合流新党の「綱領(案)」・言葉の定義をねじ曲げて誤解させる手法(後編1/7)
- 2020/09/03
- 22:35
合流新党の「綱領(案)」・言葉の定義をねじ曲げて誤解させる手法(後編1/7)
本性を隠し「票が取れそうな「綱領案」」を提示する合流新党・定義ねじ曲げが甚だしいPart3
副題:言葉の定義をねじ曲げて誤解させる手法は、民主党→民進党→立憲民主党→合流新党で同じ。日本人の言葉を乱し、互に言葉が通じないようする危険な行為。
続きである。
合流新党の「綱領(案)」のうち、前回は「1. 基本理念」部分に関して論じたが、今回は「2. 私たちのめざすもの」の部分について少々述べる。
政策集・基本政策に対して「私たちのめざすもの」との表現を用いるのは少々違和感を持つのだが、それは2017年10月に立憲民主党設立当初からの表現方法であり、今回の合流新党の「綱領(案)」でも踏襲しているものだ。
尚、「合流新党の「綱領(案)」の全文は、前々回論考「合流新党の「綱領(案)」・この数年で3回目の綱領」の【文末脚注の(*6)】に引用してあるので、適宜、ご参照願いたい。
とは言え、今回も宴会同様、適宜、抜粋引用しながら論考をすすめるので、見る必要性は薄いと思う。
合流新党「綱領(案)」の次の大項目「2. 私たちのめざすもの」=政策集・基本政策は、「ア」から「キ」までの7つの中項目があり、各中項目には2から6つの小項目文章がある。
これからは各中項目毎に論じていく。
各項目には理念的記述と比較的具体性がある政策方針の記述が混在しているので、それへの指摘も混在することになるのは、予めご了解いただきたい。
7つに区分された政策集・基本政策の最初は「(ア) 立憲主義に基づく民主政治」である。
前回論述した通り、枝野が言う「立憲主義」は、単なる「護憲」の言い換えでしかない。そもそも、「現行憲法」には国民を守ることを禁止する9条があり、その憲法でどうやって国民を守るのであろうか? 守れないのである。
解釈を以て運用している現状に対して、本来的意味での立憲主義を貫徹した場合、それは「緊急時に国民の生命安全を守らない」という事になるのである。要するに、「立憲主義」は現行憲法では成り立たないのである。(*1)
立憲民主党の代表の枝野は以前から、日本人の命を軽視しており、民主党時代の2015年3月のホルムズ海峡封鎖危機の際に「日本人が餓死するまで何もするな」と言い、自衛隊派遣反対を述べているのである。(*2)
最初から誤解誘導の新定義「立憲主義」を掲げている訳だが、そこにある3つの小項目を以下に引用する。
↓
<引用開始>(付番は引用者)
(ア) 立憲主義に基づく民主政治
①私たちは、立憲主義を守り、象徴天皇制のもと、日本国憲法が掲げる「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を堅持します。
②私たちは、立憲主義を深化させる観点から未来志向の憲法議論を真摯に行います。
③私たちは、草の根の声に基づく熟議を大切にしながら、民主政治を守り育てます。
<引用終わり>
最初の①であるが、たった2行の文章の中に誤解誘導の語句が沢山用いられている。
1つ目は「立憲主義を守り」である。
この語句は前述した通りの詐欺話である。
2つ目は「象徴天皇制」である。
ご存知の方には説明の必要がないと思うが「天皇制」との語句は、共産党用語である。
当方が学生の頃はなかった「象徴天皇制」との語句は、割合新しい造語で、現行憲法を「護憲」=「前文+9条の残置」する目的で第1章(第1条~8条)を「解釈」する為に作られたものだ。
現行憲法の問題点は、実は前文+9条だけではない。
第1条と第2条が相反している問題(*3)や第7条の誤植問題(*4)や死条文になっている第11章の第100条から第103条が未だに存在しているり問題(*5)などがある。
そうであるにも関わらず、憲法の文言を1文字でも変えれば「戦争になるぅ~!」などと「護憲」を叫んでいるのである。
これは、何が何でも前文+第9条を残置させる為に、他の条文も触らせないというものであり、国民不在のドグマティズムでしかない。
3つ目は「国民主権」である。
この語句は、あたかも総ての主権が国民にあるとの誤解を含んだものである。
これは立憲民主党の綱領がおかしいのではなく、「戦後「民主主義」教育」の場、即ち、学校で、その様に教わるからの誤解である。
国民主権を正しく述べるのなら、「政治の最終決定権を国民が持つ」のが国民主権である。我が国は議会制民主主義・議員内閣制なので、国民が総選挙で選んだ第1党の代表が総理大臣になるという制度で、国民はその主権を行使しているものだ。
また、現行憲法第96条にある様に、改憲時の最終判断は国民投票により、国民が判断するものである。
その一方、我が国は外交に於いて、主権国家として国際社会で、その主権を行使している。
我が国は国交がある各国に大使館を持ち、また、東京には国交がある各国の大使館がある。
我が国大使の名刺には「特命全権大使」との肩書が書いてあるが、何の「全権」なのかというと、主権国家・日本の対外的主権のことである。
対外的主権・国家主権の全権を我が国大使が付与されているものである。
ちょっと考えていただければ分かる通り、「国民主権」と言っても、国民一人々々が対外的主権を行使する立場にはない。
我が国の対外的主権は、国民が選挙で選んだ政府が、その行使権を行使しているものである。
この様に、「主権」と言っても「国民主権」1つだけではない。
主権には3つあり、我々国民が持つ主権とは別の主権が存在しているのであるが、学校で教わるのは「国民主権」だけであり、なんでもかんでも「国民主権」との誤解をさせられているものである。詳しくは以前の論考をご一読いただきたい。(*6)
4つ目は「平和主義」である。
これも「学校で習う詐欺話」である。
なんでも、憲法の三原則に1つに「平和主義」があるそうだが、現行憲法を大人になってから真面目に読めば、それが「世界平和を日本から守る」という内容だと分かるもので、それは我々日本人からすれば、けして「平和主義」などというものではない。(*7)
だからこそ、安倍首相は2015年の戦後70周年談話(*8)で以下の様に述べているのである。
↓
<引用開始>
日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。
<引用終わり>
ところが、立憲民主党が主導する合流新党の「綱領(案)」では「「平和主義」を堅持します。」と書いてあるのである。
要するに、安倍政権以前の様に「あの戦争には何ら関わりのない子供達に謝罪を続けさせる宿命を背負わせてやる」と言っているのである。
この様に最初の小項目①は、定義や意味が異なる語句を用いて、史実や現実とは異なる「偽りの土俵」を提示して、人々の頭の中を混乱させるものである。
次の小項目②を以下に再度引用する。
↓
<引用開始>
②私たちは、立憲主義を深化させる観点から未来志向の憲法議論を真摯に行います。
<引用終わり>
知っての通り、立憲民主党はずっと憲法議論から逃げ続けてきており、「憲法議論をしない事での改憲阻止」との寝転がり戦法を他の特定野党とともに実践している。(*9)
実際、国会での憲法議論の場である衆参両院の憲法審査会は、特定野党の難癖で殆ど開催されていない。
そうであるにも関わらず「憲法議論を真摯に行います。」などと厚顔無恥な事を言っているのである。
しかし、ご本人達はけして「厚顔無恥」だとは思っていない。むしろ「本当の事」を言っているつもりなのである。
その種明かしをすると、これも「定義ねじ曲げ・誤解誘導手法」なのである。
「立憲主義を深化させる観点から」とは、彼等が言う「立憲主義」の意味が単なる「護憲」なのだから、「改憲しない・させない」という事を深化させる事が前提にあれば、憲法議論をするぞ、という事を言っており、それは取りも直さず、「改憲前提・改憲可能性がある憲法議論などしない」という宣言に他ならない。
「未来志向の憲法議論」も同じである。
「憲法議論」と書かずに、奇妙な修飾語「未来志向の」が付いているのは、彼等が言う「、未来」だからである。
現行憲法を彼等流に解釈したものだ。日本は「平和を愛する諸国民(特定アジア)」の「公正と信義(中華思想=日本人は東夷倭人)」を「信頼して(それに従い)、「安全と生存を保持(生殺与奪の権を特アに渡し隷属する)」というのが、その「未来」である。
そういう「憲法議論」ならやるぞ、そうじゃなければ憲法審議会ボイコットを続けるぞという意味である。
これが、定義ネジ曲げ文章で誤解させる手法である。
中項目「ア」の最後の小項目③を以下に再度引用する。
↓
<引用開始>
③私たちは、草の根の声に基づく熟議を大切にしながら、民主政治を守り育てます。
<引用終わり>
この一文に登場する日本語の各語句を、普通の定義・概念で読めば、その意味は「国民の声・要望を受け止めた議論を重ね、それに基づき民主主義政治を実行します」と読めるのだが、その様に誤解させるのが目的だ。
民主党→民進党→立憲民主党またはその議員が、国民一般の声・要望を聞いたことがあるのか、を思い出していただければ良い。
彼等が聞くのは党員または国籍規定がない「サポーター」の声であり、それ以外の国民、取り分け、彼等の政策に批判的な国民の声など聞いたためしがない。
つまり「草の根の声」とは、けして国民一般の声を意味していないのである。
同様、「民主政治」も奇妙な言い方である、民主主義政治ではなく、民主政治である。
多分、これは「民主党の政治」という意味であろう。
小見出しの表題は、旧約聖書・創世記第11章バベルの塔の物語にある「彼らの言葉を乱し、互に言葉が通じないようにしよう」から拝借したものだ。
合流新党の「綱領(案)」の言葉の定義をねじ曲げて誤解させる手法は民主党→民進党→立憲民主党→合流新党で同じであるが、その目的は我が国の破壊・劣後にある。
綱領で書かれている単語・語句は日本語なのだが、その意味するとこらは我々普通の日本人の概念とは大きく異なり、意味が通じないものとなっている。
言葉の乱れは、やがては日本をバベルの塔の様に崩壊させる危険なものである。
バベルの塔の物語は、巨大な塔を作る話だが、一般的には「天に届く塔は人間の思い上がりで不敬であるとして旧約聖書の神がお怒りになり塔を完成させなかった」との話なのだが、あの物語は意思疎通の大切さを暗喩的に表しているものだと解釈している。
言葉を乱し、意志疎通を阻害するやり方は、現在生きている我々の間での意志疎通を阻害するのと同時に、過去の日本人との意思疎通も断絶させるものだ。
それは往古来今の日本人として我々が持つアイデンティティーを蝕む危険なものであり、文明の途絶につながりかねないものだと、大きく危惧するものである。
長くなったので項を分けます。
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【文末脚注】
(*1):「立憲主義」は現行憲法では成り立たないのである。
↓
2016/11/29投稿:
「立憲主義」は現行憲法では成り立たない
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-553.html
2017/07/19投稿:
続・「立憲主義」は現行憲法では成り立たない
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-715.html
【ご参考】
2015/08/04投稿:
【コラム】国会前での新表現「立憲主義」の虚構
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-174.html
2016/10/12投稿:
定義ネジ曲げ「立憲主義」(民進党の憲法観2)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-518.html
2016/11/27投稿:
定義捻じ曲げ「立憲主義」の笑止千万
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-551.html
2018/03/08投稿:
立憲民主党のいう「立憲主義」など単なる「護憲」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-876.html
(*2):立憲民主党の代表の枝野は以前から、日本人の命を軽視しており、民主党時代の2015年3月のホルムズ海峡封鎖危機の際に「日本人が餓死するまで何もするな」と言い、自衛隊派遣反対を述べているのである。
↓
※枝野は民主党代の2015年3月のホルムズ海峡封鎖危機の際に、「日本人が餓死するまで何もするな」との自衛隊派遣反対を述べている。
2015/03/04投稿:
【コラム】民主党・枝野の国会発言「日本人が餓死するまで何もするな」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-42.html
【ご参考】
2020/01/15投稿:
中東情勢・日本人のことなど何も考えていない枝野他特定野党(前編)
副題:中東各国の特性と中東情勢、我が国のエネルギー事情、そういう基礎的情報を踏まえた上での情勢認識が必要だ。脊髄反射の「自衛隊派遣ハンタ~イ」からは何も見えてこない。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1308.html
(*3);第1条と第2条が相反している問題
↓
2015/09/17投稿:
【コラム】現行憲法の矛盾・混乱1
第1条と第2条の論理的不整合について
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-212.html
(*4)第7条の誤植問題
↓
2015/10/09投稿:
【コラム】現行憲法の矛盾・混乱3
第7条と第46条の論理的不整合について
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-228.html
(*5):死条文になっている第11章の第100条から第103条が未だに存在しているり問題
↓
2017/05/18投稿:
憲法議論をはじめよう
副題:今の憲法には9条とか1条の他にも変な条文が沢山ある。それらを改廃することも「戦争になるぅ~」原因なのですか?
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-672.html
(*6):主権には3つあり、我々国民が持つ主権とは別の主権が存在しているのであるが、学校で教わるのは「国民主権」だけであり、なんでもかんでも「国民主権」との誤解をさせられているものである。詳しくは以前の論考をご一読いただきたい。
↓
<3つの主権概念>
主権1):国民及び領土を統治する主権。統治権
主権2):国家が他国からの干渉を受けずに独自の意思決定を行う主権。対外的国家主権
主権3):国家の政治を最終的に決定する権利。我が国は国民が投票権他で行使
※現行憲法でも主権1)は天皇にあり、現行憲法第6条規定による首相任命式により主権1)統治権の行使権の委譲が行われる。
その首相は、国民が主権3)を行使した選挙により選ばれる。
↓
2017/11/04投稿:
「皇居での首相任命式と閣僚認証式」憲法第6条・第7条
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-795.html
2015/10/10投稿:
【コラム】「皇居での認証式」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-229.html
(*7):なんでも、憲法の三原則に1つに「平和主義」があるそうだが、現行憲法を大人になってから真面目に読めば、それが「世界平和を日本から守る」という内容だと分かるもので、それは我々日本人からすれば、けして「平和主義」などというものではない。
↓
2017/05/19投稿:
憲法議論1・前文の「平和主義」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-673.html
【ご参考】
2015/11/20投稿:
「平和憲法」との偽看板
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-269.html
2019/01/29投稿:
改憲をしたくない人達が言う「平和主義」との欺瞞
副題:「世界平和を日本から守る」との現行憲法の「平和主義」。今や、我々日本人自身が我々の平和主義を憲法に書き込む時期にきている。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1100.html
(*8):安倍首相は2015年の戦後70周年談話
015年8月14日・安倍首相70周年談話
首相官邸HP 平成27年8月14日
見出し:◆内閣総理大臣談話
https://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/discource/20150814danwa.html
↓
2020/08/17投稿:
我が国の戦後75年の歩みの一切を切り捨てて、時が1945年に巻き戻る(後編)
副題:「戦後50年村山談話」との歴史歪曲。日本人悪玉論を取り戻し、維持したい立憲・枝野。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1411.html
(*9):知っての通り、立憲民主党はずっと憲法議論から逃げ続けてきており、「憲法議論をしない事での改憲阻止」との寝転がり戦法を他の特定野党とともに実践している。
↓
2018/07/02投稿:
「憲法議論をしないことでの改憲阻止」との愚劣
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-969.html
2018/02/27投稿:
相変わらずの寝転がり戦法・野党5党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-871.html
2018/08/06投稿:
2018年通常国会・憲法議論から逃げ回った立憲民主党他野党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-993.html
2018/09/23投稿:
「国会で憲法議論などするものか」と相変わらずの野党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1020.html
etc.
【ご参考】
2018/02/12投稿:
「国民主権・基本的人権・平和主義」の定義
副題:「彼らの言葉を乱してやろう。彼らが互いに相手の言葉を理解できなくなるように。」我々日本人の憲法議論を無効化する悪質なる定義すり替えの罠に嵌った老政治家の昔のお話。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-865.html
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本性を隠し「票が取れそうな「綱領案」」を提示する合流新党・定義ねじ曲げが甚だしいPart3


副題:言葉の定義をねじ曲げて誤解させる手法は、民主党→民進党→立憲民主党→合流新党で同じ。日本人の言葉を乱し、互に言葉が通じないようする危険な行為。
続きである。
合流新党の「綱領(案)」のうち、前回は「1. 基本理念」部分に関して論じたが、今回は「2. 私たちのめざすもの」の部分について少々述べる。
政策集・基本政策に対して「私たちのめざすもの」との表現を用いるのは少々違和感を持つのだが、それは2017年10月に立憲民主党設立当初からの表現方法であり、今回の合流新党の「綱領(案)」でも踏襲しているものだ。
尚、「合流新党の「綱領(案)」の全文は、前々回論考「合流新党の「綱領(案)」・この数年で3回目の綱領」の【文末脚注の(*6)】に引用してあるので、適宜、ご参照願いたい。
とは言え、今回も宴会同様、適宜、抜粋引用しながら論考をすすめるので、見る必要性は薄いと思う。
合流新党「綱領(案)」の「2. 私たちのめざすもの」部分
合流新党「綱領(案)」の次の大項目「2. 私たちのめざすもの」=政策集・基本政策は、「ア」から「キ」までの7つの中項目があり、各中項目には2から6つの小項目文章がある。
これからは各中項目毎に論じていく。
各項目には理念的記述と比較的具体性がある政策方針の記述が混在しているので、それへの指摘も混在することになるのは、予めご了解いただきたい。
「(ア) 立憲主義に基づく民主政治」最初から定義ネジ曲げ「立憲主義」
7つに区分された政策集・基本政策の最初は「(ア) 立憲主義に基づく民主政治」である。
前回論述した通り、枝野が言う「立憲主義」は、単なる「護憲」の言い換えでしかない。そもそも、「現行憲法」には国民を守ることを禁止する9条があり、その憲法でどうやって国民を守るのであろうか? 守れないのである。
解釈を以て運用している現状に対して、本来的意味での立憲主義を貫徹した場合、それは「緊急時に国民の生命安全を守らない」という事になるのである。要するに、「立憲主義」は現行憲法では成り立たないのである。(*1)
立憲民主党の代表の枝野は以前から、日本人の命を軽視しており、民主党時代の2015年3月のホルムズ海峡封鎖危機の際に「日本人が餓死するまで何もするな」と言い、自衛隊派遣反対を述べているのである。(*2)
最初から誤解誘導の新定義「立憲主義」を掲げている訳だが、そこにある3つの小項目を以下に引用する。
↓
<引用開始>(付番は引用者)
(ア) 立憲主義に基づく民主政治
①私たちは、立憲主義を守り、象徴天皇制のもと、日本国憲法が掲げる「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を堅持します。
②私たちは、立憲主義を深化させる観点から未来志向の憲法議論を真摯に行います。
③私たちは、草の根の声に基づく熟議を大切にしながら、民主政治を守り育てます。
<引用終わり>
「(ア) 立憲主義に基づく民主政治」最初の小項目は偽りの土俵の提示が目的
最初の①であるが、たった2行の文章の中に誤解誘導の語句が沢山用いられている。
1つ目は「立憲主義を守り」である。
この語句は前述した通りの詐欺話である。
2つ目は「象徴天皇制」である。
ご存知の方には説明の必要がないと思うが「天皇制」との語句は、共産党用語である。
当方が学生の頃はなかった「象徴天皇制」との語句は、割合新しい造語で、現行憲法を「護憲」=「前文+9条の残置」する目的で第1章(第1条~8条)を「解釈」する為に作られたものだ。
現行憲法の問題点は、実は前文+9条だけではない。
第1条と第2条が相反している問題(*3)や第7条の誤植問題(*4)や死条文になっている第11章の第100条から第103条が未だに存在しているり問題(*5)などがある。
そうであるにも関わらず、憲法の文言を1文字でも変えれば「戦争になるぅ~!」などと「護憲」を叫んでいるのである。
これは、何が何でも前文+第9条を残置させる為に、他の条文も触らせないというものであり、国民不在のドグマティズムでしかない。
3つ目は「国民主権」である。
この語句は、あたかも総ての主権が国民にあるとの誤解を含んだものである。
これは立憲民主党の綱領がおかしいのではなく、「戦後「民主主義」教育」の場、即ち、学校で、その様に教わるからの誤解である。
国民主権を正しく述べるのなら、「政治の最終決定権を国民が持つ」のが国民主権である。我が国は議会制民主主義・議員内閣制なので、国民が総選挙で選んだ第1党の代表が総理大臣になるという制度で、国民はその主権を行使しているものだ。
また、現行憲法第96条にある様に、改憲時の最終判断は国民投票により、国民が判断するものである。
その一方、我が国は外交に於いて、主権国家として国際社会で、その主権を行使している。
我が国は国交がある各国に大使館を持ち、また、東京には国交がある各国の大使館がある。
我が国大使の名刺には「特命全権大使」との肩書が書いてあるが、何の「全権」なのかというと、主権国家・日本の対外的主権のことである。
対外的主権・国家主権の全権を我が国大使が付与されているものである。
ちょっと考えていただければ分かる通り、「国民主権」と言っても、国民一人々々が対外的主権を行使する立場にはない。
我が国の対外的主権は、国民が選挙で選んだ政府が、その行使権を行使しているものである。
この様に、「主権」と言っても「国民主権」1つだけではない。
主権には3つあり、我々国民が持つ主権とは別の主権が存在しているのであるが、学校で教わるのは「国民主権」だけであり、なんでもかんでも「国民主権」との誤解をさせられているものである。詳しくは以前の論考をご一読いただきたい。(*6)
4つ目は「平和主義」である。
これも「学校で習う詐欺話」である。
なんでも、憲法の三原則に1つに「平和主義」があるそうだが、現行憲法を大人になってから真面目に読めば、それが「世界平和を日本から守る」という内容だと分かるもので、それは我々日本人からすれば、けして「平和主義」などというものではない。(*7)
だからこそ、安倍首相は2015年の戦後70周年談話(*8)で以下の様に述べているのである。
↓
<引用開始>
日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。
<引用終わり>
ところが、立憲民主党が主導する合流新党の「綱領(案)」では「「平和主義」を堅持します。」と書いてあるのである。
要するに、安倍政権以前の様に「あの戦争には何ら関わりのない子供達に謝罪を続けさせる宿命を背負わせてやる」と言っているのである。
この様に最初の小項目①は、定義や意味が異なる語句を用いて、史実や現実とは異なる「偽りの土俵」を提示して、人々の頭の中を混乱させるものである。
「(ア) 立憲主義に基づく民主政治」次の小項目「憲法議論」との欺瞞
次の小項目②を以下に再度引用する。
↓
<引用開始>
②私たちは、立憲主義を深化させる観点から未来志向の憲法議論を真摯に行います。
<引用終わり>
知っての通り、立憲民主党はずっと憲法議論から逃げ続けてきており、「憲法議論をしない事での改憲阻止」との寝転がり戦法を他の特定野党とともに実践している。(*9)
実際、国会での憲法議論の場である衆参両院の憲法審査会は、特定野党の難癖で殆ど開催されていない。
そうであるにも関わらず「憲法議論を真摯に行います。」などと厚顔無恥な事を言っているのである。
しかし、ご本人達はけして「厚顔無恥」だとは思っていない。むしろ「本当の事」を言っているつもりなのである。
その種明かしをすると、これも「定義ねじ曲げ・誤解誘導手法」なのである。
「立憲主義を深化させる観点から」とは、彼等が言う「立憲主義」の意味が単なる「護憲」なのだから、「改憲しない・させない」という事を深化させる事が前提にあれば、憲法議論をするぞ、という事を言っており、それは取りも直さず、「改憲前提・改憲可能性がある憲法議論などしない」という宣言に他ならない。
「未来志向の憲法議論」も同じである。
「憲法議論」と書かずに、奇妙な修飾語「未来志向の」が付いているのは、彼等が言う「、未来」だからである。
現行憲法を彼等流に解釈したものだ。日本は「平和を愛する諸国民(特定アジア)」の「公正と信義(中華思想=日本人は東夷倭人)」を「信頼して(それに従い)、「安全と生存を保持(生殺与奪の権を特アに渡し隷属する)」というのが、その「未来」である。
そういう「憲法議論」ならやるぞ、そうじゃなければ憲法審議会ボイコットを続けるぞという意味である。
これが、定義ネジ曲げ文章で誤解させる手法である。
「(ア) 立憲主義に基づく民主政治」最後の小項目。言葉の定義が違う
中項目「ア」の最後の小項目③を以下に再度引用する。
↓
<引用開始>
③私たちは、草の根の声に基づく熟議を大切にしながら、民主政治を守り育てます。
<引用終わり>
この一文に登場する日本語の各語句を、普通の定義・概念で読めば、その意味は「国民の声・要望を受け止めた議論を重ね、それに基づき民主主義政治を実行します」と読めるのだが、その様に誤解させるのが目的だ。
民主党→民進党→立憲民主党またはその議員が、国民一般の声・要望を聞いたことがあるのか、を思い出していただければ良い。
彼等が聞くのは党員または国籍規定がない「サポーター」の声であり、それ以外の国民、取り分け、彼等の政策に批判的な国民の声など聞いたためしがない。
つまり「草の根の声」とは、けして国民一般の声を意味していないのである。
同様、「民主政治」も奇妙な言い方である、民主主義政治ではなく、民主政治である。
多分、これは「民主党の政治」という意味であろう。
日本人の言葉を乱し、互に言葉が通じないようにしよう
小見出しの表題は、旧約聖書・創世記第11章バベルの塔の物語にある「彼らの言葉を乱し、互に言葉が通じないようにしよう」から拝借したものだ。
合流新党の「綱領(案)」の言葉の定義をねじ曲げて誤解させる手法は民主党→民進党→立憲民主党→合流新党で同じであるが、その目的は我が国の破壊・劣後にある。
綱領で書かれている単語・語句は日本語なのだが、その意味するとこらは我々普通の日本人の概念とは大きく異なり、意味が通じないものとなっている。
言葉の乱れは、やがては日本をバベルの塔の様に崩壊させる危険なものである。
バベルの塔の物語は、巨大な塔を作る話だが、一般的には「天に届く塔は人間の思い上がりで不敬であるとして旧約聖書の神がお怒りになり塔を完成させなかった」との話なのだが、あの物語は意思疎通の大切さを暗喩的に表しているものだと解釈している。
言葉を乱し、意志疎通を阻害するやり方は、現在生きている我々の間での意志疎通を阻害するのと同時に、過去の日本人との意思疎通も断絶させるものだ。
それは往古来今の日本人として我々が持つアイデンティティーを蝕む危険なものであり、文明の途絶につながりかねないものだと、大きく危惧するものである。
長くなったので項を分けます。
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【文末脚注】
(*1):「立憲主義」は現行憲法では成り立たないのである。
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2016/11/29投稿:
「立憲主義」は現行憲法では成り立たない
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-553.html
2017/07/19投稿:
続・「立憲主義」は現行憲法では成り立たない
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-715.html
【ご参考】
2015/08/04投稿:
【コラム】国会前での新表現「立憲主義」の虚構
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-174.html
2016/10/12投稿:
定義ネジ曲げ「立憲主義」(民進党の憲法観2)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-518.html
2016/11/27投稿:
定義捻じ曲げ「立憲主義」の笑止千万
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-551.html
2018/03/08投稿:
立憲民主党のいう「立憲主義」など単なる「護憲」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-876.html
(*2):立憲民主党の代表の枝野は以前から、日本人の命を軽視しており、民主党時代の2015年3月のホルムズ海峡封鎖危機の際に「日本人が餓死するまで何もするな」と言い、自衛隊派遣反対を述べているのである。
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※枝野は民主党代の2015年3月のホルムズ海峡封鎖危機の際に、「日本人が餓死するまで何もするな」との自衛隊派遣反対を述べている。
2015/03/04投稿:
【コラム】民主党・枝野の国会発言「日本人が餓死するまで何もするな」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-42.html
【ご参考】
2020/01/15投稿:
中東情勢・日本人のことなど何も考えていない枝野他特定野党(前編)
副題:中東各国の特性と中東情勢、我が国のエネルギー事情、そういう基礎的情報を踏まえた上での情勢認識が必要だ。脊髄反射の「自衛隊派遣ハンタ~イ」からは何も見えてこない。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1308.html
(*3);第1条と第2条が相反している問題
↓
2015/09/17投稿:
【コラム】現行憲法の矛盾・混乱1
第1条と第2条の論理的不整合について
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-212.html
(*4)第7条の誤植問題
↓
2015/10/09投稿:
【コラム】現行憲法の矛盾・混乱3
第7条と第46条の論理的不整合について
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-228.html
(*5):死条文になっている第11章の第100条から第103条が未だに存在しているり問題
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2017/05/18投稿:
憲法議論をはじめよう
副題:今の憲法には9条とか1条の他にも変な条文が沢山ある。それらを改廃することも「戦争になるぅ~」原因なのですか?
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-672.html
(*6):主権には3つあり、我々国民が持つ主権とは別の主権が存在しているのであるが、学校で教わるのは「国民主権」だけであり、なんでもかんでも「国民主権」との誤解をさせられているものである。詳しくは以前の論考をご一読いただきたい。
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<3つの主権概念>
主権1):国民及び領土を統治する主権。統治権
主権2):国家が他国からの干渉を受けずに独自の意思決定を行う主権。対外的国家主権
主権3):国家の政治を最終的に決定する権利。我が国は国民が投票権他で行使
※現行憲法でも主権1)は天皇にあり、現行憲法第6条規定による首相任命式により主権1)統治権の行使権の委譲が行われる。
その首相は、国民が主権3)を行使した選挙により選ばれる。
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2017/11/04投稿:
「皇居での首相任命式と閣僚認証式」憲法第6条・第7条
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-795.html
2015/10/10投稿:
【コラム】「皇居での認証式」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-229.html
(*7):なんでも、憲法の三原則に1つに「平和主義」があるそうだが、現行憲法を大人になってから真面目に読めば、それが「世界平和を日本から守る」という内容だと分かるもので、それは我々日本人からすれば、けして「平和主義」などというものではない。
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2017/05/19投稿:
憲法議論1・前文の「平和主義」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-673.html
【ご参考】
2015/11/20投稿:
「平和憲法」との偽看板
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-269.html
2019/01/29投稿:
改憲をしたくない人達が言う「平和主義」との欺瞞
副題:「世界平和を日本から守る」との現行憲法の「平和主義」。今や、我々日本人自身が我々の平和主義を憲法に書き込む時期にきている。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1100.html
(*8):安倍首相は2015年の戦後70周年談話
015年8月14日・安倍首相70周年談話
首相官邸HP 平成27年8月14日
見出し:◆内閣総理大臣談話
https://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/discource/20150814danwa.html
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2020/08/17投稿:
我が国の戦後75年の歩みの一切を切り捨てて、時が1945年に巻き戻る(後編)
副題:「戦後50年村山談話」との歴史歪曲。日本人悪玉論を取り戻し、維持したい立憲・枝野。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1411.html
(*9):知っての通り、立憲民主党はずっと憲法議論から逃げ続けてきており、「憲法議論をしない事での改憲阻止」との寝転がり戦法を他の特定野党とともに実践している。
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2018/07/02投稿:
「憲法議論をしないことでの改憲阻止」との愚劣
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-969.html
2018/02/27投稿:
相変わらずの寝転がり戦法・野党5党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-871.html
2018/08/06投稿:
2018年通常国会・憲法議論から逃げ回った立憲民主党他野党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-993.html
2018/09/23投稿:
「国会で憲法議論などするものか」と相変わらずの野党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1020.html
etc.
【ご参考】
2018/02/12投稿:
「国民主権・基本的人権・平和主義」の定義
副題:「彼らの言葉を乱してやろう。彼らが互いに相手の言葉を理解できなくなるように。」我々日本人の憲法議論を無効化する悪質なる定義すり替えの罠に嵌った老政治家の昔のお話。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-865.html
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