衆院・憲法審査会参考人質疑で長谷部がごまかしを述べている件
- 2023/05/23
- 20:29
衆院・憲法審査会参考人質疑で長谷部がごまかしを述べている件
副題:緊急事態条項を「悪魔化」する為に「緊急事態の恒久化」「政権の居座りを認める」などと称し、各国憲法の緊急事態条項にある期限規定他について語らないのはごまかし・虚偽に該当する。
前回論考「衆院・憲法審査会参考人質疑で長谷部が法治主義を軽んじている件」の続きである。
前回は、長谷部は緊急事態条項の新設=改憲に反対しているので、「現行憲法第54条があるから大丈夫」などと称して、不必要に第54条を推してしまって挙句に論理破綻してしまっている事を指摘した。
前回は長谷部恭男の法治主義無視の学者にあるまじき話だけで終わってしまったが、長谷部はそれだけではなく、もう1つ学者にあるまじきごまかし・虚偽を述べているので、今回はそれについて述べるものである。
今回論考の対象である5月18日(木)に行われた衆議院・憲法審査会での参考人質疑の概要については前回論考の文末脚注の「(*1)」に当該質疑を報じた記事を引用してあるので、必要に応じて、それを引用する。
今回、当方が問題視したのは、以下の朱記した発言である。
↓
<抜粋引用開始>(付番は引用者)(改行位置変更も引用者)
長谷部恭男・早稲田大大学院教授
①総選挙を長期にわたって先送りしなければならない状況は簡単には発生しないだろう。繰り延べ投票などの実施も可能なのに、将来のことが確実にわかっているかのように総選挙を先送りすることは、国民の目にどう映るか、という問題もある。
②-1衆院議員の任期を延長すると、総選挙を経た正規のものとは異なる国会が存在し、法律が成立することになる。
②-2緊急時の名を借りて、通常時の法制度を大きく変革する法律が次々に制定されるリスクも含まれかねない。
②-3任期延長された衆院と、それに支えられた政権が長期に居座り続ける「緊急事態の恒久化」を招くことにもなりかねない。
③-1(緊急集会を定める)憲法54条が日数を限っているのは、現在の民意を反映していない政府がそのまま政権の座に居座り続けることがないようにとの考慮からだ。
③-2緊急集会の継続期間が限定されているように見えることを根拠として衆院議員の任期を延長し、政権の居座りを認めるのは、本末転倒の議論ではないか。
④参院の緊急集会は十分な理由に支えられた制度で、新たな制度を追加する必要性は見いだしにくい。
<引用終わり>
これの何処が問題なのかを説明する。
長谷部は「③-1」で現行憲法第54条の70日という日数制限について言及している。これはその通りなので問題はないのだが、その一方で、「②-1」と「②-2」で、あたかも「緊急事態条項には日数制限がない」が如き「勝手な設定」をした上でのごまかしを述べている事が問題だと考えている。
同様、「②-3」と「③-2」で、「緊急事態の恒久化」「政権の居座りを認める」などと、各国憲法の緊急事態条項にある期限規定について語らないごまかしをしている点も問題である。
現行憲法には各国憲法が具備する緊急事態条項がないとの欠陥があり、現状では存在していない「緊急事態条項」を、長谷部は勝手に脳内で組成して、「正規のものとは異なる国会が(恒久的)法律を勝手に次々と 成立させる(②-1 &②-2)」とか「政権が長期に居座り続ける「緊急事態の恒久化」を招く(②-3)」などと述べているのものだ。
長谷部は緊急事態条項の新設=改憲に反対しているので、現行憲法第54条を不必要に推しているのだが、まともな思考力を持つ方々ならば、「それじゃ緊急事態条項に第54条と同等の期限規定を入れれば良いんじゃね?」と考えるはずだ。
同じく、「「法制度を大きく変革する法律が次々に制定される」というのならば、第54条第3項にある緊急時終了後の措置対処規定を緊急事態条項に入れれば良いんじゃね?」となるはずだ。
↓
<現行憲法第54条>
第54条:衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
同第2項 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
同第3項 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
<引用終わり>
実際、それが正解なのだが、括弧付「憲法学者」の長谷部はその点をごまかして、あたかも「緊急事態条項には期限規定がない」「緊急時制定措置の見直し・確認規定がない」かの様なことを言っているのである。
長谷部の言っていることが、実に卑怯で不誠実なことであることが分かると思う。
まともな憲法学者ならば、自国憲法を研究する際に、他の国々の憲法の同様条文との比較をするものだ。
特に緊急事態条項の様に他の国々では存在しているのに我が国では現行憲法になる際に削除されてしまった条項の場合は、我が国と同等の国々、例えばG7諸国などの憲法の緊急事態条項がどの様なものかを調べるのは当たり前の憲法研究の姿勢である。(*1)
当方が調べた結果のうち、今回の件で言えば【各国憲法の緊急事態条項には期限規定がある】である。同様、【緊急事態中に制定した法令は緊急事態終了後に見直し・確認される】のである。
そうであるにも関わらず、長谷部は勝手な設定を以て、あたかも緊急事態条項には期限規定や見直し・確認規定が存在しないかの様なごまかし・虚偽を述べているものである。
本ブログでは以前、緊急事態条項が具備すべき要件を我が国と同等と思える国々の憲法を参照しながら考察した。その概要を書くだけでかなりの長さになるので、ここでは繰り返さないが、今回の文末脚注の「(*2)」にそのリンクを貼っておくのでご興味があればご一読いただきたい。かなり長いけど。
長谷部が知らないはずがないのが、自民党が2012年に公表した改憲草案(*3)の緊急事態条項案がある。
その緊急事態条項案は諸外国憲法の緊急事態条項と比べても遜色ない立派な物で、そこには長谷部が隠している期限規定も見直し・確認規定も書かれている。長谷部は、それらを隠して勝手なことを言っていることを知っていただきたいのである。
参考の為に、以下に改憲草案の緊急事態条項案を引用紹介する。尚、条文案は長めなので当該部分(期限規定&見直し・確認規定)を朱記しておく。
↓
<自民党案:第九章 緊急事態>
<自民党案:第98条(緊急事態の宣言)>
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
同第2項 緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。
同第3項 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。
同第4項 第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。
<自民党案:第99条(緊急事態の宣言の効果)>
緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
同第2項 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。
同第3項 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。
同第4項 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。
<引用終わり>
緊急事態条項に対して長谷部が事実を隠しての「悪魔化」言説を述べたのは今回が初めてではない。
2016年3月18日に放送されたテレ朝・報道ステーションの「ワイマール憲法」に関する特集で、長谷部は上記した自民党改憲草案の第99条の条文案のパネルの前で、今回2023年と同じことを言っていたのである。
その番組で掲げられていたパネルの第99条は、第2項が省略されており、「事後に国会の承認を得なければならない」との牽制部分が隠されていたのである。
その様な長谷部の卑怯な言説に対して、当方は本ブログでそのことを指摘している。(*4)
あれから既に7年が経過しているのだが、何等の進歩もない同じ手口で緊急事態条項があたかも危険な条項であるかの様な虚偽を言い続けているのが長谷部なのである。
呆れた存在である。
以上である。
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【文末脚注】
(*1):特に緊急事態条項の様に他の国々では存在しているのに我が国では現行憲法になる際に削除されてしまった条項の場合は、我が国と同等の国々、例えばG7諸国などの憲法の緊急事態条項がどの様なものかを調べるのは当たり前の憲法研究の姿勢である。
↓
2017/06/16投稿:
(資料編)各国の緊急事態条項
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-695.html
2017/07/29投稿:
(資料編)G7主要国以外の緊急事態条項
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-723.html
(*2):本ブログでは以前、緊急事態条項が具備すべき要件を我が国と同等と思える国々の憲法を参照しながら考察した。その概要を書くだけでかなりの長さになるので、ここでは繰り返さないが、今回の文末脚注の「(*2)」にそのリンクを貼っておくのでご興味があればご一読いただきたい。かなり長いけど。
↓
017/06/22投稿:
緊急事態条項に関する考察・要件提示
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-700.html
2017/06/23投稿:
緊急事態条項の要件を検証する(その1)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-701.html
2017/06/25投稿:
緊急事態条項の要件を検証する(その2)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-702.html
2017/06/27投稿:
緊急事態条項の要件を検証する(その3)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-703.html
2017/06/28投稿:
緊急事態条項の要件を検証する(その4)Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-704.html
2017/07/28投稿:
緊急事態条項・要件に基づく考察1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-722.html
2017/07/30投稿:
緊急事態条項・要件に基づく考察2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-724.html
2017/08/01投稿:
緊急事態条項・要件に基づく考察3
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-725.html
2017/08/04投稿:
緊急事態条項・要件に基づく考察4・ワイマール憲法
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-726.html
(*3):自民党が2012年に公表した改憲草案の緊急事態条項案
↓
<2012年の自民党改憲草案の緊急事態条項>
https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf
※PDFファイル:スマホの方は要注意
【ご参考】
2016/08/09投稿:
自民党改憲草案の紹介6
副題:自民党改憲草案の良いところ・悪いところの概要。
<第9章・緊急事態>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-479.html
(*4):緊急事態条項に対して長谷部が事実を隠しての「悪魔化」言説を述べたのは今回が初めてではない。2016年3月18日に放送されたテレ朝・報道ステーションの「ワイマール憲法」に関する特集で、長谷部は上記した自民党改憲草案の第99条の条文案のパネルの前で、今回2023年と同じことを言っていたのである。その番組で掲げられていたパネルの第99条は、第2項が省略されており、「事後に国会の承認を得なければならない」との牽制部分が隠されていたのである。その様な長谷部の卑怯な言説に対して、当方は本ブログでそのことを指摘している。
↓
2016/03/23投稿:
【コラム】スタジオ編1報ステ「ワイマール憲法」の笑止千万
副題:悪質なる印象操作の種明かし4
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-370.html
2016/03/24投稿:
【コラム】スタジオ編2報ステ「ワイマール憲法」の笑止千万
副題:悪質なる印象操作の種明かし5
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-371.html
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副題:緊急事態条項を「悪魔化」する為に「緊急事態の恒久化」「政権の居座りを認める」などと称し、各国憲法の緊急事態条項にある期限規定他について語らないのはごまかし・虚偽に該当する。
前回論考「衆院・憲法審査会参考人質疑で長谷部が法治主義を軽んじている件」の続きである。
前回は、長谷部は緊急事態条項の新設=改憲に反対しているので、「現行憲法第54条があるから大丈夫」などと称して、不必要に第54条を推してしまって挙句に論理破綻してしまっている事を指摘した。
前回は長谷部恭男の法治主義無視の学者にあるまじき話だけで終わってしまったが、長谷部はそれだけではなく、もう1つ学者にあるまじきごまかし・虚偽を述べているので、今回はそれについて述べるものである。
長谷部恭男の衆院・憲法審査会での参考人発言・質疑
今回論考の対象である5月18日(木)に行われた衆議院・憲法審査会での参考人質疑の概要については前回論考の文末脚注の「(*1)」に当該質疑を報じた記事を引用してあるので、必要に応じて、それを引用する。
今回、当方が問題視したのは、以下の朱記した発言である。
↓
<抜粋引用開始>(付番は引用者)(改行位置変更も引用者)
長谷部恭男・早稲田大大学院教授
①総選挙を長期にわたって先送りしなければならない状況は簡単には発生しないだろう。繰り延べ投票などの実施も可能なのに、将来のことが確実にわかっているかのように総選挙を先送りすることは、国民の目にどう映るか、という問題もある。
②-1衆院議員の任期を延長すると、総選挙を経た正規のものとは異なる国会が存在し、法律が成立することになる。
②-2緊急時の名を借りて、通常時の法制度を大きく変革する法律が次々に制定されるリスクも含まれかねない。
②-3任期延長された衆院と、それに支えられた政権が長期に居座り続ける「緊急事態の恒久化」を招くことにもなりかねない。
③-1(緊急集会を定める)憲法54条が日数を限っているのは、現在の民意を反映していない政府がそのまま政権の座に居座り続けることがないようにとの考慮からだ。
③-2緊急集会の継続期間が限定されているように見えることを根拠として衆院議員の任期を延長し、政権の居座りを認めるのは、本末転倒の議論ではないか。
④参院の緊急集会は十分な理由に支えられた制度で、新たな制度を追加する必要性は見いだしにくい。
<引用終わり>
これの何処が問題なのかを説明する。
長谷部は「③-1」で現行憲法第54条の70日という日数制限について言及している。これはその通りなので問題はないのだが、その一方で、「②-1」と「②-2」で、あたかも「緊急事態条項には日数制限がない」が如き「勝手な設定」をした上でのごまかしを述べている事が問題だと考えている。
同様、「②-3」と「③-2」で、「緊急事態の恒久化」「政権の居座りを認める」などと、各国憲法の緊急事態条項にある期限規定について語らないごまかしをしている点も問題である。
現行憲法には各国憲法が具備する緊急事態条項がないとの欠陥があり、現状では存在していない「緊急事態条項」を、長谷部は勝手に脳内で組成して、「正規のものとは異なる国会が(恒久的)法律を勝手に次々と 成立させる(②-1 &②-2)」とか「政権が長期に居座り続ける「緊急事態の恒久化」を招く(②-3)」などと述べているのものだ。
長谷部は緊急事態条項の新設=改憲に反対しているので、現行憲法第54条を不必要に推しているのだが、まともな思考力を持つ方々ならば、「それじゃ緊急事態条項に第54条と同等の期限規定を入れれば良いんじゃね?」と考えるはずだ。
同じく、「「法制度を大きく変革する法律が次々に制定される」というのならば、第54条第3項にある緊急時終了後の措置対処規定を緊急事態条項に入れれば良いんじゃね?」となるはずだ。
↓
<現行憲法第54条>
第54条:衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
同第2項 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
同第3項 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
<引用終わり>
実際、それが正解なのだが、括弧付「憲法学者」の長谷部はその点をごまかして、あたかも「緊急事態条項には期限規定がない」「緊急時制定措置の見直し・確認規定がない」かの様なことを言っているのである。
長谷部の言っていることが、実に卑怯で不誠実なことであることが分かると思う。
各国憲法の緊急事態条項には期限規定がある
まともな憲法学者ならば、自国憲法を研究する際に、他の国々の憲法の同様条文との比較をするものだ。
特に緊急事態条項の様に他の国々では存在しているのに我が国では現行憲法になる際に削除されてしまった条項の場合は、我が国と同等の国々、例えばG7諸国などの憲法の緊急事態条項がどの様なものかを調べるのは当たり前の憲法研究の姿勢である。(*1)
当方が調べた結果のうち、今回の件で言えば【各国憲法の緊急事態条項には期限規定がある】である。同様、【緊急事態中に制定した法令は緊急事態終了後に見直し・確認される】のである。
そうであるにも関わらず、長谷部は勝手な設定を以て、あたかも緊急事態条項には期限規定や見直し・確認規定が存在しないかの様なごまかし・虚偽を述べているものである。
本ブログでは以前、緊急事態条項が具備すべき要件を我が国と同等と思える国々の憲法を参照しながら考察した。その概要を書くだけでかなりの長さになるので、ここでは繰り返さないが、今回の文末脚注の「(*2)」にそのリンクを貼っておくのでご興味があればご一読いただきたい。かなり長いけど。
長谷部が知らないはずがないのが、自民党が2012年に公表した改憲草案(*3)の緊急事態条項案がある。
その緊急事態条項案は諸外国憲法の緊急事態条項と比べても遜色ない立派な物で、そこには長谷部が隠している期限規定も見直し・確認規定も書かれている。長谷部は、それらを隠して勝手なことを言っていることを知っていただきたいのである。
参考の為に、以下に改憲草案の緊急事態条項案を引用紹介する。尚、条文案は長めなので当該部分(期限規定&見直し・確認規定)を朱記しておく。
↓
<自民党案:第九章 緊急事態>
<自民党案:第98条(緊急事態の宣言)>
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
同第2項 緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。
同第3項 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。
同第4項 第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。
<自民党案:第99条(緊急事態の宣言の効果)>
緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
同第2項 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。
同第3項 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。
同第4項 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。
<引用終わり>
長谷部の卑怯で不誠実な話は今回が初めてではない
緊急事態条項に対して長谷部が事実を隠しての「悪魔化」言説を述べたのは今回が初めてではない。
2016年3月18日に放送されたテレ朝・報道ステーションの「ワイマール憲法」に関する特集で、長谷部は上記した自民党改憲草案の第99条の条文案のパネルの前で、今回2023年と同じことを言っていたのである。
その番組で掲げられていたパネルの第99条は、第2項が省略されており、「事後に国会の承認を得なければならない」との牽制部分が隠されていたのである。
その様な長谷部の卑怯な言説に対して、当方は本ブログでそのことを指摘している。(*4)
あれから既に7年が経過しているのだが、何等の進歩もない同じ手口で緊急事態条項があたかも危険な条項であるかの様な虚偽を言い続けているのが長谷部なのである。
呆れた存在である。
以上である。
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【文末脚注】
(*1):特に緊急事態条項の様に他の国々では存在しているのに我が国では現行憲法になる際に削除されてしまった条項の場合は、我が国と同等の国々、例えばG7諸国などの憲法の緊急事態条項がどの様なものかを調べるのは当たり前の憲法研究の姿勢である。
↓
2017/06/16投稿:
(資料編)各国の緊急事態条項
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-695.html
2017/07/29投稿:
(資料編)G7主要国以外の緊急事態条項
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-723.html
(*2):本ブログでは以前、緊急事態条項が具備すべき要件を我が国と同等と思える国々の憲法を参照しながら考察した。その概要を書くだけでかなりの長さになるので、ここでは繰り返さないが、今回の文末脚注の「(*2)」にそのリンクを貼っておくのでご興味があればご一読いただきたい。かなり長いけど。
↓
017/06/22投稿:
緊急事態条項に関する考察・要件提示
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-700.html
2017/06/23投稿:
緊急事態条項の要件を検証する(その1)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-701.html
2017/06/25投稿:
緊急事態条項の要件を検証する(その2)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-702.html
2017/06/27投稿:
緊急事態条項の要件を検証する(その3)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-703.html
2017/06/28投稿:
緊急事態条項の要件を検証する(その4)Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-704.html
2017/07/28投稿:
緊急事態条項・要件に基づく考察1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-722.html
2017/07/30投稿:
緊急事態条項・要件に基づく考察2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-724.html
2017/08/01投稿:
緊急事態条項・要件に基づく考察3
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-725.html
2017/08/04投稿:
緊急事態条項・要件に基づく考察4・ワイマール憲法
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-726.html
(*3):自民党が2012年に公表した改憲草案の緊急事態条項案
↓
<2012年の自民党改憲草案の緊急事態条項>
https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf
※PDFファイル:スマホの方は要注意
【ご参考】
2016/08/09投稿:
自民党改憲草案の紹介6
副題:自民党改憲草案の良いところ・悪いところの概要。
<第9章・緊急事態>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-479.html
(*4):緊急事態条項に対して長谷部が事実を隠しての「悪魔化」言説を述べたのは今回が初めてではない。2016年3月18日に放送されたテレ朝・報道ステーションの「ワイマール憲法」に関する特集で、長谷部は上記した自民党改憲草案の第99条の条文案のパネルの前で、今回2023年と同じことを言っていたのである。その番組で掲げられていたパネルの第99条は、第2項が省略されており、「事後に国会の承認を得なければならない」との牽制部分が隠されていたのである。その様な長谷部の卑怯な言説に対して、当方は本ブログでそのことを指摘している。
↓
2016/03/23投稿:
【コラム】スタジオ編1報ステ「ワイマール憲法」の笑止千万
副題:悪質なる印象操作の種明かし4
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-370.html
2016/03/24投稿:
【コラム】スタジオ編2報ステ「ワイマール憲法」の笑止千万
副題:悪質なる印象操作の種明かし5
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-371.html
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