またもや天皇の元首行為を隠したい朝日新聞記事・衆議院解散
- 2021/10/16
- 20:02
またもや天皇の元首行為を隠したい朝日新聞記事・衆議院解散
副題:「衆議院解散すること」は現行憲法第7条3号規定。国会慣例に背く小泉信次郎は何をやりたいのか?
今回の題材は、またしても現行憲法にある天皇の元首行為を隠したい朝日新聞の記事である。(*1)
「またしても」と書いたのは、10日程前に投稿した論考「「皇居」は場所。総理大臣を任命するのは天皇陛下・現行憲法第6条」(*2)で述べた様に、現行憲法の第1章「天皇」の第6条と第7条には天皇の元首行為が書かれているのだが、それに触れたくない我が国の反日偏向メディアは「天皇が任命する」という憲法規定を「皇居での・・」と「場所」を主体にした言い換えを毎回記事にしている事を指摘した。
今回の題材にした朝日新聞の記事の見出しは「◆衆院の解散で万歳三唱なぜ 小泉進次郎氏は両手を挙げず」である。
小泉の名前を出しているのは、「自民党政権の大臣であっても疑問を持つ人もいる」という事に利用する為であろう。
朝日新聞記事の本題は「衆議院解散時に何故、万歳三唱をするのか?」という問い掛けである。
朝日記事では、その問い掛けに対して以下の様な記述だけで終わっている。
↓
<抜粋引用開始>
職を失い、議員生命を賭けた戦いに挑む直前になぜ「万歳三唱」なのか。「日清戦争後に流行した」「選挙前に気勢を上げるため」など諸説あるが、真相は分かっていない。
<引用終わり>
この様な書き方は、朝日御得意の「一部だけを報じる隠蔽」そのものである。
「諸説ある」と言いながら、諸説の一部だけしか書いておらず、肝心な事は書かれていないのである。
当方も若いころに「衆議院解散で代議士ではなくなる議員達が万歳三唱をする理由」が分からなくて調べた事がある。
調べた結果、「なるほど」と当方が得心した説を以下に紹介しする。
先ず、朝日記事にある様に、衆議院解散時の万歳三唱は、先の大戦以前の帝国憲法下議会でも行われていたことである。
衆議院の解散は帝国憲法下では以下の様な規定になっている。
↓
<帝国憲法第7条>(当方による現代語訳(*3))
天皇は帝国議会を召集し、その開会・閉会・停会および衆議院の解散を命じる。
<引用終わり>
帝国憲法は、現行憲法の「なんでもかんでも国民主権」との建て付けと同様の歪みがあり、「なんでもかんでも天皇大権」の条文となっている(*4)ので、あたかも天皇が勝手に解散権を行使できたかの様な誤解があるが、実際は、帝国憲法下でも衆議院解散は内閣総理大臣が決め(輔弼)、それに基づき天皇が解散の詔書を発するものであった。
帝国憲法下での「内閣が解散を決め、憲法規定に則り天皇が解散の詔勅を発する」というプロセスは、戦後の現行憲法下でも同じである。
現行憲法の第7条三号には以下の様に「衆議院を解散すること」が規定されている。
↓
<現行憲法第7条>(*5)
第7条:天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
(以降、四~十は略)
<引用終わり>
帝国憲法では「輔弼」、現行憲法では「内閣の助言と承認」である。
現行憲法下での衆議院解散は、現行憲法第7条3号規定に則り、解散の詔書を以て行われる。
今回の解散も、衆議院議長が天皇陛下の解散の詔書を読み上げ、それを以て解散されたもので、その際に慣例である万歳三唱が行われたものである。
「帝国憲法下で天皇が解散を命じた」さいに、当時の衆議院の議員は「帝国憲法規定に従います」との意志を示す為に万歳三唱をした、その事が慣例となり、現在まで続いているものだ。
要するに「諸説」の1つとして、「憲法規定に則る事を天皇陛下万歳にて示す立憲主義の姿勢」があり、その説を当方は支持している。
朝日新聞が絶対的に紹介したくない「諸説」であることが分かるであろう。
この「諸説」は、当方がデッチ上げているものではない。
あの中曽根(*6)も、自説を交えて同様のことを言っており、「存在している諸説の1つ」であることは間違いがない。
朝日新聞記事の最後の部分では、小泉信次郎の発言を紹介している。
以下に、その部分を抜粋引用する。
↓
<小泉信次郎の発言部分抜粋>
2017年の解散時、「慣習だからとか合理的な理由なく、やり続けるのは好きじゃない」として万歳しなかった小泉進次郎前環境相は、今回の解散時も両手を上げることはなかった。
<引用終わり>
朝日記事によれば、これは4年前の「2017年の解散時」の発言だそうだが、あれから小泉がどれだけ成長したのかは分からない。
環境省の官僚の言いなりになっているので「成長している」とは言えないと思うし、実際、今回も万歳をしていないので、「慣習だからとか合理的な理由なく、やり続けるのは好きじゃない」との発言は今も有効だと考えられる。
この発言から推測されることは、小泉は当方が示した見解を知らないのであろうこと、そして「慣習」とは、先人達の生活実態の集積としてもっとも相応しいやり方だとの合意の基に確立したものであることを知らないのであろう。
「慣習」というものがどういうものかを知らないから小泉は「合理的理由がない」と言っていることが分かるであろう。
例えば、イギリスには憲法典がない不成文憲法の国だと言われているが、立憲君主制の民主主義国である。イギリスの憲法規定は各種法律に憲法的規定があり、それら諸法と慣習により構成されており「慣習憲法」との別名を持つ様に「慣習」とはむしろ「合理的理由により確立されたもの」である。(*7)
我が国の場合、政治上の慣習は「憲政の常道」との言葉で表現されるのだが、最近は、その言葉を聞くことは稀になっている。
その国の伝統・文化集積を否定したい勢力は、慣習に対して、その重みを隠して、あたかもそれが時代遅れの「因習」であるかの様な事を言うのである。
朝日新聞が報じない、今回当方が提示した「諸説」の存在を知っていただき、各自でご判断していただきたい。
今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1):今回の題材は、またしても現行憲法にある天皇の元首行為を隠したい朝日新聞の記事である。
↓
朝日新聞デジタル 10/14(木) 13:25配信
見出し:◆衆院の解散で万歳三唱なぜ 小泉進次郎氏は両手を挙げず
https://news.yahoo.co.jp/articles/7d6047f5d5654adfd314a48ad661d3b8870fdbae
記事:○14日午後1時過ぎ、衆院が解散した。19日公示、31日投開票の日程で衆院選は行われ、「前衆院議員」たちは自らの選挙区に戻り、事実上の選挙戦に突入する。解散は、国民に選挙で選ばれた全衆院議員の身分を一斉に失わせる重い行為だ。その手続きはどうなっているのだろうか。
○「ばんざーい、ばんざーい、ばんざーい」。衆院解散でおなじみの光景が、失職する議員たちによって行われる「万歳三唱」だ。この日も与党の出席者のほとんどが両手を上げて唱和した。
○職を失い、議員生命を賭けた戦いに挑む直前になぜ「万歳三唱」なのか。「日清戦争後に流行した」「選挙前に気勢を上げるため」など諸説あるが、真相は分かっていない。2017年の解散時、「慣習だからとか合理的な理由なく、やり続けるのは好きじゃない」として万歳しなかった小泉進次郎前環境相は、今回の解散時も両手を上げることはなかった。
<引用終わり>
(*2):「またしても」と書いたのは、10日程前に投稿した論考「「皇居」は場所。総理大臣を任命するのは天皇陛下・現行憲法第6条」で述べた様に、現行憲法の第1章「天皇」の第6条と第7条には天皇の元首行為が書かれているのだが、それに触れたくない我が国の反日偏向メディアは「天皇が任命する」という憲法規定を「皇居での・・」と「場所」を主体にした言い換えを毎回記事にしている事を指摘した。
↓
2021/10/06投稿:
「皇居」は場所。総理大臣を任命するのは天皇陛下・現行憲法第6条
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1570.html
※「皇居での・・」という表現をマスコミは使っているが、「皇居」とは「場所」であり、憲法規定とは異なる表現方法である。憲法第6条・第7条で任命・認証するのは天皇であり「場所」ではない。
「皇居」との「場所」を報じる我が国メディアについて論じるのは今回が初めてではない。以下に以前の論考を参考の為に紹介する。
↓
2017/11/04投稿:
「皇居での首相任命式と閣僚認証式」憲法第6条・第7条
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-795.html
2015/10/10投稿:
【コラム】「皇居での認証式」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-229.html
(*3):帝国憲法第7条(当方による現代語訳)
↓
2016/04/26投稿:
(資料編)大日本帝国憲法・現代語訳
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-395.html
【大日本帝国憲法】
<第1章・天皇>
第1条:大日本帝国は万世一系の天皇により統治される。
第2条:皇位は皇室典範の定めに従い皇統の男系男子孫が継承する。
第3条:天皇は神聖にして侵してはならない。
第4条:天皇は国家元首であり統治権を統合掌握し憲法の規定により統治を行う。
第5条:天皇は帝国議会の協賛により立法権を行使する。
第6条:天皇は法律を裁可し、その公布と執行を命じる。
第7条:天皇は帝国議会を召集し、その開会・閉会・停会および衆議院の解散を命じる。
第8条:天皇は公共の安全を保持し、またはその災厄を避けるため緊急の必要があって帝国議会が閉会中の場合には法律に代わる勅令を発する。この勅令は次の会期に帝国議会に提出しなければならない。もし議会において承認されなかった時には政府は将来には、その勅令の効力が失われることを公布しなければならない。
第9条:天皇は法律を執行するため、または公共の安寧と秩序を保持し、及び臣民の幸福を増進する為に必要な命令を発するか発令させる事が出来る。ただし命令で法律を変更する事は出来ない。
第10条:天皇は行政各部の制度および文官と武官の俸給を定め文官と武官を任免する。但し、この憲法、又は他の法律で特例があるものは、各々その条項による。
第11条:天皇は陸海軍を統帥する。
第12条:天皇は陸海軍の編成と常備軍の兵員数を定める。
第13条:天皇は宣戦布告を行い講和条約を結び、その他の条約を締結する。
第14条:天皇は戒厳令を宣告する。戒厳の要件と効力は法律によって定められる。
第15条:天皇は爵位、勲章およびその他の栄典を授与する。
第16条:天皇は、大赦、特赦、減刑及び復権を命令する。
第17条:皇室典範の定めるところによる摂政を置くことが出来る。摂政は天皇の名において大権を行使する。
<以下略、以降は上記URLにてアクセス参照いただきたい>
(*4):帝国憲法は、現行憲法の「なんでもかんでも国民主権」との建て付けと同様の歪みがあり、「なんでもかんでも天皇大権」の条文となっている。
↓
2017/05/29投稿:
憲法議論3・日本の国家元首
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-680.html
(*5):現行憲法第7条
↓
昭和二十一年憲法 日本国憲法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION
<引用開始>
第7条:天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。
<引用終わり>
(*6):あの中曽根も、同様のことを言っており、「存在している諸説の1つ」であることは間違いがない。
↓
<あの中曽根>
2019/12/03投稿:
中曽根元首相・101歳の大往生
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1290.html
【ご参考】
2017/05/21投稿:
捏造話「9条起源は幣原喜重郎」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-675.html
<Wikiからの抜粋>
現在も続いている衆議院解散時に本会議場で万歳を行う慣習は、政治学者の前田英昭(元・駒澤大学教授で法学博士、専門は政治制度論)によると速記録や新聞などから1897年(明治30年)12月25日の第11回帝国議会の解散から確認できるとされる。ただ、この習慣が出来た理由は未だに不明である。万歳の由来について専門家の間にも、やけっぱち説、内閣への降伏を表しているとする説、ときの声であるとする説、天皇陛下万歳の意味であるとする説、士気を鼓舞するためとみる説など諸説が唱えられている。中曽根康弘によると、「大日本帝国憲法下では、『解散の詔書』が包まれる紫の袱紗(ふくさ)に象徴される天皇陛下万歳というのが始まり」とし、「職を失った者が総選挙という戦場に万歳・突撃するという気持ちだ」としている。他の説として英国議会で「『国王陛下万歳』と唱和するのに倣って、天皇の長寿を祈念した」とか「戦前は超然内閣が政党に対抗して解散することが多く、議員が自暴自棄になった」などがある。衆議院事務局は「慣例」としか回答していない。
<引用終わり>
(*7):イギリスには憲法典がない不成文憲法の国だと言われているが、立憲君主制の民主主義国である。イギリスの憲法規定は各種法律に憲法的規定があり、それら諸法と慣習により構成されており「慣習憲法」との別名を持つ。
↓
2015/01/20投稿:
2.-2他国憲法の全体構成との比較 その2英国の憲法
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-5.html
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副題:「衆議院解散すること」は現行憲法第7条3号規定。国会慣例に背く小泉信次郎は何をやりたいのか?
今回の題材は、またしても現行憲法にある天皇の元首行為を隠したい朝日新聞の記事である。(*1)
「またしても」と書いたのは、10日程前に投稿した論考「「皇居」は場所。総理大臣を任命するのは天皇陛下・現行憲法第6条」(*2)で述べた様に、現行憲法の第1章「天皇」の第6条と第7条には天皇の元首行為が書かれているのだが、それに触れたくない我が国の反日偏向メディアは「天皇が任命する」という憲法規定を「皇居での・・」と「場所」を主体にした言い換えを毎回記事にしている事を指摘した。
今回の題材にした朝日新聞の記事の見出しは「◆衆院の解散で万歳三唱なぜ 小泉進次郎氏は両手を挙げず」である。
小泉の名前を出しているのは、「自民党政権の大臣であっても疑問を持つ人もいる」という事に利用する為であろう。
朝日新聞記事の本題は「衆議院解散時に何故、万歳三唱をするのか?」という問い掛けである。
朝日記事では、その問い掛けに対して以下の様な記述だけで終わっている。
↓
<抜粋引用開始>
職を失い、議員生命を賭けた戦いに挑む直前になぜ「万歳三唱」なのか。「日清戦争後に流行した」「選挙前に気勢を上げるため」など諸説あるが、真相は分かっていない。
<引用終わり>
この様な書き方は、朝日御得意の「一部だけを報じる隠蔽」そのものである。
「諸説ある」と言いながら、諸説の一部だけしか書いておらず、肝心な事は書かれていないのである。
衆議院解散時の万歳三唱は慣例
当方も若いころに「衆議院解散で代議士ではなくなる議員達が万歳三唱をする理由」が分からなくて調べた事がある。
調べた結果、「なるほど」と当方が得心した説を以下に紹介しする。
先ず、朝日記事にある様に、衆議院解散時の万歳三唱は、先の大戦以前の帝国憲法下議会でも行われていたことである。
衆議院の解散は帝国憲法下では以下の様な規定になっている。
↓
<帝国憲法第7条>(当方による現代語訳(*3))
天皇は帝国議会を召集し、その開会・閉会・停会および衆議院の解散を命じる。
<引用終わり>
帝国憲法は、現行憲法の「なんでもかんでも国民主権」との建て付けと同様の歪みがあり、「なんでもかんでも天皇大権」の条文となっている(*4)ので、あたかも天皇が勝手に解散権を行使できたかの様な誤解があるが、実際は、帝国憲法下でも衆議院解散は内閣総理大臣が決め(輔弼)、それに基づき天皇が解散の詔書を発するものであった。
帝国憲法下での「内閣が解散を決め、憲法規定に則り天皇が解散の詔勅を発する」というプロセスは、戦後の現行憲法下でも同じである。
現行憲法の第7条三号には以下の様に「衆議院を解散すること」が規定されている。
↓
<現行憲法第7条>(*5)
第7条:天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
(以降、四~十は略)
<引用終わり>
帝国憲法では「輔弼」、現行憲法では「内閣の助言と承認」である。
現行憲法下での衆議院解散は、現行憲法第7条3号規定に則り、解散の詔書を以て行われる。
今回の解散も、衆議院議長が天皇陛下の解散の詔書を読み上げ、それを以て解散されたもので、その際に慣例である万歳三唱が行われたものである。
「帝国憲法下で天皇が解散を命じた」さいに、当時の衆議院の議員は「帝国憲法規定に従います」との意志を示す為に万歳三唱をした、その事が慣例となり、現在まで続いているものだ。
要するに「諸説」の1つとして、「憲法規定に則る事を天皇陛下万歳にて示す立憲主義の姿勢」があり、その説を当方は支持している。
朝日新聞が絶対的に紹介したくない「諸説」であることが分かるであろう。
この「諸説」は、当方がデッチ上げているものではない。
あの中曽根(*6)も、自説を交えて同様のことを言っており、「存在している諸説の1つ」であることは間違いがない。
慣例に背く行為とは伝統の意義を理解していないか否定する行為
朝日新聞記事の最後の部分では、小泉信次郎の発言を紹介している。
以下に、その部分を抜粋引用する。
↓
<小泉信次郎の発言部分抜粋>
2017年の解散時、「慣習だからとか合理的な理由なく、やり続けるのは好きじゃない」として万歳しなかった小泉進次郎前環境相は、今回の解散時も両手を上げることはなかった。
<引用終わり>
朝日記事によれば、これは4年前の「2017年の解散時」の発言だそうだが、あれから小泉がどれだけ成長したのかは分からない。
環境省の官僚の言いなりになっているので「成長している」とは言えないと思うし、実際、今回も万歳をしていないので、「慣習だからとか合理的な理由なく、やり続けるのは好きじゃない」との発言は今も有効だと考えられる。
この発言から推測されることは、小泉は当方が示した見解を知らないのであろうこと、そして「慣習」とは、先人達の生活実態の集積としてもっとも相応しいやり方だとの合意の基に確立したものであることを知らないのであろう。
「慣習」というものがどういうものかを知らないから小泉は「合理的理由がない」と言っていることが分かるであろう。
例えば、イギリスには憲法典がない不成文憲法の国だと言われているが、立憲君主制の民主主義国である。イギリスの憲法規定は各種法律に憲法的規定があり、それら諸法と慣習により構成されており「慣習憲法」との別名を持つ様に「慣習」とはむしろ「合理的理由により確立されたもの」である。(*7)
我が国の場合、政治上の慣習は「憲政の常道」との言葉で表現されるのだが、最近は、その言葉を聞くことは稀になっている。
その国の伝統・文化集積を否定したい勢力は、慣習に対して、その重みを隠して、あたかもそれが時代遅れの「因習」であるかの様な事を言うのである。
朝日新聞が報じない、今回当方が提示した「諸説」の存在を知っていただき、各自でご判断していただきたい。
今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1):今回の題材は、またしても現行憲法にある天皇の元首行為を隠したい朝日新聞の記事である。
↓
朝日新聞デジタル 10/14(木) 13:25配信
見出し:◆衆院の解散で万歳三唱なぜ 小泉進次郎氏は両手を挙げず
https://news.yahoo.co.jp/articles/7d6047f5d5654adfd314a48ad661d3b8870fdbae
記事:○14日午後1時過ぎ、衆院が解散した。19日公示、31日投開票の日程で衆院選は行われ、「前衆院議員」たちは自らの選挙区に戻り、事実上の選挙戦に突入する。解散は、国民に選挙で選ばれた全衆院議員の身分を一斉に失わせる重い行為だ。その手続きはどうなっているのだろうか。
○「ばんざーい、ばんざーい、ばんざーい」。衆院解散でおなじみの光景が、失職する議員たちによって行われる「万歳三唱」だ。この日も与党の出席者のほとんどが両手を上げて唱和した。
○職を失い、議員生命を賭けた戦いに挑む直前になぜ「万歳三唱」なのか。「日清戦争後に流行した」「選挙前に気勢を上げるため」など諸説あるが、真相は分かっていない。2017年の解散時、「慣習だからとか合理的な理由なく、やり続けるのは好きじゃない」として万歳しなかった小泉進次郎前環境相は、今回の解散時も両手を上げることはなかった。
<引用終わり>
(*2):「またしても」と書いたのは、10日程前に投稿した論考「「皇居」は場所。総理大臣を任命するのは天皇陛下・現行憲法第6条」で述べた様に、現行憲法の第1章「天皇」の第6条と第7条には天皇の元首行為が書かれているのだが、それに触れたくない我が国の反日偏向メディアは「天皇が任命する」という憲法規定を「皇居での・・」と「場所」を主体にした言い換えを毎回記事にしている事を指摘した。
↓
2021/10/06投稿:
「皇居」は場所。総理大臣を任命するのは天皇陛下・現行憲法第6条
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1570.html
※「皇居での・・」という表現をマスコミは使っているが、「皇居」とは「場所」であり、憲法規定とは異なる表現方法である。憲法第6条・第7条で任命・認証するのは天皇であり「場所」ではない。
「皇居」との「場所」を報じる我が国メディアについて論じるのは今回が初めてではない。以下に以前の論考を参考の為に紹介する。
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2017/11/04投稿:
「皇居での首相任命式と閣僚認証式」憲法第6条・第7条
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2015/10/10投稿:
【コラム】「皇居での認証式」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-229.html
(*3):帝国憲法第7条(当方による現代語訳)
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2016/04/26投稿:
(資料編)大日本帝国憲法・現代語訳
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-395.html
【大日本帝国憲法】
<第1章・天皇>
第1条:大日本帝国は万世一系の天皇により統治される。
第2条:皇位は皇室典範の定めに従い皇統の男系男子孫が継承する。
第3条:天皇は神聖にして侵してはならない。
第4条:天皇は国家元首であり統治権を統合掌握し憲法の規定により統治を行う。
第5条:天皇は帝国議会の協賛により立法権を行使する。
第6条:天皇は法律を裁可し、その公布と執行を命じる。
第7条:天皇は帝国議会を召集し、その開会・閉会・停会および衆議院の解散を命じる。
第8条:天皇は公共の安全を保持し、またはその災厄を避けるため緊急の必要があって帝国議会が閉会中の場合には法律に代わる勅令を発する。この勅令は次の会期に帝国議会に提出しなければならない。もし議会において承認されなかった時には政府は将来には、その勅令の効力が失われることを公布しなければならない。
第9条:天皇は法律を執行するため、または公共の安寧と秩序を保持し、及び臣民の幸福を増進する為に必要な命令を発するか発令させる事が出来る。ただし命令で法律を変更する事は出来ない。
第10条:天皇は行政各部の制度および文官と武官の俸給を定め文官と武官を任免する。但し、この憲法、又は他の法律で特例があるものは、各々その条項による。
第11条:天皇は陸海軍を統帥する。
第12条:天皇は陸海軍の編成と常備軍の兵員数を定める。
第13条:天皇は宣戦布告を行い講和条約を結び、その他の条約を締結する。
第14条:天皇は戒厳令を宣告する。戒厳の要件と効力は法律によって定められる。
第15条:天皇は爵位、勲章およびその他の栄典を授与する。
第16条:天皇は、大赦、特赦、減刑及び復権を命令する。
第17条:皇室典範の定めるところによる摂政を置くことが出来る。摂政は天皇の名において大権を行使する。
<以下略、以降は上記URLにてアクセス参照いただきたい>
(*4):帝国憲法は、現行憲法の「なんでもかんでも国民主権」との建て付けと同様の歪みがあり、「なんでもかんでも天皇大権」の条文となっている。
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2017/05/29投稿:
憲法議論3・日本の国家元首
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(*5):現行憲法第7条
↓
昭和二十一年憲法 日本国憲法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION
<引用開始>
第7条:天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。
<引用終わり>
(*6):あの中曽根も、同様のことを言っており、「存在している諸説の1つ」であることは間違いがない。
↓
<あの中曽根>
2019/12/03投稿:
中曽根元首相・101歳の大往生
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1290.html
【ご参考】
2017/05/21投稿:
捏造話「9条起源は幣原喜重郎」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-675.html
<Wikiからの抜粋>
現在も続いている衆議院解散時に本会議場で万歳を行う慣習は、政治学者の前田英昭(元・駒澤大学教授で法学博士、専門は政治制度論)によると速記録や新聞などから1897年(明治30年)12月25日の第11回帝国議会の解散から確認できるとされる。ただ、この習慣が出来た理由は未だに不明である。万歳の由来について専門家の間にも、やけっぱち説、内閣への降伏を表しているとする説、ときの声であるとする説、天皇陛下万歳の意味であるとする説、士気を鼓舞するためとみる説など諸説が唱えられている。中曽根康弘によると、「大日本帝国憲法下では、『解散の詔書』が包まれる紫の袱紗(ふくさ)に象徴される天皇陛下万歳というのが始まり」とし、「職を失った者が総選挙という戦場に万歳・突撃するという気持ちだ」としている。他の説として英国議会で「『国王陛下万歳』と唱和するのに倣って、天皇の長寿を祈念した」とか「戦前は超然内閣が政党に対抗して解散することが多く、議員が自暴自棄になった」などがある。衆議院事務局は「慣例」としか回答していない。
<引用終わり>
(*7):イギリスには憲法典がない不成文憲法の国だと言われているが、立憲君主制の民主主義国である。イギリスの憲法規定は各種法律に憲法的規定があり、それら諸法と慣習により構成されており「慣習憲法」との別名を持つ。
↓
2015/01/20投稿:
2.-2他国憲法の全体構成との比較 その2英国の憲法
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-5.html
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