枝野は憲法の中身の知見がない・前編
- 2021/04/05
- 21:31
枝野は憲法の中身の知見がない・前編
副題:憲法規定に反して「政権を渡せ」と言っている枝野。これは憲法規定に従わないとの意思表明であり、枝野とは実に危険な存在であることが分かる。
今回の題材は、枝野の「少数政党で危機と選挙の管理内閣をつくりたい」との間抜け発言である。
日経記事(*1)によれば、「2日の記者会見」で枝野は以下の様な発言をしている。
↓
①「菅内閣不信任決議案の提出時期について(中略)「明日にでも出したいが、危機の真っただ中にある。政治空白をつくれる状況ではない」と述べた」
②「菅内閣が退陣するのが望ましいとし「私の下、少数与党で危機と選挙の管理内閣をつくりたい」と強調」
③「目の前の危機を乗り越えてから選挙を行う例は各国である」
これの何処がどの様に間抜けなのかを解説する前に、枝野の発言内容をもう少し確認したい。
産経新聞も同様記事を配信しているので産経記事からも紹介する。
産経記事(*2)によれば、「2日午後の記者会見」で枝野は以下の様な発言をしている。
↓
①「「一刻も早く退陣していただきたい」と述べた」
②「衆院選を実施できる状況にはないとして、現行の衆院勢力のままで立民を少数与党とする「枝野内閣」を暫定的に組閣し、秋までに行われる次期衆院選までの間の危機管理にあたることが望ましいとの持論を打ち上げた」
③「日本と同じ議院内閣制の国では、危機の際に政府が機能しない場合に少数政党が選挙管理内閣(次期選挙までの暫定内閣)を担う例があると説明。「私の下の内閣で当面の危機管理と選挙管理を行わせていただくべきだ」と述べた」
日経及び産経の両紙ともに報じていることは、ほぼ同じである。
枝野が言っていることは「ガースー内閣退陣」であり、「枝野内閣で危機管理と選挙管理をする」であり、「他国の事例」である。
とは言え、新聞・TVの「報道」は「記者」という第三者を透したものであり、発信者自身の言葉とは異なる事例が多々あるので、発信者である枝野が代表を務める立憲民主党HPで「2日(4月2日)の記者会見」に関する記事・記述を探してみた。(*3)
その結果は「「ガースー退陣・枝野管理内閣・他国の事例」に関する発言はまったく書かれていなかった」である。
多分、立憲民主党サイドも枝野の間抜け発言に対して「これはマズい」と考えたのであろう。仕方がないので一次資料ではないが日経及び産経記事を題材にするものである。
簡単な話なのだが、枝野の、この発言の前の段階で立憲民主党は何をしていたのかと言うと、ガソプー安住(*4)が内閣不信任案提出を匂わせていた。
要するに「早期の解散総選挙」とのポーズである。
支持率が1割にも満たない立憲民主党(*5)が早期の総選挙などやっても政権交代など不可能なのだが「少しでも議席数を増やしたい」を本音にしたポーズである。
その一方で、客観的情勢として中国武漢発祥の新型コロナウイルス感染症の感染拡大第4波がきており、外出が必要な選挙をやっている状態ではなく、ガソプー安住の短慮に対して批判が出ていたものである。
こういうコンテキストから推察するに、枝野は「ガースー退陣」と「短慮の早期解散総選挙」の2つを整合させる後知恵として出してきたのが「枝野管理内閣」との思い付きである。
単なる思い付きである事などバレバレなので、「目の前の危機を乗り越えてから選挙を行う例は各国である」(日経)とか「日本と同じ議院内閣制の国では、危機の際に政府が機能しない場合に少数政党が選挙管理内閣を担う例がある」(産経)などとの言い訳をしているものであるが、我が国の内閣は我が国の現行憲法の規定に則り成立するものであり、他国の憲法規定が適用されるものではないことなど常識で考えれば分かることである。
「他国の事例」などと取って付けた様な言い訳は実に見苦しい限りである。
仮に枝野が言う所の「他国の事例」が望ましいのだったら、そういう憲法への改正を枝野は主張すれば良いのだが、知っての通り枝野は憲法に対する基本的知見がなく憲法の中身の議論が出来ない。(*6)
枝野がやっている事と言えば「憲法議論をしない事での改憲阻止」との議会制民主主義を愚弄する愚策ばかりである。(*7)
枝野は「私の下、少数与党で危機と選挙の管理内閣をつくりたい」と日経記事では書いてある。「選挙管理」だけではなく「危機管理」もやると言っているのである。
一方、産経記事では「危機の際に政府が機能しない場合に少数政党が選挙管理内閣(次期選挙までの暫定内閣)を担う例がある」と書いてあり「選挙管理」だけなのか「危機管理」なのか曖昧だ。
両紙には共通して、「少数与党」「少数政党」との語句で現ガースー内閣・自民党とは違う政党が内閣を担うという事が書かれている。
枝野は、アレでも野党第一党の代表の衆議院議員であり、「護憲」を看板に憲法改正に反対しているのだから、理屈上は現行憲法の規定に則っての言動が求められる立場の人間であるはずなのだが、いったいどの様な規定に基づいて、こんな主張をしているのか、さっぱり分からないのである。
現行憲法の内閣の規定は第5章(第65条から第75条)にある。
その中で枝野が言う様な「危機管理内閣」への委譲規定はない。(*8)
あるのは第70条の「内閣総理大臣が欠けたとき、」である。
近年で言えば、総理在職中に亡くなった大平総理と小渕総理の事例が想起されるが、両ケースとも「少数政党」へと政権が移行したものではない。
当たり前である。
議会制民主主義・議院内閣制の我が国では、議会第一党が「国民が選んだ結果」なのである。
大平総理の時は、既に総選挙期間中であり、その選挙結果に基づき次の総理の首班指名がなされた。その間は官房長官が総理代理をしている。
総理大臣とは、そもそも①総選挙で国民が選んだ議員による首班指名で議員の中ら選定され、②天皇陛下により任命され就任するものである。
以前の論考で、その事を憲法の該当条項を付して説明してあるので、それを抜粋引用する。
※内閣成立プロセス・現行憲法(*9)
(1)総選挙実施(第15条・第43条)
↓
(2)選挙結果に応じ国会で内閣総理大臣を指名(第67条)
↓
(3)天皇陛下が内閣総理大臣を任命する。(第6条)
↓
(4)内閣総理大臣が国務大臣を任命(第68条)
↓
(5)天皇陛下が国務大臣を認証する。(第7条)
上記(1)の第15条は議員選出の国民の権利を定めた条項である。
また、第43条は立法府両院が選挙により選出される旨の条項である。
※第15条:公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。(以下略)
※第43条:両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
そして上記(2)は首班指名条項である。
仮に枝野が言う「ガースー退陣・枝野への政権委譲」をするのなら、少なくとも2つの不可能を可能にしないと実現しない。
先ず、ガースー自身による辞任であるが、ガースーは責任を放り出して辞任する気などない。また、仮に辞任したとして、国会両院の議員が枝野を首班指名する訳がないのである。
そうであるにも関わらず、憲法規定をまったく脇に置いて枝野は間抜けなことを言っているのである。
これは、憲法規定に従わないとの意思表明であり、枝野とは実に危険な存在であることが分かると思う。
今回はここまでとして、後編に続ける。
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【文末脚注】
(*1):日経記事
↓
日本経済新聞 2021年4月3日 8:33
見出し:◆立民・枝野氏「私の下で選挙管理内閣を」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA030G40T00C21A4000000/
記事:○立憲民主党の枝野幸男代表は2日の記者会見で、菅内閣不信任決議案の提出時期について、慎重に見極めて最終判断する考えを示した。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ「明日にでも出したいが、危機の真っただ中にある。政治空白をつくれる状況ではない」と述べた。
○同時に、菅内閣が退陣するのが望ましいとし「私の下、少数与党で危機と選挙の管理内閣をつくりたい」と強調。「目の前の危機を乗り越えてから選挙を行う例は各国である」と語った。
○菅義偉首相が新設するよう検討を指示した子ども庁に関しては、野党は15年ほど前から必要性を訴えていたと指摘。「今ごろ何を言っているのか。思い付いたような話で具体性を持っていない」と批判した。〔共同〕
<引用終わり>
(*2):産経記事
↓
産経新聞 2021.4.2 18:23
見出し:◆立民・枝野氏、衆院選まで暫定の「枝野幸男内閣」を主張
https://www.sankei.com/politics/news/210402/plt2104020030-n1.html
記事:○立憲民主党の枝野幸男代表は2日午後の記者会見で、菅義偉内閣の新型コロナウイルス対応を批判し、「一刻も早く退陣していただきたい」と述べた。ただ、衆院選を実施できる状況にはないとして、現行の衆院勢力のままで立民を少数与党とする「枝野内閣」を暫定的に組閣し、秋までに行われる次期衆院選までの間の危機管理にあたることが望ましいとの持論を打ち上げた。
○枝野氏は、内閣不信任決議案の提出の可能性を問われ「明日にでも出したいような、(菅内閣を)信任できる状況ではない。ただ、今は衆院解散・総選挙による政治空白を作れる状況でないのははっきりしている」と強調した。
○その上で、日本と同じ議院内閣制の国では、危機の際に政府が機能しない場合に少数政党が選挙管理内閣(次期選挙までの暫定内閣)を担う例があると説明。「私の下の内閣で当面の危機管理と選挙管理を行わせていただくべきだ」と述べた。
<引用終わり>
(*3):発信者である枝野が代表を務める立憲民主党HPで「2日(4月2日)の記者会見」に関する記事・記述を探してみたのだが、「ガースー退陣・枝野管理内閣・他国の事例」に関する発言はまったく書かれていなかった。
↓
立憲民主党HP 2021年4月2日
表題:◆「人災と言わざるを得ない」定例会見で枝野代表
https://cdp-japan.jp/news/20210402_1095
記事:○「第3波を招いて適切な対応を打たなかったこと、拙速な宣言解除をおこなって、いま第4波を迎えようとしていること、これらは明らかに政治の失敗だ」(枝野幸男代表)。2日午後、枝野幸男代表は国会内で定例会見を開き、記者団の取材に応じました。
<以下略>
(*4):ガソプー安住
↓
2019/09/25投稿:
消費税増税法を法制化した時の財務大臣・安住が立憲民主党に入党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1261.html
(*5):支持率が1割にも満たない立憲民主党
↓
2021/03/09投稿
2021年1月~3月の政党支持率・特定野党の低空飛行が続くのは当たり前
副題:日本人の為の政治をしない特定野党の支持率が上がる訳がない。今年は衆議院任期満了の年。立憲民主党は支持率を落とし議席をもっと減らせばよい。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1478.html
(*6):枝野は憲法に対する基本的知見がなく憲法の中身の議論が出来ない。
↓
2018/03/09投稿:
憲法の中身を語れぬ立憲枝野
副題:寝転がり戦法・枝野vs「立憲的改憲」とのマッカーサー原則回帰の山尾。立憲民主党内部での路線違い。どうやら憲法語れぬ枝野が寝転がり戦法をゴリ押しする様だ。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-877.html
2019/11/23投稿:
いつものパヨク内抗争・「立憲的改憲」vs寝転がり戦法
<続・憲法の中身を語れぬ立憲枝野>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1285.html
(*7):枝野がやっている事と言えば「憲法議論をしない事での改憲阻止」との議会制民主主義を愚弄する愚策ばかりである。
↓
2018/07/02投稿:
「憲法議論をしないことでの改憲阻止」との愚劣
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-969.html
2018/02/27投稿:
相変わらずの寝転がり戦法・野党5党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-871.html
2018/08/06投稿:
2018年通常国会・憲法議論から逃げ回った立憲民主党他野党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-993.html
2018/09/23投稿:
「国会で憲法議論などするものか」と相変わらずの野党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1020.html
etc.
(*8):現行憲法第5章のうち第69条~第71条
↓
昭和二十一年憲法
日本国憲法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION
第69条:内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
第70条:内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
第71条:前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。
(*9):内閣成立プロセス・現行憲法規定
↓
2017/11/04投稿:
「皇居での首相任命式と閣僚認証式」憲法第6条・第7条
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-795.html
2015/10/10投稿:
【コラム】「皇居での認証式」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-229.html
【ご参考】
2015/09/05投稿:
【コラム】国家元首と政治権力者(統治権行使権者)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-202.html
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副題:憲法規定に反して「政権を渡せ」と言っている枝野。これは憲法規定に従わないとの意思表明であり、枝野とは実に危険な存在であることが分かる。
今回の題材は、枝野の「少数政党で危機と選挙の管理内閣をつくりたい」との間抜け発言である。
枝野は何を言ったのか?
日経記事(*1)によれば、「2日の記者会見」で枝野は以下の様な発言をしている。
↓
①「菅内閣不信任決議案の提出時期について(中略)「明日にでも出したいが、危機の真っただ中にある。政治空白をつくれる状況ではない」と述べた」
②「菅内閣が退陣するのが望ましいとし「私の下、少数与党で危機と選挙の管理内閣をつくりたい」と強調」
③「目の前の危機を乗り越えてから選挙を行う例は各国である」
これの何処がどの様に間抜けなのかを解説する前に、枝野の発言内容をもう少し確認したい。
産経新聞も同様記事を配信しているので産経記事からも紹介する。
産経記事(*2)によれば、「2日午後の記者会見」で枝野は以下の様な発言をしている。
↓
①「「一刻も早く退陣していただきたい」と述べた」
②「衆院選を実施できる状況にはないとして、現行の衆院勢力のままで立民を少数与党とする「枝野内閣」を暫定的に組閣し、秋までに行われる次期衆院選までの間の危機管理にあたることが望ましいとの持論を打ち上げた」
③「日本と同じ議院内閣制の国では、危機の際に政府が機能しない場合に少数政党が選挙管理内閣(次期選挙までの暫定内閣)を担う例があると説明。「私の下の内閣で当面の危機管理と選挙管理を行わせていただくべきだ」と述べた」
日経及び産経の両紙ともに報じていることは、ほぼ同じである。
枝野が言っていることは「ガースー内閣退陣」であり、「枝野内閣で危機管理と選挙管理をする」であり、「他国の事例」である。
とは言え、新聞・TVの「報道」は「記者」という第三者を透したものであり、発信者自身の言葉とは異なる事例が多々あるので、発信者である枝野が代表を務める立憲民主党HPで「2日(4月2日)の記者会見」に関する記事・記述を探してみた。(*3)
その結果は「「ガースー退陣・枝野管理内閣・他国の事例」に関する発言はまったく書かれていなかった」である。
多分、立憲民主党サイドも枝野の間抜け発言に対して「これはマズい」と考えたのであろう。仕方がないので一次資料ではないが日経及び産経記事を題材にするものである。
「ガースー退陣・枝野管理内閣・他国の事例」の底の浅さ
簡単な話なのだが、枝野の、この発言の前の段階で立憲民主党は何をしていたのかと言うと、ガソプー安住(*4)が内閣不信任案提出を匂わせていた。
要するに「早期の解散総選挙」とのポーズである。
支持率が1割にも満たない立憲民主党(*5)が早期の総選挙などやっても政権交代など不可能なのだが「少しでも議席数を増やしたい」を本音にしたポーズである。
その一方で、客観的情勢として中国武漢発祥の新型コロナウイルス感染症の感染拡大第4波がきており、外出が必要な選挙をやっている状態ではなく、ガソプー安住の短慮に対して批判が出ていたものである。
こういうコンテキストから推察するに、枝野は「ガースー退陣」と「短慮の早期解散総選挙」の2つを整合させる後知恵として出してきたのが「枝野管理内閣」との思い付きである。
単なる思い付きである事などバレバレなので、「目の前の危機を乗り越えてから選挙を行う例は各国である」(日経)とか「日本と同じ議院内閣制の国では、危機の際に政府が機能しない場合に少数政党が選挙管理内閣を担う例がある」(産経)などとの言い訳をしているものであるが、我が国の内閣は我が国の現行憲法の規定に則り成立するものであり、他国の憲法規定が適用されるものではないことなど常識で考えれば分かることである。
「他国の事例」などと取って付けた様な言い訳は実に見苦しい限りである。
仮に枝野が言う所の「他国の事例」が望ましいのだったら、そういう憲法への改正を枝野は主張すれば良いのだが、知っての通り枝野は憲法に対する基本的知見がなく憲法の中身の議論が出来ない。(*6)
枝野がやっている事と言えば「憲法議論をしない事での改憲阻止」との議会制民主主義を愚弄する愚策ばかりである。(*7)
「危機管理内閣」と「選挙管理内閣」とは別物。それを混同させる枝野の詐話
枝野は「私の下、少数与党で危機と選挙の管理内閣をつくりたい」と日経記事では書いてある。「選挙管理」だけではなく「危機管理」もやると言っているのである。
一方、産経記事では「危機の際に政府が機能しない場合に少数政党が選挙管理内閣(次期選挙までの暫定内閣)を担う例がある」と書いてあり「選挙管理」だけなのか「危機管理」なのか曖昧だ。
両紙には共通して、「少数与党」「少数政党」との語句で現ガースー内閣・自民党とは違う政党が内閣を担うという事が書かれている。
枝野は、アレでも野党第一党の代表の衆議院議員であり、「護憲」を看板に憲法改正に反対しているのだから、理屈上は現行憲法の規定に則っての言動が求められる立場の人間であるはずなのだが、いったいどの様な規定に基づいて、こんな主張をしているのか、さっぱり分からないのである。
現行憲法規定に基づき枝野の発言を見てみる
現行憲法の内閣の規定は第5章(第65条から第75条)にある。
その中で枝野が言う様な「危機管理内閣」への委譲規定はない。(*8)
あるのは第70条の「内閣総理大臣が欠けたとき、」である。
近年で言えば、総理在職中に亡くなった大平総理と小渕総理の事例が想起されるが、両ケースとも「少数政党」へと政権が移行したものではない。
当たり前である。
議会制民主主義・議院内閣制の我が国では、議会第一党が「国民が選んだ結果」なのである。
大平総理の時は、既に総選挙期間中であり、その選挙結果に基づき次の総理の首班指名がなされた。その間は官房長官が総理代理をしている。
総理大臣とは、そもそも①総選挙で国民が選んだ議員による首班指名で議員の中ら選定され、②天皇陛下により任命され就任するものである。
以前の論考で、その事を憲法の該当条項を付して説明してあるので、それを抜粋引用する。
※内閣成立プロセス・現行憲法(*9)
(1)総選挙実施(第15条・第43条)
↓
(2)選挙結果に応じ国会で内閣総理大臣を指名(第67条)
↓
(3)天皇陛下が内閣総理大臣を任命する。(第6条)
↓
(4)内閣総理大臣が国務大臣を任命(第68条)
↓
(5)天皇陛下が国務大臣を認証する。(第7条)
上記(1)の第15条は議員選出の国民の権利を定めた条項である。
また、第43条は立法府両院が選挙により選出される旨の条項である。
※第15条:公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。(以下略)
※第43条:両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
そして上記(2)は首班指名条項である。
仮に枝野が言う「ガースー退陣・枝野への政権委譲」をするのなら、少なくとも2つの不可能を可能にしないと実現しない。
先ず、ガースー自身による辞任であるが、ガースーは責任を放り出して辞任する気などない。また、仮に辞任したとして、国会両院の議員が枝野を首班指名する訳がないのである。
そうであるにも関わらず、憲法規定をまったく脇に置いて枝野は間抜けなことを言っているのである。
これは、憲法規定に従わないとの意思表明であり、枝野とは実に危険な存在であることが分かると思う。
今回はここまでとして、後編に続ける。
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【文末脚注】
(*1):日経記事
↓
日本経済新聞 2021年4月3日 8:33
見出し:◆立民・枝野氏「私の下で選挙管理内閣を」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA030G40T00C21A4000000/
記事:○立憲民主党の枝野幸男代表は2日の記者会見で、菅内閣不信任決議案の提出時期について、慎重に見極めて最終判断する考えを示した。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ「明日にでも出したいが、危機の真っただ中にある。政治空白をつくれる状況ではない」と述べた。
○同時に、菅内閣が退陣するのが望ましいとし「私の下、少数与党で危機と選挙の管理内閣をつくりたい」と強調。「目の前の危機を乗り越えてから選挙を行う例は各国である」と語った。
○菅義偉首相が新設するよう検討を指示した子ども庁に関しては、野党は15年ほど前から必要性を訴えていたと指摘。「今ごろ何を言っているのか。思い付いたような話で具体性を持っていない」と批判した。〔共同〕
<引用終わり>
(*2):産経記事
↓
産経新聞 2021.4.2 18:23
見出し:◆立民・枝野氏、衆院選まで暫定の「枝野幸男内閣」を主張
https://www.sankei.com/politics/news/210402/plt2104020030-n1.html
記事:○立憲民主党の枝野幸男代表は2日午後の記者会見で、菅義偉内閣の新型コロナウイルス対応を批判し、「一刻も早く退陣していただきたい」と述べた。ただ、衆院選を実施できる状況にはないとして、現行の衆院勢力のままで立民を少数与党とする「枝野内閣」を暫定的に組閣し、秋までに行われる次期衆院選までの間の危機管理にあたることが望ましいとの持論を打ち上げた。
○枝野氏は、内閣不信任決議案の提出の可能性を問われ「明日にでも出したいような、(菅内閣を)信任できる状況ではない。ただ、今は衆院解散・総選挙による政治空白を作れる状況でないのははっきりしている」と強調した。
○その上で、日本と同じ議院内閣制の国では、危機の際に政府が機能しない場合に少数政党が選挙管理内閣(次期選挙までの暫定内閣)を担う例があると説明。「私の下の内閣で当面の危機管理と選挙管理を行わせていただくべきだ」と述べた。
<引用終わり>
(*3):発信者である枝野が代表を務める立憲民主党HPで「2日(4月2日)の記者会見」に関する記事・記述を探してみたのだが、「ガースー退陣・枝野管理内閣・他国の事例」に関する発言はまったく書かれていなかった。
↓
立憲民主党HP 2021年4月2日
表題:◆「人災と言わざるを得ない」定例会見で枝野代表
https://cdp-japan.jp/news/20210402_1095
記事:○「第3波を招いて適切な対応を打たなかったこと、拙速な宣言解除をおこなって、いま第4波を迎えようとしていること、これらは明らかに政治の失敗だ」(枝野幸男代表)。2日午後、枝野幸男代表は国会内で定例会見を開き、記者団の取材に応じました。
<以下略>
(*4):ガソプー安住
↓
2019/09/25投稿:
消費税増税法を法制化した時の財務大臣・安住が立憲民主党に入党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1261.html
(*5):支持率が1割にも満たない立憲民主党
↓
2021/03/09投稿
2021年1月~3月の政党支持率・特定野党の低空飛行が続くのは当たり前
副題:日本人の為の政治をしない特定野党の支持率が上がる訳がない。今年は衆議院任期満了の年。立憲民主党は支持率を落とし議席をもっと減らせばよい。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1478.html
(*6):枝野は憲法に対する基本的知見がなく憲法の中身の議論が出来ない。
↓
2018/03/09投稿:
憲法の中身を語れぬ立憲枝野
副題:寝転がり戦法・枝野vs「立憲的改憲」とのマッカーサー原則回帰の山尾。立憲民主党内部での路線違い。どうやら憲法語れぬ枝野が寝転がり戦法をゴリ押しする様だ。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-877.html
2019/11/23投稿:
いつものパヨク内抗争・「立憲的改憲」vs寝転がり戦法
<続・憲法の中身を語れぬ立憲枝野>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1285.html
(*7):枝野がやっている事と言えば「憲法議論をしない事での改憲阻止」との議会制民主主義を愚弄する愚策ばかりである。
↓
2018/07/02投稿:
「憲法議論をしないことでの改憲阻止」との愚劣
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-969.html
2018/02/27投稿:
相変わらずの寝転がり戦法・野党5党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-871.html
2018/08/06投稿:
2018年通常国会・憲法議論から逃げ回った立憲民主党他野党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-993.html
2018/09/23投稿:
「国会で憲法議論などするものか」と相変わらずの野党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1020.html
etc.
(*8):現行憲法第5章のうち第69条~第71条
↓
昭和二十一年憲法
日本国憲法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION
第69条:内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
第70条:内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
第71条:前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。
(*9):内閣成立プロセス・現行憲法規定
↓
2017/11/04投稿:
「皇居での首相任命式と閣僚認証式」憲法第6条・第7条
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-795.html
2015/10/10投稿:
【コラム】「皇居での認証式」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-229.html
【ご参考】
2015/09/05投稿:
【コラム】国家元首と政治権力者(統治権行使権者)
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