会期末首相会見1・改憲編(危機を危機のまま放置するのが「護憲」)
副題:何もせずに、危機を危機のまま放置するのが「護憲」という偽りのスローガン。我々国民は自分達の為にも「護憲」の危険性を再認識すべき。
毎年1月から150日間の会期で開催される通常国会が閉会した。そして、先般6月18日に安倍首相は閉会に際しての記者会見を行った。(*1)
今年は開会直後から、武漢発祥の新型コロナウイルス感染症の感染拡大、クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の横浜港寄港などで騒然とした。そして現在、4月に改正特措法に基づき発せられた緊急事態宣言は解除され我国では終息ムードであるが、世界では感染拡大が続いている状態である。
そういう状況下で通常国会が閉会したので、会見冒頭の安倍首相発言の多くは新型コロナウイルス対策・緊急経済対策によって占められていた。
今回、首相会見に注目したのは、首相発言の構成が本ブログで指摘し続けてきた、憲法・緊急事態条項の必要性を述べるものであったからだ。
これは、実は当たり前の事で、我国現行憲法の最大の問題点のうちの1つが緊急事態条項の欠落だからだ。
同一事象に対して同一見解となることは偶然ではなく、必然なのである。
本論考は、その記者会見から、改憲部分と防衛関係にスポットを当て論考するものであるが、今回は改憲必要性に関する部分に関して述べる。
それでは、以下に首相発言の当該部分を抜粋引用する。
↓
<抜粋引用開始>
○(前略)パンデミックの脅威は、かねてから指摘されてきたことです。
しかし、我が国の備えは十分であったとは言えません。
テレワークなどの重要性も長年指摘されながら、全く進んでこなかった。
そのことは事実であります。
治に居て乱を忘れず。今回の感染症の危機によって示された、最大の教訓ではないでしょうか。
○自民党は憲法改正に向けて、緊急事態条項を含む4つの項目について、既に改正条文のたたき台をお示ししています。
緊急事態への備えとして、我が党の案に様々な御意見があることも承知しています。
各党、各会派の皆さんの御意見を伺いながら進化させていきたい。
建設的な議論や協議を自民党は歓迎します。
○しかし、国会の憲法審査会における条文案をめぐる議論は、残念ながら今国会においても全く進みませんでした。
今、目の前にある課題を決して先送りすることなく解決していく。
これは私たち政治家の責任です。(後略)
<引用終わり>
如何であろう? 短い文章だが、的確にポイントを言い表していると思う。
「パンデミックの脅威は、かねてから指摘されてきたことです。しかし、我が国の備えは十分であったとは言えません。」
これは、反日特定野党の枝野や福島が言う「憲法に緊急事態条項は必要ない。既存の下位法で充分に対応可能だ。」(*2)との虚偽が、今回明確となったからである。
検疫法も感染症法も結局は感染症拡大を防止する施策を実行するには法的に未整備であり、徹底した対処が出来なかった。
今回の新型コロナウイルス感染症で言えば、感染症法に基づく対処をするには同法の「指定感染症」への指定が必要なので、異例の早さでその指定をしたのだが、施行は、結局は2月1日となり、武漢から退避する日本人を乗せたチャーター機第一便の羽田到着の1月29日朝には間に合わなかった。(*3)
その為、武漢からのチャーター便の乗客に対して検査の強制や隔離の強制が出来ず、乗客2名は検査拒否をし、そのまま帰宅する事を止めることが出来なかったのである。
その後、横浜の大黒埠頭に寄港したクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の乗員・乗客隔離、早期の学校休校措置等の出来うる限りの感染症拡大防止策を講じたのだが、それでも不十分であり、特措法(新型インフルエンザ等対策特別措置法)の改正をする必要があった。
要するに、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大事態は、既存法では想定外の事態であり、対処する根拠法が存在していなかった訳である。
改正特措法は国会審議・採決を経て3月13日付で公布、翌14日に施行された。
武漢からの帰国チャーター便の到着から数えて約1ヶ月半の日数を要したのである。
改正特措法に基づき、緊急事態宣言が宣言されたのは4月7日のことである。
その後、我国に於いては感染拡大を防止げたことから、緊急事態宣言の終息宣言が5月25日に出された。現状では、予断は許されないが、どうにか二次ピークの発生には至らない状態となっている。
また厚労省HPの最新情報では死者数は1千人未満であり、この数カ月間の対感染症対策は成功裏に推移したと言ってよい。
しかし、「治に居て乱を忘れず」である。
リスクマネジメント視点では
、「Lesson and Learn」目的の為にリアルタイムでの問題点の記録をしておき、その分析・検討を行い、その教訓に基づき、改善を実施するのが常道 なのである。(*4)
安倍首相はそういう常道に基づき、既存下位法では今回の様な想定外の緊急事態に対応できなかった事実を示し、憲法・緊急事態条項の必要性を述べているのである。
憲法・緊急事態条項の必要性は以前から複数の論考にて論証している(*5)のだが、その様な現行憲法の問題点は、所謂「護憲派」により隠されてきた。
安倍首相は、自身が総理になって以降に自民党改憲草案のうちから4つの重点項目を選定し(*6)、それを掲げ改憲方針を述べてきた。
「4つの重点項目」とは、以下の4点であり、その中には緊急事態条項が含まれているのである。
↓
①安全保障に係る「自衛隊」
②「緊急事態条項」
③一票の格差と地域の民意反映が問われる「合区解消・地方公共団体」
④「教育充実」
しかしながら、所謂「護憲派」=特定野党は「憲法議論をしないことでの改憲阻止」との寝転がり戦法(*7)で憲法議論から逃げてきたのである。「国会での議論」を忌避する特定野党の姿勢は代議制民主主義の原則を破壊する行為であり、実に無責任な態度なのである。
新型コロナウイルス感染症への対応で言えば、特定野党は国民の安全・安心など脇に置き、当初は感染症対策など無関心で「モリ・カケ・サクラ」の審議時間の大半を費やした。
感染症危機が増大すると、それを利用しての倒閣運動・安倍下ろしばかりをしており、終息に至った現在までの間、何等国民の為になる現実的な政策を示していない。
そんな奴等が言っていることが「護憲」なのである。
何も前進せずに、危機を危機のまま放置するのが「護憲」だという事だ。
今回は以上である。
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(*1):毎年1月から150日間の会期で開催される通常国会が閉会した。そして、先般6月18日に安倍首相は閉会に際しての記者会見を行った。
↓
首相官邸HP 令和2年6月18日
安倍内閣総理大臣記者会見
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0618kaiken.html 【安倍総理冒頭発言】
○(前略)パンデミックの脅威は、かねてから指摘されてきたことです。しかし、我が国の備えは十分であったとは言えません。テレワークなどの重要性も長年指摘されながら、全く進んでこなかった。そのことは事実であります。治に居て乱を忘れず。今回の感染症の危機によって示された、最大の教訓ではないでしょうか。
○自民党は憲法改正に向けて、緊急事態条項を含む4つの項目について、既に改正条文のたたき台をお示ししています。緊急事態への備えとして、我が党の案に様々な御意見があることも承知しています。各党、各会派の皆さんの御意見を伺いながら進化させていきたい。建設的な議論や協議を自民党は歓迎します。
○しかし、国会の憲法審査会における条文案をめぐる議論は、残念ながら今国会においても全く進みませんでした。今、目の前にある課題を決して先送りすることなく解決していく。これは私たち政治家の責任です。
○今週、イージス・アショアについて、配備のプロセスを停止する決定をいたしました。地元の皆様に御説明していた前提が違っていた以上、このまま進めるわけにはいかない。そう判断いたしました。
○他方、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している。その現状には全く変わりはありません。朝鮮半島では今、緊迫の度が高まっています。弾道ミサイルの脅威から国民の命と平和な暮らしを守り抜いていく。これは政府の最も重い責任であります。我が国の防衛に空白を生むことはあってはなりません。平和は人から与えられるものではなく、我々自身の手で勝ち取るものであります。安全保障政策の根幹は、我が国自身の努力にほかなりません。抑止力、対処力を強化するために何をすべきか。日本を守り抜いていくために、我々は何をなすべきか。安全保障戦略のありようについて、この夏、国家安全保障会議で徹底的に議論し、新しい方向性をしっかりと打ち出し、速やかに実行に移していきたい。そう考えています。
○私からは以上であります。
<引用終わり>
(*2):反日特定野党の枝野や福島が言う「憲法に緊急事態条項は必要ない。既存の下位法で充分に対応可能だ。」との虚偽が、今回明確となった
↓
2020/02/03投稿:
枝野の根拠提示なき緊急事態条項批判
副題:緊急事態条項を憲法に書くことは必要。国会に緊急事態の延長・終了権限を憲法で与えることでの三権分立の相互牽制作用が要件だ。そういう事に一切言及しない枝野の不見識。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1319.html 2020/03/20投稿:
新型コロナウイルス感染症・国民の安全を脇に置く人々(ミズポ編2 Part1)
副題:福島瑞穂がツィートで紹介した4年前のブログ。現行憲法にない緊急事態条項に悪魔化レッテルを貼る人達の「論」の中身を検証する。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1339.html 【ご参考】
2017/07/14投稿:
テレビのデマが流通している事例
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-711.html 2017/06/22投稿:
緊急事態条項に関する考察・要件提示
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-700.html (*3):今回の新型コロナウイルス感染症で言えば、感染症法に基づく対処をするには同法の「指定感染症」への指定が必要なので、異例の早さでその指定をしたのだが、施行は、結局は2月1日となり、武漢から退避する日本人を乗せたチャーター機第一便の羽田到着の1月29日朝には間に合わなかった。
↓
2020/02/01投稿:
緊急事態条項がない我が国での精一杯の対応
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1318.html (*4):リスクマネジメント視点では、「Lesson and Learn」目的の為にリアルタイムでの問題点の記録をしておき、その分析・検討を行い、その教訓に基づき、改善を実施するのが常道なのである。
↓
タグ「
新型コロナウイルス感染症 」の一連の投稿はリスクマネジメント視点での「Lesson and Learn」目的の為の記録である。リアルタイムで問題点の記録をしておき教訓とすべき
2020/02/05投稿:
リストマネジメント・感染症法の本末転倒文言「最小限度」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1320.html (*5):憲法に緊急事態条項を具備する必要性に関しては以前から複数の論考にて論証している。
<我国は憲法に緊急事態条項がないとの特殊な状態>
2020/05/03投稿:
憲法記念日2020
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1363.html ↓
2016/07/22投稿:
緊急事態条項の必要性1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-462.html 2016/07/23投稿:
緊急事態条項の必要性2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-463.html 2016/07/25投稿:
緊急事態条項の必要性3
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-465.html (*6):安倍首相は、自身が総理になって以降に自民党改憲草案のうちから4つの重点項目を選定し、それを掲げ改憲方針を述べてきた。
<「4つの重点項目」とは、自民党憲法改正推進本部での議論を通じて2017年12月20日付「中間報告」で公表された4点のことである。>
2018/02/01投稿:
9条・自民党改憲推進本部報告
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-856.html 2018/02/03投稿:
緊急事態条項・自民党改憲推進本部報告
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-858.html 2018/02/06投稿:
一票の格差・合区・自民党改憲推進本部報告
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-860.html 2018/02/08投稿:
教育充実・自民党改憲推進本部報告
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-862.html 【ご参考】
2020/01/08投稿:
憲法改正のポスター
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1306.html (*7):所謂「護憲派」=特定野党は「憲法議論をしないことでの改憲阻止」との寝転がり戦法で憲法議論から逃げてきたのである。
2018/07/02投稿:
「憲法議論をしないことでの改憲阻止」との愚劣
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-969.html 2018/02/27投稿:
相変わらずの寝転がり戦法・野党5党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-871.html 2018/08/06投稿:
2018年通常国会・憲法議論から逃げ回った立憲民主党他野党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-993.html 2018/09/23投稿:
「国会で憲法議論などするものか」と相変わらずの野党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1020.html etc.
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