徴用工・韓国「最高裁」判決雑感3
- 2018/11/05
- 18:31
徴用工・韓国「最高裁」判決雑感3

副題:韓国の対日姿勢は複数の要素が絡み合い、それが噴火した時に、斜め上に露わになって我々日本人を呆れさせる。その「複数の要素」とは何かを論説する。
<視点その3:徴用工問題で日本から金を取ることは、日韓基本条約以来の、韓国のいつもの「経済政策」なのではないのか?>
前々回の1つ目の視点、前回の2つ目の視点に続き、今回は「幾つかの視点」のうち、韓国が経済的に発展した「日本からの資金」の歴史から、3つ目の視点「韓国のいつもの「経済政策」について述べてみたい。
文在寅は、朴正煕、全斗煥、李明博らと同じ経済政策を実行したのだと考えられる。しかし、今は安倍政権であり、朴槿恵が失敗した様に、文在寅の「経済政策」も破綻し、韓国経済はより低迷を強めるであろう。
視点3.徴用工問題で日本から金を取ることは、日韓基本条約以来の、韓国のいつもの「経済政策」なのではないのか?
文在寅政権下の韓国最高裁が「徴用工訴訟」で、我国企業に対して賠償支払判決を下した。
文在寅は行政府の長であり、最高裁は司法であり、三権分立原則からは、各々は統治権の中で別々だとする建て付けなのだが、韓国に於いてはしばしばその時の大統領の影響力が司法に作用してきた。
そういう事から、今回の韓国最高裁の判決に対しても「文在寅政権下の韓国最高裁」と表現したものである。
実際、朴槿恵大統領時代は、「徴用工訴訟」で賠償命令が司法から出るのは日韓関係破綻の原因になるとして、判決引伸ばし等の影響力行使があったとされている。
また、前回の論考で記した様に、韓国の国家主権の三権のうち、外交を担うのは行政府であることから、外交の現場で、今後、文在寅が、どの様に動くのかで決まってくる問題である。
ところが、その文在寅は、経済問題に対して素人同然である。
文在寅の政権運営は、知っての通り北朝鮮との融和・支援がもっぱらであり、経済政策は二の次、三の次である。
この事は、既に1年以上前に、元駐韓大使だった武藤正敏氏の著書「韓国人に生まれなくてよかった」(*1)に以下の様に書かれている。
<同著書紹介文から抜粋引用>
私(武藤大使)が会ったとき、彼(文在寅)は北朝鮮のことしか頭になかった。経済政策に疎いポピュリストの彼はバラマキで支持を得ようとするだろうが、これは失敗が見えている。
そうすると、次は必ず露骨な反日政策を執って来るだろう。
そのとき日本は毅然と臨むべきだ。
そして、日米とのすきま風が韓国をさらなる窮地に追い込むだろう
<引用終わり>
文在寅の、この間の経済政策の「実績」は、漏れ聞こえてくる話では、「時給の政治的指示での上昇」に伴い、韓国での雇用は悲惨なもの状態となっており、韓国株式市場は大きく下落しているそうだ。
文在寅が経済問題にかなり弱いことは以前から言われていることであり、韓国経済が疲弊し、低迷している状態とは、一言で言えば「国の舵取りとして失敗」である。
韓国の場合、前大統領の朴槿恵は任期途中で弾劾・解任されてしまった様に、このまま韓国経済が破綻の道を歩むと、文在寅も同じ運命となるのは必定である。
そんな環境下で、文在寅が取れる経済政策は限られている。
先ず、大きな問題として、通常は最初に行われる金融政策に手がつけられないのである。
韓国ウォンという自国通貨に対しての金融政策は事実上選択できないのである。
何故ならば、トリレンマがあるからだ。韓国経済の構造は、海外貿易取引が主要な成長エンジンであり、その基本資材及び石油等のエネルギーを輸入に頼る韓国にとって韓国ウォンの為替レートの大きな変動は致命的であり、為替レート維持が金融政策の中心となっており、韓国はアベノミクス第一の矢の様な経済政策がとれないのである。
また、内需も期待できない。
文在寅は、自身の支持層に受ける経済政策として、最低時給を政治的に上昇させた。
しかし、当たり前の話なのだが、雇う側にとって、それは販売経費や原価の上昇でしかなく、利益の圧迫要因であり、むしろ、雇うことを止める方向に作用し雇用不安を増長している。
内需は個人消費が基本である。その個人消費の礎である個人の雇用が低迷しているのだから、内需にマイナスに作用しており、内需が韓国経済を下支えすることも考えられない。
内需を喚起する方法としては、国民が消費を増やすことが必要となってくるのだが、実は、韓国は国民所得を全体的に上昇させることが難しい構造をしている。
韓国経済の、これまでのビジネスモデルは、日本が開拓した市場に後追いで算入し、安価な労働力を背景にした安値攻勢=価格競争力で市場のシェアを奪うものであった。
繊維、家電、造船・プラント、電子機器等は、総て、そのパターンである。
自動車については、それがコンシューマー商品であること及び総合的な技術的調和が必要な耐久消費税であることから、他の分野に比して成功していないが、やり方は同じである。
ポイントは、「安価な人件費を背景にした価格競争力」であるので、当然の様に、人件費を上げることは容易には出来ないのである。
また、近年は、中国やASEAN諸国の「安い人件費」には勝てず、更には、製品品質の向上等の非価格競争力を充実させる研究開発にも韓国は熱心ではなかったことから、韓国製品の国際競争力は「板挟み状態」で下落している。
また、韓国経済の、これまでのビジネスモデルのもう1つのポイントである「日本が開拓した市場に後追いで算入」も以前とは様変わりなのである。
韓国が「ベンチマーク」する相手である我国産業が開拓している市場は、以前の高度成長期等と違い、韓国が参考にする程には豊富ではなく、また、技術レベルが高いものであり、韓国が手を出せない市場であったりと、従来の「後追い戦略」が通用しない状態にある。
経済に弱い文在寅及びそのスタッフには政策アイディアがない様で、そうなると韓国経済が発展してきた過去の成功体験をなぞるしかないのだが、過去のビジネスモデルが通用しないのが現状だ。
韓国の経済政策としては、他にも色々とやる事はあるのだが、韓国は、政権に係らず近年はずっと成果が出るまでに時間がかかる策が御嫌いな様で、地道な経済政策である構造改革等は実施されていない。
朝鮮戦争の直後は世界最貧国の1つであった韓国が、今や世界15位圏内の経済を誇るまでに発展した「成功体験」は、上記した「日本が開拓した市場に後追いで算入し、易い労働力を背景にした安値攻勢・価格競争力で市場のシェアを奪う」との韓国経済のビジネスモデルがあるのだが、それだけではなく、多くの方がご存じの、別のもう1つがある。
どの様なビジネスでも、それを実行する為には「元手となる資金」が必要だ。
個人が、何かの商売・事業を行いたいと考えても、その元手がない為に出来ないというケースは山ほどあるし、元手を確保しようと、銀行などにお金を借りにいっても断られる話もよく聞く。それ程に、元手資金の調達は苦労するものである。
同様、うまく資金を借りられたとしても、その金利支払と返済が滞り、商売・事業が継続できなくなるという話もよく聞く。
最貧国だった韓国が「漢江の奇跡」と言われた経済発展を成し遂げた起爆剤が1965年の日韓基本条約での8億ドルの援助があったから、というのは常識だ。(韓国国民を除き(笑))
今でこそ8億ドルと言う金額は「大したことない金額」であるが、当時の韓国の国家予算は約3.5億ドルしかなく、そのおおよそ2.3倍である。
我が国の現在の一般会計予算が約100兆円なので、それとは別口で2.3倍の230兆円が加算されるのと同等の効果があると考えると、かなり、相当、猛烈に膨大な金額である。
1年間の生活費が350万円でしかない人が、別途に800万円の経済支援を受けたのと同じである。それを元手に新たな商売・事業を始められるのである。
韓国のGDP推移(*2)を見ると、日韓基本条約締結前の李承晩失脚以降の朴正煕政権時は、ずっと300億ドル程度で推移しており、ずっと最貧国レベルであったのだが、1965年の日韓基本条約締結後5年が経過した1970年のGDPは941億ドルにまで拡大している。
1970年のGDP941億ドルは、1965年のGDP302億ドルの3.1倍である。
年収302万円の人が、僅か5年で年収941万円になったと考えて良い。
「漢江の奇跡」実現の主要な要素として、日韓基本条約の8億ドルがあった事は、論を待たない。(韓国国民を除き(笑))
当時、国民に分け与えよとの話があったそうだが、朴正煕が、この資金を経済発展の為に投資したことは、最貧国脱出策として当たり前のことではあるが、正しい判断である。
軍事アメリカ・経済日本との支援体制で韓国は経済成長を続けたのであるが、その経済支援は起爆剤の日韓基本条約の8億ドルに留まらず、その後も延々と続いたのである。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/kuni/j_90sbefore/901-03.htm
1965年に、まんまと日韓基本条約で資金を得た韓国だが、その朴正煕大統領は1979年10月26日に暗殺される。その後を継いだのは全斗煥である。
全斗煥が新大統領になって以降の1981年、1982年2年間のODAはゼロである。
これは韓国の経済政策にとっては、当たり前の様に続いていた「仕送り」が停止されたに等しい。
韓国経済は、1980年には既にGDPは6,780億ドルと、1965年時点に比べれば22倍に成長していたのだが、1980年当時の世界経済は第二次石油ショックの真っただ中にあり、経済的には世界的な混乱・不安状態にあった。
石油ショックは、産油国でもあるアメリカに比して、非産油国である我国に於いてより深刻であった。この様な世界的な経済環境の激変に対して、我国は中東産油国へと流れていった富を、中東産油国への輸出で呼び戻し、再度、国内に還流させる等の動きにより、自身の努力で経済の立て直しをしたのだが、韓国は別の手で、この経済的難局を乗り切ろうとした。
当時の韓国大統領・全斗煥は、我が国に対して100億ドルを要求してきたのである。
100億ドルとはこれまた法外な金額である。
全斗煥は同政権発足直後の状態で、我国からのODAがなかった1981年の4月に、当時の鈴木善幸首相の日本政府に対して年間20億ドル・5年間で合計100億ドルの「安保経済協力金」を要求してきた。
1981年4月の平均為替レートは約215円なので、100億ドルは当時の2兆1千5百億円に相当する。
当時の我が国国家予算は、現在の半分以下の47兆円である。毎年その約1割を5年間にわたり韓国に上納せよ、との要求である。
毎年の生活費が470万円の人に、5年間にわたり毎年43万円を上納せよと言う話である。
如何にトンデモない要求であるかが分かると思う。
要求の理由が「安保経済協力金」である。
朝鮮半島の南半部でその北方の共産主義勢力の侵攻を防いでいるのは韓国だ。
その恩恵を得ている日本は応分の負担をしろ、2兆1千5百億円払え、という話である。
全斗煥が、この様な名目にしたのは、日韓基本条約締結後まだ15年しか経っておらず、日韓基本条約とは別の名目が必要だったからであろうと推定できる。
その点は、文在寅の日韓基本条約をまるっきり無視した非常識さとは違い、まだ韓国なりには考えていたものだと思う。
この話は、結局は、我国側の「安保問題には絡ませない」との「昔の自民党体質丸出し」の事情から、「安保経済協力金」との当初の名目は舞台から消え、金額としては、韓国が吹っかけた100億ドルの半値・八掛けの40億ドルで決着した。
そもそも支払うこと自体が間違えであるとの議論はあったものの、あの中曽根が払うことを決めてしまったのである。
40億ドルは、215円換算で8千600億円である。約1兆円である。
今の金銭感覚でも1兆円とは、随分と大きい金額であり、当時の金銭価値からすれば、それは、最初に吹っかけられた金額よりは少ないだけで、随分と巨額である。
朴正煕、全斗煥と韓国は、世界情勢と日本自身が憲法の制約で自国防衛がままならない状態を巧く利用して、口先だけで日本から巨額の資金を調達することに成功している。
全斗煥の安保経済協力金「申し出」から7年後の1988年、韓国はソウル五輪を開催した。
1964年に東京五輪を開催した我国の視点からすれば、夏季五輪を開催できるだけの国力がある国への経済援助の必要性はなく、既に決まっていたODAを除き、韓国へのODAは1990年を最後に終了した。
慰安婦「問題」、徴用工「問題」が起こったのは、その後の事である。
何かの「引っ掛かり」を模索していたのであろう。結局、「「従軍」慰安婦」が大ヒットしたのだが、あの当時から「徴用工」も、ネタとして登場していた。
当時の政権が宮沢総理であったことと、その後に社会党・村山政権が発足した事などが災いし、慰安婦ネタは「大「問題」化」した。それを延々と利用され、この「問題は」日韓慰安婦合意で韓国政府側が問題解決の当事者にさせられ封印されるまで続いた。
悪足掻きはまだ続いているが、既に決定的な合意がなされ「慰安婦」は封印された。
村山の時代の「民間が」と称した余計な対応をしたことは、1965年の日韓基本条約を脇に置いた我国政権側のオウンゴールの面は否定できない。
村山が、退任後、その「民間」に深く関与したことからは、喜んでオウンゴールを蹴り込んだと見ることが妥当であろう。
尚、「慰安婦」ネタの封印に際して、安倍首相は同時に「慰安婦問題の日韓合意」と「1965年の日韓基本条約」に切り離しを行っており、慰安婦合意が日韓基本条約の否定の「実績」にはならない事を、当時の韓国大統領・朴槿恵に確約させている。(*3)
慰安婦「問題」が提起された頃に同時に提起されていた徴用工「問題」は、慰安婦「問題」の影に隠れていたが、この様に2015年の年末に慰安婦「問題」が封印されたので、その代わりに台頭してきたものである。(*4)
話を文在寅の経済政策無策に戻す。
文在寅が考えつく経済政策残っているのは、過去の成功体験から「日本から資金を調達する」ことだけであろうと推察できる。
ここ迄お読みの方の中には、「慰安婦「問題」」では、「韓国は国家としての資金調達は出来ていない」と指摘する方がいると思う。
実際、朴正煕・全斗煥時代とは異なり、「慰安婦」での資金調達は「民間」であり、政府が関連したのは、むしろ韓国政府が「「慰安婦「問題」」解決の当事者となった」財団資金のたった10億円という微細金額であり、韓国経済にとっては何も役に立っていない。
まったくに、その通りであるのだが、実際のところは、「隠れていて見えていないだけ」である。
全斗煥以降の韓国の歴代大統領は、ワンポイントリリーフを除き、盧泰愚、金泳三、金大中、盧武鉉、李明博、朴槿恵である。(*5)
全斗煥の次の大統領である盧泰愚は、その任期(1988年2月25日-1993年2月24日)の途中迄は日本からのODAがあり、東西冷戦終了の時期で重なっており、「用日」と称する「日本とは「友好的」に接して利用する」という姿勢だった為に特に目立ったものはない。
その次の金泳三は、一応は「民主選挙」で選ばれ「軍事政権」が終了した大統領だったのだが、その対日姿勢は、朝鮮・小中華思想そのものであった。
そんな金泳三も、「日本からの金を得る」政策を成功させた韓国大統領である。
ただ、その文脈が韓国の通貨危機である「IMF危機」で語られるので目立っていないだけだ。
金泳三は、韓国通貨危機の際に、我国に対して金融支援を要請した。我国は少しは歴史に学んでおり、直接金融支援ではなくIMFを通じた「IMFによる金融支援」を行った。
実際は、我国がIMFを通じて行った金融支援と言えるものである。
その次の豊田大中大統領(1998年2月25日-2003年2月24日)は文在寅と同様の頭の中らしく、もっぱら「北朝鮮との「和平」」に取り組んだ。時代が、IMF直後との韓国経済の環境下では「悪くて当たり前」という状態であり、既にIMFを通じて資金を得ているので、経済無策が目立たなかったものだと評価している。
その次の盧武鉉(2003年2月25日-2008年2月24日)は、成果を上げられなかっただけでに、今回の徴用工「問題」の蒸し返しをしている。現在の文在寅は、盧武鉉政権の一員である。
日韓基本条約を無視した今回の韓国「最高裁」の判決も、盧武鉉が大統領だった時代の「アホな姿勢」が顕在化したものである。
盧武鉉の対日姿勢は最低であり、虚偽と欺瞞に満ちたものであることの紹介をし始めると、それだけで幾編もの論考となるので、そこには踏み込まないが、一言で言えば「朝鮮半島流の反日、反米、経済無策を従北に集約した政策」を延々と繰り返してくてのが盧武鉉である。
盧武鉉の次の月山昭博こと李明博大領領(2008年2月25日-2013年2月24日)は、朴正煕・全斗煥時代とは異なり目立った対日経済政策での資金獲得はない。しかし、ただ目立っていないだけであり、李明博は大成功をしている。
ちょうど、金泳三のIMF問題と同じである。
李明博の大成功の主たる原因は、その時の日本の政権が、あの民主党政権だったことにある。
民主党政権は2009年8月総選挙での「政権交代」から野田の消費税増税法の成立後(*6)に民主党が大敗する2014年12月総選挙まで続いた悪夢である。(*7)
民主党政権の政権運営は、経済で言えばデフレ円高であり、それは日本国民に不幸を背負わせ、我国が被る機会損失は計り知れず、機会損失で失った利益の多くが韓国に流れるというものだった。
その間、我国は、国緬経済=雇用という視点をまるっきり持っていないヒムラーの如き日銀総裁・白川がやった金融政策は、韓国経済を大いに助けたものであった。
この様に書くと、李明博は、もっぱら民主党による支援で利益を得ており、李明博自体は悪くない様な誤解が生じると思うので、そうではない事を紹介しておく。
李明博は、日本から資金を得る手段の永久化を画策しており、「幻の日韓慰安婦合意」の内諾を民主党・野田から取り付けている。(*8)
その内容は一言で言うと、日本側が、韓国が言う事を総て認めるというもので、慰安婦「問題」に係る韓国側の虚偽・捏造も総て丸呑みするものであった。そんな「合意」をしてしまえば、「河野談話」などの比ではなく、永久賠償・永久謝罪の「根拠」にされてしまうものであった。
幸にして、それが実現化されることはなかったが、まったくもって最低である。
この件は、以前に「「お詫びの手紙」の長い物語」との論考で指摘済みなので、繰り返さないが、韓国は、金銭的利得と精神的満足という二重の意味で韓国側にとって望ましい「外交カード」を手に入れるところであったのだ。
「慰安婦」問題に関しては、金銭的利得と精神的満足とのうち、韓国人にとっての精神的満足が大きくなり、金銭的利得の方は、直接的には村山のナンチャラ女性基金が表に出ていたが、盧武鉉時代に再燃させた「徴用工」問題は、金銭的利得の比率が多そうである。
読んでいて分かると思うが、韓国の行動はけして理論的ではない。むしろ斜め上にあり得ない非常識である。しかし、それでも彼等は、それを実際の外交の場に持ち出してくるのである。そういう歴史が存在しているのである。(*9)
今回の視点は、「徴用工問題で日本から金を取ることは、日韓基本条約以来の、韓国のいつもの「経済政策」なのではないのか?」であるが、この様に考えると、実効性あるまともな経済政策のアイディアさえ出せない「北朝鮮のことで頭がいっぱい」の文在寅が、徴用工「問題」を、推進していることと整合性が出てくる。
なんとも非常識なことなのだが、それが韓国の対日外交であり続けたのだから、この様なことを彼等が考えている可能性は否定できないと考えている。
P.S.:我国政府として、河野外相が1965年日韓基本条約を以て説明し、安倍首相が「そもそも徴用工じゃない」との説明をしているのは望ましい。
慰安婦「問題」と同じ搦め手を韓国側が提示しているので、この様な重要ポイント2点を先に明示するのは賢い対応方法だと思う。
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【文末脚注】
(*1):元駐韓大使だった武藤正敏氏の著書「韓国人に生まれなくてよかった」
書籍:「韓国人に生まれなくてよかった」
著者:武藤正敏
出版社:悟空出版 (2017/5/26)
ISBN-10: 4908117365
(*2):韓国のGDP推移
2017/02/07投稿:
風吹き桶屋の地政学6
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-599.html
<引用開始>
1960年: 389億ドル(李承晩失脚)
_61年: 236 “ (朴正煕時代へ)
_62年: 275 “
_63年: 386 “
_64年: 336 “(東京五輪・中共の核実験)
1965年: 302億ドル・日本9,095億ドル(日韓基本条約)
_66年: 381 “
_67年: 470 “
_68年: 596 “
_69年: 748 “
1970年: 941億ドル・日本20,907億ドル
_71年:1,042 “
1975年:2,280億ドル
1980年:6,780億ドル
1985年:10,373億ドル
1990年:28,476億ドル
<引用終わり>
(*3):慰安婦合意が日韓基本条約の否定の「実績」にはならない事を、当時の韓国大統領・朴槿恵に確約させている。
外務省HP 平成27年(2015年)12月28日
見出し:◆日韓首脳電話会談
https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_001668.html
<抜粋引用>
12月28日17時48分から約15分間,安倍内閣総理大臣は,朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領と首脳電話会談を行った(中略)
2(1)安倍総理から,日本国の内閣総理大臣として改めて,(中略)。その上で,慰安婦問題を含め,日韓間の財産・請求権の問題は1965年の日韓請求権・経済協力協定で最終的かつ完全に解決済みとの我が国の立場に変わりないが,今回の合意により,慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されることを歓迎した。
(中略)(3)両首脳は,今回の合意を両首脳が責任をもって実施すること,また,今後,様々な問題に,この合意の精神に基づき対応することを確認した。(後略)
<引用終わり>
(*4):慰安婦「問題」が提起された頃に同時に提起されていた徴用工「問題」は、慰安婦「問題」の影に隠れていたが、慰安婦「問題」が封印されたので、その代わりに台頭してきたものである。
2017/09/01投稿:
9月1日雑感
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-744.html
(*5):全斗煥以降の韓国の歴代大統領は、ワンポイントリリーフを除き・・・
・全斗煥:1980年9月1日 - 1988年2月24日
↓
・盧泰愚:1988年2月25日 - 1993年2月24日
↓
・金泳三:1993年2月25日 - 1998年2月24日
↓
・金大中:1998年2月25日 - 2003年2月24日
↓
・盧武鉉:2003年2月25日 - 2008年2月24日
(弾劾により一時職務停止あり)
↓
・李明博:2008年2月25日 - 2013年2月24日
↓
・朴槿恵:2013年2月25日 - 2016年12月9日
(弾劾により退任)
↓
・文在寅:2017年5月10日 - 現在に至る
(*6):野田の消費税増税法の成立
2017/10/10投稿:
消費税10%化は民主党・野田政権の置き土産
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-775.html
(*7)民主党が大敗する選挙まで続いた悪夢
2016/02/05投稿:
【コラム】民主党政権の暴政を振り返る1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-334.html
2016/02/07投稿:
【コラム】民主党政権の暴政を振り返る2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-335.html
(*8):「幻の日韓慰安婦合意」の内諾を民主党・野田から取り付けている。
2018/01/21投稿:
「お詫びの手紙」の長い物語
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-848.html
(*9):そういう歴史が存在しているのである。
2017/02/07投稿:
風吹き桶屋の地政学6
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-599.html
2017/02/09投稿:
憲法9条が韓国をOECD加盟国にした7Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-600.html
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副題:韓国の対日姿勢は複数の要素が絡み合い、それが噴火した時に、斜め上に露わになって我々日本人を呆れさせる。その「複数の要素」とは何かを論説する。
<視点その3:徴用工問題で日本から金を取ることは、日韓基本条約以来の、韓国のいつもの「経済政策」なのではないのか?>
前々回の1つ目の視点、前回の2つ目の視点に続き、今回は「幾つかの視点」のうち、韓国が経済的に発展した「日本からの資金」の歴史から、3つ目の視点「韓国のいつもの「経済政策」について述べてみたい。
文在寅は、朴正煕、全斗煥、李明博らと同じ経済政策を実行したのだと考えられる。しかし、今は安倍政権であり、朴槿恵が失敗した様に、文在寅の「経済政策」も破綻し、韓国経済はより低迷を強めるであろう。
視点3.徴用工問題で日本から金を取ることは、日韓基本条約以来の、韓国のいつもの「経済政策」なのではないのか?
文在寅政権下の韓国最高裁が「徴用工訴訟」で、我国企業に対して賠償支払判決を下した。
文在寅は行政府の長であり、最高裁は司法であり、三権分立原則からは、各々は統治権の中で別々だとする建て付けなのだが、韓国に於いてはしばしばその時の大統領の影響力が司法に作用してきた。
そういう事から、今回の韓国最高裁の判決に対しても「文在寅政権下の韓国最高裁」と表現したものである。
実際、朴槿恵大統領時代は、「徴用工訴訟」で賠償命令が司法から出るのは日韓関係破綻の原因になるとして、判決引伸ばし等の影響力行使があったとされている。
また、前回の論考で記した様に、韓国の国家主権の三権のうち、外交を担うのは行政府であることから、外交の現場で、今後、文在寅が、どの様に動くのかで決まってくる問題である。
ところが、その文在寅は、経済問題に対して素人同然である。
文在寅の政権運営は、知っての通り北朝鮮との融和・支援がもっぱらであり、経済政策は二の次、三の次である。
この事は、既に1年以上前に、元駐韓大使だった武藤正敏氏の著書「韓国人に生まれなくてよかった」(*1)に以下の様に書かれている。
<同著書紹介文から抜粋引用>
私(武藤大使)が会ったとき、彼(文在寅)は北朝鮮のことしか頭になかった。経済政策に疎いポピュリストの彼はバラマキで支持を得ようとするだろうが、これは失敗が見えている。
そうすると、次は必ず露骨な反日政策を執って来るだろう。
そのとき日本は毅然と臨むべきだ。
そして、日米とのすきま風が韓国をさらなる窮地に追い込むだろう
<引用終わり>
文在寅の、この間の経済政策の「実績」は、漏れ聞こえてくる話では、「時給の政治的指示での上昇」に伴い、韓国での雇用は悲惨なもの状態となっており、韓国株式市場は大きく下落しているそうだ。
文在寅が経済問題にかなり弱いことは以前から言われていることであり、韓国経済が疲弊し、低迷している状態とは、一言で言えば「国の舵取りとして失敗」である。
韓国の場合、前大統領の朴槿恵は任期途中で弾劾・解任されてしまった様に、このまま韓国経済が破綻の道を歩むと、文在寅も同じ運命となるのは必定である。
そんな環境下で、文在寅が取れる経済政策は限られている。
先ず、大きな問題として、通常は最初に行われる金融政策に手がつけられないのである。
韓国ウォンという自国通貨に対しての金融政策は事実上選択できないのである。
何故ならば、トリレンマがあるからだ。韓国経済の構造は、海外貿易取引が主要な成長エンジンであり、その基本資材及び石油等のエネルギーを輸入に頼る韓国にとって韓国ウォンの為替レートの大きな変動は致命的であり、為替レート維持が金融政策の中心となっており、韓国はアベノミクス第一の矢の様な経済政策がとれないのである。
また、内需も期待できない。
文在寅は、自身の支持層に受ける経済政策として、最低時給を政治的に上昇させた。
しかし、当たり前の話なのだが、雇う側にとって、それは販売経費や原価の上昇でしかなく、利益の圧迫要因であり、むしろ、雇うことを止める方向に作用し雇用不安を増長している。
内需は個人消費が基本である。その個人消費の礎である個人の雇用が低迷しているのだから、内需にマイナスに作用しており、内需が韓国経済を下支えすることも考えられない。
内需を喚起する方法としては、国民が消費を増やすことが必要となってくるのだが、実は、韓国は国民所得を全体的に上昇させることが難しい構造をしている。
韓国経済の、これまでのビジネスモデルは、日本が開拓した市場に後追いで算入し、安価な労働力を背景にした安値攻勢=価格競争力で市場のシェアを奪うものであった。
繊維、家電、造船・プラント、電子機器等は、総て、そのパターンである。
自動車については、それがコンシューマー商品であること及び総合的な技術的調和が必要な耐久消費税であることから、他の分野に比して成功していないが、やり方は同じである。
ポイントは、「安価な人件費を背景にした価格競争力」であるので、当然の様に、人件費を上げることは容易には出来ないのである。
また、近年は、中国やASEAN諸国の「安い人件費」には勝てず、更には、製品品質の向上等の非価格競争力を充実させる研究開発にも韓国は熱心ではなかったことから、韓国製品の国際競争力は「板挟み状態」で下落している。
また、韓国経済の、これまでのビジネスモデルのもう1つのポイントである「日本が開拓した市場に後追いで算入」も以前とは様変わりなのである。
韓国が「ベンチマーク」する相手である我国産業が開拓している市場は、以前の高度成長期等と違い、韓国が参考にする程には豊富ではなく、また、技術レベルが高いものであり、韓国が手を出せない市場であったりと、従来の「後追い戦略」が通用しない状態にある。
経済に弱い文在寅及びそのスタッフには政策アイディアがない様で、そうなると韓国経済が発展してきた過去の成功体験をなぞるしかないのだが、過去のビジネスモデルが通用しないのが現状だ。
韓国の経済政策としては、他にも色々とやる事はあるのだが、韓国は、政権に係らず近年はずっと成果が出るまでに時間がかかる策が御嫌いな様で、地道な経済政策である構造改革等は実施されていない。
朝鮮戦争の直後は世界最貧国の1つであった韓国が、今や世界15位圏内の経済を誇るまでに発展した「成功体験」は、上記した「日本が開拓した市場に後追いで算入し、易い労働力を背景にした安値攻勢・価格競争力で市場のシェアを奪う」との韓国経済のビジネスモデルがあるのだが、それだけではなく、多くの方がご存じの、別のもう1つがある。
どの様なビジネスでも、それを実行する為には「元手となる資金」が必要だ。
個人が、何かの商売・事業を行いたいと考えても、その元手がない為に出来ないというケースは山ほどあるし、元手を確保しようと、銀行などにお金を借りにいっても断られる話もよく聞く。それ程に、元手資金の調達は苦労するものである。
同様、うまく資金を借りられたとしても、その金利支払と返済が滞り、商売・事業が継続できなくなるという話もよく聞く。
最貧国だった韓国が「漢江の奇跡」と言われた経済発展を成し遂げた起爆剤が1965年の日韓基本条約での8億ドルの援助があったから、というのは常識だ。(韓国国民を除き(笑))
今でこそ8億ドルと言う金額は「大したことない金額」であるが、当時の韓国の国家予算は約3.5億ドルしかなく、そのおおよそ2.3倍である。
我が国の現在の一般会計予算が約100兆円なので、それとは別口で2.3倍の230兆円が加算されるのと同等の効果があると考えると、かなり、相当、猛烈に膨大な金額である。
1年間の生活費が350万円でしかない人が、別途に800万円の経済支援を受けたのと同じである。それを元手に新たな商売・事業を始められるのである。
韓国のGDP推移(*2)を見ると、日韓基本条約締結前の李承晩失脚以降の朴正煕政権時は、ずっと300億ドル程度で推移しており、ずっと最貧国レベルであったのだが、1965年の日韓基本条約締結後5年が経過した1970年のGDPは941億ドルにまで拡大している。
1970年のGDP941億ドルは、1965年のGDP302億ドルの3.1倍である。
年収302万円の人が、僅か5年で年収941万円になったと考えて良い。
「漢江の奇跡」実現の主要な要素として、日韓基本条約の8億ドルがあった事は、論を待たない。(韓国国民を除き(笑))
当時、国民に分け与えよとの話があったそうだが、朴正煕が、この資金を経済発展の為に投資したことは、最貧国脱出策として当たり前のことではあるが、正しい判断である。
軍事アメリカ・経済日本との支援体制で韓国は経済成長を続けたのであるが、その経済支援は起爆剤の日韓基本条約の8億ドルに留まらず、その後も延々と続いたのである。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/kuni/j_90sbefore/901-03.htm
1965年に、まんまと日韓基本条約で資金を得た韓国だが、その朴正煕大統領は1979年10月26日に暗殺される。その後を継いだのは全斗煥である。
全斗煥が新大統領になって以降の1981年、1982年2年間のODAはゼロである。
これは韓国の経済政策にとっては、当たり前の様に続いていた「仕送り」が停止されたに等しい。
韓国経済は、1980年には既にGDPは6,780億ドルと、1965年時点に比べれば22倍に成長していたのだが、1980年当時の世界経済は第二次石油ショックの真っただ中にあり、経済的には世界的な混乱・不安状態にあった。
石油ショックは、産油国でもあるアメリカに比して、非産油国である我国に於いてより深刻であった。この様な世界的な経済環境の激変に対して、我国は中東産油国へと流れていった富を、中東産油国への輸出で呼び戻し、再度、国内に還流させる等の動きにより、自身の努力で経済の立て直しをしたのだが、韓国は別の手で、この経済的難局を乗り切ろうとした。
当時の韓国大統領・全斗煥は、我が国に対して100億ドルを要求してきたのである。
100億ドルとはこれまた法外な金額である。
全斗煥は同政権発足直後の状態で、我国からのODAがなかった1981年の4月に、当時の鈴木善幸首相の日本政府に対して年間20億ドル・5年間で合計100億ドルの「安保経済協力金」を要求してきた。
1981年4月の平均為替レートは約215円なので、100億ドルは当時の2兆1千5百億円に相当する。
当時の我が国国家予算は、現在の半分以下の47兆円である。毎年その約1割を5年間にわたり韓国に上納せよ、との要求である。
毎年の生活費が470万円の人に、5年間にわたり毎年43万円を上納せよと言う話である。
如何にトンデモない要求であるかが分かると思う。
要求の理由が「安保経済協力金」である。
朝鮮半島の南半部でその北方の共産主義勢力の侵攻を防いでいるのは韓国だ。
その恩恵を得ている日本は応分の負担をしろ、2兆1千5百億円払え、という話である。
全斗煥が、この様な名目にしたのは、日韓基本条約締結後まだ15年しか経っておらず、日韓基本条約とは別の名目が必要だったからであろうと推定できる。
その点は、文在寅の日韓基本条約をまるっきり無視した非常識さとは違い、まだ韓国なりには考えていたものだと思う。
この話は、結局は、我国側の「安保問題には絡ませない」との「昔の自民党体質丸出し」の事情から、「安保経済協力金」との当初の名目は舞台から消え、金額としては、韓国が吹っかけた100億ドルの半値・八掛けの40億ドルで決着した。
そもそも支払うこと自体が間違えであるとの議論はあったものの、あの中曽根が払うことを決めてしまったのである。
40億ドルは、215円換算で8千600億円である。約1兆円である。
今の金銭感覚でも1兆円とは、随分と大きい金額であり、当時の金銭価値からすれば、それは、最初に吹っかけられた金額よりは少ないだけで、随分と巨額である。
朴正煕、全斗煥と韓国は、世界情勢と日本自身が憲法の制約で自国防衛がままならない状態を巧く利用して、口先だけで日本から巨額の資金を調達することに成功している。
全斗煥の安保経済協力金「申し出」から7年後の1988年、韓国はソウル五輪を開催した。
1964年に東京五輪を開催した我国の視点からすれば、夏季五輪を開催できるだけの国力がある国への経済援助の必要性はなく、既に決まっていたODAを除き、韓国へのODAは1990年を最後に終了した。
慰安婦「問題」、徴用工「問題」が起こったのは、その後の事である。
何かの「引っ掛かり」を模索していたのであろう。結局、「「従軍」慰安婦」が大ヒットしたのだが、あの当時から「徴用工」も、ネタとして登場していた。
当時の政権が宮沢総理であったことと、その後に社会党・村山政権が発足した事などが災いし、慰安婦ネタは「大「問題」化」した。それを延々と利用され、この「問題は」日韓慰安婦合意で韓国政府側が問題解決の当事者にさせられ封印されるまで続いた。
悪足掻きはまだ続いているが、既に決定的な合意がなされ「慰安婦」は封印された。
村山の時代の「民間が」と称した余計な対応をしたことは、1965年の日韓基本条約を脇に置いた我国政権側のオウンゴールの面は否定できない。
村山が、退任後、その「民間」に深く関与したことからは、喜んでオウンゴールを蹴り込んだと見ることが妥当であろう。
尚、「慰安婦」ネタの封印に際して、安倍首相は同時に「慰安婦問題の日韓合意」と「1965年の日韓基本条約」に切り離しを行っており、慰安婦合意が日韓基本条約の否定の「実績」にはならない事を、当時の韓国大統領・朴槿恵に確約させている。(*3)
慰安婦「問題」が提起された頃に同時に提起されていた徴用工「問題」は、慰安婦「問題」の影に隠れていたが、この様に2015年の年末に慰安婦「問題」が封印されたので、その代わりに台頭してきたものである。(*4)
話を文在寅の経済政策無策に戻す。
文在寅が考えつく経済政策残っているのは、過去の成功体験から「日本から資金を調達する」ことだけであろうと推察できる。
ここ迄お読みの方の中には、「慰安婦「問題」」では、「韓国は国家としての資金調達は出来ていない」と指摘する方がいると思う。
実際、朴正煕・全斗煥時代とは異なり、「慰安婦」での資金調達は「民間」であり、政府が関連したのは、むしろ韓国政府が「「慰安婦「問題」」解決の当事者となった」財団資金のたった10億円という微細金額であり、韓国経済にとっては何も役に立っていない。
まったくに、その通りであるのだが、実際のところは、「隠れていて見えていないだけ」である。
全斗煥以降の韓国の歴代大統領は、ワンポイントリリーフを除き、盧泰愚、金泳三、金大中、盧武鉉、李明博、朴槿恵である。(*5)
全斗煥の次の大統領である盧泰愚は、その任期(1988年2月25日-1993年2月24日)の途中迄は日本からのODAがあり、東西冷戦終了の時期で重なっており、「用日」と称する「日本とは「友好的」に接して利用する」という姿勢だった為に特に目立ったものはない。
その次の金泳三は、一応は「民主選挙」で選ばれ「軍事政権」が終了した大統領だったのだが、その対日姿勢は、朝鮮・小中華思想そのものであった。
そんな金泳三も、「日本からの金を得る」政策を成功させた韓国大統領である。
ただ、その文脈が韓国の通貨危機である「IMF危機」で語られるので目立っていないだけだ。
金泳三は、韓国通貨危機の際に、我国に対して金融支援を要請した。我国は少しは歴史に学んでおり、直接金融支援ではなくIMFを通じた「IMFによる金融支援」を行った。
実際は、我国がIMFを通じて行った金融支援と言えるものである。
その次の豊田大中大統領(1998年2月25日-2003年2月24日)は文在寅と同様の頭の中らしく、もっぱら「北朝鮮との「和平」」に取り組んだ。時代が、IMF直後との韓国経済の環境下では「悪くて当たり前」という状態であり、既にIMFを通じて資金を得ているので、経済無策が目立たなかったものだと評価している。
その次の盧武鉉(2003年2月25日-2008年2月24日)は、成果を上げられなかっただけでに、今回の徴用工「問題」の蒸し返しをしている。現在の文在寅は、盧武鉉政権の一員である。
日韓基本条約を無視した今回の韓国「最高裁」の判決も、盧武鉉が大統領だった時代の「アホな姿勢」が顕在化したものである。
盧武鉉の対日姿勢は最低であり、虚偽と欺瞞に満ちたものであることの紹介をし始めると、それだけで幾編もの論考となるので、そこには踏み込まないが、一言で言えば「朝鮮半島流の反日、反米、経済無策を従北に集約した政策」を延々と繰り返してくてのが盧武鉉である。
盧武鉉の次の月山昭博こと李明博大領領(2008年2月25日-2013年2月24日)は、朴正煕・全斗煥時代とは異なり目立った対日経済政策での資金獲得はない。しかし、ただ目立っていないだけであり、李明博は大成功をしている。
ちょうど、金泳三のIMF問題と同じである。
李明博の大成功の主たる原因は、その時の日本の政権が、あの民主党政権だったことにある。
民主党政権は2009年8月総選挙での「政権交代」から野田の消費税増税法の成立後(*6)に民主党が大敗する2014年12月総選挙まで続いた悪夢である。(*7)
民主党政権の政権運営は、経済で言えばデフレ円高であり、それは日本国民に不幸を背負わせ、我国が被る機会損失は計り知れず、機会損失で失った利益の多くが韓国に流れるというものだった。
その間、我国は、国緬経済=雇用という視点をまるっきり持っていないヒムラーの如き日銀総裁・白川がやった金融政策は、韓国経済を大いに助けたものであった。
この様に書くと、李明博は、もっぱら民主党による支援で利益を得ており、李明博自体は悪くない様な誤解が生じると思うので、そうではない事を紹介しておく。
李明博は、日本から資金を得る手段の永久化を画策しており、「幻の日韓慰安婦合意」の内諾を民主党・野田から取り付けている。(*8)
その内容は一言で言うと、日本側が、韓国が言う事を総て認めるというもので、慰安婦「問題」に係る韓国側の虚偽・捏造も総て丸呑みするものであった。そんな「合意」をしてしまえば、「河野談話」などの比ではなく、永久賠償・永久謝罪の「根拠」にされてしまうものであった。
幸にして、それが実現化されることはなかったが、まったくもって最低である。
この件は、以前に「「お詫びの手紙」の長い物語」との論考で指摘済みなので、繰り返さないが、韓国は、金銭的利得と精神的満足という二重の意味で韓国側にとって望ましい「外交カード」を手に入れるところであったのだ。
「慰安婦」問題に関しては、金銭的利得と精神的満足とのうち、韓国人にとっての精神的満足が大きくなり、金銭的利得の方は、直接的には村山のナンチャラ女性基金が表に出ていたが、盧武鉉時代に再燃させた「徴用工」問題は、金銭的利得の比率が多そうである。
読んでいて分かると思うが、韓国の行動はけして理論的ではない。むしろ斜め上にあり得ない非常識である。しかし、それでも彼等は、それを実際の外交の場に持ち出してくるのである。そういう歴史が存在しているのである。(*9)
今回の視点は、「徴用工問題で日本から金を取ることは、日韓基本条約以来の、韓国のいつもの「経済政策」なのではないのか?」であるが、この様に考えると、実効性あるまともな経済政策のアイディアさえ出せない「北朝鮮のことで頭がいっぱい」の文在寅が、徴用工「問題」を、推進していることと整合性が出てくる。
なんとも非常識なことなのだが、それが韓国の対日外交であり続けたのだから、この様なことを彼等が考えている可能性は否定できないと考えている。
P.S.:我国政府として、河野外相が1965年日韓基本条約を以て説明し、安倍首相が「そもそも徴用工じゃない」との説明をしているのは望ましい。
慰安婦「問題」と同じ搦め手を韓国側が提示しているので、この様な重要ポイント2点を先に明示するのは賢い対応方法だと思う。
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【文末脚注】
(*1):元駐韓大使だった武藤正敏氏の著書「韓国人に生まれなくてよかった」
書籍:「韓国人に生まれなくてよかった」
著者:武藤正敏
出版社:悟空出版 (2017/5/26)
ISBN-10: 4908117365
(*2):韓国のGDP推移
2017/02/07投稿:
風吹き桶屋の地政学6
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-599.html
<引用開始>
1960年: 389億ドル(李承晩失脚)
_61年: 236 “ (朴正煕時代へ)
_62年: 275 “
_63年: 386 “
_64年: 336 “(東京五輪・中共の核実験)
1965年: 302億ドル・日本9,095億ドル(日韓基本条約)
_66年: 381 “
_67年: 470 “
_68年: 596 “
_69年: 748 “
1970年: 941億ドル・日本20,907億ドル
_71年:1,042 “
1975年:2,280億ドル
1980年:6,780億ドル
1985年:10,373億ドル
1990年:28,476億ドル
<引用終わり>
(*3):慰安婦合意が日韓基本条約の否定の「実績」にはならない事を、当時の韓国大統領・朴槿恵に確約させている。
外務省HP 平成27年(2015年)12月28日
見出し:◆日韓首脳電話会談
https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_001668.html
<抜粋引用>
12月28日17時48分から約15分間,安倍内閣総理大臣は,朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領と首脳電話会談を行った(中略)
2(1)安倍総理から,日本国の内閣総理大臣として改めて,(中略)。その上で,慰安婦問題を含め,日韓間の財産・請求権の問題は1965年の日韓請求権・経済協力協定で最終的かつ完全に解決済みとの我が国の立場に変わりないが,今回の合意により,慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されることを歓迎した。
(中略)(3)両首脳は,今回の合意を両首脳が責任をもって実施すること,また,今後,様々な問題に,この合意の精神に基づき対応することを確認した。(後略)
<引用終わり>
(*4):慰安婦「問題」が提起された頃に同時に提起されていた徴用工「問題」は、慰安婦「問題」の影に隠れていたが、慰安婦「問題」が封印されたので、その代わりに台頭してきたものである。
2017/09/01投稿:
9月1日雑感
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-744.html
(*5):全斗煥以降の韓国の歴代大統領は、ワンポイントリリーフを除き・・・
・全斗煥:1980年9月1日 - 1988年2月24日
↓
・盧泰愚:1988年2月25日 - 1993年2月24日
↓
・金泳三:1993年2月25日 - 1998年2月24日
↓
・金大中:1998年2月25日 - 2003年2月24日
↓
・盧武鉉:2003年2月25日 - 2008年2月24日
(弾劾により一時職務停止あり)
↓
・李明博:2008年2月25日 - 2013年2月24日
↓
・朴槿恵:2013年2月25日 - 2016年12月9日
(弾劾により退任)
↓
・文在寅:2017年5月10日 - 現在に至る
(*6):野田の消費税増税法の成立
2017/10/10投稿:
消費税10%化は民主党・野田政権の置き土産
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-775.html
(*7)民主党が大敗する選挙まで続いた悪夢
2016/02/05投稿:
【コラム】民主党政権の暴政を振り返る1
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-334.html
2016/02/07投稿:
【コラム】民主党政権の暴政を振り返る2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-335.html
(*8):「幻の日韓慰安婦合意」の内諾を民主党・野田から取り付けている。
2018/01/21投稿:
「お詫びの手紙」の長い物語
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-848.html
(*9):そういう歴史が存在しているのである。
2017/02/07投稿:
風吹き桶屋の地政学6
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-599.html
2017/02/09投稿:
憲法9条が韓国をOECD加盟国にした7Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-600.html
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