勘違いが甚だしい我が国「ジャーナリスト」・事実報道を軽んじる感覚異常
- 2022/11/27
- 21:27
勘違いが甚だしい我が国「ジャーナリスト」・事実報道を軽んじる感覚異常
副題:事実を伝えることを最優先にしていない我が国ジャーナリスト。そんな彼等は歪んだプリズム。彼等を透して投影される記事の姿が歪むのはむべなるかな。
今回の題材は、まとめサイト・保守速報で紹介された各国ジャーナリストの価値観調査の結果である。(*1)
その調査結果をツイートした方のツイートをスレッドテーマにしたもので、その結果の画像は以下のURLをクリックしていただければご覧いただける。
↓
https://hosyusokuhou.jp/wp/wp-content/uploads/2022/11/Fv5q7Ko.jpg
そこで指摘されていることは、約20の選択肢の中で「Report things as they are = 事実をありのままに伝える」という事実報道に対して、その重要度を5段階で評価し、「extremely important(極めて重要)」及び「very important(とても重要)」と答えたジャーナリストの比率が我が国ジャーナリストが他の先進諸国のジャーナリストに比して有意差を以て低いというものだ。
事実報道を重視している比率は、上記jpeg画像の米英仏独露中日の6ヶ国では以下の通り、我が国だけが異様に低い。尚、パーセンテージの次に書いた順位は、その国で重要比率順である。
↓
アメリカ: 98.3%:1位
フランス: 96.5%:1位
イギリス: 93.0%:1位
ドイツ : 90.7%:1位
中 国 : 83.8%:1位
ロシア : 78.7%:1位
日 本 : 65.1%:4位
我が国メディアが事実報道を重視していないことに対して、当方は以前から苦言を呈してきた。(*2)
以前の論考で提示したものは以下の様なことである。
↓
<前提>
・我が国は立憲君主制の自由民主主義国であり、3つある主権のうちの1つである「国民主権」(*3)とは政治的判断を国民が投票他を以て最終的意思決定する建て付けである。
・その中でのメディア役割:国民が判断する際に判断材料を適切に提供するのがメディア・ジャーナリストの使命・役割である。
<我が国での事例「報道しない自由」その1>
・今や21世紀の世界的価値観となった【自由で開かれたインド・太平洋】であるが、その基礎を確立できたのは2017年9月の安倍首相(当時)のインド訪問での日印共同声明がその嚆矢である。しかしながら、我が国メディアは肝心な日印共同声明については報導せず、歓迎パレードの様子だけがニュースとなっていた。(*4)
安倍首相は2015年4月のアメリカ議会演説で【太平洋から、インド洋にかけての広い海を、自由で、法の支配が貫徹する平和の海にしなければなりません。】と後のインド太平洋戦略のベーシックプランを述べているのだが、2017年9月の日印共同声明以前のG7などでは、「アジア太平洋戦略」とか「太平洋戦略」と称していたものであるが、2017年9月の安倍・モディ両首相の共同声明からは「インド太平洋」との表現となっているものである。
この様な重要な内容を当時のメディアは報道していないのである。
<我が国での事例その2>
・インド太平洋と同様に、自由主義世界同盟の理念の具体化の1つであるQuad(日米印豪戦略対話)の確立・仕上げに向けた2018年11月のオーストラリア訪問(*5)へのメディアの注目度も低かった。
Quadに至る我が国安倍政権の動きは、日豪準同盟、日印準同盟とダイヤモンドセキュリティー構想に基づき基礎固めを行い、豪州が所属するコモンウェルズ(*6)の宗主国たるイギリスとの関係強化を実施し、アメリカ大統領トランプの賛同を取り付けるなどをしてQuadを実現したものである。自由で開かれたインド・太平洋とQuadは同一線上にあるのだが、その過程に於いて、その各々がどういう意味を持つのかとの報道は見た覚えがない。
だからこそこのブログでの題材にしてきたのである。
これら2つの事例は、21世紀の世界に対して稀代の戦略家・安倍晋三が世界を動かしている過程である。その過程は我が国のみならず自由民主主義世界に針路を示した動きであるのだが、リアルタイムで進行しているこれらの動きの本質を我が国メディアは「安倍が××会議に参加した」というレベルでしか報じなかった。
「報道しない自由」という情報操作の事例は上記2例以外にも多々あり、それらを全部紹介しきれるものではないので、ここまでとするが、幸いなことに、我が国国民はメディアが「報道しない自由」で設定している幻影世界に騙されることなく、選挙の都度、安倍政権を大勝させ続けたので、これらの動きを完成させることが出来たと考えているものである。
最初に紹介したツイートのjpeg画像は6ヶ国が抽出されまとめられているものだが、調査対象国は63ヶ国に及ぶので、6ヶ国以外の国の幾つかを調べてみた。
選定したのは、先ず我が国と同等の自由民主主義先進諸国であるG7諸国のイタリア、カナダ。そして西欧文明圏諸国(*7)から6ヶ国、またアジア諸国から6ヶ国の合計15ヶ国を追加して調べてみた。
その結果は以下の通りである。
↓
<G7諸国>
イタリア : 90.4%:1位
加州 : 96.9%:1位
<西欧文明圏諸国>
豪州 : 93.0%:1位
スイス : 94.4%:1位
スウェーデン: 96.4%:1位
ベルギー : 94.2%:1位
デンマーク : 90.9%:1位
NZ : 94.0%:1位
<アジア諸国>
フィリピン : 95.1%:1位
タイ : 88.7%:1位
シンガポール: 49.5%:2位
マレーシア : 79.3%:2位
台湾 :元データになし
韓国 : 92.9%:1位
香港 : 79.8%:2位
ご覧の通り、G7の7ヶ国中、我が国以外の6ヶ国は総て事実報道が最重要1位であり、6ヶ国総てで90%以上のジャーナリストが「極めて重要」「とても重要」と回答している。
また、西欧文明圏諸国追加6ヶ国も同様で、総て1位、総て90%以上である。
アジア諸国では幾つか特徴的な結果が見られた。
特異なのはシンガポールの回答結果である。シンガポールジャーナリストの回答1位は50.6%の「Monitor and scrutinize political leaders(政治指導者を監視し精査する)」で、2位が49.5%の「Report things as they are = 事実をありのままに伝える」となっており、それ以降の全項目が50%未満である。
シンガポールは赴任している日本人ビジネスマンから「シンガポールってのは「明るい北朝鮮」なんだよね」との愚痴が囁かれる国なので、同国のジャーナリストからすれば「約20項目の質問の総てが重要ではない」という回答になったものと推察される。
こんなことを書くとあたかも当方がシンガポールに対して否定的であるかの様な誤解が生じる危険性があるが、当方はシンガポールの移民政策は自国と自国民を守る為に参考になる政策だと高く評価しており、シンガポールを否定しているものではない。
シンガポールとジョホール海峡を隔てただけの隣国マレーシアのジャーナリストの1位は「Educate the audience(読者・視聴者を教育・啓蒙する)」81.8%で、事実報道は79.3%の僅差で2位となっているものである。それでも日本のジャーナリストの4位・65.1%よりも14%以上も高い。
シンガポールが「明るい北朝鮮」ならば、香港は一国二制度の約束を中国共産党(中共)に反故にされ中共中央の専制統制下にある。(*8)
香港ジャーナリストの回答での事実報道の重要さは79.8%で2位となっているが、1位は僅差の80.0%で「Monitor and scrutinize political leaders(政治指導者を監視し精査する)」である。
これは中共により押し付けられた香港国家安全維持法で規定された香港特別行政区の行政執行者に対して注意が必要だからであろう。香港の行政執行者は中共中央の傀儡であるが、行政執行者が香港人に対して何かをしでかした場合、香港人の命に危険性が及ぶので、国際社会に向けてそれを発信し自衛することが必要な状況にあることからの1位なのであろうと推察される。
香港ジャーナリストの回答での事実報道の重要さは1位と僅かに0.2%差の79.8%となっているものだが、それでも日本のジャーナリストの4位・65.1%よりも14%以上も高い。
それ以外のアジア諸国3ヶ国(フィリピン95.1%・1位、タイ88.7%・1位、韓国92.9%・1位)は何れも1位となっているものである。
韓国の事実報道1位・92.9%の結果をにわかには信じられない方々も多々いると思うが、これは「事実報道が重要だ」ということを韓国のジャーナリストは知っていることを表しているものだ。実際と建前は一致しないのが韓国報道では良く見られるが、少なくとも建前では「事実報道が重要だ」ということ認知していると言えるものである。
これは逆に言えば、我が国ジャーナリストは「建前であっても「事実報道が重要だ」と回答するのがジャーナリストの常識」とさえ思っていないことの表れだと言える。
我が国「ジャーナリスト」の勘違いが甚だしい回答結果には唖然とせざるを得ない。
国別の調査結果のうち、我が国分を元データから抜粋すると以下の様な結果となっている。
↓
01:Monitor and scrutinize political leaders:90.8%
(政治指導者を監視し精査する)
02:Provide analysis of current affairs:84.7%
(時事問題の分析を提供する)
03:Provide information people need to make political decisions:83.0%
(人々の政治的意志決定に必要な情報を提供する)
- - 以降、66.7%(2/3)割れ - - - - - -
04:Report things as they are:65.1%
(事実をありのままに伝える)
05:Monitor and scrutinize business:62.9%
(ビジネスの監視と精査)
06:Set the political agenda:60.5%
(政治的アジェンダ(議題・課題)を設定する)
- - 以降、50%(半数)割れ - - - - - -
07:Motivate people to participate in political activity:48.7%
(人々に政治活動への参加を促す)
08:Support national development:45.6%
(国の発展を支援する)
09:Be a detached observer:44.1%
(客観的観察者となる)
10:Influence public opinion:43.1%
(世論に影響を及ぼす)
11:Provide the kind of news that attracts the largest audience:39.2%
(最も多くの読者・視聴者の興味を惹くニュースを報じる)
12:Provide advice, orientation and direction for daily life:39.2%
(日常生活への示唆・指針・指示を提供する)
- - 以降、33.3%(1/3)割れ - - - - - -
13:Advocate for social change:31.6%
(社会変革を提唱する)
14:Provide entertainment and relaxation:25.3%
(エンターテイメントとくつろぎの提供)
- - 以降、25%(1/4)割れ - - - - - -
15:Let people express their views:24.3%
(人々が意見を表明できるようにする)
16:Be an adversary of the government:10.4%
(政府に対して敵対的になる)
- - 以降、10%(1/10)割れ - - - - - -
17:Convey a positive image of political leadership:1.1%
(政治的リーダーのポジティブなイメージを伝える)
18:Support government policy:0.8%
(政府の政策を支持する)
なかなかに面白い結果だと思うが、長くなったので日本のジャーナリストの回答結果についての分析・感想については項を分けることにしたい。
ただ、最後に1つ述べておきたいのは、他の国にはあった選択肢「Educate the audience(読者・視聴者を教育・啓蒙する)」が日本にはないという点である。勘違い選民意識の持ち主である新聞記者(*9)やテレビ局の報道部記者の、この質問への回答を見てみたかったので残念である。今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1):今回の題材は、まとめサイト・保守速報で紹介された各国ジャーナリストの価値観調査の結果である。
↓
まとめサイト・保守速報 2022年11月22日15:30 | カテゴリ
スレッドタイトル:◆【アンケート】日本のジャーナリスト、「事実をありのままに伝えること」はあまり重視していないと判明wwwwwwwww
https://hosyusokuhou.jp/archives/48937303.html
記事:○ツイッターからの引用なので省略
(*2):我が国メディアが事実報道を重視していないことに対して、当方は以前から苦言を呈してきた。
↓
2016/02/24投稿:
【コラム】「報道の自由」・「国民の知る権利」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-342.html
2017/08/06投稿:
民主主義の土台を壊している偏向マスコミ
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-727.html
2017/08/19投稿:
国民の知る権利
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-734.html
【ご参考】
2017/07/22投稿:
最近のニュースの「報道しない自由」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-717.html
2019/12/15投稿:
「報道しない自由」で知らされていない重要施策・Blue Dot Network
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1294.html
etc.
(*3):3つある主権のうちの1つである「国民主権」とは政治的判断を国民が投票他を以て最終的意思決定する建て付けである。
↓
「主権」は単一ではなく、以下の3つの主権概念があり、我々日本国民が持つ「国民主権」とは、以下の主権3)のことである。
・主権1):国民及び領土を統治する主権。統治権
・主権2):国家が他国からの干渉を受けずに独自の意思決定を行うことが出来る主権。対外的国家主権
・主権3):国家の政治を最終的に決定する権利。我が国では国民が投票権他で行使。国民主権
※我が国やイギリスの様な自由民主主義の立憲君主国での建て付けでは、国民が主権3)を選挙を通じて行使し、選挙で選任された議員の数に応じて選任された首班に対して主権1)統治権の行使権が、統治権者から首班に委譲され首班が首相として行政が行われるとの建て付けになっているものである。。
【ご参考】
2015/09/05投稿:
【コラム】国家元首と政治権力者(統治権行使権者)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-202.html
2015/09/16投稿:
自己検証3 主権概念の整理
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-211.html
(*4):今や21世紀の世界的価値観となった【自由で開かれたインド・太平洋】であるが、その基礎を確立できたのは2017年9月の安倍首相(当時)のインド訪問での日印共同声明がその嚆矢である。しかしながら、我が国メディアは肝心な日印共同声明については報導せず、歓迎パレードの様子だけがニュースとなっていた。
↓
2017/09/17投稿:
安倍首相・インド訪問
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-754.html
<外務省HP>
日印共同声明(仮訳)
自由で開かれ,繁栄したインド太平洋に向けて
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000290053.pdf
※PDFファイル:スマホの方は要注意
(*5):Quad(日米印豪戦略対話)の確立・仕上げに向けた2018年11月のオーストラリア訪問
↓
2018年11月のダイヤモンドセキュリティー構想の一角を占める豪州=オーストラリアとの連携強化。具体的には2018年11月13日のペンス副大統領が来日しての日米共同声明。その翌日からのASEAN諸会議出席とその後のオーストラリア・ダーウィン訪問。そしてパプア・ニューギニアのポートモレスビーへのAPEC出席である。
2018/11/24投稿:
真珠湾攻撃が石油禁輸の結果である事の教訓から
<2018年11月・安倍外交怒涛の一週間Part1>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1060.html
2018/11/27投稿:
ASEAN10ヶ国の団結は中国の個別撃破戦術を防止する
<2018年11月・安倍外交怒涛の一週間Part2a>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1061.html
2018/11/28投稿:
RCEPは中国の悪い所を指摘できる枠組みへ
<2018年11月・安倍外交怒涛の一週間Part2b>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1062.html
2018/11/29投稿:
日豪首脳会談・ダーウィン(前編)
<2018年11月・安倍外交怒涛の一週間Part3(前編)>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1063.html
2018/12/01投稿:
日豪首脳会談・ダーウィン(後編)
<2018年11月・安倍外交怒涛の一週間Part3(後編)>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1064.html
2018/12/04投稿:
APEC・首脳宣言がなかった事は良かった
<2018年11月・安倍外交怒涛の一週間Part4-Final>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1066.html
【ご参考】
2018/11/21投稿:
(資料編)ASEAN/日豪首脳会談/APEC
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1058.html
(*6):コモンウェルズ
↓
2022/09/21 21:45
英連邦Commonwealthに関する記事に対する雑感
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1688.html
2018/10/06 20:11
イギリス陸軍との共同訓練・富士演習場
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1029.html
2015/09/05投稿:
【コラム】国家元首と政治権力者(統治権行使権者)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-202.html
(*7):西欧文明圏
↓
<現存する世界文明9つ>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E6%98%8E%E3%81%AE%E8%A1%9D%E7%AA%81#/media/File:Clash_of_Civilizations_mapn2.png
青色:Western(西欧文明圏)
水色:Orthodox (東方正教文明圏(スラブ文明))
緑色:Islamic(イスラム文明圏)
黄色:Buddhist(仏教文明圏)
橙色:Hindu(ヒンズー文明圏)
灰緑色:African(アフリカ文明圏)
紫色:Latin American(ラテンアメリカ文明圏)
赤色:Sinic(シナ文明圏)
桃色:Japanese(日本文明圏)
(*8):香港は一国二制度の約束を中国共産党(中共)に反故にされ中共中央の専制統制下にある。
↓
2020/07/04投稿:
序・香港国家安全維持法 条文の中身を求めて
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1390.html
2020/07/05投稿:
香港国家安全維持法 条文の中身を見る(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1391.html
2020/07/10投稿:
香港国家安全維持法 条文の中身を見る(中編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1393.html
2020/07/13投稿:
香港国家安全維持法 条文の中身を見る(後編)Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1394.html
(*9):勘違い選民意識の持ち主である新聞記者
↓
2019/02/08投稿:
新聞記者はけして国民を代表していない
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1107.html
2021/07/11投稿:
新聞記者達の勘違い選民意識・コンプライアンス意識ゼロ(北海道新聞編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1530.html
2021/07/12投稿:
新聞記者達の勘違い選民意識・コンプライアンス意識ゼロ(琉球新報編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1531.html
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副題:事実を伝えることを最優先にしていない我が国ジャーナリスト。そんな彼等は歪んだプリズム。彼等を透して投影される記事の姿が歪むのはむべなるかな。
今回の題材は、まとめサイト・保守速報で紹介された各国ジャーナリストの価値観調査の結果である。(*1)
その調査結果をツイートした方のツイートをスレッドテーマにしたもので、その結果の画像は以下のURLをクリックしていただければご覧いただける。
↓
https://hosyusokuhou.jp/wp/wp-content/uploads/2022/11/Fv5q7Ko.jpg
そこで指摘されていることは、約20の選択肢の中で「Report things as they are = 事実をありのままに伝える」という事実報道に対して、その重要度を5段階で評価し、「extremely important(極めて重要)」及び「very important(とても重要)」と答えたジャーナリストの比率が我が国ジャーナリストが他の先進諸国のジャーナリストに比して有意差を以て低いというものだ。
事実報道を重視している比率は、上記jpeg画像の米英仏独露中日の6ヶ国では以下の通り、我が国だけが異様に低い。尚、パーセンテージの次に書いた順位は、その国で重要比率順である。
↓
アメリカ: 98.3%:1位
フランス: 96.5%:1位
イギリス: 93.0%:1位
ドイツ : 90.7%:1位
中 国 : 83.8%:1位
ロシア : 78.7%:1位
日 本 : 65.1%:4位
事実報道が最重要なのだが我が国では「報道しない自由」での隠蔽が横行している
我が国メディアが事実報道を重視していないことに対して、当方は以前から苦言を呈してきた。(*2)
以前の論考で提示したものは以下の様なことである。
↓
<前提>
・我が国は立憲君主制の自由民主主義国であり、3つある主権のうちの1つである「国民主権」(*3)とは政治的判断を国民が投票他を以て最終的意思決定する建て付けである。
・その中でのメディア役割:国民が判断する際に判断材料を適切に提供するのがメディア・ジャーナリストの使命・役割である。
<我が国での事例「報道しない自由」その1>
・今や21世紀の世界的価値観となった【自由で開かれたインド・太平洋】であるが、その基礎を確立できたのは2017年9月の安倍首相(当時)のインド訪問での日印共同声明がその嚆矢である。しかしながら、我が国メディアは肝心な日印共同声明については報導せず、歓迎パレードの様子だけがニュースとなっていた。(*4)
安倍首相は2015年4月のアメリカ議会演説で【太平洋から、インド洋にかけての広い海を、自由で、法の支配が貫徹する平和の海にしなければなりません。】と後のインド太平洋戦略のベーシックプランを述べているのだが、2017年9月の日印共同声明以前のG7などでは、「アジア太平洋戦略」とか「太平洋戦略」と称していたものであるが、2017年9月の安倍・モディ両首相の共同声明からは「インド太平洋」との表現となっているものである。
この様な重要な内容を当時のメディアは報道していないのである。
<我が国での事例その2>
・インド太平洋と同様に、自由主義世界同盟の理念の具体化の1つであるQuad(日米印豪戦略対話)の確立・仕上げに向けた2018年11月のオーストラリア訪問(*5)へのメディアの注目度も低かった。
Quadに至る我が国安倍政権の動きは、日豪準同盟、日印準同盟とダイヤモンドセキュリティー構想に基づき基礎固めを行い、豪州が所属するコモンウェルズ(*6)の宗主国たるイギリスとの関係強化を実施し、アメリカ大統領トランプの賛同を取り付けるなどをしてQuadを実現したものである。自由で開かれたインド・太平洋とQuadは同一線上にあるのだが、その過程に於いて、その各々がどういう意味を持つのかとの報道は見た覚えがない。
だからこそこのブログでの題材にしてきたのである。
これら2つの事例は、21世紀の世界に対して稀代の戦略家・安倍晋三が世界を動かしている過程である。その過程は我が国のみならず自由民主主義世界に針路を示した動きであるのだが、リアルタイムで進行しているこれらの動きの本質を我が国メディアは「安倍が××会議に参加した」というレベルでしか報じなかった。
「報道しない自由」という情報操作の事例は上記2例以外にも多々あり、それらを全部紹介しきれるものではないので、ここまでとするが、幸いなことに、我が国国民はメディアが「報道しない自由」で設定している幻影世界に騙されることなく、選挙の都度、安倍政権を大勝させ続けたので、これらの動きを完成させることが出来たと考えているものである。
事実報道が最重要だと考えている他国事例
最初に紹介したツイートのjpeg画像は6ヶ国が抽出されまとめられているものだが、調査対象国は63ヶ国に及ぶので、6ヶ国以外の国の幾つかを調べてみた。
選定したのは、先ず我が国と同等の自由民主主義先進諸国であるG7諸国のイタリア、カナダ。そして西欧文明圏諸国(*7)から6ヶ国、またアジア諸国から6ヶ国の合計15ヶ国を追加して調べてみた。
その結果は以下の通りである。
↓
<G7諸国>
イタリア : 90.4%:1位
加州 : 96.9%:1位
<西欧文明圏諸国>
豪州 : 93.0%:1位
スイス : 94.4%:1位
スウェーデン: 96.4%:1位
ベルギー : 94.2%:1位
デンマーク : 90.9%:1位
NZ : 94.0%:1位
<アジア諸国>
フィリピン : 95.1%:1位
タイ : 88.7%:1位
シンガポール: 49.5%:2位
マレーシア : 79.3%:2位
台湾 :元データになし
韓国 : 92.9%:1位
香港 : 79.8%:2位
ご覧の通り、G7の7ヶ国中、我が国以外の6ヶ国は総て事実報道が最重要1位であり、6ヶ国総てで90%以上のジャーナリストが「極めて重要」「とても重要」と回答している。
また、西欧文明圏諸国追加6ヶ国も同様で、総て1位、総て90%以上である。
アジア諸国では幾つか特徴的な結果が見られた。
特異なのはシンガポールの回答結果である。シンガポールジャーナリストの回答1位は50.6%の「Monitor and scrutinize political leaders(政治指導者を監視し精査する)」で、2位が49.5%の「Report things as they are = 事実をありのままに伝える」となっており、それ以降の全項目が50%未満である。
シンガポールは赴任している日本人ビジネスマンから「シンガポールってのは「明るい北朝鮮」なんだよね」との愚痴が囁かれる国なので、同国のジャーナリストからすれば「約20項目の質問の総てが重要ではない」という回答になったものと推察される。
こんなことを書くとあたかも当方がシンガポールに対して否定的であるかの様な誤解が生じる危険性があるが、当方はシンガポールの移民政策は自国と自国民を守る為に参考になる政策だと高く評価しており、シンガポールを否定しているものではない。
シンガポールとジョホール海峡を隔てただけの隣国マレーシアのジャーナリストの1位は「Educate the audience(読者・視聴者を教育・啓蒙する)」81.8%で、事実報道は79.3%の僅差で2位となっているものである。それでも日本のジャーナリストの4位・65.1%よりも14%以上も高い。
シンガポールが「明るい北朝鮮」ならば、香港は一国二制度の約束を中国共産党(中共)に反故にされ中共中央の専制統制下にある。(*8)
香港ジャーナリストの回答での事実報道の重要さは79.8%で2位となっているが、1位は僅差の80.0%で「Monitor and scrutinize political leaders(政治指導者を監視し精査する)」である。
これは中共により押し付けられた香港国家安全維持法で規定された香港特別行政区の行政執行者に対して注意が必要だからであろう。香港の行政執行者は中共中央の傀儡であるが、行政執行者が香港人に対して何かをしでかした場合、香港人の命に危険性が及ぶので、国際社会に向けてそれを発信し自衛することが必要な状況にあることからの1位なのであろうと推察される。
香港ジャーナリストの回答での事実報道の重要さは1位と僅かに0.2%差の79.8%となっているものだが、それでも日本のジャーナリストの4位・65.1%よりも14%以上も高い。
それ以外のアジア諸国3ヶ国(フィリピン95.1%・1位、タイ88.7%・1位、韓国92.9%・1位)は何れも1位となっているものである。
韓国の事実報道1位・92.9%の結果をにわかには信じられない方々も多々いると思うが、これは「事実報道が重要だ」ということを韓国のジャーナリストは知っていることを表しているものだ。実際と建前は一致しないのが韓国報道では良く見られるが、少なくとも建前では「事実報道が重要だ」ということ認知していると言えるものである。
これは逆に言えば、我が国ジャーナリストは「建前であっても「事実報道が重要だ」と回答するのがジャーナリストの常識」とさえ思っていないことの表れだと言える。
我が国「ジャーナリスト」の勘違いが甚だしい回答結果には唖然とせざるを得ない。
我が国「ジャーナリスト」は何が重要だと考えているのか?
国別の調査結果のうち、我が国分を元データから抜粋すると以下の様な結果となっている。
↓
01:Monitor and scrutinize political leaders:90.8%
(政治指導者を監視し精査する)
02:Provide analysis of current affairs:84.7%
(時事問題の分析を提供する)
03:Provide information people need to make political decisions:83.0%
(人々の政治的意志決定に必要な情報を提供する)
- - 以降、66.7%(2/3)割れ - - - - - -
04:Report things as they are:65.1%
(事実をありのままに伝える)
05:Monitor and scrutinize business:62.9%
(ビジネスの監視と精査)
06:Set the political agenda:60.5%
(政治的アジェンダ(議題・課題)を設定する)
- - 以降、50%(半数)割れ - - - - - -
07:Motivate people to participate in political activity:48.7%
(人々に政治活動への参加を促す)
08:Support national development:45.6%
(国の発展を支援する)
09:Be a detached observer:44.1%
(客観的観察者となる)
10:Influence public opinion:43.1%
(世論に影響を及ぼす)
11:Provide the kind of news that attracts the largest audience:39.2%
(最も多くの読者・視聴者の興味を惹くニュースを報じる)
12:Provide advice, orientation and direction for daily life:39.2%
(日常生活への示唆・指針・指示を提供する)
- - 以降、33.3%(1/3)割れ - - - - - -
13:Advocate for social change:31.6%
(社会変革を提唱する)
14:Provide entertainment and relaxation:25.3%
(エンターテイメントとくつろぎの提供)
- - 以降、25%(1/4)割れ - - - - - -
15:Let people express their views:24.3%
(人々が意見を表明できるようにする)
16:Be an adversary of the government:10.4%
(政府に対して敵対的になる)
- - 以降、10%(1/10)割れ - - - - - -
17:Convey a positive image of political leadership:1.1%
(政治的リーダーのポジティブなイメージを伝える)
18:Support government policy:0.8%
(政府の政策を支持する)
なかなかに面白い結果だと思うが、長くなったので日本のジャーナリストの回答結果についての分析・感想については項を分けることにしたい。
ただ、最後に1つ述べておきたいのは、他の国にはあった選択肢「Educate the audience(読者・視聴者を教育・啓蒙する)」が日本にはないという点である。勘違い選民意識の持ち主である新聞記者(*9)やテレビ局の報道部記者の、この質問への回答を見てみたかったので残念である。今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1):今回の題材は、まとめサイト・保守速報で紹介された各国ジャーナリストの価値観調査の結果である。
↓
まとめサイト・保守速報 2022年11月22日15:30 | カテゴリ
スレッドタイトル:◆【アンケート】日本のジャーナリスト、「事実をありのままに伝えること」はあまり重視していないと判明wwwwwwwww
https://hosyusokuhou.jp/archives/48937303.html
記事:○ツイッターからの引用なので省略
(*2):我が国メディアが事実報道を重視していないことに対して、当方は以前から苦言を呈してきた。
↓
2016/02/24投稿:
【コラム】「報道の自由」・「国民の知る権利」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-342.html
2017/08/06投稿:
民主主義の土台を壊している偏向マスコミ
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-727.html
2017/08/19投稿:
国民の知る権利
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-734.html
【ご参考】
2017/07/22投稿:
最近のニュースの「報道しない自由」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-717.html
2019/12/15投稿:
「報道しない自由」で知らされていない重要施策・Blue Dot Network
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1294.html
etc.
(*3):3つある主権のうちの1つである「国民主権」とは政治的判断を国民が投票他を以て最終的意思決定する建て付けである。
↓
「主権」は単一ではなく、以下の3つの主権概念があり、我々日本国民が持つ「国民主権」とは、以下の主権3)のことである。
・主権1):国民及び領土を統治する主権。統治権
・主権2):国家が他国からの干渉を受けずに独自の意思決定を行うことが出来る主権。対外的国家主権
・主権3):国家の政治を最終的に決定する権利。我が国では国民が投票権他で行使。国民主権
※我が国やイギリスの様な自由民主主義の立憲君主国での建て付けでは、国民が主権3)を選挙を通じて行使し、選挙で選任された議員の数に応じて選任された首班に対して主権1)統治権の行使権が、統治権者から首班に委譲され首班が首相として行政が行われるとの建て付けになっているものである。。
【ご参考】
2015/09/05投稿:
【コラム】国家元首と政治権力者(統治権行使権者)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-202.html
2015/09/16投稿:
自己検証3 主権概念の整理
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-211.html
(*4):今や21世紀の世界的価値観となった【自由で開かれたインド・太平洋】であるが、その基礎を確立できたのは2017年9月の安倍首相(当時)のインド訪問での日印共同声明がその嚆矢である。しかしながら、我が国メディアは肝心な日印共同声明については報導せず、歓迎パレードの様子だけがニュースとなっていた。
↓
2017/09/17投稿:
安倍首相・インド訪問
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-754.html
<外務省HP>
日印共同声明(仮訳)
自由で開かれ,繁栄したインド太平洋に向けて
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000290053.pdf
※PDFファイル:スマホの方は要注意
(*5):Quad(日米印豪戦略対話)の確立・仕上げに向けた2018年11月のオーストラリア訪問
↓
2018年11月のダイヤモンドセキュリティー構想の一角を占める豪州=オーストラリアとの連携強化。具体的には2018年11月13日のペンス副大統領が来日しての日米共同声明。その翌日からのASEAN諸会議出席とその後のオーストラリア・ダーウィン訪問。そしてパプア・ニューギニアのポートモレスビーへのAPEC出席である。
2018/11/24投稿:
真珠湾攻撃が石油禁輸の結果である事の教訓から
<2018年11月・安倍外交怒涛の一週間Part1>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1060.html
2018/11/27投稿:
ASEAN10ヶ国の団結は中国の個別撃破戦術を防止する
<2018年11月・安倍外交怒涛の一週間Part2a>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1061.html
2018/11/28投稿:
RCEPは中国の悪い所を指摘できる枠組みへ
<2018年11月・安倍外交怒涛の一週間Part2b>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1062.html
2018/11/29投稿:
日豪首脳会談・ダーウィン(前編)
<2018年11月・安倍外交怒涛の一週間Part3(前編)>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1063.html
2018/12/01投稿:
日豪首脳会談・ダーウィン(後編)
<2018年11月・安倍外交怒涛の一週間Part3(後編)>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1064.html
2018/12/04投稿:
APEC・首脳宣言がなかった事は良かった
<2018年11月・安倍外交怒涛の一週間Part4-Final>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1066.html
【ご参考】
2018/11/21投稿:
(資料編)ASEAN/日豪首脳会談/APEC
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1058.html
(*6):コモンウェルズ
↓
2022/09/21 21:45
英連邦Commonwealthに関する記事に対する雑感
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1688.html
2018/10/06 20:11
イギリス陸軍との共同訓練・富士演習場
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1029.html
2015/09/05投稿:
【コラム】国家元首と政治権力者(統治権行使権者)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-202.html
(*7):西欧文明圏
↓
<現存する世界文明9つ>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E6%98%8E%E3%81%AE%E8%A1%9D%E7%AA%81#/media/File:Clash_of_Civilizations_mapn2.png
青色:Western(西欧文明圏)
水色:Orthodox (東方正教文明圏(スラブ文明))
緑色:Islamic(イスラム文明圏)
黄色:Buddhist(仏教文明圏)
橙色:Hindu(ヒンズー文明圏)
灰緑色:African(アフリカ文明圏)
紫色:Latin American(ラテンアメリカ文明圏)
赤色:Sinic(シナ文明圏)
桃色:Japanese(日本文明圏)
(*8):香港は一国二制度の約束を中国共産党(中共)に反故にされ中共中央の専制統制下にある。
↓
2020/07/04投稿:
序・香港国家安全維持法 条文の中身を求めて
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1390.html
2020/07/05投稿:
香港国家安全維持法 条文の中身を見る(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1391.html
2020/07/10投稿:
香港国家安全維持法 条文の中身を見る(中編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1393.html
2020/07/13投稿:
香港国家安全維持法 条文の中身を見る(後編)Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1394.html
(*9):勘違い選民意識の持ち主である新聞記者
↓
2019/02/08投稿:
新聞記者はけして国民を代表していない
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1107.html
2021/07/11投稿:
新聞記者達の勘違い選民意識・コンプライアンス意識ゼロ(北海道新聞編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1530.html
2021/07/12投稿:
新聞記者達の勘違い選民意識・コンプライアンス意識ゼロ(琉球新報編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1531.html
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