戦後間もない頃の自称「戦勝国民」の傍若無人な行為・議会議事録
終戦時の「朝鮮人」表現は現在の「関西人」表現と同じでしょPart2
副題:戦後間もない頃の自称「戦勝国民」の傍若無人な行為は史実であることを帝国議会議事録から論証する。
はじめに・不都合な史実を隠すための言葉狩り
前回論考「
終戦時の「朝鮮人」表現は現在の「関西人」表現と同じでしょ」で述べた様に、国名・地域名に「人」を付ける用法は一般的なものである。
また、同様、前回論考にて「石原が都知事時代に発言した「三国人=戦勝国でも敗戦国でもない第三国の人」に対して「三国人発言は差別だぁ~」との批判が偏向メディアから発せられたのと同じ話」とも記したが、三国人とは、戦勝国民でも敗戦国民でもない第三国の人という意味であり、当事者以外の第三者と同じ趣旨の語句である。
石原都知事が第三国人発言をしたのは今から20年前の2000年4月のことである。それと同様の事が2020年8月にも起こっているとの現象だ。
石原発言の当時、この事があたかも大問題であるかの様に「カタカナ表記「サヨク」」陣営は石原発言を攻撃し、御得意の「「国連報告者」を通じて「国連人権委員会」の場で「問題化」する手法」も動員して石原発言を攻撃した。(*1)
今回はNHK広島のツイッター企画にハフポスト日本語版の記者が噛み付いたものである。
要するに、「朝鮮人」「三国人」を言葉狩りの対象にしているという話なのである。
これらを言葉狩りの対象にしている理由は、推定するに、今回2020年の事例では「朝鮮人」との一般名称が、戦後間もない頃の自称「戦勝国民」の傍若無人な行いとワンセットで提示されている事が不都合だったからだと思われる。
また、2000年当時の石原発言の「三国人」は、その当時は殆ど使われなかったのだが、終戦後のある時期までは通常的に使用されており、その言葉と一緒に直結的に連想されるのが「自称「戦勝国民」の傍若無人な行い」だから、その事を思い出されることが不都合だったからだと推定される。
そういう不都合を「差別」との呪文で糊塗しての言葉狩りだと考えているものである。
不都合な史実を隠したい勢力がいる様だ
前回論考で、鳩山一郎が経験した列車での自称「戦勝国民」の傍若無人な行いの話を紹介した。
紹介する際に、勘違い・間違いを紹介してしまったら論としての信頼性を棄損するので、記憶内容の確認をしているのだが、ネット検索をした結果、「鳩山一郎の話がネトウヨに悪用されている」との文書が幾つか検索にヒットしたので、その事について述べておきたい。
それら検索結果を見た当方の感想は「こういう情報戦をやっぱしやっているんだ」である。
この様な感想を持ったのは、今から5年前に、渡部昇一先生が紹介する米国上院でのマッカーサー証言の先生の和訳「「したがって、日本人が戦争に入った目的は、主として自衛のためであった」を調べていたところ、この証言を紹介した渡部昇一先生をはじめ小堀圭一郎先生他を「インチキ学者」と称し「誤訳だ」とする個人ブログが多数ヒットした経験があったからだ。
都合の悪いことに偽看板を引っ付け否定する手法は反日「サヨク」の常套手段である。
仕方がないので、1951年5月の1951年5月3日 米上院軍事外交合同委員会ヒアリング議事録を英文原文で読み検証した。
その結果は、渡部昇一先生の和訳は妥当というもので、その事を以下の通り投稿してある。
↓
2015/09/03投稿:
【コラム】マッカーサー証言
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-201.html鳩山一郎の話に対して、マッカーサー証言と同様の「歴史のねじ曲げ」が行われている様だ。
昭和21年(1946年)帝国議会議事録のご紹介
戦後間もない時期に、自称「戦勝国民」の朝鮮人が列車で傍若無人な振る舞いを日本人に対して行っていたとの話のネット上でのソース提示の多くが鳩山一郎の話になっているのは、鳩山一郎が総理大臣を務めた人物であり、一般的に信頼性が高いと考えられるからである。
それ故に、ソースである「鳩山一応の回顧録」について、それを無効化する動きがあるものだと推察されるが、実際のところは、そういう戦後間もない頃の朝鮮人の傍若無人が史実として存在しているので、その事を記録したものは他に幾つもある。
その中で信頼性が高いと評価される衆議院の国会議事録を紹介する。
昭和21年8月時点の衆議院は現行憲法施行前なので、帝国議会議事録である。(*2)
当時の議事録は旧字体で記載されているので、そのままでは読みにくいと思うので、主要な部分を以下に現代語に訳して紹介する。
↓
<帝国議会議事録から抜粋引用・現代語訳>
ことに終戦の時まで日本に在住し日本人として暮らしていた台湾人・朝鮮人などが、終戦になった途端に、あたかも「戦勝国民」であるかの如き態度を取り・・・日本の秩序と法規を無視し、傍若無人の振舞をしている。・・・我々は残念ながら「敗戦国民」であり、(その主権を喪失している状態だが)終戦の瞬間まで同胞として共に我が国の秩序の下に生活しておた者が、豹変し・・・勝手に鉄道などに「專用車」などという貼紙を勝手に貼ったり、或いは日本人の乘客を蔑み脅迫し、見るも堪えない兇暴な振舞を以って悪逆非道なる行動をしているという事実には、まったく驚くものである。
<抜粋引用現代語訳終わり>
要点ポイントだけを現代語に訳したが、【文末脚注の(*2)】に議事録の原文を紹介してあるので、詳しくは、そちらをお読みいただきたい。
この様に、日本人乗客に対して、今なら即時逮捕される事を自称「戦勝国民」がやっていたのは、紛れもない史実なのである。
大臣答弁で「第三国人」を使用している事実が記録されている
上記で紹介した質問に対して、吉田茂内閣の大村清一内務大臣は「第三国人」との語句を用いて答弁している。
その部分を以下に抜粋引用する。
↓
<帝国議会議事録から抜粋引用・現代語訳>
次に第三国人によりました、或いは、闇市に於ける各種の好ましからざる行為がしばしば行はれていること、或いは、列車の中に於ける暴力行為、不正乗車等見るに忍びない行為につきましては、多くの国民が不快と考えています。・・・幸にして列車の暴力行為につきましては、たび重なる厳重なる取締によって、逐次改善をしていますが、この点につきましたは、更に鉄道警察力の整備という様なこともしており、列車内に於ける暴力行為はこれを根絶する所まで取締を強化する決心であります。
<抜粋引用現代語訳終わり>
内務大臣の答弁では、この様に「第三国人」を使用している。
他にも複数箇所で「第三国人」を大臣は使用している。
質問者は、列車で傍若無人な行為をしている集団を「台湾人・朝鮮人など」と表現しているが、戦争当事者以外の第三国人は台湾人・朝鮮人だけではないので、政府側は、正確に第三者たる「第三国人」との語句を使用しているものである。
石原は1932年〈昭和7年〉9月30日生まれなので、この帝国議会が開かれている時点で13歳である。前回紹介したNHKの朝鮮人ツイートの主人公の中学生とほぼ同年代である。
話を列車での傍若無人な行為に戻すが、この様に大臣答弁でも、第三国人による非道が史実であることが分かると思う。
こういう事を書くと「台湾人がやっていたんだぁ~」との脊髄反射をする人がいるが、1946年のGHQの調査では、日本に在住する台湾人(中華民国人を称する人を含む)は約3万人に対して、朝鮮人はその20倍以上の64万7千人であることから、そういう思い付きでの根拠lessな言い返しは意味をなさない事を知るべきであろう。
実際、終戦時を知る多くの人々の認識は、三国人≒朝鮮人であった。
密航・コレラ・闇市・税金逃れ
今回は列車内の傍若無人な行為に焦点を絞ったのだが、帝国議会議事録には三国人が引き起こす戦後間もない頃の社会問題には、それ以外に、密航、密航者が持ち込むコレラ、闇市、税金逃れ等が答弁されている。
密航に関しては、以前の論考にて多少述べている(*3)ので、興味があれば、それご一読いただきたい。
今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1):石原発言の当時、この事があたかも大問題であるかの様に「カタカナ表記「サヨク」」陣営は石原発言を攻撃し、御得意の「「国連報告者」を通じて「国連人権委員会」の場で「問題化」する手法」も動員して石原発言を攻撃した。
↓
<Wikiより抜粋引用・*2020年8月24日アクセス>
第三国人
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%B8%89%E5%9B%BD%E4%BA%BA<引用開始>
石原の発言は、2005年11月の人権問題討論国連総会第3委員会で「東京都知事の外国人差別的演説」として取り上げられ、国連人権委員会人種差別問題特別報告者ドゥドゥ・ディエン (Doudou Diène) によって「日本の当局がよりはっきりした態度を打ち出すなど、人種差別と戦う政治的な意思が求められる」と指摘を受けた。しかし、これに対し国連人権委員会及びドゥドゥ・ディエンの政治的中立性には疑問が向けられている。
<引用終わり>
(*2):戦後間もない頃の朝鮮人の傍若無人が史実として存在しているので、その事を記録したものは他に幾つもある。その中で信頼性が高いと評価される衆議院の国会議事録を紹介する。昭和21年8月時点の衆議院は現行憲法施行前なので、帝国議会議事録である。
↓
第90回帝国議会 衆議院 本会議 第30号 昭和21年8月17日
https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/#/detail?minId=009013242X03019460817¤t=1<抜粋引用開始>
密航取締竝に治安維持に關する緊急質問(椎熊三郎君提出)
●〔椎熊三郎君登壇〕
○椎熊三郎君:諸君、私は茲に日本領域内に於ける最近の新たなる事態に對して、治安維持の處置に付て政府の所信を質さんとするものでございます
○惟ふに過去に於ける日本の警察行政、治安維持の状況に付きましては、彼此れ非難される所もございましたが、特高警察の如きを除きましては、概ね一般警察官の綱紀は嚴守せられ、特に治安警察の實績を相當擧げて來ましたことは、何人も認める所であらうと存じます、然るに終戰後日本の警察の状況は如何でございませうか、洵に思ひ半ばに過ぐるものがあると思ふのであります、勿論敗戰の「シヨック」を受けて、日本人は一樣に虚脱の状態にあつたことは無理からぬことではございまするが、現下の警察力は餘りにも無力である、此の無力なる状態は一體何と云ふことか、警察の民主化とは警察の無力化ではない(拍手)
○
殊に終戰當時まで日本に在住し、日本人として生活して居つた臺灣人、朝鮮人、是等が終戰と同時に、恰も戰勝國民の如き態度をなし、其の特殊なる地位、立場を惡用して、我が日本の秩序と法規を無視し、傍若無人の振舞を敢てなし來つたことは、實に我等の默視する能はざる所であります(拍手)○曩に本議場に於て治安維持に關する緊急質問がありまして、政府當局は之に對して斷乎たる決意を示されたのであります、最近に至りましては一たび歸國したる彼等、特に朝鮮人の如きは、更に集團的に或る種の組織力を以て、再び日本に密航潛入せんとする者が、日を逐うて其の數を増加し、九州、山陰方面に於きましては、其の數實に數萬に及ぶと聞き及んで居るのであります、
而も彼等は日本警察力の微弱に乘じて、兇器を携へ、徒黨を組み、驚くべき兇惡性を發揮して、當該住民の生活を脅かすこと實に言語に絶するものがあると聞いて居ります(拍手)○而も尚ほ恐るべきは是のみに止まりませぬ、彼等の中には「コレラ」、「チフス」、赤痢等の保菌者が多數あつて、是が内地に傳播されて、今や内地に於きましては各所に夥しき罹病者を出して居る事實があります、政府は此の状況を何と見らるるのか、而して此の状況に對して如何なる處置を執られて居るのでございませうか、此の際此の實情を詳細に承り、併せて政府の所信を質したいのであります
○次に今尚ほ内地にあつて外國人たる特殊の地位を惡用し、警察力の無力化に乘じて、凡ゆる不法を敢てする多數の者のあることは、既に諸君も御承知でございませう、
我々は遺憾ながら敗戰國民ではありまするが、終戰の瞬間まで同胞として、共に此の國の秩序の下に生活して居つた者が、直ちに變つて恰も戰勝國民の如く、而も勝手に鐵道などに專用車などと云ふ貼紙を附したり、或は他の日本人の乘客を輕蔑壓迫し、見るに堪へざる兇暴なる振舞を以て凡ゆる惡虐行動に出でて居ると云ふ事實は、全く驚くべきものがございます(拍手)○諸君、此の朝鮮人、臺灣人等の最近までの見るに堪へざる此の行動は、敗戰の苦しみに喘ぎ來つた我等に取りましては、正に全身の血液が逆流するの感情を持つのであります(拍手)
○而して彼等は其の特殊な立場に依つて、警察力の及ばざる點あるを利用して闇取引をなし、日本の闇取引の根源は正に今日の此の不逞なる朝鮮人などが中心になつて居ると云ふことは、今日の日本の商業取引、社會生活の上に及ぼす影響は驚くべきものがあるのであります、或は禁制品を大道に於て密賣し、或は露店を占據して、警察力を侮辱しつつ白晝公然と取引をなしつつあるが如きは、斷じて私共は無視することは出來ませぬ(拍手)
○而も彼等は外國人たるの立場に依つて、營業は悉く無税でございます、諸君、内務大臣は、殊に朝鮮人等の營業許可に對しては、日本人よりも便宜を與へて居るが如き感を呈せられる今までの状況を何と見るか、而も此の無税をなぜ取締らぬのか、さうして取締る意思があるのか、取締るとしても、「ポツダム」宣言受諾の日本が、之に裁判權を加へるの力ありや否や、此の問題に付ては政府の責任ある御答辯を御願ひしたい(拍手)
○若し此の問題を此の儘にして放置するならば、正に南方方面に於ける所の華僑の勢力の如く、日本の中小商業權と云ふものは恐らく彼等の手に掌握せらるるのではないかと云ふ憂ひさへある(拍手)
○今や五百億を超える日本の新圓の其の三分の一は、恐らく彼等の手に握られて居るのではないかと云ふ噂さへあるのでございます、若し夫れ此の噂にして眞實ならば、日本の微弱なる商業者は、無税にして外國人たる立場を以てなす所の此の朝鮮人、臺灣人の行動には、商取引としては敵はない、現に神戸、大阪の如きは、既に露店商人、飮食店は悉く臺灣人、朝鮮人に依つて掌握されて居ると云ふ此の事實を内務當局は何と見られますか、諸君、今にして政府は儼然たる態度を示すにあらずんば、洵に由々しき問題が惹起するであらうことを私は惧れます(拍手)
○政府は之に對して如何なる處置をなさんとするのでありますか、明確なる御答辯を要求致します
○惟ふに治安の確保は、現状の如き警察力を以てしては非常に困難でございませう、併し如何に困難なりと雖も、目下の状況を此の儘放置すると云ふことは絶對に許されませぬ、政府は現在の警察力の状況を明かにし、之に對する所信を明示せられんことを望みます、政府は最近治安關係閣僚の懇談會なるものを開いたと云ふことを承つて居ります、其の結論は如何なるものでございましたでせうか、治安維持の第一線に立つ者、即ち警察官の待遇改善の如きは、固より即決すべきであつて當然でございませう、關係閣僚の之に對する御意見も承りたい、今日社會不安の眞つ只中にあつて日夜治安の維持に挺身されつつある者の生命と生活は、國家的に絶對に保障せられねばなら と私は信じます(拍手)
○而して民主化されたる我が國の警察官は、先づ第一に教養を高め、常識を養ひ、眞に國民の公僕たるの範を示すべきであらうと私は存じます、隨て民主化されたる警察官は、人權を尊重し、科學的方法に依り、或は機械力に依り、より能率的にして文化的なる警察力の發展を希望して已まぬものでございます
○以上聊か私見を申述べまして、最近に於ける特殊の事態、即ち朝鮮人の密航問題、病毒の傳播、闇取引の取締、租税問題等詳細なる説明を伺ひ、而して政府の所信を此の席上に於て明確に御述べあらんことを私は希望致します、即ち政府は此の際率直に事態を闡明し、我々國民の安心するに足る御答辯あらんことを希望致しまして降壇する次第であります(拍手)
●〔國務大臣大村清一君登壇〕(※内務大臣)
○國務大臣(大村清一君):只今椎熊君より我が國の治安状態の現状に鑑みまして、熱誠なる、又痛烈なる緊急質問がございまして、其の御述べになりましたことに對しましては、政府殊に治安の責任者と致しまして深く同感の意を表するものであります
○御述べになりました如く、昨年終戰後の國内の變動期に際しまして、警察も確かに所謂虚脱状態に陷りまして、十分其の機能を發揮し得なかつたことのありましたことは、洵に遺憾でありますが之を否認する譯には參らなかつたと思ふのであります、併し其の後漸次警察力を囘復致しまして、段々軌道に乘つて參り、近時の警察對象は中々生命の危險も度々あると云ふことでございますが、全警察官は敢然として危急に赴くと云ふ精神力を囘復致しまして、一意奉公の誠を效すと云ふことになりつつありますことは、聊か意を強うするに足ることと信じて居る次第であります
○各方面に亙りまして御質疑があつたのでありますが、先づ密入國の問題に付きまして御報告を致し、政府の決意を申述べたいと思ひます、最近西日本の鳥取、島根、山口、福岡、佐賀、長崎の各縣沿岸に亙りまして、終戰後歸鮮致しました者等の中で、密かに機帆船等に便乘致しまして、分散的に若しくは集團的に本邦内に潛入を企てる者が少くないのであります、本年四月には其の數五百餘人でありましたものが、五月、六月と漸増致しまして、七月に至りましては實に八千九百餘人に及ぶと云ふ有樣であります、關係地方官民の努力に依リ、凡そ其の八割は檢擧致して居りますが、其の二割は逃走を致して居ると云ふ状況であります、尚ほ他に密かに潛入を致し、統計の數字に上らぬ者もある見込でありまして、それ等の者は本邦各地に分散して、不堅實なる闇の生活を營み、治安攪亂の禍因となる虞が多大であります、加之是等密航朝鮮人の中には、「コレラ」を持つて入つて來ると云ふ危險が昨今頗る大きいのでありまして、現に發見致しましたものだけでも、六月以降に於きまして眞性「コレラ」が五十人、疑似其の他のものが十人、合計六十人と云ふ状況でありまして、保健衞生上より見ましても、國民に多大の脅威を與へて居る次第であります、斯樣に朝鮮人の密入國の問題は洵に困つた憂慮すべき大問題であり、而も一刻も放置することを許されぬ事柄でありますので、現地の警察當局は、警防團員竝に其の他一般民衆の協力も得まして、極力其の發見檢擧に努めて居る次第でありますが、必ずしもそれが完全に行つて居るとは申上げられない實情であります、故に其の根本對策と致しまして、政府は各省相協力致しまして、水上警察の擴充、海上哨戒の整備、密航者取締法令の確立等速急に必要なる諸方策をも講じまして、本問題を憂慮せられる各位竝に國民の期待に副ふやう誓つて努力を致し、遺憾なきを期する決心であります
○次
に第三國人に依りまして、或は闇市場に於ける各種の好ましからざる行爲が頻々として行はれて居ること、或は
列車の中に於ける暴状、不正乘車、是等見るに忍びざる行爲に付きましては、國民齊しく不快とせられ、又是が我が國の治安を攪亂する一つの重大な要素であると云ふ點に於きまして、多大の憂慮を寄せられて居りますことは、私共洵に恐縮に存じて居る所であります、幸ひにして
列車の暴状に付きましても、數次の嚴重なる取締に依りまして、逐次改善を致して居ることは明かであります、此の點に付きましては更に鐵道警察力の整備と云ふやうなことも致しまして、列車内に於ける暴状は斷然之を根絶すると云ふ所まで、取締を強化する決心で居ります○尚又露店の暴状に付きましては、豫て相當の取締は致して居つたのでありますが、八月一日を期しまして斷乎たる取締をすると云ふ方針を確立致しまして、東京、大阪其の他の大都市を初め、逐次地方に亙るまで取締の徹底を期して居りますが、其の實績は幸ひにして豫期以上の效果を收めて居ると申上げて毫も差支ないと思ふのであります、今後一層取締を嚴にし──又一面に於きましては所謂青空市場のなくなりました爲に、一般民衆に與ふる不便を救ふ、乃至は戰災者、歸還者其の他洵に氣の毒な人々が、青空市場に於て生計を立てて居ると云ふことも少くないのであります、是等の人々に對しましても適切なる方途を講じまして、闇市場と云ふやうな不法な商賣でなく、正業に依りまして生計を立てる、又一般民衆も闇市場に依らずして、公正なる市場から需要品を容易に買ひ得ると云ふ所に目標を置きまして、各省協力致し、それ等の施策と相俟ちまして、闇取引の根絶を期することに邁進する決心で居ります
○尚ほ
第三國人の課税問題、又取締の徹底問題に付きましては、今日只今の所に於きましては、裁判管轄の點に於きまして結論に達して居ない點がありますが、此の點に付きましては目下政府に於きまして極力解決に努力を致して居ります、速かに是が解決を致しまして、
第三國人は我が國民と同等の機會に惠まれまして、公正なる營業取引を致すことにすることが絶對的に必要でありますので、政府と致しましては、此の點に付きまして深甚の考慮と遺憾なき努力を致しまして、國民の御期待に副ふやうに努める決心であります
○尚ほ今日の警察力は、其の對象と致して居りまする警察事故と對比致しまして、必ずしも十分でないと云ふやうな感はない譯ではございませぬが、併し日本の治安の維持は、今日に於きましては日本警察の雙肩に懸つて居ることは申すまでもないことでありまして、全警察力を動員致しまして、彼等の國民に對する忠誠心に俟ちまして、凡ゆる努力を致しまして、國民の御期待に副ふ如く極力努める積りで居ります
○尚又我が國の治安問題は日本政府の責任でございまして、進駐軍の關せられる所ではないのでありまするが、進駐軍に於きましても、我が國の治安の紊れますことは、其の進駐軍の安全にも關する點に於きまして、共通の利害がある所であります故に、進駐軍に於かれましては、常に陰に隱れて適切なる勸告と注意と支援とを與へられて居るのでありまして、此の點に付きましては私共常々衷心より感謝を致して居る所であります、是等の點から考慮致しまして、必ずしも十分ならずと云ふ感なきにあらずでありますが、併し私の信ずる所に依りますれば、現下の約九萬の警察力に依りまして、日本の治安は逐次改善をされまして、國民の御期待に副ふだけのものに打立てることが出來ると云ふ深き確信を持つて居る次第であります
○尚ほ此の席に於きまして警察官の苦心と努力に付て御同情を賜はりましたことに付きましては、深甚の謝意を表する次第であります(拍手)
●〔國務大臣河合良成君登壇〕(※厚生大臣)
○國務大臣(河合良成君):只今の椎熊君の御質問に御答へ致します、朝鮮からの密航者の持つて參りまする病毒は、「チフス」、赤痢等も多少ありますけれども、問題の中心は「コレラ」なんであります、それで上海からの復員の時に浦賀へ來ました「コレラ」の病毒に付きましては、是はもう全防疫員の獻身的努力に依りまして、御承知の通りに全く終熄致しました、聯合國側の視察者からも特別な賞辭を贈られて居るやうなことであります、所が今度は南鮮に非常に「コレラ」が猖獗して居ります、それで只今までの結果に依りますと、病毒の齎された件數が五十九件、患者數が二百九十五名であります、是は浦賀の場合と違ひまして、中々密航者が捕まらない、直接上陸して參るやうな人員が多いので、非常に防疫に骨が折れる實情であります、それで密航者を捕へたものは、舞鶴、仙崎、佐世保の三檢疫所へ持つて行つて直ちに檢疫致しますし、又上陸した密航者は、其の發見地附近に留置場を作りまして、其處で檢疫致して居る次第でありまして、全防疫陣を擧げて涙ぐましい獻身的努力を致して居る次第であります、併し問題は上陸者の範圍が廣汎に亙りますので、非常に骨が折れるのであります、それで唯今後は船艇を増加し、さうして取締を嚴にしまして、勿論警察力と力を協せまして完全なる防疫をやりたい、殊に一般の水上警察等に付ては舟艇等の相當の取締を──大きな船など造れぬのでありますが、防疫の方面からどうしても「コレラ」が上陸しては堪らぬのでありますから、之をやると云ふことには相當力を入れてやると云ふ確信を持つて居ります、此の面に於て今計畫をして居る最中であります、左樣御承知を願ひます(拍手)
<以下略>
(*3):密航に関しては、以前の論考にて多少述べているので、興味があれば、それご一読いただきたい。
↓
済州島4.3事件、朝鮮戦争勃発等々での自国民大量虐殺の恐怖
2016/06/08投稿:
続々・歴史年表・戦後史部分の概観
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-430.html2017/01/27投稿:
妖怪3
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-591.html2019/08/04投稿:
昭和37年6月外務省資料・在日朝鮮人の北朝鮮帰還問題
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1233.html【参考書籍】
※「赤旗」平壌特派員だった萩原遼氏の著作「北朝鮮に消えた友と私の物語」
文春文庫 北朝鮮に消えた友と私の物語
萩原遼【著】 文藝春秋(2001/05発売)
ISBN: 9784167260064
※書籍内容説明他は紀伊国屋BookWebより抜粋引用
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784167260064<内容説明>
1972年「赤旗」平壌特派員となった私は、大阪の定時制高校で席を並べた親友の尹元一を訪ねた。友は「地上の楽園」で幸せに暮らしているはずだった―。帰国運動の悲劇を描き満票で第30回大宅壮一ノンフィクション賞に輝いた記念碑的名作。
<目次>
第1部 大阪篇(密航少年との出会い;おまえはなんで大阪にきたんや? ほか)
第2部 済州島篇(緑の島;洞窟の死闘 ほか)
第3部 ピョンヤン篇(あこがれのピョンヤン;最初のショック ほか)
第4部 ワシントン・東京篇(「赤旗」退職;ソ連に占領された北朝鮮 ほか)
<第30回大宅壮一ノンフィクション賞を満票で受賞・引用終わり>
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