各党の終戦記念日談話への雑感1918

副題:各党の談話に滲み出る各党の姿勢・考え方。立憲民主党・国民民主党にとっては初めての終戦の日談話なのだが、立憲民主党は、やっぱり民主党。
昨年(2017年)の終戦記念日の各党談話(*1)を論評したので、今年(2018年)も同様に各党の談話を読もうと思ったのだが、Googleで「各党談話 終戦記念日」で検索して最初に出て来る日経記事(*2)は「有料記事」であり、各党の談話が確認できなかった。
仕方がないので、各党の談話が読めるであろう他の媒体の記事を探したところ、gooニュース・時事通信(*3)で全文が確認できたので、それを題材に、今年2018年の各党談話を論考する。
gooニュース(時事通信)で取り上げられているのは、順番に自民、立憲民主、国民民主、公明、共産、維新、希望、自由、社民の与野党9党である。この順番は、想像するに現在の衆議院での各党の議席数の順番だと思われる。
1.【自民】唯一の戦争被爆国として実相を語り継ぐとともに、歴史に謙虚に向き合い、恒久平和の実現に全力を尽くす。先人が築いた「平和国家日本」を次の世代に引き継ぎ、世界の平和と繁栄に積極的に貢献する。
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無難な表現であるのだが、物足りない。談話よりも、実質で我が国・日本人の平和・安寧の確保に必要な政策を実行している実績からは、この様な無難な表現であったも仕方がないのかもしれない。
2.【立憲民主】安倍政権により、戦後、日本人が育てあげ、守り続けてきた立憲主義と平和主義が脅かされようとしている。歴史の教訓を胸に刻み、国際協調と専守防衛を貫き、国際社会の平和と繁栄に貢献する。
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立憲民主党らしい談話である。立憲民主党は「定義を捻じ曲げた別物」を常用することで、表面的には、一瞬まともなことを言っている様で、その内実は、日本人の命を二の次、三の次にする恐ろしい反日本人指向の政党である。この談話も、実に立憲民主党らしい談話である。
立憲民主党が言う「立憲主義」とは、「現行憲法に書いてあることを実践せよ」というもので、本来的意味の立憲主義とは質的に違っている。この件については以前の論考「「立憲主義」は現行憲法では成り立たない」(*4)を是非ともご一読いただきたい。我々日本人が育んできた生活実態の集積に基づく正邪判断の基準とは異なるものを「実践せよ」と言われても、それは我々日本人が日々の暮らしで培ったものを捨てろというのと同じ意味であり、けして同意できない。
同様、立憲民主党が言う「平和主義」も現行憲法の最大の欠点の1つである「日本人は国際平和の為に劣後した存在でいろ」(*5)という意味であり、まったく許容できない。
「国際社会の平和と繁栄に貢献する」こと自体には異論はないのだが、立憲民主党がいっている「国際社会の平和」は、その実現の為には日本人は犠牲になれ、というもので、まったく容認できない発想である。実際、現行憲法の前文+9条は、その様な建て付けになっているので始末が悪い。(*6)
そういう点からすれば、立憲民主党がいう「専守防衛」も、まったく同じである。この件については、以前の論考「「専守防衛」は生贄欲する悪魔教の呪文」(*7)にて、その欺瞞性を指摘しているので、それも御一読いただきたい。
立憲民主党の談話は、使用されている語句の定義を確認しないと、とんでもない誤解をしてしまうので注意が必要だ。
3.【国民民主】立憲主義、平和主義、民主主義を守り、非核三原則を堅持しつつ、「近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」との考え方に基づき、日本が二度と戦渦に巻き込まれないように努力を払う。
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国民民主党に関しては、昨年(2017年)秋の総選挙の時に民進党の分裂により、当時は小池新党だった「希望の党」に「移籍」した民進党が、選挙後に、その正体を表し「希望の党」を使い捨てにして立ち上げた新党である。
同じ民進党だった立憲民主党は、民進党の中のドサヨクが当時の希望の党から入党を拒否され、民進党のドサヨクが濃縮されて出来た党である。一方、国民民主党は、一応は当時の希望の党から入党を許されたサヨクの中でも薄い方の集団である。とは言え、民進党=民主党であることは変わりない。
そういう集団が「立憲主義、平和主義、民主主義」をどの様に定義しているのかの詳しい確認には至っていない。ある文脈では立憲民主党と同類であると読めるのだが、そうではないケースもある。多分、そういう事にいい加減な集団なのであろう。
そうだとすると、これらは単なる美辞麗句であり、中身がないものだと思われる。
国民民主党に関しては、先の総選挙時の公約がない(希望の党に背乗りしていたから)等の分析材料が立憲民主党ほどにはないので、現状では、この程度でご勘弁いただきたい。
4.【公明】不幸な歴史をいま一度見つめ直し、二度と悲劇を繰り返さないことを誓い、世界から平和国家として信頼されるよう、憲法の平和主義を堅持する。「平和の党」として、世界平和にさらに貢献する。
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連立政権政党なのに、「「憲法の平和主義」を堅持する」と言ってしまっている点でダメな談話である。「憲法の平和主義」とは、前述した様に「日本人は国際平和の為に劣後した存在でいろ」というもので、そんな占領時の残滓の歪んだ「平和主義」ではなく、あらたに日本人の為の日本人による平和主義宣言を改憲で述べることが必要だ。
そうであるにも関わらず、こんな事を公明党は言っている。
公明党は「与党でいたい」を優先しているのだが、自公政権以前の「護憲」を捨てていないので、こんなダメなことを言っている。
5.【共産】安倍政権の「戦争する国づくり」を絶対に許さない決意を表明する。安倍改憲を阻止し、安保法制を廃止して立憲主義を取り戻すために、市民と野党の共闘をさらに発展させるべく力を尽くす。
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共産党は、そもそも共産主義国家・日本人民共和国を建国するのが目的の党であり、それを実現する為に、「立憲君主制の現行憲法を「護憲」」するなどという矛盾を「二段階革命論」(*8)でゴマカシている政党だ。共産主義国化の本音を露わにしない戦法を採用しているので、言っていることは、その時々で整合性がない単なる批判・罵詈雑言になっているのが日共の特徴だ。
共産党は、立憲民主党や社民党と同様に、実質とは違う煽りスローガンを多用する。「戦争する国づくり」も、そういうものである。
共産党は談話で「安保法制」を未だに言っているのだが、2015年の国会で衆参各々100時間以上の審議を費やした安保法制は、国民を守る上で障害となる法的未整備状態を改善するものであり、その軸足は国民の生命、平和・安寧の確保にある。一方、共産党や民主党(当時)や社民党は、国民の命など無関心で、もっぱら「憲法条文」に拘泥するものであった。彼等の様な日本破壊を目指す勢力にとって、現行憲法の条文、特に前文+9条が、如何に利用価値が高い存在なのかが分かる審議であった。
同様、共産党がいう「立憲主義」も、立憲民主党と同じく「現行憲法に書いてあることを実践せよ」である。これが意味するのは、前文にある「平和を愛する諸国民に日本人の生殺与奪権を与えよ」であり、9条第2項にある非武装・交戦権否定に従い「日本人は無抵抗で侵攻を受け入れよ」である。共産党の談話は、そんな事を言っているのである。
6.【日本維新の会】朝鮮半島の非核化をはじめとする国際平和の実現に全力を傾注する。憲法9条の在り方についても、引き続き国民の声に真摯(しんし)に耳を傾け、慎重に検討する。
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反日・反日本人の姿勢を隠さない多くの野党とは違って、維新の談話は比較的まともである。ただ、国会の憲法審査会での維新議員の発言(*9)をみると、維新は、目の前の事項に注目し過ぎる傾向があると思う。2018年終戦の日の談話も、そういう傾向通りだと思われる。
「平和」という主旨と、現在の国際情勢とを合わせれば「朝鮮半島の非核化」という語句が出て来ることは、そういう傾向があるからだと思う。言っていることは、けして間違いではなく、まともである。
7.【希望】外交力、防衛力の抜本的強化が求められている。平和と繁栄は、自らの意志と努力によってのみ、もたらされるものであるとの覚醒が必要だ。平和主義の下、現実的な外交・安全保障政策を推進する。
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民進党議員の総選挙時の背のり後の一斉離党により、現在の希望には、所謂カタカナ表記「サヨク」の成分が薄くなっているのであろう。まともな談話になっている。
8.【自由】現政権は、自衛隊を歯止めなく世界中に派遣できるような安全保障政策を進めている。戦争の惨禍で人々が再び苦しむことのないよう、戦争のない世の中の実現のため全力を尽くす。
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陳腐な論法である。オワコン小沢の党らしい談話である。
その昔から、我が国と国民を守る為の国防議論をすると、それに反対する側からは、いつも「日本が他国を侵略する話」へのすり替えが行われてきた。自由党が言っていることも、そのパターンである。
彼等が言っていることは「日本が戦争を始めるぅ~」である。そんな事をする政府を我々が選挙で選ぶとでも自由党は本気で思っているのであろうか? 国民を小バカにする談話を出して恥じない自由党には、既に存在意義はない。
こんな事を言っているヒマがあるなら、どうやって国民の命、平和・安寧を確保するのかの具体的政策を国民に提示したら如何であろう?
9.【社民】朝鮮半島をめぐる情勢が大きく変化している。日朝間の緊張緩和と関係改善に取り組むように求めていく。憲法改悪を断固阻止し、「不戦の誓い」を後世にも引き継ぐ。
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社民党の談話も相変わらずである。前段の朝鮮半島情勢は、社会党時代からの残渣である。世界の左翼陣営から相手にされなかった日本社会党に対して友好的だった朝鮮労働党・金日成に阿るDNAである。朝鮮半島情勢を本気で考えるなら、「朝鮮半島の非核化」、即ち、米朝会談で合意事項=CVIDを言わなければならないのだが、そうは言っていない。
そして、お得意の「憲法「改悪」」との印象操作スローガンである。
現行憲法の前文+9条が、社民党の様な反日・反日本人政党にとって如何に利用価値が高い存在なのかが分かるスローガンである。
今回は以上である。
各党の姿勢が相変わらずであったことが確認できたと思う。
日本列島に住む日本人の1人としては、我々日本人を劣後させる現行憲法の前文+9条を維持したがっている人物・政党が未だに存在していることは、本当に困ったことだと考えている。
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【文末脚注】
(*1):昨年(2017年)の各党談話の論考
2017/08/17投稿:
各党の終戦記念日談話への雑感
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-732.html副題:民進党・共産党他は、反日本人勢力であることを再確認。
(*2):日経の有料記事(全文読めない)
日本経済新聞 2018/8/15 朝刊
見出し:◆終戦の日 各党が談話
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3414281014082018PP8000/リード文:○与野党各党は15日の終戦の日にあわせて談話を発表した。
記事:○自民党 唯一の戦争被爆国として被爆の実相を語り継ぐとともに、歴史に謙虚に向き合い、恒久平和の実現に全力を尽くす。日米同盟を基軸とする抑止力の向上を図り、積極的平和主義に基づいた平和外交努力を着実に積み重ねていく。
○立憲民主党 安倍政権により、戦後、日本人が育てあげ、守り続けてきた「立憲主義」と「平和主義」が脅かされようとしている。国際協調と…
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<引用終わり>
(*3):gooニュース・時事通信
Gooニュース(時事通信)2018/08/15/ 00:06
見出し:◆終戦記念日で与野党談話
https://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-180815X313.htmlリード文:○与野党は15日、終戦記念日に当たり談話を発表した。要旨は次の通り。
○【自民】唯一の戦争被爆国として実相を語り継ぐとともに、歴史に謙虚に向き合い、恒久平和の実現に全力を尽くす。先人が築いた「平和国家日本」を次の世代に引き継ぎ、世界の平和と繁栄に積極的に貢献する。
○【立憲民主】安倍政権により、戦後、日本人が育てあげ、守り続けてきた立憲主義と平和主義が脅かされようとしている。歴史の教訓を胸に刻み、国際協調と専守防衛を貫き、国際社会の平和と繁栄に貢献する。
○【国民民主】立憲主義、平和主義、民主主義を守り、非核三原則を堅持しつつ、「近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」との考え方に基づき、日本が二度と戦渦に巻き込まれないように努力を払う。
○【公明】不幸な歴史をいま一度見つめ直し、二度と悲劇を繰り返さないことを誓い、世界から平和国家として信頼されるよう、憲法の平和主義を堅持する。「平和の党」として、世界平和にさらに貢献する。
○【共産】安倍政権の「戦争する国づくり」を絶対に許さない決意を表明する。安倍改憲を阻止し、安保法制を廃止して立憲主義を取り戻すために、市民と野党の共闘をさらに発展させるべく力を尽くす。
○【日本維新の会】朝鮮半島の非核化をはじめとする国際平和の実現に全力を傾注する。憲法9条の在り方についても、引き続き国民の声に真摯(しんし)に耳を傾け、慎重に検討する。
○【希望】外交力、防衛力の抜本的強化が求められている。平和と繁栄は、自らの意志と努力によってのみ、もたらされるものであるとの覚醒が必要だ。平和主義の下、現実的な外交・安全保障政策を推進する。
○【自由】現政権は、自衛隊を歯止めなく世界中に派遣できるような安全保障政策を進めている。戦争の惨禍で人々が再び苦しむことのないよう、戦争のない世の中の実現のため全力を尽くす。
○【社民】朝鮮半島をめぐる情勢が大きく変化している。日朝間の緊張緩和と関係改善に取り組むように求めていく。憲法改悪を断固阻止し、「不戦の誓い」を後世にも引き継ぐ。
<引用終わり>
(*4):立憲民主党が言う「立憲主義」は本来的意味の立憲主義ではない。立憲主義は現行憲法では成り立たない。
2016/11/29投稿:
「立憲主義」は現行憲法では成り立たない
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-553.html2017/07/19投稿:
続・「立憲主義」は現行憲法では成り立たない
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-715.html【ご参考】
2015/08/04投稿:
【コラム】国会前での新表現「立憲主義」の虚構
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-174.html2016/07/12投稿:
【コラム】正論・「立憲主義」というネジ曲がった妖怪
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-454.html2016/11/27投稿:
定義ネジ曲げ「立憲主義」の笑止千万
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-551.html(*5):現行憲法の「平和主義」とは、「日本人は国際平和の為に劣後した存在でいろ」という意味である。
2017/05/19投稿:
憲法議論1・前文の「平和主義」
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-673.html201511/20投稿:
「平和憲法」との偽看板
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-269.html2017/07/26投稿:
憲法議論9・「憲法9条の精神」とは何か?
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-720.html(*6):「国際社会の平和」の実現の為には日本人は犠牲になれという建て付けの現行憲法の前文+9条。
2017/05/20投稿:
(資料編)憲法前文の登場・9条の登場と変遷
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-674.html2016/07/29投稿:
(資料編)マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-467.html2016/07/31投稿:
(解説編2)資料・マッカーサー3原則
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-469.html(*7):立憲民主党がいう「専守防衛」も日本人の命、平和・安寧を無視した欺瞞である。
2015/02/21投稿:
「専守防衛」は生贄欲する悪魔教の呪文
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-71.html(*8):共産党は、そもそも共産主義国家・日本人民共和国を建国するのが目的の党であり、それを実現する為に、「立憲君主制の現行憲法を「護憲」」するなどという矛盾を「二段階革命論」でゴマカシている政党だ。
2018/03/26投稿:
国の形をぶっ壊したい共産党の逆ねじ論法
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-890.html2016/07/01投稿:
2016年・参議院選6
http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-449.html(*9):日本維新の会は、国会の憲法審査会での発言をみると、目の前の事項に注目し過ぎる傾向があると思う。
2016/12/23投稿:
憲法審査会2-2・衆議院2016/11/17
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