輸出管理・外為法規制での「ホワイト国」除外の意味
- 2019/07/03
- 20:18
輸出管理・外為法規制での「ホワイト国」除外の意味

副題:信頼性の有無の重要性を認識出来ない人達が「やっちまったなぁ~」状態になってから初めて慌てている。予見可能性は充分にあったのに、韓国はいったい何をやっているのであろう。
経産省の輸出管理運用見直しで韓国が慌てているとのニュースが沢山流れているが、何を今更感が強い。
2015年12月28日に日韓は慰安婦合意をしたのだが、その合意内容を確認して、これで一区切りがついたと理解した。当方はその2週間後の時点で【主権国家が他の主権国家と合意した事項を安易に反故にした場合、それ以降、反故にした国家は、その事例を以て国際的信用を喪失し、外交や国際的経済取引で不利な立場に追い込まれるので、普通は反故にされない。】と当時の論考で指摘済である。(*1)
当たり前の国際常識を合意直後に書いただけなのであるが、「普通は」と書いてあるところにリスクを感じていることがうかがえて自分自身で面白いと思う。
その後韓国は、朴槿恵の弾劾・文在寅の大統領就任との「普通じゃない」状態となり、「普通じゃない」大統領の文在寅は、慰安婦合意を反故にして「慰安婦を慰安する財団」を解散した。文在寅は慰安婦問題を解決する能力も意思もないことを露わにしたのであった。(*2)
慰安婦合意反故に続き、文在寅は自称「徴用工」裁判で、自身の国家統治責務を放棄し、日韓基本条約を反故にする動きを始めた。
日韓基本条約は我が国と戦後建国された韓国との国交樹立条約であり、同条約の一部をなす請求権協定で決着済みの事項に対して、韓国・最高裁は国家の統治行為を侵害する判決を下した。
韓国司法及び行政の長である文在寅は、国際常識に反して、国内での司法判断を以て他の主権国との条約を反故にするとの暴挙に出たのである。
我が国は、当然の様に、日韓基本条約に則って、その暴挙に対して異議を述べた。
日韓基本条約・請求権協定の第3条には紛争解決条項(*3)があるので、我が国は同条に基づき韓国に対して、紛争解決を公文にて要求したのだが、3条規定の期限を過ぎても韓国は、何等の回答もよこさないとの明確な条約協定違反をしたのである。
慰安婦合意反故、自称「徴用工」判決が続く中で、韓国は我が国の哨戒機に対して準戦闘行為である射撃統制レーダー照射事件を起こした。そして、その事に対して虚偽を以て逆に我が国を非難するなど「普通じゃない」行為を続けてきた。
それらの行為を改める兆候はなく一切なく、むしろ韓国政府は、それら国際法違反行為を棚に上げ、日本を非難することを継続した。(*4)
そして先般、大阪でG20が開催されたのだが、文在寅からは何等の訂正も方針変更の表明はなく、韓国の日韓国交樹立条約を蔑ろにする状態が続くことが予見された。
事ここに至り、我が国は、韓国に対する信頼性・信用は一切認められないと判断することになった。
この様な経緯を経て、韓国を信頼性・信用がない国家と認定する事態となった訳だ。
我が国偏向メディアの「報道」は、その焦点が歪んでおり、盛んに「報復措置だ」との文脈を提示しているが、今回の措置のポイントは「韓国は信頼性・信用がない国家」と認定せざるを得ない事態だということだ。
我が国は、自由・公平・法治との価値観に基づく国際的な種々の取り決めを遵守する立場にある。
そういう日本は、その責務に於いて単に「韓国けしからん」と感情的に対応する様な立場にはない。そんな子供の様な文脈でしか「報道」していないのが我が国偏向メディアなのである。
我が国が国家として、韓国を「信頼性なし・信用に値せず」と認定してのならば、国際的取り決めのうち、信頼性・信用を基盤にした各種運用の見直しが必要になってくるのは当然のことである。
そうでなければ我が国は国際的取り決めに反する国となり、韓国と同レベルに落ちてしまうではないか。
そういう事なので、輸出管理の世界で行われている「信頼性あり・信用できる」をベースにした特例国の中から韓国を除外することにしたものが、今回の措置なのである。
輸出管理とは、一言で言えば、輸出した物品がテロや大量破壊兵器に使用され、平和・安寧を乱す恐れがある場合は、その物品の輸出を各国が制限しなくてはならないとするものである。
我が国の輸出管理の根拠法は「外為法」と通称される「外国為替及び外国貿易法」である。
この通称名は、法の主旨や中身を誤解させるもので実によろしくないと数十年前から思っているのだが、仕方がない。外為法=輸出管理法だと頭に入れるしかない。
先ずは、根拠法である外為法の概要を簡単に説明する。
法律を読むときの基本の1つに、その法律の立法主旨・目的は第1条に書かれているので、それを最初に読むことが必要だ。という訳で外為法の「目的」を以下に紹介する。
↓
<外国為替及び外国貿易法>
(昭和二十四年法律第二百二十八号)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=324AC0000000228
(目的)
第1条:この法律は、外国為替、外国貿易その他の対外取引が自由に行われることを基本とし、対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し、もつて国際収支の均衡及び通貨の安定を図るとともに我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
第2条:削除
第3条:削除
第4条:削除
<引用終わり>
↓
外為法の場合、目的が書かれているのは第1条だけではなく、第4条まで4つあるのだが、現在は、第1条以外の「目的」は削除されている。
これはその昔は外貨の持ち出し・海外送金が規制対象だったのだが、自由化により必要なくなったことに伴う削除である。当方が若い頃、自由化前の時代は、海外直接投資などの際には日銀・大蔵の許可対象だったので日本橋や霞が関に行ったことを思い出す。
そういう経緯から、第1条の後半部には「国際収支の均衡及び通貨の安定」とあり、その名残が見て取れる。
閑話休題、現状で生きている目的のうち注目していただきたいのは「我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し」である。
これが意味するところは、最初にぶっちゃけて書いた「輸出した物品がテロや大量破壊兵器に使用され、平和・安寧を乱す恐れがある場合は、その物品の輸出を各国が制限しなくてはならない」というものである。
とは言え、現実的には多量の物品が日々流通し輸出されており、輸出品全品に対して、頑丈なExport Pakageを開封して検査し梱包し直す事を輸出の現場に強制させる様なヒステリックな制度では輸出管理は機能しない。
そういう事なので、リスクが高い品目及びリスクが高い輸出先への輸出品に対してはしっかりと対応し、リスクが低い品目及びリスクが低い輸出先への輸出品に対しては簡便とする制度になっているのである。
「リスクが高い品目」はリスト化されている。
具体的には、輸出貿易管理令の別表第1のことである。
この別表はかなり細かく長いので、興味あれば、上記リンク先で各自ご確認いただきたい。
代表的な物品としては、軍用車両、軍用航空機、軍用船舶、武器・弾薬等の武器関係、核物質、原子炉、重水素、遠心分離機等の核関係、高度工作機械、測定装置、炭素繊維、チタン合金等の戦略物資などである。これらは「軍事転用の可能性が特に高い貨物」である。
これらを輸出しようとする場合、日本にある輸出業者は届け出をして、当局の許可を受けることが義務化されている。
今回話題のフッ化ポリイミドは別表1の第5項の(17)に、レジストは同第7項の(19)に記載があるのでご確認いただきたい。
同様、「リスクが高い輸出先」と「リスクが低い輸出先」も法令規定されている。
具体的には、輸出貿易管理令の別表第3のことである。
別表第3には、「リスクが低い輸出先」が記載されおり、これを「ホワイト国」と読んでいる様である。
政令別表でのホワイト国は英文国名ABC順に並んでいるが、ちょっと分かり難いので分類し直して以下に示す。
↓
<日本から見た「ホワイト国」別表3>
・G7諸国:米国、英国、仏国、独国、伊国、加州
・西欧北欧諸国:オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、ギリシャ、アイルランド、ルクセンブルグ、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス
・オセアニア英連邦諸国:オーストラリア、ニュージーランド
・旧東欧のNATO/EU加盟国:ブルガリア、チェコ、ハンガリー、ポーランド
・南米:アルゼンチン
・アジア:韓国
↓
お気付きだと思うが、ホワイト国に指定された国々は、要するに「ちゃんと国際ルールを守ることが出来るであろうと看做される国々」である。
分類上、便宜的に表題を付したが、例えば、「南米」ではG20メンバーのブラジルはホワイト国ではないし、「アジア」ではG20インドもホワイト国ではない。「中東」は全然なくG20サウジ、G20トルコもホワイト国ではない.
また、「旧東欧のNATO/EU加盟国」は、上記した4か国以外にもバルト三国等がいるのだがホワイト国ではない。
日本から見れば、経済的にはASEANのタイやシンガポールなどは重要な輸出入取引国なのだが、ホワイト国ではない。
何が言いたいのかというと、輸出管理上のホワイト国の位置付けは「ちゃんと国際ルールに基づいた安全保障上の輸出管理が出来るであろうと看做される国々」であり、経済的関係が深くても、友好国であっても、そういう管理で徹底されそうにない、国際ルールを守れないと看做される場合は、ホワイト国には該当しない、ということだ。
尚、「リスクが高い輸出先」は別表3の2、別表4に記載がある。
↓
別表第3の2
アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、スーダン
別表4
イラン、イラク、北朝鮮
↓
お気付きだと思うが、北朝鮮とイラクは両別表に記載がある。
今回の話題とは関係ないので詳しくは述べないが別定義なのである。
とは言え、これら「リスクが高い輸出先」は紛争当事国であったり、国連の制裁対象であったりとと世間一般で言われる「ブラックリスト」に該当する国々である。
ホワイト国は、輸出の際の手続きを簡便にして良い国々であり、ブラックリスト国は輸出申請をしても許可されない国々だと理解すればよい。
ホワイト国とブラックリスト国以外の多くの国々は、その中間にあるのである。
今回、韓国は、国交樹立条約である日韓基本条約さえも無視するなどの愚行を繰り返したので、「ちゃんと国際ルールに基づいた安全保障上の輸出管理が出来ない」と認定されたのである。
そういう話なのであるが、我が国偏向メディアは、そういう本当の話をしないで、「報復措置だ」とか「経済的にマイナスだ」とかの見当違いの文脈で「報道」している。
こんなインチキ「報道」では、輸出管理を知らない一般の国民は、誤解してしまうではないか。(*5)
多分、この様な見当違いは、韓国政府も同様であろう。
その様に考えるのは、我が国は、この様な運用改訂をする前に段階で、韓国政府に対して盛んに「国際ルールをちゃんと守りましょうよ」との指摘・アプローチをしていた。
韓国が国際ルールを守れないのなら、国際ルールを遵守する我が国は、安全保障上の輸出管理の観点から、輸出管理の国際ルールに則り、韓国をホワイト国から外すことになるのは予見可能な話なのに、韓国は、それを改め様とはしなかったのである。
同様、韓国は「WTO違反」などと言っている様だが、WTOの何に違反するのであろう?
ホワイト国じゃなくなったからと言って、それは禁輸措置ではない。
輸出管理上の扱いがインド、タイ、インガポールと同様になっただけである。
韓国は、輸出管理の国際ルールも調べず、まともな検証もなく、脊髄反射をしているだけの勘違い・見当違いをしているとしか考えられないのである。
因みに、既に10数年前になってしまうが、当方は某組織の輸出管理業務運用責任者の立場にあったことがある。そういう事なので、普通の人よりは輸出管理を知っている。
とは言え、昔のことなので、最新の情勢の知見はない。
今回は以上である。
何れにしろ、偏向メディアの提示する「偽りの土俵」での議論や判断は、間違い発生の原因であり、我が国偏向メディアのインチキぶりには、毎回、本当に困ったものだと思っている次第である。
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【文末脚注】
(*1):2015年12月28日の日韓慰安婦合意の約2週間後の時点で当方は以下の様に、当時の論考で指摘済である。
↓
【主権国家が他の主権国家と合意した事項を安易に反故にした場合、それ以降、反故にした国家は、その事例を以て国際的信用を喪失し、外交や国際的経済取引で不利な立場に追い込まれるので、普通は反故にされない。】
↓
2016/01/14投稿:
【コラム】「慰安婦」問題5 論点の整理の為に
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-314.html
(*2):文在寅は慰安婦問題を解決する能力も意思もないことを露わにしたのであった。
2018/11/22投稿:
自分では解決する能力・意思がない韓国
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1059.html
2019/01/30投稿:
「慰安婦財団」を解散し責任から逃げ出す韓国政府
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1101.html
(*3):日韓基本条約・請求権協定の第3条には紛争解決条項があるので、我が国は同条に基づき韓国に対して、紛争解決を公文にて要求したのだが、3条規定の期限を過ぎても韓国は、何等の回答もよこさないとの明確な条約協定違反をしたのである。
<日韓基本条約・請求権協定第3条の文字起こし:外務省HP>
財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定.
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/A-S40-293_1.pdf
↓
第三条 紛争の解決
1 この協定の解釈及び実施の関する両締約国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。
2 1の規定により解決することができなかつた紛争は、いずれか一方の締約国の政府が他方の締約国の政府から紛争の仲裁を要請する公文を受領した日から三十日の期間内に各締約刻政府が任命する各一人の秀才委員と、こうして選定された二人の仲裁委員が当該期間の後の三十日の期間内に合意する第三の仲裁委員又は当該期間内にその二人の仲裁委員が合意する第三国の政府が使命する第三の仲裁委員との三人の仲裁委員からなる仲裁委員会に決定のため付託するものとする。ただし、第三の仲裁委員は、両締約刻のうちいずれかの国民であつてはならない。
3 いずれか一方の締約国の政府が当該期間内に仲裁委員を任命しなかつたとき、又は第三の仲裁委員若しくは第三国について当該期間内に合意されなかつたときは、秀才委員会は、両締約国政府のそれぞれが三十日の期間内に選定する国の政府が使命する各一人の仲裁委員とそれらの政府が協議により決定する第三国の政府が使命する第三の仲裁委員をもつて構成さるものとする。
4 両締約国政府は、この条の規定に基づく仲裁委員会の決定に服するものとする。
【ご参考】
2019/06/18投稿:
【速報】日韓基本条約・請求権協定第3条に違反した韓国
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1201.html
(*4):むしろ韓国政府は、それら国際法違反行為を棚に上げ、日本を非難することを継続した。
2019/05/16投稿:
自分に不都合な経緯は総て「なかったこと」にする韓国首相
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1179.html
2019/04/15投稿:
自分が蒔いた種の後始末を日本に強要する韓国
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1155.html
【ご参考】
2019/02/16投稿:
【追記】族・文喜相の限度を知らぬ発言・韓国語和訳の紹介
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1114.html
(*5):こんなインチキ「報道」では、輸出管理を知らない一般の国民は、誤解してしまうではないか。
2016/02/24投稿:
【コラム】「報道の自由」・「国民の知る権利」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-342.html
2017/08/19投稿:
国民の知る権利
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-734.html
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副題:信頼性の有無の重要性を認識出来ない人達が「やっちまったなぁ~」状態になってから初めて慌てている。予見可能性は充分にあったのに、韓国はいったい何をやっているのであろう。
経産省の輸出管理運用見直しで韓国が慌てているとのニュースが沢山流れているが、何を今更感が強い。
2015年12月28日に日韓は慰安婦合意をしたのだが、その合意内容を確認して、これで一区切りがついたと理解した。当方はその2週間後の時点で【主権国家が他の主権国家と合意した事項を安易に反故にした場合、それ以降、反故にした国家は、その事例を以て国際的信用を喪失し、外交や国際的経済取引で不利な立場に追い込まれるので、普通は反故にされない。】と当時の論考で指摘済である。(*1)
当たり前の国際常識を合意直後に書いただけなのであるが、「普通は」と書いてあるところにリスクを感じていることがうかがえて自分自身で面白いと思う。
その後韓国は、朴槿恵の弾劾・文在寅の大統領就任との「普通じゃない」状態となり、「普通じゃない」大統領の文在寅は、慰安婦合意を反故にして「慰安婦を慰安する財団」を解散した。文在寅は慰安婦問題を解決する能力も意思もないことを露わにしたのであった。(*2)
慰安婦合意反故に続き、文在寅は自称「徴用工」裁判で、自身の国家統治責務を放棄し、日韓基本条約を反故にする動きを始めた。
日韓基本条約は我が国と戦後建国された韓国との国交樹立条約であり、同条約の一部をなす請求権協定で決着済みの事項に対して、韓国・最高裁は国家の統治行為を侵害する判決を下した。
韓国司法及び行政の長である文在寅は、国際常識に反して、国内での司法判断を以て他の主権国との条約を反故にするとの暴挙に出たのである。
我が国は、当然の様に、日韓基本条約に則って、その暴挙に対して異議を述べた。
日韓基本条約・請求権協定の第3条には紛争解決条項(*3)があるので、我が国は同条に基づき韓国に対して、紛争解決を公文にて要求したのだが、3条規定の期限を過ぎても韓国は、何等の回答もよこさないとの明確な条約協定違反をしたのである。
慰安婦合意反故、自称「徴用工」判決が続く中で、韓国は我が国の哨戒機に対して準戦闘行為である射撃統制レーダー照射事件を起こした。そして、その事に対して虚偽を以て逆に我が国を非難するなど「普通じゃない」行為を続けてきた。
それらの行為を改める兆候はなく一切なく、むしろ韓国政府は、それら国際法違反行為を棚に上げ、日本を非難することを継続した。(*4)
そして先般、大阪でG20が開催されたのだが、文在寅からは何等の訂正も方針変更の表明はなく、韓国の日韓国交樹立条約を蔑ろにする状態が続くことが予見された。
事ここに至り、我が国は、韓国に対する信頼性・信用は一切認められないと判断することになった。
この様な経緯を経て、韓国を信頼性・信用がない国家と認定する事態となった訳だ。
我が国偏向メディアの「報道」は、その焦点が歪んでおり、盛んに「報復措置だ」との文脈を提示しているが、今回の措置のポイントは「韓国は信頼性・信用がない国家」と認定せざるを得ない事態だということだ。
我が国は、自由・公平・法治との価値観に基づく国際的な種々の取り決めを遵守する立場にある。
そういう日本は、その責務に於いて単に「韓国けしからん」と感情的に対応する様な立場にはない。そんな子供の様な文脈でしか「報道」していないのが我が国偏向メディアなのである。
我が国が国家として、韓国を「信頼性なし・信用に値せず」と認定してのならば、国際的取り決めのうち、信頼性・信用を基盤にした各種運用の見直しが必要になってくるのは当然のことである。
そうでなければ我が国は国際的取り決めに反する国となり、韓国と同レベルに落ちてしまうではないか。
そういう事なので、輸出管理の世界で行われている「信頼性あり・信用できる」をベースにした特例国の中から韓国を除外することにしたものが、今回の措置なのである。
輸出管理とは、一言で言えば、輸出した物品がテロや大量破壊兵器に使用され、平和・安寧を乱す恐れがある場合は、その物品の輸出を各国が制限しなくてはならないとするものである。
我が国の輸出管理の根拠法は「外為法」と通称される「外国為替及び外国貿易法」である。
この通称名は、法の主旨や中身を誤解させるもので実によろしくないと数十年前から思っているのだが、仕方がない。外為法=輸出管理法だと頭に入れるしかない。
先ずは、根拠法である外為法の概要を簡単に説明する。
法律を読むときの基本の1つに、その法律の立法主旨・目的は第1条に書かれているので、それを最初に読むことが必要だ。という訳で外為法の「目的」を以下に紹介する。
↓
<外国為替及び外国貿易法>
(昭和二十四年法律第二百二十八号)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=324AC0000000228
(目的)
第1条:この法律は、外国為替、外国貿易その他の対外取引が自由に行われることを基本とし、対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し、もつて国際収支の均衡及び通貨の安定を図るとともに我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
第2条:削除
第3条:削除
第4条:削除
<引用終わり>
↓
外為法の場合、目的が書かれているのは第1条だけではなく、第4条まで4つあるのだが、現在は、第1条以外の「目的」は削除されている。
これはその昔は外貨の持ち出し・海外送金が規制対象だったのだが、自由化により必要なくなったことに伴う削除である。当方が若い頃、自由化前の時代は、海外直接投資などの際には日銀・大蔵の許可対象だったので日本橋や霞が関に行ったことを思い出す。
そういう経緯から、第1条の後半部には「国際収支の均衡及び通貨の安定」とあり、その名残が見て取れる。
閑話休題、現状で生きている目的のうち注目していただきたいのは「我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し」である。
これが意味するところは、最初にぶっちゃけて書いた「輸出した物品がテロや大量破壊兵器に使用され、平和・安寧を乱す恐れがある場合は、その物品の輸出を各国が制限しなくてはならない」というものである。
とは言え、現実的には多量の物品が日々流通し輸出されており、輸出品全品に対して、頑丈なExport Pakageを開封して検査し梱包し直す事を輸出の現場に強制させる様なヒステリックな制度では輸出管理は機能しない。
そういう事なので、リスクが高い品目及びリスクが高い輸出先への輸出品に対してはしっかりと対応し、リスクが低い品目及びリスクが低い輸出先への輸出品に対しては簡便とする制度になっているのである。
「リスクが高い品目」はリスト化されている。
具体的には、輸出貿易管理令の別表第1のことである。
この別表はかなり細かく長いので、興味あれば、上記リンク先で各自ご確認いただきたい。
代表的な物品としては、軍用車両、軍用航空機、軍用船舶、武器・弾薬等の武器関係、核物質、原子炉、重水素、遠心分離機等の核関係、高度工作機械、測定装置、炭素繊維、チタン合金等の戦略物資などである。これらは「軍事転用の可能性が特に高い貨物」である。
これらを輸出しようとする場合、日本にある輸出業者は届け出をして、当局の許可を受けることが義務化されている。
今回話題のフッ化ポリイミドは別表1の第5項の(17)に、レジストは同第7項の(19)に記載があるのでご確認いただきたい。
同様、「リスクが高い輸出先」と「リスクが低い輸出先」も法令規定されている。
具体的には、輸出貿易管理令の別表第3のことである。
別表第3には、「リスクが低い輸出先」が記載されおり、これを「ホワイト国」と読んでいる様である。
政令別表でのホワイト国は英文国名ABC順に並んでいるが、ちょっと分かり難いので分類し直して以下に示す。
↓
<日本から見た「ホワイト国」別表3>
・G7諸国:米国、英国、仏国、独国、伊国、加州
・西欧北欧諸国:オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、ギリシャ、アイルランド、ルクセンブルグ、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス
・オセアニア英連邦諸国:オーストラリア、ニュージーランド
・旧東欧のNATO/EU加盟国:ブルガリア、チェコ、ハンガリー、ポーランド
・南米:アルゼンチン
・アジア:韓国
↓
お気付きだと思うが、ホワイト国に指定された国々は、要するに「ちゃんと国際ルールを守ることが出来るであろうと看做される国々」である。
分類上、便宜的に表題を付したが、例えば、「南米」ではG20メンバーのブラジルはホワイト国ではないし、「アジア」ではG20インドもホワイト国ではない。「中東」は全然なくG20サウジ、G20トルコもホワイト国ではない.
また、「旧東欧のNATO/EU加盟国」は、上記した4か国以外にもバルト三国等がいるのだがホワイト国ではない。
日本から見れば、経済的にはASEANのタイやシンガポールなどは重要な輸出入取引国なのだが、ホワイト国ではない。
何が言いたいのかというと、輸出管理上のホワイト国の位置付けは「ちゃんと国際ルールに基づいた安全保障上の輸出管理が出来るであろうと看做される国々」であり、経済的関係が深くても、友好国であっても、そういう管理で徹底されそうにない、国際ルールを守れないと看做される場合は、ホワイト国には該当しない、ということだ。
尚、「リスクが高い輸出先」は別表3の2、別表4に記載がある。
↓
別表第3の2
アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、スーダン
別表4
イラン、イラク、北朝鮮
↓
お気付きだと思うが、北朝鮮とイラクは両別表に記載がある。
今回の話題とは関係ないので詳しくは述べないが別定義なのである。
とは言え、これら「リスクが高い輸出先」は紛争当事国であったり、国連の制裁対象であったりとと世間一般で言われる「ブラックリスト」に該当する国々である。
ホワイト国は、輸出の際の手続きを簡便にして良い国々であり、ブラックリスト国は輸出申請をしても許可されない国々だと理解すればよい。
ホワイト国とブラックリスト国以外の多くの国々は、その中間にあるのである。
今回、韓国は、国交樹立条約である日韓基本条約さえも無視するなどの愚行を繰り返したので、「ちゃんと国際ルールに基づいた安全保障上の輸出管理が出来ない」と認定されたのである。
そういう話なのであるが、我が国偏向メディアは、そういう本当の話をしないで、「報復措置だ」とか「経済的にマイナスだ」とかの見当違いの文脈で「報道」している。
こんなインチキ「報道」では、輸出管理を知らない一般の国民は、誤解してしまうではないか。(*5)
多分、この様な見当違いは、韓国政府も同様であろう。
その様に考えるのは、我が国は、この様な運用改訂をする前に段階で、韓国政府に対して盛んに「国際ルールをちゃんと守りましょうよ」との指摘・アプローチをしていた。
韓国が国際ルールを守れないのなら、国際ルールを遵守する我が国は、安全保障上の輸出管理の観点から、輸出管理の国際ルールに則り、韓国をホワイト国から外すことになるのは予見可能な話なのに、韓国は、それを改め様とはしなかったのである。
同様、韓国は「WTO違反」などと言っている様だが、WTOの何に違反するのであろう?
ホワイト国じゃなくなったからと言って、それは禁輸措置ではない。
輸出管理上の扱いがインド、タイ、インガポールと同様になっただけである。
韓国は、輸出管理の国際ルールも調べず、まともな検証もなく、脊髄反射をしているだけの勘違い・見当違いをしているとしか考えられないのである。
因みに、既に10数年前になってしまうが、当方は某組織の輸出管理業務運用責任者の立場にあったことがある。そういう事なので、普通の人よりは輸出管理を知っている。
とは言え、昔のことなので、最新の情勢の知見はない。
今回は以上である。
何れにしろ、偏向メディアの提示する「偽りの土俵」での議論や判断は、間違い発生の原因であり、我が国偏向メディアのインチキぶりには、毎回、本当に困ったものだと思っている次第である。
1日1回ポチっとな ↓



【文末脚注】
(*1):2015年12月28日の日韓慰安婦合意の約2週間後の時点で当方は以下の様に、当時の論考で指摘済である。
↓
【主権国家が他の主権国家と合意した事項を安易に反故にした場合、それ以降、反故にした国家は、その事例を以て国際的信用を喪失し、外交や国際的経済取引で不利な立場に追い込まれるので、普通は反故にされない。】
↓
2016/01/14投稿:
【コラム】「慰安婦」問題5 論点の整理の為に
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-314.html
(*2):文在寅は慰安婦問題を解決する能力も意思もないことを露わにしたのであった。
2018/11/22投稿:
自分では解決する能力・意思がない韓国
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1059.html
2019/01/30投稿:
「慰安婦財団」を解散し責任から逃げ出す韓国政府
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1101.html
(*3):日韓基本条約・請求権協定の第3条には紛争解決条項があるので、我が国は同条に基づき韓国に対して、紛争解決を公文にて要求したのだが、3条規定の期限を過ぎても韓国は、何等の回答もよこさないとの明確な条約協定違反をしたのである。
<日韓基本条約・請求権協定第3条の文字起こし:外務省HP>
財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定.
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/A-S40-293_1.pdf
↓
第三条 紛争の解決
1 この協定の解釈及び実施の関する両締約国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。
2 1の規定により解決することができなかつた紛争は、いずれか一方の締約国の政府が他方の締約国の政府から紛争の仲裁を要請する公文を受領した日から三十日の期間内に各締約刻政府が任命する各一人の秀才委員と、こうして選定された二人の仲裁委員が当該期間の後の三十日の期間内に合意する第三の仲裁委員又は当該期間内にその二人の仲裁委員が合意する第三国の政府が使命する第三の仲裁委員との三人の仲裁委員からなる仲裁委員会に決定のため付託するものとする。ただし、第三の仲裁委員は、両締約刻のうちいずれかの国民であつてはならない。
3 いずれか一方の締約国の政府が当該期間内に仲裁委員を任命しなかつたとき、又は第三の仲裁委員若しくは第三国について当該期間内に合意されなかつたときは、秀才委員会は、両締約国政府のそれぞれが三十日の期間内に選定する国の政府が使命する各一人の仲裁委員とそれらの政府が協議により決定する第三国の政府が使命する第三の仲裁委員をもつて構成さるものとする。
4 両締約国政府は、この条の規定に基づく仲裁委員会の決定に服するものとする。
【ご参考】
2019/06/18投稿:
【速報】日韓基本条約・請求権協定第3条に違反した韓国
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1201.html
(*4):むしろ韓国政府は、それら国際法違反行為を棚に上げ、日本を非難することを継続した。
2019/05/16投稿:
自分に不都合な経緯は総て「なかったこと」にする韓国首相
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1179.html
2019/04/15投稿:
自分が蒔いた種の後始末を日本に強要する韓国
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1155.html
【ご参考】
2019/02/16投稿:
【追記】族・文喜相の限度を知らぬ発言・韓国語和訳の紹介
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1114.html
(*5):こんなインチキ「報道」では、輸出管理を知らない一般の国民は、誤解してしまうではないか。
2016/02/24投稿:
【コラム】「報道の自由」・「国民の知る権利」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-342.html
2017/08/19投稿:
国民の知る権利
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-734.html
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