戦後76年の我が国の歩みの一切を無視する8月・「戦後体制」はもう要らない
- 2021/08/11
- 21:06
戦後76年の我が国の歩みの一切を無視する8月・「戦後体制」はもう要らない
副題:「侵略者」とのレッテルを維持したい人達は誰か? 言わずと知れた特定アジア諸国と、それに呼応する我が国国内に巣食う反日勢力が「戦後体制」の維持を図っている。
毎年8月になると、我が国の戦後76年の歩みの総てをすっ飛ばして過去に巻き戻り、我が国の事を悪し様に罵る勢力がいる。
今年も韓国紙・中央日報が「◆日本人の49%、「終戦記念日に加害と反省に言及する必要ない」」との見出しで、8月になった途端に、早速に煽っている。(*1)
中央日報の記事の元ネタは、沖縄タイムズが世論調査結果を元にした社説である。
中央日報の見出しにある「◆日本人の49%、「終戦記念日に加害と反省に言及する必要ない」」についての同紙記事は沖縄タイムズ社説の最後の部分の記述に基づいたものである。
↓
<中央日報記事から引用>
(前略)回答者の49%は終戦記念日の追悼式で首相が加害と反省に言及する必要はないと答えた。加害と反省に言及すべきという回答は47%となった。特に若い世代であるほど「必要ない」という回答が多かった。(中略)
今回の調査結果は日本社会に戦争経験世代が減る代わりに日本の加害行為に関する近隣諸国の見方を理解できない人たちが多くなった状況を示すとものと沖縄タイムズは分析した。
<引用終わり>
<沖縄タイムズ記事から引用>
(前略)「加害と反省に言及するべきだ」47%に対し、「必要はない」と答えた人は49%で、ほぼ拮抗(きっこう)している。若い世代に「必要ない」が多い。
懸念されるのは、日中戦争が忘却され、加害意識が日本社会から急速に薄らいでいくことだ。若い人たちに届く言葉や手法が求められている。
<引用終わり>
お読みいただければ分かる通り、「加害責任について言及せよ」という彼等の主張が先にあり調査結果が、そうなっていない事に対して「問題だぁ~」としているものである。
「加害責任」なる彼等の設定の欺瞞性については以前から指摘済(*2)だが、中央日報記事・沖縄タイムズ記事でのもう1つの問題点を紹介する。
このブログをお読みの方なら、「村山談話」はご存知のことだと思う。
1990年当時、自社野合政権で総理の座にあった社会党・村山富一が発した「戦後50周年の終戦記念日にあたって」との談話である。(*3)
その10年後の2000年には小泉談話(60周年談話)(*4)があり、2015年の戦後70周年には安倍談話(*5)が出された。
中央日報記事は沖縄タイムズの記事に基づいて書かれていることは上述した通りだが、両紙の記事では「村山談話」は登場するが「安倍談話」は登場せず、以下の様に「加害者としての反省」に言及しない」と表現されているのである。
↓
<沖縄タイムズ記事から引用>
(前略)終戦の日に開かれる全国戦没者追悼式で、歴代首相は加害者としての反省に触れてきた。
安倍晋三前首相は2012年の第2次政権発足以降、言及しなかった。菅義偉首相はどうすべきか。(後略)
<引用終わり>
<中央日報記事から引用>
(前略)村山富市氏以降日本の歴代首相は終戦記念日の追悼式でアジア諸国に対する日本の加害行為に対し反省の意を示してきた。だが安倍晋三前首相は2012年から昨年までの在任中にこれに言及しなかった。(後略)
<引用終わり>
2015年の安倍談話を知っている方ならば、「「加害者としての反省」に言及しない」との表現が、まったく相応しくないことが分かると思う。
安倍談話では【日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません】とはっきりと述べており、「加害者としての反省」との設定に乗る必要はもはやないことを宣言しているのである。
終戦70周年安倍談話は2015年に出された談話であるが、それ以前からの姿勢を公にしたものだ。
安倍首相が昨年(2021年)秋に退陣した後、ガースー総理就任後はじめての8月となる訳だが、安倍談話は彼等にとっては不都合であることから、この様な「言及しない」との書き方をしているものと推定されるものである。
2015年の70周年談話は、なかなかの優れモノであり、ただ単に「昔のことだから、もう御仕舞」とする様なものではない。
安倍談話は、「戦後「民主主義」」との偽りの物語から脱し、史実に基づく展開で構成されている。そのエッセンス・基本構成を短くまとめると以下の様なものだと理解している。
<安倍談話の基本構成>
「19世紀から20世紀の我が国は欧米列強を相手に存亡の危機にあった」
↓
「我が国は民族自決・独立を維持する努力をした」
↓
「しかし、それを武力で行い、自身を含め多くの人々が不幸に見舞われた」
↓
「「武力による現状変更」を我が国は否定し、また、民族自決・自存自立を原則とする国際秩序を我が国は維持する」
↓
「勿論、日本国は日本人の命、平和・安寧の確保の為に、必要があれば自衛を実施する」
↓
「それが戦後70年の我が国の歩みであり、その事実の集積を以てすれば「侵略するのは日本」なる難癖は自ずと否定され、若い世代の日本人が、そんな冤罪の被害にあう必要はない」
安倍70周年談話が不都合なので、それをスルーして「村山談話」を持ち出す手法を使っているのが、沖縄タイムズであり中央日報なのである。
両紙記事にある「49%は終戦記念日追悼式で首相が加害と反省に言及する必要はない」となっているのは、安倍談話が1つの要因だと考えている。
その一方、「言及すべき」という回答がまだ47%もあるのは、未だに「戦後「民主主義」教育」の残渣が、人々の中で生き残っているからであろう。
それは残念なことであるが、若い世代ほど「必要ない」との比率が高いことに希望があると思う。
とは言え、先の大戦が終わった1945年以降に構築された我が国の戦後体制が未だに命脈を保っていることは我々日本人にとって不幸である。
現在、戦後世界は第三段階にある。(*6)
そうであるにも関わらず、我が国は戦後体制のままである。
先の大戦が終わった段階の世界は、ヤルタ・ポツダム体制と言われる様に、戦勝国連合の「合意事項」をベースに再編された。
この体制は、ルーズベルト・チャーチル・スターリンにより「合意」されたもので、ソ連にとって異様に有利であり、世紀の失政だと元アメリカ大統領フーバーは「フーバー回顧録」にて、それを激しく批判している。これが戦後世界体制の第一段階である。
我が国は未だ、この段階の体制にままである。
戦後世界は、ソ連による東欧の自国併呑(バルト3国等)・衛星国化(ポーランド以西東独)及びアジアの地での中国共産党支配確立とその拡大により、共産主義が力を持ち、自由民主主義体制vs共産主義との米ソ東西冷戦構造が表面化したが、東西冷戦構造は1989~92年に崩壊した。これが第二段階である。
世界が冷戦構造の崩壊を喜んでいる間に、経済・軍事との国力の両輪で以前とは比べものにならないくらいに発展・拡充した中国が、自国Sinic文明を基盤とした世界秩序へと変換する試みを実行し始めている。
これが今の第三段階である。
中国の覇権軍国主義的侵透をだまって見ているだけでは、我々日本人は我々の文明とともに併呑されかねないのである。
「戦後体制」とは、我々を劣後させておく体制である。
それを維持したがっている特定アジア諸国と、それに呼応する我が国国内に巣食う反日勢力が、戦後の我が国の平和の歩みの一切を脇に置き、70数年経っても我々日本人に「侵略者」とのレッテルを毎年8月に貼り続けているのである。
今回は以上である。
1日1回ポチっとな ↓
FC2 Blog Ranking 
【文末脚注】
(*1):今年も韓国紙・中央日報が早速に煽っている。
↓
中央日報日本語版2021.08.02 10:18
見出し:◆日本人の49%、「終戦記念日に加害と反省に言及する必要ない」
https://japanese.joins.com/JArticle/281423?sectcode=A00&servcode=A00
記事:○日本人の半分ほどが、日本がアジア諸国に対する過去の加害行為に対し首相が反省の意を表わす必要がないと考えると調査された。
○日本世論調査会が1日、日本の有権者を対象に6~7月に郵便で実施した平和に関する世論調査で、回答者の49%は終戦記念日の追悼式で首相が加害と反省に言及する必要はないと答えた。加害と反省に言及すべきという回答は47%となった。特に若い世代であるほど「必要ない」という回答が多かった。
○村山富市氏以降日本の歴代首相は終戦記念日の追悼式でアジア諸国に対する日本の加害行為に対し反省の意を示してきた。だが安倍晋三前首相は2012年から昨年までの在任中にこれに言及しなかった。
○今回の調査結果は日本社会に戦争経験世代が減る代わりに日本の加害行為に関する近隣諸国の見方を理解できない人たちが多くなった状況を示すとものと沖縄タイムズは分析した。
<引用終わり>
【ご参考】上記記事中に登場する「沖縄タイムズ」の「分析」
沖縄タイムズ 2021年8月2日 05:00
見出し:◆社説[平和世論調査]緊張緩和のビジョンを
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/796929
記事:○本社加盟の日本世論調査会が実施した「平和」に関する全国郵送世論調査の結果がまとまった。
○戦争被爆国として国際社会でもっと積極的に役割を果たすべきだとの考えが、国民の間に深く浸透していることが明らかになった。
○今年1月に発効した核兵器禁止条約に日本も「参加するべきだ」と答えた人は71%に上る。
○戦争被爆国でありながら、日本は条約に参加していない。かたくなに核抑止力にすがっているからだ。「条約は分断をもたらす」とさえ批判する。
○核保有国と非核保有国の橋渡し役を担うという政府の主張は急速に色あせている。
○調査結果から浮かび上がるのは、平和が揺らいでいる、という強い危機感である。
○「日本が今後、戦争をする可能性がある」と答えた人は、「大いに」と「ある程度」を合わせて計41%に上り、昨年の調査から9ポイントも上昇した。
○「米中対立が強まり、有事が起きれば巻き込まれるから」との回答が多かった。
○興味深いのは、緊張の高まりによって憲法9条の意義があらためて見直されていることだ。
○自衛隊の在り方について、74%が「憲法の平和主義の原則を踏まえ、『専守防衛』を厳守」と答えた。「9条を改正して『軍』として明記」と答えた人は21%にとどまる。
○政府はこうした民意を踏まえ、主体的に緊張緩和のビジョンを示すべきだ。
■ ■
○米軍普天間飛行場の辺野古移設について、政府の姿勢を「支持しない」と答えた人は、「支持する」の38%を大きく上回り、57%に上った。
○軟弱地盤の存在が明らかになり、先の見通しが立たなくなったことが影響しているのだろう。
○ただ、気になる数字もある。「国外移設」29%、「普天間飛行場閉鎖」22%に対し「普天間を引き続き使用」が24%もあるのだ。
○「沖縄以外の国内移設」は17%にとどまっており、それよりも「継続使用」が多いのである。
○普天間飛行場の「一日も早い危険性の除去」の必要性が、まだ十分に理解されていないというほかない。
○玉城デニー知事が辺野古移設に反対していることは全国的に広く知られている。政府の姿勢を「支持しない」という全国の声をどのように政治の場にのせていくか。発信力を強化する必要がある。
■ ■
○終戦の日に開かれる全国戦没者追悼式で、歴代首相は加害者としての反省に触れてきた。
○安倍晋三前首相は2012年の第2次政権発足以降、言及しなかった。菅義偉首相はどうすべきか。
○「加害と反省に言及するべきだ」47%に対し、「必要はない」と答えた人は49%で、ほぼ拮抗(きっこう)している。若い世代に「必要ない」が多い。
○懸念されるのは、日中戦争が忘却され、加害意識が日本社会から急速に薄らいでいくことだ。若い人たちに届く言葉や手法が求められている。
<引用終わり>
(*2):「加害責任」なる彼等の設定の欺瞞性については以前から指摘済
↓
2015/08/27投稿:
【コラム】開戦の詔勅と帝国政府声明文1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-196.html
2015/08/28投稿:
【コラム】開戦の詔勅と帝国政府声明文2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-197.html
【ご参考】
2015/09/02投稿:
【コラム】安倍談話と開戦の詔勅(帝国政府声明文)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-200.html
(*3):「村山談話」とは1990年当時、自社野合政権で総理の座にあった社会党・村山富一が発した「戦後50周年の終戦記念日にあたって」との談話である。
↓
外務省HP 平成7年8月15日
村山内閣総理大臣談話
「戦後50周年の終戦記念日にあたって」(いわゆる村山談話)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/07/dmu_0815.html
(*4):2000年の小泉談話(60周年談話)
↓
首相官邸HP 平成十七年八月十五日
内閣総理大臣・小泉純一郎
内閣総理大臣談話
http://www.kantei.go.jp/jp//koizumispeech/2005/08/15danwa.html
(*5):2015年の戦後70周年安倍談話
↓
首相官邸HP 平成27年8月14日
内閣総理大臣談話
https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10992693/www.kantei.go.jp/jp/97_abe/discource/20150814danwa.html
○終戦七十年を迎えるにあたり、先の大戦への道のり、戦後の歩み、二十世紀という時代を、私たちは、心静かに振り返り、その歴史の教訓の中から、未来への知恵を学ばなければならないと考えます。
○百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が、広がっていました。圧倒的な技術優位を背景に、植民地支配の波は、十九世紀、アジアにも押し寄せました。その危機感が、日本にとって、近代化の原動力となったことは、間違いありません。アジアで最初に立憲政治を打ち立て、独立を守り抜きました。日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました。
○世界を巻き込んだ第一次世界大戦を経て、民族自決の動きが広がり、それまでの植民地化にブレーキがかかりました。この戦争は、一千万人もの戦死者を出す、悲惨な戦争でありました。人々は「平和」を強く願い、国際連盟を創設し、不戦条約を生み出しました。戦争自体を違法化する、新たな国際社会の潮流が生まれました。
○当初は、日本も足並みを揃えました。しかし、世界恐慌が発生し、欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ、経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受けました。その中で日本は、孤立感を深め、外交的、経済的な行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試みました。国内の政治システムは、その歯止めたりえなかった。こうして、日本は、世界の大勢を見失っていきました。
○満州事変、そして国際連盟からの脱退。日本は、次第に、国際社会が壮絶な犠牲の上に築こうとした「新しい国際秩序」への「挑戦者」となっていった。進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行きました。
○そして七十年前。日本は、敗戦しました。
○戦後七十年にあたり、国内外に斃れたすべての人々の命の前に、深く頭を垂れ、痛惜の念を表すとともに、永劫の、哀悼の誠を捧げます。
○先の大戦では、三百万余の同胞の命が失われました。祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦陣に散った方々。終戦後、酷寒の、あるいは灼熱の、遠い異郷の地にあって、飢えや病に苦しみ、亡くなられた方々。広島や長崎での原爆投下、東京をはじめ各都市での爆撃、沖縄における地上戦などによって、たくさんの市井の人々が、無残にも犠牲となりました。
○戦火を交えた国々でも、将来ある若者たちの命が、数知れず失われました。中国、東南アジア、太平洋の島々など、戦場となった地域では、戦闘のみならず、食糧難などにより、多くの無辜の民が苦しみ、犠牲となりました。戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません。
○何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実。歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。一人ひとりに、それぞれの人生があり、夢があり、愛する家族があった。この当然の事実をかみしめる時、今なお、言葉を失い、ただただ、断腸の念を禁じ得ません。
○これほどまでの尊い犠牲の上に、現在の平和がある。これが、戦後日本の原点であります。
○二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。
○事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。
○先の大戦への深い悔悟の念と共に、我が国は、そう誓いました。自由で民主的な国を創り上げ、法の支配を重んじ、ひたすら不戦の誓いを堅持してまいりました。七十年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たちは、静かな誇りを抱きながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります。
○我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました。
○こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります。
○ただ、私たちがいかなる努力を尽くそうとも、家族を失った方々の悲しみ、戦禍によって塗炭の苦しみを味わった人々の辛い記憶は、これからも、決して癒えることはないでしょう。
○ですから、私たちは、心に留めなければなりません。
○戦後、六百万人を超える引揚者が、アジア太平洋の各地から無事帰還でき、日本再建の原動力となった事実を。中国に置き去りにされた三千人近い日本人の子どもたちが、無事成長し、再び祖国の土を踏むことができた事実を。米国や英国、オランダ、豪州などの元捕虜の皆さんが、長年にわたり、日本を訪れ、互いの戦死者のために慰霊を続けてくれている事実を。
○戦争の苦痛を嘗め尽くした中国人の皆さんや、日本軍によって耐え難い苦痛を受けた元捕虜の皆さんが、それほど寛容であるためには、どれほどの心の葛藤があり、いかほどの努力が必要であったか。
○そのことに、私たちは、思いを致さなければなりません。
○寛容の心によって、日本は、戦後、国際社会に復帰することができました。戦後七十年のこの機にあたり、我が国は、和解のために力を尽くしてくださった、すべての国々、すべての方々に、心からの感謝の気持ちを表したいと思います。
○日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。
○私たちの親、そのまた親の世代が、戦後の焼け野原、貧しさのどん底の中で、命をつなぐことができた。そして、現在の私たちの世代、さらに次の世代へと、未来をつないでいくことができる。それは、先人たちのたゆまぬ努力と共に、敵として熾烈に戦った、米国、豪州、欧州諸国をはじめ、本当にたくさんの国々から、恩讐を越えて、善意と支援の手が差しのべられたおかげであります。
○そのことを、私たちは、未来へと語り継いでいかなければならない。歴史の教訓を深く胸に刻み、より良い未来を切り拓いていく、アジア、そして世界の平和と繁栄に力を尽くす。その大きな責任があります。
○私たちは、自らの行き詰まりを力によって打開しようとした過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。この原則を、これからも堅く守り、世界の国々にも働きかけてまいります。唯一の戦争被爆国として、核兵器の不拡散と究極の廃絶を目指し、国際社会でその責任を果たしてまいります。
○私たちは、二十世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、そうした女性たちの心に、常に寄り添う国でありたい。二十一世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードしてまいります。
○私たちは、経済のブロック化が紛争の芽を育てた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、いかなる国の恣意にも左右されない、自由で、公正で、開かれた国際経済システムを発展させ、途上国支援を強化し、世界の更なる繁栄を牽引してまいります。繁栄こそ、平和の礎です。暴力の温床ともなる貧困に立ち向かい、世界のあらゆる人々に、医療と教育、自立の機会を提供するため、一層、力を尽くしてまいります。
○私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります。
○終戦八十年、九十年、さらには百年に向けて、そのような日本を、国民の皆様と共に創り上げていく。その決意であります。
○平成二十七年八月十四日
○内閣総理大臣 安倍 晋三
<引用終わり>
【ご参考】
2015/08/15投稿:
【コラム】安倍談話を読む
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-188.html
2015/08/18投稿:
【コラム】安倍談話を読む2-1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-190.html
2015/08/19投稿:
【コラム】安倍談話を読む2-2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-191.html
2015/08/21投稿:
【コラム】安倍談話ア・ラ・カルト
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-193.html
(*6):現在、戦後世界は第三段階にある。
↓
2019/05/29投稿:
先の大戦後の現在の世界情勢は第三段階にある
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1190.html
【ご参考】
2020/08/15投稿
我が国の戦後75年の歩みの一切を切り捨てて、時が1945年に巻き戻る(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1410.html
2020/08/17投稿:
我が国の戦後75年の歩みの一切を切り捨てて、時が1945年に巻き戻る(後編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1411.html
1日1回ポチっとな ↓
FC2 Blog Ranking


副題:「侵略者」とのレッテルを維持したい人達は誰か? 言わずと知れた特定アジア諸国と、それに呼応する我が国国内に巣食う反日勢力が「戦後体制」の維持を図っている。
毎年8月になると、我が国の戦後76年の歩みの総てをすっ飛ばして過去に巻き戻り、我が国の事を悪し様に罵る勢力がいる。
今年も韓国紙・中央日報が「◆日本人の49%、「終戦記念日に加害と反省に言及する必要ない」」との見出しで、8月になった途端に、早速に煽っている。(*1)
韓国紙・中央日報記事の概要
中央日報の記事の元ネタは、沖縄タイムズが世論調査結果を元にした社説である。
中央日報の見出しにある「◆日本人の49%、「終戦記念日に加害と反省に言及する必要ない」」についての同紙記事は沖縄タイムズ社説の最後の部分の記述に基づいたものである。
↓
<中央日報記事から引用>
(前略)回答者の49%は終戦記念日の追悼式で首相が加害と反省に言及する必要はないと答えた。加害と反省に言及すべきという回答は47%となった。特に若い世代であるほど「必要ない」という回答が多かった。(中略)
今回の調査結果は日本社会に戦争経験世代が減る代わりに日本の加害行為に関する近隣諸国の見方を理解できない人たちが多くなった状況を示すとものと沖縄タイムズは分析した。
<引用終わり>
<沖縄タイムズ記事から引用>
(前略)「加害と反省に言及するべきだ」47%に対し、「必要はない」と答えた人は49%で、ほぼ拮抗(きっこう)している。若い世代に「必要ない」が多い。
懸念されるのは、日中戦争が忘却され、加害意識が日本社会から急速に薄らいでいくことだ。若い人たちに届く言葉や手法が求められている。
<引用終わり>
お読みいただければ分かる通り、「加害責任について言及せよ」という彼等の主張が先にあり調査結果が、そうなっていない事に対して「問題だぁ~」としているものである。
「加害責任」なる彼等の設定の欺瞞性については以前から指摘済(*2)だが、中央日報記事・沖縄タイムズ記事でのもう1つの問題点を紹介する。
このブログをお読みの方なら、「村山談話」はご存知のことだと思う。
1990年当時、自社野合政権で総理の座にあった社会党・村山富一が発した「戦後50周年の終戦記念日にあたって」との談話である。(*3)
その10年後の2000年には小泉談話(60周年談話)(*4)があり、2015年の戦後70周年には安倍談話(*5)が出された。
中央日報記事は沖縄タイムズの記事に基づいて書かれていることは上述した通りだが、両紙の記事では「村山談話」は登場するが「安倍談話」は登場せず、以下の様に「加害者としての反省」に言及しない」と表現されているのである。
↓
<沖縄タイムズ記事から引用>
(前略)終戦の日に開かれる全国戦没者追悼式で、歴代首相は加害者としての反省に触れてきた。
安倍晋三前首相は2012年の第2次政権発足以降、言及しなかった。菅義偉首相はどうすべきか。(後略)
<引用終わり>
<中央日報記事から引用>
(前略)村山富市氏以降日本の歴代首相は終戦記念日の追悼式でアジア諸国に対する日本の加害行為に対し反省の意を示してきた。だが安倍晋三前首相は2012年から昨年までの在任中にこれに言及しなかった。(後略)
<引用終わり>
2015年の安倍談話を知っている方ならば、「「加害者としての反省」に言及しない」との表現が、まったく相応しくないことが分かると思う。
安倍談話では【日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません】とはっきりと述べており、「加害者としての反省」との設定に乗る必要はもはやないことを宣言しているのである。
終戦70周年安倍談話は2015年に出された談話であるが、それ以前からの姿勢を公にしたものだ。
安倍首相が昨年(2021年)秋に退陣した後、ガースー総理就任後はじめての8月となる訳だが、安倍談話は彼等にとっては不都合であることから、この様な「言及しない」との書き方をしているものと推定されるものである。
史実に則る安倍70周年談話が不都合な特アと反日勢力
2015年の70周年談話は、なかなかの優れモノであり、ただ単に「昔のことだから、もう御仕舞」とする様なものではない。
安倍談話は、「戦後「民主主義」」との偽りの物語から脱し、史実に基づく展開で構成されている。そのエッセンス・基本構成を短くまとめると以下の様なものだと理解している。
<安倍談話の基本構成>
「19世紀から20世紀の我が国は欧米列強を相手に存亡の危機にあった」
↓
「我が国は民族自決・独立を維持する努力をした」
↓
「しかし、それを武力で行い、自身を含め多くの人々が不幸に見舞われた」
↓
「「武力による現状変更」を我が国は否定し、また、民族自決・自存自立を原則とする国際秩序を我が国は維持する」
↓
「勿論、日本国は日本人の命、平和・安寧の確保の為に、必要があれば自衛を実施する」
↓
「それが戦後70年の我が国の歩みであり、その事実の集積を以てすれば「侵略するのは日本」なる難癖は自ずと否定され、若い世代の日本人が、そんな冤罪の被害にあう必要はない」
安倍70周年談話が不都合なので、それをスルーして「村山談話」を持ち出す手法を使っているのが、沖縄タイムズであり中央日報なのである。
両紙記事にある「49%は終戦記念日追悼式で首相が加害と反省に言及する必要はない」となっているのは、安倍談話が1つの要因だと考えている。
その一方、「言及すべき」という回答がまだ47%もあるのは、未だに「戦後「民主主義」教育」の残渣が、人々の中で生き残っているからであろう。
それは残念なことであるが、若い世代ほど「必要ない」との比率が高いことに希望があると思う。
とは言え、先の大戦が終わった1945年以降に構築された我が国の戦後体制が未だに命脈を保っていることは我々日本人にとって不幸である。
現在、戦後世界は第三段階にある。(*6)
そうであるにも関わらず、我が国は戦後体制のままである。
先の大戦が終わった段階の世界は、ヤルタ・ポツダム体制と言われる様に、戦勝国連合の「合意事項」をベースに再編された。
この体制は、ルーズベルト・チャーチル・スターリンにより「合意」されたもので、ソ連にとって異様に有利であり、世紀の失政だと元アメリカ大統領フーバーは「フーバー回顧録」にて、それを激しく批判している。これが戦後世界体制の第一段階である。
我が国は未だ、この段階の体制にままである。
戦後世界は、ソ連による東欧の自国併呑(バルト3国等)・衛星国化(ポーランド以西東独)及びアジアの地での中国共産党支配確立とその拡大により、共産主義が力を持ち、自由民主主義体制vs共産主義との米ソ東西冷戦構造が表面化したが、東西冷戦構造は1989~92年に崩壊した。これが第二段階である。
世界が冷戦構造の崩壊を喜んでいる間に、経済・軍事との国力の両輪で以前とは比べものにならないくらいに発展・拡充した中国が、自国Sinic文明を基盤とした世界秩序へと変換する試みを実行し始めている。
これが今の第三段階である。
中国の覇権軍国主義的侵透をだまって見ているだけでは、我々日本人は我々の文明とともに併呑されかねないのである。
「戦後体制」とは、我々を劣後させておく体制である。
それを維持したがっている特定アジア諸国と、それに呼応する我が国国内に巣食う反日勢力が、戦後の我が国の平和の歩みの一切を脇に置き、70数年経っても我々日本人に「侵略者」とのレッテルを毎年8月に貼り続けているのである。
今回は以上である。
1日1回ポチっとな ↓



【文末脚注】
(*1):今年も韓国紙・中央日報が早速に煽っている。
↓
中央日報日本語版2021.08.02 10:18
見出し:◆日本人の49%、「終戦記念日に加害と反省に言及する必要ない」
https://japanese.joins.com/JArticle/281423?sectcode=A00&servcode=A00
記事:○日本人の半分ほどが、日本がアジア諸国に対する過去の加害行為に対し首相が反省の意を表わす必要がないと考えると調査された。
○日本世論調査会が1日、日本の有権者を対象に6~7月に郵便で実施した平和に関する世論調査で、回答者の49%は終戦記念日の追悼式で首相が加害と反省に言及する必要はないと答えた。加害と反省に言及すべきという回答は47%となった。特に若い世代であるほど「必要ない」という回答が多かった。
○村山富市氏以降日本の歴代首相は終戦記念日の追悼式でアジア諸国に対する日本の加害行為に対し反省の意を示してきた。だが安倍晋三前首相は2012年から昨年までの在任中にこれに言及しなかった。
○今回の調査結果は日本社会に戦争経験世代が減る代わりに日本の加害行為に関する近隣諸国の見方を理解できない人たちが多くなった状況を示すとものと沖縄タイムズは分析した。
<引用終わり>
【ご参考】上記記事中に登場する「沖縄タイムズ」の「分析」
沖縄タイムズ 2021年8月2日 05:00
見出し:◆社説[平和世論調査]緊張緩和のビジョンを
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/796929
記事:○本社加盟の日本世論調査会が実施した「平和」に関する全国郵送世論調査の結果がまとまった。
○戦争被爆国として国際社会でもっと積極的に役割を果たすべきだとの考えが、国民の間に深く浸透していることが明らかになった。
○今年1月に発効した核兵器禁止条約に日本も「参加するべきだ」と答えた人は71%に上る。
○戦争被爆国でありながら、日本は条約に参加していない。かたくなに核抑止力にすがっているからだ。「条約は分断をもたらす」とさえ批判する。
○核保有国と非核保有国の橋渡し役を担うという政府の主張は急速に色あせている。
○調査結果から浮かび上がるのは、平和が揺らいでいる、という強い危機感である。
○「日本が今後、戦争をする可能性がある」と答えた人は、「大いに」と「ある程度」を合わせて計41%に上り、昨年の調査から9ポイントも上昇した。
○「米中対立が強まり、有事が起きれば巻き込まれるから」との回答が多かった。
○興味深いのは、緊張の高まりによって憲法9条の意義があらためて見直されていることだ。
○自衛隊の在り方について、74%が「憲法の平和主義の原則を踏まえ、『専守防衛』を厳守」と答えた。「9条を改正して『軍』として明記」と答えた人は21%にとどまる。
○政府はこうした民意を踏まえ、主体的に緊張緩和のビジョンを示すべきだ。
■ ■
○米軍普天間飛行場の辺野古移設について、政府の姿勢を「支持しない」と答えた人は、「支持する」の38%を大きく上回り、57%に上った。
○軟弱地盤の存在が明らかになり、先の見通しが立たなくなったことが影響しているのだろう。
○ただ、気になる数字もある。「国外移設」29%、「普天間飛行場閉鎖」22%に対し「普天間を引き続き使用」が24%もあるのだ。
○「沖縄以外の国内移設」は17%にとどまっており、それよりも「継続使用」が多いのである。
○普天間飛行場の「一日も早い危険性の除去」の必要性が、まだ十分に理解されていないというほかない。
○玉城デニー知事が辺野古移設に反対していることは全国的に広く知られている。政府の姿勢を「支持しない」という全国の声をどのように政治の場にのせていくか。発信力を強化する必要がある。
■ ■
○終戦の日に開かれる全国戦没者追悼式で、歴代首相は加害者としての反省に触れてきた。
○安倍晋三前首相は2012年の第2次政権発足以降、言及しなかった。菅義偉首相はどうすべきか。
○「加害と反省に言及するべきだ」47%に対し、「必要はない」と答えた人は49%で、ほぼ拮抗(きっこう)している。若い世代に「必要ない」が多い。
○懸念されるのは、日中戦争が忘却され、加害意識が日本社会から急速に薄らいでいくことだ。若い人たちに届く言葉や手法が求められている。
<引用終わり>
(*2):「加害責任」なる彼等の設定の欺瞞性については以前から指摘済
↓
2015/08/27投稿:
【コラム】開戦の詔勅と帝国政府声明文1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-196.html
2015/08/28投稿:
【コラム】開戦の詔勅と帝国政府声明文2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-197.html
【ご参考】
2015/09/02投稿:
【コラム】安倍談話と開戦の詔勅(帝国政府声明文)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-200.html
(*3):「村山談話」とは1990年当時、自社野合政権で総理の座にあった社会党・村山富一が発した「戦後50周年の終戦記念日にあたって」との談話である。
↓
外務省HP 平成7年8月15日
村山内閣総理大臣談話
「戦後50周年の終戦記念日にあたって」(いわゆる村山談話)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/07/dmu_0815.html
(*4):2000年の小泉談話(60周年談話)
↓
首相官邸HP 平成十七年八月十五日
内閣総理大臣・小泉純一郎
内閣総理大臣談話
http://www.kantei.go.jp/jp//koizumispeech/2005/08/15danwa.html
(*5):2015年の戦後70周年安倍談話
↓
首相官邸HP 平成27年8月14日
内閣総理大臣談話
https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10992693/www.kantei.go.jp/jp/97_abe/discource/20150814danwa.html
○終戦七十年を迎えるにあたり、先の大戦への道のり、戦後の歩み、二十世紀という時代を、私たちは、心静かに振り返り、その歴史の教訓の中から、未来への知恵を学ばなければならないと考えます。
○百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が、広がっていました。圧倒的な技術優位を背景に、植民地支配の波は、十九世紀、アジアにも押し寄せました。その危機感が、日本にとって、近代化の原動力となったことは、間違いありません。アジアで最初に立憲政治を打ち立て、独立を守り抜きました。日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました。
○世界を巻き込んだ第一次世界大戦を経て、民族自決の動きが広がり、それまでの植民地化にブレーキがかかりました。この戦争は、一千万人もの戦死者を出す、悲惨な戦争でありました。人々は「平和」を強く願い、国際連盟を創設し、不戦条約を生み出しました。戦争自体を違法化する、新たな国際社会の潮流が生まれました。
○当初は、日本も足並みを揃えました。しかし、世界恐慌が発生し、欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ、経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受けました。その中で日本は、孤立感を深め、外交的、経済的な行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試みました。国内の政治システムは、その歯止めたりえなかった。こうして、日本は、世界の大勢を見失っていきました。
○満州事変、そして国際連盟からの脱退。日本は、次第に、国際社会が壮絶な犠牲の上に築こうとした「新しい国際秩序」への「挑戦者」となっていった。進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行きました。
○そして七十年前。日本は、敗戦しました。
○戦後七十年にあたり、国内外に斃れたすべての人々の命の前に、深く頭を垂れ、痛惜の念を表すとともに、永劫の、哀悼の誠を捧げます。
○先の大戦では、三百万余の同胞の命が失われました。祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦陣に散った方々。終戦後、酷寒の、あるいは灼熱の、遠い異郷の地にあって、飢えや病に苦しみ、亡くなられた方々。広島や長崎での原爆投下、東京をはじめ各都市での爆撃、沖縄における地上戦などによって、たくさんの市井の人々が、無残にも犠牲となりました。
○戦火を交えた国々でも、将来ある若者たちの命が、数知れず失われました。中国、東南アジア、太平洋の島々など、戦場となった地域では、戦闘のみならず、食糧難などにより、多くの無辜の民が苦しみ、犠牲となりました。戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません。
○何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実。歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。一人ひとりに、それぞれの人生があり、夢があり、愛する家族があった。この当然の事実をかみしめる時、今なお、言葉を失い、ただただ、断腸の念を禁じ得ません。
○これほどまでの尊い犠牲の上に、現在の平和がある。これが、戦後日本の原点であります。
○二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。
○事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。
○先の大戦への深い悔悟の念と共に、我が国は、そう誓いました。自由で民主的な国を創り上げ、法の支配を重んじ、ひたすら不戦の誓いを堅持してまいりました。七十年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たちは、静かな誇りを抱きながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります。
○我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました。
○こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります。
○ただ、私たちがいかなる努力を尽くそうとも、家族を失った方々の悲しみ、戦禍によって塗炭の苦しみを味わった人々の辛い記憶は、これからも、決して癒えることはないでしょう。
○ですから、私たちは、心に留めなければなりません。
○戦後、六百万人を超える引揚者が、アジア太平洋の各地から無事帰還でき、日本再建の原動力となった事実を。中国に置き去りにされた三千人近い日本人の子どもたちが、無事成長し、再び祖国の土を踏むことができた事実を。米国や英国、オランダ、豪州などの元捕虜の皆さんが、長年にわたり、日本を訪れ、互いの戦死者のために慰霊を続けてくれている事実を。
○戦争の苦痛を嘗め尽くした中国人の皆さんや、日本軍によって耐え難い苦痛を受けた元捕虜の皆さんが、それほど寛容であるためには、どれほどの心の葛藤があり、いかほどの努力が必要であったか。
○そのことに、私たちは、思いを致さなければなりません。
○寛容の心によって、日本は、戦後、国際社会に復帰することができました。戦後七十年のこの機にあたり、我が国は、和解のために力を尽くしてくださった、すべての国々、すべての方々に、心からの感謝の気持ちを表したいと思います。
○日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。
○私たちの親、そのまた親の世代が、戦後の焼け野原、貧しさのどん底の中で、命をつなぐことができた。そして、現在の私たちの世代、さらに次の世代へと、未来をつないでいくことができる。それは、先人たちのたゆまぬ努力と共に、敵として熾烈に戦った、米国、豪州、欧州諸国をはじめ、本当にたくさんの国々から、恩讐を越えて、善意と支援の手が差しのべられたおかげであります。
○そのことを、私たちは、未来へと語り継いでいかなければならない。歴史の教訓を深く胸に刻み、より良い未来を切り拓いていく、アジア、そして世界の平和と繁栄に力を尽くす。その大きな責任があります。
○私たちは、自らの行き詰まりを力によって打開しようとした過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。この原則を、これからも堅く守り、世界の国々にも働きかけてまいります。唯一の戦争被爆国として、核兵器の不拡散と究極の廃絶を目指し、国際社会でその責任を果たしてまいります。
○私たちは、二十世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、そうした女性たちの心に、常に寄り添う国でありたい。二十一世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードしてまいります。
○私たちは、経済のブロック化が紛争の芽を育てた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、いかなる国の恣意にも左右されない、自由で、公正で、開かれた国際経済システムを発展させ、途上国支援を強化し、世界の更なる繁栄を牽引してまいります。繁栄こそ、平和の礎です。暴力の温床ともなる貧困に立ち向かい、世界のあらゆる人々に、医療と教育、自立の機会を提供するため、一層、力を尽くしてまいります。
○私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります。
○終戦八十年、九十年、さらには百年に向けて、そのような日本を、国民の皆様と共に創り上げていく。その決意であります。
○平成二十七年八月十四日
○内閣総理大臣 安倍 晋三
<引用終わり>
【ご参考】
2015/08/15投稿:
【コラム】安倍談話を読む
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-188.html
2015/08/18投稿:
【コラム】安倍談話を読む2-1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-190.html
2015/08/19投稿:
【コラム】安倍談話を読む2-2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-191.html
2015/08/21投稿:
【コラム】安倍談話ア・ラ・カルト
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-193.html
(*6):現在、戦後世界は第三段階にある。
↓
2019/05/29投稿:
先の大戦後の現在の世界情勢は第三段階にある
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1190.html
【ご参考】
2020/08/15投稿
我が国の戦後75年の歩みの一切を切り捨てて、時が1945年に巻き戻る(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1410.html
2020/08/17投稿:
我が国の戦後75年の歩みの一切を切り捨てて、時が1945年に巻き戻る(後編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1411.html
1日1回ポチっとな ↓



スポンサーサイト