認知バイアス・「韓国G7入り」との韓国大統領府報道官の過剰反応
- 2020/06/07
- 01:22
認知バイアス・「韓国G7入り」との韓国大統領府報道官の過剰反応

副題:ヘゲモニーチャレンジャー中国への対策を国際的に拡大したいトランプと、それを阻止したい中国。そういう構図の中で出てきたトランプの一言に過剰反応している韓国。
韓国紙・中央日報日本語版HPに6月3日付で掲載された韓国経済新聞の記事(*1)の見出しは「◆韓経:韓国大統領府「G7に韓国招待…世界のリーダー国家の正式メンバーになること」」である。
常識ある人が見出しを読めば、それが典型的な認知バイアスによる誤解であることが分かると思うが、同記事には以下の様に韓国大統領府の報道官が「G7招待」に関連して語ったことが記載されている。
↓
<記事中の発言部分を抜粋引用>
・「韓国が世界を導くリーダー国家の中の一つになることを意味する」
・「予定通りに今年中に米国を訪問してG11、またはG12に参加することになれば韓国は新しい国際体制の正式メンバーになるだろう」
・「G7のオブザーバーなどで一回だけの参加ではない」
・「G11、またはG12の正式メンバーになれば韓国の国の品格上昇と国益に多いに役に立つだろう」
<引用終わり>
言っていることは「韓国が世界のリーダー国の国家グループの正式メンバーになる!誇らしい!」だけである。
この中央日報日本語版HPの韓国経済新聞記事の日付は6月3日であるが、トランプ大統領のG7とG7招待国及び対中国拡大会議に関しての発言記事は6月1日付の読売新聞他(*2)で既に報道されているものである。
韓国紙の記事は、それらの事象に対しての韓国大統領府報道官の反応を報じているものである。
以下に韓国大統領府報道官の言っている事は認知バイアスによる誤解であることの種明かしを以下にするので、お読みいただきたい。
先ず、G7サミットは、毎年5月下旬から6月上旬の開催されてきたもので(*3)、今年2020年のG7サミットはアメリカがホスト国で当初は6月に開催を予定していたものだ。
しかしながら、武漢発祥の新型コロナウイルス感染症の感染拡大は未だに続いており、対面での開催を呼び掛けていたトランプに対してドイツ・メルケル首相が対面での開催の場合は欠席する旨を表明したものだ。
G7サミット開催の際は、幾つかの国または国際機関が招待国として招待されることが恒例となっており(*4)、今回のアメリカG7に関してトランプはロシアとインド、オーストラリア、韓国の4ヶ国の名前を挙げているものだ。
招待国は、その時々の議題や世界状況に合わせてホスト国が選定しているものである。
2016年5月下旬に日本で開催されたG7伊勢志摩サミットの時の招待国は、以下の様な国々と国際機関であった。
↓
チャド,インドネシア,スリランカ,バングラデシュ,パプアニューギニア,ベトナム,ラオス,国際連合(UN),国際通貨基金(IMF),世界銀行(WB),経済協力開発機構(OECD),アジア開発銀行(ADB)
アジアで開催されるG7なので、アジア諸国が多数招待されているものだ。
欧州で開催される場合はアフリカ諸国が多くなったり、北米カナダで開催された時には南米諸国が多くなったりする。
因みに、2016年G7伊勢志摩サミット開催の際に、韓国を招待国とする予定だったのだが、当時の韓国大統領・朴槿恵は「エチオピア、ウガンダ、ケニア、フランス訪問」を理由に招待を受けなかったとの経緯がある。
今回2020年のアメリカG7に関しては、ヘゲモニーチャレンジをしている中国(*5)に対抗する事を主要な議題にしたいとトランプは考えており、中国包囲網として4ヶ国を招待国にしているものだ。
インドとオーストラリアは、トランプ・安倍で基本的合意がなされているインド太平洋戦略・ダイヤモンドセキュリティー構想(日米印豪)の日米以外の2ヶ国である。
そして、中国が包囲網を敷かれた時に、その突破口として協力を求める国がロシアと韓国であり、そうならない様にトランプが先手を打っているものだと推察される。
要するに、トランプは今回予定されていたG7サミットでG7諸国と招待国4ヶ国で中国包囲網を打ち立てたかったのだが、ドイツ・メルケル首相の欠席表明で、その目論見が外れたものだと理解すればよい。
現状、中国の横暴の典型例として注目が集まっているのが、イギリスからの返還時に約束された香港の自治がなし崩しになっており、とうとう一国二制度を根本的に破壊する中国大陸での法令を香港に適用するとの策に出ており、そのあからさまな覇権主義を隠さなくなっている。
これは中国による香港侵略であるのだが、いくら中国包囲網と言っても、招待国にクリミアを併合したロシアを入れることは論理矛盾・ダブスタになる。
メルケルは、それを指摘している。
イギリス紙・ガーティアン(*6)によれば、メルケルの他に、フランス大統領のマクロンも同様に、共産主義国家ではなくなったロシアを含めたG8体制からロシアを除外してG7となったのは、ロシアのクリミア併合が理由であったことから難色を示している。
アメリカ・トランプ政権は、中国がアメリカを侵食している事に気がついており、2018年10月には、ペンス副大統領が米中は新冷戦状態にあるとの宣言演説を行っている。(*7)
その後、約2年が経過しているのだが、中国による華夷秩序ベースの新世界秩序確立策動はより激しくなっている。そういう現状認識からは、対中国包囲網の実施は早急に行うべきものである。ところが、この様な状況認識とはかけ離れたドイツの対応にトランプは失望してしまったのである。
そういう状態でトランプが口にした言葉が「(G7の枠組みについて)「国際情勢を反映しているとは思えない」」であり、「(今年のサミットへの招待国として、ロシアとインド、オーストラリア、韓国を挙げ)「G10かG11になるかもしれない」」である。
上記で紹介したイギリス紙・ガーティアンの当該部分を以下に引用する。
↓
<抜粋引用開始>
○Justifying the cancellation of the June meeting and his proposed new format, Trump said the group’s current makeup was “very outdated” and does not properly represent “what’s going on in the world”. He said he had not set a precise date for the new meeting, but suggested it might be around the time of the annual UN general assembly in New York, which is normally held in September, but there is no guarantee it will go ahead this year. The proposed “G11” meeting might also be held after the presidential election, he said.
(トランプ大統領は、6月の会議キャンセルと彼が提案した新しい拡大形式の会合を正当化するため、G7の現在の構成は「時代遅れ」であり、「世界で起こっていること」を適切に表していないと述べた。
彼はG7開催の確定的な日付を設定しなかったと述べ、それは通常9月にニューヨークで開催される恒例の国連総会と同時期であるかもしれないと示唆したのの、今年中に行われる保証はない。また「G11」会合との「提案」も、大統領選後に開催されるかもしれないとトランプは語ったが、確かではない。)
<引用終わり>
また、同じイギリスのBBCは、以下の様に、トランプの発言は熟慮した結果ではないことが分かる旨を報道している。(*8)
↓
<抜粋引用開始>
○"I don't feel that... it properly represents what's going on in the world. It's a very outdated group of countries," Mr Trump said on Saturday.
(トランプは土曜日(5月30日)に、「今のG7は世界で起こっていることを正しく表現している・・とは私は思わない・・。古い考え方の国がいる枠組みグループだ」と述べた。)
<引用終わり>
これら日英の複数の報道から見える事は、韓国紙が報じる韓国大統領府報道官の話とは随分と違う。
韓国では「G11かG12」などと言っているが、日英の報道に登場するのはG7と招待国4ヶ国の11カ国だけであり、「12ヶ国目」は登場しない。
そうであるにも関わらず韓国大統領府の報道官はG12などと言っているのである。
この奇妙なズレの原因は、報道官の認知バイアスにあると推定している。
報道官の発言は上述した通りであるが、報道官の視点は「韓国の立場が上がる」だけである。「韓国が世界を導くリーダー国家の中の一つになることを意味する」「韓国は新しい国際体制の正式メンバーになるだろう」「正式メンバーになれば韓国の国の品格上昇と国益に多いに役に立つだろう」である。
「韓国が世界のリーダー国の国家グループの正式メンバーになる!誇らしい!」との認知バイアスが報道官を支配していることが分かると思う。
そういう「世界のリーダー国の国家グループ」との視点からは、軍事力世界第3位・GDP世界第2位の中国が入っていないという選択肢はなく、G7+招待国4ヶ国に中国を加えて「G12」なる奇妙な話になっているものと推定されるのである。
この推定が当たっているのだったら、韓国大統領報道官の認知バイアスは異常レベルである。そもそもロシア、インド、オーストラリア、韓国の4ヶ国をG7の招待国にしている理由は「対中包囲網」の為であり、そんな会合に中国を入れてG12にするはずがない。
この事は韓国メディアから見ても奇妙に映ったらしく、韓国経済新聞の記事の後段には、盛んに「韓国が対中包囲網G11に入って大丈夫なのか?」との視点での記載となっているのである。
その部分を以下に抜粋引用する。
↓
<韓国経済新聞記事の後段部分を抜粋引用>
○G7拡大会議に関連して米国がG11で中国に対する包囲網を構成しようとするという見方が出ているが、青瓦台は「問題になることはない」という反応を見せた。青瓦台核心関係者は「電話会談で中国や香港関連問題は全く言及されなかった」として「政府は中国が反発しないと考える」と話した。
○専門家はG7拡大会の参加は歓迎すべきことだが、今後中国に関連した議論で距離を維持することが必要だと助言した。光云(クァンウン)大学中国学科のシン・サンジン教授は「米国を中心に中国を封じ込める政策について具体的に意見を交わす場合、積極的に参加する姿勢を見せてはならない」とし、「米国が求めることを100%従わなければ、G7拡大会議の参加は損より得が多いだろう」と話した。
<引用終わり>
お読みいただければ分かる通り、韓国・朝鮮半島の文明的骨子である小中華思想(*9)丸出しの意見が並んでいる。
小中華思想の朝鮮半島・韓国は、本家・中華思想の内部にあり、その華夷秩序に反しての行動を自らは進んで出来ないのである。とは言え、同時に朝鮮半島・韓国は事大主義なのでG11が圧倒的状況になれば手の平返しをするであろうと見込まれる。
長くなったのでまとめに入る。
先ず、「韓国が世界のリーダー国の国家グループの正式メンバーになる!誇らしい!」との認知バイアスに韓国大統領府が陥っていることは、上記引用の「中国が反発しないと考える」との根拠なき願望を述べていることからも明らかである。
次に、トランプ及び日英以外のG7諸国は、中国が現在の世界秩序である自由と人権、民主主義と法の支配とは異なる価値観での新世界秩序構築に進んでいるとの認識をしていない事が確認できたと思う。
切実さが違っているのである。
先の大戦後の現在の世界体制を巡る情勢は、そこに至る3つの段階を経て、今や、勃興した鬼っ子・中国共産党支配下中国が「中華新世界秩序」を確立せんとし、「戦後世界秩序」の破棄・変換を試みている第3段階にある。
以前の論考「先の大戦後の現在の世界情勢は第三段階にある」(*10)で述べたこの認識をしているのは現状ではアメリカと日本とイギリスの3ヶ国だけの様である。
これは大いなる危機と言ってよいと思う。
「韓国がG7入り」なる矮小な話とは比べ物にならない程に重要な話なのであるが、韓国は何も気がついていないのである。
今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1):韓国紙・中央日報日本語版HPに6月3日付で掲載された韓国経済新聞の記事
中央日報日本語版HP 2020.06.03 08:08
韓国経済新聞・The Korea Economic Daily
見出し:◆韓経:韓国大統領府「G7に韓国招待…世界のリーダー国家の正式メンバーになること」
https://japanese.joins.com/JArticle/266607
○カン・ミンソク青瓦台(チョンワデ、大統領府)報道官は主要7カ国(G7)首脳会議の参加に対して「韓国が世界を導くリーダー国家の中の一つになることを意味する」と話した。
○カン報道官は2日、青瓦台懸案ブリーフィングで「予定通りに今年中に米国を訪問してG11、またはG12に参加することになれば韓国は新しい国際体制の正式メンバーになるだろう」と述べた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は1日、韓米首脳間電話会談でドナルド・トランプ米大統領からG7首脳会議に招待され、「招待に喜んで応じるだろう」と答えた。
○トランプ大統領は韓国、ロシア、インド、オーストラリアなど4カ国にG7会議への招待の意向を明らかにした後、4カ国の中で初めて文大統領に電話をかけた。トランプ大統領が韓国の発表を通じてG11、またはG12への拡大を公式化しようとしていると青瓦台は分析した。
○カン報道官は「G7のオブザーバーなどで一回だけの参加ではない」として「G11、またはG12の正式メンバーになれば韓国の国の品格上昇と国益に多いに役に立つだろう」と評価した。
○文大統領はトランプ大統領の招待の意向が伝えられた後、「少しも回避する必要がなく、歓迎すべきこと」と述べたとカン報道官は伝えた。カン報道官は「トランプ大統領が電話会談の内容を対外的に発表して肯定的な意見を出してほしいと言うと、文大統領がそのようにするだろうとして韓国国民も喜ぶだろうと答えた」と伝えた。
○G7拡大会議に関連して米国がG11で中国に対する包囲網を構成しようとするという見方が出ているが、青瓦台は「問題になることはない」という反応を見せた。青瓦台核心関係者は「電話会談で中国や香港関連問題は全く言及されなかった」として「政府は中国が反発しないと考える」と話した。
○専門家はG7拡大会の参加は歓迎すべきことだが、今後中国に関連した議論で距離を維持することが必要だと助言した。光云(クァンウン)大学中国学科のシン・サンジン教授は「米国を中心に中国を封じ込める政策について具体的に意見を交わす場合、積極的に参加する姿勢を見せてはならない」とし、「米国が求めることを100%従わなければ、G7拡大会議の参加は損より得が多いだろう」と話した。
<引用終わり>
(*2):読売新聞記事
読売新聞 2020/06/01 07:29
見出し:◆トランプ氏、露骨な「中国外し」…サミット枠組み拡大にG7内で慎重論必至
https://www.yomiuri.co.jp/world/20200601-OYT1T50040/
記事:○【ワシントン=海谷道隆】米国のトランプ大統領は5月30日、先進7か国(G7)による主要国首脳会議(サミット)を巡り、枠組み拡大の可能性に言及した。G7以外の同盟国なども結集し、中国に対する包囲網形成を狙う試みだが、枠組み変更に必要となるG7各国の合意形成は容易でないとみられる。
○トランプ氏は記者団にG7の枠組みについて「国際情勢を反映しているとは思えない」と指摘した。議長国として選ぶ今年のサミットへの招待国として、ロシアとインド、オーストラリア、韓国を挙げた。「G10かG11になるかもしれない」と語り、正式なメンバー国になることへの期待もにじませた。
○招待国を交えたサミットに関し、ホワイトハウス高官は「伝統的な同盟国を結集し、中国の将来への向き合い方を協議することになる」と解説した。
○米国にとり、同盟国の豪州と韓国、安全保障協力を深めているインドは、中国への対抗を念頭においた「インド太平洋戦略」を支える主要な関係国だ。中国との連携も目立つロシアまで引き込めれば、中国に強力な圧力をかける枠組みを築けるとの思惑が透ける。
○ただ、露骨な「中国外し」の動きには、G7内で慎重論が出るのは必至だ。米中対立に全面的に巻き込まれかねないとの懸念が広がることも予想される。
○ロシアを巡っては、1997年にサミットの正式メンバーとなったが、2014年のウクライナ南部のクリミア半島併合をきっかけに除外された経緯がある。トランプ氏は昨年のフランスでのG7サミットで、ロシアの復帰を主張したが、反対論があり、結論は出なかった。
○トランプ氏の「G7限界論」には賛同が得られたとしても、その対応策として、すでに中国を含む主要20か国・地域(G20)の枠組みが作られている。オバマ政権時の09年のG20サミットでは、G7に代わりG20を国際経済協力の「最上位の会合」(首脳声明)と位置づけた。
○トランプ氏の構想は、サミットに期待される国際協調を主導する場としての性質そのものを変えかねない危うさも抱えている。
小見出し:◆日本政府 対立深化を懸念
○政府は、米中の対立がさらに深刻化すれば、中国との関係で難しい対応を迫られかねないため、米国の対応を慎重に見極める構えだ。
○政府関係者はG7サミット延期や参加国拡大について「米国から正式な連絡はない」とした上で、「香港の情勢などを踏まえ、サミットで中国の問題を議論するのはいいが、中国を過度に刺激したくない」と語った。今春に予定されていた中国の習近平シージンピン国家主席の国賓来日は、新型コロナウイルスの感染拡大で延期された。米中対立が深まれば、日程の再調整は難航が必至だ。
○また、韓国や豪州の参加について、外務省幹部は「アジアで唯一のG7参加国という日本の意義が薄まる」との見方を示した。政府はサミットが6月末に開催された場合も、安倍首相が出席する方向で検討を進めていた。
<引用終わり>
(*3):G7サミットは、毎年5月下旬から6月上旬の開催されてきた。
↓ ※2019年フランス・ビアリッツサミットは異例の8月下旬
<過去5年間のG7開催日>
○2015年:ドイツ・エルマウサミット
2015年6月7日~8日
※2016/06/05投稿:
【コラム】G7サミットを「報道しない自由」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-427.html
○2016年:日本・伊勢志摩サミット
2016年5月26日~27日
※2016/06/06投稿:
【コラム】伊勢志摩G7サミット首脳宣言の概要(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-428.html
※2016/06/07投稿:
【コラム】伊勢志摩G7サミット首脳宣言の概要(後編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-429.html
○2017年イタリア・タオルミーナサミット
2017年5月26日及び27日
※2017/05/30投稿:
G7サミット・イタリア2017首脳宣言
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-681.html
※2017/05/26投稿:
G7サミットに対するマスコミの印象操作
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-678.html
○2018年カナダ・シャルルボワサミット
2018年6月8~9日
※2018/06/16投稿:
G7カナダ・シャルルボワサミット(関税問題ばかりじゃない)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-959.html
○2019年フランス・ビアリッツサミット
2019年8月24日~26日
※論考なし
○2020年予定・ホスト国アメリカ
当初予定は2020年6月10日~12日。その後トランプのツイートで6月25日~26日へと変更されたが、6月開催は延期され、現在日程は未定
(*4):G7サミット開催の際は、幾つかの国または国際機関が招待国として招待されることが恒例となっている。
↓
○2015年:ドイツ・エルマウサミット
アフリカ諸国(リベリア,セネガル,エチオピア,ナイジェリア,チュニジア,AUC(アフリカ連合委員会)),イラク,主要国際機関(国連,IMF,ILO,OECD,WTO,世銀)
○2016年:日本・伊勢志摩サミット
チャド,インドネシア,スリランカ,バングラデシュ,パプアニューギニア,ベトナム,ラオス,国際連合(UN),国際通貨基金(IMF),世界銀行(WB),経済協力開発機構(OECD),アジア開発銀行(ADB)
○2017年イタリア・タオルミーナサミット
エチオピア,ケニア,ニジェール,ナイジェリア,チュニジア,国際連合(UN),ギニア(AU議長国),アフリカ連合委員会(AUC),国際通貨基金(IMF),世界銀行(WB),経済協力開発機構(OECD),アフリカ開発銀行(AfDB)
○2018年カナダ・シャルルボワサミット
アルゼンチン,ジャマイカ,ハイチ,セネガル,南アフリカ,ルワンダ,ケニア,セーシェル,バングラデシュ,ベトナム,マーシャル諸島,ノルウェー,国際連合(UN),国際通貨基金(IMF),世界銀行(WB),経済協力開発機構(OECD)
○2019年フランス・ビアリッツサミット
•「不平等との闘い(含むジェンダー平等)」(ワーキングランチ):参加者:G7+6国際機関(世銀,IMF,国連,OECD,ILO,WTO)+ジェンダー平等アドバイザリー評議会委員
•「アフリカとのパートナーシップ」:参加者:G7+5国際機関(世銀,IMF,国連,AU,アフリカ開銀)+アフリカ5か国(ルワンダ,セネガル,エジプト,ブルキナファソ,南ア)
•「気候,生物多様性,海洋」:参加者:G7+5国際機関(国連,世銀,OECD,AU,アフリカ開銀)+アフリカ5か国(ルワンダ,セネガル,エジプト,ブルキナファソ,南ア)+チリ,印,豪+環境団体等市民社会代表
•「デジタル化」(ワーキングランチ):参加者:G7+南ア,チリ,印,豪,OECD
○2020年予定・ホスト国アメリカ
トランプが語ったのはロシア、インド、オーストラリア、韓国の4ヶ国だけで国際機関への言及はなかった。
(*5):ヘゲモニーチャレンジをしている中国
2018/10/11投稿:
ヘゲモニーチャレンジャー中国・事大主義小中華韓国
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1032.html
2019/05/17投稿:
ヘゲモニーチャレンジ宣言をした中国Part1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1180.html
2019/05/19投稿:
ヘゲモニーチャレンジ宣言をした中国Part2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1181.html
2019/05/20投稿:
ヘゲモニーチャレンジ宣言をした中国Part3 Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1182.html
(*6):イギリス紙・ガーティアンの記事(必要部分の和訳は引用者)
Theguardian Sun 31 May 2020 12.45 BST
見出し:◆Trump cancels summit but says he will invite Putin to later G7 event
(トランプは予定されていたG7サミットをキャンセル。延期後のG7にプーチンを招待すると述べた)
副題:◆US president intends to convene 11 nations at later date in push to counter China
(米国大統領は中国に対抗するために、後日に11カ国を招集する意向)
https://www.theguardian.com/world/2020/may/31/donald-trump-postpones-g7-summit-and-signals-wider-attendance-list-in-future
リード文:○Donald Trump has been forced to cancel a planned face-to-face summit of G7 leaders in June and now wants to host an expanded meeting in September dedicated to countering China, to which Vladimir Putin would be invited.
(ドナルド・トランプは6月に予定されていたG7首脳会議の会って話す形式での会合をキャンセルすることを余儀なくされており、現状、中国への対抗に特化した拡大会合をプーチンを招待して最大9月まで延期した上で開催したいとの考えを示した。)
記事:○Trump revealed on Saturday that he had cancelled the June meeting, which he had billed as a symbol of the US “transitioning back to greatness”, after the German chancellor, Angela Merkel, told him in a phone call that she saw the summit in Washington DC as a health risk. Hundreds of security staff, journalists and officials also attend the two-day summits.
(トランプ大統領は土曜日(5月30日)に、ドイツ・メルケル首相からの2日間の首脳会談には何百人もの警備員、ジャーナリスト、職員が出席することから、健康上のリスクがあることを理由にしたワシントンでの首脳会談出席見送り表明の電話を受け、当初トランプが表明していた「偉大なアメリカへの回帰」を目的に開催を目指していた6月開催を断念したことを表明した。)
○Reports suggest the call between Merkel and Trump on Thursday was stormy, ranging over German plans for the Nord Stream 2 gas pipeline, Hong Kong, and the potential health risks of a face-to-face summit.
(ある筋の情報によると、木曜日のメルケルとトランプの間の電話は相当荒れたらしい。話題はNord Stream 2ガスパイプライン(ロシア-ドイツ間)に関するドイツの計画、香港についてなどの他、G7首脳会議の会って話す形式での会合の潜在的な健康リスクに及んでいたそうだ。)
○Trump’s new plan, outlined to reporters on Saturday, is to host an expanded G7 meeting including Russia, Australia, South Korea and India, dedicated to building an alliance against China. The plan is likely to be controversial because Russia has been banned from western-led summits since Putin’s annexation of Crimea in 2014, and is not seen as a natural ally in the defence of human rights in Hong Kong.
((G7の6月開催の延期による)トランプが構想する新しい計画の概要は土曜日(5月30日)の記者会見で示された。対中国を目的にしてG7諸国にロシア、オーストラリア、韓国、インドを招待国としたG7を開催する構想だ。しかしながら2014年にプーチンのクリミア併合によりG8ロシアはG7首脳会談から出席を拒否されており、「香港の人権擁護」との観点からは相応しい同盟国とは看做されないと考えるのが自然であり、トランプの計画は物議を醸す可能性がある。)
○Merkel and the French president, Emmanuel Macron, will also be reluctant to provide Trump with a prestigious platform to set out his China strategy weeks before the US presidential election. The Republicans see a tough approach towards China as an election-winning formula, even though his likely Democrat challenger, Joe Biden, is also sharply critical of Beijing’s modern direction.
(メルケル首相の他にフランス大統領マクロンもアメリカ大統領選挙の数週間前に中国対策の為にG7の場を使用することに消極的だ。一方、アメリカ国内では、民主党側の挑戦者であるジョー・バイデンも北京の現状の方向性に鋭く批判的であるにもかかわらず、トランプの共和党サイドは対中国強硬姿勢は選挙で勝利を収める方策としては有効だと看做している。)
○The G7 brings together the US, Japan, France, Germany, the UK, Canada and Italy.
(G7は、アメリカ、日本、フランス、ドイツ、イギリス、カナダ、イタリアで構成されている。)
○Justifying the cancellation of the June meeting and his proposed new format, Trump said the group’s current makeup was “very outdated” and does not properly represent “what’s going on in the world”. He said he had not set a precise date for the new meeting, but suggested it might be around the time of the annual UN general assembly in New York, which is normally held in September, but there is no guarantee it will go ahead this year. The proposed “G11” meeting might also be held after the presidential election, he said.
(トランプ大統領は、6月の会議キャンセルと彼が提案した新しい拡大形式の会合を正当化するため、G7の現在の構成は「時代遅れ」であり、「世界で起こっていること」を適切に表していないと述べた。
彼はG7開催の確定的な日付を設定しなかったと述べ、それは通常9月にニューヨークで開催される恒例の国連総会と同時期であるかもしれないと示唆したのの、今年中に行われる保証はない。また「G11」会合との「提案」も、大統領選後に開催されるかもしれないとトランプは語ったが、確かではない。)
○Trump caught many capitals and White House officials by surprise on 20 May, when he tweeted: “Now that our Country is ‘Transitioning back to Greatness,’ I am considering rescheduling the G-7, on the same or similar date, in Washington, DC, at the legendary Camp David. The other members are also beginning their COMEBACK. It would be a great sign to all – normalization!”(和訳省略)
○It contradicted the US government’s previous announcement that the G7 meeting would be a teleconference as a result of the coronavirus pandemic. The White House, however, confirmed within days that the meeting would be held on 25 and 26 June. It had originally been scheduled for 10 to 12 June at Camp David. (和訳省略)
○The Japanese foreign ministry had been reluctant for the prime minister, Shinzō Abe, to travel to Washington, in part because of the so-called Dominic Cummings effect. (和訳省略)
○Had Abe attended the summit, he would have been required either to quarantine himself for two weeks or take a Covid-19 test on his return. Officials told Japanese media they did not want Abe to be seen to be getting privileged treatment, and cited the backlash the UK prime minister, Boris Johnson, has faced for clearing his senior adviser of breaking UK quarantine rules. (和訳省略)
○Macron was also reported to be ambivalent about a face-to-face meeting in June, but Merkel’s spokesman broke the news that she could not guarantee her personal attendance. (和訳省略)
○European leaders are deeply critical of China’s intervention in Hong Kong, but the plan Trump set out to confront Beijing in a 10-minute address on Friday left many questions unanswered about the extent to which he is prepared to disengage the US economy from China or impose sanctions. (和訳省略)
○The EU has not yet supported sanctions, but a meeting of foreign ministers on Friday agreed that the language of a paper on China completed in early 2019 needed toughening. (和訳省略)
○The EU is also opposed to Trump’s decision to terminate Washington’s membership of the World Health Organization, privately saying the US president had not even formulated a coherent reform agenda for the UN body, let alone given the WHO time to respond to any US proposal. (和訳省略)
○The UK is hosting a virtual coronavirus vaccine summit on 4 June intended to establish a global alliance and raise funds for research, and will hope the US decision to withdraw from the WHO does not dominate the event. (和訳省略)
<引用終わり>
(*7):アメリカ・トランプ政権は、中国がアメリカを侵食している事に気がついており、2018年10月には、ペンス副大統領が米中は新冷戦状態にあるとの宣言演説を行っている。
↓
2018/10/13投稿:
新冷戦状態にあるとの宣言・ペンス米国副大統領演説(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1033.html
2018/10/16投稿:
新冷戦状態にあるとの宣言・ペンス米国副大統領演説(中編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1034.html
2018/10/17投稿:
新冷戦状態にあるとの宣言・ペンス米国副大統領演説(後編)Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1035.html
【ご参考】その約1年前に同様の事を指摘した論考
2017/12/21投稿:
情勢認識が冷戦時代のままではダメでしょ
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-829.html
(*8):イギリスBBCの報道(和訳は引用者)
BBC 31 May 2020
見出し:◆Trump delays 'outdated' G7 leaders' summit
(トランプ大統領G7首脳会議を延期)
https://www.bbc.com/news/world-us-canada-52865201
リード文:○US President Donald Trump has said he will postpone this year's G7 summit and invite leaders of other countries to participate in the talks.
(ドナルド・トランプ米大統領は今年のG7サミットを延期し、そしてG7諸国以外の国の首脳に会談への参加を呼びかけると語った。)
ハイライト1:○"I don't feel that... it properly represents what's going on in the world. It's a very outdated group of countries," Mr Trump said on Saturday.
(トランプは土曜日(5月30日)に、「今のG7は世界で起こっていることを正しく表現している・・とは私は思わない・・。古い考え方の国がいる枠組みグループだ」と述べた。)
ハイライト2:○The G7 group, which the US hosts this year, includes Canada, France, Germany, Italy, Japan and the UK.
(米国が今年主催サミットのG7は、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、イギリスにより構成されている。)
ハイライト3:○The president said Russia, South Korea, Australia and India should be invited.
(大統領は今年の招待国はロシア、韓国、オーストラリア、インドにすべきだと述べた。)
ハイライト4:○Speaking to reporters on board the presidential plane Air Force One, Mr Trump said that he was delaying the summit - which was scheduled to take place later in June - until September.
(大統領専用機エアフォースワンに同乗している記者団に、トランプは首脳会談を延期する旨の述べ、それは6月の後半に行われる予定であったのだが、9月まで延びると言った。)
小見出し:◆What is the G7 summit and what does it do?
(G7サミットの意義とは何か?何をする枠組みか?)
記事:○Last week, Mr Trump said it might be possible to hold a gathering at the White House and potentially parts of Camp David, the US presidential country retreat, despite concerns over the coronavirus pandemic.
(先週、トランプ大統領は、コロナウイルス・パンデミックへの懸念にもかかわらず、ホワイトハウスと合衆国大統領府キャンプ・デイビッドで面談によるG7会合を開催する可能性について言及した。)
○German Chancellor Angela Merkel later rejected the president's invitation to attend a summit in person because of the outbreak.
(しかし、ドイツのメルケル首相は、それに対してパンデミックの発生を理由に、G7サミットに直接出席する大統領提案を拒否した。)
○Her spokesman thanked Mr Trump, but said the German leader "cannot agree to her personal participation, to a journey to Washington".
(メルケル政権の報道官は、G7への招待自体に対しては感謝の意を述べたが、同政権は同時に「彼女(メルケル)のワシントンへの旅行(訪問)は同意できない」と述べた。)
○On Friday, UK Prime Minister Boris Johnson "agreed on the importance of convening the G7 in person in the near future" following a conversation with the US president, the White House said in a statement.
(一方、イギリスのボリス・ジョンソン首相は金曜日(5月29日)に、トランプ大統領との会話の後に「近い将来にG7を直接召集することの重要性に同意した」と述べた。)
○The G7 - or Group of Seven - leaders were scheduled to meet by videoconference in June in response to Covid-19.
(G7の首脳達は、最初はCovid-19の影響に応じてビデオ会議で会合する予定だった。)
でした。
○The group is made up of the seven of the world's largest economies.
(G7グループは世界最大の7つの経済大国で構成されている。)
○It regards itself as "a community of values", with freedom and human rights, democracy and the rule of law, and prosperity and sustainable development as its key principles.
(G7諸国は、自由と人権、民主主義と法の支配、そして繁栄と持続可能な開発を主要な原則とする「価値の共同体」であると言われている。
<引用終わり>
(*9):小中華思想
2018/11/08投稿:
徴用工・韓国「最高裁」判決雑感5Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1049.html
2017/01/31投稿:
憲法9条が韓国をOECD加盟国にした・地政学的基礎編
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-594.html
【御参考】
2019/10/10投稿:
戦後創作された「歴史」が韓国憲法に書かれている。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1268.html
(*10):以前の論考
2019/05/29投稿:
先の大戦後の現在の世界情勢は第三段階にある
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1190.html
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副題:ヘゲモニーチャレンジャー中国への対策を国際的に拡大したいトランプと、それを阻止したい中国。そういう構図の中で出てきたトランプの一言に過剰反応している韓国。
韓国紙・中央日報日本語版HPに6月3日付で掲載された韓国経済新聞の記事(*1)の見出しは「◆韓経:韓国大統領府「G7に韓国招待…世界のリーダー国家の正式メンバーになること」」である。
常識ある人が見出しを読めば、それが典型的な認知バイアスによる誤解であることが分かると思うが、同記事には以下の様に韓国大統領府の報道官が「G7招待」に関連して語ったことが記載されている。
↓
<記事中の発言部分を抜粋引用>
・「韓国が世界を導くリーダー国家の中の一つになることを意味する」
・「予定通りに今年中に米国を訪問してG11、またはG12に参加することになれば韓国は新しい国際体制の正式メンバーになるだろう」
・「G7のオブザーバーなどで一回だけの参加ではない」
・「G11、またはG12の正式メンバーになれば韓国の国の品格上昇と国益に多いに役に立つだろう」
<引用終わり>
言っていることは「韓国が世界のリーダー国の国家グループの正式メンバーになる!誇らしい!」だけである。
この中央日報日本語版HPの韓国経済新聞記事の日付は6月3日であるが、トランプ大統領のG7とG7招待国及び対中国拡大会議に関しての発言記事は6月1日付の読売新聞他(*2)で既に報道されているものである。
韓国紙の記事は、それらの事象に対しての韓国大統領府報道官の反応を報じているものである。
以下に韓国大統領府報道官の言っている事は認知バイアスによる誤解であることの種明かしを以下にするので、お読みいただきたい。
先ず、G7サミットは、毎年5月下旬から6月上旬の開催されてきたもので(*3)、今年2020年のG7サミットはアメリカがホスト国で当初は6月に開催を予定していたものだ。
しかしながら、武漢発祥の新型コロナウイルス感染症の感染拡大は未だに続いており、対面での開催を呼び掛けていたトランプに対してドイツ・メルケル首相が対面での開催の場合は欠席する旨を表明したものだ。
G7サミット開催の際は、幾つかの国または国際機関が招待国として招待されることが恒例となっており(*4)、今回のアメリカG7に関してトランプはロシアとインド、オーストラリア、韓国の4ヶ国の名前を挙げているものだ。
招待国は、その時々の議題や世界状況に合わせてホスト国が選定しているものである。
2016年5月下旬に日本で開催されたG7伊勢志摩サミットの時の招待国は、以下の様な国々と国際機関であった。
↓
チャド,インドネシア,スリランカ,バングラデシュ,パプアニューギニア,ベトナム,ラオス,国際連合(UN),国際通貨基金(IMF),世界銀行(WB),経済協力開発機構(OECD),アジア開発銀行(ADB)
アジアで開催されるG7なので、アジア諸国が多数招待されているものだ。
欧州で開催される場合はアフリカ諸国が多くなったり、北米カナダで開催された時には南米諸国が多くなったりする。
因みに、2016年G7伊勢志摩サミット開催の際に、韓国を招待国とする予定だったのだが、当時の韓国大統領・朴槿恵は「エチオピア、ウガンダ、ケニア、フランス訪問」を理由に招待を受けなかったとの経緯がある。
今回2020年のアメリカG7に関しては、ヘゲモニーチャレンジをしている中国(*5)に対抗する事を主要な議題にしたいとトランプは考えており、中国包囲網として4ヶ国を招待国にしているものだ。
インドとオーストラリアは、トランプ・安倍で基本的合意がなされているインド太平洋戦略・ダイヤモンドセキュリティー構想(日米印豪)の日米以外の2ヶ国である。
そして、中国が包囲網を敷かれた時に、その突破口として協力を求める国がロシアと韓国であり、そうならない様にトランプが先手を打っているものだと推察される。
要するに、トランプは今回予定されていたG7サミットでG7諸国と招待国4ヶ国で中国包囲網を打ち立てたかったのだが、ドイツ・メルケル首相の欠席表明で、その目論見が外れたものだと理解すればよい。
現状、中国の横暴の典型例として注目が集まっているのが、イギリスからの返還時に約束された香港の自治がなし崩しになっており、とうとう一国二制度を根本的に破壊する中国大陸での法令を香港に適用するとの策に出ており、そのあからさまな覇権主義を隠さなくなっている。
これは中国による香港侵略であるのだが、いくら中国包囲網と言っても、招待国にクリミアを併合したロシアを入れることは論理矛盾・ダブスタになる。
メルケルは、それを指摘している。
イギリス紙・ガーティアン(*6)によれば、メルケルの他に、フランス大統領のマクロンも同様に、共産主義国家ではなくなったロシアを含めたG8体制からロシアを除外してG7となったのは、ロシアのクリミア併合が理由であったことから難色を示している。
アメリカ・トランプ政権は、中国がアメリカを侵食している事に気がついており、2018年10月には、ペンス副大統領が米中は新冷戦状態にあるとの宣言演説を行っている。(*7)
その後、約2年が経過しているのだが、中国による華夷秩序ベースの新世界秩序確立策動はより激しくなっている。そういう現状認識からは、対中国包囲網の実施は早急に行うべきものである。ところが、この様な状況認識とはかけ離れたドイツの対応にトランプは失望してしまったのである。
そういう状態でトランプが口にした言葉が「(G7の枠組みについて)「国際情勢を反映しているとは思えない」」であり、「(今年のサミットへの招待国として、ロシアとインド、オーストラリア、韓国を挙げ)「G10かG11になるかもしれない」」である。
上記で紹介したイギリス紙・ガーティアンの当該部分を以下に引用する。
↓
<抜粋引用開始>
○Justifying the cancellation of the June meeting and his proposed new format, Trump said the group’s current makeup was “very outdated” and does not properly represent “what’s going on in the world”. He said he had not set a precise date for the new meeting, but suggested it might be around the time of the annual UN general assembly in New York, which is normally held in September, but there is no guarantee it will go ahead this year. The proposed “G11” meeting might also be held after the presidential election, he said.
(トランプ大統領は、6月の会議キャンセルと彼が提案した新しい拡大形式の会合を正当化するため、G7の現在の構成は「時代遅れ」であり、「世界で起こっていること」を適切に表していないと述べた。
彼はG7開催の確定的な日付を設定しなかったと述べ、それは通常9月にニューヨークで開催される恒例の国連総会と同時期であるかもしれないと示唆したのの、今年中に行われる保証はない。また「G11」会合との「提案」も、大統領選後に開催されるかもしれないとトランプは語ったが、確かではない。)
<引用終わり>
また、同じイギリスのBBCは、以下の様に、トランプの発言は熟慮した結果ではないことが分かる旨を報道している。(*8)
↓
<抜粋引用開始>
○"I don't feel that... it properly represents what's going on in the world. It's a very outdated group of countries," Mr Trump said on Saturday.
(トランプは土曜日(5月30日)に、「今のG7は世界で起こっていることを正しく表現している・・とは私は思わない・・。古い考え方の国がいる枠組みグループだ」と述べた。)
<引用終わり>
これら日英の複数の報道から見える事は、韓国紙が報じる韓国大統領府報道官の話とは随分と違う。
韓国では「G11かG12」などと言っているが、日英の報道に登場するのはG7と招待国4ヶ国の11カ国だけであり、「12ヶ国目」は登場しない。
そうであるにも関わらず韓国大統領府の報道官はG12などと言っているのである。
この奇妙なズレの原因は、報道官の認知バイアスにあると推定している。
報道官の発言は上述した通りであるが、報道官の視点は「韓国の立場が上がる」だけである。「韓国が世界を導くリーダー国家の中の一つになることを意味する」「韓国は新しい国際体制の正式メンバーになるだろう」「正式メンバーになれば韓国の国の品格上昇と国益に多いに役に立つだろう」である。
「韓国が世界のリーダー国の国家グループの正式メンバーになる!誇らしい!」との認知バイアスが報道官を支配していることが分かると思う。
そういう「世界のリーダー国の国家グループ」との視点からは、軍事力世界第3位・GDP世界第2位の中国が入っていないという選択肢はなく、G7+招待国4ヶ国に中国を加えて「G12」なる奇妙な話になっているものと推定されるのである。
この推定が当たっているのだったら、韓国大統領報道官の認知バイアスは異常レベルである。そもそもロシア、インド、オーストラリア、韓国の4ヶ国をG7の招待国にしている理由は「対中包囲網」の為であり、そんな会合に中国を入れてG12にするはずがない。
この事は韓国メディアから見ても奇妙に映ったらしく、韓国経済新聞の記事の後段には、盛んに「韓国が対中包囲網G11に入って大丈夫なのか?」との視点での記載となっているのである。
その部分を以下に抜粋引用する。
↓
<韓国経済新聞記事の後段部分を抜粋引用>
○G7拡大会議に関連して米国がG11で中国に対する包囲網を構成しようとするという見方が出ているが、青瓦台は「問題になることはない」という反応を見せた。青瓦台核心関係者は「電話会談で中国や香港関連問題は全く言及されなかった」として「政府は中国が反発しないと考える」と話した。
○専門家はG7拡大会の参加は歓迎すべきことだが、今後中国に関連した議論で距離を維持することが必要だと助言した。光云(クァンウン)大学中国学科のシン・サンジン教授は「米国を中心に中国を封じ込める政策について具体的に意見を交わす場合、積極的に参加する姿勢を見せてはならない」とし、「米国が求めることを100%従わなければ、G7拡大会議の参加は損より得が多いだろう」と話した。
<引用終わり>
お読みいただければ分かる通り、韓国・朝鮮半島の文明的骨子である小中華思想(*9)丸出しの意見が並んでいる。
小中華思想の朝鮮半島・韓国は、本家・中華思想の内部にあり、その華夷秩序に反しての行動を自らは進んで出来ないのである。とは言え、同時に朝鮮半島・韓国は事大主義なのでG11が圧倒的状況になれば手の平返しをするであろうと見込まれる。
長くなったのでまとめに入る。
先ず、「韓国が世界のリーダー国の国家グループの正式メンバーになる!誇らしい!」との認知バイアスに韓国大統領府が陥っていることは、上記引用の「中国が反発しないと考える」との根拠なき願望を述べていることからも明らかである。
次に、トランプ及び日英以外のG7諸国は、中国が現在の世界秩序である自由と人権、民主主義と法の支配とは異なる価値観での新世界秩序構築に進んでいるとの認識をしていない事が確認できたと思う。
切実さが違っているのである。
先の大戦後の現在の世界体制を巡る情勢は、そこに至る3つの段階を経て、今や、勃興した鬼っ子・中国共産党支配下中国が「中華新世界秩序」を確立せんとし、「戦後世界秩序」の破棄・変換を試みている第3段階にある。
以前の論考「先の大戦後の現在の世界情勢は第三段階にある」(*10)で述べたこの認識をしているのは現状ではアメリカと日本とイギリスの3ヶ国だけの様である。
これは大いなる危機と言ってよいと思う。
「韓国がG7入り」なる矮小な話とは比べ物にならない程に重要な話なのであるが、韓国は何も気がついていないのである。
今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1):韓国紙・中央日報日本語版HPに6月3日付で掲載された韓国経済新聞の記事
中央日報日本語版HP 2020.06.03 08:08
韓国経済新聞・The Korea Economic Daily
見出し:◆韓経:韓国大統領府「G7に韓国招待…世界のリーダー国家の正式メンバーになること」
https://japanese.joins.com/JArticle/266607
○カン・ミンソク青瓦台(チョンワデ、大統領府)報道官は主要7カ国(G7)首脳会議の参加に対して「韓国が世界を導くリーダー国家の中の一つになることを意味する」と話した。
○カン報道官は2日、青瓦台懸案ブリーフィングで「予定通りに今年中に米国を訪問してG11、またはG12に参加することになれば韓国は新しい国際体制の正式メンバーになるだろう」と述べた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は1日、韓米首脳間電話会談でドナルド・トランプ米大統領からG7首脳会議に招待され、「招待に喜んで応じるだろう」と答えた。
○トランプ大統領は韓国、ロシア、インド、オーストラリアなど4カ国にG7会議への招待の意向を明らかにした後、4カ国の中で初めて文大統領に電話をかけた。トランプ大統領が韓国の発表を通じてG11、またはG12への拡大を公式化しようとしていると青瓦台は分析した。
○カン報道官は「G7のオブザーバーなどで一回だけの参加ではない」として「G11、またはG12の正式メンバーになれば韓国の国の品格上昇と国益に多いに役に立つだろう」と評価した。
○文大統領はトランプ大統領の招待の意向が伝えられた後、「少しも回避する必要がなく、歓迎すべきこと」と述べたとカン報道官は伝えた。カン報道官は「トランプ大統領が電話会談の内容を対外的に発表して肯定的な意見を出してほしいと言うと、文大統領がそのようにするだろうとして韓国国民も喜ぶだろうと答えた」と伝えた。
○G7拡大会議に関連して米国がG11で中国に対する包囲網を構成しようとするという見方が出ているが、青瓦台は「問題になることはない」という反応を見せた。青瓦台核心関係者は「電話会談で中国や香港関連問題は全く言及されなかった」として「政府は中国が反発しないと考える」と話した。
○専門家はG7拡大会の参加は歓迎すべきことだが、今後中国に関連した議論で距離を維持することが必要だと助言した。光云(クァンウン)大学中国学科のシン・サンジン教授は「米国を中心に中国を封じ込める政策について具体的に意見を交わす場合、積極的に参加する姿勢を見せてはならない」とし、「米国が求めることを100%従わなければ、G7拡大会議の参加は損より得が多いだろう」と話した。
<引用終わり>
(*2):読売新聞記事
読売新聞 2020/06/01 07:29
見出し:◆トランプ氏、露骨な「中国外し」…サミット枠組み拡大にG7内で慎重論必至
https://www.yomiuri.co.jp/world/20200601-OYT1T50040/
記事:○【ワシントン=海谷道隆】米国のトランプ大統領は5月30日、先進7か国(G7)による主要国首脳会議(サミット)を巡り、枠組み拡大の可能性に言及した。G7以外の同盟国なども結集し、中国に対する包囲網形成を狙う試みだが、枠組み変更に必要となるG7各国の合意形成は容易でないとみられる。
○トランプ氏は記者団にG7の枠組みについて「国際情勢を反映しているとは思えない」と指摘した。議長国として選ぶ今年のサミットへの招待国として、ロシアとインド、オーストラリア、韓国を挙げた。「G10かG11になるかもしれない」と語り、正式なメンバー国になることへの期待もにじませた。
○招待国を交えたサミットに関し、ホワイトハウス高官は「伝統的な同盟国を結集し、中国の将来への向き合い方を協議することになる」と解説した。
○米国にとり、同盟国の豪州と韓国、安全保障協力を深めているインドは、中国への対抗を念頭においた「インド太平洋戦略」を支える主要な関係国だ。中国との連携も目立つロシアまで引き込めれば、中国に強力な圧力をかける枠組みを築けるとの思惑が透ける。
○ただ、露骨な「中国外し」の動きには、G7内で慎重論が出るのは必至だ。米中対立に全面的に巻き込まれかねないとの懸念が広がることも予想される。
○ロシアを巡っては、1997年にサミットの正式メンバーとなったが、2014年のウクライナ南部のクリミア半島併合をきっかけに除外された経緯がある。トランプ氏は昨年のフランスでのG7サミットで、ロシアの復帰を主張したが、反対論があり、結論は出なかった。
○トランプ氏の「G7限界論」には賛同が得られたとしても、その対応策として、すでに中国を含む主要20か国・地域(G20)の枠組みが作られている。オバマ政権時の09年のG20サミットでは、G7に代わりG20を国際経済協力の「最上位の会合」(首脳声明)と位置づけた。
○トランプ氏の構想は、サミットに期待される国際協調を主導する場としての性質そのものを変えかねない危うさも抱えている。
小見出し:◆日本政府 対立深化を懸念
○政府は、米中の対立がさらに深刻化すれば、中国との関係で難しい対応を迫られかねないため、米国の対応を慎重に見極める構えだ。
○政府関係者はG7サミット延期や参加国拡大について「米国から正式な連絡はない」とした上で、「香港の情勢などを踏まえ、サミットで中国の問題を議論するのはいいが、中国を過度に刺激したくない」と語った。今春に予定されていた中国の習近平シージンピン国家主席の国賓来日は、新型コロナウイルスの感染拡大で延期された。米中対立が深まれば、日程の再調整は難航が必至だ。
○また、韓国や豪州の参加について、外務省幹部は「アジアで唯一のG7参加国という日本の意義が薄まる」との見方を示した。政府はサミットが6月末に開催された場合も、安倍首相が出席する方向で検討を進めていた。
<引用終わり>
(*3):G7サミットは、毎年5月下旬から6月上旬の開催されてきた。
↓ ※2019年フランス・ビアリッツサミットは異例の8月下旬
<過去5年間のG7開催日>
○2015年:ドイツ・エルマウサミット
2015年6月7日~8日
※2016/06/05投稿:
【コラム】G7サミットを「報道しない自由」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-427.html
○2016年:日本・伊勢志摩サミット
2016年5月26日~27日
※2016/06/06投稿:
【コラム】伊勢志摩G7サミット首脳宣言の概要(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-428.html
※2016/06/07投稿:
【コラム】伊勢志摩G7サミット首脳宣言の概要(後編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-429.html
○2017年イタリア・タオルミーナサミット
2017年5月26日及び27日
※2017/05/30投稿:
G7サミット・イタリア2017首脳宣言
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-681.html
※2017/05/26投稿:
G7サミットに対するマスコミの印象操作
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-678.html
○2018年カナダ・シャルルボワサミット
2018年6月8~9日
※2018/06/16投稿:
G7カナダ・シャルルボワサミット(関税問題ばかりじゃない)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-959.html
○2019年フランス・ビアリッツサミット
2019年8月24日~26日
※論考なし
○2020年予定・ホスト国アメリカ
当初予定は2020年6月10日~12日。その後トランプのツイートで6月25日~26日へと変更されたが、6月開催は延期され、現在日程は未定
(*4):G7サミット開催の際は、幾つかの国または国際機関が招待国として招待されることが恒例となっている。
↓
○2015年:ドイツ・エルマウサミット
アフリカ諸国(リベリア,セネガル,エチオピア,ナイジェリア,チュニジア,AUC(アフリカ連合委員会)),イラク,主要国際機関(国連,IMF,ILO,OECD,WTO,世銀)
○2016年:日本・伊勢志摩サミット
チャド,インドネシア,スリランカ,バングラデシュ,パプアニューギニア,ベトナム,ラオス,国際連合(UN),国際通貨基金(IMF),世界銀行(WB),経済協力開発機構(OECD),アジア開発銀行(ADB)
○2017年イタリア・タオルミーナサミット
エチオピア,ケニア,ニジェール,ナイジェリア,チュニジア,国際連合(UN),ギニア(AU議長国),アフリカ連合委員会(AUC),国際通貨基金(IMF),世界銀行(WB),経済協力開発機構(OECD),アフリカ開発銀行(AfDB)
○2018年カナダ・シャルルボワサミット
アルゼンチン,ジャマイカ,ハイチ,セネガル,南アフリカ,ルワンダ,ケニア,セーシェル,バングラデシュ,ベトナム,マーシャル諸島,ノルウェー,国際連合(UN),国際通貨基金(IMF),世界銀行(WB),経済協力開発機構(OECD)
○2019年フランス・ビアリッツサミット
•「不平等との闘い(含むジェンダー平等)」(ワーキングランチ):参加者:G7+6国際機関(世銀,IMF,国連,OECD,ILO,WTO)+ジェンダー平等アドバイザリー評議会委員
•「アフリカとのパートナーシップ」:参加者:G7+5国際機関(世銀,IMF,国連,AU,アフリカ開銀)+アフリカ5か国(ルワンダ,セネガル,エジプト,ブルキナファソ,南ア)
•「気候,生物多様性,海洋」:参加者:G7+5国際機関(国連,世銀,OECD,AU,アフリカ開銀)+アフリカ5か国(ルワンダ,セネガル,エジプト,ブルキナファソ,南ア)+チリ,印,豪+環境団体等市民社会代表
•「デジタル化」(ワーキングランチ):参加者:G7+南ア,チリ,印,豪,OECD
○2020年予定・ホスト国アメリカ
トランプが語ったのはロシア、インド、オーストラリア、韓国の4ヶ国だけで国際機関への言及はなかった。
(*5):ヘゲモニーチャレンジをしている中国
2018/10/11投稿:
ヘゲモニーチャレンジャー中国・事大主義小中華韓国
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1032.html
2019/05/17投稿:
ヘゲモニーチャレンジ宣言をした中国Part1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1180.html
2019/05/19投稿:
ヘゲモニーチャレンジ宣言をした中国Part2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1181.html
2019/05/20投稿:
ヘゲモニーチャレンジ宣言をした中国Part3 Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1182.html
(*6):イギリス紙・ガーティアンの記事(必要部分の和訳は引用者)
Theguardian Sun 31 May 2020 12.45 BST
見出し:◆Trump cancels summit but says he will invite Putin to later G7 event
(トランプは予定されていたG7サミットをキャンセル。延期後のG7にプーチンを招待すると述べた)
副題:◆US president intends to convene 11 nations at later date in push to counter China
(米国大統領は中国に対抗するために、後日に11カ国を招集する意向)
https://www.theguardian.com/world/2020/may/31/donald-trump-postpones-g7-summit-and-signals-wider-attendance-list-in-future
リード文:○Donald Trump has been forced to cancel a planned face-to-face summit of G7 leaders in June and now wants to host an expanded meeting in September dedicated to countering China, to which Vladimir Putin would be invited.
(ドナルド・トランプは6月に予定されていたG7首脳会議の会って話す形式での会合をキャンセルすることを余儀なくされており、現状、中国への対抗に特化した拡大会合をプーチンを招待して最大9月まで延期した上で開催したいとの考えを示した。)
記事:○Trump revealed on Saturday that he had cancelled the June meeting, which he had billed as a symbol of the US “transitioning back to greatness”, after the German chancellor, Angela Merkel, told him in a phone call that she saw the summit in Washington DC as a health risk. Hundreds of security staff, journalists and officials also attend the two-day summits.
(トランプ大統領は土曜日(5月30日)に、ドイツ・メルケル首相からの2日間の首脳会談には何百人もの警備員、ジャーナリスト、職員が出席することから、健康上のリスクがあることを理由にしたワシントンでの首脳会談出席見送り表明の電話を受け、当初トランプが表明していた「偉大なアメリカへの回帰」を目的に開催を目指していた6月開催を断念したことを表明した。)
○Reports suggest the call between Merkel and Trump on Thursday was stormy, ranging over German plans for the Nord Stream 2 gas pipeline, Hong Kong, and the potential health risks of a face-to-face summit.
(ある筋の情報によると、木曜日のメルケルとトランプの間の電話は相当荒れたらしい。話題はNord Stream 2ガスパイプライン(ロシア-ドイツ間)に関するドイツの計画、香港についてなどの他、G7首脳会議の会って話す形式での会合の潜在的な健康リスクに及んでいたそうだ。)
○Trump’s new plan, outlined to reporters on Saturday, is to host an expanded G7 meeting including Russia, Australia, South Korea and India, dedicated to building an alliance against China. The plan is likely to be controversial because Russia has been banned from western-led summits since Putin’s annexation of Crimea in 2014, and is not seen as a natural ally in the defence of human rights in Hong Kong.
((G7の6月開催の延期による)トランプが構想する新しい計画の概要は土曜日(5月30日)の記者会見で示された。対中国を目的にしてG7諸国にロシア、オーストラリア、韓国、インドを招待国としたG7を開催する構想だ。しかしながら2014年にプーチンのクリミア併合によりG8ロシアはG7首脳会談から出席を拒否されており、「香港の人権擁護」との観点からは相応しい同盟国とは看做されないと考えるのが自然であり、トランプの計画は物議を醸す可能性がある。)
○Merkel and the French president, Emmanuel Macron, will also be reluctant to provide Trump with a prestigious platform to set out his China strategy weeks before the US presidential election. The Republicans see a tough approach towards China as an election-winning formula, even though his likely Democrat challenger, Joe Biden, is also sharply critical of Beijing’s modern direction.
(メルケル首相の他にフランス大統領マクロンもアメリカ大統領選挙の数週間前に中国対策の為にG7の場を使用することに消極的だ。一方、アメリカ国内では、民主党側の挑戦者であるジョー・バイデンも北京の現状の方向性に鋭く批判的であるにもかかわらず、トランプの共和党サイドは対中国強硬姿勢は選挙で勝利を収める方策としては有効だと看做している。)
○The G7 brings together the US, Japan, France, Germany, the UK, Canada and Italy.
(G7は、アメリカ、日本、フランス、ドイツ、イギリス、カナダ、イタリアで構成されている。)
○Justifying the cancellation of the June meeting and his proposed new format, Trump said the group’s current makeup was “very outdated” and does not properly represent “what’s going on in the world”. He said he had not set a precise date for the new meeting, but suggested it might be around the time of the annual UN general assembly in New York, which is normally held in September, but there is no guarantee it will go ahead this year. The proposed “G11” meeting might also be held after the presidential election, he said.
(トランプ大統領は、6月の会議キャンセルと彼が提案した新しい拡大形式の会合を正当化するため、G7の現在の構成は「時代遅れ」であり、「世界で起こっていること」を適切に表していないと述べた。
彼はG7開催の確定的な日付を設定しなかったと述べ、それは通常9月にニューヨークで開催される恒例の国連総会と同時期であるかもしれないと示唆したのの、今年中に行われる保証はない。また「G11」会合との「提案」も、大統領選後に開催されるかもしれないとトランプは語ったが、確かではない。)
○Trump caught many capitals and White House officials by surprise on 20 May, when he tweeted: “Now that our Country is ‘Transitioning back to Greatness,’ I am considering rescheduling the G-7, on the same or similar date, in Washington, DC, at the legendary Camp David. The other members are also beginning their COMEBACK. It would be a great sign to all – normalization!”(和訳省略)
○It contradicted the US government’s previous announcement that the G7 meeting would be a teleconference as a result of the coronavirus pandemic. The White House, however, confirmed within days that the meeting would be held on 25 and 26 June. It had originally been scheduled for 10 to 12 June at Camp David. (和訳省略)
○The Japanese foreign ministry had been reluctant for the prime minister, Shinzō Abe, to travel to Washington, in part because of the so-called Dominic Cummings effect. (和訳省略)
○Had Abe attended the summit, he would have been required either to quarantine himself for two weeks or take a Covid-19 test on his return. Officials told Japanese media they did not want Abe to be seen to be getting privileged treatment, and cited the backlash the UK prime minister, Boris Johnson, has faced for clearing his senior adviser of breaking UK quarantine rules. (和訳省略)
○Macron was also reported to be ambivalent about a face-to-face meeting in June, but Merkel’s spokesman broke the news that she could not guarantee her personal attendance. (和訳省略)
○European leaders are deeply critical of China’s intervention in Hong Kong, but the plan Trump set out to confront Beijing in a 10-minute address on Friday left many questions unanswered about the extent to which he is prepared to disengage the US economy from China or impose sanctions. (和訳省略)
○The EU has not yet supported sanctions, but a meeting of foreign ministers on Friday agreed that the language of a paper on China completed in early 2019 needed toughening. (和訳省略)
○The EU is also opposed to Trump’s decision to terminate Washington’s membership of the World Health Organization, privately saying the US president had not even formulated a coherent reform agenda for the UN body, let alone given the WHO time to respond to any US proposal. (和訳省略)
○The UK is hosting a virtual coronavirus vaccine summit on 4 June intended to establish a global alliance and raise funds for research, and will hope the US decision to withdraw from the WHO does not dominate the event. (和訳省略)
<引用終わり>
(*7):アメリカ・トランプ政権は、中国がアメリカを侵食している事に気がついており、2018年10月には、ペンス副大統領が米中は新冷戦状態にあるとの宣言演説を行っている。
↓
2018/10/13投稿:
新冷戦状態にあるとの宣言・ペンス米国副大統領演説(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1033.html
2018/10/16投稿:
新冷戦状態にあるとの宣言・ペンス米国副大統領演説(中編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1034.html
2018/10/17投稿:
新冷戦状態にあるとの宣言・ペンス米国副大統領演説(後編)Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1035.html
【ご参考】その約1年前に同様の事を指摘した論考
2017/12/21投稿:
情勢認識が冷戦時代のままではダメでしょ
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-829.html
(*8):イギリスBBCの報道(和訳は引用者)
BBC 31 May 2020
見出し:◆Trump delays 'outdated' G7 leaders' summit
(トランプ大統領G7首脳会議を延期)
https://www.bbc.com/news/world-us-canada-52865201
リード文:○US President Donald Trump has said he will postpone this year's G7 summit and invite leaders of other countries to participate in the talks.
(ドナルド・トランプ米大統領は今年のG7サミットを延期し、そしてG7諸国以外の国の首脳に会談への参加を呼びかけると語った。)
ハイライト1:○"I don't feel that... it properly represents what's going on in the world. It's a very outdated group of countries," Mr Trump said on Saturday.
(トランプは土曜日(5月30日)に、「今のG7は世界で起こっていることを正しく表現している・・とは私は思わない・・。古い考え方の国がいる枠組みグループだ」と述べた。)
ハイライト2:○The G7 group, which the US hosts this year, includes Canada, France, Germany, Italy, Japan and the UK.
(米国が今年主催サミットのG7は、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、イギリスにより構成されている。)
ハイライト3:○The president said Russia, South Korea, Australia and India should be invited.
(大統領は今年の招待国はロシア、韓国、オーストラリア、インドにすべきだと述べた。)
ハイライト4:○Speaking to reporters on board the presidential plane Air Force One, Mr Trump said that he was delaying the summit - which was scheduled to take place later in June - until September.
(大統領専用機エアフォースワンに同乗している記者団に、トランプは首脳会談を延期する旨の述べ、それは6月の後半に行われる予定であったのだが、9月まで延びると言った。)
小見出し:◆What is the G7 summit and what does it do?
(G7サミットの意義とは何か?何をする枠組みか?)
記事:○Last week, Mr Trump said it might be possible to hold a gathering at the White House and potentially parts of Camp David, the US presidential country retreat, despite concerns over the coronavirus pandemic.
(先週、トランプ大統領は、コロナウイルス・パンデミックへの懸念にもかかわらず、ホワイトハウスと合衆国大統領府キャンプ・デイビッドで面談によるG7会合を開催する可能性について言及した。)
○German Chancellor Angela Merkel later rejected the president's invitation to attend a summit in person because of the outbreak.
(しかし、ドイツのメルケル首相は、それに対してパンデミックの発生を理由に、G7サミットに直接出席する大統領提案を拒否した。)
○Her spokesman thanked Mr Trump, but said the German leader "cannot agree to her personal participation, to a journey to Washington".
(メルケル政権の報道官は、G7への招待自体に対しては感謝の意を述べたが、同政権は同時に「彼女(メルケル)のワシントンへの旅行(訪問)は同意できない」と述べた。)
○On Friday, UK Prime Minister Boris Johnson "agreed on the importance of convening the G7 in person in the near future" following a conversation with the US president, the White House said in a statement.
(一方、イギリスのボリス・ジョンソン首相は金曜日(5月29日)に、トランプ大統領との会話の後に「近い将来にG7を直接召集することの重要性に同意した」と述べた。)
○The G7 - or Group of Seven - leaders were scheduled to meet by videoconference in June in response to Covid-19.
(G7の首脳達は、最初はCovid-19の影響に応じてビデオ会議で会合する予定だった。)
でした。
○The group is made up of the seven of the world's largest economies.
(G7グループは世界最大の7つの経済大国で構成されている。)
○It regards itself as "a community of values", with freedom and human rights, democracy and the rule of law, and prosperity and sustainable development as its key principles.
(G7諸国は、自由と人権、民主主義と法の支配、そして繁栄と持続可能な開発を主要な原則とする「価値の共同体」であると言われている。
<引用終わり>
(*9):小中華思想
2018/11/08投稿:
徴用工・韓国「最高裁」判決雑感5Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1049.html
2017/01/31投稿:
憲法9条が韓国をOECD加盟国にした・地政学的基礎編
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-594.html
【御参考】
2019/10/10投稿:
戦後創作された「歴史」が韓国憲法に書かれている。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1268.html
(*10):以前の論考
2019/05/29投稿:
先の大戦後の現在の世界情勢は第三段階にある
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1190.html
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