中露会談・自分達に都合がよい話をしたい中国の12項目(後編・中国式話法)
- 2023/03/28
- 21:20
中露会談・自分達に都合がよい話をしたい中国の12項目(後編・中国式話法)
副題:副題:「台湾は中国固有の領土」との設定を押し通すつもりの中国。ウクライナでのロシアの動きを利用して存在感をアピールしている中国。
今回は前回の「前編・ロシアの視点」(*1)からの続きである。
中露会談をこの時期に開催した中国の狙いの1つは「中国は自分達を世界に誇示する為」「プレステージアピール」であろうとの推測を前回述べた。そして「他にもある」とも述べた。
中露会談でウクライナに関して具体的な解決策が示されなかったことは、逆に言えば、中国は「「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」での12項目で提起済」だと主張しているものだと理解できる旨も述べた。
今回はそういう視点で、あらためて中国は12項目で何を主張しているのかを見る事にする。
中国は中露会談に先立ち2023年2月24日付で「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」と称するロシアのウクライナ侵攻に対する中国の主張を12項目にまとめ文章を公開している。(*2)
同文書は12の項目と、それに続く項目に対する短い説明文で構成されているもので、12項目だけを紹介すると以下の様なものになっている。
↓
(1)各国の主権尊重
(2)冷戦思考の排除
(3)停戦、戦闘の終了
(4)和平対話の始動
(5)人道危機の解決
(6)民間人と捕虜の保護
(7)原子力発電所の安全確保
(8)戦略的リスクの減少
(9)食糧の国外輸送の保障
(10)一方的制裁の停止
(11)産業チェーン・サプライチェーンの安定確保
(12)戦後復興の推進
これら項目の内容を読んでみたところ、中国の意図が分かるものと意図がわからないものが混在していた。
「意図がわからない」のは多分、当方の知識が足りないのであろうが、逆に「意図がわかる」ものについて論を進める。
最初の項目「(1)各国の主権尊重」は、最初に掲げられていることからも中国が最も言いたかったことなのであろうと推測されるものである。
機械翻訳なのだが、最初の項目の説明文を以下に紹介する。
↓
<引用開始>
一、尊重各国主权。
第一に、すべての国の主権を尊重する。 国際連合憲章の目的と原則を含む普遍的に認められた国際法は厳格に遵守されるべきであり、すべての国の主権、独立および領土保全は効果的に保証されるべきである。 大小、強国、弱国、富裕国か貧困国かを問わず、すべての国は平等であり、すべての当事者は国際関係を支配する基本的な規範を共同で保護し、国際的な公正と正義を守る必要があります。 国際法は、二重基準なしに、平等かつ一律に適用されるべきである。
<引用終わり>
「国家主権の尊重」との当たり前のことを、あの中国が言っているので眉に唾をつけて読まなくては、。思うまでもなく想起されたのは「中国の設定では台湾は中国の一部」=「台湾は主権国家じゃない」である。所謂「1つの中国」である。
要するに、中国が台湾に武力進攻して制圧しても、それは国内問題であり、諸外国は内政干渉するな、といういつもの設定が書かれているものだ。
これは、ロシアのウクライナ侵攻と中国の台湾侵攻は違うもので、ウクライナへの武器供与支援と同じ事を台湾には「出来ないんだよ」ということを中国が主張しているものである。
機械翻訳した説明文の中に「国連憲章」が出てくるのは、国連では中国の「設定」が通用するからである。
次の「冷戦思考の排除」は解釈が難しいが、そのまま素直に読めば、多分、中国は「ロシアvsNATO諸国+α」の構図が普遍化して、「中国vs日米印豪クアッド&G7+α」との構図になることを警戒しているのではないかと思われる。
どうやら中国はインド太平洋戦略で対抗されるのをかなり嫌っている様である。
その次の「停戦、戦闘の終了」「和平対話の始動」に対する短い説明文を読むと、当たり前のことしか書いてないが、一言で言えば「停戦会談の開始をしよう」との呼び掛けになっているものだ。
現在のウクライナ情勢は、ウクライナ側・ロシア側ともに大きく戦線が変化させる様な状態にはなく、どちらかが圧倒的に有利という状態ではない。
そういう状態での「停戦協議」「停戦の実行」の結果は、「その時の状態での停戦」となるのが通例である。
我々日本人がよく知る歴史上の事例としては朝鮮戦争の停戦がある。長い停戦協議の期間中、ずっと38度線を境に膠着状態が続いており、1953年7月の休戦協定署名時での状態で休戦して現在に至っているものである。
尚、朝鮮戦争休戦協定の署名者は、北が北朝鮮・金日成と自称「義勇軍」の中国・抗美援朝人民解放軍司令の彭徳懐。南は国連軍を代表してアメリカ陸軍中将が署名した。当時の韓国大統領・李承晩は朝満国境まで進撃しての「北進統一」を頑なに主張しており、署名をしていない。
朝鮮半島の南北分断(*3)以外の事例としては、中東戦争でのイスラエルの占領があり、習近平が言う「停戦、戦闘の終了」「和平対話の始動」とは、「ウクライナ東部のロシアへの分割併合でウクライナ事態を終わらせよう」という意味に他ならないのである。
これ以降の項目は基本的には「停戦、戦闘の終了」「和平対話の始動」をサポートする為のものだと考えるので、一々細かくは述べないが、概ね以下の様なものだと解釈している。
○:「(3)停戦、戦闘の終了」「(4)和平対話の始動」を促進させる為の項目
↓
(5)人道危機の解決、(6)民間人と捕虜の保護、(7)原子力発電所の安全確保、(8)戦略的リスクの減少、(9)食糧の国外輸送の保障、(11)産業チェーン・サプライチェーンの安定確保、(12)戦後復興の推進
※(5)~(9)及び(11)の各問題は停戦となれば消滅する問題。また(12)は停戦後の復興の話を持ち出して、現状での停戦=ウクライナ東部のロシアへの併合を以て終結したらどうかという提案を中国はしているものである。
○:「(2)冷戦思考の排除」を補完する為の項目
↓
(10)一方的制裁の停止
※仮にロシアがウクライナからの撤退との形勢不利な状態で停戦してしまった場合、専制主義国中国が「次の無力化対象」となってしまうので、自由民主主義国の結束を警戒しているものと想定される。
12項目を見ていくと、この様に大きくは3つにまとめられると考える。
↓
その1:項目1:中国の台湾侵攻は「中国の国内問題」であるとの主張
その2:自由民主主義陣営はロシアや中国を追い詰める結束体制をつくるのはやめろ。
その3:ロシアがウクライナ東部を占領している状態で早く停戦した方が身のためだ。
表題の「指桑罵槐」とは【桑の木を指さして、槐(エンジュ)の木を罵る】のことである。
中国の兵法書「三十六計」にあり、本当に注意したい相手を直接名指して注意するのではなく、別の相手を批判することで、人心に影響を与えるものである。
今回の中国の12項目も「一般論」や「当り前のこと」の様な体裁を取りながら、その実、自分達(中国)に都合がよい話をしているだけである。
表題に「中国式話法」と書いたのと、こういう事だからである。
中露会談をこの時期に開催した中国の狙いの1つは「中国は自分達を世界に誇示する為」「プレステージアピール」であろうとの推測を前回述べた。そして「他にもある」とも述べた。
12項目を読む事で、中国が自分を誇示する以外に幾つかの主張をしていることが分かった。
1つは、中国が台湾に武力進攻して併合する動きは「ウクライナ事態とは異なり「中国の国内問題」だ」という中国の「設定」をアピールするものであること。
もう1つは、早く「停戦」の話し合いをして、ウクライナの東部をロシアに併合させることを着地点として「ロシアが負けない様にする」ことで、自分達が自由民主主義勢力の矢面に立つことを避けることである。
ウクライナ事態が、どの様な形で停戦・休戦となるのかを予想することは至難だが、だからこそ、「自分達にとって不利にならない様にする」ことが肝要だ。
中国は、「ロシアが負けない様にする」ことが自国にとって利益となるので、この様な12項目を提示したのだと思う。
中国はしたたかであり、また、我が国メディアに深く浸透していると想定されるので、「何かいい事を言っている」時ほど注意しないと危ない存在だ。中国の言動には注意を怠ってはならないと考えているので、少々論じてみた次第である。
今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1):前回の「前編・ロシアの視点」
↓
2023/03/26投稿:
中露会談・自分達に都合がよい話をしたい中国の12項目(前編・ロシアの視点)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1748.html
(*2):中国は中露会談に先立ち2023年2月24日付で「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」と称するロシアのウクライナ侵攻に対する中国の主張を12項目にまとめ文章を公開している。
↓
JETRO HP 2023年02月28日
見出し:◆中国、ウクライナ危機に対するポジションペーパーを発表、和平交渉プラットフォーム設立を提案
https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/02/64070a42d40bb102.html
記事:○中国の外交部は2月24日、「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」と題する文章を公開した。ロシアのウクライナ侵攻に対する中国の主張を12項目にまとめたもの。
○同文書は、(1)各国の主権尊重、(2)冷戦思考の排除、(3)停戦、戦闘の終了、(4)和平対話の始動、(5)人道危機の解決、(6)民間人と捕虜の保護、(7)原子力発電所の安全確保、(8)戦略的リスクの減少、(9)食糧の国外輸送の保障、(10)一方的制裁の停止、(11)産業チェーン・サプライチェーンの安定確保、(12)戦後復興の推進、という項目からなる(添付資料表参照)。従来からの主張に加えて、中国は和平交渉プラットフォームの設立やロシア・ウクライナ間の捕虜交換、戦後復興の推進支援に役割を発揮するとしている。
○外交部は同日の記者会見で、「中国はウクライナ問題について、終始、客観的で公正な立場を取り、積極的に和平を促し対話を促進し、危機の解決のために建設的な役割を果たしてきた」との認識を示し、同文書に基づいて、引き続き国際社会とともにウクライナ危機の政治的解決のために貢献するとした。一方で、和平交渉プラットフォーム設立などに向けた具体的な方策については言及しなかった。
○2月24日の中国中央テレビは「中国はウクライナ危機の当事者ではないが、手をこまねいて見ているわけではない」として、文書はウクライナ危機の政治的解決のために、詳細で確実な、実行可能な解決策を提供したものと報じた。
○2月25日付の人民日報は「ウクライナ危機の政治的解決のために中国の知恵と中国の解決策を提供し、動揺する世界にさらなる安定と確実性をもたらすために、大国の責任を体現したもの」と評価した。
○中国国際問題研究院ユーラシア研究所の李自国所長は、2月21日に発表された「グローバル安全保障イニシアチブコンセプトペーパー」と合わせて、中国は平和の側、対話の側、歴史的に正しい側に立ち、国際社会とともにグローバルな安全を守るという立場を表明したものだとした(「新華網」2月24日)。
○中国国際問題研究院欧州研究所の崔洪健所長は、文書について「西側諸国の言ういわゆる和平案ではなく、中国のウクライナ危機に対する見方や、国際社会が受けている影響に対する認識に基づいた基本的な判断」とした(「澎湃新聞」2月24日)。(河野円洋)
<引用終わり>
【ご参考】※中国語(自動翻訳で日本語になる)
关于政治解决乌克兰危机的中国立场
2023-02-24 09:00
https://www.fmprc.gov.cn/zyxw/202302/t20230224_11030707.shtml
(*3):朝鮮半島の南北分断
↓
2019/04/21投稿:
根拠は何処に?朝鮮半島分断の責任
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【ご参考】
2020/07/28投稿:
「パクス・シニカ」との暗黒未来を阻止する
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1401.html
2023/02/07投稿:
「真の国際秩序」との苦し紛れ・中国の相変わらずの難癖
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1732.html
【ご参考】
2018/10/11投稿:
ヘゲモニーチャレンジャー中国・事大主義小中華韓国
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1032.html
2019/05/29投稿:
先の大戦後の現在の世界情勢は第三段階にある
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副題:副題:「台湾は中国固有の領土」との設定を押し通すつもりの中国。ウクライナでのロシアの動きを利用して存在感をアピールしている中国。
今回は前回の「前編・ロシアの視点」(*1)からの続きである。
中露会談をこの時期に開催した中国の狙いの1つは「中国は自分達を世界に誇示する為」「プレステージアピール」であろうとの推測を前回述べた。そして「他にもある」とも述べた。
中露会談でウクライナに関して具体的な解決策が示されなかったことは、逆に言えば、中国は「「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」での12項目で提起済」だと主張しているものだと理解できる旨も述べた。
今回はそういう視点で、あらためて中国は12項目で何を主張しているのかを見る事にする。
中国の12項目は何を言っているのか?
中国は中露会談に先立ち2023年2月24日付で「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」と称するロシアのウクライナ侵攻に対する中国の主張を12項目にまとめ文章を公開している。(*2)
同文書は12の項目と、それに続く項目に対する短い説明文で構成されているもので、12項目だけを紹介すると以下の様なものになっている。
↓
(1)各国の主権尊重
(2)冷戦思考の排除
(3)停戦、戦闘の終了
(4)和平対話の始動
(5)人道危機の解決
(6)民間人と捕虜の保護
(7)原子力発電所の安全確保
(8)戦略的リスクの減少
(9)食糧の国外輸送の保障
(10)一方的制裁の停止
(11)産業チェーン・サプライチェーンの安定確保
(12)戦後復興の推進
これら項目の内容を読んでみたところ、中国の意図が分かるものと意図がわからないものが混在していた。
「意図がわからない」のは多分、当方の知識が足りないのであろうが、逆に「意図がわかる」ものについて論を進める。
最初の項目「(1)各国の主権尊重」は、最初に掲げられていることからも中国が最も言いたかったことなのであろうと推測されるものである。
機械翻訳なのだが、最初の項目の説明文を以下に紹介する。
↓
<引用開始>
一、尊重各国主权。
第一に、すべての国の主権を尊重する。 国際連合憲章の目的と原則を含む普遍的に認められた国際法は厳格に遵守されるべきであり、すべての国の主権、独立および領土保全は効果的に保証されるべきである。 大小、強国、弱国、富裕国か貧困国かを問わず、すべての国は平等であり、すべての当事者は国際関係を支配する基本的な規範を共同で保護し、国際的な公正と正義を守る必要があります。 国際法は、二重基準なしに、平等かつ一律に適用されるべきである。
<引用終わり>
「国家主権の尊重」との当たり前のことを、あの中国が言っているので眉に唾をつけて読まなくては、。思うまでもなく想起されたのは「中国の設定では台湾は中国の一部」=「台湾は主権国家じゃない」である。所謂「1つの中国」である。
要するに、中国が台湾に武力進攻して制圧しても、それは国内問題であり、諸外国は内政干渉するな、といういつもの設定が書かれているものだ。
これは、ロシアのウクライナ侵攻と中国の台湾侵攻は違うもので、ウクライナへの武器供与支援と同じ事を台湾には「出来ないんだよ」ということを中国が主張しているものである。
機械翻訳した説明文の中に「国連憲章」が出てくるのは、国連では中国の「設定」が通用するからである。
次の「冷戦思考の排除」は解釈が難しいが、そのまま素直に読めば、多分、中国は「ロシアvsNATO諸国+α」の構図が普遍化して、「中国vs日米印豪クアッド&G7+α」との構図になることを警戒しているのではないかと思われる。
どうやら中国はインド太平洋戦略で対抗されるのをかなり嫌っている様である。
その次の「停戦、戦闘の終了」「和平対話の始動」に対する短い説明文を読むと、当たり前のことしか書いてないが、一言で言えば「停戦会談の開始をしよう」との呼び掛けになっているものだ。
現在のウクライナ情勢は、ウクライナ側・ロシア側ともに大きく戦線が変化させる様な状態にはなく、どちらかが圧倒的に有利という状態ではない。
そういう状態での「停戦協議」「停戦の実行」の結果は、「その時の状態での停戦」となるのが通例である。
我々日本人がよく知る歴史上の事例としては朝鮮戦争の停戦がある。長い停戦協議の期間中、ずっと38度線を境に膠着状態が続いており、1953年7月の休戦協定署名時での状態で休戦して現在に至っているものである。
尚、朝鮮戦争休戦協定の署名者は、北が北朝鮮・金日成と自称「義勇軍」の中国・抗美援朝人民解放軍司令の彭徳懐。南は国連軍を代表してアメリカ陸軍中将が署名した。当時の韓国大統領・李承晩は朝満国境まで進撃しての「北進統一」を頑なに主張しており、署名をしていない。
朝鮮半島の南北分断(*3)以外の事例としては、中東戦争でのイスラエルの占領があり、習近平が言う「停戦、戦闘の終了」「和平対話の始動」とは、「ウクライナ東部のロシアへの分割併合でウクライナ事態を終わらせよう」という意味に他ならないのである。
これ以降の項目は基本的には「停戦、戦闘の終了」「和平対話の始動」をサポートする為のものだと考えるので、一々細かくは述べないが、概ね以下の様なものだと解釈している。
○:「(3)停戦、戦闘の終了」「(4)和平対話の始動」を促進させる為の項目
↓
(5)人道危機の解決、(6)民間人と捕虜の保護、(7)原子力発電所の安全確保、(8)戦略的リスクの減少、(9)食糧の国外輸送の保障、(11)産業チェーン・サプライチェーンの安定確保、(12)戦後復興の推進
※(5)~(9)及び(11)の各問題は停戦となれば消滅する問題。また(12)は停戦後の復興の話を持ち出して、現状での停戦=ウクライナ東部のロシアへの併合を以て終結したらどうかという提案を中国はしているものである。
○:「(2)冷戦思考の排除」を補完する為の項目
↓
(10)一方的制裁の停止
※仮にロシアがウクライナからの撤退との形勢不利な状態で停戦してしまった場合、専制主義国中国が「次の無力化対象」となってしまうので、自由民主主義国の結束を警戒しているものと想定される。
12項目を見ていくと、この様に大きくは3つにまとめられると考える。
↓
その1:項目1:中国の台湾侵攻は「中国の国内問題」であるとの主張
その2:自由民主主義陣営はロシアや中国を追い詰める結束体制をつくるのはやめろ。
その3:ロシアがウクライナ東部を占領している状態で早く停戦した方が身のためだ。
中国の12項目は自分達の為の指桑罵槐
表題の「指桑罵槐」とは【桑の木を指さして、槐(エンジュ)の木を罵る】のことである。
中国の兵法書「三十六計」にあり、本当に注意したい相手を直接名指して注意するのではなく、別の相手を批判することで、人心に影響を与えるものである。
今回の中国の12項目も「一般論」や「当り前のこと」の様な体裁を取りながら、その実、自分達(中国)に都合がよい話をしているだけである。
表題に「中国式話法」と書いたのと、こういう事だからである。
まとめ
中露会談をこの時期に開催した中国の狙いの1つは「中国は自分達を世界に誇示する為」「プレステージアピール」であろうとの推測を前回述べた。そして「他にもある」とも述べた。
12項目を読む事で、中国が自分を誇示する以外に幾つかの主張をしていることが分かった。
1つは、中国が台湾に武力進攻して併合する動きは「ウクライナ事態とは異なり「中国の国内問題」だ」という中国の「設定」をアピールするものであること。
もう1つは、早く「停戦」の話し合いをして、ウクライナの東部をロシアに併合させることを着地点として「ロシアが負けない様にする」ことで、自分達が自由民主主義勢力の矢面に立つことを避けることである。
ウクライナ事態が、どの様な形で停戦・休戦となるのかを予想することは至難だが、だからこそ、「自分達にとって不利にならない様にする」ことが肝要だ。
中国は、「ロシアが負けない様にする」ことが自国にとって利益となるので、この様な12項目を提示したのだと思う。
中国はしたたかであり、また、我が国メディアに深く浸透していると想定されるので、「何かいい事を言っている」時ほど注意しないと危ない存在だ。中国の言動には注意を怠ってはならないと考えているので、少々論じてみた次第である。
今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1):前回の「前編・ロシアの視点」
↓
2023/03/26投稿:
中露会談・自分達に都合がよい話をしたい中国の12項目(前編・ロシアの視点)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1748.html
(*2):中国は中露会談に先立ち2023年2月24日付で「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」と称するロシアのウクライナ侵攻に対する中国の主張を12項目にまとめ文章を公開している。
↓
JETRO HP 2023年02月28日
見出し:◆中国、ウクライナ危機に対するポジションペーパーを発表、和平交渉プラットフォーム設立を提案
https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/02/64070a42d40bb102.html
記事:○中国の外交部は2月24日、「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」と題する文章を公開した。ロシアのウクライナ侵攻に対する中国の主張を12項目にまとめたもの。
○同文書は、(1)各国の主権尊重、(2)冷戦思考の排除、(3)停戦、戦闘の終了、(4)和平対話の始動、(5)人道危機の解決、(6)民間人と捕虜の保護、(7)原子力発電所の安全確保、(8)戦略的リスクの減少、(9)食糧の国外輸送の保障、(10)一方的制裁の停止、(11)産業チェーン・サプライチェーンの安定確保、(12)戦後復興の推進、という項目からなる(添付資料表参照)。従来からの主張に加えて、中国は和平交渉プラットフォームの設立やロシア・ウクライナ間の捕虜交換、戦後復興の推進支援に役割を発揮するとしている。
○外交部は同日の記者会見で、「中国はウクライナ問題について、終始、客観的で公正な立場を取り、積極的に和平を促し対話を促進し、危機の解決のために建設的な役割を果たしてきた」との認識を示し、同文書に基づいて、引き続き国際社会とともにウクライナ危機の政治的解決のために貢献するとした。一方で、和平交渉プラットフォーム設立などに向けた具体的な方策については言及しなかった。
○2月24日の中国中央テレビは「中国はウクライナ危機の当事者ではないが、手をこまねいて見ているわけではない」として、文書はウクライナ危機の政治的解決のために、詳細で確実な、実行可能な解決策を提供したものと報じた。
○2月25日付の人民日報は「ウクライナ危機の政治的解決のために中国の知恵と中国の解決策を提供し、動揺する世界にさらなる安定と確実性をもたらすために、大国の責任を体現したもの」と評価した。
○中国国際問題研究院ユーラシア研究所の李自国所長は、2月21日に発表された「グローバル安全保障イニシアチブコンセプトペーパー」と合わせて、中国は平和の側、対話の側、歴史的に正しい側に立ち、国際社会とともにグローバルな安全を守るという立場を表明したものだとした(「新華網」2月24日)。
○中国国際問題研究院欧州研究所の崔洪健所長は、文書について「西側諸国の言ういわゆる和平案ではなく、中国のウクライナ危機に対する見方や、国際社会が受けている影響に対する認識に基づいた基本的な判断」とした(「澎湃新聞」2月24日)。(河野円洋)
<引用終わり>
【ご参考】※中国語(自動翻訳で日本語になる)
关于政治解决乌克兰危机的中国立场
2023-02-24 09:00
https://www.fmprc.gov.cn/zyxw/202302/t20230224_11030707.shtml
(*3):朝鮮半島の南北分断
↓
2019/04/21投稿:
根拠は何処に?朝鮮半島分断の責任
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1160.html
【ご参考】
2020/07/28投稿:
「パクス・シニカ」との暗黒未来を阻止する
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1401.html
2023/02/07投稿:
「真の国際秩序」との苦し紛れ・中国の相変わらずの難癖
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1732.html
【ご参考】
2018/10/11投稿:
ヘゲモニーチャレンジャー中国・事大主義小中華韓国
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1032.html
2019/05/29投稿:
先の大戦後の現在の世界情勢は第三段階にある
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