新冷戦状態にあるとの宣言・ペンス米国副大統領演説(後編)Final
- 2018/10/17
- 21:38
新冷戦状態にあるとの宣言・ペンス米国副大統領演説(後編)Final
<ヘゲモニーチャレンジャー中国4>

副題:米ソ・東西冷戦はドンパチこそ発生しなかったが軍事力競走であった。新冷戦は中国が標榜する超限戦。その分野は法律戦・情報戦が主であり、軍事力は前面には出てこないので分かり難いのだが、世界秩序を変えたがっている中国との新たなる冷戦が始まっている。
ペンス副大統領の演説(*1)を紹介してきた前回(中編)からの続きである。
ペンス副大統領の演説は、中国が国際秩序に反して、自己の価値観に基づき行動し、その価値観で世界を塗り替えるヘゲモニーチャレンジャーであると認定して、それを許さないとする宣言である。
その事をペンス演説の中身を見ながらご確認いただき、それが中国を相手にした「新冷戦状態にあるとの宣言」であることを紹介している。
○最初の論考「ヘゲモニーチャレンジャー中国・事大主義小中華韓国
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1032.html
○前々回「新冷戦状態にあるとの宣言・ペンス米国副大統領演説(前編)」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1033.html
○前回「同(中編)」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1034.html
前編及び中編で紹介した部分のペンス演説は、アメリカ人の聴衆を相手にしている事から、具体的な事例を多々上げており、それらは、中国が国際秩序に反したズルっこでアメリカに不利益をもたらしている事を述べている事を紹介した。
その分野は、経済、軍事、人権、発展途上国への「借金漬け外交」などである。
そういう「アメリカ人が怒る事例」をペンスは多々示しながら、利己的利益を追究している今のままの中国が続けば、アメリカが今後、どの様な行動をすることになるのかを述べている。
ペンス演説のその部分は、「アメリカ人の誇り」である「俺等アメリカ世界1!俺等の軍隊を知らんのか?」という「話」から始めており、中国の「不当貿易」に対して関税策で対抗している事を紹介している。
ちょっと長めだが、その4つの段落を紹介する。
<紹介を続けているペンス演説の引用>
○Under President Trump’s leadership, the United States of America has been defending our interests with renewed American strength.
(勝手に和訳:○トランプ大統領のリーダーシップのもとで、アメリカは「新たなアメリカの強み」を以て、我々アメリカの利益を守ってきた。)
○We’ve been making the strongest military in the history of the world stronger still. Earlier this year, President Trump signed into law the largest increase in our national defense since the days of Ronald Reagan -– $716 billion to extend the strength of the American military to every domain.
(勝手の和訳:○我々が持つ史上最強の軍隊を我々は今年、更に強化している。トランプ大統領は、レーガン時代(「強いアメリカ政策」で冷戦終結させた大統領)以来最大の国防費の増大となる法案にサインをしており、7,160億ドル(約79兆円)に及ぶ国防費は、アメリカ軍の総ての分野に於いて、それを強化するものである。)
※ご参考:日本の防衛費総額は5兆円程度。
○We’re modernizing our nuclear arsenal.
We’re fielding and developing new cutting-edge fighters and bombers.
We’re building a new generation of aircraft carriers and warships.
We’re investing as never before in our armed forces.
And this includes initiating the process to establish the United States Space Force to ensure our continued dominance in space, and we’ve taken action to authorize increased capability in the cyber world to build deterrence against our adversaries.
(勝手に和訳:我々は核兵器の機能向上をしている。
我々は、最先端の戦闘機と爆撃機を配備・開発している。
我々は、新世代の空母と艦艇を建造している。
我々は、かつてない程に、我々の軍を増強する予算を投入している。
そして、この予算投入には、我々が優位性を持つ宇宙空間での立場を維持する為のアメリカ宇宙軍の創成を開始するプロセスの為の費用が含まれており、また、サイバー空間で我々に敵対する相手に対する抑止力として、その能力向上措置を実行している。)
○At President Trump’s direction, we’re also implementing tariffs on $250 billion in Chinese goods, with the highest tariffs specifically targeting the advanced industries that Beijing is trying to capture and control. And as the President has also made clear, we will levy even more tariffs, with the possibility of substantially more than doubling that number, unless a fair and reciprocal deal is made. (Applause.)
(勝手に和訳:トランプ大統領の方針で、我々は、同様に(対抗措置として)中国製品に対して2,500億ドルの関税を課している。取り分け、北京(中共政府)が独占的に支配・管理しようとしている先進的工業製品に対しては最高関税が適用する措置である。また、大統領が明言した様に、我々は公正で相互対等な取引が行われない限り、その数を実質的に倍増させ、さらに多くの関税を課すことになる。(拍手。))
長めに4段落分を紹介したが、それは、ここで語られていることが「軍事と経済」であることを見ていただきたかったからである。
「軍事と経済」が国力の両輪であることは先述した通りであるが、同様、先述した様に、中国が従前から用いていた「政治的に対立していても経済は別。経済関係を進展させましょう」とのゴマカシをトランプ政権は見抜いており、軍事分野のみならず経済分野に於いても、中国への対抗措置を講じているのである。
これは、別の言葉を用いれば、「直接的軍事行動をしていない総力戦」である。
米ソ東西冷戦は、ユーラシア大陸東側のアジアに於いては、朝鮮戦争や後期ベトナム戦争等(*2)の武力衝突が起こったが、西側の欧州に於いては直接的軍事行動であるドンパチは起こらず、体制競争・軍事力競走等が前面にあった総力戦である。
そういう「ドンパチが起こっていない総力戦」をアメリカは中国を相手に戦っていることをペンスは述べているのである。
その上で、前編・中編紹介してきた「中国がやっているけしからん事」を是正すれば、「アメリカが今後やっていく事」が変わる旨をペンスは演説の最後段で述べているのであるが、その直前に、中国の超限戦の要諦の1つである「民主主義政府への不当な介入」の事例を紹介している。
「中国がやっているけしからん事」は、経済、軍事、人権、発展途上国への「借金漬け外交」などであるが、ペンス演説は、最後に、「民主主義政府への不当な介入」を紹介している。
この部分を読むと、それはまるで三文スパイ小説の如き内容であり、にわかには信じられないものなのだが、現役副大統領が演説で述べており、そのテキストがホワイトハウスHPに記載されているものである。
我が国のマスコミは、ペンス演説のこの部分の話を報道することはないであろう。
そういう「言論空間」「報道状況」に我々日本人は置かれていることから、ちょっと長くなるが、その部分8段落の全部を和訳して紹介することにした。
<ペンス演説のテキストから抜粋引用>
○I want to tell you today what we know about China’s actions here at home — some of which we’ve gleaned from intelligence assessments, some of which are publicly available. But all of which are fact.
(勝手に和訳:○今日(この会場に御出でいただいた皆さんに)、我々(政府当局者)が知っている、アメリカ国内で中国がやっている事をお伝えしたい。これらは我が国の情報機関が査定確認しているもので、その内の幾つかは既に一般公開されたものである。これらは総て事実である。)
○As I said before, as we speak, Beijing is employing a whole-of-government approach to advance its influence and benefit its interests.
It’s employing this power in more proactive and coercive ways to interfere in the domestic policies of this country and to interfere in the politics of the United States.
(勝手に和訳:先ほど述べた様に、北京(中共政府)は、影響力を強化し、利益を得るために我が国政府全体にアプローチする事を採用している。)
○The Chinese Communist Party is rewarding or coercing American businesses, movie studios, universities, think tanks, scholars, journalists, and local, state, and federal officials.
(勝手に和訳:○中国共産党は、アメリカ企業、映画スタジオ(芸能関係者)、大学、シンクタンク、学者、ジャーナリスト及び地方(群・市)、州、連邦当局者に、報酬を与えたり、或いは強制(脅迫等)を以て(浸透)している。
○And worst of all, China has initiated an unprecedented effort to influence American public opinion, the 2018 elections, and the environment leading into the 2020 presidential elections.
To put it bluntly, President Trump’s leadership is working; and China wants a different American President.
(勝手に和訳:最悪な事に、中国はアメリカの世論、それは2018年の中間選挙であり、2020年の大統領選(トランプの二期目)の世論であるが、その情勢に影響を与えようと前例のない(情報戦を展開する)努力をし始めている。
率直に言ってしまえば、トランプ大統領の(中国の不公正取引を改善する)リーダーシップは機能しており、一方の中国は、トランプとは別の大統領を望んでいるという事である。
○There can be no doubt: China is meddling in America’s democracy.
As President Trump said just last week, we have, in his words, “found that China has been attempting to interfere in our upcoming [midterm] election[s].”
(勝手に和訳:これらの話に疑いの余地はない。中国はアメリカの民主主義によけいな干渉している。
先週、トランプ大統領が「中国は、今度の「中間」選挙に余計な口出し(干渉・邪魔)をしようと試みていることがわかった」と言った通りである。
○Our intelligence community says that “China is targeting U.S. state and local governments and officials to exploit any divisions between federal and local levels on policy.It’s using wedge issues, like trade tariffs, to advance Beijing’s political influence.”
(勝手に和訳:○我が国アメリカの情報機関は、「中国は米国の州政府、地方自治体及びその関係者を対象に、連邦政府と地方政府間のあらゆる部門の政策を(超限戦に)活用しようとしている。これは、北京(中共政府)の政治的影響を(アメリカ国内で)促進するためのもので、貿易関税のような(微妙な)問題を(連邦政府と州・地方政府の)離間の為に利用している」と述べている。
○In June, Beijing itself circulated a sensitive document, entitled “Propaganda and Censorship Notice.”
It laid out its strategy.
It stated that China must, in their words, “strike accurately and carefully, splitting apart different domestic groups” in the United States of America.
(勝手に翻訳:○6月には、北京(中共政府)自体が「宣伝と検閲の通知」と題した過敏な内容の文書を発し、内部通達している。
それは、彼等(中共政府)の政策(超限戦の情報戦をするとの政策)が外部に現れたものである。
彼等の表現を用いれば、「アメリカ国内の様々な集団・勢力を分裂させる正確かつ慎重な攻撃をする」と中国は述べているものである。
○To that end, Beijing has mobilized covert actors, front groups, and propaganda outlets to shift Americans’ perception of Chinese policy.
As a senior career member of our intelligence community told me just this week, what the Russians are doing pales in comparison to what China is doing across this country. And the American people deserve to know it.
(勝手に和訳:○(アメリカ国内を混乱させる)目的の為に、北京(中共政府)は、秘密工作を行う人物や(接触・面談等を行う)フロントグループや情宣プロパガンダ要員などを(中国に都合の悪い)対中認識を転換させる為に(大量に)動員した。
ちょうど今週、私(ペンス)が、我が国アメリカの情報機関の上級者から聞いた話によれば、ロシア人がやっている工作など今の中国人がやっている工作と比べれば、全然たいしたものではない、という事だった。(中国人の工作がもの凄いものになっている事の反語的表現)そして、その事をアメリカ国民は知っておくべきだと。
↓
ホワイトハウスHPの演説テキストで8段落分もの文字数を費やした長い話なのだが、言っていることを1つだけである。
「中国は、アメリカ国内で、かつない程の大規模な情報戦を展開している。だから、気を付けろ」である。
これを「陰謀論」だと笑うことはたやすいのだが、そうであるならば、それは、現役副大統領のペンスがデマ話をしているという事でなり、それこそ「陰謀論」になってしまう。
そういう視点からは、規模の大小は分からないが、中国がアメリカ国内で情報戦を仕掛けていること自体は疑いようがない。
中国が情報戦を仕掛けているのはアメリカだけではない。
むしろ、我が国は、ずっと情報戦を仕掛けられてきた。
仕掛けてきたのは中国だけではないが、東西冷戦時の世界構造からは、我が国は、ユーラシア大陸の東側に於ける情報戦の最前線だったのだから、ずっと、そういう仕掛けに曝されてきている。
東西冷戦は、「体制競争」であり「軍事競走」だった事は先述して通りだが、欧州正面では東西ドイツが軍事的最前線であったのと同時に、体制競争・情報戦(思想戦と言ってもよい)の最前線でもあったことはご存じのことだと思う。
一方のアジアに於いての軍事的最前線が朝鮮半島の38度線であることも知っての通りだが、情報戦・思想戦の戦場として朝鮮半島は、まったく不向きであり、その最前線は日本国内であったことは、あまり認識されていない。
逆に言えば、アジア地域での情報戦・思想戦の戦場として戦後日本ほど最適地はなかったことは、容易に認識できるはずである。
戦後の我が国は、そういう共産主義勢力側の思想戦により、随分と混乱しており、それが未だに続いていることは、偏向マスコミの「報道」や、野党の言っている事を見ればお分かりのことであろう。
ペンス演説は、中国の情報戦について、この後に具体的事例を細かく述べている。
ペンスが上記で指摘していた、情報戦の「対象者」である<アメリカ企業、映画スタジオ(芸能関係者)、大学、シンクタンク、学者、ジャーナリスト及び地方(群・市)、州、連邦当局者>のうち「映画スタジオ(芸能関係者)」の分だけだが、それを紹介しておく。
多分、この部分は「一般ウケす部分」だと思われるからだ。
<ペンス演説のテキストから抜粋引用>
○And Beijing routinely demands that Hollywood portray China in a strictly positive light.
It punishes studios and producers that don’t.
Beijing’s censors are quick to edit or outlaw movies that criticize China, even in minor ways. For the movie, “World War Z,” they had to cut the script’s mention of a virus because it originated in China.
The movie, “Red Dawn” was digitally edited to make the villains North Korean, not Chinese.
(勝手な和訳:○そして北京(中共政府)は、ハリウッドが中国を肯定的に描写する様に、いつも要求している。
(中国を肯定的に描かない)スタジオやプロデューサーは、中国によって不利益を被る事になる。
北京(中共政府)の「検閲者」は、中国を批判する映画をすぐに割り出し、それを編集させるか、「法に反する映画」とのレッテル貼りを行う。
映画「World War Z」では、作品シナリオの「中国で起きたのでウイルス」を編集でカットさせ、映画「レッド・ドーン」では悪役の設定が中国人から北朝鮮人へとデジタル編集された。
↓
フィクション娯楽映画なのにアホかいなと思うが、そういうイメージ戦略は、実は結構重要で、中国は豊富な資金を背景に、こういう事をやっているという事例紹介である。
他の対象者に関しても具体的事例があるのだが、如何せん長いので、和訳紹介は割愛する。
言っていることは、中国の情報戦は、こんなところまで浸透しているというもので、その事例の羅列である。
さて、ペンス演説は、その最後段に至る直前で、そのサマリーとして、アメリカの基本的戦略を提示している。その部分の5段落を以下に紹介するが、「何処かで見たぞ」という既視感があるかもしれない(笑)。そうであれば、幸である。
<ペンス演説のテキストから抜粋引用>
○Our administration is going to continue to act decisively to protect America’s interests, American jobs, and American security.
(勝手に和訳:○我々の政権は、アメリカの利益、アメリカの雇用、アメリカの安全保障を守るために断固とした行動を続ける。)
○As we rebuild our military, we will continue to assert American interests across the Indo-Pacific.
(勝手に和訳:○我々は、我が国の軍の再建に伴い、引き続きインド洋全域でアメリカの利益を主張し続ける。)
○As we respond to China’s trade practices, we will continue to demand an economic relationship with China that is free, fair, and reciprocal.
We will demand that Beijing break down its trade barriers, fulfill its obligations, fully open its economy — just as we have opened ours.
(勝手に和訳:○我々は、中国の貿易慣行に対応するにあたり、引き続き、自由で公平で相互的な中国との経済関係を要求し続ける。
我々は、北京(中共政府)が貿易障壁を撤廃し、その義務を履行し、経済を完全に開放することを要求する。アメリカが経済を開放したのと同様に(中国も経済開放することを求める)
○We’ll continue to take action against Beijing until the theft of American intellectual property ends once and for all. And we will continue to stand strong until Beijing stops the predatory practice of forced technology transfer.
We will protect the private property interests of American enterprise. (Applause.)
(勝手に和訳:○我々は、北京(中共政府)に対して、アメリカの知的財産の剽窃が完全に終わるまで、引き続き(対抗)措置を講じ続ける。また、北京(中共政府)が講じている強制的な技術移転条項による略奪的慣行を止めるまで。
我々は引き続き強固な立場を保つであろう。我々はアメリカ企業の私有財産権を保護する。 (拍手))
○And to advance our vision of a free and open Indo-Pacific, we’re building new and stronger bonds with nations that share our values across the region, from India to Samoa.
Our relationships will flow from a spirit of respect built on partnership, not domination.
(勝手に和訳:我々は「自由で開かれたインド・太平洋戦略」を押し進める。インドからサモア(経度で理解いただきたい)に至る価値観を共有する国々との新たな強力な絆(bonds)を築いていく。
また、我々の相互関係は、パートナーシップに基づいて構築される尊敬の精神から生まれる(互恵・対等な)関係である、けして(中国の華夷秩序の様な)支配関係ではない。
↓
「何処かで見たぞ」という既視感がある方は幸である。(*3)
・「自由で開かれたインド・太平洋戦略」
・「価値観を共有する国々との新たな強力な絆」
・「我々の相互関係は、パートナーシップに基づいて構築される尊敬の精神から生まれる(互恵・対等な)関係」
・「けして「支配」ではない」
この様なビジョンをペンスは演説ではっきりと述べているのである。
そして、ペンス演説は最後段で、中国に対して、ヘゲモニーチャレンジャーになることは危険だから、自由主義世界の秩序に従ってくれ、と述べている。
その最後の部分の3段落を紹介する。
<ペンス演説のテキストから抜粋引用>
○As our National Security Strategy states: We should remember that “Competition does not always mean hostility,” nor does it have to.
The President has made clear, we want a constructive relationship with Beijing where our prosperity and security grow together, not apart.
While Beijing has been moving further away from this vision, China’s rulers can still change course and return to the spirit of reform and opening that characterize the beginning of this relationship decades ago.
The American people want nothing more; and the Chinese people deserve nothing less.
(勝手に和訳:○我々アメリカの国家安全保障戦略は次のように述べている。「競争は必ずしも敵意を意味するわけではない」。この事をけして忘れてはならないし、その様にしてきく必要があると考える。
(ドランプ)大統領は、明確に、我々アメリカは、繁栄と安全保障が一緒に成長するとの建設的な関係を北京(中共政府)に対して望んでいることを表明している。
しかし、北京(中共政府)は、このビジョンからさらに遠ざかっている。しかし、中国の意思決定者は、(米中国交回復をした)何十年も前の「関係の始まり」を特徴づける改革開放の精神へと立ち返り、今の(破滅的な)コースを変えることが可能である。
アメリカ人は、(米中国交回復時の関係に立ち返ること以外)何も望んでいないが、(立ち返れるならば)中国国民(中共政府ではないことに注目)には、大きな価値があるのである。)
○The great Chinese storyteller Lu Xun often lamented that his country, and he wrote, “has either looked down at foreigners as brutes, or up to them as saints,” but never “as equals.”
Today, America is reaching out our hand to China.
And we hope that soon, Beijing will reach back with deeds, not words, and with renewed respect for America.
But be assured: we will not relent until our relationship with China is grounded in fairness, reciprocity, and respect for our sovereignty. (Applause.)
(勝手に和訳:中国の偉大な作家・魯迅は、彼の国(中国)は「外国人を野蛮人としてみるか、聖人として見ている」としばしば書いており、けして「同等」と(中国人は)書かなかったことを嘆いている。(対等互恵の概念がない中華思想、支配被支配の概念しかない中国を魯迅が嘆いているという意味)
今、アメリカは中国に対して(対等互恵の考えで)手を差し伸ばしている。
我々は、北京(中国政府)が言葉だけではなく、アメリカに対して、新たな敬意をもって行動してくれることを願っている。
だがしかし、中国との関係が公平、相互主義、そして主権の尊重に根ざしたものになるまで、我々アメリカはけして寛容にならないだろう。(拍手))
○There is an ancient Chinese proverb that reads, “Men see only the present, but heaven sees the future.”
As we go forward, let us pursue a future of peace and prosperity with resolve and faith.
Faith in President Trump’s leadership and vision, and the relationship that he has forged with China’s president.
Faith in the enduring friendship between the American people and the Chinese people.
And Faith that heaven sees the future — and by God’s grace, America and China will meet that future together.
(勝手に和訳:○いにしえの中国のことわざに、「人間は現在しか見ない。しかし天は未来を見る」というのがある。
我々米中が前に向け進む時、我々米中は決意と信仰によって平和と繁栄の未来を追求していこうではないか。
トランプ大統領のリーダーシップとビジョン、そして彼が中国国家主席と築いた関係への信頼とアメリカ国民と中国国民との永続的な友情を信じ、天が未来を見ているのだから、神の恵みによって、アメリカと中国はその(望ましい)未来を一緒に構築していきましょう。)
↓
分かっている人は分かると思うが、「米中国交回復時の改革・開放路線に戻ってね」、「対等・互恵の関係でやっていきましょう」という「選択肢」を提示しているのだが、その提示の基盤になっている「アメリカ式西欧文明」が色濃く出ており、中華思想の持ち主にとっては、その取り方によっては「喧嘩売ってるんかい!」というものである。
これら選択肢は、支那の地の文明である華夷秩序を否定するものであり、それは中国にとってみれば難しいものである。(*4)
一方、我々日本人からすれば、華夷秩序・中華冊封体制は1300年以上も昔に、「あれはダメだと思うぞ」と評価しているもので、そんな中国が21世紀の世界のヘゲモニーを握ることは悪夢でしかない。
今回も長くなり過ぎたので、これで御仕舞とするが、ペンス演説の原文とその和訳の紹介で、これが新冷戦状態にあるとの宣言であり、アメリカが中国側へ歩み寄ることはないとの内容であることはご理解いただけたと思う。
必要あれば、別項で、解説・論考をすることがあるかもしれないが、今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1)ペンス副大統領の演説
<ペンス演説のテキスト>
ホワイトハウスHP Issued on: October 4, 2018
見出し:◆Remarks by Vice President Pence on the Administration’s Policy Toward China
(勝手な意訳:ペンス副大統領による、対中政策に関しての方針演説)
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-vice-president-pence-administrations-policy-toward-china/
※英語なので全文引用はしていない。注目点は本稿の中で適宜引用して和訳している。
(*2):米ソ東西冷戦時、ユーラシア大陸東側のアジアに於いては朝鮮戦争や後期ベトナム戦争等の武力衝突が起こった
2016/01/26投稿:
妖怪2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-590.html
2017/01/28投稿:
妖怪は人々を不幸にした悪魔だった4Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-592.html
(*3):「何処かで見たぞ」という既視感がある方は幸である。
2018/10/01投稿:
安倍首相・国連演説2018(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1024.html
2018/10/02投稿:
安倍首相・国連演説2018(中編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1025.html
2018/10/03投稿:
安倍首相・国連演説2018(後編)Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1026.html
※○私が自由で開かれたインド太平洋戦略を言いますのは、まさしくこれらの国々、また米国や豪州、インドなど、思いを共有する全ての国、人々と共に、開かれた、海の恵みを守りたいからです。
○洋々たる空間を支配するのは、制度に裏打ちされた法とルールの支配でなくてはなりません。そう、固く信じるがゆえにであります。
(*4):これら選択肢は、支那の地の文明である華夷秩序を否定するものであり、それは中国にとってみれば難しいものである。
2017/12/21投稿:
情勢認識が冷戦時代のままではダメでしょ。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-829.html
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<ヘゲモニーチャレンジャー中国4>


副題:米ソ・東西冷戦はドンパチこそ発生しなかったが軍事力競走であった。新冷戦は中国が標榜する超限戦。その分野は法律戦・情報戦が主であり、軍事力は前面には出てこないので分かり難いのだが、世界秩序を変えたがっている中国との新たなる冷戦が始まっている。
ペンス副大統領の演説(*1)を紹介してきた前回(中編)からの続きである。
ペンス副大統領の演説は、中国が国際秩序に反して、自己の価値観に基づき行動し、その価値観で世界を塗り替えるヘゲモニーチャレンジャーであると認定して、それを許さないとする宣言である。
その事をペンス演説の中身を見ながらご確認いただき、それが中国を相手にした「新冷戦状態にあるとの宣言」であることを紹介している。
○最初の論考「ヘゲモニーチャレンジャー中国・事大主義小中華韓国
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○前々回「新冷戦状態にあるとの宣言・ペンス米国副大統領演説(前編)」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1033.html
○前回「同(中編)」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1034.html
前編及び中編で紹介した部分のペンス演説は、アメリカ人の聴衆を相手にしている事から、具体的な事例を多々上げており、それらは、中国が国際秩序に反したズルっこでアメリカに不利益をもたらしている事を述べている事を紹介した。
その分野は、経済、軍事、人権、発展途上国への「借金漬け外交」などである。
そういう「アメリカ人が怒る事例」をペンスは多々示しながら、利己的利益を追究している今のままの中国が続けば、アメリカが今後、どの様な行動をすることになるのかを述べている。
ペンス演説のその部分は、「アメリカ人の誇り」である「俺等アメリカ世界1!俺等の軍隊を知らんのか?」という「話」から始めており、中国の「不当貿易」に対して関税策で対抗している事を紹介している。
ちょっと長めだが、その4つの段落を紹介する。
<紹介を続けているペンス演説の引用>
○Under President Trump’s leadership, the United States of America has been defending our interests with renewed American strength.
(勝手に和訳:○トランプ大統領のリーダーシップのもとで、アメリカは「新たなアメリカの強み」を以て、我々アメリカの利益を守ってきた。)
○We’ve been making the strongest military in the history of the world stronger still. Earlier this year, President Trump signed into law the largest increase in our national defense since the days of Ronald Reagan -– $716 billion to extend the strength of the American military to every domain.
(勝手の和訳:○我々が持つ史上最強の軍隊を我々は今年、更に強化している。トランプ大統領は、レーガン時代(「強いアメリカ政策」で冷戦終結させた大統領)以来最大の国防費の増大となる法案にサインをしており、7,160億ドル(約79兆円)に及ぶ国防費は、アメリカ軍の総ての分野に於いて、それを強化するものである。)
※ご参考:日本の防衛費総額は5兆円程度。
○We’re modernizing our nuclear arsenal.
We’re fielding and developing new cutting-edge fighters and bombers.
We’re building a new generation of aircraft carriers and warships.
We’re investing as never before in our armed forces.
And this includes initiating the process to establish the United States Space Force to ensure our continued dominance in space, and we’ve taken action to authorize increased capability in the cyber world to build deterrence against our adversaries.
(勝手に和訳:我々は核兵器の機能向上をしている。
我々は、最先端の戦闘機と爆撃機を配備・開発している。
我々は、新世代の空母と艦艇を建造している。
我々は、かつてない程に、我々の軍を増強する予算を投入している。
そして、この予算投入には、我々が優位性を持つ宇宙空間での立場を維持する為のアメリカ宇宙軍の創成を開始するプロセスの為の費用が含まれており、また、サイバー空間で我々に敵対する相手に対する抑止力として、その能力向上措置を実行している。)
○At President Trump’s direction, we’re also implementing tariffs on $250 billion in Chinese goods, with the highest tariffs specifically targeting the advanced industries that Beijing is trying to capture and control. And as the President has also made clear, we will levy even more tariffs, with the possibility of substantially more than doubling that number, unless a fair and reciprocal deal is made. (Applause.)
(勝手に和訳:トランプ大統領の方針で、我々は、同様に(対抗措置として)中国製品に対して2,500億ドルの関税を課している。取り分け、北京(中共政府)が独占的に支配・管理しようとしている先進的工業製品に対しては最高関税が適用する措置である。また、大統領が明言した様に、我々は公正で相互対等な取引が行われない限り、その数を実質的に倍増させ、さらに多くの関税を課すことになる。(拍手。))
長めに4段落分を紹介したが、それは、ここで語られていることが「軍事と経済」であることを見ていただきたかったからである。
「軍事と経済」が国力の両輪であることは先述した通りであるが、同様、先述した様に、中国が従前から用いていた「政治的に対立していても経済は別。経済関係を進展させましょう」とのゴマカシをトランプ政権は見抜いており、軍事分野のみならず経済分野に於いても、中国への対抗措置を講じているのである。
これは、別の言葉を用いれば、「直接的軍事行動をしていない総力戦」である。
米ソ東西冷戦は、ユーラシア大陸東側のアジアに於いては、朝鮮戦争や後期ベトナム戦争等(*2)の武力衝突が起こったが、西側の欧州に於いては直接的軍事行動であるドンパチは起こらず、体制競争・軍事力競走等が前面にあった総力戦である。
そういう「ドンパチが起こっていない総力戦」をアメリカは中国を相手に戦っていることをペンスは述べているのである。
その上で、前編・中編紹介してきた「中国がやっているけしからん事」を是正すれば、「アメリカが今後やっていく事」が変わる旨をペンスは演説の最後段で述べているのであるが、その直前に、中国の超限戦の要諦の1つである「民主主義政府への不当な介入」の事例を紹介している。
「中国がやっているけしからん事」は、経済、軍事、人権、発展途上国への「借金漬け外交」などであるが、ペンス演説は、最後に、「民主主義政府への不当な介入」を紹介している。
この部分を読むと、それはまるで三文スパイ小説の如き内容であり、にわかには信じられないものなのだが、現役副大統領が演説で述べており、そのテキストがホワイトハウスHPに記載されているものである。
我が国のマスコミは、ペンス演説のこの部分の話を報道することはないであろう。
そういう「言論空間」「報道状況」に我々日本人は置かれていることから、ちょっと長くなるが、その部分8段落の全部を和訳して紹介することにした。
<ペンス演説のテキストから抜粋引用>
○I want to tell you today what we know about China’s actions here at home — some of which we’ve gleaned from intelligence assessments, some of which are publicly available. But all of which are fact.
(勝手に和訳:○今日(この会場に御出でいただいた皆さんに)、我々(政府当局者)が知っている、アメリカ国内で中国がやっている事をお伝えしたい。これらは我が国の情報機関が査定確認しているもので、その内の幾つかは既に一般公開されたものである。これらは総て事実である。)
○As I said before, as we speak, Beijing is employing a whole-of-government approach to advance its influence and benefit its interests.
It’s employing this power in more proactive and coercive ways to interfere in the domestic policies of this country and to interfere in the politics of the United States.
(勝手に和訳:先ほど述べた様に、北京(中共政府)は、影響力を強化し、利益を得るために我が国政府全体にアプローチする事を採用している。)
○The Chinese Communist Party is rewarding or coercing American businesses, movie studios, universities, think tanks, scholars, journalists, and local, state, and federal officials.
(勝手に和訳:○中国共産党は、アメリカ企業、映画スタジオ(芸能関係者)、大学、シンクタンク、学者、ジャーナリスト及び地方(群・市)、州、連邦当局者に、報酬を与えたり、或いは強制(脅迫等)を以て(浸透)している。
○And worst of all, China has initiated an unprecedented effort to influence American public opinion, the 2018 elections, and the environment leading into the 2020 presidential elections.
To put it bluntly, President Trump’s leadership is working; and China wants a different American President.
(勝手に和訳:最悪な事に、中国はアメリカの世論、それは2018年の中間選挙であり、2020年の大統領選(トランプの二期目)の世論であるが、その情勢に影響を与えようと前例のない(情報戦を展開する)努力をし始めている。
率直に言ってしまえば、トランプ大統領の(中国の不公正取引を改善する)リーダーシップは機能しており、一方の中国は、トランプとは別の大統領を望んでいるという事である。
○There can be no doubt: China is meddling in America’s democracy.
As President Trump said just last week, we have, in his words, “found that China has been attempting to interfere in our upcoming [midterm] election[s].”
(勝手に和訳:これらの話に疑いの余地はない。中国はアメリカの民主主義によけいな干渉している。
先週、トランプ大統領が「中国は、今度の「中間」選挙に余計な口出し(干渉・邪魔)をしようと試みていることがわかった」と言った通りである。
○Our intelligence community says that “China is targeting U.S. state and local governments and officials to exploit any divisions between federal and local levels on policy.It’s using wedge issues, like trade tariffs, to advance Beijing’s political influence.”
(勝手に和訳:○我が国アメリカの情報機関は、「中国は米国の州政府、地方自治体及びその関係者を対象に、連邦政府と地方政府間のあらゆる部門の政策を(超限戦に)活用しようとしている。これは、北京(中共政府)の政治的影響を(アメリカ国内で)促進するためのもので、貿易関税のような(微妙な)問題を(連邦政府と州・地方政府の)離間の為に利用している」と述べている。
○In June, Beijing itself circulated a sensitive document, entitled “Propaganda and Censorship Notice.”
It laid out its strategy.
It stated that China must, in their words, “strike accurately and carefully, splitting apart different domestic groups” in the United States of America.
(勝手に翻訳:○6月には、北京(中共政府)自体が「宣伝と検閲の通知」と題した過敏な内容の文書を発し、内部通達している。
それは、彼等(中共政府)の政策(超限戦の情報戦をするとの政策)が外部に現れたものである。
彼等の表現を用いれば、「アメリカ国内の様々な集団・勢力を分裂させる正確かつ慎重な攻撃をする」と中国は述べているものである。
○To that end, Beijing has mobilized covert actors, front groups, and propaganda outlets to shift Americans’ perception of Chinese policy.
As a senior career member of our intelligence community told me just this week, what the Russians are doing pales in comparison to what China is doing across this country. And the American people deserve to know it.
(勝手に和訳:○(アメリカ国内を混乱させる)目的の為に、北京(中共政府)は、秘密工作を行う人物や(接触・面談等を行う)フロントグループや情宣プロパガンダ要員などを(中国に都合の悪い)対中認識を転換させる為に(大量に)動員した。
ちょうど今週、私(ペンス)が、我が国アメリカの情報機関の上級者から聞いた話によれば、ロシア人がやっている工作など今の中国人がやっている工作と比べれば、全然たいしたものではない、という事だった。(中国人の工作がもの凄いものになっている事の反語的表現)そして、その事をアメリカ国民は知っておくべきだと。
↓
ホワイトハウスHPの演説テキストで8段落分もの文字数を費やした長い話なのだが、言っていることを1つだけである。
「中国は、アメリカ国内で、かつない程の大規模な情報戦を展開している。だから、気を付けろ」である。
これを「陰謀論」だと笑うことはたやすいのだが、そうであるならば、それは、現役副大統領のペンスがデマ話をしているという事でなり、それこそ「陰謀論」になってしまう。
そういう視点からは、規模の大小は分からないが、中国がアメリカ国内で情報戦を仕掛けていること自体は疑いようがない。
中国が情報戦を仕掛けているのはアメリカだけではない。
むしろ、我が国は、ずっと情報戦を仕掛けられてきた。
仕掛けてきたのは中国だけではないが、東西冷戦時の世界構造からは、我が国は、ユーラシア大陸の東側に於ける情報戦の最前線だったのだから、ずっと、そういう仕掛けに曝されてきている。
東西冷戦は、「体制競争」であり「軍事競走」だった事は先述して通りだが、欧州正面では東西ドイツが軍事的最前線であったのと同時に、体制競争・情報戦(思想戦と言ってもよい)の最前線でもあったことはご存じのことだと思う。
一方のアジアに於いての軍事的最前線が朝鮮半島の38度線であることも知っての通りだが、情報戦・思想戦の戦場として朝鮮半島は、まったく不向きであり、その最前線は日本国内であったことは、あまり認識されていない。
逆に言えば、アジア地域での情報戦・思想戦の戦場として戦後日本ほど最適地はなかったことは、容易に認識できるはずである。
戦後の我が国は、そういう共産主義勢力側の思想戦により、随分と混乱しており、それが未だに続いていることは、偏向マスコミの「報道」や、野党の言っている事を見ればお分かりのことであろう。
ペンス演説は、中国の情報戦について、この後に具体的事例を細かく述べている。
ペンスが上記で指摘していた、情報戦の「対象者」である<アメリカ企業、映画スタジオ(芸能関係者)、大学、シンクタンク、学者、ジャーナリスト及び地方(群・市)、州、連邦当局者>のうち「映画スタジオ(芸能関係者)」の分だけだが、それを紹介しておく。
多分、この部分は「一般ウケす部分」だと思われるからだ。
<ペンス演説のテキストから抜粋引用>
○And Beijing routinely demands that Hollywood portray China in a strictly positive light.
It punishes studios and producers that don’t.
Beijing’s censors are quick to edit or outlaw movies that criticize China, even in minor ways. For the movie, “World War Z,” they had to cut the script’s mention of a virus because it originated in China.
The movie, “Red Dawn” was digitally edited to make the villains North Korean, not Chinese.
(勝手な和訳:○そして北京(中共政府)は、ハリウッドが中国を肯定的に描写する様に、いつも要求している。
(中国を肯定的に描かない)スタジオやプロデューサーは、中国によって不利益を被る事になる。
北京(中共政府)の「検閲者」は、中国を批判する映画をすぐに割り出し、それを編集させるか、「法に反する映画」とのレッテル貼りを行う。
映画「World War Z」では、作品シナリオの「中国で起きたのでウイルス」を編集でカットさせ、映画「レッド・ドーン」では悪役の設定が中国人から北朝鮮人へとデジタル編集された。
↓
フィクション娯楽映画なのにアホかいなと思うが、そういうイメージ戦略は、実は結構重要で、中国は豊富な資金を背景に、こういう事をやっているという事例紹介である。
他の対象者に関しても具体的事例があるのだが、如何せん長いので、和訳紹介は割愛する。
言っていることは、中国の情報戦は、こんなところまで浸透しているというもので、その事例の羅列である。
さて、ペンス演説は、その最後段に至る直前で、そのサマリーとして、アメリカの基本的戦略を提示している。その部分の5段落を以下に紹介するが、「何処かで見たぞ」という既視感があるかもしれない(笑)。そうであれば、幸である。
<ペンス演説のテキストから抜粋引用>
○Our administration is going to continue to act decisively to protect America’s interests, American jobs, and American security.
(勝手に和訳:○我々の政権は、アメリカの利益、アメリカの雇用、アメリカの安全保障を守るために断固とした行動を続ける。)
○As we rebuild our military, we will continue to assert American interests across the Indo-Pacific.
(勝手に和訳:○我々は、我が国の軍の再建に伴い、引き続きインド洋全域でアメリカの利益を主張し続ける。)
○As we respond to China’s trade practices, we will continue to demand an economic relationship with China that is free, fair, and reciprocal.
We will demand that Beijing break down its trade barriers, fulfill its obligations, fully open its economy — just as we have opened ours.
(勝手に和訳:○我々は、中国の貿易慣行に対応するにあたり、引き続き、自由で公平で相互的な中国との経済関係を要求し続ける。
我々は、北京(中共政府)が貿易障壁を撤廃し、その義務を履行し、経済を完全に開放することを要求する。アメリカが経済を開放したのと同様に(中国も経済開放することを求める)
○We’ll continue to take action against Beijing until the theft of American intellectual property ends once and for all. And we will continue to stand strong until Beijing stops the predatory practice of forced technology transfer.
We will protect the private property interests of American enterprise. (Applause.)
(勝手に和訳:○我々は、北京(中共政府)に対して、アメリカの知的財産の剽窃が完全に終わるまで、引き続き(対抗)措置を講じ続ける。また、北京(中共政府)が講じている強制的な技術移転条項による略奪的慣行を止めるまで。
我々は引き続き強固な立場を保つであろう。我々はアメリカ企業の私有財産権を保護する。 (拍手))
○And to advance our vision of a free and open Indo-Pacific, we’re building new and stronger bonds with nations that share our values across the region, from India to Samoa.
Our relationships will flow from a spirit of respect built on partnership, not domination.
(勝手に和訳:我々は「自由で開かれたインド・太平洋戦略」を押し進める。インドからサモア(経度で理解いただきたい)に至る価値観を共有する国々との新たな強力な絆(bonds)を築いていく。
また、我々の相互関係は、パートナーシップに基づいて構築される尊敬の精神から生まれる(互恵・対等な)関係である、けして(中国の華夷秩序の様な)支配関係ではない。
↓
「何処かで見たぞ」という既視感がある方は幸である。(*3)
・「自由で開かれたインド・太平洋戦略」
・「価値観を共有する国々との新たな強力な絆」
・「我々の相互関係は、パートナーシップに基づいて構築される尊敬の精神から生まれる(互恵・対等な)関係」
・「けして「支配」ではない」
この様なビジョンをペンスは演説ではっきりと述べているのである。
そして、ペンス演説は最後段で、中国に対して、ヘゲモニーチャレンジャーになることは危険だから、自由主義世界の秩序に従ってくれ、と述べている。
その最後の部分の3段落を紹介する。
<ペンス演説のテキストから抜粋引用>
○As our National Security Strategy states: We should remember that “Competition does not always mean hostility,” nor does it have to.
The President has made clear, we want a constructive relationship with Beijing where our prosperity and security grow together, not apart.
While Beijing has been moving further away from this vision, China’s rulers can still change course and return to the spirit of reform and opening that characterize the beginning of this relationship decades ago.
The American people want nothing more; and the Chinese people deserve nothing less.
(勝手に和訳:○我々アメリカの国家安全保障戦略は次のように述べている。「競争は必ずしも敵意を意味するわけではない」。この事をけして忘れてはならないし、その様にしてきく必要があると考える。
(ドランプ)大統領は、明確に、我々アメリカは、繁栄と安全保障が一緒に成長するとの建設的な関係を北京(中共政府)に対して望んでいることを表明している。
しかし、北京(中共政府)は、このビジョンからさらに遠ざかっている。しかし、中国の意思決定者は、(米中国交回復をした)何十年も前の「関係の始まり」を特徴づける改革開放の精神へと立ち返り、今の(破滅的な)コースを変えることが可能である。
アメリカ人は、(米中国交回復時の関係に立ち返ること以外)何も望んでいないが、(立ち返れるならば)中国国民(中共政府ではないことに注目)には、大きな価値があるのである。)
○The great Chinese storyteller Lu Xun often lamented that his country, and he wrote, “has either looked down at foreigners as brutes, or up to them as saints,” but never “as equals.”
Today, America is reaching out our hand to China.
And we hope that soon, Beijing will reach back with deeds, not words, and with renewed respect for America.
But be assured: we will not relent until our relationship with China is grounded in fairness, reciprocity, and respect for our sovereignty. (Applause.)
(勝手に和訳:中国の偉大な作家・魯迅は、彼の国(中国)は「外国人を野蛮人としてみるか、聖人として見ている」としばしば書いており、けして「同等」と(中国人は)書かなかったことを嘆いている。(対等互恵の概念がない中華思想、支配被支配の概念しかない中国を魯迅が嘆いているという意味)
今、アメリカは中国に対して(対等互恵の考えで)手を差し伸ばしている。
我々は、北京(中国政府)が言葉だけではなく、アメリカに対して、新たな敬意をもって行動してくれることを願っている。
だがしかし、中国との関係が公平、相互主義、そして主権の尊重に根ざしたものになるまで、我々アメリカはけして寛容にならないだろう。(拍手))
○There is an ancient Chinese proverb that reads, “Men see only the present, but heaven sees the future.”
As we go forward, let us pursue a future of peace and prosperity with resolve and faith.
Faith in President Trump’s leadership and vision, and the relationship that he has forged with China’s president.
Faith in the enduring friendship between the American people and the Chinese people.
And Faith that heaven sees the future — and by God’s grace, America and China will meet that future together.
(勝手に和訳:○いにしえの中国のことわざに、「人間は現在しか見ない。しかし天は未来を見る」というのがある。
我々米中が前に向け進む時、我々米中は決意と信仰によって平和と繁栄の未来を追求していこうではないか。
トランプ大統領のリーダーシップとビジョン、そして彼が中国国家主席と築いた関係への信頼とアメリカ国民と中国国民との永続的な友情を信じ、天が未来を見ているのだから、神の恵みによって、アメリカと中国はその(望ましい)未来を一緒に構築していきましょう。)
↓
分かっている人は分かると思うが、「米中国交回復時の改革・開放路線に戻ってね」、「対等・互恵の関係でやっていきましょう」という「選択肢」を提示しているのだが、その提示の基盤になっている「アメリカ式西欧文明」が色濃く出ており、中華思想の持ち主にとっては、その取り方によっては「喧嘩売ってるんかい!」というものである。
これら選択肢は、支那の地の文明である華夷秩序を否定するものであり、それは中国にとってみれば難しいものである。(*4)
一方、我々日本人からすれば、華夷秩序・中華冊封体制は1300年以上も昔に、「あれはダメだと思うぞ」と評価しているもので、そんな中国が21世紀の世界のヘゲモニーを握ることは悪夢でしかない。
今回も長くなり過ぎたので、これで御仕舞とするが、ペンス演説の原文とその和訳の紹介で、これが新冷戦状態にあるとの宣言であり、アメリカが中国側へ歩み寄ることはないとの内容であることはご理解いただけたと思う。
必要あれば、別項で、解説・論考をすることがあるかもしれないが、今回は以上である。
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【文末脚注】
(*1)ペンス副大統領の演説
<ペンス演説のテキスト>
ホワイトハウスHP Issued on: October 4, 2018
見出し:◆Remarks by Vice President Pence on the Administration’s Policy Toward China
(勝手な意訳:ペンス副大統領による、対中政策に関しての方針演説)
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-vice-president-pence-administrations-policy-toward-china/
※英語なので全文引用はしていない。注目点は本稿の中で適宜引用して和訳している。
(*2):米ソ東西冷戦時、ユーラシア大陸東側のアジアに於いては朝鮮戦争や後期ベトナム戦争等の武力衝突が起こった
2016/01/26投稿:
妖怪2
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-590.html
2017/01/28投稿:
妖怪は人々を不幸にした悪魔だった4Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-592.html
(*3):「何処かで見たぞ」という既視感がある方は幸である。
2018/10/01投稿:
安倍首相・国連演説2018(前編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1024.html
2018/10/02投稿:
安倍首相・国連演説2018(中編)
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1025.html
2018/10/03投稿:
安倍首相・国連演説2018(後編)Final
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-1026.html
※○私が自由で開かれたインド太平洋戦略を言いますのは、まさしくこれらの国々、また米国や豪州、インドなど、思いを共有する全ての国、人々と共に、開かれた、海の恵みを守りたいからです。
○洋々たる空間を支配するのは、制度に裏打ちされた法とルールの支配でなくてはなりません。そう、固く信じるがゆえにであります。
(*4):これら選択肢は、支那の地の文明である華夷秩序を否定するものであり、それは中国にとってみれば難しいものである。
2017/12/21投稿:
情勢認識が冷戦時代のままではダメでしょ。
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-829.html
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