<スペインとの戦略的パートナーシップ締結>
- 2018/10/24
- 19:53
<スペインとの戦略的パートナーシップ締結>
ASEM(アジア欧州会合)関係ニュース雑感その3Final
副題:多国間外交は二国間外交の必要性から行われる。多国間外交ASEM(アジア欧州会合)での話題への雑感を述べる。
第12回ASEM(アジア欧州会合)に関しての論考の続きである。
やっと本題である(笑)。
前々回及び前回は、韓国・文在寅の国際常識を無視した「北朝鮮制裁緩和」という「一緒に国連決議に違反しましょう」との、とんでもない提案をしていた事に対してのしっぺ返しの内の1つが、文在寅不在の集合写真撮影として現出したという話をしたが、あまりレベルの高い話ではないので恐縮している。
ASME12関係で注目すべきは、我国の「地球儀を敷衍したビジョン」(*1)に基づいた具体的動きの1つとして現出した日本・スペイン戦略的パートナーシップ締結の話であり、これが本題である。
以前から、我国・安倍首相は我国・日本人の命、平和・安寧を確保する外交戦略を展開しており、そうであるからこそ、所謂「反日勢力」からは蛇蝎の如き扱いを受けているのだが、安倍首相の外交は、極めて原則的かつ実利的な成果をあげてきている。
その戦略に基づく外交成果のうち、特に安全保障に注目して述べれば、我国が置かれた現行憲法の軛と現実の世界情勢からは、日米安保を基盤とする日米関係を基軸にした外交関係の強化を行いつつ、同時に、「それしかない」という「一本足状態のリスク」を認知し、ダイヤモンド構想を示し、その一翼を担うインドとは、「戦略的パートナーシップを「次の段階に引き上げる」」ことを2017年9月に訪印した安倍首相とインド・モディ首相の間で出された日印共同声明(*2)で確認しており、同様、もう一方の一翼を担うオーストラリアの国家元首であるエリザベス女王の本国・イギリスとは、「基本的価値観を共有するグローバルな戦略的パートナー」であるとして、インドとの共同声明の1ヶ月前の2017年8月に訪日したメイ首相との間で「安全保障強力に関する日英共同宣言」(*3)を発している。
また、欧州諸国との安全保障連携として同地域の安全保障の根幹であるNATOとの関係強化を、NATOに「日本政府代表部」を設置する(*4)ことで実地済である。
これらの事柄の内容・意味を我国偏向マスコミは、ほとんど報道しないが、この様な「摘み食い論考」であっても、それらを並べるだけでも、これらが我国の「地球儀を敷衍したビジョン」に基づいた具体的動きの1つ1つだと分かるであろう。
外交成果のうちの経済分野に関しては、我国偏向マスコミは「その一部を切り取って」の「報道」をしているものの、経済問題を報道しない訳にはいかないので、いろいろと報道されており、従前から、まったくダメな場合を除きわざわざ論考していないが、TPP11やEUとのEPA(経済連携協定)などはご存じのことだと思う。
今回取り上げたASEMも、自由貿易体制・質の高いインフラ等の経済問題を重要テーマとしており、セッション1では、それらが議論されており、概要は報道の通りである。
戦後の我国は、「経済と軍事」という「国力の両輪」という世界常識・当たり前の話でさえも忌避されており、経済一辺倒になっているのだが、現実の世界情勢からは、これら両輪が機能しないと我国・日本人の安寧を確保できない。それが冷徹なる事実なのである。
話を外交成果に戻す。
今年(2018年)7月に我国は、EUとEPAを締結したことは大きく報じられたのでご存じのことだと思うが、同時に、SPA(戦略的パートナーシップ協定)も締結されている。
これらも大枠で言えば「経済(EPA)と軍事(SPA)の両輪」での連携強化である。
我国には、現行憲法との軛があるので、SPAが軍事面での協力だとは明言できないので、SPAの本質を分かり難くしている。同様、締結したSPAの内容も、所謂「軍事同盟」の様な内容に限定しておらず広範囲にわたっているので、ピンとこないであろうが、SPAは「21世紀型の安全保障協定」=「その昔の軍事同盟」である。
外形的には「条約」ではない。それは現行憲法9条の軛がある状態での我国の安全保障確保策であるからだ。それ故に「21世紀型」と称している。
この様に結論しているのは、SPA協定の分野には「平和及び安全の促進」、「危機管理」、「大量破壊兵器の不拡散及び軍縮」、「通常兵器の移転管理」等の軍事分野が明記されているからである。(*5)
前置きが随分と長くなったが、これは「スペインとの戦略的パートナーシップ締結」を紹介するだけでは見えてこない事があると考えたからである。
スペインはEUの一員であり、NATOの一員である。
我国は、EUとEPA/SPAを締結しており、NATOに日本国代表部を正式に置いている。
そうであるにも関わらず、あたかも「屋上屋を重ねる」が如き、日スペイン共同声明を発する意義は何なのか、という視点である。
外務省HPの日・スペイン首脳会談の関する記述(*6)だけでは、それは分からない。
同HPには「日本とスペインの関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げし,今後,両国関係を更に強化していくことで一致しました。」とのfactは書いてあるのだが、決定的なWhyは書いてない。
また、日本・スペインの二国間関係の話の中に、「日EU関係」との話が出てきており、次の様に書かれている。
<外務省HPより引用>
(1)両首脳は,7月の日EU・EPA及びSPAの署名を歓迎し,早期発効に向け引き続き協力していくことで一致しました。
(2)安倍総理大臣から,日本は結束した強い欧州を支持すると述べ,そのためのサンチェス首相の取組を評価する旨述べました。両首脳は,国際社会が直面する諸課題に対応するため日本とEUが緊密に連携していくことを確認しました。
<引用終わり>
この記述からは、ますます「何故、EUとの関係があるのに、その1国であるスペインとの関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げするのか?」との疑問が湧くのである。
疑問が払拭されない時は、一次資料をより深く確認するという原則に従い、外務省が発表している「戦略的パートナーシップに関する日本国政府とスペイン王国政府との間の共同声明(仮訳)」(*7)を読んでみた。
同声明は36番まで付番されており、それを読んだ結果、どうやら2つの目的があることがわかった。
その内の主要な目的は、EU・NATOという「多国連合」との関係だけではなく、それを構成している主権国家との間で、同様の関係を持つことである。
幾度も指摘している様に、現在の世界の建て付けは、各国が持つ国家主権を最高権力としたもので、国連やEU等の国家連合であっても、各国主権国家を権力的に強制させることは出来ないし、そういう国家連合に参加するのも脱退するのも、各国の自由である。
そうであるから、国連やEU等の国家連合では、「意思決定が出来ない事態」が発生する。
良く聞く事例としては、国連安保理で常任理事国の1つが拒否権を発動して「実行力の行使」案が否決され「声明」を発するだけに終わる様な事例がある。
多国間外交の場合は、少しでも我国に協力してくれる他の主権国家の存在は貴重であることは論を待たない。
そういう意味では、NATOに関してはイギリス・アメリカが構成員であり、既に友邦国家がいるので、特に新たに別の主権国家と「屋上屋を重ねる」様なことをする必要はない。
ところが、EUに関しては、イギリスがEU脱退を国民投票で決めており、「EU内での我国との関係が高い主権国家」がいなくなる事態となっている。
一方、EUを主導するフランスやドイツと別途新たに「屋上屋を重ねる」様なことをするのは難しいことも分かるであろう。
そういう事からの動きだと推察される。
その事は、「戦略的パートナーシップに関する日本国政府とスペイン王国政府との間の共同声明(仮訳)」のうちの総論部分の「3」及び政治・外交協力部分の「5」、「8」、「9」、「12」他に書かれている。
<同声名の各項目より抜粋引用>
3.(前略)多国間レベルにおける安全保障協力への日本の参加の重要性及びスペインの活発なEU加盟国及びNATO同盟国としてのビジョンの重要性を認識した。(後略)
5.二国間の関係を更に発展させるため、両国首脳は、二国間関係を戦略的パートナーシップに格上げすることを決定した。このパートナーシップは、政治及び外交協力。安全保障、経済、イノベーション並びに文化、教育、スポーツ及び観光を通じた人的交流の分野での共通の課題及び機会に対処する。
8.両首脳は、日本とスペインが国際平和・安全保障、ルールに基づく多国間秩序、自由でオープンな貿易の促進、(中略)持続可能な開発目標の実施を確保する共通の責任を共有していることを確認した。
9.両首脳は、日EU戦略パートナーシップ協定の署名を歓迎した。これは、民主主義、法の支配、人権及び基本的自由といった価値及び原則を共有する日本とEU及びEU加盟国との間で、幅広い分野における相互の関心事項についての協力を促進するとともに、将来にわたる葬儀の戦略的パートナーシップを強化するための法的基礎となるものである。(後略)
12.両首脳は、我々の全ての市民にひ益する自由貿易のビジョンに基づいて、図べての不公正な貿易慣行を含む保護主義と闘うこと(中略)公平な競争条件を確保するために努力すること(中略)を再確認した。(中略)ルールに基づく多角的貿易システムを支持することを再確認(中略)、世界貿易機関(WTO)改革の必要性を共有した。(後略)
<引用終わり>
引用は、この程度にしておかないと長くなり過ぎる。
また、これら文言を読めば、これらが中国の不公正な経済政策への対抗策になっていることもお分かりだと思う。
この共同声明には、アメリカの現役副大統領のペンスが先日の演説で言及した、ヘゲモニーチャレンジャー中国を相手にした新冷戦状態(*8)への対策が他にも含まれている。
日スペイン共同声明には、」中国の不公正貿易・貧弱なるインフラ輸出等による世界秩序の劣化に対抗する事が含まれ、また、中国の武力を背景とした現状変更、要するに21世紀現在の実在する中国の軍国主義に対抗するものとしては、「19」(航行の自由)、「20」(自由で開かれたインド太平洋戦略)などがある。
同様、北朝鮮の核・弾道ミサイル問題への対処としては「13」(国連安保理決議)、「14」(朝鮮半島有事の際のシビリアン保護)、「18」(大量破壊兵器のCVID)、「21」(核拡散防止条約NPT)、「22」(化学兵器禁止条約)などの項目がある。
これらの項目は、実は「お馴染みの項目」である。
過去数年間のG7サミットの首脳宣言で取り上げられている項目であり、「自由で開かれたインド太平洋戦略」は、先に紹介したインドとの共同声明で登場した項目であり、2018年の国連総会での安倍首相の演説にも登場する概念・政策である。
当然の様に、EU・EPA及びSPAも「この線」で合意されている。
これらは、要するに、「政策自体は同じ事」である。
唯一違うのは、上記の総論部分及び政治・外交協力部分でのスペインのEUでの日本との協力の部分である。
この様な内容であることから、日本スペインの戦略的パートナーシップの締結の主要な目的は、EU・NATOという「多国連合」との関係だけではなく、それを構成している主権国家との間で、同様の関係を持つことである、と結論したものである。
因みに、もう1つの目的は、この共同宣言で初めて出てきた、ラテンアメリカ(中南米)という地域名である。
それは項目「7」に、以下の様に書いてある。
<同声名の項目6及び7を引用>
6.両首脳は、二国間や多国間会議における政府間の様々な形の有効的な交流を含む、定期的に実施される会合や対話を促進することにより、政治協力を強化することを決定した。また、両首脳は、立法機関及び地方当局間での友好交流を歓迎した。
7.この点に関し、両首脳は、高級実務レベル会合並びに特にラテンアメリカ、アジア及びアフリカにおける日本とスペインの大使館を通じた。政務協議の重要性と継続を強調した。
<引用終わり>
これが何を意味するのかを早計に結論付けることは難しいのだが、少なくとも「ラテンアメリカ」との地域名が登場するのは、記憶にある限り、はじめてである。
安倍首相の「地球儀を敷衍するビジョン」の空白地帯だった中南米が登場したのは注目に値する。
知っての通り、中南米諸国の公用語はスペイン語(ブラジルのポルトガル語を除く)である。それは、スペインが元気すぎた、あの侵略時代からの歴史の結果である。
「支配者・被支配者関係だった歴史」があると、その関係は反目関係となり非友好的関係に違いないと考えてしまうのは、我国のお隣がお困りの国だからである。
我国がその昔は「支配者」だった台湾島での内省人の方々の態度を見れば、そうだと決め付けるのは早計である。
同様、これが「スペインを足掛かりにしての中南米へのアプローチ」だと決め付けるのも早計だと思う。何れにしろ、今後の動きを見てから判断したい。
発表資料を読んだ結果は以上であるのだが、「何故、スペインなのか」とのWhyを解明できたとは思っていない。「ラテンアメリカへのアプローチ」だとは言えないからである。
また、「それだけ」では理由が薄いと思われる。
EU加盟国のうち、その中心的役割を担っているフランスやドイツと、この様な二国間協定を締結する事が難しいことは、先に述べた通りである。
そうなると「EU加盟国」の中で、どの国が「二国間での戦略的パートナーシップ締結の候補」になるのかを考えることになるのだが、実際のところ、その候補は多くはない。
幾つかの条件があると思う。
少なくともEU内部での有力な発言権がなかったり影響力が少ない国では締結の意味がない。
また、我国と文明的に親和性がある西欧文明国が相手国になることが望ましい。今やEU加盟国には、ソ連時代に衛星国だった東欧や、ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)の一部であったバルト諸国がいる。これらの国々は西欧文明圏ではなく、スラブ(東方正教)文明圏の国々であると考えられている。
更に言えば、我国は、実際のところ、大国なのである。
戦後、自国が大国であると認知することは「危険」だとされ、我国の客観的実力がまぎれもなく大国であるにも関わらず、そうではないとの誤解が国民一般に蔓延している。
ところが、実際は大国なのである。そういう大国である我国とつり合いが取れる相手国としては、例えばG7諸国である。
EU加盟のG7諸国で、ドイツ、フランスが候補ではないので、残っているのは「イタリア」だけである。
そうであるにも関わらず、何故、スペインなのか?
その理由を考えてみると、スペインは人口・GDP等に於いて欧州西欧文明圏内ではG7加盟国に準じる規模を持っている国であるからだと分かる。
西欧文明圏諸国の人口・GDPは文末脚注の(*9)に紹介してあるが、G7諸国の次がスペインである。スペインの次はオランダなのだが、G7諸国とスペインの差に比べ、スペインとオランダの差は、かなり大きくなっている。
更に言えば、先の大戦で、我国とスペインは戦争をしていない。スペインの植民地であったフィリピンは、既に米西戦争でアメリカの植民地になっていたし、サンフランシスコ講和条約の締結相手国にスペインは含まれていないのである。
しかし、それでも、イタリアと大差ない話である。むしろイタリアが一歩リードしている。
「イタリアはヘテレで信用ならん」という偏見ではなく、何故、イタリアではなくスペインなのかを考えた場合、「イタリアの政情が安定しないから」とかが考えられるが、それらはスペインとの決定的な差とはならない。
欧州の経済危機の際に言われた「PIGS」のIはイアリアだが、Sはスペインなのである、どちらも経済的に宜しくなく、政情に大差があるかというと、そうでもない。
そうなると、残っている理由は、イタリアが共和国であることに対してスペインは「スペイン王国」であり、我国と同じ立憲君主国であるという点だ。
因みに、イギリス、オーストラリアも立憲君主国である。
また、「日本は欧州G7諸国とだけしか戦略的パートナーシップを締結しない」と思われることも相応しくなく、この様な事から、スペインがEU加盟国の中で、我国が戦略的パートナーシップ関係を締結する相手として選定されたものと思われる。
勿論、これらは推定である。ただ、単なる雰囲気ではなく、長々と書いた理由を以てした推定である。
何れにしろ、スペインと戦略的パートナーシップ関係を締結した事は、我国・安倍首相が推進している「地球儀を敷衍したビジョン」が進展している事の証左であり、大目標への布石である。
このビジョンは、我々日本人にとって、その命、平和・安寧を確保する外交戦略であり、その望ましい展開であると評価している。
各国首脳は、ASEM12との多国間外交を利用して、訪欧したことを理由に二国間外交を展開した訳だが、安倍首相は、今回も大きな外交成果をあげたと評価している。
過去の我国首相の多くは、今回の文在寅の様な致命的な失敗が大きく表れることこそなかったのだが、我々日本人の為に必要な事をしないとの「無作為の罪」を犯してきたと思っており、安倍政権6年間の外交成果は、それ以前の数十年の無作為をトリモロス素晴らしいものだと評価している。
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【文末脚注】
(*1):地球儀を敷衍したビジョン
2018/10/01投稿:
安倍首相・国連演説2018(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1024.html
2018/10/02投稿:
安倍首相・国連演説2018(中編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1025.html
2018/10/03投稿:
安倍首相・国連演説2018(後編)Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1026.html
(*2):戦略的パートナーシップを「次の段階に引き上げる」ことを2017年9月には日印共同声明で確認している。
2017/09/17投稿:
安倍首相・インド訪問
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-754.html
(*3):イギリスとは「戦略的パートナー」であるとして、2017年8月には訪日したメイ首相との間で「安全保障強力に関する日英共同宣言」を発している。
2018/10/06投稿:
イギリス陸軍との共同訓練・富士演習場
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1029.html
(*4):欧州諸国の安全保障の根幹であるNATOとの関係強化を、NATOに「日本政府代表部」を設置することで連携強化を実地済である。
2018/05/31投稿:
NATO日本政府代表部の開設
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-944.html
(*5):EUとのSPA(戦略的パートナーシップ協定)概要
外務省資料(※PDFファイル・スマホの方は注意)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000381943.pdf
<抜粋引用>
○意義:本協定は,民主主義,法の支配,人権及び基本的自由という価値及び原則を共有する日本とEU及びEU構成国が,幅広い分野における地球的規模の課題を含む共通の関心事項に関する協力を促進し,将来にわたる相互の戦略的なパートナーシップを強化していくための法的基礎となるもの。
○分野抜粋引用
•共通の価値及び原則の促進
•平和及び安全の促進
•危機管理
•WMDの不拡散及び軍縮(Weapon of Mass Destruction:大量破壊兵器)
•通常兵器の移転管理
•重大な犯罪の捜査及び訴追
•テロ対策
•化学剤,生物剤,放射性物質及び核についてのリスクの軽減
•国際的な協力等及び国連改革(以下略)
<抜粋引用終わり>
(*6):外務省HPの日・スペイン首脳会談の関する記述
外務省HP 平成30年(2018年)10月16日
見出し:◆日・スペイン首脳会談
https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/we/es/page6_000204.html
<抜粋引用>
10月16日,現地時間午後7時10分(日本時間17日午前2時10分)から約70分間,スペインを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は,サンチェス首相と首脳会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。
今次首脳会談に際し,両首脳は共同声明を発出し,日・スペイン関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げし,幅広い分野における戦略的な協力を一層推進していくことを確認しました。
右首脳会談の後,両首脳は,両国間の現行の租税条約を全面改正する新条約及び航空協定の附属書の改正に係る交換公文に署名しました。その後,サンチェス首相夫妻主催夕食会が行われました。
*両国は自由,民主主義,人権,法の支配を始めとする基本的価値を共有する重要なパートナーであり,スペインはEUにおいて枢要な役割を果たしている旨述べました。
両首脳は,歴史ある両国関係の一層の強化のために尽力することを確認しました。
*両首脳は,この5年間での両国関係の飛躍的な進展に鑑み,日本とスペインの関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げし,今後,両国関係を更に強化していくことで一致しました。
*3 日EU関係
(1)両首脳は,7月の日EU・EPA及びSPAの署名を歓迎し,早期発効に向け引き続き協力していくことで一致しました。
(2)安倍総理大臣から,日本は結束した強い欧州を支持すると述べ,そのためのサンチェス首相の取組を評価する旨述べました。両首脳は,国際社会が直面する諸課題に対応するため日本とEUが緊密に連携していくことを確認しました。
*4 北朝鮮
両首脳は,朝鮮半島の非核化に向け,安保理決議の完全な履行が必要との認識で一致しました。また,安倍総理大臣から拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を求め,サンチェス首相の支持を得ました。
<抜粋引用終わり>
(*7):「戦略的パートナーシップに関する日本国政府とスペイン王国政府との間の共同声明(仮訳)」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000409438.pdf
※PDFファイル・かなり重くなるのでスマホの方は注意
(*8):ペンス副大統領演説・ヘゲモニーチャレンジャー中国を相手にした新冷戦状態
2018/10/13投稿:
新冷戦状態にあるとの宣言・ペンス米国副大統領演説(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1033.html
2018/10/16投稿:
新冷戦状態にあるとの宣言・ペンス米国副大統領演説(中編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1034.html
2018/10/17投稿:
新冷戦状態にあるとの宣言・ペンス米国副大統領演説(後編)Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1035.html
【ご参考】
2018/10/11投稿:
ヘゲモニーチャレンジャー中国・事大主義小中華韓国
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1032.html
(*9):西欧文明圏諸国の人口・GDP
<世界総人口ランキング・国別順位、WHO 2018年版>
https://memorva.jp/ranking/unfpa/who_whs_population.php
※人口1千万人以上
10位:日 本 :127,749千人G7
16位:ドイツ : 81,915千人G7
21位:イギリス: 65,789千人G7
22位:フランス: 64,721千人G7
23位:イタリア: 59,430千人G7
30位:スペイン: 46,348千人★
65位:オランダ: 16,987千人
79位:ベルギー: 11,358千人
80位:ギリシャ: 11,184千人
87位:ポルトガル 10,372千人
※スウェーデン、オーストリア、デンマーク、フィンランド、ノルウェー他は1千万人未満。
<GDP>
http://ecodb.net/ranking/imf_ngdpd.html
※1兆ドル以上
03位:日 本 :4兆,8732億ドルG7
04位:ドイツ :3兆7006億ドルG7
05位:イギリス:2兆6284億ドルG7
07位:フランス:2兆5876億ドルG7
09位:イタリア:1兆9386億ドルG7
14位:スペイン:1兆3139億ドル★
18位:オランダ:0兆8322億ドル
※スウェーデン5356億ドル、ベルギー4936億ドル他
【ご参考】
2017/12/21投稿:
情勢認識が冷戦時代のままではダメでしょ。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-829.html
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ASEM(アジア欧州会合)関係ニュース雑感その3Final


第12回ASEM(アジア欧州会合)に関しての論考の続きである。
やっと本題である(笑)。
前々回及び前回は、韓国・文在寅の国際常識を無視した「北朝鮮制裁緩和」という「一緒に国連決議に違反しましょう」との、とんでもない提案をしていた事に対してのしっぺ返しの内の1つが、文在寅不在の集合写真撮影として現出したという話をしたが、あまりレベルの高い話ではないので恐縮している。
ASME12関係で注目すべきは、我国の「地球儀を敷衍したビジョン」(*1)に基づいた具体的動きの1つとして現出した日本・スペイン戦略的パートナーシップ締結の話であり、これが本題である。
以前から、我国・安倍首相は我国・日本人の命、平和・安寧を確保する外交戦略を展開しており、そうであるからこそ、所謂「反日勢力」からは蛇蝎の如き扱いを受けているのだが、安倍首相の外交は、極めて原則的かつ実利的な成果をあげてきている。
その戦略に基づく外交成果のうち、特に安全保障に注目して述べれば、我国が置かれた現行憲法の軛と現実の世界情勢からは、日米安保を基盤とする日米関係を基軸にした外交関係の強化を行いつつ、同時に、「それしかない」という「一本足状態のリスク」を認知し、ダイヤモンド構想を示し、その一翼を担うインドとは、「戦略的パートナーシップを「次の段階に引き上げる」」ことを2017年9月に訪印した安倍首相とインド・モディ首相の間で出された日印共同声明(*2)で確認しており、同様、もう一方の一翼を担うオーストラリアの国家元首であるエリザベス女王の本国・イギリスとは、「基本的価値観を共有するグローバルな戦略的パートナー」であるとして、インドとの共同声明の1ヶ月前の2017年8月に訪日したメイ首相との間で「安全保障強力に関する日英共同宣言」(*3)を発している。
また、欧州諸国との安全保障連携として同地域の安全保障の根幹であるNATOとの関係強化を、NATOに「日本政府代表部」を設置する(*4)ことで実地済である。
これらの事柄の内容・意味を我国偏向マスコミは、ほとんど報道しないが、この様な「摘み食い論考」であっても、それらを並べるだけでも、これらが我国の「地球儀を敷衍したビジョン」に基づいた具体的動きの1つ1つだと分かるであろう。
外交成果のうちの経済分野に関しては、我国偏向マスコミは「その一部を切り取って」の「報道」をしているものの、経済問題を報道しない訳にはいかないので、いろいろと報道されており、従前から、まったくダメな場合を除きわざわざ論考していないが、TPP11やEUとのEPA(経済連携協定)などはご存じのことだと思う。
今回取り上げたASEMも、自由貿易体制・質の高いインフラ等の経済問題を重要テーマとしており、セッション1では、それらが議論されており、概要は報道の通りである。
戦後の我国は、「経済と軍事」という「国力の両輪」という世界常識・当たり前の話でさえも忌避されており、経済一辺倒になっているのだが、現実の世界情勢からは、これら両輪が機能しないと我国・日本人の安寧を確保できない。それが冷徹なる事実なのである。
話を外交成果に戻す。
今年(2018年)7月に我国は、EUとEPAを締結したことは大きく報じられたのでご存じのことだと思うが、同時に、SPA(戦略的パートナーシップ協定)も締結されている。
これらも大枠で言えば「経済(EPA)と軍事(SPA)の両輪」での連携強化である。
我国には、現行憲法との軛があるので、SPAが軍事面での協力だとは明言できないので、SPAの本質を分かり難くしている。同様、締結したSPAの内容も、所謂「軍事同盟」の様な内容に限定しておらず広範囲にわたっているので、ピンとこないであろうが、SPAは「21世紀型の安全保障協定」=「その昔の軍事同盟」である。
外形的には「条約」ではない。それは現行憲法9条の軛がある状態での我国の安全保障確保策であるからだ。それ故に「21世紀型」と称している。
この様に結論しているのは、SPA協定の分野には「平和及び安全の促進」、「危機管理」、「大量破壊兵器の不拡散及び軍縮」、「通常兵器の移転管理」等の軍事分野が明記されているからである。(*5)
前置きが随分と長くなったが、これは「スペインとの戦略的パートナーシップ締結」を紹介するだけでは見えてこない事があると考えたからである。
スペインはEUの一員であり、NATOの一員である。
我国は、EUとEPA/SPAを締結しており、NATOに日本国代表部を正式に置いている。
そうであるにも関わらず、あたかも「屋上屋を重ねる」が如き、日スペイン共同声明を発する意義は何なのか、という視点である。
外務省HPの日・スペイン首脳会談の関する記述(*6)だけでは、それは分からない。
同HPには「日本とスペインの関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げし,今後,両国関係を更に強化していくことで一致しました。」とのfactは書いてあるのだが、決定的なWhyは書いてない。
また、日本・スペインの二国間関係の話の中に、「日EU関係」との話が出てきており、次の様に書かれている。
<外務省HPより引用>
(1)両首脳は,7月の日EU・EPA及びSPAの署名を歓迎し,早期発効に向け引き続き協力していくことで一致しました。
(2)安倍総理大臣から,日本は結束した強い欧州を支持すると述べ,そのためのサンチェス首相の取組を評価する旨述べました。両首脳は,国際社会が直面する諸課題に対応するため日本とEUが緊密に連携していくことを確認しました。
<引用終わり>
この記述からは、ますます「何故、EUとの関係があるのに、その1国であるスペインとの関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げするのか?」との疑問が湧くのである。
疑問が払拭されない時は、一次資料をより深く確認するという原則に従い、外務省が発表している「戦略的パートナーシップに関する日本国政府とスペイン王国政府との間の共同声明(仮訳)」(*7)を読んでみた。
同声明は36番まで付番されており、それを読んだ結果、どうやら2つの目的があることがわかった。
その内の主要な目的は、EU・NATOという「多国連合」との関係だけではなく、それを構成している主権国家との間で、同様の関係を持つことである。
幾度も指摘している様に、現在の世界の建て付けは、各国が持つ国家主権を最高権力としたもので、国連やEU等の国家連合であっても、各国主権国家を権力的に強制させることは出来ないし、そういう国家連合に参加するのも脱退するのも、各国の自由である。
そうであるから、国連やEU等の国家連合では、「意思決定が出来ない事態」が発生する。
良く聞く事例としては、国連安保理で常任理事国の1つが拒否権を発動して「実行力の行使」案が否決され「声明」を発するだけに終わる様な事例がある。
多国間外交の場合は、少しでも我国に協力してくれる他の主権国家の存在は貴重であることは論を待たない。
そういう意味では、NATOに関してはイギリス・アメリカが構成員であり、既に友邦国家がいるので、特に新たに別の主権国家と「屋上屋を重ねる」様なことをする必要はない。
ところが、EUに関しては、イギリスがEU脱退を国民投票で決めており、「EU内での我国との関係が高い主権国家」がいなくなる事態となっている。
一方、EUを主導するフランスやドイツと別途新たに「屋上屋を重ねる」様なことをするのは難しいことも分かるであろう。
そういう事からの動きだと推察される。
その事は、「戦略的パートナーシップに関する日本国政府とスペイン王国政府との間の共同声明(仮訳)」のうちの総論部分の「3」及び政治・外交協力部分の「5」、「8」、「9」、「12」他に書かれている。
<同声名の各項目より抜粋引用>
3.(前略)多国間レベルにおける安全保障協力への日本の参加の重要性及びスペインの活発なEU加盟国及びNATO同盟国としてのビジョンの重要性を認識した。(後略)
5.二国間の関係を更に発展させるため、両国首脳は、二国間関係を戦略的パートナーシップに格上げすることを決定した。このパートナーシップは、政治及び外交協力。安全保障、経済、イノベーション並びに文化、教育、スポーツ及び観光を通じた人的交流の分野での共通の課題及び機会に対処する。
8.両首脳は、日本とスペインが国際平和・安全保障、ルールに基づく多国間秩序、自由でオープンな貿易の促進、(中略)持続可能な開発目標の実施を確保する共通の責任を共有していることを確認した。
9.両首脳は、日EU戦略パートナーシップ協定の署名を歓迎した。これは、民主主義、法の支配、人権及び基本的自由といった価値及び原則を共有する日本とEU及びEU加盟国との間で、幅広い分野における相互の関心事項についての協力を促進するとともに、将来にわたる葬儀の戦略的パートナーシップを強化するための法的基礎となるものである。(後略)
12.両首脳は、我々の全ての市民にひ益する自由貿易のビジョンに基づいて、図べての不公正な貿易慣行を含む保護主義と闘うこと(中略)公平な競争条件を確保するために努力すること(中略)を再確認した。(中略)ルールに基づく多角的貿易システムを支持することを再確認(中略)、世界貿易機関(WTO)改革の必要性を共有した。(後略)
<引用終わり>
引用は、この程度にしておかないと長くなり過ぎる。
また、これら文言を読めば、これらが中国の不公正な経済政策への対抗策になっていることもお分かりだと思う。
この共同声明には、アメリカの現役副大統領のペンスが先日の演説で言及した、ヘゲモニーチャレンジャー中国を相手にした新冷戦状態(*8)への対策が他にも含まれている。
日スペイン共同声明には、」中国の不公正貿易・貧弱なるインフラ輸出等による世界秩序の劣化に対抗する事が含まれ、また、中国の武力を背景とした現状変更、要するに21世紀現在の実在する中国の軍国主義に対抗するものとしては、「19」(航行の自由)、「20」(自由で開かれたインド太平洋戦略)などがある。
同様、北朝鮮の核・弾道ミサイル問題への対処としては「13」(国連安保理決議)、「14」(朝鮮半島有事の際のシビリアン保護)、「18」(大量破壊兵器のCVID)、「21」(核拡散防止条約NPT)、「22」(化学兵器禁止条約)などの項目がある。
これらの項目は、実は「お馴染みの項目」である。
過去数年間のG7サミットの首脳宣言で取り上げられている項目であり、「自由で開かれたインド太平洋戦略」は、先に紹介したインドとの共同声明で登場した項目であり、2018年の国連総会での安倍首相の演説にも登場する概念・政策である。
当然の様に、EU・EPA及びSPAも「この線」で合意されている。
これらは、要するに、「政策自体は同じ事」である。
唯一違うのは、上記の総論部分及び政治・外交協力部分でのスペインのEUでの日本との協力の部分である。
この様な内容であることから、日本スペインの戦略的パートナーシップの締結の主要な目的は、EU・NATOという「多国連合」との関係だけではなく、それを構成している主権国家との間で、同様の関係を持つことである、と結論したものである。
因みに、もう1つの目的は、この共同宣言で初めて出てきた、ラテンアメリカ(中南米)という地域名である。
それは項目「7」に、以下の様に書いてある。
<同声名の項目6及び7を引用>
6.両首脳は、二国間や多国間会議における政府間の様々な形の有効的な交流を含む、定期的に実施される会合や対話を促進することにより、政治協力を強化することを決定した。また、両首脳は、立法機関及び地方当局間での友好交流を歓迎した。
7.この点に関し、両首脳は、高級実務レベル会合並びに特にラテンアメリカ、アジア及びアフリカにおける日本とスペインの大使館を通じた。政務協議の重要性と継続を強調した。
<引用終わり>
これが何を意味するのかを早計に結論付けることは難しいのだが、少なくとも「ラテンアメリカ」との地域名が登場するのは、記憶にある限り、はじめてである。
安倍首相の「地球儀を敷衍するビジョン」の空白地帯だった中南米が登場したのは注目に値する。
知っての通り、中南米諸国の公用語はスペイン語(ブラジルのポルトガル語を除く)である。それは、スペインが元気すぎた、あの侵略時代からの歴史の結果である。
「支配者・被支配者関係だった歴史」があると、その関係は反目関係となり非友好的関係に違いないと考えてしまうのは、我国のお隣がお困りの国だからである。
我国がその昔は「支配者」だった台湾島での内省人の方々の態度を見れば、そうだと決め付けるのは早計である。
同様、これが「スペインを足掛かりにしての中南米へのアプローチ」だと決め付けるのも早計だと思う。何れにしろ、今後の動きを見てから判断したい。
発表資料を読んだ結果は以上であるのだが、「何故、スペインなのか」とのWhyを解明できたとは思っていない。「ラテンアメリカへのアプローチ」だとは言えないからである。
また、「それだけ」では理由が薄いと思われる。
EU加盟国のうち、その中心的役割を担っているフランスやドイツと、この様な二国間協定を締結する事が難しいことは、先に述べた通りである。
そうなると「EU加盟国」の中で、どの国が「二国間での戦略的パートナーシップ締結の候補」になるのかを考えることになるのだが、実際のところ、その候補は多くはない。
幾つかの条件があると思う。
少なくともEU内部での有力な発言権がなかったり影響力が少ない国では締結の意味がない。
また、我国と文明的に親和性がある西欧文明国が相手国になることが望ましい。今やEU加盟国には、ソ連時代に衛星国だった東欧や、ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)の一部であったバルト諸国がいる。これらの国々は西欧文明圏ではなく、スラブ(東方正教)文明圏の国々であると考えられている。
更に言えば、我国は、実際のところ、大国なのである。
戦後、自国が大国であると認知することは「危険」だとされ、我国の客観的実力がまぎれもなく大国であるにも関わらず、そうではないとの誤解が国民一般に蔓延している。
ところが、実際は大国なのである。そういう大国である我国とつり合いが取れる相手国としては、例えばG7諸国である。
EU加盟のG7諸国で、ドイツ、フランスが候補ではないので、残っているのは「イタリア」だけである。
そうであるにも関わらず、何故、スペインなのか?
その理由を考えてみると、スペインは人口・GDP等に於いて欧州西欧文明圏内ではG7加盟国に準じる規模を持っている国であるからだと分かる。
西欧文明圏諸国の人口・GDPは文末脚注の(*9)に紹介してあるが、G7諸国の次がスペインである。スペインの次はオランダなのだが、G7諸国とスペインの差に比べ、スペインとオランダの差は、かなり大きくなっている。
更に言えば、先の大戦で、我国とスペインは戦争をしていない。スペインの植民地であったフィリピンは、既に米西戦争でアメリカの植民地になっていたし、サンフランシスコ講和条約の締結相手国にスペインは含まれていないのである。
しかし、それでも、イタリアと大差ない話である。むしろイタリアが一歩リードしている。
「イタリアはヘテレで信用ならん」という偏見ではなく、何故、イタリアではなくスペインなのかを考えた場合、「イタリアの政情が安定しないから」とかが考えられるが、それらはスペインとの決定的な差とはならない。
欧州の経済危機の際に言われた「PIGS」のIはイアリアだが、Sはスペインなのである、どちらも経済的に宜しくなく、政情に大差があるかというと、そうでもない。
そうなると、残っている理由は、イタリアが共和国であることに対してスペインは「スペイン王国」であり、我国と同じ立憲君主国であるという点だ。
因みに、イギリス、オーストラリアも立憲君主国である。
また、「日本は欧州G7諸国とだけしか戦略的パートナーシップを締結しない」と思われることも相応しくなく、この様な事から、スペインがEU加盟国の中で、我国が戦略的パートナーシップ関係を締結する相手として選定されたものと思われる。
勿論、これらは推定である。ただ、単なる雰囲気ではなく、長々と書いた理由を以てした推定である。
何れにしろ、スペインと戦略的パートナーシップ関係を締結した事は、我国・安倍首相が推進している「地球儀を敷衍したビジョン」が進展している事の証左であり、大目標への布石である。
このビジョンは、我々日本人にとって、その命、平和・安寧を確保する外交戦略であり、その望ましい展開であると評価している。
各国首脳は、ASEM12との多国間外交を利用して、訪欧したことを理由に二国間外交を展開した訳だが、安倍首相は、今回も大きな外交成果をあげたと評価している。
過去の我国首相の多くは、今回の文在寅の様な致命的な失敗が大きく表れることこそなかったのだが、我々日本人の為に必要な事をしないとの「無作為の罪」を犯してきたと思っており、安倍政権6年間の外交成果は、それ以前の数十年の無作為をトリモロス素晴らしいものだと評価している。
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【文末脚注】
(*1):地球儀を敷衍したビジョン
2018/10/01投稿:
安倍首相・国連演説2018(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1024.html
2018/10/02投稿:
安倍首相・国連演説2018(中編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1025.html
2018/10/03投稿:
安倍首相・国連演説2018(後編)Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1026.html
(*2):戦略的パートナーシップを「次の段階に引き上げる」ことを2017年9月には日印共同声明で確認している。
2017/09/17投稿:
安倍首相・インド訪問
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-754.html
(*3):イギリスとは「戦略的パートナー」であるとして、2017年8月には訪日したメイ首相との間で「安全保障強力に関する日英共同宣言」を発している。
2018/10/06投稿:
イギリス陸軍との共同訓練・富士演習場
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1029.html
(*4):欧州諸国の安全保障の根幹であるNATOとの関係強化を、NATOに「日本政府代表部」を設置することで連携強化を実地済である。
2018/05/31投稿:
NATO日本政府代表部の開設
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-944.html
(*5):EUとのSPA(戦略的パートナーシップ協定)概要
外務省資料(※PDFファイル・スマホの方は注意)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000381943.pdf
<抜粋引用>
○意義:本協定は,民主主義,法の支配,人権及び基本的自由という価値及び原則を共有する日本とEU及びEU構成国が,幅広い分野における地球的規模の課題を含む共通の関心事項に関する協力を促進し,将来にわたる相互の戦略的なパートナーシップを強化していくための法的基礎となるもの。
○分野抜粋引用
•共通の価値及び原則の促進
•平和及び安全の促進
•危機管理
•WMDの不拡散及び軍縮(Weapon of Mass Destruction:大量破壊兵器)
•通常兵器の移転管理
•重大な犯罪の捜査及び訴追
•テロ対策
•化学剤,生物剤,放射性物質及び核についてのリスクの軽減
•国際的な協力等及び国連改革(以下略)
<抜粋引用終わり>
(*6):外務省HPの日・スペイン首脳会談の関する記述
外務省HP 平成30年(2018年)10月16日
見出し:◆日・スペイン首脳会談
https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/we/es/page6_000204.html
<抜粋引用>
10月16日,現地時間午後7時10分(日本時間17日午前2時10分)から約70分間,スペインを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は,サンチェス首相と首脳会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。
今次首脳会談に際し,両首脳は共同声明を発出し,日・スペイン関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げし,幅広い分野における戦略的な協力を一層推進していくことを確認しました。
右首脳会談の後,両首脳は,両国間の現行の租税条約を全面改正する新条約及び航空協定の附属書の改正に係る交換公文に署名しました。その後,サンチェス首相夫妻主催夕食会が行われました。
*両国は自由,民主主義,人権,法の支配を始めとする基本的価値を共有する重要なパートナーであり,スペインはEUにおいて枢要な役割を果たしている旨述べました。
両首脳は,歴史ある両国関係の一層の強化のために尽力することを確認しました。
*両首脳は,この5年間での両国関係の飛躍的な進展に鑑み,日本とスペインの関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げし,今後,両国関係を更に強化していくことで一致しました。
*3 日EU関係
(1)両首脳は,7月の日EU・EPA及びSPAの署名を歓迎し,早期発効に向け引き続き協力していくことで一致しました。
(2)安倍総理大臣から,日本は結束した強い欧州を支持すると述べ,そのためのサンチェス首相の取組を評価する旨述べました。両首脳は,国際社会が直面する諸課題に対応するため日本とEUが緊密に連携していくことを確認しました。
*4 北朝鮮
両首脳は,朝鮮半島の非核化に向け,安保理決議の完全な履行が必要との認識で一致しました。また,安倍総理大臣から拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を求め,サンチェス首相の支持を得ました。
<抜粋引用終わり>
(*7):「戦略的パートナーシップに関する日本国政府とスペイン王国政府との間の共同声明(仮訳)」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000409438.pdf
※PDFファイル・かなり重くなるのでスマホの方は注意
(*8):ペンス副大統領演説・ヘゲモニーチャレンジャー中国を相手にした新冷戦状態
2018/10/13投稿:
新冷戦状態にあるとの宣言・ペンス米国副大統領演説(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1033.html
2018/10/16投稿:
新冷戦状態にあるとの宣言・ペンス米国副大統領演説(中編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1034.html
2018/10/17投稿:
新冷戦状態にあるとの宣言・ペンス米国副大統領演説(後編)Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1035.html
【ご参考】
2018/10/11投稿:
ヘゲモニーチャレンジャー中国・事大主義小中華韓国
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1032.html
(*9):西欧文明圏諸国の人口・GDP
<世界総人口ランキング・国別順位、WHO 2018年版>
https://memorva.jp/ranking/unfpa/who_whs_population.php
※人口1千万人以上
10位:日 本 :127,749千人G7
16位:ドイツ : 81,915千人G7
21位:イギリス: 65,789千人G7
22位:フランス: 64,721千人G7
23位:イタリア: 59,430千人G7
30位:スペイン: 46,348千人★
65位:オランダ: 16,987千人
79位:ベルギー: 11,358千人
80位:ギリシャ: 11,184千人
87位:ポルトガル 10,372千人
※スウェーデン、オーストリア、デンマーク、フィンランド、ノルウェー他は1千万人未満。
<GDP>
http://ecodb.net/ranking/imf_ngdpd.html
※1兆ドル以上
03位:日 本 :4兆,8732億ドルG7
04位:ドイツ :3兆7006億ドルG7
05位:イギリス:2兆6284億ドルG7
07位:フランス:2兆5876億ドルG7
09位:イタリア:1兆9386億ドルG7
14位:スペイン:1兆3139億ドル★
18位:オランダ:0兆8322億ドル
※スウェーデン5356億ドル、ベルギー4936億ドル他
【ご参考】
2017/12/21投稿:
情勢認識が冷戦時代のままではダメでしょ。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-829.html
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