立憲民主党の「憲法議論」指針の内容が相変わらず
- 2020/11/27
- 22:39
立憲民主党の「憲法議論」指針の内容が相変わらず
副題:立憲民主党は「自衛隊の明記」が「平和主義の基本原理」を覆すとの珍説を言っている。立憲民主党がいう「平和主義」とは日本は非武装無抵抗のままでいろというものだ。
数日前のNHKニュース「立民 今後の憲法論議の指針まとめる 」(*1)を読んだ。
そのニュース記事の冒頭こは「憲法を一切改正しない立場はとらないとしていて、国民に必要な改正は積極的に議論するとしています」とあり、あたかも立憲民主党が憲法議論をするかの様な事が書かれていた。
立憲民主党の正体をご存じの方々には「国民に必要な改正は積極的に議論する」との一文が「立憲民主党が「国民に必要ない」と判断するものは議論しない」という意味であり、相変わらずに「憲法議論をしない事での改憲阻止」との寝転がり戦法を継続していることがお分かりだと思う。
要するにNHKニュースは「見出し詐欺」の一種であるものだ。
同記事には「自民党が掲げる憲法9条への「自衛隊の明記」について、平和主義の基本原理が覆るとして反対しています」とあり、最初から憲法問題の最大の問題点の1つである9条問題に対して「結論ありき」の態度を示しているもので、けして「議論をする」というものではない。
立憲民主党は「自衛隊の明記」が「平和主義の基本原理」を覆すと言っている訳だが、何故、その様な奇妙な考え方をするのかの説明は立憲民主党の記事の中にはない。
知っての通り、我が国自衛隊は東日本大震災の際にも災害派遣で、全力で国民を守った。
我々日本人を守るのが自衛隊の役割(*2)であり、その役割に忠実な事は実績で証明済である。
そうであるにも関わらず、立憲民主党は「自衛隊の明記」が「平和主義の基本原理」を覆すと言っているのである。
これは要するに、立憲民主党は現行憲法第9条第2項の「陸海空その他の戦力」の保持を禁じた現行憲法の非武装条文を残置し、日本人は抵抗せずに侵略されたら、されるがままにしておけとの「現行憲法での「平和主義」」を維持したいという意味以外には考えられない物言いであることが分かる。
知っての通り、現行憲法は終戦後半年にも満たない1946年2月にマッカーサー3原則に基づきGHQスタッフが草案を僅か1週間から10日程度のやっつけ仕事でつくられたものである。(*3)僅か半年前迄、人類史上空前の海空戦を戦っていたマッカーサーが敗戦国・日本に対して「自衛戦争も許さぬ」としたのがマッカーサー3原則であり、同原則の第2原則を前文と9条に分割記載したものが現行憲法となったものである。
その一方、自衛隊が出来た経緯は、その前身である警察予備隊が出来た1950年8月20日という日付から分かる通り、1950年6月25日に金日成の南侵ではじまった朝鮮戦争にあり、我が国に非武装憲法を押し付けたマッカーサーは我が国に再武装を命じたものである。
占領軍GHQとして日本列島防衛の責務を負う立場のマッカーサーとしては、警察予備隊の編成は現実と向き合った当然の判断であるのだが、自分が押し付けた占領憲法とは大きく矛盾しているものである。だからこそ形式的な辻褄合わせをしているのだが、実質は相反要求である。
そのマッカーサーは朝鮮戦争時に「聖域化」された北朝鮮の北の中国領を原爆で攻撃するとインタビューで発言したことで、1951年4月に解任され、現行憲法と自衛隊との相反を生み出した人物は尻を拭くことなく日本を離れたものである。
自衛隊と現行憲法の問題とは、主権喪失期にマッカーサーが発した相反する命令そのものである。
単純化すると「非現実的な憲法条文」と「日本を守る自衛隊」の話であり、軸足を「現行憲法」に置けば「自衛隊は違憲の存在」であり、軸足を現実の国際社会に置けば「現行憲法は現実世界に対応出来ない夢想の存在」である。
立憲民主党は、そういう相反に対して、現行憲法に軸足を置くとの片方だけの話をしているものである。(*4)
相反する問題があるのに最初から「反対ありき」を表明してしまう立憲民主党は「議論しない」と宣言しているに等しいものなのである。
「先の大戦の敗戦国」という位置付けが同じドイツの場合、憲法と再軍備はどうだったかを紹介するのだが、その前に、「同じ敗戦国」という話を、あたかも総てが同じであるかの様な虚偽が流通しているので、けしてそうではない事を指摘しておきたい。
ドイツは第1次世界大戦後のワイマール共和国体制下でナチスが政権を奪取し「ドイツ第三帝国」を自称した。それはヒトラーが全権委任法で独裁体制を確立したからであるが、「ドイツ第三帝国・憲法」はついぞ登場ぜずワイマール憲法の廃棄は宣言されず、1945年5月の時点でのドイツの憲法と言えばワイマール憲法のままであった。先の大戦でドイツは米ソ英仏の4ヶ国が分割占領する事態となり、その後、米英仏の占領地域は西ドイツとなり、ソ連占領地域は東ドイツとなった。東西ドイツは今や統一しているが、それ以前は別々の国であり、東西ドイツは1973年に同時に国連加盟をしている。
戦後の西ドイツは、1949年にドイツ基本法(ドイツ憲法)を制定し、1955年に西ドイツとして主権を確立し同時に再軍備を果たしドイツ憲法を改正している。(*5)
一方、我が国は上述した様に、朝鮮半島で戦争が勃発した事でマッカーサーが慌てて再軍備をさせたとの大きな違いがあり、憲法を改正する間もなくマッカーサーは更迭され我が国からいなくなり、また、東西冷戦構造下では、アメリカが押し付けた現行憲法を逆手にとって利用するとの吉田ドクトリンは、あの時代に於いては現実的な選択だったと考えるので、戦後数十年間改憲をしてこなかったのは、ある意味仕方がないことであった。
東西冷戦構造が終了したのは1989年のベルリンの壁崩壊からである。
世界情勢が大きく変わったのである。そして、あれから約30年が経過した現在、世界情勢は再度大きく変っている。(*6)
30年前は東西冷戦構造が崩壊した。そして今や中国がパクス・シニカとの新世界秩序を確立せんとヘゲモニーチャレンジをしている状態だ。(*7)
そういう大きな情勢変化から我々日本人を守るには戦後半年しか経っていない状態の75年もの昔の現行憲法では制約が多すぎる。少なくとも、特異な経緯で再武装化した事で誕生した「自衛隊」との国防組織は、「憲法上の陸海空その他の戦力に該当しない」なる「解釈」で無理矢理に「合憲化」している状態は実に不健全である。
2020年11月現在、我々日本人のほぼ全員は戦争をしたいとは望んでいない。
他の国が日本に仇なす事をしない限り、むしろ友好を望んでいるのが日本人である。
その一方、ウソ、不誠実、約束を守らない事を嫌う。一線を越え仇なすことをしてきたら、それを正す事になるだろうが、相手が平和を乱さない限り平和を望んでいるのが我々日本人の大多数だと思う。
そういう思考をベースにした我々日本人自身による平和憲法を立てる時期になったと思う。(*8)
しかし、日本と日本人が御嫌いな立憲民主党は、生殺与奪の権を「平和を愛する諸国民」と称する外国人に委ねる前文と、上述した様に、現行憲法第9条第2項の「陸海空その他の戦力」の保持を禁じた現行憲法の非武装条文を残置し日本人は抵抗せずに侵略されたら、されるがままにしておけとの「現行憲法での「平和主義」」のままでいろと言っているのである。
立憲民主党は「平和憲法」の中身の議論をしてしまうと、それが日本と日本人を貶め、小バカにしたものであることがバレてしまうので、憲法議論から逃げているのである。
それでいて、「国民に必要な改正は積極的に議論する」などと言っている厚顔無恥である。
長くなったので今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1):数日前のNHKニュース
↓
NHK NEWS WEB 2020年11月22日 10時05分
見出し:立民 今後の憲法論議の指針まとめる
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201122/k10012725361000.html
記事:○立憲民主党は、今後の憲法論議について、自民党が掲げる憲法9条への「自衛隊の明記」などに反対する一方、衆議院の解散権の制約などについて議論を進めるなどとする指針をまとめました。
○今後の憲法論議について、立憲民主党がまとめた指針では、憲法を一切改正しない立場はとらないとしていて、国民に必要な改正は積極的に議論するとしています。
○そのうえで、自民党が掲げる憲法9条への「自衛隊の明記」について、平和主義の基本原理が覆るとして反対しています。
○また、自民党が改正項目にあげる災害時などの「緊急事態対応」についても、既存の法制度の見直しで対処できるとして、憲法改正による対応に慎重な立場です。
○一方、衆議院の解散権について、内閣による恣意的(しいてき)な運用は是正されるべきだとして、制約の議論を進めるほか、「コロナ禍」の経験などで、自治体によるきめ細かな対応が再認識されたとして、国と地方の役割分担の見直しを検討していくとしています。
<引用終わり>
【ご参考】
立憲民主党HP 2020年11月20日
表題:【政調審議会】「憲法論議の指針」を了承
https://cdp-japan.jp/news/20201119_0277
記事:○第6回政調審議会が19日、国会内で開催されました。冒頭あいさつに立った泉健太政務調査会長は、基本政策の策定状況について「全議員集会でのさまざまな議論は確実に良いものに向かっている。議論を通じながら一体感が高まっていく。最後には皆さんが『これを基本政策にしよう』となるように頑張る」と述べました。また、新型コロナウイルスの感染者が急増していることに触れ、「われわれは感染防止対策優先、感染対策優先を原則の1つとして掲げる。もう1つは年末にかけて生活が苦しくなる方、事業が大変厳しい状況に陥る方が増えることは間違いない。生活と事業を守り抜くことを大原則とすることをはっきり打ち立てたい」と意気込みを示し、明日に開かれる党新型コロナ対策本部で緊急対策を紹介し党内で取りまとめていくと説明しました。
■報告事項
・基本政策の検討状況を報告。「立憲コロナ緊急対策」についても説明がありました。各部会・調査会からの報告では、「充実した職業生活を営むことができる働き方の実現及び健全な事業活動の促進に資するためのワークルール教育の推進に関する法律案」(ワークルール教育推進法案)について報告がありました。
■審査事項
・条約「包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定」(日英EPA)は賛成することで了承されました。
・議員立法の審査では、「特定非営利活動促進法の一部を改正する法律案」、「宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律案」、「令和二年七月豪雨災害関連義援金に係る差押禁止等に関する法律案」は賛成、「医療的ケア児及びその家族に対する支援の促進に関する法律案」は留保付きの賛成となりました。また、「入管法改正案対案」(難民等の保護に関する法律案、出入国管理及び難民認定法改正案)は議員立法登録が了承されました。
・自民党から提案のあった「新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消の推進に関する法律案」は、「自民党の法案担当からの説明がない状況で、会期末が迫る中、今日の時点で進展が見込めない」という理由で登録は見送りとなりました。
・国会同意人事については、原子力委員長、委員の2人について「現政権の原子力政策をベースにしている原子力委員会であり、立憲民主党はその立ち位置に立たない」という理由で不同意となりました
・政策審査では、党の憲法議論の考え方をまとめた「憲法論議の指針」が了承されました。
■ワーキンググループ設置
・SDGsワーキングチームの設置が了承されました。
憲法論議の指針(案).pdf ←10ページのpdfファイル
(*2):我々日本人を守るのが自衛隊の役割
↓
2019/02/23投稿:
軍隊とは何か
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1118.html
(*3):現行憲法は終戦後半年にも満たない1946年2月にマッカーサー3原則に基づきGHQスタッフが草案を僅か1週間から10日程度のやっつけ仕事でつくられたものである。僅か半年前迄、人類史上空前の海空戦を戦っていたマッカーサーが敗戦国・日本に対して「自衛戦争も許さぬ」としたのがマッカーサー3原則であり、同原則の第2原則を前文と9条に分割記載したものが現行憲法となったものである。
↓
<現行憲法に至る過程>
2017/05/20投稿:
(資料編)憲法前文の登場・9条の登場と変遷
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-674.html
<マッカーサー三原則>
2016/07/29投稿:
(資料編)マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-467.html
↓
◆第1原則:天皇条項
2016/07/30投稿:
(解説編1)マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-468.html
◆第2原則:非武装規定・前文+9条
2016/07/31投稿:
(解説編2)マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-469.html
◆第3原則:マッカーサーの誤解・日本は中世封建社会?
2016/08/01投稿:
(解説編3)資料・マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-470.html
(*4):単純化すると「非現実的な憲法条文」と「日本を守る自衛隊」の話であり、軸足を「現行憲法」に置けば「自衛隊は違憲の存在」であり、軸足を現実の国際社会に置けば「現行憲法は現実世界に対応出来ない夢想の存在」である。立憲民主党は、そういう相反に対して、現行憲法に軸足を置くとの片方だけの話をしているものである。
↓
2017/05/25投稿:
憲法議論2・憲法9条・議論の出発点
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-677.html
(*5):戦後の西ドイツは、1949年にドイツ基本法(ドイツ憲法)を制定し、1955年に西ドイツとして主権を確立し同時に再軍備を果たしドイツ憲法を改正している。
↓
2018/02/10投稿
「ドイツ憲法の改正回数は「59回」」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-864.html
(*6):東西冷戦構造が終了したのは1989年のベルリンの壁崩壊からである。世界情勢が大きく変わったのである。そして、あれから約30年が経過した現在、世界情勢は再度大きく変っている。
↓
2019/05/29投稿:
先の大戦後の現在の世界情勢は第三段階にある
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1190.html
(*7):今や中国がパクス・シニカとの新世界秩序を確立せんとヘゲモニーチャレンジをしている状態だ。
↓
2020/07/28投稿:
「パクス・シニカ」との暗黒未来を阻止する
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1401.html
【ご参考】
2018/10/11投稿:
ヘゲモニーチャレンジャー中国・事大主義小中華韓国
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1032.html
(*8):我々日本人自身による平和憲法を立てる時期になったと思う。
↓
2015/11/20投稿:
【憲法9条】「平和憲法」との偽看板
現行憲法第9条について その3
<歪んだ「平和主義」の現行憲法を破棄して日本人自身による平和主義を宣言しよう>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-269.html
2015/11/21投稿:
【憲法9条】「日本人に武器を持たせると他国を侵略する」との濡れ衣
現行憲法第9条について その4
<歪んだ「平和主義」の現行憲法を破棄して日本人自身による平和主義を宣言しよう>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-270.html
2017/05/18投稿:
憲法議論をはじめよう
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-672.html
2017/05/19投稿:
憲法議論1・前文の「平和主義」
<憲法議論をはじめよう2>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-673.html
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副題:立憲民主党は「自衛隊の明記」が「平和主義の基本原理」を覆すとの珍説を言っている。立憲民主党がいう「平和主義」とは日本は非武装無抵抗のままでいろというものだ。
またもや立憲民主党の偽看板
数日前のNHKニュース「立民 今後の憲法論議の指針まとめる 」(*1)を読んだ。
そのニュース記事の冒頭こは「憲法を一切改正しない立場はとらないとしていて、国民に必要な改正は積極的に議論するとしています」とあり、あたかも立憲民主党が憲法議論をするかの様な事が書かれていた。
立憲民主党の正体をご存じの方々には「国民に必要な改正は積極的に議論する」との一文が「立憲民主党が「国民に必要ない」と判断するものは議論しない」という意味であり、相変わらずに「憲法議論をしない事での改憲阻止」との寝転がり戦法を継続していることがお分かりだと思う。
要するにNHKニュースは「見出し詐欺」の一種であるものだ。
同記事には「自民党が掲げる憲法9条への「自衛隊の明記」について、平和主義の基本原理が覆るとして反対しています」とあり、最初から憲法問題の最大の問題点の1つである9条問題に対して「結論ありき」の態度を示しているもので、けして「議論をする」というものではない。
自衛隊が「平和主義の基本原理」に反するのか?
立憲民主党は「自衛隊の明記」が「平和主義の基本原理」を覆すと言っている訳だが、何故、その様な奇妙な考え方をするのかの説明は立憲民主党の記事の中にはない。
知っての通り、我が国自衛隊は東日本大震災の際にも災害派遣で、全力で国民を守った。
我々日本人を守るのが自衛隊の役割(*2)であり、その役割に忠実な事は実績で証明済である。
そうであるにも関わらず、立憲民主党は「自衛隊の明記」が「平和主義の基本原理」を覆すと言っているのである。
これは要するに、立憲民主党は現行憲法第9条第2項の「陸海空その他の戦力」の保持を禁じた現行憲法の非武装条文を残置し、日本人は抵抗せずに侵略されたら、されるがままにしておけとの「現行憲法での「平和主義」」を維持したいという意味以外には考えられない物言いであることが分かる。
知っての通り、現行憲法は終戦後半年にも満たない1946年2月にマッカーサー3原則に基づきGHQスタッフが草案を僅か1週間から10日程度のやっつけ仕事でつくられたものである。(*3)僅か半年前迄、人類史上空前の海空戦を戦っていたマッカーサーが敗戦国・日本に対して「自衛戦争も許さぬ」としたのがマッカーサー3原則であり、同原則の第2原則を前文と9条に分割記載したものが現行憲法となったものである。
その一方、自衛隊が出来た経緯は、その前身である警察予備隊が出来た1950年8月20日という日付から分かる通り、1950年6月25日に金日成の南侵ではじまった朝鮮戦争にあり、我が国に非武装憲法を押し付けたマッカーサーは我が国に再武装を命じたものである。
占領軍GHQとして日本列島防衛の責務を負う立場のマッカーサーとしては、警察予備隊の編成は現実と向き合った当然の判断であるのだが、自分が押し付けた占領憲法とは大きく矛盾しているものである。だからこそ形式的な辻褄合わせをしているのだが、実質は相反要求である。
そのマッカーサーは朝鮮戦争時に「聖域化」された北朝鮮の北の中国領を原爆で攻撃するとインタビューで発言したことで、1951年4月に解任され、現行憲法と自衛隊との相反を生み出した人物は尻を拭くことなく日本を離れたものである。
自衛隊と現行憲法の問題とは、主権喪失期にマッカーサーが発した相反する命令そのものである。
単純化すると「非現実的な憲法条文」と「日本を守る自衛隊」の話であり、軸足を「現行憲法」に置けば「自衛隊は違憲の存在」であり、軸足を現実の国際社会に置けば「現行憲法は現実世界に対応出来ない夢想の存在」である。
立憲民主党は、そういう相反に対して、現行憲法に軸足を置くとの片方だけの話をしているものである。(*4)
相反する問題があるのに最初から「反対ありき」を表明してしまう立憲民主党は「議論しない」と宣言しているに等しいものなのである。
戦後ドイツも最初は非武装・1955年の改憲でNATOの一員に
「先の大戦の敗戦国」という位置付けが同じドイツの場合、憲法と再軍備はどうだったかを紹介するのだが、その前に、「同じ敗戦国」という話を、あたかも総てが同じであるかの様な虚偽が流通しているので、けしてそうではない事を指摘しておきたい。
ドイツは第1次世界大戦後のワイマール共和国体制下でナチスが政権を奪取し「ドイツ第三帝国」を自称した。それはヒトラーが全権委任法で独裁体制を確立したからであるが、「ドイツ第三帝国・憲法」はついぞ登場ぜずワイマール憲法の廃棄は宣言されず、1945年5月の時点でのドイツの憲法と言えばワイマール憲法のままであった。先の大戦でドイツは米ソ英仏の4ヶ国が分割占領する事態となり、その後、米英仏の占領地域は西ドイツとなり、ソ連占領地域は東ドイツとなった。東西ドイツは今や統一しているが、それ以前は別々の国であり、東西ドイツは1973年に同時に国連加盟をしている。
戦後の西ドイツは、1949年にドイツ基本法(ドイツ憲法)を制定し、1955年に西ドイツとして主権を確立し同時に再軍備を果たしドイツ憲法を改正している。(*5)
一方、我が国は上述した様に、朝鮮半島で戦争が勃発した事でマッカーサーが慌てて再軍備をさせたとの大きな違いがあり、憲法を改正する間もなくマッカーサーは更迭され我が国からいなくなり、また、東西冷戦構造下では、アメリカが押し付けた現行憲法を逆手にとって利用するとの吉田ドクトリンは、あの時代に於いては現実的な選択だったと考えるので、戦後数十年間改憲をしてこなかったのは、ある意味仕方がないことであった。
東西冷戦構造が終了したのは1989年のベルリンの壁崩壊からである。
世界情勢が大きく変わったのである。そして、あれから約30年が経過した現在、世界情勢は再度大きく変っている。(*6)
30年前は東西冷戦構造が崩壊した。そして今や中国がパクス・シニカとの新世界秩序を確立せんとヘゲモニーチャレンジをしている状態だ。(*7)
そういう大きな情勢変化から我々日本人を守るには戦後半年しか経っていない状態の75年もの昔の現行憲法では制約が多すぎる。少なくとも、特異な経緯で再武装化した事で誕生した「自衛隊」との国防組織は、「憲法上の陸海空その他の戦力に該当しない」なる「解釈」で無理矢理に「合憲化」している状態は実に不健全である。
我々日本人自身による平和主義憲法を立てる時期
2020年11月現在、我々日本人のほぼ全員は戦争をしたいとは望んでいない。
他の国が日本に仇なす事をしない限り、むしろ友好を望んでいるのが日本人である。
その一方、ウソ、不誠実、約束を守らない事を嫌う。一線を越え仇なすことをしてきたら、それを正す事になるだろうが、相手が平和を乱さない限り平和を望んでいるのが我々日本人の大多数だと思う。
そういう思考をベースにした我々日本人自身による平和憲法を立てる時期になったと思う。(*8)
しかし、日本と日本人が御嫌いな立憲民主党は、生殺与奪の権を「平和を愛する諸国民」と称する外国人に委ねる前文と、上述した様に、現行憲法第9条第2項の「陸海空その他の戦力」の保持を禁じた現行憲法の非武装条文を残置し日本人は抵抗せずに侵略されたら、されるがままにしておけとの「現行憲法での「平和主義」」のままでいろと言っているのである。
立憲民主党は「平和憲法」の中身の議論をしてしまうと、それが日本と日本人を貶め、小バカにしたものであることがバレてしまうので、憲法議論から逃げているのである。
それでいて、「国民に必要な改正は積極的に議論する」などと言っている厚顔無恥である。
長くなったので今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1):数日前のNHKニュース
↓
NHK NEWS WEB 2020年11月22日 10時05分
見出し:立民 今後の憲法論議の指針まとめる
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201122/k10012725361000.html
記事:○立憲民主党は、今後の憲法論議について、自民党が掲げる憲法9条への「自衛隊の明記」などに反対する一方、衆議院の解散権の制約などについて議論を進めるなどとする指針をまとめました。
○今後の憲法論議について、立憲民主党がまとめた指針では、憲法を一切改正しない立場はとらないとしていて、国民に必要な改正は積極的に議論するとしています。
○そのうえで、自民党が掲げる憲法9条への「自衛隊の明記」について、平和主義の基本原理が覆るとして反対しています。
○また、自民党が改正項目にあげる災害時などの「緊急事態対応」についても、既存の法制度の見直しで対処できるとして、憲法改正による対応に慎重な立場です。
○一方、衆議院の解散権について、内閣による恣意的(しいてき)な運用は是正されるべきだとして、制約の議論を進めるほか、「コロナ禍」の経験などで、自治体によるきめ細かな対応が再認識されたとして、国と地方の役割分担の見直しを検討していくとしています。
<引用終わり>
【ご参考】
立憲民主党HP 2020年11月20日
表題:【政調審議会】「憲法論議の指針」を了承
https://cdp-japan.jp/news/20201119_0277
記事:○第6回政調審議会が19日、国会内で開催されました。冒頭あいさつに立った泉健太政務調査会長は、基本政策の策定状況について「全議員集会でのさまざまな議論は確実に良いものに向かっている。議論を通じながら一体感が高まっていく。最後には皆さんが『これを基本政策にしよう』となるように頑張る」と述べました。また、新型コロナウイルスの感染者が急増していることに触れ、「われわれは感染防止対策優先、感染対策優先を原則の1つとして掲げる。もう1つは年末にかけて生活が苦しくなる方、事業が大変厳しい状況に陥る方が増えることは間違いない。生活と事業を守り抜くことを大原則とすることをはっきり打ち立てたい」と意気込みを示し、明日に開かれる党新型コロナ対策本部で緊急対策を紹介し党内で取りまとめていくと説明しました。
■報告事項
・基本政策の検討状況を報告。「立憲コロナ緊急対策」についても説明がありました。各部会・調査会からの報告では、「充実した職業生活を営むことができる働き方の実現及び健全な事業活動の促進に資するためのワークルール教育の推進に関する法律案」(ワークルール教育推進法案)について報告がありました。
■審査事項
・条約「包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定」(日英EPA)は賛成することで了承されました。
・議員立法の審査では、「特定非営利活動促進法の一部を改正する法律案」、「宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律案」、「令和二年七月豪雨災害関連義援金に係る差押禁止等に関する法律案」は賛成、「医療的ケア児及びその家族に対する支援の促進に関する法律案」は留保付きの賛成となりました。また、「入管法改正案対案」(難民等の保護に関する法律案、出入国管理及び難民認定法改正案)は議員立法登録が了承されました。
・自民党から提案のあった「新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消の推進に関する法律案」は、「自民党の法案担当からの説明がない状況で、会期末が迫る中、今日の時点で進展が見込めない」という理由で登録は見送りとなりました。
・国会同意人事については、原子力委員長、委員の2人について「現政権の原子力政策をベースにしている原子力委員会であり、立憲民主党はその立ち位置に立たない」という理由で不同意となりました
・政策審査では、党の憲法議論の考え方をまとめた「憲法論議の指針」が了承されました。
■ワーキンググループ設置
・SDGsワーキングチームの設置が了承されました。
憲法論議の指針(案).pdf ←10ページのpdfファイル
(*2):我々日本人を守るのが自衛隊の役割
↓
2019/02/23投稿:
軍隊とは何か
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1118.html
(*3):現行憲法は終戦後半年にも満たない1946年2月にマッカーサー3原則に基づきGHQスタッフが草案を僅か1週間から10日程度のやっつけ仕事でつくられたものである。僅か半年前迄、人類史上空前の海空戦を戦っていたマッカーサーが敗戦国・日本に対して「自衛戦争も許さぬ」としたのがマッカーサー3原則であり、同原則の第2原則を前文と9条に分割記載したものが現行憲法となったものである。
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<現行憲法に至る過程>
2017/05/20投稿:
(資料編)憲法前文の登場・9条の登場と変遷
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-674.html
<マッカーサー三原則>
2016/07/29投稿:
(資料編)マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-467.html
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◆第1原則:天皇条項
2016/07/30投稿:
(解説編1)マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-468.html
◆第2原則:非武装規定・前文+9条
2016/07/31投稿:
(解説編2)マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-469.html
◆第3原則:マッカーサーの誤解・日本は中世封建社会?
2016/08/01投稿:
(解説編3)資料・マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-470.html
(*4):単純化すると「非現実的な憲法条文」と「日本を守る自衛隊」の話であり、軸足を「現行憲法」に置けば「自衛隊は違憲の存在」であり、軸足を現実の国際社会に置けば「現行憲法は現実世界に対応出来ない夢想の存在」である。立憲民主党は、そういう相反に対して、現行憲法に軸足を置くとの片方だけの話をしているものである。
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2017/05/25投稿:
憲法議論2・憲法9条・議論の出発点
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-677.html
(*5):戦後の西ドイツは、1949年にドイツ基本法(ドイツ憲法)を制定し、1955年に西ドイツとして主権を確立し同時に再軍備を果たしドイツ憲法を改正している。
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2018/02/10投稿
「ドイツ憲法の改正回数は「59回」」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-864.html
(*6):東西冷戦構造が終了したのは1989年のベルリンの壁崩壊からである。世界情勢が大きく変わったのである。そして、あれから約30年が経過した現在、世界情勢は再度大きく変っている。
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2019/05/29投稿:
先の大戦後の現在の世界情勢は第三段階にある
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1190.html
(*7):今や中国がパクス・シニカとの新世界秩序を確立せんとヘゲモニーチャレンジをしている状態だ。
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2020/07/28投稿:
「パクス・シニカ」との暗黒未来を阻止する
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1401.html
【ご参考】
2018/10/11投稿:
ヘゲモニーチャレンジャー中国・事大主義小中華韓国
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1032.html
(*8):我々日本人自身による平和憲法を立てる時期になったと思う。
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2015/11/20投稿:
【憲法9条】「平和憲法」との偽看板
現行憲法第9条について その3
<歪んだ「平和主義」の現行憲法を破棄して日本人自身による平和主義を宣言しよう>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-269.html
2015/11/21投稿:
【憲法9条】「日本人に武器を持たせると他国を侵略する」との濡れ衣
現行憲法第9条について その4
<歪んだ「平和主義」の現行憲法を破棄して日本人自身による平和主義を宣言しよう>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-270.html
2017/05/18投稿:
憲法議論をはじめよう
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-672.html
2017/05/19投稿:
憲法議論1・前文の「平和主義」
<憲法議論をはじめよう2>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-673.html
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