公開映像の分析・韓国海軍・国防部のウソが明白に(後編)
- 2018/12/31
- 20:56
公開映像の分析・韓国海軍・国防部のウソが明白に(後編)

副題:「悪天候だった」、「北朝鮮漁船を探していた」、「P-1が低空飛行して脅した」、「射撃統制レーダーを照射していない」、「無線が聞き取れなかった」などが総てウソであることが分かる映像である。
前回(前編)からの続きである。
防衛省が韓国海軍駆逐艦・広開土王からの射撃統制レーダー照射という国際ルールを外れた準戦闘行為(*1)を行った件について、その時の我国P-1哨戒機での行動記録映像がYouTubeの我国防衛省チャンネル(modchannel)で公開された。
日本語版と英語字幕版の両方が公開されている。
分析に使用した映像は産経のノーカット版(*2)である、これは、当初、当方が防衛省チャンネルの映像を発見できなかったことによる。産経ノーカット版と防衛省チャンネルの映像に違いがないことは確認しているので、産経ノーカット版での分析をそのまま用いる。
前回も述べたことではあるが、防衛省が公表した同映像を見て、あらためて分かった事は、韓国海軍・同国国防部が言っていた様々な「反論」が総て虚偽であったという事であり、その証明が映像によって為されたという事だ。
韓国海軍・国防部の言っていた事は「事実と違っていても、取り敢えず何かの反論をする」という「韓国伝統の「声闘」のお作法」に基づいた論法そのものである。
ウソがばれると、その都度、また何かを言い出すのだが、それもウソ。
この一連の反応こそが、実に、あの国らしい「韓国伝統の「声闘」のお作法」そのものの「朝鮮半島の論法」(*3)なのである。
それでは分析結果の概要紹介を再開する。
再開は、最初の撮影後に射撃統制レーダーの照射を受けた場面からである。
<産経ノーカット版の画像・音声より>
06:05 射撃統制レーダー照射を受信。(FC=Fire Control =射撃統制)
06:25 映像&音声:【クルー「コンティニューホールド(継続探知)」】
(意味:射撃統制レーダーの照射が続いている。)
06:30 映像&音声:【機長「離隔する。一端離隔する。」】
↓
映像の06:05からが射撃統制レーダーの照射を受けた場面である。
その際のクルーの反応が、それ以前のやり取りとは違って、声が大きくなっており、緊急事態である旨を報告していることが分かる。
P-1哨戒機のクルーは、その道のプロの海上自衛隊員であり、射撃統制レーダーの照射を受けた事の意味が分かっている人物である。
射撃統制レーダーの照射とは、発砲と同等の準戦闘行為である。
射撃統制レーダーの照射を受けた場面では、画像内に「FC(火器管制レーダー)探知」と赤文字で、また「自機の10時方向 約5000メートル」と説明が書かれている。
その後、機密の為にピー音が入るが、これは多分、射撃統制レーダーが発せられた方向・位置を確認している際の音声だと思われる。
射撃統制レーダーは、その目的からピンポイントでレーダー波を照射するので、逆に、照射された側は、指向性を持つ射撃統制レーダーが発せられた方向・位置を特定することが可能なのである。これは軍事常識だ。
当初、韓国海軍・同国国防部が言っていた「荒天の中で北朝鮮遭難船を探していて全レーダーを作動させていた中に海自P-1が入ってきてレーダー波を受信しただけ」との虚偽シナリオとは違い、映像では、射撃統制レーダーは随分と長い間、P-1に向けて照射され続けている。
映像の06:25の「コンティニューホールド(継続探知)」=射撃統制レーダーの照射が続いているとの報告及び、その後、数回繰り返される位「コンティニューホールド」の音声からは、射撃統制レーダーがP-1を目標にして追尾し続けていることが分かる。
射撃統制レーダーは、ピンポイントでレーダー波を照射するのだから、これだけ長い間、レーダー波を受信している状態とは、ライフル射撃で例えれば、ずっとスコープの十字線上に獲物を捉え続けている状態、即ち、発砲寸前状態を維持し続けているということだ。
そういう状態は極めて危険であり、だからこそ「射撃統制レーダー波を受けたら反撃した良い」という国際常識になっているのである。
我国海自のP-1は、そういう国際常識に基づき危険であると判断して、映像の06:30で「離隔する。一端離隔する。」と回避行動をとっているのである。
<産経ノーカット版の画像・音声より>
06:37 映像&音声:【クルー「コンティニューホールド」】
06:45 映像&音声:【クルー「めちゃくちゃすごい音だ。(電波強度強い)」】
06:54 映像&音声:【クルー「砲はこちらを向いていない。」】
07:21 映像&音声:【クルー「コンティニューホールド(継続探知)」】
07:35 映像&音声:【クルー「FCレーダーらしき電波探知」】
07:38 映像&音声:【機長「一応 呼びかけようか」】
07:52 映像&音声:【クルー「今止まりましたね。」】
08:22 映像&音声:【クルー「FCらしき 信号をコンタクト(探知)」】
08:50 映像&音声:【クルー「またFC(火器管制レーダー)探知」】
↓
射撃統制レーダー波を最初に受けてからの経緯部分である。
最初に射撃統制レーダーの照射を受けたのが映像の06:05であるが、その32秒後の06:37時点でも「コンティニューホールド」=射撃統制レーダーの照射が続いている状態であることが分かる。
その次のP-1の行動は恐れ入る。命をかけて任務を遂行している姿である。
06:54の「砲はこちらを向いていない」とは、射撃統制レーダー照射後のアクション可能性に対する確認作業の結果である。
「なんだ大砲は動いてないんだ」と思ってはいけない。広開土王艦は、対空兵器として、5inch砲の他に艦対空ミサイル・シーシパローを装備している。
射撃統制レーダーでの照準情報は、この両方に利用されるのである。
この時点での海自P-1と広開土王艦の位置関係は映像だけでは即時には分からないが、シースパローの最短発射可能距離以内におり、シースパロー発射の可能性がなかったとは思えないのである。
そういう危険な任務を淡々と遂行している姿には頭が下がる。
射撃統制レーダー波を受け続けていることは映像の07:21での「コンティニューホールド(継続探知)」との画像と音声で分かる。また、07:52の「今止まりましたね」との画像と音声からは、射撃統制レーダーの照射が06:05から07:52の約1分47秒続いたことがわかる。
その後、映像の08:22 で、「FCらしき 信号をコンタクト(探知)」との報告が記録されている。
これは多分、広開土王艦のレーダーシステムのうち、射撃統制レーダーへ情報を渡す目標補足用レーダー(探査用レーダー)MW-08が電波照射をしたものを受信したものと思わる反応だ。P-1が距離をとったので、射撃統制レーダーだけではなく、このレーダーも作動させたものと思われる。
P-1のクルーは、この時点で「FCらしき」と表現していることから、通常の航海で使用される探査用レーダー以外の新しい電波を、この時点ではじめて受信したものだと推定出来る。
この様な事実からは、韓国海軍・同国国防部が言っていた「北朝鮮の遭難船探査の為に一時的に総てのレーダーを作動させた」という話が、ここでもウソであることが分かるのである。
この後、P-1機長は、韓国海軍駆逐艦に問い合わせをすべきだとの判断を示すが、韓国海軍の広開土王艦は、再度の射撃統制レーダーの照射をするのである。
その事は、映像の08:50での「またFC(火器管制レーダー)探知」という反応から分かることである。
これ以降の映像は、緊急周波数帯3種の総てで複数回呼び掛けている様子が映像で確認できる。
以下に、その場面を紹介する。
<産経ノーカット版の画像・音声より>
<1回目の呼び掛け>
09:06 映像&音声:「韓国海軍駆逐艦「広開土王」(艦番号971)に対してVHF緊急周波数(121.5MHz)による呼びかけ
09:41 映像&音声: VHF121.5MHzでの2回目の呼び掛け
09:59 映像:【韓国海軍艦艇からの応答なし】
↓
<2回目の呼び掛け>
10:22 映像:「韓国海軍駆逐艦「広開土王」(艦番号971)に対してVHF緊急周波数(156.8MHz)による呼びかけ
10:54 映像&音声: VHF156.8MHzでの2回目の呼び掛け
11:13 映像:【韓国海軍艦艇からの応答なし】
↓
<3回目の呼び掛け>
12:15 映像:「韓国海軍駆逐艦「広開土王」(艦番号971)に対してUHF緊急周波数(243.0MHz)による呼びかけ
12:39 映像:【韓国海軍艦艇からの応答なし】
12:48 映像:再度の呼びかけ
↓
韓国海軍側がやっていることが「居留守」であることが分かる映像である。
この様に、公開された映像で、韓国海軍・同国国防部が、当初言っていた「悪天候だった」、「北朝鮮漁船を探していた」、「P-1が低空飛行して脅した」、「射撃統制レーダーを照射していない」、「無線が聞き取れなかった」などが総てウソであることがバレてしまったのであるが、そうであっても潔く否を認めないのが朝鮮半島での文化である。
今度は韓国マスコミが、レーダー照射という準戦闘行為をしておいて、それが映像でバレた途端に、韓国側は自身の否となる「事実の提示」から逃げ、まったく筋違いの話をし始める。
「荒天」や「漁船を探していた」と自国の海軍・国防部が言っていた事などなかった様に、言い出したのは、「「JAPAN NAVY」を名乗った」という、本筋とは無関係な話である。
知らない方は、あたかも、これが問題だと勘違いしてしまうのであろうが、米海軍などは海上自衛隊のことを口語で「JAPAN NAVY」と、もう何十年も昔から呼んでおり、「JAPAN NAVY」とは、日本語で海上自衛隊=英文正式名称Japan Maritime Self Difence Forse(JMSDF)のことだとの認知が存在している。
こんな「口語」は何等問題ではない。
英語でも、日本語での長ったらしい名称は、別の言い方になる。
イギリスの正式国名は日本語では「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」であり、英語では「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」である。
日本語では「イギリス」とか「英国」と別の言い方が日常では用いられるし、英語では「UK(ユーケー)」United Kingdomの頭文字だけで言い表したり、British(ブリティッシュ)とかの別の言い方になる。
海上自衛隊は、そういう慣習から、長らく「JAPAN NAVY」と呼称されているのである。
少なくとも、当方がまだ学生だった頃には、その旨を認知していたので、そこから数えても、少なくと40年以上前から、その様な呼称だったのである。
韓国マスコミは、物事を検証しないで思い込みだけで記事を書くとの前例が山ほどある。今回も、その新たな事例である。
海上自衛隊P-1の呼び掛けにある「JAPAN NAVY」を「問題視」しているのに、映像の10:54での2回目の呼び掛けにある「KREAN SOUTH NAVALSHIP、HULL NUMBER 971」に対しては問題視していない。
韓国の英文正式国名は「Republic of Korea」であり、韓国海軍の英文正式名称は「Republic of Korea Navy」である。
韓国・北朝鮮がある朝鮮半島の二ヶ国が自称している国名は南半部が「大韓民国(Republic of Korea)」であり、北半部が「朝鮮民主主義人民共和国(Democratic People’s Republic of Korea)」である。
英語の「Korea」の語源は「高麗」であるが、「Korea」は漢字になると韓国・朝鮮と別々の表現となる。
そういう事なのだが、海上自衛隊P-1の呼び掛けにある「KREAN SOUTH NAVALSHIP」=「朝鮮半島南半部国の海軍艦艇」を問題視していない。
これは、無線での英語の呼び掛けの「KREAN SOUTH」とか、英語圏で常用される「SOUTH KOREA」との正式名称とは別の言い方を韓国側が認知している事の表れである。
そうであるにも関わらず、韓国マスコミは、片方の慣例呼称だけを取り上げて、あたかもそれが問題であるかの様に騒いでいるのである。
物事を検証せずに、思い込みだけで騒ぐのは、以前からの韓国マスコミの特徴の1つであり、それが今回も顕在化したものである。
韓国側のいい加減な対応が止むことはないであろう。
それは、現在の韓国が色濃く受け継ぐ、朝鮮半島の小中華思想(*4)があるからだ。
Sinic文明圏・韓国の文明論的分析は以前に論考しているので、興味あれば再読願いたい。
映像分析の概要は以上である。
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【文末脚注】
(*1):射撃統制レーダー照射という国際ルールを外れた準戦闘行為
2018/12/26投稿:
「韓国の反応」は相変わらずの「あの論法」その3・レーダー照射
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1078.html
(*2):産経ノーカット版YouTube動画
SankeiNews:全編13:28
題名:◆【ノーカット】防衛省がレーダー照射の動画公開
https://www.youtube.com/watch?v=GNBhAAMc2Hk
00:13 音声:【クルー「2隻ともに1000ヤード間隔の間にいる。」】
00:13 映像:天気:晴れ/風:北西の風15ft(7m/sec)/波浪段階:1m(さざ波がある程度)/うねり:南へ1m
00:24 音声:【左側に小型ゴムボートと思われるものを視認】
00:37 映像:韓国警備救難艦(韓国の海上保安庁相当)から発進したゴムボート2隻と北朝鮮と思われる漁船の映像。漁船とこれら韓国の艦艇の距離は至近距離
00:45 映像:韓国海軍駆逐艦・広開土王の映像。
03:22~ 映像:韓国警備艦と韓国海軍駆逐艦の2隻の位置関係の映像
03:27~ 映像&音声:11時方向3マイルとのP-1と両艦の位置関係情報
03:33 映像&音声:【(韓国艦艇から)今のところ呼びかけ等なし】
03:40 映像:韓国警備救難艦「参峰号5001」と韓国海軍駆逐艦「広開土王」の位置関係の映像
04:00 映像:【国際法や国内関連法令で規定されている高度及び距離以上で飛行】
04;19 映像&音声:韓国海軍駆逐艦「広開土王」の艦番号の確認【971】と
04:27 映像&音声:【クルー「艦番号571ではないかと」】
04:49 映像&音声:【クルー「艦番号971、971」】
04:59 映像&音声:【クルー「韓国の5はあんまり見ないですよね」】
05:36 映像&音声:【クルー「現在飛行高度1000ftまで上昇中」】
06:05 射撃統制レーダー照射を受信。(FC=Fire Control =射撃統制)
06:25 映像&音声:【クルー「コンティニューホールド(継続探知)」】
(意味:射撃統制レーダーの照射が続いている。)
06:30 映像&音声:【機長「離隔する。一端離隔する。」】
06:37 映像&音声:【クルー「コンティニューホールド」】
06:45 映像&音声:【クルー「めちゃくちゃすごい音だ。(電波強度強い)」】
06:54 映像&音声:【クルー「砲はこちらを向いていない。」】
07:21 映像&音声:【クルー「コンティニューホールド(継続探知)」】
07:35 映像&音声:【クルー「FCレーダーらしき電波探知」】
07:38 映像&音声:【機長「一応 呼びかけようか」】
07:52 映像&音声:【クルー「今止まりましたね。」】
08:22 映像&音声:【クルー「FCらしき 信号をコンタクト(探知)」】
08:50 映像&音声:【クルー「またFC(火器管制レーダー)探知」】
09:06 映像&音声:「韓国海軍駆逐艦「広開土王」(艦番号971)に対してVHF緊急周波数(121.5MHz)による呼びかけ
09:41 映像&音声: VHF121.5MHzでの2回目の呼び掛け
09:59 映像:【韓国海軍艦艇からの応答なし】
10:03 映像&音声:【クルー「現在後尾5マイル」】
10:22 映像:「韓国海軍駆逐艦「広開土王」(艦番号971)に対してVHF緊急周波数(156.8MHz)による呼びかけ
10:54 映像&音声: VHF156.8MHzでの2回目の呼び掛け
11:13 映像:【韓国海軍艦艇からの応答なし】
11:24 映像&音声:【クルー「間違いなく向こう(韓国艦艇)のFC系です。」(火器管制レーダー)】
11:34 映像&音声:【機長「えーと記録がとれているか確認してください。」】
(その後、クルーより○○で記録を取れている旨の報告)
12:15 映像:「韓国海軍駆逐艦「広開土王」(艦番号971)に対してUHF緊急周波数(243.0MHz)による呼びかけ
12:39 映像:【韓国海軍艦艇からの応答なし】
12:48 映像:再度の呼びかけ
13:09<防衛省発表映像終わり>
【ご参考】
映像に出てくる用語の解説
1)IFT = 機上電子整備員(InFlight Tecnitian)
哨戒機に搭乗するクルーのうち、音響解析装置及び電子機器の状況把握、故障時の修復等を担当する要員
2)タコ = 戦術航空士(TActical Coordinator)の略称TACOのこと。
哨戒機に搭乗するクルーであるが、潜水艦探査の哨戒方法の立案・指示、ソノブイ投下指示等の哨戒の戦術的判断をするクルー。ある意味、対潜哨戒時の頭脳であり、優秀人員が、その役目に就く。「なんちゃらタコ助」とは真逆の優秀人物である。
映像ではタコ1とタコ2の2名が搭乗していることが分かる。
(*3):「朝鮮半島の論法」なのである。
2018/12/12投稿:
「韓国の反応」は相変わらずの「あの論法」その1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1071.html
2018/12/15投稿:
する必要性のない「謝罪」は、その次の「賠償」とワンセット
<「韓国の反応」は相変わらずの「あの論法」その2>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1072.html
2018/12/26投稿:
「韓国の反応」は相変わらずの「あの論法」その3・レーダー照射
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1078.html
(*4):現在の韓国が色濃く受け継いでいるのは、Sinic文明圏・韓国の小中華思想である。その文明論的分析は以前に論考している。
2018/11/08投稿:
徴用工・韓国「最高裁」判決雑感5Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1049.html
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副題:「悪天候だった」、「北朝鮮漁船を探していた」、「P-1が低空飛行して脅した」、「射撃統制レーダーを照射していない」、「無線が聞き取れなかった」などが総てウソであることが分かる映像である。
前回(前編)からの続きである。
防衛省が韓国海軍駆逐艦・広開土王からの射撃統制レーダー照射という国際ルールを外れた準戦闘行為(*1)を行った件について、その時の我国P-1哨戒機での行動記録映像がYouTubeの我国防衛省チャンネル(modchannel)で公開された。
日本語版と英語字幕版の両方が公開されている。
分析に使用した映像は産経のノーカット版(*2)である、これは、当初、当方が防衛省チャンネルの映像を発見できなかったことによる。産経ノーカット版と防衛省チャンネルの映像に違いがないことは確認しているので、産経ノーカット版での分析をそのまま用いる。
前回も述べたことではあるが、防衛省が公表した同映像を見て、あらためて分かった事は、韓国海軍・同国国防部が言っていた様々な「反論」が総て虚偽であったという事であり、その証明が映像によって為されたという事だ。
韓国海軍・国防部の言っていた事は「事実と違っていても、取り敢えず何かの反論をする」という「韓国伝統の「声闘」のお作法」に基づいた論法そのものである。
ウソがばれると、その都度、また何かを言い出すのだが、それもウソ。
この一連の反応こそが、実に、あの国らしい「韓国伝統の「声闘」のお作法」そのものの「朝鮮半島の論法」(*3)なのである。
それでは分析結果の概要紹介を再開する。
再開は、最初の撮影後に射撃統制レーダーの照射を受けた場面からである。
<産経ノーカット版の画像・音声より>
06:05 射撃統制レーダー照射を受信。(FC=Fire Control =射撃統制)
06:25 映像&音声:【クルー「コンティニューホールド(継続探知)」】
(意味:射撃統制レーダーの照射が続いている。)
06:30 映像&音声:【機長「離隔する。一端離隔する。」】
↓
映像の06:05からが射撃統制レーダーの照射を受けた場面である。
その際のクルーの反応が、それ以前のやり取りとは違って、声が大きくなっており、緊急事態である旨を報告していることが分かる。
P-1哨戒機のクルーは、その道のプロの海上自衛隊員であり、射撃統制レーダーの照射を受けた事の意味が分かっている人物である。
射撃統制レーダーの照射とは、発砲と同等の準戦闘行為である。
射撃統制レーダーの照射を受けた場面では、画像内に「FC(火器管制レーダー)探知」と赤文字で、また「自機の10時方向 約5000メートル」と説明が書かれている。
その後、機密の為にピー音が入るが、これは多分、射撃統制レーダーが発せられた方向・位置を確認している際の音声だと思われる。
射撃統制レーダーは、その目的からピンポイントでレーダー波を照射するので、逆に、照射された側は、指向性を持つ射撃統制レーダーが発せられた方向・位置を特定することが可能なのである。これは軍事常識だ。
当初、韓国海軍・同国国防部が言っていた「荒天の中で北朝鮮遭難船を探していて全レーダーを作動させていた中に海自P-1が入ってきてレーダー波を受信しただけ」との虚偽シナリオとは違い、映像では、射撃統制レーダーは随分と長い間、P-1に向けて照射され続けている。
映像の06:25の「コンティニューホールド(継続探知)」=射撃統制レーダーの照射が続いているとの報告及び、その後、数回繰り返される位「コンティニューホールド」の音声からは、射撃統制レーダーがP-1を目標にして追尾し続けていることが分かる。
射撃統制レーダーは、ピンポイントでレーダー波を照射するのだから、これだけ長い間、レーダー波を受信している状態とは、ライフル射撃で例えれば、ずっとスコープの十字線上に獲物を捉え続けている状態、即ち、発砲寸前状態を維持し続けているということだ。
そういう状態は極めて危険であり、だからこそ「射撃統制レーダー波を受けたら反撃した良い」という国際常識になっているのである。
我国海自のP-1は、そういう国際常識に基づき危険であると判断して、映像の06:30で「離隔する。一端離隔する。」と回避行動をとっているのである。
<産経ノーカット版の画像・音声より>
06:37 映像&音声:【クルー「コンティニューホールド」】
06:45 映像&音声:【クルー「めちゃくちゃすごい音だ。(電波強度強い)」】
06:54 映像&音声:【クルー「砲はこちらを向いていない。」】
07:21 映像&音声:【クルー「コンティニューホールド(継続探知)」】
07:35 映像&音声:【クルー「FCレーダーらしき電波探知」】
07:38 映像&音声:【機長「一応 呼びかけようか」】
07:52 映像&音声:【クルー「今止まりましたね。」】
08:22 映像&音声:【クルー「FCらしき 信号をコンタクト(探知)」】
08:50 映像&音声:【クルー「またFC(火器管制レーダー)探知」】
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射撃統制レーダー波を最初に受けてからの経緯部分である。
最初に射撃統制レーダーの照射を受けたのが映像の06:05であるが、その32秒後の06:37時点でも「コンティニューホールド」=射撃統制レーダーの照射が続いている状態であることが分かる。
その次のP-1の行動は恐れ入る。命をかけて任務を遂行している姿である。
06:54の「砲はこちらを向いていない」とは、射撃統制レーダー照射後のアクション可能性に対する確認作業の結果である。
「なんだ大砲は動いてないんだ」と思ってはいけない。広開土王艦は、対空兵器として、5inch砲の他に艦対空ミサイル・シーシパローを装備している。
射撃統制レーダーでの照準情報は、この両方に利用されるのである。
この時点での海自P-1と広開土王艦の位置関係は映像だけでは即時には分からないが、シースパローの最短発射可能距離以内におり、シースパロー発射の可能性がなかったとは思えないのである。
そういう危険な任務を淡々と遂行している姿には頭が下がる。
射撃統制レーダー波を受け続けていることは映像の07:21での「コンティニューホールド(継続探知)」との画像と音声で分かる。また、07:52の「今止まりましたね」との画像と音声からは、射撃統制レーダーの照射が06:05から07:52の約1分47秒続いたことがわかる。
その後、映像の08:22 で、「FCらしき 信号をコンタクト(探知)」との報告が記録されている。
これは多分、広開土王艦のレーダーシステムのうち、射撃統制レーダーへ情報を渡す目標補足用レーダー(探査用レーダー)MW-08が電波照射をしたものを受信したものと思わる反応だ。P-1が距離をとったので、射撃統制レーダーだけではなく、このレーダーも作動させたものと思われる。
P-1のクルーは、この時点で「FCらしき」と表現していることから、通常の航海で使用される探査用レーダー以外の新しい電波を、この時点ではじめて受信したものだと推定出来る。
この様な事実からは、韓国海軍・同国国防部が言っていた「北朝鮮の遭難船探査の為に一時的に総てのレーダーを作動させた」という話が、ここでもウソであることが分かるのである。
この後、P-1機長は、韓国海軍駆逐艦に問い合わせをすべきだとの判断を示すが、韓国海軍の広開土王艦は、再度の射撃統制レーダーの照射をするのである。
その事は、映像の08:50での「またFC(火器管制レーダー)探知」という反応から分かることである。
これ以降の映像は、緊急周波数帯3種の総てで複数回呼び掛けている様子が映像で確認できる。
以下に、その場面を紹介する。
<産経ノーカット版の画像・音声より>
<1回目の呼び掛け>
09:06 映像&音声:「韓国海軍駆逐艦「広開土王」(艦番号971)に対してVHF緊急周波数(121.5MHz)による呼びかけ
09:41 映像&音声: VHF121.5MHzでの2回目の呼び掛け
09:59 映像:【韓国海軍艦艇からの応答なし】
↓
<2回目の呼び掛け>
10:22 映像:「韓国海軍駆逐艦「広開土王」(艦番号971)に対してVHF緊急周波数(156.8MHz)による呼びかけ
10:54 映像&音声: VHF156.8MHzでの2回目の呼び掛け
11:13 映像:【韓国海軍艦艇からの応答なし】
↓
<3回目の呼び掛け>
12:15 映像:「韓国海軍駆逐艦「広開土王」(艦番号971)に対してUHF緊急周波数(243.0MHz)による呼びかけ
12:39 映像:【韓国海軍艦艇からの応答なし】
12:48 映像:再度の呼びかけ
↓
韓国海軍側がやっていることが「居留守」であることが分かる映像である。
この様に、公開された映像で、韓国海軍・同国国防部が、当初言っていた「悪天候だった」、「北朝鮮漁船を探していた」、「P-1が低空飛行して脅した」、「射撃統制レーダーを照射していない」、「無線が聞き取れなかった」などが総てウソであることがバレてしまったのであるが、そうであっても潔く否を認めないのが朝鮮半島での文化である。
今度は韓国マスコミが、レーダー照射という準戦闘行為をしておいて、それが映像でバレた途端に、韓国側は自身の否となる「事実の提示」から逃げ、まったく筋違いの話をし始める。
「荒天」や「漁船を探していた」と自国の海軍・国防部が言っていた事などなかった様に、言い出したのは、「「JAPAN NAVY」を名乗った」という、本筋とは無関係な話である。
知らない方は、あたかも、これが問題だと勘違いしてしまうのであろうが、米海軍などは海上自衛隊のことを口語で「JAPAN NAVY」と、もう何十年も昔から呼んでおり、「JAPAN NAVY」とは、日本語で海上自衛隊=英文正式名称Japan Maritime Self Difence Forse(JMSDF)のことだとの認知が存在している。
こんな「口語」は何等問題ではない。
英語でも、日本語での長ったらしい名称は、別の言い方になる。
イギリスの正式国名は日本語では「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」であり、英語では「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」である。
日本語では「イギリス」とか「英国」と別の言い方が日常では用いられるし、英語では「UK(ユーケー)」United Kingdomの頭文字だけで言い表したり、British(ブリティッシュ)とかの別の言い方になる。
海上自衛隊は、そういう慣習から、長らく「JAPAN NAVY」と呼称されているのである。
少なくとも、当方がまだ学生だった頃には、その旨を認知していたので、そこから数えても、少なくと40年以上前から、その様な呼称だったのである。
韓国マスコミは、物事を検証しないで思い込みだけで記事を書くとの前例が山ほどある。今回も、その新たな事例である。
海上自衛隊P-1の呼び掛けにある「JAPAN NAVY」を「問題視」しているのに、映像の10:54での2回目の呼び掛けにある「KREAN SOUTH NAVALSHIP、HULL NUMBER 971」に対しては問題視していない。
韓国の英文正式国名は「Republic of Korea」であり、韓国海軍の英文正式名称は「Republic of Korea Navy」である。
韓国・北朝鮮がある朝鮮半島の二ヶ国が自称している国名は南半部が「大韓民国(Republic of Korea)」であり、北半部が「朝鮮民主主義人民共和国(Democratic People’s Republic of Korea)」である。
英語の「Korea」の語源は「高麗」であるが、「Korea」は漢字になると韓国・朝鮮と別々の表現となる。
そういう事なのだが、海上自衛隊P-1の呼び掛けにある「KREAN SOUTH NAVALSHIP」=「朝鮮半島南半部国の海軍艦艇」を問題視していない。
これは、無線での英語の呼び掛けの「KREAN SOUTH」とか、英語圏で常用される「SOUTH KOREA」との正式名称とは別の言い方を韓国側が認知している事の表れである。
そうであるにも関わらず、韓国マスコミは、片方の慣例呼称だけを取り上げて、あたかもそれが問題であるかの様に騒いでいるのである。
物事を検証せずに、思い込みだけで騒ぐのは、以前からの韓国マスコミの特徴の1つであり、それが今回も顕在化したものである。
韓国側のいい加減な対応が止むことはないであろう。
それは、現在の韓国が色濃く受け継ぐ、朝鮮半島の小中華思想(*4)があるからだ。
Sinic文明圏・韓国の文明論的分析は以前に論考しているので、興味あれば再読願いたい。
映像分析の概要は以上である。
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【文末脚注】
(*1):射撃統制レーダー照射という国際ルールを外れた準戦闘行為
2018/12/26投稿:
「韓国の反応」は相変わらずの「あの論法」その3・レーダー照射
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1078.html
(*2):産経ノーカット版YouTube動画
SankeiNews:全編13:28
題名:◆【ノーカット】防衛省がレーダー照射の動画公開
https://www.youtube.com/watch?v=GNBhAAMc2Hk
00:13 音声:【クルー「2隻ともに1000ヤード間隔の間にいる。」】
00:13 映像:天気:晴れ/風:北西の風15ft(7m/sec)/波浪段階:1m(さざ波がある程度)/うねり:南へ1m
00:24 音声:【左側に小型ゴムボートと思われるものを視認】
00:37 映像:韓国警備救難艦(韓国の海上保安庁相当)から発進したゴムボート2隻と北朝鮮と思われる漁船の映像。漁船とこれら韓国の艦艇の距離は至近距離
00:45 映像:韓国海軍駆逐艦・広開土王の映像。
03:22~ 映像:韓国警備艦と韓国海軍駆逐艦の2隻の位置関係の映像
03:27~ 映像&音声:11時方向3マイルとのP-1と両艦の位置関係情報
03:33 映像&音声:【(韓国艦艇から)今のところ呼びかけ等なし】
03:40 映像:韓国警備救難艦「参峰号5001」と韓国海軍駆逐艦「広開土王」の位置関係の映像
04:00 映像:【国際法や国内関連法令で規定されている高度及び距離以上で飛行】
04;19 映像&音声:韓国海軍駆逐艦「広開土王」の艦番号の確認【971】と
04:27 映像&音声:【クルー「艦番号571ではないかと」】
04:49 映像&音声:【クルー「艦番号971、971」】
04:59 映像&音声:【クルー「韓国の5はあんまり見ないですよね」】
05:36 映像&音声:【クルー「現在飛行高度1000ftまで上昇中」】
06:05 射撃統制レーダー照射を受信。(FC=Fire Control =射撃統制)
06:25 映像&音声:【クルー「コンティニューホールド(継続探知)」】
(意味:射撃統制レーダーの照射が続いている。)
06:30 映像&音声:【機長「離隔する。一端離隔する。」】
06:37 映像&音声:【クルー「コンティニューホールド」】
06:45 映像&音声:【クルー「めちゃくちゃすごい音だ。(電波強度強い)」】
06:54 映像&音声:【クルー「砲はこちらを向いていない。」】
07:21 映像&音声:【クルー「コンティニューホールド(継続探知)」】
07:35 映像&音声:【クルー「FCレーダーらしき電波探知」】
07:38 映像&音声:【機長「一応 呼びかけようか」】
07:52 映像&音声:【クルー「今止まりましたね。」】
08:22 映像&音声:【クルー「FCらしき 信号をコンタクト(探知)」】
08:50 映像&音声:【クルー「またFC(火器管制レーダー)探知」】
09:06 映像&音声:「韓国海軍駆逐艦「広開土王」(艦番号971)に対してVHF緊急周波数(121.5MHz)による呼びかけ
09:41 映像&音声: VHF121.5MHzでの2回目の呼び掛け
09:59 映像:【韓国海軍艦艇からの応答なし】
10:03 映像&音声:【クルー「現在後尾5マイル」】
10:22 映像:「韓国海軍駆逐艦「広開土王」(艦番号971)に対してVHF緊急周波数(156.8MHz)による呼びかけ
10:54 映像&音声: VHF156.8MHzでの2回目の呼び掛け
11:13 映像:【韓国海軍艦艇からの応答なし】
11:24 映像&音声:【クルー「間違いなく向こう(韓国艦艇)のFC系です。」(火器管制レーダー)】
11:34 映像&音声:【機長「えーと記録がとれているか確認してください。」】
(その後、クルーより○○で記録を取れている旨の報告)
12:15 映像:「韓国海軍駆逐艦「広開土王」(艦番号971)に対してUHF緊急周波数(243.0MHz)による呼びかけ
12:39 映像:【韓国海軍艦艇からの応答なし】
12:48 映像:再度の呼びかけ
13:09<防衛省発表映像終わり>
【ご参考】
映像に出てくる用語の解説
1)IFT = 機上電子整備員(InFlight Tecnitian)
哨戒機に搭乗するクルーのうち、音響解析装置及び電子機器の状況把握、故障時の修復等を担当する要員
2)タコ = 戦術航空士(TActical Coordinator)の略称TACOのこと。
哨戒機に搭乗するクルーであるが、潜水艦探査の哨戒方法の立案・指示、ソノブイ投下指示等の哨戒の戦術的判断をするクルー。ある意味、対潜哨戒時の頭脳であり、優秀人員が、その役目に就く。「なんちゃらタコ助」とは真逆の優秀人物である。
映像ではタコ1とタコ2の2名が搭乗していることが分かる。
(*3):「朝鮮半島の論法」なのである。
2018/12/12投稿:
「韓国の反応」は相変わらずの「あの論法」その1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1071.html
2018/12/15投稿:
する必要性のない「謝罪」は、その次の「賠償」とワンセット
<「韓国の反応」は相変わらずの「あの論法」その2>
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1072.html
2018/12/26投稿:
「韓国の反応」は相変わらずの「あの論法」その3・レーダー照射
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1078.html
(*4):現在の韓国が色濃く受け継いでいるのは、Sinic文明圏・韓国の小中華思想である。その文明論的分析は以前に論考している。
2018/11/08投稿:
徴用工・韓国「最高裁」判決雑感5Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1049.html
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