現実問題から目を逸らし解決策なきスローガンを叫ぶ朝日新聞
- 2022/02/15
- 21:35
現実問題から目を逸らし解決策なきスローガンを叫ぶ朝日新聞
副題:エネルギーの安定供給途絶リスクに対してEUは「まだ再生可能エネルギーだけに頼ることはできない」という現実的な認識を示し、原発の増進をしている。その一方、我が国では「原発No」ありきの強弁・スローガンだけが新聞の「社説」に書かれている。
今月(2022年2月)初めにEUが原子力発電を脱炭素・温室効果ガス排出削減に役立つとして条件付きで「持続可能な経済活動」と認定したとのNHKニュースが流れた。(*1)
この報に接した時の第一印象として2つのことを想起した。
1つは、ウクライナ情勢によりロシアからの天然ガス輸入の途絶懸念など電力の安定供給リスクに対応する為に「脱炭素」とのスローガンを逆手にとって現実的対応を選択したのであろうとの推察である。
もう1つは、EUをリードするフランスは、自国の原発産業の保護・増進への大義名分を得る為に今回のリスクを利用したのであろうとの推察である。
同記事にはこの方針に関して「まだ再生可能エネルギーだけに頼ることはできない」という現実的な認識をEUは示している旨の記載があり、続けて「この方針は完璧ではないかもしれないが、現実的な解決策だ。脱炭素という究極の目標にわれわれを近づけるものだ」との発言があったことを報じている。
電力供給のもとのエネルギーは知っての通り、①化石エネルギー火力発電(石炭・石油・天然ガス)、②水力発電、③原子力発電、④再生可能エネルギー発電(太陽光・太陽熱・風力・地熱・バイオetc.)などがあるが、「まだ再生可能エネルギーだけに頼ることはできない」との認識は極めて正しい。
何故なら、これら再生可能エネルギーのうち太陽光・太陽熱・風力は気象による影響を受け365日24時間安定的にエネルギーを供給し続けられないからであり、また、その発電量からは需要を賄う為に広大な面積を要するもので、森林・緑地・山間部・湖沼地域・未開発沿岸地域等の自然豊かな場所に侵出するとの環境保全との概念とは相反する動きとなり易いものだからである。
EUが主導している「脱炭素・温室効果ガス排出削減」とのスローガンを前提にすれば、解決しなければならない課題が山積みの再生可能エネルギーに依存することはリスクでしかなく、LNG火力発電のエネルギー供給が途絶えるリスクがある現在、原発による発電を基盤発電とするしか方法はないのが実情だ。
冒頭に紹介したNHK記事には、フランス以外の他のEU諸国のうちのドイツ、オーストリア、スペインや環境NGOなどの反対意見が報じられている。
以下にその箇所をちょっと長いが抜粋して引用する。
↓
<反対意見部分の抜粋引用開始>
・「ドイツのハーベック経済・気候保護相は2日、「原子力エネルギーにはリスクがあり、コストも高い」としてEUの方針を批判したうえで、今後の対応を検討する考えを示しました。」
・「ドイツは(中略)脱原発を進め、年内にすべての原発の運転が止まる予定です。」
・「オーストリアのネハンマー首相は2日、ツイッターに「原子力はグリーンでも持続可能でもない。EUの決定は理解できない」と書き込みました。」
・「スペイン環境省は、NHKの取材に対し「EUの方針は、原子力と天然ガスをまぎれもなくグリーンな風力や太陽光エネルギーと同じように扱っており、脱炭素に向けた投資に誤ったシグナルを送る。資金や投資が正しいところに集まらなくなる」とコメントしました。」
・「環境NGO「気候行動ネットワーク」(中略)は「原発には核廃棄物の処理や大規模な事故のリスク、さらにはウランの採掘に伴う環境汚染など、多くの問題があり、環境面で持続可能だと呼ぶことはできない」と指摘しました。
・「天然ガスによる発電についても「温室効果ガスの排出量の基準値から見ると、グリーンとは評価できない」としています。
・「「EUの方針は、原子力と天然ガスをあたかも環境にやさしいように見せかける『グリーンウォッシュ』で、多くの投資家が反発している」と述べ、EUが民間の資金を原子力と天然ガスに誘導しようとしていると批判しました。」
<引用終わり>
EU圏での電力の安定供給策として、現状での着地点が原発でありLNG発電であるとするフランスと、原発反対・化石エネルギー反対が至上命題となっている環境NGOでは意見が合う訳もなく、この様な対立構造になっているものである。
しかし、小見出しに書いた通り、反対を表明しているだけで相変わらず解決策の提示はない。
NGOは国家運営の責任を負っていないので代替案なしでお気軽に批判している様だ。
その一方、ドイツ政府は「原発全廃」を方針にしているが、上記に「年内にすべての原発の運転が止まる予定」とある様に、まだ原発は稼働中である。
ドイツは昨年(2021年)末に3基の原発の稼働を停止している(*2)が、稼働している原発はまだある。エネルギー供給に不安がある状態で「原則」を貫く頑固さがドイツだが、ユーロ・グリッドで電力輸入をする道があるので、こんな事を言っているのであろう。
最初に紹介した2月初めの記事から約1週間後に、フランスは6基の原発の建設と、それに加え更なる増設計画(8基)を発表した。(*3)
記事によれば、建設・増設の理由は「地球温暖化対策」であり、最初に紹介したEUでの「脱炭素・温室効果ガス排出削減に役立つ」との言い分で合致するものである。
また、記事によれば、この様な発表をフランス・マクロン大統領がしたのは「仏東部の原発向けタービン製造拠点を訪問した際の演説」でのことだとある。
多分、これは何年か前にアメリカGEに買収された工場だと思うが、原発用蒸気タービンの様な機械は仕様に合わせた受注生産品であり、フランス国内にある、この工場の従業員・企業にとって原発14基建設計画は大朗報である。
冒頭に書いた様に、当方の2つの第一印象の2つ目「自国の原発産業の保護・増進への大義名分を得る為に今回のリスクを利用したのであろうとの推察」は外れていないと思う。
マクロンのやっている事は自国フランスにとって有利な様にEUや世界を動かすものである。
自国の国益を追求することは悪い事ではない。
悪いのは国際的な約束事を反故にした身勝手な国益追求であり、フランスはEUの枠組みの中で「だって再生可能エネルギーだけじゃ無理って分かっているでしょ」との正論で反対論を抑制し、一定程度の理解を得ているものである。
その一方、我が国の場合、野党勢力、取り分け特定野党や反日偏向メディアなどは国益とは真逆のことを推進している。
立憲民主党の「原発ゼロ」との「公約」などがそれに該当するが、その中身は電力の安定供給に責任を取らぬNGOレベルと同じである。(*4)
原発をゼロにした場合に発生する悪性の副作用への対策など皆無なのである。
例えば、立憲民主党の「原発ゼロ」との公約は、原発をゼロにした際に発生する諸問題に一切触れることがない非現実的なもので、我が国のエネルギー問題の実情を無視して自分達のイデオロギーを優先しての夢想を提示しているだけの浅はかな物なのである。
現状で即時に「原発ゼロ」を実施した場合の致命的な悪影響として以下の4点を指摘済である。
↓
①:24時間365日安定的に電力を供給し続ける基盤発電施設のエネルギー源である石油・LNGの輸入価格負担問題
②:代替発電施設に再生可能エネルギー発電を選択しても、24時間365日の安定供給は実現できない。
③:再生可能エネルギー発電を主要発電にすると、電気代が増加して、個人・産業にとってはマイナスとなる
④:現実的に原発を代替するのは火力発電しかなく、CO2削減との別の環境目標と相反する。
これら諸問題はフランスに於いても存在しており、それに対して、フランス・マクロンは電力の安定供給策を環境問題と「調和」しながら選択したのが原発とLNGなのだが、その選択肢はフランスの国益に合致しているからである。
我が国の場合は、国益に合致している政策案を提示すると特定野党や反日偏向メディアが大声で反対したり、何処からか表れる「有志学生」などが不思議な反対キャンペーンを展開したりするとの現象がみられる。
我が国は原発に関してフランス・アメリカとならぶ技術を要しているのだが、原発の再稼働に関して、我が国はフランスとは大違いに、極めてメガティブである。
確かに福島第一原発の事故があったが、その一方、女川原発はあの大震災でも問題なかったとの事実は顧みられない。
また、もう1つの我が国技術に石炭火力超々臨界圧発電技術があるのだが、それを何処かのオンボロ石炭火力と同列にして、あたかもCO2排出が大きいが如き虚偽で反対運動を始める学生が表れるとの不思議な現象が起こっているのである。(*5)
我が国の場合は、国益に合致している政策案を提示すると特定野党や反日偏向メディアが大声で反対する。
今回の件でも、早速に朝日新聞は社説で反対を表明している。(*6)
朝日の社説の表題は「EU原発回帰 日本の選択肢ではない」である。
原発再稼働・回帰が何故、「日本の選択肢ではない」のかの理由は、朝日の社説には書いてない。
それらしき「理由」は通り一辺倒の「地震だ火山だ台風だ」だけであり、まともな理由は書いてない。
同様に、原発・火力の代わるエネルギーは「再生可能エネルギーだ」としか言っていない。
EUが「まだ再生可能エネルギーだけに頼ることはできない」という現実的な認識を示しているのだが、朝日は、それに対して何も触れず「再生可能エネルギーだ」としか言っていないのである。
要するに朝日の社説は自説である「原発No」を言いたいだけであり、EUの動きに対して説得力ある反論は何等も出来ていないのである。
こんなものが「社説」とは聞いて呆れる。
今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1):今月(2022年2月)初めにEUが原子力発電を脱炭素・温室効果ガス排出削減に役立つとして条件付きで「持続可能な経済活動」と認定したとのNHKニュース。
↓
NHK NEWS WB 2022年2月3日 5時15分
見出し:◆EU 原発を条件付きで「持続可能な経済活動」と認める方針発表
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220203/k10013463821000.html
記事:○脱炭素社会の実現を目指すEU=ヨーロッパ連合は、温室効果ガスの排出削減に役立つとして、原子力発電を条件付きで「持続可能な経済活動」として認め、民間の投資を促していく方針を正式に発表しました。脱原発を進めるドイツなど一部の加盟国は反対しています。
○EUは温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする目標を実現するため「環境面で持続可能な経済活動」を選定して民間の投資を促していく計画です。
○EUの執行機関、ヨーロッパ委員会は2日、原子力と天然ガスを使った発電などについて脱炭素への移行を支えるとして一定の条件のもとで、「持続可能な経済活動」と認める方針を正式に発表しました。
○EUでは、気候変動対策などとして原発を新設する方針を打ち出す加盟国が相次いでいます。
○ヨーロッパ委員会のマクギネス委員は記者会見で、まだ再生可能エネルギーだけに頼ることはできないという認識を示したうえで、「この方針は完璧ではないかもしれないが、現実的な解決策だ。脱炭素という究極の目標にわれわれを近づけるものだ」と述べました。
○今回の方針では持続可能と認める条件として原発を新設する場合、▽2045年までに加盟国の当局から建設の許可を得ることや、▽高レベル放射性廃棄物については加盟国が2050年までに処分場を稼働するための具体的な計画を作るなどとしています。
○天然ガスを使った発電所を建設する場合は、
▽建設許可の取得は2030年までとし、
▽石炭などによる、より温室効果ガスの排出が多い既存の施設の代わりとすることを求め、▽排出量にも上限を設けています。
○この方針は今後、最長で6か月以内に加盟27か国のうち少なくとも20か国が反対するなどしなければ、来年1月から適用されます。
小見出し:◆フランス マクロン政権は決定を歓迎
○原発を推進するフランスのマクロン政権は、原発の新設や既存の原発の運転延長のための資金調達がしやすくなると今回の決定を歓迎しています。
○マクロン大統領は去年11月、2050年までの脱炭素の目標を実現し、最近の原油や天然ガスなどエネルギー価格の高騰に対応するために原発の建設を再開すると表明していました。
○演説では「エネルギーを外国に依存することなく適正な価格にとどめるには、CO2の排出を抑えたエネルギーへの投資が必要だ」と述べ、エネルギーの自立という経済安全保障の観点からも原発が必要だという考えを強調しました。
○さらに、「小型モジュール炉」と呼ばれる次世代の原子炉の開発に、国として10億ユーロ、日本円でおよそ1290億円を投資する計画を示すなど、およそ20万人が従事する原子力ビジネスを国の重点産業と位置づけ、全面的に支援する姿勢を示しています。
○マクロン大統領にとっては、ことし4月に再選を目指す大統領選挙を控え、雇用対策やエネルギー価格の問題で強いリーダーシップをアピールする思惑もあり、近く具体的な原発の建設計画を公表すると見られます。
小見出し:◆ドイツ オーストリアからは反対の声
○脱原発を進めているドイツやオーストリアからは反対の声が上がっています。
○ドイツのハーベック経済・気候保護相は2日、「原子力エネルギーにはリスクがあり、コストも高い」としてEUの方針を批判したうえで、今後の対応を検討する考えを示しました。
○ドイツは2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて脱原発を進め、年内にすべての原発の運転が止まる予定です。
○また、オーストリアのネハンマー首相は2日、ツイッターに「原子力はグリーンでも持続可能でもない。EUの決定は理解できない」と書き込みました。
○オーストリア政府は、ヨーロッパ司法裁判所で争うことも辞さない姿勢を示しています。
○また、スペイン環境省は、NHKの取材に対し「EUの方針は、原子力と天然ガスをまぎれもなくグリーンな風力や太陽光エネルギーと同じように扱っており、脱炭素に向けた投資に誤ったシグナルを送る。資金や投資が正しいところに集まらなくなる」とコメントしました。
小見出し:◆環境NGO「環境面で持続可能だと呼ぶことできない」
○EUの方針について、国際的な環境NGO「気候行動ネットワーク」のヨーロッパ支部のオリビエ・バルダクーリアスさんは「原発には核廃棄物の処理や大規模な事故のリスク、さらにはウランの採掘に伴う環境汚染など、多くの問題があり、環境面で持続可能だと呼ぶことはできない」と指摘しました。
○また、天然ガスによる発電についても「温室効果ガスの排出量の基準値から見ると、グリーンとは評価できない」としています。
○そのうえで「EUの方針は、原子力と天然ガスをあたかも環境にやさしいように見せかける『グリーンウォッシュ』で、多くの投資家が反発している」と述べ、EUが民間の資金を原子力と天然ガスに誘導しようとしていると批判しました。
<引用終わり>
(*2):ドイツは昨年(2021年)末に3基の原発の稼働を停止している。
↓
時事ドットコムニュース 2022年01月04日11時41分
見出し:◆ドイツ、原発3か所の運転停止 電力危機の中
https://www.jiji.com/jc/article?k=20220104042459a&g=afp
記事:○【ベルリンAFP=時事】欧州が過去最大規模の電力危機に直面する中、ドイツは昨年12月31日、アンゲラ・メルケル前首相の計画通り、原子力発電所3か所の運転を停止した。
○運転が停止されたのは、ブロクドルフ、グローンデ、グンドレンミンゲンの3原発。
○これにより、ドイツの原子力発電能力はこれまでの半分となり、発電量は約4ギガワット減少。これは風車1000基による発電量に相当する。
○エネルギー価格が上昇する中、欧州と天然ガスの主要供給国ロシアとの緊張もかつてないほど高まっており、3原発の閉鎖で電力危機がさらに深刻化する恐れもある。
○2011年の福島第1原子力発電所事故後の反対運動を受け、メルケル前首相は脱原発を決めた。22年末までに、残る原発3か所を閉鎖して原子力発電を完全に廃止する計画だ。だが欧州全土で電力が高騰する中、最悪のタイミングになるとの見方もある。
○フランスをはじめ、原子力推進の立場を維持している他の欧州連合(EU)加盟諸国は、原子力が投資対象となるよう、EUが定める持続可能なエネルギー源のリストに追加するよう要請している。
○またドイツ国内でも、原発に対する世論は軟化しつつある。だが政府は、メルケル前首相の計画を継続する方針だ。
○連立政権の一端を担う緑の党のロベルト・ハベック共同代表は先週、原子力エネルギーの再導入を訴える政治家がいるならば、同時に「自分の選挙区に放射性廃棄物を保管したいと言わなければならない」と指摘。「誰かがそう言うなら、この件を再検討する」と述べ、原発閉鎖を擁護した。【翻訳編集AFPBBNews】〔AFP=時事〕
<引用終わり>
(*3):フランスは6基の原発の建設と、それに加え更なる増設計画(8基)を発表した。
↓
朝日新聞デジタル記事 2022年2月11日 1時40分
見出し:◆仏、原発6基を国内建設へ さらに8基増設も検討「温暖化への対策」
有料会員記事
https://www.asahi.com/articles/ASQ2C0FSCQ2BUHBI05C.html
記事:○フランスのマクロン大統領は10日、新たに原子力発電所6基を国内に建設すると明らかにした。さらに8基の増設も検討するという。新設は2007年以来で、地球温暖化対策を理由に挙げた。既存原発の耐用年数も50年以上に延ばす方針で、「原発のルネサンス(再生)」を実現すると強調した。仏東部の原発向けタービン製造拠点を訪問した際の演説で述べた。
○フランスのマクロン大統領は10日、新たに原子力発電所6基を国内に建設すると明らかにした。さらに8基の増設も検討するという。新設は2007年以来で、地球温暖化対策を理由に挙げた。既存原発の耐用年数も50年以上に延ばす方針で、「原発のルネサンス(再生)」を実現すると強調した。仏東部の原発向けタービン製造拠点を訪問した際の演説で述べた。
○原発は「グリーン」か、割れるEU フランスは歓迎、ドイツは反対
○仏マクロン氏「原発回帰」鮮明 新設は脱・石炭の「強いメッセージ」
○建設するのは、欧州加圧水型炉「EPR」の改良型(EPR2)。事故が起こりにくい設計とされるが、07年に仏北西部フラマンビルで着工したEPRはトラブルが続出。12年の稼働予定は23年以降にずれ込んでいるほか、仏メディアによると、費用も当初想定の5倍以上に膨らむと見積もられている。
○マクロン氏は東京電力福島第一原発の事故について、原発への「国際的な疑義」が生まれ、「いくつかの国は極端な選択」をとり、「原発に背を向けた」と暗に批判。電気自動車の普及などで今後、「電力需要が大きく増える」ことをふまえ、経済成長に原発が必要だと強調した。
○原則40年としている原発の…この記事は有料会員記事です。残り401文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
<無料部分引用終わり>
(*4):立憲民主党の「原発ゼロ」との「公約」などがそれに該当するが、その中身は電力の安定供給に責任を取らぬNGOレベルと同じである。原発をゼロにした場合に発生する悪性の副作用への対策など皆無なのである。
↓
2017/10/20投稿:
立憲民主党の選挙公約を読む2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-784.html
2021/10/11投稿:
地球温暖化防止・エネルギー政策に対する思考停止「原発ゼロ」編
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1572.html
(*5):我が国技術に石炭火力超々臨界圧発電技術があるのだが、それを何処かのオンボロ石炭火力と同列にして、あたかもCO2排出が大きいが如き虚偽で反対運動を始める学生が表れるとの不思議な現象が起こっているのである。
↓
2021/01/08投稿:
上面を舐めるだけ記事「ベトナム・ブンアン2石炭火力発電所案件」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1456.html
2020/01/25投稿:
新聞記事の軸足の置き方・日本の高効率石炭火力発電技術
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1314.html
(*6):今回の件でも、早速に朝日新聞は社説で反対を表明している。
↓
朝日新聞デジタル 2022年2月10日 5時00分
見出し:◆(社説)EU原発回帰 日本の選択肢ではない
https://www.asahi.com/articles/DA3S15200284.html
○欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会が、一定条件のもとで原発を地球温暖化対策に役立つエネルギーと位置づけた。しかし原発の活用については、EU内でも意見が割れている。様々な条件が異なる日本で、原発回帰の議論に結びつけるのは早計だ。
○欧州委は、環境に配慮した持続可能な経済活動を列挙する「EUタクソノミー(分類)」を設けている。今回、これに原発や天然ガス発電を追加した。実際にどんなエネルギーを使うかは各国の自由だが、事業への投資を呼び込みやすくなると、欧州委はみている。
○原発の追加に対し、脱原発を進めるドイツのほか、オーストリアなど4カ国が反対を表明していた。しかし発電の多くを原発に頼るフランスは歓迎するなど賛成が優勢で、原発の「グリーン認定」は認められるとみられる。
○EUタクソノミーは、水や生態系の保護、公害防止などに重大な害を及ぼさないことが条件だ。原発は高レベル放射性廃棄物処分場の具体的な計画などを要件とし、新増設や運転延長も規制当局の許可を得る期限を設けている。天然ガスは二酸化炭素排出量の上限を定め、石炭火力からの置き換えなどに限る。
○今回の決定は、石炭や石油火力から再生可能エネルギーへの移行期間における過渡的な選択との位置づけだが、今後、どれだけの原発が条件を満たし、各国が利用を進めるのかは、わからない。欧州は旧ソ連チェルノブイリ原発事故の影響も受けた。今回の原発の位置づけを、環境団体は「グリーンウォッシュ(見せかけの環境配慮)」と非難する。
○日本の電力業界などからは歓迎の声があがる。しかし、東京電力福島第一原発の事故で経験したように原発事故が起きれば、生活への打撃は極めて大きく、環境も「重大な害」を被る。地震や火山が多く、台風も常襲する日本は、欧州とは自然条件が違い、同一には議論できない。
○高レベル放射性廃棄物について、日本では地下に埋める最終処分地をめぐって「文献調査」は始まったが、その先は不透明で、見通しはついていない。万年単位の長期間にわたる地下の安定性を確認するには、今の科学知識や技術では限界もある。
○原発は経済的にも有利ではないことが明確になりつつある。経済産業省が昨年公表した試算では、2030年の発電単価は太陽光発電が原発を下回った。可能な限り原発依存度を下げ、再生可能エネルギーの導入を進めるという政府の方針を忘れずに、脱炭素に取り組むべきだ。
<引用終わり>
【ご参考】
2018/05/21投稿:
(資料編)朝日新聞の病巣を指摘する書籍
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-934.html
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副題:エネルギーの安定供給途絶リスクに対してEUは「まだ再生可能エネルギーだけに頼ることはできない」という現実的な認識を示し、原発の増進をしている。その一方、我が国では「原発No」ありきの強弁・スローガンだけが新聞の「社説」に書かれている。
EU、原発は脱炭素・温室効果ガス排出削減に役立つと
今月(2022年2月)初めにEUが原子力発電を脱炭素・温室効果ガス排出削減に役立つとして条件付きで「持続可能な経済活動」と認定したとのNHKニュースが流れた。(*1)
この報に接した時の第一印象として2つのことを想起した。
1つは、ウクライナ情勢によりロシアからの天然ガス輸入の途絶懸念など電力の安定供給リスクに対応する為に「脱炭素」とのスローガンを逆手にとって現実的対応を選択したのであろうとの推察である。
もう1つは、EUをリードするフランスは、自国の原発産業の保護・増進への大義名分を得る為に今回のリスクを利用したのであろうとの推察である。
同記事にはこの方針に関して「まだ再生可能エネルギーだけに頼ることはできない」という現実的な認識をEUは示している旨の記載があり、続けて「この方針は完璧ではないかもしれないが、現実的な解決策だ。脱炭素という究極の目標にわれわれを近づけるものだ」との発言があったことを報じている。
電力供給のもとのエネルギーは知っての通り、①化石エネルギー火力発電(石炭・石油・天然ガス)、②水力発電、③原子力発電、④再生可能エネルギー発電(太陽光・太陽熱・風力・地熱・バイオetc.)などがあるが、「まだ再生可能エネルギーだけに頼ることはできない」との認識は極めて正しい。
何故なら、これら再生可能エネルギーのうち太陽光・太陽熱・風力は気象による影響を受け365日24時間安定的にエネルギーを供給し続けられないからであり、また、その発電量からは需要を賄う為に広大な面積を要するもので、森林・緑地・山間部・湖沼地域・未開発沿岸地域等の自然豊かな場所に侵出するとの環境保全との概念とは相反する動きとなり易いものだからである。
EUが主導している「脱炭素・温室効果ガス排出削減」とのスローガンを前提にすれば、解決しなければならない課題が山積みの再生可能エネルギーに依存することはリスクでしかなく、LNG火力発電のエネルギー供給が途絶えるリスクがある現在、原発による発電を基盤発電とするしか方法はないのが実情だ。
EU内での原発反対意見・相変わらず解決策の提示はない
冒頭に紹介したNHK記事には、フランス以外の他のEU諸国のうちのドイツ、オーストリア、スペインや環境NGOなどの反対意見が報じられている。
以下にその箇所をちょっと長いが抜粋して引用する。
↓
<反対意見部分の抜粋引用開始>
・「ドイツのハーベック経済・気候保護相は2日、「原子力エネルギーにはリスクがあり、コストも高い」としてEUの方針を批判したうえで、今後の対応を検討する考えを示しました。」
・「ドイツは(中略)脱原発を進め、年内にすべての原発の運転が止まる予定です。」
・「オーストリアのネハンマー首相は2日、ツイッターに「原子力はグリーンでも持続可能でもない。EUの決定は理解できない」と書き込みました。」
・「スペイン環境省は、NHKの取材に対し「EUの方針は、原子力と天然ガスをまぎれもなくグリーンな風力や太陽光エネルギーと同じように扱っており、脱炭素に向けた投資に誤ったシグナルを送る。資金や投資が正しいところに集まらなくなる」とコメントしました。」
・「環境NGO「気候行動ネットワーク」(中略)は「原発には核廃棄物の処理や大規模な事故のリスク、さらにはウランの採掘に伴う環境汚染など、多くの問題があり、環境面で持続可能だと呼ぶことはできない」と指摘しました。
・「天然ガスによる発電についても「温室効果ガスの排出量の基準値から見ると、グリーンとは評価できない」としています。
・「「EUの方針は、原子力と天然ガスをあたかも環境にやさしいように見せかける『グリーンウォッシュ』で、多くの投資家が反発している」と述べ、EUが民間の資金を原子力と天然ガスに誘導しようとしていると批判しました。」
<引用終わり>
EU圏での電力の安定供給策として、現状での着地点が原発でありLNG発電であるとするフランスと、原発反対・化石エネルギー反対が至上命題となっている環境NGOでは意見が合う訳もなく、この様な対立構造になっているものである。
しかし、小見出しに書いた通り、反対を表明しているだけで相変わらず解決策の提示はない。
NGOは国家運営の責任を負っていないので代替案なしでお気軽に批判している様だ。
その一方、ドイツ政府は「原発全廃」を方針にしているが、上記に「年内にすべての原発の運転が止まる予定」とある様に、まだ原発は稼働中である。
ドイツは昨年(2021年)末に3基の原発の稼働を停止している(*2)が、稼働している原発はまだある。エネルギー供給に不安がある状態で「原則」を貫く頑固さがドイツだが、ユーロ・グリッドで電力輸入をする道があるので、こんな事を言っているのであろう。
原発建設に邁進するフランス・自国産業の維持・増進
最初に紹介した2月初めの記事から約1週間後に、フランスは6基の原発の建設と、それに加え更なる増設計画(8基)を発表した。(*3)
記事によれば、建設・増設の理由は「地球温暖化対策」であり、最初に紹介したEUでの「脱炭素・温室効果ガス排出削減に役立つ」との言い分で合致するものである。
また、記事によれば、この様な発表をフランス・マクロン大統領がしたのは「仏東部の原発向けタービン製造拠点を訪問した際の演説」でのことだとある。
多分、これは何年か前にアメリカGEに買収された工場だと思うが、原発用蒸気タービンの様な機械は仕様に合わせた受注生産品であり、フランス国内にある、この工場の従業員・企業にとって原発14基建設計画は大朗報である。
冒頭に書いた様に、当方の2つの第一印象の2つ目「自国の原発産業の保護・増進への大義名分を得る為に今回のリスクを利用したのであろうとの推察」は外れていないと思う。
我が国の脱炭素・温室効果ガス排出削減は如何に?
マクロンのやっている事は自国フランスにとって有利な様にEUや世界を動かすものである。
自国の国益を追求することは悪い事ではない。
悪いのは国際的な約束事を反故にした身勝手な国益追求であり、フランスはEUの枠組みの中で「だって再生可能エネルギーだけじゃ無理って分かっているでしょ」との正論で反対論を抑制し、一定程度の理解を得ているものである。
その一方、我が国の場合、野党勢力、取り分け特定野党や反日偏向メディアなどは国益とは真逆のことを推進している。
立憲民主党の「原発ゼロ」との「公約」などがそれに該当するが、その中身は電力の安定供給に責任を取らぬNGOレベルと同じである。(*4)
原発をゼロにした場合に発生する悪性の副作用への対策など皆無なのである。
例えば、立憲民主党の「原発ゼロ」との公約は、原発をゼロにした際に発生する諸問題に一切触れることがない非現実的なもので、我が国のエネルギー問題の実情を無視して自分達のイデオロギーを優先しての夢想を提示しているだけの浅はかな物なのである。
現状で即時に「原発ゼロ」を実施した場合の致命的な悪影響として以下の4点を指摘済である。
↓
①:24時間365日安定的に電力を供給し続ける基盤発電施設のエネルギー源である石油・LNGの輸入価格負担問題
②:代替発電施設に再生可能エネルギー発電を選択しても、24時間365日の安定供給は実現できない。
③:再生可能エネルギー発電を主要発電にすると、電気代が増加して、個人・産業にとってはマイナスとなる
④:現実的に原発を代替するのは火力発電しかなく、CO2削減との別の環境目標と相反する。
これら諸問題はフランスに於いても存在しており、それに対して、フランス・マクロンは電力の安定供給策を環境問題と「調和」しながら選択したのが原発とLNGなのだが、その選択肢はフランスの国益に合致しているからである。
我が国の場合は、国益に合致している政策案を提示すると特定野党や反日偏向メディアが大声で反対したり、何処からか表れる「有志学生」などが不思議な反対キャンペーンを展開したりするとの現象がみられる。
我が国は原発に関してフランス・アメリカとならぶ技術を要しているのだが、原発の再稼働に関して、我が国はフランスとは大違いに、極めてメガティブである。
確かに福島第一原発の事故があったが、その一方、女川原発はあの大震災でも問題なかったとの事実は顧みられない。
また、もう1つの我が国技術に石炭火力超々臨界圧発電技術があるのだが、それを何処かのオンボロ石炭火力と同列にして、あたかもCO2排出が大きいが如き虚偽で反対運動を始める学生が表れるとの不思議な現象が起こっているのである。(*5)
朝日新聞が社説で早速に「原発はダメ」と邪魔をする
我が国の場合は、国益に合致している政策案を提示すると特定野党や反日偏向メディアが大声で反対する。
今回の件でも、早速に朝日新聞は社説で反対を表明している。(*6)
朝日の社説の表題は「EU原発回帰 日本の選択肢ではない」である。
原発再稼働・回帰が何故、「日本の選択肢ではない」のかの理由は、朝日の社説には書いてない。
それらしき「理由」は通り一辺倒の「地震だ火山だ台風だ」だけであり、まともな理由は書いてない。
同様に、原発・火力の代わるエネルギーは「再生可能エネルギーだ」としか言っていない。
EUが「まだ再生可能エネルギーだけに頼ることはできない」という現実的な認識を示しているのだが、朝日は、それに対して何も触れず「再生可能エネルギーだ」としか言っていないのである。
要するに朝日の社説は自説である「原発No」を言いたいだけであり、EUの動きに対して説得力ある反論は何等も出来ていないのである。
こんなものが「社説」とは聞いて呆れる。
今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1):今月(2022年2月)初めにEUが原子力発電を脱炭素・温室効果ガス排出削減に役立つとして条件付きで「持続可能な経済活動」と認定したとのNHKニュース。
↓
NHK NEWS WB 2022年2月3日 5時15分
見出し:◆EU 原発を条件付きで「持続可能な経済活動」と認める方針発表
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220203/k10013463821000.html
記事:○脱炭素社会の実現を目指すEU=ヨーロッパ連合は、温室効果ガスの排出削減に役立つとして、原子力発電を条件付きで「持続可能な経済活動」として認め、民間の投資を促していく方針を正式に発表しました。脱原発を進めるドイツなど一部の加盟国は反対しています。
○EUは温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする目標を実現するため「環境面で持続可能な経済活動」を選定して民間の投資を促していく計画です。
○EUの執行機関、ヨーロッパ委員会は2日、原子力と天然ガスを使った発電などについて脱炭素への移行を支えるとして一定の条件のもとで、「持続可能な経済活動」と認める方針を正式に発表しました。
○EUでは、気候変動対策などとして原発を新設する方針を打ち出す加盟国が相次いでいます。
○ヨーロッパ委員会のマクギネス委員は記者会見で、まだ再生可能エネルギーだけに頼ることはできないという認識を示したうえで、「この方針は完璧ではないかもしれないが、現実的な解決策だ。脱炭素という究極の目標にわれわれを近づけるものだ」と述べました。
○今回の方針では持続可能と認める条件として原発を新設する場合、▽2045年までに加盟国の当局から建設の許可を得ることや、▽高レベル放射性廃棄物については加盟国が2050年までに処分場を稼働するための具体的な計画を作るなどとしています。
○天然ガスを使った発電所を建設する場合は、
▽建設許可の取得は2030年までとし、
▽石炭などによる、より温室効果ガスの排出が多い既存の施設の代わりとすることを求め、▽排出量にも上限を設けています。
○この方針は今後、最長で6か月以内に加盟27か国のうち少なくとも20か国が反対するなどしなければ、来年1月から適用されます。
小見出し:◆フランス マクロン政権は決定を歓迎
○原発を推進するフランスのマクロン政権は、原発の新設や既存の原発の運転延長のための資金調達がしやすくなると今回の決定を歓迎しています。
○マクロン大統領は去年11月、2050年までの脱炭素の目標を実現し、最近の原油や天然ガスなどエネルギー価格の高騰に対応するために原発の建設を再開すると表明していました。
○演説では「エネルギーを外国に依存することなく適正な価格にとどめるには、CO2の排出を抑えたエネルギーへの投資が必要だ」と述べ、エネルギーの自立という経済安全保障の観点からも原発が必要だという考えを強調しました。
○さらに、「小型モジュール炉」と呼ばれる次世代の原子炉の開発に、国として10億ユーロ、日本円でおよそ1290億円を投資する計画を示すなど、およそ20万人が従事する原子力ビジネスを国の重点産業と位置づけ、全面的に支援する姿勢を示しています。
○マクロン大統領にとっては、ことし4月に再選を目指す大統領選挙を控え、雇用対策やエネルギー価格の問題で強いリーダーシップをアピールする思惑もあり、近く具体的な原発の建設計画を公表すると見られます。
小見出し:◆ドイツ オーストリアからは反対の声
○脱原発を進めているドイツやオーストリアからは反対の声が上がっています。
○ドイツのハーベック経済・気候保護相は2日、「原子力エネルギーにはリスクがあり、コストも高い」としてEUの方針を批判したうえで、今後の対応を検討する考えを示しました。
○ドイツは2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて脱原発を進め、年内にすべての原発の運転が止まる予定です。
○また、オーストリアのネハンマー首相は2日、ツイッターに「原子力はグリーンでも持続可能でもない。EUの決定は理解できない」と書き込みました。
○オーストリア政府は、ヨーロッパ司法裁判所で争うことも辞さない姿勢を示しています。
○また、スペイン環境省は、NHKの取材に対し「EUの方針は、原子力と天然ガスをまぎれもなくグリーンな風力や太陽光エネルギーと同じように扱っており、脱炭素に向けた投資に誤ったシグナルを送る。資金や投資が正しいところに集まらなくなる」とコメントしました。
小見出し:◆環境NGO「環境面で持続可能だと呼ぶことできない」
○EUの方針について、国際的な環境NGO「気候行動ネットワーク」のヨーロッパ支部のオリビエ・バルダクーリアスさんは「原発には核廃棄物の処理や大規模な事故のリスク、さらにはウランの採掘に伴う環境汚染など、多くの問題があり、環境面で持続可能だと呼ぶことはできない」と指摘しました。
○また、天然ガスによる発電についても「温室効果ガスの排出量の基準値から見ると、グリーンとは評価できない」としています。
○そのうえで「EUの方針は、原子力と天然ガスをあたかも環境にやさしいように見せかける『グリーンウォッシュ』で、多くの投資家が反発している」と述べ、EUが民間の資金を原子力と天然ガスに誘導しようとしていると批判しました。
<引用終わり>
(*2):ドイツは昨年(2021年)末に3基の原発の稼働を停止している。
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時事ドットコムニュース 2022年01月04日11時41分
見出し:◆ドイツ、原発3か所の運転停止 電力危機の中
https://www.jiji.com/jc/article?k=20220104042459a&g=afp
記事:○【ベルリンAFP=時事】欧州が過去最大規模の電力危機に直面する中、ドイツは昨年12月31日、アンゲラ・メルケル前首相の計画通り、原子力発電所3か所の運転を停止した。
○運転が停止されたのは、ブロクドルフ、グローンデ、グンドレンミンゲンの3原発。
○これにより、ドイツの原子力発電能力はこれまでの半分となり、発電量は約4ギガワット減少。これは風車1000基による発電量に相当する。
○エネルギー価格が上昇する中、欧州と天然ガスの主要供給国ロシアとの緊張もかつてないほど高まっており、3原発の閉鎖で電力危機がさらに深刻化する恐れもある。
○2011年の福島第1原子力発電所事故後の反対運動を受け、メルケル前首相は脱原発を決めた。22年末までに、残る原発3か所を閉鎖して原子力発電を完全に廃止する計画だ。だが欧州全土で電力が高騰する中、最悪のタイミングになるとの見方もある。
○フランスをはじめ、原子力推進の立場を維持している他の欧州連合(EU)加盟諸国は、原子力が投資対象となるよう、EUが定める持続可能なエネルギー源のリストに追加するよう要請している。
○またドイツ国内でも、原発に対する世論は軟化しつつある。だが政府は、メルケル前首相の計画を継続する方針だ。
○連立政権の一端を担う緑の党のロベルト・ハベック共同代表は先週、原子力エネルギーの再導入を訴える政治家がいるならば、同時に「自分の選挙区に放射性廃棄物を保管したいと言わなければならない」と指摘。「誰かがそう言うなら、この件を再検討する」と述べ、原発閉鎖を擁護した。【翻訳編集AFPBBNews】〔AFP=時事〕
<引用終わり>
(*3):フランスは6基の原発の建設と、それに加え更なる増設計画(8基)を発表した。
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朝日新聞デジタル記事 2022年2月11日 1時40分
見出し:◆仏、原発6基を国内建設へ さらに8基増設も検討「温暖化への対策」
有料会員記事
https://www.asahi.com/articles/ASQ2C0FSCQ2BUHBI05C.html
記事:○フランスのマクロン大統領は10日、新たに原子力発電所6基を国内に建設すると明らかにした。さらに8基の増設も検討するという。新設は2007年以来で、地球温暖化対策を理由に挙げた。既存原発の耐用年数も50年以上に延ばす方針で、「原発のルネサンス(再生)」を実現すると強調した。仏東部の原発向けタービン製造拠点を訪問した際の演説で述べた。
○フランスのマクロン大統領は10日、新たに原子力発電所6基を国内に建設すると明らかにした。さらに8基の増設も検討するという。新設は2007年以来で、地球温暖化対策を理由に挙げた。既存原発の耐用年数も50年以上に延ばす方針で、「原発のルネサンス(再生)」を実現すると強調した。仏東部の原発向けタービン製造拠点を訪問した際の演説で述べた。
○原発は「グリーン」か、割れるEU フランスは歓迎、ドイツは反対
○仏マクロン氏「原発回帰」鮮明 新設は脱・石炭の「強いメッセージ」
○建設するのは、欧州加圧水型炉「EPR」の改良型(EPR2)。事故が起こりにくい設計とされるが、07年に仏北西部フラマンビルで着工したEPRはトラブルが続出。12年の稼働予定は23年以降にずれ込んでいるほか、仏メディアによると、費用も当初想定の5倍以上に膨らむと見積もられている。
○マクロン氏は東京電力福島第一原発の事故について、原発への「国際的な疑義」が生まれ、「いくつかの国は極端な選択」をとり、「原発に背を向けた」と暗に批判。電気自動車の普及などで今後、「電力需要が大きく増える」ことをふまえ、経済成長に原発が必要だと強調した。
○原則40年としている原発の…この記事は有料会員記事です。残り401文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
<無料部分引用終わり>
(*4):立憲民主党の「原発ゼロ」との「公約」などがそれに該当するが、その中身は電力の安定供給に責任を取らぬNGOレベルと同じである。原発をゼロにした場合に発生する悪性の副作用への対策など皆無なのである。
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2017/10/20投稿:
立憲民主党の選挙公約を読む2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-784.html
2021/10/11投稿:
地球温暖化防止・エネルギー政策に対する思考停止「原発ゼロ」編
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1572.html
(*5):我が国技術に石炭火力超々臨界圧発電技術があるのだが、それを何処かのオンボロ石炭火力と同列にして、あたかもCO2排出が大きいが如き虚偽で反対運動を始める学生が表れるとの不思議な現象が起こっているのである。
↓
2021/01/08投稿:
上面を舐めるだけ記事「ベトナム・ブンアン2石炭火力発電所案件」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1456.html
2020/01/25投稿:
新聞記事の軸足の置き方・日本の高効率石炭火力発電技術
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1314.html
(*6):今回の件でも、早速に朝日新聞は社説で反対を表明している。
↓
朝日新聞デジタル 2022年2月10日 5時00分
見出し:◆(社説)EU原発回帰 日本の選択肢ではない
https://www.asahi.com/articles/DA3S15200284.html
○欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会が、一定条件のもとで原発を地球温暖化対策に役立つエネルギーと位置づけた。しかし原発の活用については、EU内でも意見が割れている。様々な条件が異なる日本で、原発回帰の議論に結びつけるのは早計だ。
○欧州委は、環境に配慮した持続可能な経済活動を列挙する「EUタクソノミー(分類)」を設けている。今回、これに原発や天然ガス発電を追加した。実際にどんなエネルギーを使うかは各国の自由だが、事業への投資を呼び込みやすくなると、欧州委はみている。
○原発の追加に対し、脱原発を進めるドイツのほか、オーストリアなど4カ国が反対を表明していた。しかし発電の多くを原発に頼るフランスは歓迎するなど賛成が優勢で、原発の「グリーン認定」は認められるとみられる。
○EUタクソノミーは、水や生態系の保護、公害防止などに重大な害を及ぼさないことが条件だ。原発は高レベル放射性廃棄物処分場の具体的な計画などを要件とし、新増設や運転延長も規制当局の許可を得る期限を設けている。天然ガスは二酸化炭素排出量の上限を定め、石炭火力からの置き換えなどに限る。
○今回の決定は、石炭や石油火力から再生可能エネルギーへの移行期間における過渡的な選択との位置づけだが、今後、どれだけの原発が条件を満たし、各国が利用を進めるのかは、わからない。欧州は旧ソ連チェルノブイリ原発事故の影響も受けた。今回の原発の位置づけを、環境団体は「グリーンウォッシュ(見せかけの環境配慮)」と非難する。
○日本の電力業界などからは歓迎の声があがる。しかし、東京電力福島第一原発の事故で経験したように原発事故が起きれば、生活への打撃は極めて大きく、環境も「重大な害」を被る。地震や火山が多く、台風も常襲する日本は、欧州とは自然条件が違い、同一には議論できない。
○高レベル放射性廃棄物について、日本では地下に埋める最終処分地をめぐって「文献調査」は始まったが、その先は不透明で、見通しはついていない。万年単位の長期間にわたる地下の安定性を確認するには、今の科学知識や技術では限界もある。
○原発は経済的にも有利ではないことが明確になりつつある。経済産業省が昨年公表した試算では、2030年の発電単価は太陽光発電が原発を下回った。可能な限り原発依存度を下げ、再生可能エネルギーの導入を進めるという政府の方針を忘れずに、脱炭素に取り組むべきだ。
<引用終わり>
【ご参考】
2018/05/21投稿:
(資料編)朝日新聞の病巣を指摘する書籍
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-934.html
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