改憲議論と憲法規定の実現化議論を混同させる記事(中編)
- 2019/10/16
- 21:08
改憲議論と憲法規定の実現化議論を混同させる記事(中編)

副題:改憲議論の気運が高まると出てくる「改憲よりも○○」とのゴマカシ記事。今回は東京新聞が「れいわ新撰組」の参議院議員2人をダシにした同様記事を出した。
前回論考の「前編」からの続きである。
前回の現行憲法第13条・第25条に関する論考にて述べたことで、本論としての結論付けは終わっていると思うが、今回は同じく東京新聞記事に出てきた条文のうち残りの第14条と第22条を対象に、今後の動きの予想、又は、現時点での無力化を軸足に続ける。
尚、当該東京新聞記事は前回論考(*1)の文末脚注にて引用してあるので、今回は、適宜、そこから抜粋引用して論を進める。それでは、先ずは同記事から第14条と第22条が登場する部分を以下に抜粋引用する。
↓
<抜粋引用>
・「舩後氏は、九月に首相官邸で、以前から交流のある首相と面会した際、法の下の平等を掲げる一四条や二二条の職業選択の自由にも触れ「理念を実現するために頑張る」と伝えた。」
<引用終わり>
↓
この部分は、「れいわ新選組」の両議員のうちの舩後議員の「以前の発言」を東京新聞記者が持ってきたものである。記事の前段とは違うニュアンスなのは、そういう事からである。
何故、時点の違う話をわざわざ持ってきて、第14条と第22条を記事に登場させているのか、との記者の目的は推測するしかないであるが、多分、これは前回論述した様に第13条・第25条の自民党改憲草案が現行憲法とほぼ同じであり、「改憲により人権が制限されるぅ~」との煽りが出来ないからであろうと思われる。
第14条と第22条は、第13条・第25条とは違い、ある程度の変更がなされているので、記事に登場させているのだと思われる。
第14条の場合、その理念趣旨は「法の下の平等」であり、その事は東京新聞記事にも書かれている通りである。学校で習う第14条もだいたいが第1項だけを習う。
実際のところ、人権概念・基本理念からは第14条での最重要条文は第1項であり、学校で習う部分としては、それで問題はない。
現行憲法第14条第1項の条文は「不当な不平等が発生し易い差異の例示」として、「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」が書かれており、それに対して「政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と書いてあるものである。
自民党案の第14条第1項の変更点は、これら例示に「障害の有無」が追加されているものである。
政治的、経済的、社会的関係において、所謂「障碍者差別」はしちゃアカンとの趣旨で追記されたもので、むしろ、自民党の改憲草案はWellcomeなものだと思う。
一方、同第2項は、「華族その他の貴族の制度」を廃止するとの規定であり、条文に変更はなく、現行憲法のままである。
第14条の第2項と第3項は、第1項の「法の下の平等」との理念のうちから、ある特定のものが取り上げられて条文に書かれているものである。
第2項の華族・貴族制度、第3項の栄誉・勲章授与に関しては、戦後間もない時期に於いて占領軍が「禁止」をする為に書かれたものであり、マッカーサー3原則の3番目(*2)に由来した条文である。
変更がない第2項に対して自民党案での第3項は一部の文言を削除するとの変更をしている。その内容は後述するが、この様な基礎知識を持った上で、現行憲法条文と自民党案を比較していただきたい。
現行憲法:第14条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
同第2項 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
同第3項 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
↓
自民党案:第14条(法の下の平等)(*3)
全て国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、障害の有無、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
同第2項 華族その他の貴族の制度は、認めない。
同第3項 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
第3項の変更は「いかなる特権も伴はない」が削除されただけであるのだが、所謂「護憲派」を自称する反日パヨク勢力達は、自民党案の第3項への変更が気にいらないらしい。この変更に対して「特権が付与さるるぅ~」と騒いでいるのである。
誰に、どの様な「特権」が付与されるのかは下位法で規定されるものであり、なんでもかんでも付与されるものではない。
そうであるにも関わらず「特権が付与さるるぅ~」と騒いでいるのである。
この削除で想定されているのは、例えば、消防や自衛隊や警察等が災害出動・人命救助他で無念の殉職をした場合に、報奨金や遺族年金加算等を支給する等の話であり国民感情に合致したものである。
反日パヨク達が「特権が付与さるるぅ~」とする話で「対象」として登場する「上級国民」なる印象付けの新造語で語られる様なものではない。
我が国の文化では「上級国民」なるものは存在しない。そういう印象付けをしているだけで、この新造語は「格差」「不当な優遇」等を殊更に煽るのが目的で、観念的な不満を助長する煽りは彼等パヨクの常套手段である。そんなものに安易に乗せられていれは、彼等の思う壺である。
仮に、反日パヨク達が言う様な内容の下位法を立法化する手続きを与党・政府がするのならば、世論がそんな不当な優遇策を許す訳がなく、国民は、その様な法案に賛成した議員を落選させる動きに出るであろう。何故ならば、我が国の文化では「上級国民」なるものは存在しておらず、そんなものは国民感情から大きく逸脱するからである。
ここでいう「特権」とは、上述した様な、国民を守る為に殉職してしまった消防隊員や自衛官や警察官等を対象に付与するもので、国民が「そりゃそうだよね」という内容になると想定されている。
勿論、反日パヨク達は、多くの国民が納得する内容・対象のものであっても大反対をするのは、いつものことである。
第22条も同様に、この手の「騒ぎ」に利用するには好都合な変更をしている条文である。
実際は妥当なものであるが、変更をしているものである。
変更の内容は、以下の通り、第22条の第1項は「公共の福祉に反しない限り」との語句を削除するものである。これは、第12条との二重記載状態を整理する為の削除である。
同第2項は、「国籍離脱の自由」規定であるが、これも論理矛盾を無くす為の整理に基づき変更である。
現行憲法の「何人」=「日本国籍者に限定せず日本国内の総ての人々」との対象語句を「全て国民は」=「日本人に限定」する文言へと整理されている。
これは日本以外の他国の国籍を有する人に対して「日本国籍からの離脱の自由」を規定しているとの無意味な現行憲法の条文を整理したものである。
現行憲法:第22条
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
同第2項 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
<引用終わり>
↓
自民党案:第22条(居住、移転及び職業選択等の自由等)(*4)
何人も、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
同第2項 全て国民は、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を有する。
<引用終わり>
ご存じの通り、現行憲法は、敗戦後わずか半年の1946年(昭和21年)2月の時点で、マッカーサーが提示したGHQ草案に基づき制定されたもので、その約8ヶ月後の同年11月3日に公布されたものである。(*5)
法文としての体裁の整理には手が回らず、現行憲法の条文になっているものである。
整理が間に合っていない事例としては、他に9条の「陸海空その他の戦力」が一切なく「軍人」が存在しえないのに、第66条では「内閣総理大臣その他の国務大臣は「文民」でなければならない。」とあり、あたかも軍人が存在しているかの様な撞着が見られる。(*6)
この様に、自民党案は、条文整理が主目的であるのだが、反日パヨク達は、これを「外国人が出国の自由を制限するものだぁ~」とのおかしな話をしているのである。
何がおかしいのかと言うと、我が国は外国人の出国を制限していないからである。自民党案に変更されたからと言って、そんな国際常識を逸脱する運用を我が国はしない。
国債常識に則り、我が国が外国人に対して出国制限をする場合とは、犯罪者が国外逃亡を企てている場合など、相応の条件下において行われるものである。
それは当たり前のことであり、そういう特殊事情がない限り、外国人の出国に制限はない。
在日朝鮮人のうち自称「北朝鮮の国民」に対して、あたかも我が国が出国制限をしているが如くの虚報を反日偏向マスコミは流しているが、それは大間違いである。
対北朝鮮制裁の一環として課しているのは「再入国許可をしない」である。
「出国は自由、再入国は出来ません」というのが本当の内容だ。
我が国のみならず、総ての国家は「ペルソナ・ノン・グラータ」との用語がある様に、自国にとって望ましくない人物の入国を拒否できる。これを「人権侵害」と称するのはお門違いである。従前、我が国は、この当たり前の入国拒否を運用として実地してこなかっただけである。
自称「北朝鮮の国民」の永住許可を得ている在日朝鮮人が海外旅行をする場合、当然の様に我が国のパスポートを持つ対象ではないので我が国がパスポートを発給することはない。在日朝鮮人が海外旅行をする場合、韓国または北朝鮮のパスポートもない場合は日本国政府が発効する「再入国許可証」を以て海外旅行をして、日本に入国する際は再入国許可が出国前に成されているので、それを以て再入国しているものである。
北朝鮮との行き来を頻繁にする様な人物に対しては、再入国を認めないとの国家としての当然の処置をしているものであり、北朝鮮への帰国を制限しているものではない。
「出国は自由、再入国は出来ません」というのが本当の内容だ。
実際の話とは無関係に反日パヨク達は自民党の改憲草案に対して、あたかも「出国制限をしている」かの様な虚偽の悪印象を塗り付けているのである。
東京新聞の記事が、わざわざ時点の違う話を持ってきて第14条と第22条を記事に登場させているのは、多分、「改憲により人権が制限されるぅ~」との煽りを近い将来にやる為の布石ではないかと考えている次第である。
これらに続き東京新聞の記事の最後の段落に登場するのが9条と緊急事態条項である。
この記事で、東京新聞記者がもっとも言いたかったのは、この部分であろうと推定されるが、9条と緊急事態条項という別条項になるので、今回は以上として、事項に続ける。
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【文末脚注】
(*1):前回論考の文末脚注の(*1)に題材とした東京新聞を引用している。
2019/10/11投稿:
改憲議論と憲法規定の実現化議論を混同させる記事(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1269.html
(*2):マッカーサー3原則の3番目に由来した条文である。
<マッカーサー三原則>
2016/07/29投稿:
(資料編)マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-467.html
↓
◆第1原則:天皇条項
2016/07/30投稿:
(解説編1)マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-468.html (リンク略)
◆第2原則:非武装規定・前文+9条
2016/07/31投稿:
(解説編2)マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-469.html (リンク略)
◆第3原則:マッカーサーの誤解・日本は中世封建社会?
2016/08/01投稿:
(解説編3)資料・マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-470.html
(*3):自民党案:第14条(法の下の平等)
2015/10/30投稿:
自己検証12 主権・人権概念での検証
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-248.html
(*4):自民党案:第22条(居住、移転及び職業選択等の自由等)
2015/11/09投稿:
自己検証17 主権・人権概念での検証
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-258.html
(*5):現行憲法は、敗戦後わずか半年の1946年(昭和21年)2月の時点で、マッカーサーが提示したGHQ草案に基づき制定されたもので、その約8ヶ月後の同年11月3日に公布されたものである。
2017/05/20投稿:
(資料編)憲法前文の登場・9条の登場と変遷
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-674.html
(*6):9条の「陸海空その他の戦力」が一切なく「軍人」が存在しえないのに、第66条では「内閣総理大臣その他の国務大臣は「文民」でなければならない。」とあり、あたかも軍人が存在しているかの様な撞着が見られる。
2015/09/22投稿:
【コラム】現行憲法の矛盾・混乱2
<第9条と第66条の論理的不整合について>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-218.html
2015/03/08投稿:
8-2 行政に関する条文比較 その2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-46.html
2015/06/26投稿:
17-1 第5章・内閣 その1
<自民党改憲草案の分析 その14>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-138.html
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副題:改憲議論の気運が高まると出てくる「改憲よりも○○」とのゴマカシ記事。今回は東京新聞が「れいわ新撰組」の参議院議員2人をダシにした同様記事を出した。
前回論考の「前編」からの続きである。
前回の現行憲法第13条・第25条に関する論考にて述べたことで、本論としての結論付けは終わっていると思うが、今回は同じく東京新聞記事に出てきた条文のうち残りの第14条と第22条を対象に、今後の動きの予想、又は、現時点での無力化を軸足に続ける。
尚、当該東京新聞記事は前回論考(*1)の文末脚注にて引用してあるので、今回は、適宜、そこから抜粋引用して論を進める。それでは、先ずは同記事から第14条と第22条が登場する部分を以下に抜粋引用する。
↓
<抜粋引用>
・「舩後氏は、九月に首相官邸で、以前から交流のある首相と面会した際、法の下の平等を掲げる一四条や二二条の職業選択の自由にも触れ「理念を実現するために頑張る」と伝えた。」
<引用終わり>
↓
この部分は、「れいわ新選組」の両議員のうちの舩後議員の「以前の発言」を東京新聞記者が持ってきたものである。記事の前段とは違うニュアンスなのは、そういう事からである。
何故、時点の違う話をわざわざ持ってきて、第14条と第22条を記事に登場させているのか、との記者の目的は推測するしかないであるが、多分、これは前回論述した様に第13条・第25条の自民党改憲草案が現行憲法とほぼ同じであり、「改憲により人権が制限されるぅ~」との煽りが出来ないからであろうと思われる。
第14条と第22条は、第13条・第25条とは違い、ある程度の変更がなされているので、記事に登場させているのだと思われる。
第14条の場合、その理念趣旨は「法の下の平等」であり、その事は東京新聞記事にも書かれている通りである。学校で習う第14条もだいたいが第1項だけを習う。
実際のところ、人権概念・基本理念からは第14条での最重要条文は第1項であり、学校で習う部分としては、それで問題はない。
現行憲法第14条第1項の条文は「不当な不平等が発生し易い差異の例示」として、「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」が書かれており、それに対して「政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と書いてあるものである。
自民党案の第14条第1項の変更点は、これら例示に「障害の有無」が追加されているものである。
政治的、経済的、社会的関係において、所謂「障碍者差別」はしちゃアカンとの趣旨で追記されたもので、むしろ、自民党の改憲草案はWellcomeなものだと思う。
一方、同第2項は、「華族その他の貴族の制度」を廃止するとの規定であり、条文に変更はなく、現行憲法のままである。
第14条の第2項と第3項は、第1項の「法の下の平等」との理念のうちから、ある特定のものが取り上げられて条文に書かれているものである。
第2項の華族・貴族制度、第3項の栄誉・勲章授与に関しては、戦後間もない時期に於いて占領軍が「禁止」をする為に書かれたものであり、マッカーサー3原則の3番目(*2)に由来した条文である。
変更がない第2項に対して自民党案での第3項は一部の文言を削除するとの変更をしている。その内容は後述するが、この様な基礎知識を持った上で、現行憲法条文と自民党案を比較していただきたい。
現行憲法:第14条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
同第2項 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
同第3項 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
↓
自民党案:第14条(法の下の平等)(*3)
全て国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、障害の有無、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
同第2項 華族その他の貴族の制度は、認めない。
同第3項 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
第3項の変更は「いかなる特権も伴はない」が削除されただけであるのだが、所謂「護憲派」を自称する反日パヨク勢力達は、自民党案の第3項への変更が気にいらないらしい。この変更に対して「特権が付与さるるぅ~」と騒いでいるのである。
誰に、どの様な「特権」が付与されるのかは下位法で規定されるものであり、なんでもかんでも付与されるものではない。
そうであるにも関わらず「特権が付与さるるぅ~」と騒いでいるのである。
この削除で想定されているのは、例えば、消防や自衛隊や警察等が災害出動・人命救助他で無念の殉職をした場合に、報奨金や遺族年金加算等を支給する等の話であり国民感情に合致したものである。
反日パヨク達が「特権が付与さるるぅ~」とする話で「対象」として登場する「上級国民」なる印象付けの新造語で語られる様なものではない。
我が国の文化では「上級国民」なるものは存在しない。そういう印象付けをしているだけで、この新造語は「格差」「不当な優遇」等を殊更に煽るのが目的で、観念的な不満を助長する煽りは彼等パヨクの常套手段である。そんなものに安易に乗せられていれは、彼等の思う壺である。
仮に、反日パヨク達が言う様な内容の下位法を立法化する手続きを与党・政府がするのならば、世論がそんな不当な優遇策を許す訳がなく、国民は、その様な法案に賛成した議員を落選させる動きに出るであろう。何故ならば、我が国の文化では「上級国民」なるものは存在しておらず、そんなものは国民感情から大きく逸脱するからである。
ここでいう「特権」とは、上述した様な、国民を守る為に殉職してしまった消防隊員や自衛官や警察官等を対象に付与するもので、国民が「そりゃそうだよね」という内容になると想定されている。
勿論、反日パヨク達は、多くの国民が納得する内容・対象のものであっても大反対をするのは、いつものことである。
第22条も同様に、この手の「騒ぎ」に利用するには好都合な変更をしている条文である。
実際は妥当なものであるが、変更をしているものである。
変更の内容は、以下の通り、第22条の第1項は「公共の福祉に反しない限り」との語句を削除するものである。これは、第12条との二重記載状態を整理する為の削除である。
同第2項は、「国籍離脱の自由」規定であるが、これも論理矛盾を無くす為の整理に基づき変更である。
現行憲法の「何人」=「日本国籍者に限定せず日本国内の総ての人々」との対象語句を「全て国民は」=「日本人に限定」する文言へと整理されている。
これは日本以外の他国の国籍を有する人に対して「日本国籍からの離脱の自由」を規定しているとの無意味な現行憲法の条文を整理したものである。
現行憲法:第22条
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
同第2項 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
<引用終わり>
↓
自民党案:第22条(居住、移転及び職業選択等の自由等)(*4)
何人も、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
同第2項 全て国民は、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を有する。
<引用終わり>
ご存じの通り、現行憲法は、敗戦後わずか半年の1946年(昭和21年)2月の時点で、マッカーサーが提示したGHQ草案に基づき制定されたもので、その約8ヶ月後の同年11月3日に公布されたものである。(*5)
法文としての体裁の整理には手が回らず、現行憲法の条文になっているものである。
整理が間に合っていない事例としては、他に9条の「陸海空その他の戦力」が一切なく「軍人」が存在しえないのに、第66条では「内閣総理大臣その他の国務大臣は「文民」でなければならない。」とあり、あたかも軍人が存在しているかの様な撞着が見られる。(*6)
この様に、自民党案は、条文整理が主目的であるのだが、反日パヨク達は、これを「外国人が出国の自由を制限するものだぁ~」とのおかしな話をしているのである。
何がおかしいのかと言うと、我が国は外国人の出国を制限していないからである。自民党案に変更されたからと言って、そんな国際常識を逸脱する運用を我が国はしない。
国債常識に則り、我が国が外国人に対して出国制限をする場合とは、犯罪者が国外逃亡を企てている場合など、相応の条件下において行われるものである。
それは当たり前のことであり、そういう特殊事情がない限り、外国人の出国に制限はない。
在日朝鮮人のうち自称「北朝鮮の国民」に対して、あたかも我が国が出国制限をしているが如くの虚報を反日偏向マスコミは流しているが、それは大間違いである。
対北朝鮮制裁の一環として課しているのは「再入国許可をしない」である。
「出国は自由、再入国は出来ません」というのが本当の内容だ。
我が国のみならず、総ての国家は「ペルソナ・ノン・グラータ」との用語がある様に、自国にとって望ましくない人物の入国を拒否できる。これを「人権侵害」と称するのはお門違いである。従前、我が国は、この当たり前の入国拒否を運用として実地してこなかっただけである。
自称「北朝鮮の国民」の永住許可を得ている在日朝鮮人が海外旅行をする場合、当然の様に我が国のパスポートを持つ対象ではないので我が国がパスポートを発給することはない。在日朝鮮人が海外旅行をする場合、韓国または北朝鮮のパスポートもない場合は日本国政府が発効する「再入国許可証」を以て海外旅行をして、日本に入国する際は再入国許可が出国前に成されているので、それを以て再入国しているものである。
北朝鮮との行き来を頻繁にする様な人物に対しては、再入国を認めないとの国家としての当然の処置をしているものであり、北朝鮮への帰国を制限しているものではない。
「出国は自由、再入国は出来ません」というのが本当の内容だ。
実際の話とは無関係に反日パヨク達は自民党の改憲草案に対して、あたかも「出国制限をしている」かの様な虚偽の悪印象を塗り付けているのである。
東京新聞の記事が、わざわざ時点の違う話を持ってきて第14条と第22条を記事に登場させているのは、多分、「改憲により人権が制限されるぅ~」との煽りを近い将来にやる為の布石ではないかと考えている次第である。
これらに続き東京新聞の記事の最後の段落に登場するのが9条と緊急事態条項である。
この記事で、東京新聞記者がもっとも言いたかったのは、この部分であろうと推定されるが、9条と緊急事態条項という別条項になるので、今回は以上として、事項に続ける。
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【文末脚注】
(*1):前回論考の文末脚注の(*1)に題材とした東京新聞を引用している。
2019/10/11投稿:
改憲議論と憲法規定の実現化議論を混同させる記事(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1269.html
(*2):マッカーサー3原則の3番目に由来した条文である。
<マッカーサー三原則>
2016/07/29投稿:
(資料編)マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-467.html
↓
◆第1原則:天皇条項
2016/07/30投稿:
(解説編1)マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-468.html (リンク略)
◆第2原則:非武装規定・前文+9条
2016/07/31投稿:
(解説編2)マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-469.html (リンク略)
◆第3原則:マッカーサーの誤解・日本は中世封建社会?
2016/08/01投稿:
(解説編3)資料・マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-470.html
(*3):自民党案:第14条(法の下の平等)
2015/10/30投稿:
自己検証12 主権・人権概念での検証
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-248.html
(*4):自民党案:第22条(居住、移転及び職業選択等の自由等)
2015/11/09投稿:
自己検証17 主権・人権概念での検証
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-258.html
(*5):現行憲法は、敗戦後わずか半年の1946年(昭和21年)2月の時点で、マッカーサーが提示したGHQ草案に基づき制定されたもので、その約8ヶ月後の同年11月3日に公布されたものである。
2017/05/20投稿:
(資料編)憲法前文の登場・9条の登場と変遷
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-674.html
(*6):9条の「陸海空その他の戦力」が一切なく「軍人」が存在しえないのに、第66条では「内閣総理大臣その他の国務大臣は「文民」でなければならない。」とあり、あたかも軍人が存在しているかの様な撞着が見られる。
2015/09/22投稿:
【コラム】現行憲法の矛盾・混乱2
<第9条と第66条の論理的不整合について>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-218.html
2015/03/08投稿:
8-2 行政に関する条文比較 その2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-46.html
2015/06/26投稿:
17-1 第5章・内閣 その1
<自民党改憲草案の分析 その14>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-138.html
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