「外国人労働者受入」への過敏な反応・雑感
- 2018/10/18
- 22:00
「外国人労働者受入」への過敏な反応・雑感

副題:外国人労働者受入方針を「移民受入策」だと歪んで理解してないか? また、その様に誤解させる様な事を言っている方は、何処まで理解した上で言っているのか?
以前から、欧州における「施し」発想での無定見な「移民受入」の問題点(*1)は指摘しているのだが、そういう話と、先般の外国人材の受入れ方針のニュース(*2)を混同して騒いでいる方が散見されるので、ちょっと述べてみたい。
先ず指摘しておきたいのは、「移民」という言葉を、各自が好き勝手に定義して使用していることが混乱要因になっている。
実際のところ、「移民」の定義は定まっておらず、単純に「移動する民」という広義の「移民」もあれば、出生国から他国へと移動し、その国の国籍を得て永住する「移民」も「移民」である。
たった2行だけ「移民」のことを書いても、そのバリエーションが多々あることが分かるであろう。ざっとまとめても、以下の様なバリエーションがある。
・移動する民
・他国に居住する民
・他国に居住して、他国で仕事をして収入を得ている民
・他国に移住して、その国の国籍を得る民
これらを具体的に述べれば、例えば「移動する民」には海外旅行者などがいる。
海外旅行の目的が観光なのか、業務出張なのかで、これまたバリエーションがある。
次の「他国に居住する民」との関連で言えば、「海外旅行」は短期になる。
一方、「居住」は長期になる。
「短期・長期」の基準は、各国により違う。
日本人が日本のパスポートで他国に観光に行く場合、多くの国がノービザで入国できるのだが、その在留期間は、例えばタイ・インドネシアは15日間、UAEは30日、欧州などは90日間などである。この日数を超えて滞在を続ければ「オーバーステイ」となり、不法残留者となる。
我が国も多くの他国と同様、観光目的での入国に対して認められているのは90日だったと記憶している。
現在の世界の建て付けは国家主権が最高の権力とするものであり、各国は自身の考え方で、自国内に他国の国民を入国させるか否か、滞在を認めるか否かを決めることが出来るのである。
それ故に、他国の国民を入国審査で入国を拒否するのも退去させるのも、その国の当然の行いなのである。
同様、どの国の国民ならビザ不要で、どの国の国民にはビザが必要かを決めるのも、各国の自由なのである。
外国人に短期ではない居住を認める場合は、観光ビザ(またはノービザ)とは別のビザが必要である。つまり、これは、居住される国が、居住する他国の国民の誰々は居住して良いとする許可をしたとの証明である。
同様、就労する場合には、また別の許可が必要であり、その所得に対しての課税権限が、どの国にあるのかについては世界的な標準がある。
所謂「半年ルール」とか「180日ルール」と言われるものである。
これは、A国人が、B国で仕事をした場合、B国での滞在日数が半年(実際は182日以上とか)を超えた場合、その人物の所得への課税権がB国に発生するというルールである。
これは、その1年間での滞在日数の累計であり、途中にA国に帰国していても関係がない。
実際、1ヶ月程度の短期出張のつもりが、3ヶ月になり、一時帰国後にまた3ヶ月の出張をしなくてはならなくなった場合、滞在日数を気にして業務スケジュールを策定しなくてはならなくなった等の話は、ビッグプロジェクト海外ビジネスの現場ではしばしば発生する問題である。
一方、海外赴任等の最初から数年間の予定で海外支社等に勤務することを前提にした海外居住の場合は、その目的にあったビザの取得が必要である。
また、その帯同家族は、そういうビザを取得した(赴任先の国が滞在を認めた)人の帯同家族という事で、ビザ取得者に準じて数年間の居住が許可されるのである。
当方は、幼くして商社マンだった父の帯同家族として海外で暮らしたし、大学卒業後は長らく海外ビジネスの場で生きてきたので、国家間を移動することは、我人生ではまったく日常の暮らしの一部であったことから、「移動する人」の側での記述となっているのは仕方がないとご了承いただきたい。
一方、日本国内で仕事をしていても、そのオフィスには外国人が沢山いる。
半径10mだけでも3人はいる。
オフィスにいる他国の人達は、海外拠点から日本のHQに出向いて海外拠点所在地の案件に係る仕事をしている人達やJ/V相手の組織から出向いてきた人達である。
我が国は、これら高度人材が日本国内に居住し就労することを許可しているのである。
それら業務の総てを日本人だけで行うことは不可能事であり、また、日本人が海外に出向かずに業務を遂行することも不可能事である。
実態を知らずに「やれば出来る」とかを主張する方もいるであろうが、そんな事を無理に実行しても、非効率になるだけであり、無駄な費用が多々発生するだけである。
無駄な費用の発生は、それが公的組織であれば、税金の無駄使いであり、営利企業であれば、得べかりし利益の喪失であり、その納税額が減少するものである。
何れであっても、日本国民にとって望ましいものではない。
そういう事から、一定以上の能力がある外国人高度人材が我が国にくることは、現在の我国が国境を超えたサプライチェーンなしでは成り立たない現実からは、当然の動きなのである。
ここまで述べただけでも、まだ「国籍取得」の話には至っていない。
訪日外国人があたかも日本国籍を取得する人達であるが如きイメージで「移民」との言葉を使っている例もあり、各自が好き勝手に「移民」という言葉を定義して使用していることが混乱要因になっていると考える。
さて、表題にある「外国人労働者受入」であるが、ここまでに書いたことに対してさえも、「日本に外国人が来ることには反対だぁ~」と言ってしまう方がいるとしたら、それは、現実を見ていない暴論でしかなく論外である。
そういう、「ちょっと考えが足りない人」は論の対象にしていないので、そういう方は、ブログ・ランキングバナーをクリックした後に退去いただきたい。(笑)
そうではなく、ちゃんと物事の道理を踏まえた上で、欧州での無定見な移民受入問題が我が国にも発生するのではないかとの不安を持つ方や我が国での不法在留者問題の拡大を懸念している方を対象に論を進める。
今迄例示してきた、我が国に居住し就労している外国人は、その目的に応じたビザを持ち、我が国に入国して居住しているのであり、その業務が終了すれば、母国に戻り、入国前にやっていた業務をする様な人達である。
入国目的の業務を担当しなくなれば、高度人材としての入国ビザを申請した日本国内の会社等の組織が、その延長を申告しなくなるので、その人物が、個人的に日本滞在を希望していても、ビザは失効するので、やがてはオーバーステイ状態となってしまうのである。
オーバーステイは法に反する行為である。
何を言いたいのかというと、「日本にいる外国人」には、正規の手続きに基づき我が国が許可をした人達と、そうではない「法に反して居続けている外国人」がいるという区分の話である。
正規の手続きを経て在留している外国人と不法在留外国人を混同する愚をネット言論ではしばしばみられるので、この様なことを述べているのである。
実際のところ、我が国にいる不法在留外国人の数は、ここ数年毎年増加しており、「不法と知りながら残留してしまう様な人達」とは順法精神が希薄な人達であり、そういう人達が自分の生活圏にいること、増えていることに不安に感じる方がいるのは、当然の感覚だと思う。
法務省・入国管理局のHP(*3)には、今年(平成30年・2018年)1月1日付での「不法残留者数」が記載されている。
同HPによれば、総数6万6千498人で、その国別内訳は、不法残留者数1位は韓国で、1万2千876人・(構成比19.4%)、同2位が中国で9千390人・(同14.1%)そうだ。
これらの「不法残留者」は不法なのであり、国外退去が相当な人達である。
そういう「不法」が6万6千人もいる状態が改善されるどころか、毎年(4年連続)増加しているのだから、「政府は何をやっとんのじゃ」との声が出るのも当然である。
安倍政権は、民主党政権の様な「コントロールなき外国人受け入れ拡大」などはしない。
既に、今年8月の下旬には、入国管理を担当している法務省の入国管理局を庁に格上げして人員を増加して対応する旨の方針を出している。
産経の入国管理局の庁への格上げを報じるニュース(*4)によれば、2019年の4月に、法務省に「入国在留管理庁」(仮称)を設置する方針だそうだ。
新たな庁には、出入国管理部と在留管理支援部を設置し、出入国管理部は出入国に関する事務や不法在留の取り締まりなどを担当し、在留管理支援部は他省庁や地方自治体と連携して在留外国人の生活環境整備を進めていくそうだ。
記事からは、不法在留者と正規滞在者との区分をしっかりとつける方針であることが伺える。
また、現在の入国管理局の人員4,800人体制を新たな庁では5,300人体制に増員することも記事には書かれており、訪日外国人の増加や外国人労働者受入拡大に対処する体制の整備であることが伺える。
この新体制のうち、不法在留の取り締まり体制強化の部分は分かり易いと思うが、「在留外国人の生活環境整備」の部分は分かり難いと思うので、少々解説する。
これは、一言で言えば「不法在留者が発生してしまう原因への対策」である。
不法残留者の総てが、東京では鶯谷、横浜では福富町や黄金町にいる外国人売春婦の様に最初から不法行為・不法滞在する目的で我が国に入国している人達ばかりではない。
最初は、正規の手続き・許可を得て日本で就労していたのに、そこがブラックで耐えられなくなり逃げ出したことから、不法残留者となってしまったケースなどがある。
勿論、そういう諸制度を悪用して、外形だけは正規の手続き・許可を得る様なケースもある。ニュースになった事例としては「留学目的と偽装するケース」などであったのを御記憶であろう。
希望と違う「研修先」で仕事をしていた「外国人研修生」が、逃げ出したことで不法残留となってしまっていては、不法在留外国人は増えてしまう。
「外国人研修生制度」の問題点は、受け入れ先が「人件費の安い労働力」という一面だけで受け入れてしまう点がある。
その様な受け入れ先は、研修生側にとっても、我々日本人にとっても迷惑な存在であるので、外国人研修生が逃げ出さない様な受け入れ体制及び送り出す側の説明不足などの質的低劣さの改善等の環境整備が必要であり、そういう事をするものだと解されるのである。
安倍政権の、これまでの政策を見ていると、愚直なまでに法治主義であり、立法趣旨に忠実であることから、この「在留外国人の生活環境整備」との語句には、「留学目的と偽装する様な受け入れ先」とか「ブラックな研修生受け入れ先」からの申請を許可しないという運用がなされるであろうと推定される。
この様な体制整備が行われているのだが、ネットで散見される「新たな移民政策だぁ~」という言説を発する人達は、何処まで物事を考えて発信しているのか疑問に思う。
今年(2018年)7月24日付で閣議決定した「外国人受入れ環境の整備に関する業務の基本方針について」(*5)にて提示されている事には、中小・小規模事業者をはじめとした人手不足の深刻化がある。
それに対しては、生産性向上や国内人材確保の取組が本線であるのだが、その本線の成果が出てくるタイミングは、数年先になってしまうので、今すぐ行う対策として「一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材」を受け入れるという事が明記されているのである。
「人手不足倒産」なる新しい言葉がある様に、中小・小規模事業者をはじめとした人手不足には深刻な問題があることはご存じのことだと思う。
そういう問題に、どの様に対処するのか、という命題が存在しているのだが、そちらに目を向ければ、「即戦力となる外国人材を受け入れる」という方策は間違いではない。
それに対して、パターン的な「日本に外国人が来ることには反対だぁ~」として、不法残留・正規残留の区分もせずに、ミソもクソも一緒にして反対しているだけではないか?
この様な態度は、「辺野古基地反対」だけを叫び、辺野古移転が「世界一危険な普天間の閉鎖」の対策として出てきた話であるという「そもそも」を脇に置いて反対する態度と相似形をなす。
想像するに、外国人労働者受け入れに対して、受け入れた外国人の総てが日本に居座ってしまうとか、日本国籍を取得してしまうとか勝手に「前提」としてしまい、その上で反対しているのではないか?
「労働力不足」を外国人労働者で補填する策は、他国ではけして珍しくはない。
それを無定見に受け入れた為に悲劇に陥っているのが欧州諸国であるが、そうではなく、「即戦力となる外国人材を受け入れる」が、永住も国籍取得も認めないという運用をしている国もある。代表的なのはシンガポールであろう。
あまり知られていないが、産ガス国で膨大な利益を上げているカタールは、カタール国民の約6倍の外国人労働者を受け入れている。
そのどちらも、基本的には永住も国籍取得も認めていない。
「日本に外国人が来ることには反対だぁ~」と考え、「新たな移民政策だぁ~」という言説を発する人達は、少なくとも現状数年は続くと思われる「労働力不足」への対処と同時に、「心配」な部分に対しての提案をする等の対応をすべきではないか?
ただ単に、パターン的な「日本に外国人が来ることには反対だぁ~」と称し、「新たな移民政策だぁ~」とだけ述べることは知的怠惰である。
何が、どの様に「問題」なのかを整理して、その問題をどの様に防止・対処するのか、そういう提案を行うべきであろう。
実際のところは、不法在留外国人に対しては、先に述べた様に、対策強化策の方針は既に出されており、問題の防止・対処策は示されているのである。
今回の「在留資格」の新設とは、明確化に他ならず、それは曖昧な「資格」での入国を許す運用の是正につながるのだが、そういう点は評価していないのではないか?
何れにしろ、これを「移民政策だぁ」と脊髄反射している方は、最近の「安倍が消費税増税を決めたぁ」(*6)との詐欺話にまんまと乗せられているのと同じ層であろうと思われる。
今回は以上である。キーワードスローガンに簡単に乗ってしまう様では、扇動者の目論見通りであり、けして賢くはないと感じた次第である。(*7)
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【文末脚注】
(*1):欧州における「施し」発想での無定見な「移民受入」の問題点
2018/03/13投稿:
ドイツの「報道しない自由」の理由は何?
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-880.html
2018/09/16投稿:
ダライ・ラマの正論「欧州は欧州人のもの」雑感
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1015.html
(*2):先般の外国人材の受入れ方針のニュース
NHK NEWS WEB 2018年10月12日 18時35分
見出し:◆外国人材受け入れ拡大へ“政策転換” 新在留資格など改正案
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181012/k10011669301000.html
記事:○外国人材の受け入れの拡大に向けて、政府は、2つの新たな在留資格を設ける出入国管理法などの改正案の骨子をまとめました。現在は大学教授など「高度な人材」に限られている就労目的の在留資格を、単純労働者を含めた人材にも広げるもので、政策の転換とも言えそうです。
○人手不足を補おうと、政府は、来年4月から外国人材の受け入れ拡大を目指していて、12日の関係閣僚会議で、「特定技能」の「1号」と「2号」の新たな在留資格を設ける、出入国管理法などの改正案の骨子が示されました。
○「特定技能1号」は、特定の分野で、「相当程度の知識または経験」を持つと認められた外国人に与えられ、在留期間は最長で5年となっています。また、「特定技能2号」は、「1号」を上回る「熟練した技能」を持つと認められた外国人に与えられます。
○在留期間は更新でき、上限は設けられないため、条件を満たせば長期の滞在や家族の同伴が可能となります。
○就労目的の在留資格は、現在、大学教授など「高度な人材」に限られていますが、今回の内容は、単純労働者を含めた人材にも広げるもので、政策の転換とも言えそうです。
○政府は、こうした改正案を今月下旬に召集される臨時国会に提出する方針です。
○菅官房長官は、「全国の中小事業者では人手不足が深刻化しており、即戦力となる外国人材を幅広く受け入れる仕組みを作ることが急務だ」と述べました。
○そのうえで、「外国人を受け入れる環境整備が必要で、外国人が働いてみたい住んでみたいと思える国を目指して、総合的な対応策の検討を進めてもらいたい」と指示しました。
小見出し:◆新在留資格得るためには
○「特定技能」の「1号」と「2号」は、いずれも、日本語と技能の試験に合格すれば取得できます。
○「特定技能1号」は日本語の試験で、日常会話程度が話せると認められることが必要です。また、受け入れる分野ごとの技能試験にも合格することが求められます。ただし、3年間の技能実習を受けた場合は、いずれの試験も受ける必要がなくなります。「特定技能2号」は、「1号」と同じ程度の日本語の試験と、「1号」よりも難しい技能試験に合格する必要があるということです。
小見出し:◆拡大は人手不足の業種に限定
○外国人材の受け入れ拡大について、政府は、あくまで、人手不足が深刻な業種に限定する方針です。これまでに、各省庁が業界団体などからヒアリングを行い、農業、漁業、介護、建設、ビルの清掃など14の分野が検討されています。
○政府は、年内をめどに、受け入れを拡大する分野を決めたいとしています。一方で、政府は、人手不足が解消したと判断されれば、その分野での受け入れを停止したり、中止したりするとしています。
小見出し:◆受け入れ企業に日本語教育義務づけ
○外国人材を受け入れる企業には、日本語教育を含めた生活支援や、日本人と同等以上の賃金の水準を確保するよう実質、義務づけるとしています。また、不法滞在を防ぐ対策の一環として、難民認定制度の悪用などが目立つ場合は、その国から新たな労働者を受け入れない方針です。
小見出し:◆出入国在留管理庁設置へ
○外国人材の受け入れ拡大に合わせて、政府は、外国人の出入国などの管理を厳格化するため、今の法務省入国管理局に代わる「出入国在留管理庁」を設置する方針です。
小見出し:◆野党 外国人労働者増加の課題整理
○野党側は、外国人労働者が増えた場合の課題などの整理を進めています。
○立憲民主党は、日本語教育も含めて、生活に必要なサポートや、外国人が暮らす自治体に対する国の支援の在り方などを議論していて、近く党の考え方をまとめる方針です。
○枝野代表は、「具体的な制度設計が問われるので、臨時国会だけで結論を出せるのか。慎重に議論する必要がある」と述べています。
○また、国民民主党も、外国人労働者の権利を保護するため、日本人と同等の賃金を確保する対策などの検討を始めました。
小見出し:◆労働問題に詳しい弁護士「覚悟持って取り組むべき」
○今回、政府がまとめた改正案の骨子について、外国人の労働問題に詳しい指宿昭一弁護士は、「外国人労働者を、きちんとした制度を作って正面から受け入れるという第一歩を踏み出せたのはよかった。新たな在留資格で長期の滞在が認められることで外国人労働者にとっても選択の余地が広がるうえ、働き続けてほしいと考える企業にとってもよいことだ」と評価していました。
○その一方で、「今回の改正案の骨子では、企業に代わって外国人労働者の生活や言葉の支援を行う『登録支援機関』が設けられることになっているが、これまで技能実習生に対して人権侵害をしてきたような悪質なブローカーが入ってくると、大変なことになる。外国人労働者が国を出る時にブローカーに対して不当に高いお金を払わなければならなくなるような事態も避けなければならず、本気で規制をしていかないとよい制度にはならない」と指摘していました。
○また、「文化や言葉の違いがあるなかで外国人労働者やその家族の教育、社会保障の問題なども含めて受け入れを進めていかなければならないが、簡単ではないことだ。『日本の企業や社会を一緒に支えていってもらう仲間を作る』という考え方で覚悟を持って取り組むべきで、国が対策を取るとともに、企業にも負担してもらわなければならない」と話していました。
<引用終わり>
(*3):法務省HP
法務省・入国管理局 平成30年(2018年)3月27日
見出し:◆本邦における不法残留者数について(平成30年1月1日現在)
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00074.html
<冒頭記事>
○平成30年1月1日現在の本邦における不法残留者数は,6万6,498人であり,平成29年1月1日現在に比べ,1,228人(1.9%)増加し,各年1月1日現在の不法残留者数としては,4年連続の増加となっています。
<数値データ抜粋引用>
○不法残留者数の多い上位10か国・地域は次のとおりです。
平成29年1月1日現在から,国籍・地域及び順位に変化はありませんが,中国,タイ,ベトナム,マレーシア及びブラジルの5か国・地域は増加し,その他の5か国・地域は減少しました。
(1)韓国:12,876人(構成比19.4%)
(2)中国: 9,390人(同14.1%)
(3)泰国: 6,768人(同10.2%)
(4)越南: 6,760人(同10.2%)
(5)比国: 4,933人(同 7.4%)-以下略
<抜粋引用終わり>
(*4):産経の入国管理局の庁への格上げを報じるニュース
THE SANKEI NEWS 2018.8.28 07:00
入国管理庁に格上げ 来年4月、人材受け入れに環境整備
https://www.sankei.com/politics/news/180828/plt1808280006-n1.html
記事:○来年度からの新たな外国人材受け入れなどに向け、法務省が現在の入国管理局を格上げし、来年4月に外局の「入国在留管理庁」(仮称)を設置する方針を固めたことが27日、分かった。法務省設置法などの改正案を秋の臨時国会に提出する。来年度予算の概算要求に、入国審査官などを500人規模で増員することを盛り込んだ。入管庁は外国人材受け入れの環境整備に関する総合調整を担うことになる。
○入管庁には長官と次長を置き、その下に出入国管理部と在留管理支援部を設置する。出入国管理部は出入国に関する事務や不法在留の取り締まりなどを担当。在留管理支援部は他省庁や地方自治体と連携して、在留外国人の生活環境整備を進めていく。
○政府は6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」に、外国人労働者を受け入れる新たな在留資格の創設を盛り込んでおり、介護や建設などの分野で来年4月から受け入れを始める方針だ。
○実質的に、単純労働での就労を認める方針転換となるが、現行制度でも受け入れ後の生活困窮や悪質な紹介業者の存在などが問題になっており、新たな外国人材の受け入れを円滑に進めるためには管理の充実が必要になる。
○さらに、昨年の外国人旅行者数が約2869万人と前年より19・3%も増加するなど、入管業務は飛躍的に増大している。
○そのため法務省は「現行の人員では対応困難」と判断。新たな外国人材受け入れ業務などに対応するため、一定の独立性のある組織として入管庁を新設することにした。現在の入管局約4800人体制を約5300人体制に拡大する。
<引用終わり>
(*5):今年(2018年)7月24日付で閣議決定した「外国人受入れ環境の整備に関する業務の基本方針について」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/kaigi/dai1/siryou2.pdf
<同方針から抜粋引用>
中小・小規模事業者をはじめとした人手不足の深刻化を踏まえ、骨太方針2018において、生産性向上や国内人材確保の取組を強力に推進しつつ、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材に関し、就労を目的とする新たな在留資格を創設することとし、外国人材の受入れを更に進めていくこととなった。
今後も我が国に在留する外国人が増加していくと考えられる中で、日本で働き、学び、生活する外国人の受入れ環境を整備することによって、外国人の人権が護られ、外国人が日本社会の一員として円滑に生活できるようにしていく必要がある。
<抜粋引用終わり>
(*6):れ「安倍が消費税増税を決めたぁ」との詐欺話
2017/10/10投稿:
消費税増税10%化は民主党・野田政権の置き土産
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-775.html
(*7):扇動者の目論見通りであり、けして賢くはない。
2016/07/13投稿:
【コラム】造反有理・革命無罪の罪深さ
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-455.html
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副題:外国人労働者受入方針を「移民受入策」だと歪んで理解してないか? また、その様に誤解させる様な事を言っている方は、何処まで理解した上で言っているのか?
以前から、欧州における「施し」発想での無定見な「移民受入」の問題点(*1)は指摘しているのだが、そういう話と、先般の外国人材の受入れ方針のニュース(*2)を混同して騒いでいる方が散見されるので、ちょっと述べてみたい。
先ず指摘しておきたいのは、「移民」という言葉を、各自が好き勝手に定義して使用していることが混乱要因になっている。
実際のところ、「移民」の定義は定まっておらず、単純に「移動する民」という広義の「移民」もあれば、出生国から他国へと移動し、その国の国籍を得て永住する「移民」も「移民」である。
たった2行だけ「移民」のことを書いても、そのバリエーションが多々あることが分かるであろう。ざっとまとめても、以下の様なバリエーションがある。
・移動する民
・他国に居住する民
・他国に居住して、他国で仕事をして収入を得ている民
・他国に移住して、その国の国籍を得る民
これらを具体的に述べれば、例えば「移動する民」には海外旅行者などがいる。
海外旅行の目的が観光なのか、業務出張なのかで、これまたバリエーションがある。
次の「他国に居住する民」との関連で言えば、「海外旅行」は短期になる。
一方、「居住」は長期になる。
「短期・長期」の基準は、各国により違う。
日本人が日本のパスポートで他国に観光に行く場合、多くの国がノービザで入国できるのだが、その在留期間は、例えばタイ・インドネシアは15日間、UAEは30日、欧州などは90日間などである。この日数を超えて滞在を続ければ「オーバーステイ」となり、不法残留者となる。
我が国も多くの他国と同様、観光目的での入国に対して認められているのは90日だったと記憶している。
現在の世界の建て付けは国家主権が最高の権力とするものであり、各国は自身の考え方で、自国内に他国の国民を入国させるか否か、滞在を認めるか否かを決めることが出来るのである。
それ故に、他国の国民を入国審査で入国を拒否するのも退去させるのも、その国の当然の行いなのである。
同様、どの国の国民ならビザ不要で、どの国の国民にはビザが必要かを決めるのも、各国の自由なのである。
外国人に短期ではない居住を認める場合は、観光ビザ(またはノービザ)とは別のビザが必要である。つまり、これは、居住される国が、居住する他国の国民の誰々は居住して良いとする許可をしたとの証明である。
同様、就労する場合には、また別の許可が必要であり、その所得に対しての課税権限が、どの国にあるのかについては世界的な標準がある。
所謂「半年ルール」とか「180日ルール」と言われるものである。
これは、A国人が、B国で仕事をした場合、B国での滞在日数が半年(実際は182日以上とか)を超えた場合、その人物の所得への課税権がB国に発生するというルールである。
これは、その1年間での滞在日数の累計であり、途中にA国に帰国していても関係がない。
実際、1ヶ月程度の短期出張のつもりが、3ヶ月になり、一時帰国後にまた3ヶ月の出張をしなくてはならなくなった場合、滞在日数を気にして業務スケジュールを策定しなくてはならなくなった等の話は、ビッグプロジェクト海外ビジネスの現場ではしばしば発生する問題である。
一方、海外赴任等の最初から数年間の予定で海外支社等に勤務することを前提にした海外居住の場合は、その目的にあったビザの取得が必要である。
また、その帯同家族は、そういうビザを取得した(赴任先の国が滞在を認めた)人の帯同家族という事で、ビザ取得者に準じて数年間の居住が許可されるのである。
当方は、幼くして商社マンだった父の帯同家族として海外で暮らしたし、大学卒業後は長らく海外ビジネスの場で生きてきたので、国家間を移動することは、我人生ではまったく日常の暮らしの一部であったことから、「移動する人」の側での記述となっているのは仕方がないとご了承いただきたい。
一方、日本国内で仕事をしていても、そのオフィスには外国人が沢山いる。
半径10mだけでも3人はいる。
オフィスにいる他国の人達は、海外拠点から日本のHQに出向いて海外拠点所在地の案件に係る仕事をしている人達やJ/V相手の組織から出向いてきた人達である。
我が国は、これら高度人材が日本国内に居住し就労することを許可しているのである。
それら業務の総てを日本人だけで行うことは不可能事であり、また、日本人が海外に出向かずに業務を遂行することも不可能事である。
実態を知らずに「やれば出来る」とかを主張する方もいるであろうが、そんな事を無理に実行しても、非効率になるだけであり、無駄な費用が多々発生するだけである。
無駄な費用の発生は、それが公的組織であれば、税金の無駄使いであり、営利企業であれば、得べかりし利益の喪失であり、その納税額が減少するものである。
何れであっても、日本国民にとって望ましいものではない。
そういう事から、一定以上の能力がある外国人高度人材が我が国にくることは、現在の我国が国境を超えたサプライチェーンなしでは成り立たない現実からは、当然の動きなのである。
ここまで述べただけでも、まだ「国籍取得」の話には至っていない。
訪日外国人があたかも日本国籍を取得する人達であるが如きイメージで「移民」との言葉を使っている例もあり、各自が好き勝手に「移民」という言葉を定義して使用していることが混乱要因になっていると考える。
さて、表題にある「外国人労働者受入」であるが、ここまでに書いたことに対してさえも、「日本に外国人が来ることには反対だぁ~」と言ってしまう方がいるとしたら、それは、現実を見ていない暴論でしかなく論外である。
そういう、「ちょっと考えが足りない人」は論の対象にしていないので、そういう方は、ブログ・ランキングバナーをクリックした後に退去いただきたい。(笑)
そうではなく、ちゃんと物事の道理を踏まえた上で、欧州での無定見な移民受入問題が我が国にも発生するのではないかとの不安を持つ方や我が国での不法在留者問題の拡大を懸念している方を対象に論を進める。
今迄例示してきた、我が国に居住し就労している外国人は、その目的に応じたビザを持ち、我が国に入国して居住しているのであり、その業務が終了すれば、母国に戻り、入国前にやっていた業務をする様な人達である。
入国目的の業務を担当しなくなれば、高度人材としての入国ビザを申請した日本国内の会社等の組織が、その延長を申告しなくなるので、その人物が、個人的に日本滞在を希望していても、ビザは失効するので、やがてはオーバーステイ状態となってしまうのである。
オーバーステイは法に反する行為である。
何を言いたいのかというと、「日本にいる外国人」には、正規の手続きに基づき我が国が許可をした人達と、そうではない「法に反して居続けている外国人」がいるという区分の話である。
正規の手続きを経て在留している外国人と不法在留外国人を混同する愚をネット言論ではしばしばみられるので、この様なことを述べているのである。
実際のところ、我が国にいる不法在留外国人の数は、ここ数年毎年増加しており、「不法と知りながら残留してしまう様な人達」とは順法精神が希薄な人達であり、そういう人達が自分の生活圏にいること、増えていることに不安に感じる方がいるのは、当然の感覚だと思う。
法務省・入国管理局のHP(*3)には、今年(平成30年・2018年)1月1日付での「不法残留者数」が記載されている。
同HPによれば、総数6万6千498人で、その国別内訳は、不法残留者数1位は韓国で、1万2千876人・(構成比19.4%)、同2位が中国で9千390人・(同14.1%)そうだ。
これらの「不法残留者」は不法なのであり、国外退去が相当な人達である。
そういう「不法」が6万6千人もいる状態が改善されるどころか、毎年(4年連続)増加しているのだから、「政府は何をやっとんのじゃ」との声が出るのも当然である。
安倍政権は、民主党政権の様な「コントロールなき外国人受け入れ拡大」などはしない。
既に、今年8月の下旬には、入国管理を担当している法務省の入国管理局を庁に格上げして人員を増加して対応する旨の方針を出している。
産経の入国管理局の庁への格上げを報じるニュース(*4)によれば、2019年の4月に、法務省に「入国在留管理庁」(仮称)を設置する方針だそうだ。
新たな庁には、出入国管理部と在留管理支援部を設置し、出入国管理部は出入国に関する事務や不法在留の取り締まりなどを担当し、在留管理支援部は他省庁や地方自治体と連携して在留外国人の生活環境整備を進めていくそうだ。
記事からは、不法在留者と正規滞在者との区分をしっかりとつける方針であることが伺える。
また、現在の入国管理局の人員4,800人体制を新たな庁では5,300人体制に増員することも記事には書かれており、訪日外国人の増加や外国人労働者受入拡大に対処する体制の整備であることが伺える。
この新体制のうち、不法在留の取り締まり体制強化の部分は分かり易いと思うが、「在留外国人の生活環境整備」の部分は分かり難いと思うので、少々解説する。
これは、一言で言えば「不法在留者が発生してしまう原因への対策」である。
不法残留者の総てが、東京では鶯谷、横浜では福富町や黄金町にいる外国人売春婦の様に最初から不法行為・不法滞在する目的で我が国に入国している人達ばかりではない。
最初は、正規の手続き・許可を得て日本で就労していたのに、そこがブラックで耐えられなくなり逃げ出したことから、不法残留者となってしまったケースなどがある。
勿論、そういう諸制度を悪用して、外形だけは正規の手続き・許可を得る様なケースもある。ニュースになった事例としては「留学目的と偽装するケース」などであったのを御記憶であろう。
希望と違う「研修先」で仕事をしていた「外国人研修生」が、逃げ出したことで不法残留となってしまっていては、不法在留外国人は増えてしまう。
「外国人研修生制度」の問題点は、受け入れ先が「人件費の安い労働力」という一面だけで受け入れてしまう点がある。
その様な受け入れ先は、研修生側にとっても、我々日本人にとっても迷惑な存在であるので、外国人研修生が逃げ出さない様な受け入れ体制及び送り出す側の説明不足などの質的低劣さの改善等の環境整備が必要であり、そういう事をするものだと解されるのである。
安倍政権の、これまでの政策を見ていると、愚直なまでに法治主義であり、立法趣旨に忠実であることから、この「在留外国人の生活環境整備」との語句には、「留学目的と偽装する様な受け入れ先」とか「ブラックな研修生受け入れ先」からの申請を許可しないという運用がなされるであろうと推定される。
この様な体制整備が行われているのだが、ネットで散見される「新たな移民政策だぁ~」という言説を発する人達は、何処まで物事を考えて発信しているのか疑問に思う。
今年(2018年)7月24日付で閣議決定した「外国人受入れ環境の整備に関する業務の基本方針について」(*5)にて提示されている事には、中小・小規模事業者をはじめとした人手不足の深刻化がある。
それに対しては、生産性向上や国内人材確保の取組が本線であるのだが、その本線の成果が出てくるタイミングは、数年先になってしまうので、今すぐ行う対策として「一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材」を受け入れるという事が明記されているのである。
「人手不足倒産」なる新しい言葉がある様に、中小・小規模事業者をはじめとした人手不足には深刻な問題があることはご存じのことだと思う。
そういう問題に、どの様に対処するのか、という命題が存在しているのだが、そちらに目を向ければ、「即戦力となる外国人材を受け入れる」という方策は間違いではない。
それに対して、パターン的な「日本に外国人が来ることには反対だぁ~」として、不法残留・正規残留の区分もせずに、ミソもクソも一緒にして反対しているだけではないか?
この様な態度は、「辺野古基地反対」だけを叫び、辺野古移転が「世界一危険な普天間の閉鎖」の対策として出てきた話であるという「そもそも」を脇に置いて反対する態度と相似形をなす。
想像するに、外国人労働者受け入れに対して、受け入れた外国人の総てが日本に居座ってしまうとか、日本国籍を取得してしまうとか勝手に「前提」としてしまい、その上で反対しているのではないか?
「労働力不足」を外国人労働者で補填する策は、他国ではけして珍しくはない。
それを無定見に受け入れた為に悲劇に陥っているのが欧州諸国であるが、そうではなく、「即戦力となる外国人材を受け入れる」が、永住も国籍取得も認めないという運用をしている国もある。代表的なのはシンガポールであろう。
あまり知られていないが、産ガス国で膨大な利益を上げているカタールは、カタール国民の約6倍の外国人労働者を受け入れている。
そのどちらも、基本的には永住も国籍取得も認めていない。
「日本に外国人が来ることには反対だぁ~」と考え、「新たな移民政策だぁ~」という言説を発する人達は、少なくとも現状数年は続くと思われる「労働力不足」への対処と同時に、「心配」な部分に対しての提案をする等の対応をすべきではないか?
ただ単に、パターン的な「日本に外国人が来ることには反対だぁ~」と称し、「新たな移民政策だぁ~」とだけ述べることは知的怠惰である。
何が、どの様に「問題」なのかを整理して、その問題をどの様に防止・対処するのか、そういう提案を行うべきであろう。
実際のところは、不法在留外国人に対しては、先に述べた様に、対策強化策の方針は既に出されており、問題の防止・対処策は示されているのである。
今回の「在留資格」の新設とは、明確化に他ならず、それは曖昧な「資格」での入国を許す運用の是正につながるのだが、そういう点は評価していないのではないか?
何れにしろ、これを「移民政策だぁ」と脊髄反射している方は、最近の「安倍が消費税増税を決めたぁ」(*6)との詐欺話にまんまと乗せられているのと同じ層であろうと思われる。
今回は以上である。キーワードスローガンに簡単に乗ってしまう様では、扇動者の目論見通りであり、けして賢くはないと感じた次第である。(*7)
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【文末脚注】
(*1):欧州における「施し」発想での無定見な「移民受入」の問題点
2018/03/13投稿:
ドイツの「報道しない自由」の理由は何?
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-880.html
2018/09/16投稿:
ダライ・ラマの正論「欧州は欧州人のもの」雑感
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1015.html
(*2):先般の外国人材の受入れ方針のニュース
NHK NEWS WEB 2018年10月12日 18時35分
見出し:◆外国人材受け入れ拡大へ“政策転換” 新在留資格など改正案
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181012/k10011669301000.html
記事:○外国人材の受け入れの拡大に向けて、政府は、2つの新たな在留資格を設ける出入国管理法などの改正案の骨子をまとめました。現在は大学教授など「高度な人材」に限られている就労目的の在留資格を、単純労働者を含めた人材にも広げるもので、政策の転換とも言えそうです。
○人手不足を補おうと、政府は、来年4月から外国人材の受け入れ拡大を目指していて、12日の関係閣僚会議で、「特定技能」の「1号」と「2号」の新たな在留資格を設ける、出入国管理法などの改正案の骨子が示されました。
○「特定技能1号」は、特定の分野で、「相当程度の知識または経験」を持つと認められた外国人に与えられ、在留期間は最長で5年となっています。また、「特定技能2号」は、「1号」を上回る「熟練した技能」を持つと認められた外国人に与えられます。
○在留期間は更新でき、上限は設けられないため、条件を満たせば長期の滞在や家族の同伴が可能となります。
○就労目的の在留資格は、現在、大学教授など「高度な人材」に限られていますが、今回の内容は、単純労働者を含めた人材にも広げるもので、政策の転換とも言えそうです。
○政府は、こうした改正案を今月下旬に召集される臨時国会に提出する方針です。
○菅官房長官は、「全国の中小事業者では人手不足が深刻化しており、即戦力となる外国人材を幅広く受け入れる仕組みを作ることが急務だ」と述べました。
○そのうえで、「外国人を受け入れる環境整備が必要で、外国人が働いてみたい住んでみたいと思える国を目指して、総合的な対応策の検討を進めてもらいたい」と指示しました。
小見出し:◆新在留資格得るためには
○「特定技能」の「1号」と「2号」は、いずれも、日本語と技能の試験に合格すれば取得できます。
○「特定技能1号」は日本語の試験で、日常会話程度が話せると認められることが必要です。また、受け入れる分野ごとの技能試験にも合格することが求められます。ただし、3年間の技能実習を受けた場合は、いずれの試験も受ける必要がなくなります。「特定技能2号」は、「1号」と同じ程度の日本語の試験と、「1号」よりも難しい技能試験に合格する必要があるということです。
小見出し:◆拡大は人手不足の業種に限定
○外国人材の受け入れ拡大について、政府は、あくまで、人手不足が深刻な業種に限定する方針です。これまでに、各省庁が業界団体などからヒアリングを行い、農業、漁業、介護、建設、ビルの清掃など14の分野が検討されています。
○政府は、年内をめどに、受け入れを拡大する分野を決めたいとしています。一方で、政府は、人手不足が解消したと判断されれば、その分野での受け入れを停止したり、中止したりするとしています。
小見出し:◆受け入れ企業に日本語教育義務づけ
○外国人材を受け入れる企業には、日本語教育を含めた生活支援や、日本人と同等以上の賃金の水準を確保するよう実質、義務づけるとしています。また、不法滞在を防ぐ対策の一環として、難民認定制度の悪用などが目立つ場合は、その国から新たな労働者を受け入れない方針です。
小見出し:◆出入国在留管理庁設置へ
○外国人材の受け入れ拡大に合わせて、政府は、外国人の出入国などの管理を厳格化するため、今の法務省入国管理局に代わる「出入国在留管理庁」を設置する方針です。
小見出し:◆野党 外国人労働者増加の課題整理
○野党側は、外国人労働者が増えた場合の課題などの整理を進めています。
○立憲民主党は、日本語教育も含めて、生活に必要なサポートや、外国人が暮らす自治体に対する国の支援の在り方などを議論していて、近く党の考え方をまとめる方針です。
○枝野代表は、「具体的な制度設計が問われるので、臨時国会だけで結論を出せるのか。慎重に議論する必要がある」と述べています。
○また、国民民主党も、外国人労働者の権利を保護するため、日本人と同等の賃金を確保する対策などの検討を始めました。
小見出し:◆労働問題に詳しい弁護士「覚悟持って取り組むべき」
○今回、政府がまとめた改正案の骨子について、外国人の労働問題に詳しい指宿昭一弁護士は、「外国人労働者を、きちんとした制度を作って正面から受け入れるという第一歩を踏み出せたのはよかった。新たな在留資格で長期の滞在が認められることで外国人労働者にとっても選択の余地が広がるうえ、働き続けてほしいと考える企業にとってもよいことだ」と評価していました。
○その一方で、「今回の改正案の骨子では、企業に代わって外国人労働者の生活や言葉の支援を行う『登録支援機関』が設けられることになっているが、これまで技能実習生に対して人権侵害をしてきたような悪質なブローカーが入ってくると、大変なことになる。外国人労働者が国を出る時にブローカーに対して不当に高いお金を払わなければならなくなるような事態も避けなければならず、本気で規制をしていかないとよい制度にはならない」と指摘していました。
○また、「文化や言葉の違いがあるなかで外国人労働者やその家族の教育、社会保障の問題なども含めて受け入れを進めていかなければならないが、簡単ではないことだ。『日本の企業や社会を一緒に支えていってもらう仲間を作る』という考え方で覚悟を持って取り組むべきで、国が対策を取るとともに、企業にも負担してもらわなければならない」と話していました。
<引用終わり>
(*3):法務省HP
法務省・入国管理局 平成30年(2018年)3月27日
見出し:◆本邦における不法残留者数について(平成30年1月1日現在)
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00074.html
<冒頭記事>
○平成30年1月1日現在の本邦における不法残留者数は,6万6,498人であり,平成29年1月1日現在に比べ,1,228人(1.9%)増加し,各年1月1日現在の不法残留者数としては,4年連続の増加となっています。
<数値データ抜粋引用>
○不法残留者数の多い上位10か国・地域は次のとおりです。
平成29年1月1日現在から,国籍・地域及び順位に変化はありませんが,中国,タイ,ベトナム,マレーシア及びブラジルの5か国・地域は増加し,その他の5か国・地域は減少しました。
(1)韓国:12,876人(構成比19.4%)
(2)中国: 9,390人(同14.1%)
(3)泰国: 6,768人(同10.2%)
(4)越南: 6,760人(同10.2%)
(5)比国: 4,933人(同 7.4%)-以下略
<抜粋引用終わり>
(*4):産経の入国管理局の庁への格上げを報じるニュース
THE SANKEI NEWS 2018.8.28 07:00
入国管理庁に格上げ 来年4月、人材受け入れに環境整備
https://www.sankei.com/politics/news/180828/plt1808280006-n1.html
記事:○来年度からの新たな外国人材受け入れなどに向け、法務省が現在の入国管理局を格上げし、来年4月に外局の「入国在留管理庁」(仮称)を設置する方針を固めたことが27日、分かった。法務省設置法などの改正案を秋の臨時国会に提出する。来年度予算の概算要求に、入国審査官などを500人規模で増員することを盛り込んだ。入管庁は外国人材受け入れの環境整備に関する総合調整を担うことになる。
○入管庁には長官と次長を置き、その下に出入国管理部と在留管理支援部を設置する。出入国管理部は出入国に関する事務や不法在留の取り締まりなどを担当。在留管理支援部は他省庁や地方自治体と連携して、在留外国人の生活環境整備を進めていく。
○政府は6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」に、外国人労働者を受け入れる新たな在留資格の創設を盛り込んでおり、介護や建設などの分野で来年4月から受け入れを始める方針だ。
○実質的に、単純労働での就労を認める方針転換となるが、現行制度でも受け入れ後の生活困窮や悪質な紹介業者の存在などが問題になっており、新たな外国人材の受け入れを円滑に進めるためには管理の充実が必要になる。
○さらに、昨年の外国人旅行者数が約2869万人と前年より19・3%も増加するなど、入管業務は飛躍的に増大している。
○そのため法務省は「現行の人員では対応困難」と判断。新たな外国人材受け入れ業務などに対応するため、一定の独立性のある組織として入管庁を新設することにした。現在の入管局約4800人体制を約5300人体制に拡大する。
<引用終わり>
(*5):今年(2018年)7月24日付で閣議決定した「外国人受入れ環境の整備に関する業務の基本方針について」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/kaigi/dai1/siryou2.pdf
<同方針から抜粋引用>
中小・小規模事業者をはじめとした人手不足の深刻化を踏まえ、骨太方針2018において、生産性向上や国内人材確保の取組を強力に推進しつつ、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材に関し、就労を目的とする新たな在留資格を創設することとし、外国人材の受入れを更に進めていくこととなった。
今後も我が国に在留する外国人が増加していくと考えられる中で、日本で働き、学び、生活する外国人の受入れ環境を整備することによって、外国人の人権が護られ、外国人が日本社会の一員として円滑に生活できるようにしていく必要がある。
<抜粋引用終わり>
(*6):れ「安倍が消費税増税を決めたぁ」との詐欺話
2017/10/10投稿:
消費税増税10%化は民主党・野田政権の置き土産
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-775.html
(*7):扇動者の目論見通りであり、けして賢くはない。
2016/07/13投稿:
【コラム】造反有理・革命無罪の罪深さ
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-455.html
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