小西洋之の暴言は「主語入れ換え論法」でした
- 2019/03/19
- 19:56
小西洋之の暴言は「主語入れ換え論法」でした

副題:防大卒業式で訓示した安倍首相を誹謗する小西。しかし、小西の発言の主語を基に戻してみたら、それは小西の自己紹介だったと分かった。
参議院議員・小西と言えば、その奇妙な言動で顰蹙を買っている議員であり、「良識の府・参議院」に相応しくない議員であると以前から幾度も論評してきた。(*1)
今般、同氏はツイッターで我が国総理大臣を「狂人のレベルだ」と中傷した。
それは、以前からの指摘内容を再確認するものであった。
参考の為、小西のツイートを以下に引用する。
<小西の誹謗ツイートを引用>
小西ひろゆき (参議院議員)@konishihiroyuki
2019年3月17日 19:42
https://twitter.com/i/web/status/1107230726640943104
○自衛隊員を改憲の道具に使うのはいい加減にしろ。安倍総理は、私から「自衛隊を違憲とする学説にどのような考えのものがあるか紹介して頂きたい」と二度問われ、全く何も喋れなかった。安倍総理ほど自衛隊員の尊厳を踏みにじっている人間はこの世にいない。狂人のレベルだ。
Yahooニュース(朝日新聞デジタル)記事の引用あり
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190317-00000012-asahi-pol
<引用終わり>
※Yahooニュース(朝日新聞デジタル)記事は文末脚注の(*2)を参照のこと
小西が安倍首相のことを「狂人のレベルだ」と称しているのだが、それに正当な論拠があれば中傷には該当しない。
小西の暴言の論拠であろう部分は、同ツイートでは「安倍総理は、私から「自衛隊を違憲とする学説にどのような考えのものがあるか紹介して頂きたい」と二度問われ、全く何も喋れなかった。」の部分であろうと推察される。
ツイッターは140文字制限があるので、論拠をきっちりとは示せない仕様になっているので、この「「私から」「二度」質問した」を国会議事録で調べてみたのだが、小西が安倍首相に直接質問した際の議事録は検索では発見できなかった。
一方、一昨年(平成29年・2017年)の12月に小西が提出した「質問主意書」(*3)は参議院HPにあったので、多分、これではないかと読んでみた。
その結果は、相変わらずの「神学論争に持ち込む「審議しているふり」での改憲阻止」(*4)を目的にしたものだった。
これを一言で言えば、毎回のこの手の話には、国民の命、平和・安寧を確保するとの根本視点が欠落しており、机上の空論を弄ぶものであって、何等、国民の為になっていないものである。(*5)
要するに、日本人の事を脇に置いた空論であり、何等の価値も認められないものである。
日本人の命、平和・安寧の確保に軸足を置いた議論から逃げているもので、そこに軸足を置けば、太平洋での激戦が終わってから僅か半年しか経っていない時点で、敵将が考案した「憲法」(*6)を改憲して、法的矛盾を解消すれば良いだけである。
小西の質問は、「神学論争に持ち込む「審議しているふり」での改憲阻止」を目的にしたものであり、それに答えることは、既に「敵の術中に嵌る」事になるので、安倍首相は「其の手は桑名の焼き蛤」とばかりに「全く何も喋らなかった」のである。
この小西の「質問主意書」は一昨年12月に提出されたものであるが、ツイートは2019年3月17日15:03に配信されたYahooニュース(朝日新聞デジタル)記事に反応したものである。
同記事は、同日に行われた防衛大学校の卒業式及びそこでの「内閣総理大臣訓示」を報じるものであるが、どうやら小西は、その見出し「◆首相、改憲念頭に「政治責任果たす」 防大卒業式で訓示」に反応して、上記の様な「狂人のレベルだ」とのツイートをした様である。
朝日の記事に出て来る安倍首相の発言は、以下の2点で、そのどちらも真っ当なものである。
・「政治も責任を果たさなければならない。自衛官が強い誇りを持って職務を全うできるよう環境を整えるため、全力を尽くす決意だ」
・「新しい防衛大綱の下、宇宙、サイバー、電磁波といった領域で我が国が優位性を保つことができるよう、次なる時代の防衛力の構築に向け、今までとは抜本的に異なる速度で変革を推し進めていく」
現行憲法の9条第2項の「陸海空その他の戦力は、これを保持しない」との規定では、我々国民を守れないので、先人達は「解釈」との方法で自衛隊を以て、安全保障組織としているものだが、これは、以前から指摘している様に、如何にも苦しいし、また、この条文を利用した無駄な神学論争で「日本人の命、平和・安全の確保」との本質の議論を妨げることが過去からずっと続いており、実際に、在外邦人を見捨てる事件が起こっている。(*7)
その様な問題を解消する為にも「環境を整える」のは「政治の責任」だと言っているのであり、極めて真っ当な内容である。
また、日本人の命、平和・安全の確保する為には、従前の領土・領海・領空の保全策だけでは充分ではなくなっているとの現実が存在しており、宇宙空間、サイバー空間等の新たな分野での対応が必要になってきた事を述べている。
宇宙、サイバーについては、既に、2013年12月17日に安倍政権下で閣議決定された「国家安全保障戦略」(*8)にて、その必要性が明示されており、防大生にとっては、当たり前の話である。
この様な「当たり前の話」をしているのだが、小西は、安倍首相のことを「狂人のレベルだ」と中傷したのである。
念には念を入れて、 防大卒業式での「内閣総理大臣訓示」の全文を首相官邸HPで確認(*9)しただが、何も問題点は見当たらなかった。
むしろ、素晴らしい話をしていることを確認した。
是非とも、文末脚注に引用した同訓示を御一読いただきたい。
以上の様な確認・検証を行ったのだが、その何処にも小西が言う様な事はなかった。
・「自衛隊員を改憲の道具に使うのはいい加減にしろ。」
・「安倍総理ほど自衛隊員の尊厳を踏みにじっている人間はこの世にいない。」
・「狂人のレベルだ」
などと小西は中傷しているのだが、事実からすると、これはひょっとして、「主語入れ換え論法」(*10)なのではないかと考えた。
これらの中傷の主語を「小西」に戻してみると、以下の様になった。
大括弧【】で示した部分が「主語等を元に戻した」箇所である。
・「【現行憲法9条】を道具に使うのはいい加減にしろ。」
・「【小西】ほど自衛隊員の尊厳を踏みにじっている人間はこの世にいない。」
・「【小西は】)狂人のレベルだ」
なるほど、やはり「自己紹介」になってしまっているので、小西のツイートは、「主語入れ換え論法」であることが分かる。
なんとも情けない話である。
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【文末脚注】
(*1):参議院議員・小西と言えば、その奇妙な言動で顰蹙を買っている議員であり、「良識の府・参議院」に相応しくない議員であると以前から幾度も論評してきた。
↓
※安保法制審議時の後先考えぬ小西は、当時75歳になろうとしている鴻池議長に対して、視界外の真後ろからフライングボディアタックを試みるとの愚行を犯した。その行為が首の骨を折る危険性がある行為だとの自覚などまるっきりなく。
2016/01/13投稿:
第4章・国会 衆議院・参議院について
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-313.html
※憲法審議会では、憲法議論をするなとの趣旨の意見を述べる
2016/11/16投稿:
憲法審査会1・参議院2016/11/16その1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-560.html
※フライングボディアタックを阻止した難っくき佐藤正久議員を屁理屈で口撃するとの私事を優先する不見識な小西
2018/04/12投稿:
民進党・小西の知的怠惰は相変わらず
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-905.html
(*2)小西がツイートで引用したYahooニュース(朝日新聞デジタル)記事
Yahooニュース(朝日新聞デジタル)3/17(日) 15:03配信
見出し:◆首相、改憲念頭に「政治責任果たす」 防大卒業式で訓示
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190317-00000012-asahi-pol
記事:○安倍晋三首相は17日、防衛大学校(神奈川県横須賀市)の卒業式で、改憲を念頭に「政治も責任を果たさなければならない。自衛官が強い誇りを持って職務を全うできるよう環境を整えるため、全力を尽くす決意だ」と訓示した。
○昨年末に改定した防衛計画の大綱(防衛大綱)にも言及し、「新しい防衛大綱の下、宇宙、サイバー、電磁波といった領域で我が国が優位性を保つことができるよう、次なる時代の防衛力の構築に向け、今までとは抜本的に異なる速度で変革を推し進めていく」と語った。
○今年度の防衛大の卒業生は478人(うち女性は48人)と留学生25人。任官辞退は49人だった。
.<引用終わり>
(*3):小西が一昨年12月に提出した「質問主意書」(参議院HP)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/195/syuh/s195046.htm
第195回国会(特別会) 質問主意書
○質問第四六号
◆自衛隊を違憲あるいは違憲の疑いとする憲法学者に対する安倍政権の認識に関する質問主意書
○右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。平成二十九年十二月八日
小西 洋之
参議院議長 伊達 忠一 殿
◆自衛隊を違憲あるいは違憲の疑いとする憲法学者に対する安倍政権の認識に関する質問主意書
一 安倍総理は平成二十九年十一月二十七日の衆議院予算委員会において「憲法学者の中においても、合憲と言い切る憲法学者は二割しかいないわけでありまして、違憲の疑い、あるいは合憲と言い切れないということを合わせますと、七割を超える憲法学者がそう述べているところでございます。」と述べているが、これはどのような調査等を根拠としたものか明らかにされたい。また、当日の同委員会での答弁で指摘している朝日新聞社の調査以外に、自衛隊を違憲あるいは違憲の疑いがあるとする憲法学者の割合に関する調査等で政府が承知しているものをそこに示されている割合の数字と共に明らかにされたい。
二 自衛隊を違憲とする学説のうち、憲法第九条を我が国として一切の武力組織を保有することを禁止したものと理解するものがあるが、前記の「違憲の疑い、あるいは合憲と言い切れないということを合わせますと、七割を超える」との発言について、憲法第九条をこのような我が国が完全な非武装しか許されないことを定めたものと理解する憲法学者は「七割を超える」憲法学者の中にどれほどの割合で存在すると承知しているか。
三 自衛隊違憲論を唱える憲法学者には、憲法第九条は我が国が必要最小限度の実力を有することまでは禁止していないが自衛隊の組織や装備の実態が憲法第九条第二項の戦力の不保持に照らし違憲であるとの見解に立つ者が相当数いるところ、一方で歴代政府においても攻撃型空母などの装備を自衛隊が保有することは憲法第九条第二項の戦力の不保持に照らし違憲になるとしているところである。だとすれば、「憲法学者の中においても、合憲と言い切る憲法学者は二割しかいないわけでありまして、違憲の疑い、あるいは合憲と言い切れないということを合わせますと、七割を超える憲法学者がそう述べているところでございます。」といった単純な主張のみを自衛隊明記の改憲の必要性の根拠として訴えることは不適切な印象操作というべきものではないか。
○右質問する。
<引用終わり>
(*4):「神学論争に持ち込む「審議しているふり」での改憲阻止」
2015/03/28投稿:
【コラム】憲法審査会 神学論争・入口論争を野党は繰り返すのか?
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-67.html
2016/10/13投稿:
「議論する前に議題を取り下げろ」(民進党の憲法観3)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-519.html
2018/02/27投稿:
相変わらずの寝転がり戦法・野党5党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-871.html
2018/07/02投稿:
「憲法議論をさせないことでの改憲阻止」との愚劣
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-969.html
2018/09/23投稿:
「国会で憲法議論などするものか」と相変わらずの野党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1020.html
(*5)平和・安寧を確保するとの根本視点が欠落しており、机上の空論を弄ぶものであって、何等、国民の為になっていないものである。
2017/07/25投稿:
憲法議論2・憲法9条・議論の出発点
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-677.html
(*6)太平洋での激戦が終わってから僅か半年しか経っていない時点で、敵将が考案した「憲法」を改憲して、法的矛盾を解消すれば良いだけである。
2016/07/29投稿:
(資料編)マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-467.html
2016/07/31投稿:
(解説編2)資料・マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-469.html
2017/05/20投稿:
(解説編)憲法前文の登場・9条の登場と変遷
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-674.html
【ご参考】
2016/06/08投稿:
続々・歴史年表・戦後史部分の概観
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-430.html
(*7):実際に、在外邦人を見捨てる事件が起こっている。(*8)
2015/02/21投稿:
【コラム】在外邦人保護に反対してる人は鬼畜
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-29.html
2015/11/12投稿:
【コラム】在外国民の保護
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-261.html
2017/04/14投稿:
「いかなる事態でも国民を守り服」安倍首相
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-648.html
(*8):2013年12月17日に安倍政権下で閣議決定された「国家安全保障戦略」でサイバー、宇宙等の新たな分野での対応が明示されている。
2016/06/27投稿:
戦後我が国の国防方針5
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-445.html
2016/07/14投稿:
戦後我が国の国防方針6
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-456.html
(*9):防大卒業式での「内閣総理大臣訓示」の全文・首相官邸HP
首相官邸HP 平成31年3月17日
表題:◆平成30年度 防衛大学校卒業式 内閣総理大臣訓示
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2019/0317kunji.html
本文:○本日、伝統ある防衛大学校の卒業式に当たり、これからの我が国の防衛の中枢を担う諸君に、心からのお祝いを申し上げます。
○卒業、おめでとう。諸君は、平成最後の卒業生となります。平成は、自衛隊への国民の信頼が揺るぎないものとなった時代でありました。
○地下鉄サリン事件、2度の大地震を始めとした相次ぐ自然災害。その過酷な現場での救助活動に、自衛隊の諸君は躊躇(ちゅうちょ)することなく、真っ先に飛び込んでくれました。未曽有(みぞう)の危機に直面した人々にとって、その姿は、正に大きな希望の光であったと思います。
○そして、平成は、世界を舞台に、その平和と安定のために、自衛隊が、大きな役割を果たした時代でありました。湾岸戦争、米国における同時多発テロ。冷戦終結によって平和な時代の到来を予想した世界は、地域紛争、テロの拡散といった新たな事態に直面することになりました。
○もはや、一国のみで、どの国も自国の安全を守ることはできない時代にあって、自衛隊は、その高い能力を存分にいかし、40を超える国と世界の海で、その平和と安定のために貢献してきました。
○灼熱(しゃくねつ)の南スーダンで整備したグラウンドは、アフリカの次の時代を担う子供たちの笑顔であふれています。東ティモールで、マラリアと闘いながら築きあげた道路は、首都ディリと各地方を結び、国家の自立と発展を支える大動脈となっています。
○他方、冷戦終結後の世界では、日米同盟について漂流しているとさえ言われたときがありました。しかし、助けあえる同盟は、その絆を強くする。平和安全法制の成立によって、日米同盟はこれまでになく強固なものとなり、地域の平和と安定に一層寄与するものとなりました。
○昭和が終わり、平成が始まったとき、誰もが予測できなかった変化がこの30年間で起こり、自衛隊はその変化にしっかりと対応し、進化を遂げてきた。
○適者生存という言葉があります。生存競争において、勝ち残ることができるのは、最も力がある者ではありません。その環境に最も適応した者。すなわち、環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できた者であります。
○世の中は、私たちが望むと望まざるとにかかわらず、これからも、変化を続けていくでしょう。ですから、どうか、昨日までの常識を、常に、疑ってください。そして、時代に応じて変化することを恐れないでほしいと思います。
○国民のための自衛隊、世界の平和と安定に貢献する自衛隊。その更なる進化に向けて、時代の変化に目を凝らし、日々、自己研鑽(けんさん)に励んでほしいと思います。
○今、この瞬間も、これまでとは桁違いのスピードで、我が国の安全保障環境は、厳しさと不確実性を増しています。サイバー空間や宇宙空間における活動に、各国がしのぎを削る時代となりました。軍事技術は格段のイノベーションを遂げ、陸・海・空における対応を重視してきた国家の安全保障の在り方を根本から変えようとしています。
○もはや、今までの延長線では対応できない。陸、海、空。従来からの枠組みに捉われた発想のままでは、この国を守り抜くことはできません。激変する安全保障環境の中にあって必要なことは、我が国自身が、国民の命と平和な暮らし、領土・領海・領空、主権と独立を主体的・自主的な努力で守る体制を抜本的に強化する。そして、自らの果たし得る役割の拡大を図っていく。
○新しい防衛大綱の下、宇宙・サイバー・電磁波といった領域で我が国が優位性を保つことができるよう、次なる時代の防衛力の構築に向け、今までとは抜本的に異なる速度で、変革を推し進めていきます。
○どんなにすばらしい戦略も、作文それ自体には意味がありません。この戦略に魂を入れるのは、諸君です。その矜持(きょうじ)を持って、自衛官としての任務を全うしてください。
○本年は、9か国から30名の留学生諸君も卒業を迎えます。派遣国、卒業生の数、ともに過去最多です。留学生の諸君、卒業、おめでとう。君たちは、これからも、我が国のかけがえのない友人です。母国に戻っての活躍を大いに期待しています。ここ小原台での厳しい修練の日々は、必ずや今後の成長の糧となる。私は、そう確信しています。ここで育んだ仲間との絆(きずな)、そして、切磋琢磨(せっさたくま)し、寝食を共にした日々を胸に、母国の平和の実現に頑張ってください。
○いつの日か、皆さんと自衛隊が一緒に活動する日が来るかもしれません。世界の平和と繁栄のため、共に、力を尽くしてまいりましょう。
○世界に自衛隊の名を知らしめたのは、ペルシャ湾への掃海部隊の派遣でした。落合指揮官率いる部隊が任務に当たった海域は、海底パイプラインが縦横に走り、ダイバーが手探りで機雷を探さなければならない。各国が手をつけなかった、最も厳しい難所でありました。そうした中でも、10年以上にわたる精緻な研究、あらゆる事態を想定した訓練、その全てを傾けて、自衛隊の掃海部隊は、見事に任務を完遂してくれました。
○部隊は呉港に無事帰還。半年にわたる活動を終え、充実感に包まれる隊員たちを前に、落合指揮官は、世界が称賛した自衛隊史に残る作戦の最後を、こう締めくくりました。実力は一日にしてつくものではない。不断の錬磨がなければ、いざというときの力の発揮にはつながらない。
○いつ、いかなる状況であろうとも、与えられた任務を、完璧に全うする。並大抵のことではありません。極度の重圧がかかる現場において、その瞬間がやって来た時には、必ずや、国民の期待に応える。その強い決意の下に、日頃から鍛錬を怠ることなく、地道な努力を重ねてほしいと思います。
○ソマリア沖・アデン湾での海賊対処、荒波に揉(も)まれながらの警戒監視、突如現れる国籍不明機へのスクランブル。これまでも、これからも、自衛隊が臨む任務には、常に危険を伴います。だからこそ、国民は、諸君を頼りにしている。国民の命と平和な暮らしを守る任務は、誠に、崇高なものであります。
○事に臨んでは危険を顧みず、もって国民の負託に応える。全国25万人、全ての自衛隊員が行うこの宣誓の重さを、私も、常に、心に刻んでいます。自ら進んで、自衛官としての道を選んだ諸君は、日本国民の誇りであります。
○本日は、昭和51年に卒業されたOBの皆さんもお集まりです。皆さんがこの小原台で学んでいた頃、裁判所で自衛隊を憲法違反とする判決が出たことを覚えておられる方も多いかもしれません。当時、自衛隊に対する視線はいまだ厳しいものがあった。皆さんも、心ない批判にさらされたかもしれません。
○しかし、皆さんは、歯を食いしばり、昭和から平成へと時代が変わる中、厳しさを増す安全保障環境に立ち向かい、数々の困難な現場にあって、国民の命と平和な暮らしを守り抜いてくれました。阪神・淡路大震災で懸命な救命救助に当たる自衛隊員の姿は、今も、多くの国民の瞼(まぶた)に焼き付いています。
○大きな仕事を遂げ、ここ小原台に戻ってこられた皆さんへ、心からの感謝と敬意を込めて、会場の皆さんと共に、大きな拍手を送りたいと思います。
○今や、自衛隊は、国民の9割から信頼を勝ち得ています。先人たちがたゆまぬ努力によって築き上げてきたこの成果を受け継ぐ卒業生諸君は、静かな誇りを持ちながら、更なる高みを目指して、それぞれの自衛官人生を歩んでほしいと思います。
○政治も、その責任をしっかりと果たさなければならない。次は、私たちが、自衛隊の諸君が強い誇りをもって職務を全うできるよう環境を整えるため、全力を尽くす決意です。
○御家族の皆様。彼らの凛々(りり)しくも、頼もしい姿を御覧ください。大切なお子様を自衛官として送り出していただくことに、心から御礼を申し上げます。皆様の温かい支援があって、彼らは厳しい訓練を乗り越え、日本の平和を担う立派な若者に成長しました。お子様が万全の態勢で任務を遂行できるよう、全力を尽くすことをお約束いたします。
○終わりに、全身全霊を持って学生の教育に当たって来られた國分(こくぶん)学校長、教職員の皆様に敬意を表しますとともに、平素から防衛大学校に御理解と御協力を頂いている御来賓の皆様に、感謝申し上げます。
○卒業生諸君の、今後益々の活躍、防衛大学校の一層の発展を祈念し、私からの訓示といたします。
平成三十一年三月十七日
自衛隊最高指揮官
内閣総理大臣 安倍 晋三
<引用終わり>
(*10):「主語入れ換え論法」
2018/12/12投稿:
「韓国の反応」は相変わらずの「あの論法」その1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1071.html
2019/01/07投稿:
韓国国防部動画の分析2・やっぱし「あの論法」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1085.html
【ご参考】
2017/06/30投稿:
憲法議論7・現行憲法9条Q&A
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-705.html
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副題:防大卒業式で訓示した安倍首相を誹謗する小西。しかし、小西の発言の主語を基に戻してみたら、それは小西の自己紹介だったと分かった。
参議院議員・小西と言えば、その奇妙な言動で顰蹙を買っている議員であり、「良識の府・参議院」に相応しくない議員であると以前から幾度も論評してきた。(*1)
今般、同氏はツイッターで我が国総理大臣を「狂人のレベルだ」と中傷した。
それは、以前からの指摘内容を再確認するものであった。
参考の為、小西のツイートを以下に引用する。
<小西の誹謗ツイートを引用>
小西ひろゆき (参議院議員)@konishihiroyuki
2019年3月17日 19:42
https://twitter.com/i/web/status/1107230726640943104
○自衛隊員を改憲の道具に使うのはいい加減にしろ。安倍総理は、私から「自衛隊を違憲とする学説にどのような考えのものがあるか紹介して頂きたい」と二度問われ、全く何も喋れなかった。安倍総理ほど自衛隊員の尊厳を踏みにじっている人間はこの世にいない。狂人のレベルだ。
Yahooニュース(朝日新聞デジタル)記事の引用あり
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190317-00000012-asahi-pol
<引用終わり>
※Yahooニュース(朝日新聞デジタル)記事は文末脚注の(*2)を参照のこと
小西が安倍首相のことを「狂人のレベルだ」と称しているのだが、それに正当な論拠があれば中傷には該当しない。
小西の暴言の論拠であろう部分は、同ツイートでは「安倍総理は、私から「自衛隊を違憲とする学説にどのような考えのものがあるか紹介して頂きたい」と二度問われ、全く何も喋れなかった。」の部分であろうと推察される。
ツイッターは140文字制限があるので、論拠をきっちりとは示せない仕様になっているので、この「「私から」「二度」質問した」を国会議事録で調べてみたのだが、小西が安倍首相に直接質問した際の議事録は検索では発見できなかった。
一方、一昨年(平成29年・2017年)の12月に小西が提出した「質問主意書」(*3)は参議院HPにあったので、多分、これではないかと読んでみた。
その結果は、相変わらずの「神学論争に持ち込む「審議しているふり」での改憲阻止」(*4)を目的にしたものだった。
これを一言で言えば、毎回のこの手の話には、国民の命、平和・安寧を確保するとの根本視点が欠落しており、机上の空論を弄ぶものであって、何等、国民の為になっていないものである。(*5)
要するに、日本人の事を脇に置いた空論であり、何等の価値も認められないものである。
日本人の命、平和・安寧の確保に軸足を置いた議論から逃げているもので、そこに軸足を置けば、太平洋での激戦が終わってから僅か半年しか経っていない時点で、敵将が考案した「憲法」(*6)を改憲して、法的矛盾を解消すれば良いだけである。
小西の質問は、「神学論争に持ち込む「審議しているふり」での改憲阻止」を目的にしたものであり、それに答えることは、既に「敵の術中に嵌る」事になるので、安倍首相は「其の手は桑名の焼き蛤」とばかりに「全く何も喋らなかった」のである。
この小西の「質問主意書」は一昨年12月に提出されたものであるが、ツイートは2019年3月17日15:03に配信されたYahooニュース(朝日新聞デジタル)記事に反応したものである。
同記事は、同日に行われた防衛大学校の卒業式及びそこでの「内閣総理大臣訓示」を報じるものであるが、どうやら小西は、その見出し「◆首相、改憲念頭に「政治責任果たす」 防大卒業式で訓示」に反応して、上記の様な「狂人のレベルだ」とのツイートをした様である。
朝日の記事に出て来る安倍首相の発言は、以下の2点で、そのどちらも真っ当なものである。
・「政治も責任を果たさなければならない。自衛官が強い誇りを持って職務を全うできるよう環境を整えるため、全力を尽くす決意だ」
・「新しい防衛大綱の下、宇宙、サイバー、電磁波といった領域で我が国が優位性を保つことができるよう、次なる時代の防衛力の構築に向け、今までとは抜本的に異なる速度で変革を推し進めていく」
現行憲法の9条第2項の「陸海空その他の戦力は、これを保持しない」との規定では、我々国民を守れないので、先人達は「解釈」との方法で自衛隊を以て、安全保障組織としているものだが、これは、以前から指摘している様に、如何にも苦しいし、また、この条文を利用した無駄な神学論争で「日本人の命、平和・安全の確保」との本質の議論を妨げることが過去からずっと続いており、実際に、在外邦人を見捨てる事件が起こっている。(*7)
その様な問題を解消する為にも「環境を整える」のは「政治の責任」だと言っているのであり、極めて真っ当な内容である。
また、日本人の命、平和・安全の確保する為には、従前の領土・領海・領空の保全策だけでは充分ではなくなっているとの現実が存在しており、宇宙空間、サイバー空間等の新たな分野での対応が必要になってきた事を述べている。
宇宙、サイバーについては、既に、2013年12月17日に安倍政権下で閣議決定された「国家安全保障戦略」(*8)にて、その必要性が明示されており、防大生にとっては、当たり前の話である。
この様な「当たり前の話」をしているのだが、小西は、安倍首相のことを「狂人のレベルだ」と中傷したのである。
念には念を入れて、 防大卒業式での「内閣総理大臣訓示」の全文を首相官邸HPで確認(*9)しただが、何も問題点は見当たらなかった。
むしろ、素晴らしい話をしていることを確認した。
是非とも、文末脚注に引用した同訓示を御一読いただきたい。
以上の様な確認・検証を行ったのだが、その何処にも小西が言う様な事はなかった。
・「自衛隊員を改憲の道具に使うのはいい加減にしろ。」
・「安倍総理ほど自衛隊員の尊厳を踏みにじっている人間はこの世にいない。」
・「狂人のレベルだ」
などと小西は中傷しているのだが、事実からすると、これはひょっとして、「主語入れ換え論法」(*10)なのではないかと考えた。
これらの中傷の主語を「小西」に戻してみると、以下の様になった。
大括弧【】で示した部分が「主語等を元に戻した」箇所である。
・「【現行憲法9条】を道具に使うのはいい加減にしろ。」
・「【小西】ほど自衛隊員の尊厳を踏みにじっている人間はこの世にいない。」
・「【小西は】)狂人のレベルだ」
なるほど、やはり「自己紹介」になってしまっているので、小西のツイートは、「主語入れ換え論法」であることが分かる。
なんとも情けない話である。
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【文末脚注】
(*1):参議院議員・小西と言えば、その奇妙な言動で顰蹙を買っている議員であり、「良識の府・参議院」に相応しくない議員であると以前から幾度も論評してきた。
↓
※安保法制審議時の後先考えぬ小西は、当時75歳になろうとしている鴻池議長に対して、視界外の真後ろからフライングボディアタックを試みるとの愚行を犯した。その行為が首の骨を折る危険性がある行為だとの自覚などまるっきりなく。
2016/01/13投稿:
第4章・国会 衆議院・参議院について
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-313.html
※憲法審議会では、憲法議論をするなとの趣旨の意見を述べる
2016/11/16投稿:
憲法審査会1・参議院2016/11/16その1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-560.html
※フライングボディアタックを阻止した難っくき佐藤正久議員を屁理屈で口撃するとの私事を優先する不見識な小西
2018/04/12投稿:
民進党・小西の知的怠惰は相変わらず
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-905.html
(*2)小西がツイートで引用したYahooニュース(朝日新聞デジタル)記事
Yahooニュース(朝日新聞デジタル)3/17(日) 15:03配信
見出し:◆首相、改憲念頭に「政治責任果たす」 防大卒業式で訓示
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190317-00000012-asahi-pol
記事:○安倍晋三首相は17日、防衛大学校(神奈川県横須賀市)の卒業式で、改憲を念頭に「政治も責任を果たさなければならない。自衛官が強い誇りを持って職務を全うできるよう環境を整えるため、全力を尽くす決意だ」と訓示した。
○昨年末に改定した防衛計画の大綱(防衛大綱)にも言及し、「新しい防衛大綱の下、宇宙、サイバー、電磁波といった領域で我が国が優位性を保つことができるよう、次なる時代の防衛力の構築に向け、今までとは抜本的に異なる速度で変革を推し進めていく」と語った。
○今年度の防衛大の卒業生は478人(うち女性は48人)と留学生25人。任官辞退は49人だった。
.<引用終わり>
(*3):小西が一昨年12月に提出した「質問主意書」(参議院HP)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/195/syuh/s195046.htm
第195回国会(特別会) 質問主意書
○質問第四六号
◆自衛隊を違憲あるいは違憲の疑いとする憲法学者に対する安倍政権の認識に関する質問主意書
○右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。平成二十九年十二月八日
小西 洋之
参議院議長 伊達 忠一 殿
◆自衛隊を違憲あるいは違憲の疑いとする憲法学者に対する安倍政権の認識に関する質問主意書
一 安倍総理は平成二十九年十一月二十七日の衆議院予算委員会において「憲法学者の中においても、合憲と言い切る憲法学者は二割しかいないわけでありまして、違憲の疑い、あるいは合憲と言い切れないということを合わせますと、七割を超える憲法学者がそう述べているところでございます。」と述べているが、これはどのような調査等を根拠としたものか明らかにされたい。また、当日の同委員会での答弁で指摘している朝日新聞社の調査以外に、自衛隊を違憲あるいは違憲の疑いがあるとする憲法学者の割合に関する調査等で政府が承知しているものをそこに示されている割合の数字と共に明らかにされたい。
二 自衛隊を違憲とする学説のうち、憲法第九条を我が国として一切の武力組織を保有することを禁止したものと理解するものがあるが、前記の「違憲の疑い、あるいは合憲と言い切れないということを合わせますと、七割を超える」との発言について、憲法第九条をこのような我が国が完全な非武装しか許されないことを定めたものと理解する憲法学者は「七割を超える」憲法学者の中にどれほどの割合で存在すると承知しているか。
三 自衛隊違憲論を唱える憲法学者には、憲法第九条は我が国が必要最小限度の実力を有することまでは禁止していないが自衛隊の組織や装備の実態が憲法第九条第二項の戦力の不保持に照らし違憲であるとの見解に立つ者が相当数いるところ、一方で歴代政府においても攻撃型空母などの装備を自衛隊が保有することは憲法第九条第二項の戦力の不保持に照らし違憲になるとしているところである。だとすれば、「憲法学者の中においても、合憲と言い切る憲法学者は二割しかいないわけでありまして、違憲の疑い、あるいは合憲と言い切れないということを合わせますと、七割を超える憲法学者がそう述べているところでございます。」といった単純な主張のみを自衛隊明記の改憲の必要性の根拠として訴えることは不適切な印象操作というべきものではないか。
○右質問する。
<引用終わり>
(*4):「神学論争に持ち込む「審議しているふり」での改憲阻止」
2015/03/28投稿:
【コラム】憲法審査会 神学論争・入口論争を野党は繰り返すのか?
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-67.html
2016/10/13投稿:
「議論する前に議題を取り下げろ」(民進党の憲法観3)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-519.html
2018/02/27投稿:
相変わらずの寝転がり戦法・野党5党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-871.html
2018/07/02投稿:
「憲法議論をさせないことでの改憲阻止」との愚劣
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-969.html
2018/09/23投稿:
「国会で憲法議論などするものか」と相変わらずの野党
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1020.html
(*5)平和・安寧を確保するとの根本視点が欠落しており、机上の空論を弄ぶものであって、何等、国民の為になっていないものである。
2017/07/25投稿:
憲法議論2・憲法9条・議論の出発点
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-677.html
(*6)太平洋での激戦が終わってから僅か半年しか経っていない時点で、敵将が考案した「憲法」を改憲して、法的矛盾を解消すれば良いだけである。
2016/07/29投稿:
(資料編)マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-467.html
2016/07/31投稿:
(解説編2)資料・マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-469.html
2017/05/20投稿:
(解説編)憲法前文の登場・9条の登場と変遷
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-674.html
【ご参考】
2016/06/08投稿:
続々・歴史年表・戦後史部分の概観
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-430.html
(*7):実際に、在外邦人を見捨てる事件が起こっている。(*8)
2015/02/21投稿:
【コラム】在外邦人保護に反対してる人は鬼畜
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-29.html
2015/11/12投稿:
【コラム】在外国民の保護
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-261.html
2017/04/14投稿:
「いかなる事態でも国民を守り服」安倍首相
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-648.html
(*8):2013年12月17日に安倍政権下で閣議決定された「国家安全保障戦略」でサイバー、宇宙等の新たな分野での対応が明示されている。
2016/06/27投稿:
戦後我が国の国防方針5
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-445.html
2016/07/14投稿:
戦後我が国の国防方針6
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-456.html
(*9):防大卒業式での「内閣総理大臣訓示」の全文・首相官邸HP
首相官邸HP 平成31年3月17日
表題:◆平成30年度 防衛大学校卒業式 内閣総理大臣訓示
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2019/0317kunji.html
本文:○本日、伝統ある防衛大学校の卒業式に当たり、これからの我が国の防衛の中枢を担う諸君に、心からのお祝いを申し上げます。
○卒業、おめでとう。諸君は、平成最後の卒業生となります。平成は、自衛隊への国民の信頼が揺るぎないものとなった時代でありました。
○地下鉄サリン事件、2度の大地震を始めとした相次ぐ自然災害。その過酷な現場での救助活動に、自衛隊の諸君は躊躇(ちゅうちょ)することなく、真っ先に飛び込んでくれました。未曽有(みぞう)の危機に直面した人々にとって、その姿は、正に大きな希望の光であったと思います。
○そして、平成は、世界を舞台に、その平和と安定のために、自衛隊が、大きな役割を果たした時代でありました。湾岸戦争、米国における同時多発テロ。冷戦終結によって平和な時代の到来を予想した世界は、地域紛争、テロの拡散といった新たな事態に直面することになりました。
○もはや、一国のみで、どの国も自国の安全を守ることはできない時代にあって、自衛隊は、その高い能力を存分にいかし、40を超える国と世界の海で、その平和と安定のために貢献してきました。
○灼熱(しゃくねつ)の南スーダンで整備したグラウンドは、アフリカの次の時代を担う子供たちの笑顔であふれています。東ティモールで、マラリアと闘いながら築きあげた道路は、首都ディリと各地方を結び、国家の自立と発展を支える大動脈となっています。
○他方、冷戦終結後の世界では、日米同盟について漂流しているとさえ言われたときがありました。しかし、助けあえる同盟は、その絆を強くする。平和安全法制の成立によって、日米同盟はこれまでになく強固なものとなり、地域の平和と安定に一層寄与するものとなりました。
○昭和が終わり、平成が始まったとき、誰もが予測できなかった変化がこの30年間で起こり、自衛隊はその変化にしっかりと対応し、進化を遂げてきた。
○適者生存という言葉があります。生存競争において、勝ち残ることができるのは、最も力がある者ではありません。その環境に最も適応した者。すなわち、環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できた者であります。
○世の中は、私たちが望むと望まざるとにかかわらず、これからも、変化を続けていくでしょう。ですから、どうか、昨日までの常識を、常に、疑ってください。そして、時代に応じて変化することを恐れないでほしいと思います。
○国民のための自衛隊、世界の平和と安定に貢献する自衛隊。その更なる進化に向けて、時代の変化に目を凝らし、日々、自己研鑽(けんさん)に励んでほしいと思います。
○今、この瞬間も、これまでとは桁違いのスピードで、我が国の安全保障環境は、厳しさと不確実性を増しています。サイバー空間や宇宙空間における活動に、各国がしのぎを削る時代となりました。軍事技術は格段のイノベーションを遂げ、陸・海・空における対応を重視してきた国家の安全保障の在り方を根本から変えようとしています。
○もはや、今までの延長線では対応できない。陸、海、空。従来からの枠組みに捉われた発想のままでは、この国を守り抜くことはできません。激変する安全保障環境の中にあって必要なことは、我が国自身が、国民の命と平和な暮らし、領土・領海・領空、主権と独立を主体的・自主的な努力で守る体制を抜本的に強化する。そして、自らの果たし得る役割の拡大を図っていく。
○新しい防衛大綱の下、宇宙・サイバー・電磁波といった領域で我が国が優位性を保つことができるよう、次なる時代の防衛力の構築に向け、今までとは抜本的に異なる速度で、変革を推し進めていきます。
○どんなにすばらしい戦略も、作文それ自体には意味がありません。この戦略に魂を入れるのは、諸君です。その矜持(きょうじ)を持って、自衛官としての任務を全うしてください。
○本年は、9か国から30名の留学生諸君も卒業を迎えます。派遣国、卒業生の数、ともに過去最多です。留学生の諸君、卒業、おめでとう。君たちは、これからも、我が国のかけがえのない友人です。母国に戻っての活躍を大いに期待しています。ここ小原台での厳しい修練の日々は、必ずや今後の成長の糧となる。私は、そう確信しています。ここで育んだ仲間との絆(きずな)、そして、切磋琢磨(せっさたくま)し、寝食を共にした日々を胸に、母国の平和の実現に頑張ってください。
○いつの日か、皆さんと自衛隊が一緒に活動する日が来るかもしれません。世界の平和と繁栄のため、共に、力を尽くしてまいりましょう。
○世界に自衛隊の名を知らしめたのは、ペルシャ湾への掃海部隊の派遣でした。落合指揮官率いる部隊が任務に当たった海域は、海底パイプラインが縦横に走り、ダイバーが手探りで機雷を探さなければならない。各国が手をつけなかった、最も厳しい難所でありました。そうした中でも、10年以上にわたる精緻な研究、あらゆる事態を想定した訓練、その全てを傾けて、自衛隊の掃海部隊は、見事に任務を完遂してくれました。
○部隊は呉港に無事帰還。半年にわたる活動を終え、充実感に包まれる隊員たちを前に、落合指揮官は、世界が称賛した自衛隊史に残る作戦の最後を、こう締めくくりました。実力は一日にしてつくものではない。不断の錬磨がなければ、いざというときの力の発揮にはつながらない。
○いつ、いかなる状況であろうとも、与えられた任務を、完璧に全うする。並大抵のことではありません。極度の重圧がかかる現場において、その瞬間がやって来た時には、必ずや、国民の期待に応える。その強い決意の下に、日頃から鍛錬を怠ることなく、地道な努力を重ねてほしいと思います。
○ソマリア沖・アデン湾での海賊対処、荒波に揉(も)まれながらの警戒監視、突如現れる国籍不明機へのスクランブル。これまでも、これからも、自衛隊が臨む任務には、常に危険を伴います。だからこそ、国民は、諸君を頼りにしている。国民の命と平和な暮らしを守る任務は、誠に、崇高なものであります。
○事に臨んでは危険を顧みず、もって国民の負託に応える。全国25万人、全ての自衛隊員が行うこの宣誓の重さを、私も、常に、心に刻んでいます。自ら進んで、自衛官としての道を選んだ諸君は、日本国民の誇りであります。
○本日は、昭和51年に卒業されたOBの皆さんもお集まりです。皆さんがこの小原台で学んでいた頃、裁判所で自衛隊を憲法違反とする判決が出たことを覚えておられる方も多いかもしれません。当時、自衛隊に対する視線はいまだ厳しいものがあった。皆さんも、心ない批判にさらされたかもしれません。
○しかし、皆さんは、歯を食いしばり、昭和から平成へと時代が変わる中、厳しさを増す安全保障環境に立ち向かい、数々の困難な現場にあって、国民の命と平和な暮らしを守り抜いてくれました。阪神・淡路大震災で懸命な救命救助に当たる自衛隊員の姿は、今も、多くの国民の瞼(まぶた)に焼き付いています。
○大きな仕事を遂げ、ここ小原台に戻ってこられた皆さんへ、心からの感謝と敬意を込めて、会場の皆さんと共に、大きな拍手を送りたいと思います。
○今や、自衛隊は、国民の9割から信頼を勝ち得ています。先人たちがたゆまぬ努力によって築き上げてきたこの成果を受け継ぐ卒業生諸君は、静かな誇りを持ちながら、更なる高みを目指して、それぞれの自衛官人生を歩んでほしいと思います。
○政治も、その責任をしっかりと果たさなければならない。次は、私たちが、自衛隊の諸君が強い誇りをもって職務を全うできるよう環境を整えるため、全力を尽くす決意です。
○御家族の皆様。彼らの凛々(りり)しくも、頼もしい姿を御覧ください。大切なお子様を自衛官として送り出していただくことに、心から御礼を申し上げます。皆様の温かい支援があって、彼らは厳しい訓練を乗り越え、日本の平和を担う立派な若者に成長しました。お子様が万全の態勢で任務を遂行できるよう、全力を尽くすことをお約束いたします。
○終わりに、全身全霊を持って学生の教育に当たって来られた國分(こくぶん)学校長、教職員の皆様に敬意を表しますとともに、平素から防衛大学校に御理解と御協力を頂いている御来賓の皆様に、感謝申し上げます。
○卒業生諸君の、今後益々の活躍、防衛大学校の一層の発展を祈念し、私からの訓示といたします。
平成三十一年三月十七日
自衛隊最高指揮官
内閣総理大臣 安倍 晋三
<引用終わり>
(*10):「主語入れ換え論法」
2018/12/12投稿:
「韓国の反応」は相変わらずの「あの論法」その1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1071.html
2019/01/07投稿:
韓国国防部動画の分析2・やっぱし「あの論法」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1085.html
【ご参考】
2017/06/30投稿:
憲法議論7・現行憲法9条Q&A
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-705.html
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