎氏(自民):70日を超えて緊急集会を開くことができるか。
|
・土井氏:総選挙ができず、衆院解散から70日過ぎた段階で参院が(緊急集会での)法案や予算案の審議を打ち切れるか。70日を超えて緊急集会を認めることはできる。
・杉尾秀哉氏(立憲民主):参院の緊急集会と、任期延長された国会、どちらに正統性があるか。
|
・長谷部氏:任期延長は民意の反映という点で問題。参院の緊急集会制度を活用し、早く選挙を行い、新たな国会を召集するのが民主的な制度の運用だ。
・西田実仁氏(公明) 議員の任期延長も暫定的、一時的で、参院の緊急集会と根本的な差異があるとまで言えないのではないか。
|
・松浦氏:緊急事態を宣言することはめったにやってはいけない。それをやらざるを得ない状況をはっきりさせなければいけない。
・音喜多駿氏(維新):参院の緊急集会を延ばして復元しないという権力の居座り方も考えられるのでは。
↓
・長谷部氏:現行制度では、内閣が提示した案件が全て終了すれば、そこで緊急集会は閉じることになっている。いつまでも続くことは考えられない。
・礒崎哲史氏(国民民主):どれくらいの期間まで緊急集会は認められるか。
|
・土井氏:自然災害等の緊急事態の実情に即した対応を行うほかない。東日本大震災の際、最大7カ月程度の(地方選挙の)延期が行われた事実は参考になろうかと思う。
・山添拓氏(共産):任期延長された議員は次の総選挙を行おうというインセンティブが働かないのでは。
|
・松浦氏:国家の緊急事態に、任期を一時的に延長する。その必要がなければ緊急事態宣言を解除するというシステムを作れば、乱用の危険はない。
・山本太郎氏(れいわ):緊急事態に備えよという議論がされ、憲法改正を目指すのなら、まず原発の即時停止が憲法上の要請にもかなうのではないか。
|
・長谷部氏:憲法で対処する以前の問題として、喫緊に対処が必要な政策課題があるのは、その通り。
<引用終わり>
(*2);長谷部恭男は、前回の衆院・憲法審査会に続き、またもや国会で暴論を述べているものである。
↓
※衆院・憲法審査会(2023年5月18日開催)での長谷部の暴論を指摘する論考
2023/05/20投稿:
衆院・憲法審査会参考人質疑で長谷部が法治主義を軽んじている件
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1770.html
2023/05/23投稿:
衆院・憲法審査会参考人質疑で長谷部がごまかしを述べている件
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1771.html
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副題:長谷部恭男は、今度は参院・憲法審査会で憲法の明示規定を無視するとの学者とは思えない暴論を前回の衆院・憲法審査会に続き、またもや国会で述べている。
長谷部が、今度は参院・憲法審査会で憲法の明示規定を無視する暴論をまたもや述べている。(*1)
長谷部の暴論とは、現行憲法第54条の明示規定である「参議院の緊急集会の期限70日」を無視しているところである。
↓
<現行憲法第54条>
第54条:衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
同第2項 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
同第3項 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
<引用終わり>
第54条は3項からなる条文で構成されており、第1項は「議会不在期間の最小化」が目的の条文だ。
我が国は議院内閣制の政体であり、長い期間にわたり議会不在の状態が続くのは相応しくないので、衆議院が解散された場合は40日以内の総選挙実施+選挙後30日以内の合計70日以内の議会不在状態を解消しなさいという主旨の条文である。
次の第2項は、この70日間の衆議院不在期間中に「国に緊急の必要がある」事態が発生した場合、内閣は同時閉会中の参議院に対して、国会を開く為に「緊急集会」との名目でそれを「求める」ことが出来るとの規定である。
尚、第3項は、緊急集会で決まった各種の措置に対しては総選挙後の衆議院での審議・検討が加えられ、その継続可否が決まるとの規定である。
「国に緊急の必要がある」場合の既定としては色々と不充分な規定であるが、知っての通り、現行憲法は占領軍マッカーサーGHQのやっつけ仕事であるGHQ草案が基なのだから、この程度で仕方がない。
ここで注目すべきは、第54条第1項には期日が明示されていることで、この期日を守れなかった場合は「憲法違反」となるものである。
そうであるにも関わらず、長谷部恭男は、前回の衆院・憲法審査会に続き、またもや国会で暴論を述べているものである。(*2)
衆院・憲法審査会の際の暴論について論じた際にも指摘したことだが、現行憲法の欠陥である「緊急事態条項がない」という状態を維持したい長谷部は、「改憲阻止ありき」の言説を弄しているだけで、学術的なことを言っているものではない。
衆院の憲法審査会の時と同じく、憲法条文で明示された規定を「緊急時だから背いてもかまわない」などと法治主義を軽んじる話をしているのだが、そもそも、憲法に緊急事態条項を具備するのは、緊急時であっても法治主義を守り貫徹する為にあり、それが嫌だからと言って緊急事態条項で守る法治主義自体を軽んじるという撞着に長谷部は陥っているものである。
こんな暴論を平気で述べる長谷部には呆れるしかない。
他の憲法学者もそのことを指摘している
参院・憲法審査会には長谷部の他に2人の憲法学者が参考人として出席している。
そのうち1人は、長谷部ほどではないが所謂「護憲派」であるが、もう1人は少なくとも以下の様なまともなことを述べている。
↓
<中日新聞記事その2から抜粋引用>
◆松浦一夫防衛大教授:○衆院解散後、あるいは任期満了後に重大かつ長期の緊急事態が発生し、総選挙の実施が困難となり、長期に衆院不在となる場合を、現行憲法は想定していない。
○参院の緊急集会に国会の権能を必要な期間代行させればいいという主張は、現行憲法の中にあえて緊急事態対応の根拠を読み込み、このような解釈があると主張するものにすぎない。緊急時の政府の迅速な対応と議会による民主的統制の確保に最も有効な方法は何かという視点を欠いている。
○憲法改正により緊急事態宣言の制度を設定し、宣言下での衆院議員の任期の延長や衆院解散の禁止などの措置を認め、国会が両院完全な形で政府を統制するほうが民主的観点からはるかに効果的であると考える。
<引用終わり>
紳士的な言い回しなのでダイレクトではなく分かり難いと思うが、指摘していることは、そういうことである。
長谷部の質疑が詐話である件
一方、長谷部の方は、質疑の際に奇妙なことを臆面もなく発している。
以下に、該当部分を引用して紹介する。
<引用開始>
・杉尾秀哉氏(立憲民主):参院の緊急集会と、任期延長された国会、どちらに正統性があるか。
|
・長谷部氏:任期延長は民意の反映という点で問題。参院の緊急集会制度を活用し、早く選挙を行い、新たな国会を召集するのが民主的な制度の運用だ。
<引用終わり>
解散され、衆議院が存在しない状態での参議院の緊急集会には現行憲法第54条で70日との期限明示が規定されている。
その緊急事態が70日で終わるという勝手な想定を立憲議員と長谷部は置いている質疑であり、国民のことを何等考えていないものであることが分かるであろう。
実際の緊急事態、例えば武漢発祥の新型コロナウイルスの対応終了には数年を要し、ウクライナでの武力事態は既に1年を越えている。
政府が緊急事態を宣言する事態は、70日以内に終わらない可能性の方がむしろ高い。
長谷部が言う「衆議院なき国会」が70日以上、場合によっては年単位で国政を担う方が、「前回の民意の結果である衆議院の任期延長」よりも「民意が反映されている」のかどうかを考えれば、長谷部の言っていることが如何に奇妙なのかが分かると思う。
<引用開始>
・音喜多駿氏(維新):参院の緊急集会を延ばして復元しないという権力の居座り方も考えられるのでは。
↓
・長谷部氏:現行制度では、内閣が提示した案件が全て終了すれば、そこで緊急集会は閉じることになっている。いつまでも続くことは考えられない。
<引用終わり>
参議院の緊急集会は、大規模感染症や武力事態、或いは大規模災害などの「国に緊急の必要があるとき」に召集される。
つまり、そういう事態が継続しているのにも関わらず、その初期にだけ「内閣が提示した案件」がないが如き詭弁を弄しているものである。
緊急事態が終息していない状態なら、その対処の為に最初に提示した案件だけでは不充分な場合は多々考えられると考えるのが常識であり、実際、新型コロナウイルス対処に関わる案件は事態に応じて複数回実施された。
実際は、緊急事態自体が終息されるまで「いつまでも続く」のである。
この様に、長谷部の言っていることが如何に奇妙な事なのかが分かると思う。
今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1):長谷部が、今度は参院・憲法審査会で憲法の明示規定を無視する暴論をまたもや述べている。
↓
<その1:東京新聞>
東京新聞 2023年5月31日 18時10分
見出し:◆参院の緊急集会は最大70日間? 参考人の見解分かれる 改憲の必要性巡り議論 参院憲法審査会
https://www.tokyo-np.co.jp/article/253623
記事:○参院憲法審査会は31日、憲法が衆院解散時に国会の権能を代行すると定める参院の緊急集会を巡り憲法学者3人を招いて参考人質疑を行った。緊急集会の開催期間について、松浦一夫防衛大教授は最大で70日間と指摘。長谷部恭男早稲田大大学院教授と土井真一京都大教授は70日間を超えた開催が可能とし、見解が分かれた。
○自民党や日本維新の会など改憲勢力は衆院解散から40日以内の総選挙、その後30日以内の国会召集という憲法の規定を根拠に、緊急集会の開催期間は最大70日間と主張。長期にわたって選挙が実施できない場合に備え、議員任期延長を可能にする改憲の必要性を訴えている。
○松浦氏は、緊急時でも「衆参両院がそろった形で審議を行う態勢を整えるべきだ」と述べ、議員任期延長規定の創設を支持した。一方、長谷部氏は緊急集会の開催期間について「非常事態ではあらゆる考慮要素が総合的に勘案されるべきで、日数を限った文言にこだわり、議員任期延長の議論を進めるべきではない」と主張。土井氏は「総選挙が実施できず、解散から70日が過ぎた段階で、参院が(緊急集会で行っている)法案や予算案の審議を打ち切れるかというと非常に困難」と指摘した。(佐藤裕介)(引用終わり)
<その2:東京新聞>
東京新聞 2023年5月31日 21時27分
見出し:◆参院憲法審査会・発言の要旨(2023年5月31日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/253667
記事:○31日の参院憲法審査会での主な発言の要旨は次の通り。
◆参考人の意見陳述
◆松浦一夫防衛大教授:○衆院解散後、あるいは任期満了後に重大かつ長期の緊急事態が発生し、総選挙の実施が困難となり、長期に衆院不在となる場合を、現行憲法は想定していない。
○参院の緊急集会に国会の権能を必要な期間代行させればいいという主張は、現行憲法の中にあえて緊急事態対応の根拠を読み込み、このような解釈があると主張するものにすぎない。緊急時の政府の迅速な対応と議会による民主的統制の確保に最も有効な方法は何かという視点を欠いている。
○憲法改正により緊急事態宣言の制度を設定し、宣言下での衆院議員の任期の延長や衆院解散の禁止などの措置を認め、国会が両院完全な形で政府を統制するほうが民主的観点からはるかに効果的であると考える。
◆長谷部恭男早稲田大大学院教授:○参院の緊急集会による対応は、限られた期間しか通用しない臨時措置だ。平時の状況が回復したときは速やかに通常の制度への復帰が予定される。
○非常事態は、あらゆる考慮要素がくまなく総合的に勘案されるべきで、日数を限った規定の文言にこだわり、それを動かし得ない切り札のように捉えて議論を進めるべきではない。
○(緊急集会を定める)憲法54条が日数を限っているのは、現在の民意を反映していない政府がそのまま政権の座に居座り続けることのないようにという考慮からだ。緊急集会の期間が限定されているように見えることを根拠として、衆院議員の任期を延長し、政権の居座りを認めるのは、本末転倒の議論ではないか。
◆土井真一京都大教授:○緊急事態において、国民の生命、権利等を守るために必要な措置を講じることは、政府の重要な役割だ。同時に、緊急事態は権力の簒奪や乱用が行われる危険性の高い時期なので、これを防止するための仕組みは国会で慎重に検討いただくべきだ。
○その際、緊急事態から通常時への復元力の高い仕組みを検討し、通常時に復帰した後、緊急事態で講じた措置について、合憲性、合法性を審査する機会を適切に確保していただきたい。
○この点、緊急集会は合理的な設計に基づく制度の一つで、もし緊急集会に代わる仕組みを検討するのであれば、緊急集会よりも優れた仕組みだと国民が納得するようなものとなるよう検討いただく必要がある。
◆各会派代表の質疑
・浅尾慶一郎氏(自民):70日を超えて緊急集会を開くことができるか。
|
・土井氏:総選挙ができず、衆院解散から70日過ぎた段階で参院が(緊急集会での)法案や予算案の審議を打ち切れるか。70日を超えて緊急集会を認めることはできる。
・杉尾秀哉氏(立憲民主):参院の緊急集会と、任期延長された国会、どちらに正統性があるか。
|
・長谷部氏:任期延長は民意の反映という点で問題。参院の緊急集会制度を活用し、早く選挙を行い、新たな国会を召集するのが民主的な制度の運用だ。
・西田実仁氏(公明) 議員の任期延長も暫定的、一時的で、参院の緊急集会と根本的な差異があるとまで言えないのではないか。
|
・松浦氏:緊急事態を宣言することはめったにやってはいけない。それをやらざるを得ない状況をはっきりさせなければいけない。
・音喜多駿氏(維新):参院の緊急集会を延ばして復元しないという権力の居座り方も考えられるのでは。
↓
・長谷部氏:現行制度では、内閣が提示した案件が全て終了すれば、そこで緊急集会は閉じることになっている。いつまでも続くことは考えられない。
・礒崎哲史氏(国民民主):どれくらいの期間まで緊急集会は認められるか。
|
・土井氏:自然災害等の緊急事態の実情に即した対応を行うほかない。東日本大震災の際、最大7カ月程度の(地方選挙の)延期が行われた事実は参考になろうかと思う。
・山添拓氏(共産):任期延長された議員は次の総選挙を行おうというインセンティブが働かないのでは。
|
・松浦氏:国家の緊急事態に、任期を一時的に延長する。その必要がなければ緊急事態宣言を解除するというシステムを作れば、乱用の危険はない。
・山本太郎氏(れいわ):緊急事態に備えよという議論がされ、憲法改正を目指すのなら、まず原発の即時停止が憲法上の要請にもかなうのではないか。
|
・長谷部氏:憲法で対処する以前の問題として、喫緊に対処が必要な政策課題があるのは、その通り。
<引用終わり>
(*2);長谷部恭男は、前回の衆院・憲法審査会に続き、またもや国会で暴論を述べているものである。
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※衆院・憲法審査会(2023年5月18日開催)での長谷部の暴論を指摘する論考
2023/05/20投稿:
衆院・憲法審査会参考人質疑で長谷部が法治主義を軽んじている件
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1770.html
2023/05/23投稿:
衆院・憲法審査会参考人質疑で長谷部がごまかしを述べている件
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1771.html
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