新型コロナウイルス・ワクチン接種・アビガンってどうなった?前編
- 2021/01/30
- 23:17
新型コロナウイルス・ワクチン接種・アビガンってどうなった?前編
副題:昨年春から初夏の頃、アビガンは新型コロナウイルスに対抗できる薬だと言われていたと記憶している。あれからどうなった?
中国・武漢発祥の新型コロナウイルス感染症の関しては、昨年1月から「新型コロナウイルス感染症」のタグで論考を重ねている。
主として取り上げているのは、メディアや野党による「不安を煽る姿勢」「不安を煽り、現政権への不満を助長する行為」への苦言や現行憲法に緊急事態条項がない事から後手々々とならざるを得ない緊急対策などについてである。
昨年の夏以降は、指摘事項が繰り返されるだけで、特に追加する視点もない事から論評を控えていたが、いよいよワクチン接種が始まりそうなので、パッシブ方向のコロナ対策からアクティブ方向でのコロナ対策の段階になったと考え、ちょっと書いてみることにした。
ここで言う「パッシブ方向のコロナ対策」とは、マスク着用・手洗い励行・三密防止などのリスク軽減策のことを言う。一方、「アクティブ方向のコロナ対策」とはワクチン接種などウイルス自体への対処を言う。
「アクティブ方向のコロナ対策」には免疫力獲得アクションの他に、不幸にして感染してしまった場合の重症化防止の為の薬物投与もあると理解している。
「感染後の重症化防止の為の医薬」に関しては、昨年(2020年)の春から初夏の頃に「アビガン」に有効性があるとの報道を見た記憶がある。
確か、我が国の製薬メーカーが開発した薬であり、当時は「希望の星」だった様に記憶しているが、最近はまったく耳にすることがなくなっていたのだが、今般、官邸HPを見ていたら久しぶりに「アビガン」との単語に遭遇した。
↓
<首相官邸HP:「1月29日定例閣議案件」(*1)より抜粋引用>
・衆議院議員松原仁(立民)提出:アビガンの承認に関する質問に対する答弁書について(決定)(厚生労働省)
<引用終わり>
知っての通り、国会での答弁に関しては質問書が提出されている場合、それへの答弁は閣議決定事項である。
つまり、松原仁議員から質問書が提出されているのである。
早速に質問趣意書を検索したところ、衆議院HPで同議員の質問趣意書(*2)があったので読んでみた。質問要旨は以下の通りである。
↓
経緯:アビガンは新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザウイルス薬として承認されており、それを新型コロナウイルス感染症への有効性の有無で承認するか否かを決することになっており、2020年5月4日会見で安倍前首相は同月中の承認を目指す考えを表明していたが、12月21日に厚生労働省・薬事食品衛生審議会医薬品第二部会は新型コロナウイルス感染症の治療薬としての承認を見送り継続審議とし、アビガンの承認の可否が未だ決していない。
質問:以下3点
①政府はアビガンの承認の有無を早期に決するよう支援しているか?
②政府としてアビガンの承認の可否を決する時期としていつ頃を予定しているか?
③a政府が予定時期を決している場合、政府としてどのような支援を行っているか?
③bまた予定時期を決していないとしたら、それはどのような理由によりものか?
多少、政府への攻撃的な姿勢が感じられるが、質問としては妥当で有用な質問であると思う。
この質問への回答が1月29日に閣議決定された訳だが、同日は金曜日であり、国会審議の議事録や動画やニュースを探したのだが発見できないので、どうやら審議自体は来週2月1日以降になる模様である。
探す過程で見つけたニュースは2つあるのだが、どちらも「政府答弁書」を報じる製薬業界紙のニュース(*3)であり審議自体はまだなされていない事の傍証だと考えた。
製薬業界紙のうちの1つの見出しは「◆アビガンのコロナ適応追加、「可否や時期の回答は困難」 政府答弁書」である。
要するに「アビガンってどうなっているの?」への答は「許認可の承認は今はされない」「ずっと先か不許可も」という事なのである。
医療分野は専門外なので本当の所はさっぱり分からない。
医薬分野も同様で、医薬に関わる薬事法、GMP、治験に掛かる時間の長さから膨大な初期投資が必要だ、などを少しは知っている程度で、薬そのものは専門外なので本当の所はさっぱり分からない。
さっぱり分からないのだが、だからこそ上述した松原仁議員の質問、取り分け③bは興味深い。
松原仁議員の質問の①「政府はアビガンの承認の有無を早期に決するよう支援しているか?」にある「アビガン承認早期化の政府支援」とは、厚生省の12月21日の未承認(審議継続)の理由が「治験数が足りないので有意差が確認できない」であると松原仁議員は認識しており、政府は治験数増大の努力をしているのか?という意味だ。
逆に言えば、治験数を増す努力をしていないなら、それは「承認しないありきの不作為ではないか?」というものだと理解できる。
次の質問の②「政府としてアビガンの承認の可否を決する時期としていつ頃を予定しているか?」は、不作為で遅らせているのか、そうではないのかを問うものである。
そして、質問の②に対する回答は幾つかのパターンがある。
そのうちの1つとして、具体的な目標年月日を回答してくるパターンがあるが、その年月日がワクチン接種予定と同等ならば、「政府の支援策に敬意を表します。頑張ってください」となるパターンである。逆に、かなり後である場合は、「何故、そんなに時間がかかるのか?」=「承認しないありきの不作為ではないか?」となるパターンである。
また、別のパターンとして具体的な目標年月日を明示しない回答パターンがある。
これらのパターンを想定して質問③はaとbに各々別れているものである。
質問③aは、「何故、そんなに時間がかかるのか?」を想定したもので、最初の質問①の「政府は治験数増大の努力をしているのか?」へとつながるものである。
そして、質問③bは「目標年月日も明らかに出来ない理由は何よ?」=「承認しないありきの不作為ではないか?」というものだ。
どの様な回答が出てくるのか実に興味深い。
業界紙の記事では「可否や時期の回答は困難」「新型コロナウイルス感染症の適応追加の可否や時期は「今後提出される臨床試験の結果等によって変わる」となっているが、臨床試験=治験数の増加努力はしているのか?という点については、記事の無料部分には言及がない。
当方は医療・医薬に関する知見は乏しいので、詳しいところは分からないのだが、昨年から1年間続く新型コロナウイルス感染症事態への改善可能性の有無が不明確なままアビガンでの治療がなされない状態が国民への説明もないままズルズルと続くことは望ましくないと考える。
アビガンに効果がないなら、その旨を、安全性に問題があるなら、その旨を説明していただきたいと考えている。
効果可能性があるのなら、ロードマップを示し、目標年月日の概要程度は述べていただきたい。
<長くなったので後編へと続きます。>
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【文末脚注】
(*1):首相官邸HP:「1月29日定例閣議案件」より抜粋引用
↓
首相官邸HP 令和3年1月29日
表題:◆令和3年1月29日(金)定例閣議案件
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2021/kakugi-2021012901.html
国会提出案件
・衆議院議員松原仁(立民)提出:アビガンの承認に関する質問に対する答弁書について(決定)(厚生労働省)
<抜粋引用終わり>
(*2):衆議院HPでの松原仁議員の質問趣意書
↓
衆議院HP質問本文情報 令和三年一月二十日提出 質問第一〇号
アビガンの承認に関する質問主意書 提出者:松原 仁
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a204010.htm
表題:◆アビガンの承認に関する質問主意書
記事:○新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの収束の見通しが立たない中、我が国では令和二年末から感染が急拡大している。
○そのような中、同感染症治療薬として期待されている抗ウイルス薬アビガン(一般名:ファビピラビル)の申請を、厚生労働省の薬事食品衛生審議会医薬品第二部会は十二月二十一日、同感染症の治療薬としての承認を見送り、継続審議とした。確かに、医薬品の承認は、過去何度となく発生した薬害問題のことを考えれば、慎重に行われるべきである。○一方で、新型コロナウイルスの感染爆発の現状においては、過去にとらわれない迅速な行動が政府に求められており、治療薬の承認の面でも同様である。そもそも、アビガンは、新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザウイルス薬として承認されている。そして、初期胚の致死及び催奇形性という危険性の確認もなされている。そのため、アビガンについては、同感染症への有効性の有無が同部会での承認の可否を決することになるとされている。
○今回、継続審議という結果となったのは、アビガンの臨床研究を行っている藤田医科大学が、令和二年七月十日に「ファビピラビル(アビガン)特定臨床研究の最終報告について」と題する文書において、「統計的有意差には達しませんでした」という結論が出されたことが影響していると考えられる。もっとも、同研究責任医師の同大学医学部感染症科の土井洋平教授は、サンプルサイズを拡大すれば有意差が得られる水準であったとし、アビガンが有効である可能性がある旨発言している。
○昨年五月、六月は、同感染症の第一波がちょうど落ち着いてきた時期で治験の対象となる感染者が少なくなっていた時期であった。現在は感染爆発の状況にあり、同感染症の感染者の数も、第一波、第二波と比較にならないほど増えている。
○そこで、次のとおり質問する。
一 安倍晋三前首相は、令和二年五月四日の会見で、アビガンについて同月中の承認を目指す考えも表明していたが、アビガンの承認の可否が未だ決していない。政府として、アビガンの承認の可否を判断するだけの十分なサンプルサイズ獲得に協力するなど、アビガンの承認の有無を早期に決するよう支援しているか。
二 前項において、現政府として、アビガンの承認の可否を決する時期としていつ頃を予定しているか。
三 前項において、現政府が予定時期を決している場合、第一項の支援その他の政府支援として、どのような支援を行っているか。また、予定時期を決していないとしたら、それはどのような理由からか。
○右質問する。
<引用終わり>
(*3):「政府答弁書」を報じる製薬業界紙のニュース2つ
↓
<その1>
日刊薬業 2021/1/30 00:12
見出し:◆アビガンの適応見送り後、富士フイルムに「説明・助言」 政府答弁書
https://nk.jiho.jp/article/158433
記事:○昨年12月の薬事・食品衛生審議会で新型コロナウイルス感染症の適応追加が見送られた抗ウイルス薬「アビガン」を巡り、政府は29日、製造販売する富士フイルム富山化学に対し、審議会での指摘を説明し、今後の対...
この記事は会員限定です。(無料部分引用終わり)
<その2>
MEDIFAX web 2021年1月29日 14:47
見出し:◆アビガンのコロナ適応追加、「可否や時期の回答は困難」 政府答弁書
https://mf.jiho.jp/article/215406
記事:○政府は29日の閣議で、富士フイルム富山化学の抗ウイルス薬「アビガン」(一般名=ファビピラビル)について、新型コロナウイルス感染症の適応追加の可否や時期は「今後提出される臨床試験の結果等によって変わる...
この記事は会員限定です。(無料部分引用終わり)
<引用終わり>
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中国・武漢発祥の新型コロナウイルス感染症の関しては、昨年1月から「新型コロナウイルス感染症」のタグで論考を重ねている。
主として取り上げているのは、メディアや野党による「不安を煽る姿勢」「不安を煽り、現政権への不満を助長する行為」への苦言や現行憲法に緊急事態条項がない事から後手々々とならざるを得ない緊急対策などについてである。
昨年の夏以降は、指摘事項が繰り返されるだけで、特に追加する視点もない事から論評を控えていたが、いよいよワクチン接種が始まりそうなので、パッシブ方向のコロナ対策からアクティブ方向でのコロナ対策の段階になったと考え、ちょっと書いてみることにした。
ここで言う「パッシブ方向のコロナ対策」とは、マスク着用・手洗い励行・三密防止などのリスク軽減策のことを言う。一方、「アクティブ方向のコロナ対策」とはワクチン接種などウイルス自体への対処を言う。
「アクティブ方向のコロナ対策」には免疫力獲得アクションの他に、不幸にして感染してしまった場合の重症化防止の為の薬物投与もあると理解している。
アビガンってどうなっているの?
「感染後の重症化防止の為の医薬」に関しては、昨年(2020年)の春から初夏の頃に「アビガン」に有効性があるとの報道を見た記憶がある。
確か、我が国の製薬メーカーが開発した薬であり、当時は「希望の星」だった様に記憶しているが、最近はまったく耳にすることがなくなっていたのだが、今般、官邸HPを見ていたら久しぶりに「アビガン」との単語に遭遇した。
↓
<首相官邸HP:「1月29日定例閣議案件」(*1)より抜粋引用>
・衆議院議員松原仁(立民)提出:アビガンの承認に関する質問に対する答弁書について(決定)(厚生労働省)
<引用終わり>
知っての通り、国会での答弁に関しては質問書が提出されている場合、それへの答弁は閣議決定事項である。
つまり、松原仁議員から質問書が提出されているのである。
早速に質問趣意書を検索したところ、衆議院HPで同議員の質問趣意書(*2)があったので読んでみた。質問要旨は以下の通りである。
↓
経緯:アビガンは新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザウイルス薬として承認されており、それを新型コロナウイルス感染症への有効性の有無で承認するか否かを決することになっており、2020年5月4日会見で安倍前首相は同月中の承認を目指す考えを表明していたが、12月21日に厚生労働省・薬事食品衛生審議会医薬品第二部会は新型コロナウイルス感染症の治療薬としての承認を見送り継続審議とし、アビガンの承認の可否が未だ決していない。
質問:以下3点
①政府はアビガンの承認の有無を早期に決するよう支援しているか?
②政府としてアビガンの承認の可否を決する時期としていつ頃を予定しているか?
③a政府が予定時期を決している場合、政府としてどのような支援を行っているか?
③bまた予定時期を決していないとしたら、それはどのような理由によりものか?
多少、政府への攻撃的な姿勢が感じられるが、質問としては妥当で有用な質問であると思う。
この質問への回答が1月29日に閣議決定された訳だが、同日は金曜日であり、国会審議の議事録や動画やニュースを探したのだが発見できないので、どうやら審議自体は来週2月1日以降になる模様である。
探す過程で見つけたニュースは2つあるのだが、どちらも「政府答弁書」を報じる製薬業界紙のニュース(*3)であり審議自体はまだなされていない事の傍証だと考えた。
製薬業界紙のうちの1つの見出しは「◆アビガンのコロナ適応追加、「可否や時期の回答は困難」 政府答弁書」である。
要するに「アビガンってどうなっているの?」への答は「許認可の承認は今はされない」「ずっと先か不許可も」という事なのである。
アビガンの未承認は安全性の問題?効果の問題?それとも・・・
医療分野は専門外なので本当の所はさっぱり分からない。
医薬分野も同様で、医薬に関わる薬事法、GMP、治験に掛かる時間の長さから膨大な初期投資が必要だ、などを少しは知っている程度で、薬そのものは専門外なので本当の所はさっぱり分からない。
さっぱり分からないのだが、だからこそ上述した松原仁議員の質問、取り分け③bは興味深い。
松原仁議員の質問の①「政府はアビガンの承認の有無を早期に決するよう支援しているか?」にある「アビガン承認早期化の政府支援」とは、厚生省の12月21日の未承認(審議継続)の理由が「治験数が足りないので有意差が確認できない」であると松原仁議員は認識しており、政府は治験数増大の努力をしているのか?という意味だ。
逆に言えば、治験数を増す努力をしていないなら、それは「承認しないありきの不作為ではないか?」というものだと理解できる。
次の質問の②「政府としてアビガンの承認の可否を決する時期としていつ頃を予定しているか?」は、不作為で遅らせているのか、そうではないのかを問うものである。
そして、質問の②に対する回答は幾つかのパターンがある。
そのうちの1つとして、具体的な目標年月日を回答してくるパターンがあるが、その年月日がワクチン接種予定と同等ならば、「政府の支援策に敬意を表します。頑張ってください」となるパターンである。逆に、かなり後である場合は、「何故、そんなに時間がかかるのか?」=「承認しないありきの不作為ではないか?」となるパターンである。
また、別のパターンとして具体的な目標年月日を明示しない回答パターンがある。
これらのパターンを想定して質問③はaとbに各々別れているものである。
質問③aは、「何故、そんなに時間がかかるのか?」を想定したもので、最初の質問①の「政府は治験数増大の努力をしているのか?」へとつながるものである。
そして、質問③bは「目標年月日も明らかに出来ない理由は何よ?」=「承認しないありきの不作為ではないか?」というものだ。
どの様な回答が出てくるのか実に興味深い。
業界紙の記事では「可否や時期の回答は困難」「新型コロナウイルス感染症の適応追加の可否や時期は「今後提出される臨床試験の結果等によって変わる」となっているが、臨床試験=治験数の増加努力はしているのか?という点については、記事の無料部分には言及がない。
当方は医療・医薬に関する知見は乏しいので、詳しいところは分からないのだが、昨年から1年間続く新型コロナウイルス感染症事態への改善可能性の有無が不明確なままアビガンでの治療がなされない状態が国民への説明もないままズルズルと続くことは望ましくないと考える。
アビガンに効果がないなら、その旨を、安全性に問題があるなら、その旨を説明していただきたいと考えている。
効果可能性があるのなら、ロードマップを示し、目標年月日の概要程度は述べていただきたい。
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(*1):首相官邸HP:「1月29日定例閣議案件」より抜粋引用
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首相官邸HP 令和3年1月29日
表題:◆令和3年1月29日(金)定例閣議案件
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2021/kakugi-2021012901.html
国会提出案件
・衆議院議員松原仁(立民)提出:アビガンの承認に関する質問に対する答弁書について(決定)(厚生労働省)
<抜粋引用終わり>
(*2):衆議院HPでの松原仁議員の質問趣意書
↓
衆議院HP質問本文情報 令和三年一月二十日提出 質問第一〇号
アビガンの承認に関する質問主意書 提出者:松原 仁
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a204010.htm
表題:◆アビガンの承認に関する質問主意書
記事:○新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの収束の見通しが立たない中、我が国では令和二年末から感染が急拡大している。
○そのような中、同感染症治療薬として期待されている抗ウイルス薬アビガン(一般名:ファビピラビル)の申請を、厚生労働省の薬事食品衛生審議会医薬品第二部会は十二月二十一日、同感染症の治療薬としての承認を見送り、継続審議とした。確かに、医薬品の承認は、過去何度となく発生した薬害問題のことを考えれば、慎重に行われるべきである。○一方で、新型コロナウイルスの感染爆発の現状においては、過去にとらわれない迅速な行動が政府に求められており、治療薬の承認の面でも同様である。そもそも、アビガンは、新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザウイルス薬として承認されている。そして、初期胚の致死及び催奇形性という危険性の確認もなされている。そのため、アビガンについては、同感染症への有効性の有無が同部会での承認の可否を決することになるとされている。
○今回、継続審議という結果となったのは、アビガンの臨床研究を行っている藤田医科大学が、令和二年七月十日に「ファビピラビル(アビガン)特定臨床研究の最終報告について」と題する文書において、「統計的有意差には達しませんでした」という結論が出されたことが影響していると考えられる。もっとも、同研究責任医師の同大学医学部感染症科の土井洋平教授は、サンプルサイズを拡大すれば有意差が得られる水準であったとし、アビガンが有効である可能性がある旨発言している。
○昨年五月、六月は、同感染症の第一波がちょうど落ち着いてきた時期で治験の対象となる感染者が少なくなっていた時期であった。現在は感染爆発の状況にあり、同感染症の感染者の数も、第一波、第二波と比較にならないほど増えている。
○そこで、次のとおり質問する。
一 安倍晋三前首相は、令和二年五月四日の会見で、アビガンについて同月中の承認を目指す考えも表明していたが、アビガンの承認の可否が未だ決していない。政府として、アビガンの承認の可否を判断するだけの十分なサンプルサイズ獲得に協力するなど、アビガンの承認の有無を早期に決するよう支援しているか。
二 前項において、現政府として、アビガンの承認の可否を決する時期としていつ頃を予定しているか。
三 前項において、現政府が予定時期を決している場合、第一項の支援その他の政府支援として、どのような支援を行っているか。また、予定時期を決していないとしたら、それはどのような理由からか。
○右質問する。
<引用終わり>
(*3):「政府答弁書」を報じる製薬業界紙のニュース2つ
↓
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日刊薬業 2021/1/30 00:12
見出し:◆アビガンの適応見送り後、富士フイルムに「説明・助言」 政府答弁書
https://nk.jiho.jp/article/158433
記事:○昨年12月の薬事・食品衛生審議会で新型コロナウイルス感染症の適応追加が見送られた抗ウイルス薬「アビガン」を巡り、政府は29日、製造販売する富士フイルム富山化学に対し、審議会での指摘を説明し、今後の対...
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MEDIFAX web 2021年1月29日 14:47
見出し:◆アビガンのコロナ適応追加、「可否や時期の回答は困難」 政府答弁書
https://mf.jiho.jp/article/215406
記事:○政府は29日の閣議で、富士フイルム富山化学の抗ウイルス薬「アビガン」(一般名=ファビピラビル)について、新型コロナウイルス感染症の適応追加の可否や時期は「今後提出される臨床試験の結果等によって変わる...
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